MICHIKO SOTOBAYASHI外林道子
體と臟
體と臟1 中国画仙紙、墨
體と臟2 中国画仙紙、色彩墨、墨
70.3 x 43.3 cm 2013
60 x 67.8 cm 2013
68 x 70 cm 2013體と臟3 中国画仙紙、色彩墨、墨
70.3 x 69 cm 2013體と臟4 中国画仙紙、色彩墨、墨
70 x 68 cm 2013體と臟6 中国画仙紙、色彩墨、墨
70.3 x 66.5 cm 2013體と臟7 中国画仙紙、色彩墨、墨
70 x 55 cm 2013
70.3 x 104.3 cm 2013
體と臟5 中国画仙紙、色彩墨、墨
體と臟9 中国画仙紙、色彩墨、墨 體と臟14 中国画仙紙、色彩墨、墨 70 x 142 cm 2013
70 x 135 cm 2013體と臟11 中国画仙紙、色彩墨、墨
體と臟13 中国画仙紙、色彩墨、墨 70 x 115 cm 2013
68 x 130 cm 2013體と臟10 中国画仙紙、色彩墨、墨
142 x 70 cm 2013體と臟8 中国画仙紙、色彩墨、墨 體と臟15 中国画仙紙、色彩墨、墨 140 x 46.2 cm 2013
體と臟12 高麗紙、墨 75 x 84 cm 2013
外林道子の個展は、1986年と2000年に開催した比田井南谷展や2009年の中野北溟展に続く「現代における書の表現」をテーマとする企画展のひとつになります。
そもそも私が書に関心を持ったのは、父が1977年に企画した「磨崖碑拓本」からです。そのカタログに記載された宮川寅雄の序文数行に、『そこで、古代碑碣の拓本も、文字を文字としない書を書としないと言う視点で、ディスプレイしようとする東京画廊の今次展覧の企画は、あながち奇矯とばかり言うことはできない。それもまた、あるいは古代の書の本具の性格に発しているからである。』とあり、書の新しい見方に気づかされました。展示された開通褒斜道刻石などの拓本を見ても、拓された文字の意味は一切理解できませんでしたが、その美しさと迫力に圧倒され漢体文字の魅力に嵌ってしまいました。
比田井南谷の作品のスピード感ある筆触から具体の白髪一雄を彷彿させるものを感じ、書に対する興味が一層増したのを覚えています。
文字を文字とせず、書を書としないとする旨意のもと書を描いたのは、比田井南谷たちの世代です。1960年代に欧米を巡回した展覧会を通じて、それぞれの国々の新時代を切り開こうとしていたアーティストたちに大きな影響を残しました。漢体文字は象形が発展し表意的に記号化したものなので、欧米のアーティストが絵として理解し易かったと思います。ちなみに西欧で使われている文字は表音記号で美術の対象として観られることはありません。 2009年の個展で中野北溟は津軽をテーマとした高木恭造の現代詩を書きました。私でも読める現代和文です。 和人(日本人)はもともと文字をもたず音声を大和言葉として長くコミュニケーションしていました。中国から文字が伝えられたのは、今から千数百年前でかなり経ってからです。なんの根拠もありませんが、日本人が文字だけでコミュニケーションするのが不得手なのは、民族として文字を持たなかった長い歴史からだと思うときがあります。 中野北溟の作品「津軽」は、その行間から津軽弁の声音が波のように押し寄せてきます。展覧会の打合せで札幌のアトリエを訪ねた時に、『80歳を過ぎてから耳の奥に幼い頃聞こえた津軽の出稼ぎの人々の津軽弁が懐かしく響き、その感覚を書き表したい』とアトリエで言われました。 その意図をうかがい壁一面に吊る展示によって画廊空間に津軽弁の声音が満つる演出を心がけ、我ながらうまくディスプレイできたと自負しています。この経験により日本の書をアートとして取り上げるには、音が起点となる身体の動作を忘れてはいけないと肝に命じました。 さて東京画廊がいままで企画した展覧会を改めて見返すと、書に関わる作品を制作した現代美術のアーティストが二人います。具体の吉原治良と、もの派の李禹煥です。吉原治良の「円」は、東洋の
外林道子の挑戦
山本豊津 東京画廊+BTAP
丸筆によるドローイングと西洋の平筆によるペインティングの違いを表現そのものにした作品です。具体グループには身体の動作を直接キャンバスに写すアーティストたちが何人か参加しており、書と共通する点が多く興味を掻き立てられます。 ドローイングの本質的な特徴は、筆を紙の上に置いて引き、抜くまでの時間の経過が視覚化されることです。李禹煥の「点より」「線より」の作品は、点線面の空間概念(西欧的)に東洋的な時間概念を加える画期的な表現となっています。 外林道子は書においては、師である宇野雪村や上田桑鳩そして比田井南谷に影響をうけました。現代美術においては李禹煥から学び、新しい書のあり方に挑戦し今日に至ります。このたびの作品にはその成果を見て取れます。まず文字を構成する点と線をドローイングとして平筆で書き結果としてペインティングのような面をつくっています。 外林が常に「書とは線質である」と言う原則は変えていません。決して塗り重ねて面をつくるペインティングとせず、線質とは何かを問う仕事になっています。作品の線質を構成しているのは、線のかたちとかたちの中に生ずる墨の質感です。タイトルの「體と臟」はこの二つを指しています。 線質は起筆から終筆までの一回性の動作によって作られるので、書家は長年の身体的鍛錬が求められます。鍛錬によって筆が自分の手のよう、いや手以上に自在に操ることが可能になり、それを越えてはじめて美しい線質は表現できるのです。あたかも内臓の中のような有機的で少しえぐい墨の変化が、體がつくられると同時に臟として現われ、しかも単純であることによって品のある美しさに反転する微妙なバランスを生み出したのは外林の身体なのです。 「書かれた書」から「描かれた書」へ辿り着いた一つの答となりました。書の表現を縛っていた文字性からの離脱を成し遂げられたと私は思います。
