Think TPP IP Chapter TPPの知的財産分野を考える
一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)事務局長:香月啓佑
2015.6.13(土)@全国同人誌即売会連合会勉強会(中野サンプラザ)
MIAUの活動内容インターネットおよびデジタル技術に関わる
法制度に関する正確な知識の供給
インターネットおよびデジタル技術について 技術発展や利用者の利便性に関わるような法制度への対応
関連する政府報告書のパブリックコメントに対する 意見提出活動および政策提言活動
インターネット利用者の情報リテラシー向上の支援
MIAUの最近の主な活動(国内)著作権法改正への動き:
• 改正著作権法における「違法ダウンロード刑事罰化」「アクセスコントロール回避規制」へ反対
• 国会議員に向けてのロビー活動、院内勉強会の開催 • 参議院文教科学委員会にて参考人として意見表明 • 文化庁審議会への委員としての参加
• クラウド小委員会(Dropboxに補償金?) • 今年度は私的録音録画補償金についての議論がスタート
医薬品のネット販売規制への動き: • 「一般用医薬品の通信販売の再開を求める要望書」を提出
• 楽天三木谷社長、ケンコーコム後藤社長と共同
東京都知事選への動き: • 都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート実施
• 都知事選候補者へ向けて都政におけるネット活用やインターネット規制についてアンケート
MIAUの最近の主な活動(海外)ACTA(模倣品海賊版拡散防止条約)への動き:
• 秘密交渉へ反対し、公開された英語条文を独自に日本語翻訳し公開 • ニコニコ生放送を用いて解説番組を放送 • ACTA東京ラウンドの非公式協議に参加。 • 国会による承認前に民主党議員グループの求めで
院内勉強会を開催
TPPへの動き: • 「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」(thinkTPPIP)を
立ち上げ • TPP交渉の透明化及びIP Chapterへの反対(TPP全体への反対ではない)
• ニュージランドで開催された「NZ Digital Rights Camp」に参加 • 海外との国際連携を深める • TPP交渉ニュージランドラウンドの取材
その他最近意見発表したもの
個人情報保護法とプライバシー 個人情報の共同利用問題・マイナンバー制度・PRISM
児童ポルノ禁止法改正問題・都条例問題 表現規制・ブロッキング
出版社への権利付与問題 電子出版権・出版社へ著作隣接権を付与?
ネットリテラシー教育 高校生・大学生・オトナに向けてのリテラシー教育
Agenda• TPPとはなにか?
• 知的財産条項とはなにか?
• TPAとはなにか?
• TPP知財条項その1(非親告罪化以外)
• 一旦質疑応答
• (時間に余裕あれば休憩)
• TPP知財条項その2(非親告罪化)
• 質疑応答
高い水準の自由化が目標 アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた道筋の中で 実際に交渉が開始されており アジア太平洋地域における高い水準の自由化が目標。
非関税分野や新しい分野を含む包括的な協定 FTAの基本的な構成要素である 物品市場アクセス(物品の関税の撤廃・削減)やサービス貿易のみではなく 非関税分野(投資、競争、知的財産、政府調達等)のルール作りのほか 新しい分野(環境、労働、「分野横断的事項」等)を含む 包括的協定として交渉されている。
TPAとは• アメリカでは外国との通商協定を進める権限が
あるのは議会
• 関税も同様
• ただ議会が間に入ると不都合があるので、大統領に通商協定や関税に関する決定の特権を与えようというのがTPA
• 2007年7月1日で期限切れになっている
なぜTPAが重要か• もしTPAがなかったらTPPの条文一つ一つに議会の承認
が必要
• TPAの元では議会はYes or Noしか言えない
• TPAがなければTPP交渉妥結後に議会がTPP条文の修正を求めてくる可能性が大
• 他の国からしたらたまったもんじゃない
• そんなことされたら交渉から降りると言っている国が多数
TPAが通らなければTPP交渉は実質座礁する
直接データを見ているわけではない
情報をコンピュータにコピーしたものを見ている
インターネットの基本的な仕組み
一時的複製(Temporary Copy)
著作権(複製権)侵害の対象と
できるようにする!
現在は削除されている?