かつて絵は物語を伝えるために描かれました。肖像は偉大な人しか描かれていません。ところが近代になり芸術と名付けられたフレームが社会に出現すると、物語を伝える絵の役割が終りました。対象となるモデルも名も無い人々が描かれるようになりました。 絵は芸術となることを目指し自己目的化を始めます。 芸術の自己目的化は、美術史という継続性を辿り、美術というフレームを追い求め、実体化した価値を実現させました。 書も芸術のフレームから見直すことが始まっているのです。文字の意味から離れグローバルなアートに参入する試みが外林道子の挑戦です。 芸術における書のコンセプトとはなにか! 上田桑鳩、宇野雪村、比田井南谷、中野北溟ら諸先輩を超える新しい世代が生まれる中継点に外林は立ちました。
1947 広島県福山市生まれ
1954 8歳より書を学び始める
1964 大東文化大学中国文学科入学、上京、宇野雪村に師事前衛書の指導を受ける
1965 「毎日書道展」(毎日新聞社主催・東京都美術館)初出品入選、以後毎年出品
1965 「奎星展」(奎星会主催・毎日新聞社後援・東京都美術館) に初出品[特選]受賞、
以後毎年出品
1978 「現代女流展」に初出品、今日に至る
1987 「毎日書道展」(毎日新聞社主催・東京都美術館)グランプリ受賞
1991 ベルリン映画祭参加作品「四万十川」(恩地日出夫監督)の題字揮毫、以後「結婚」
(恩地日出夫 監督)、「日本への遺言」(加藤シズエ・黒柳徹子トーク番組)等を揮毫
1996 「平成の手鑑」(小野道風記念館)/愛知・作品「壽」記念館収蔵
1997 「比田井天来一門展」に出品
1998 「現代日本の書代表作家展・パリ展」(三越エトワール)/パリ
1998 「毎日書道展第50回記念パリ展・帰国記念展」(毎日新聞社主催・東京日本橋三越)出品
1998 「1998東京BESETO国際書画展」(東京都・東京都歴史文化財団・毎日新聞社主催)
(東京 江戸東京博物館)出品
1999 「書で迎える2000年展」 (ホテルオークラ・メノワ)/東京
1904 「日中女流書道家代表作品展」 (毎日新聞社主催・東京 北京開催)出品
1905 「日韓女流書道展」(東京・ソウル開催)出品
1908 「現代日本書家代表書法展IN台北」(毎日新聞社主催)出品
2011 世界の書「全北ビエンナーレ」(韓国)招待出品
2012 「世界の文字芸術展」日本代表20人選抜
作品「古代文字へのロマン」「丙」「丁」はドイツ・アート財団に収蔵
2012 「アートフェアー東京2012(東京画廊+BTAP)」(東京国際フォーラム)/東京
主なグループ展2000 「YANG ART JAPAN 2000」 (ゴールデンギャラリー)/ニューヨーク2004 「Caelum Gallery企画展」(セーラムギャラリー)/ニューヨーク
2007 「10人の書のかたち」 (洋協ホール)/銀座
2011 「20-次元を超えて」(横浜赤レンガ倉庫)/横浜
2012 「40-あしたを書く」(横浜赤レンガ倉庫)/横浜
2013 「2013-Sho is it 」(横浜赤レンガ倉庫)/横浜
個展1979 個展(下宮画廊)/福山2001 「Continued Dots」(CAELUM GALLERY)/ニューヨーク
2007 「非実態的文字」(SUSHIDEN GALLERY) /ニューヨーク
2008 「Continued Dots」(GALLERY ONISHI) /ニューヨーク
2010 「internet」(GALLERY ONISHI) /ニューヨーク
外林道子
70.3 x 104.3 cm 2013cover artwork: 體と臟9 中国画仙紙、色彩墨、墨
MICHIKO SOTOBAYASHI
2014.1.11sat - 2.1sat
外林道子
體と臟
Director:Hozu Yamamoto, Yukihito Tabata
Staff:Hiroyuki Sasaki, Manabu Yahagi, Kayo Suzuki, Tang JieChi Liping, Tao Muhua
catalog text by Hozu Yamamoto
Photography: Kei OkanoDesign: Zhang Ju (Z STUDIO)
© 2013 Tokyo Gallery + BTAP
[TOKYO] 7F, 8-10-5 Ginza, Chuo-ku,Tokyo, 104-0061, JAPANTel +81-3-3571-1808 Fax [email protected]
[BEIJING] Ceramic Third Street, 4 Jiu Xianqiao Road, Chaoyang District, Beijing, 100015, CHINATel + 86-10-5978-4838 Fax [email protected]
URL: http://www.tokyo-gallery.com
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