Article QQ.H.7: {Criminal Procedures and Remedies / Criminal Enforcement}180
1.Each Party shall provide for criminal procedures and penalties to be applied at least in cases of willful trademark counterfeiting or copyright or related rights piracy on a commercial scale. {For the purposes of this Article, [US propose, CA/MY oppose: such acts of [NZ: willful] copyright or related rights piracy {on a commercial scale} include at least:] [CA/MY propose: In respect of copyright or related rights piracy, acts carried out on a commercial scale include at least:] [CL propose:181] [182] (a) acts carried out for commercial advantage or financial gain[CA propose:183]; and (b) significant acts [CA oppose: of copyright or related rights piracy], not carried out for commercial advantage or financial gain, that have a substantial prejudicial impact on the interests of the copyright or related rights owner in relation to the marketplace.} [AU propose:184] [The following paragraph is to be deleted and replaced with subparagraph (a): 2. Each Party shall provide that criminal procedures and penalties are available against willful infringement of copyright or related rights carried out for commercial advantage or {financial gain185}.]
Article QQ.H.7: {Criminal Procedures and Remedies / Criminal Enforcement}180
6. (h) [VN oppose: that its competent authorities may act upon their own initiative to initiate a legal action without the need for a formal complaint by a private party or right holder. [JP propose:204]]
204 [JP propose: With regard to copyright and related rights piracy, a Party may limit application of this provision to the cases where there is an impact on the right holder's ability to exploit the work in the market.] Negotiator's Note: JP's support of this provision is conditioned upon acceptance of this footnote.
ざっくりどんな議論がされているか
• 加盟国は著作権侵害と商標権侵害には刑事罰をつけなくてはならない
• しかもその上でその行政当局が形式的な告発なしで法的行動を起こせること
• どれくらいの刑事罰? (なるべく厳しいもの? 知財条項の他の条項とバランスをとる?)
• 罰をどれくらいにするかは各国の裁量でOK?
• 著作隣接権も?
• 故意の場合のみ?
• 商業的利益や経済的利益がある場合のみ?
• 利益って具体的にどれくらい?
非親告罪化導入に対する日本の提案
• 著作権及び著作隣接権侵害に関しては、市場において権利者が著作物を利用する能力に対する影響がある場合に限定できる。
• ↑が受け入れられなければこの項目(著作権侵害や商標権侵害の刑事罰化と非親告罪化)は受け入れない
非親告罪化で即売会にどんな影響が?• 出展者の心配、何ができなくなる?
• いきなり拘置所に連れて行かれる? (民事と刑事の違い)
• 2次創作モノは全部アウト? (何か例外規定はある?)
• 引用とか批評とか論評とか言えば逃げられる?
• コラージュやサンプリングは? (同人音楽とかM3にも影響ある?)
• 「設定が似ている」と言って訴えられる? (表現/アイデア二分論 - どこまでが表現?)
• 「頒布」しなければOK? (無料で配ったり、ネットで読ませるとかはどう?)
• Creative Commonsマークや同人マークの付いているものだったら大丈夫?
• 主催者に降りかかってくる問題
• 「幇助」で捕まったりする?
• 印刷業者に降り掛かってくる問題
• 「幇助」で捕まったりする?
• 中身を見て印刷するかどうかを決めてよい?
一般社団法人インターネットユーザー協会Movements for the Internet Active Users
thinkTPPIPTPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム
http://thinktppip.jp/
私たちは秘密協議のもとで進められるTPPの知的財産条項に反対します
あなたの声も届けませんか? ウェブサイトで署名を集めています。
TPP(環太平洋経済連携協定)では、「非親告罪化」「著作権保護期間の大幅延長」「法定賠償金」 のように、 二次創作文化など日本の社会 ・ 経済に大きな影響がある条項が完全に密室で協議されています。 「非親告罪化」 のもとでは、 著作権者が告訴をしていなくても、 複製 ・ 翻案にあたるパロディ作品などは起訴処罰の対象になり得ます。
TPPINTELLECTUAL PROPERTY CHAPTER
Consolidated Text
著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
thinkcopyright.org
※本声明は TPP 自体への賛否を述べるものではありません。
SECRET
Handcuffs by Konrad Michalik from the Noun Project (CC BY 3.0 US)