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2007/8/23     @     東京大学 山中隆志 原子核三者若手 夏の学校 高エネルギーパート 1

ILCのためのビームサイズモニタの開

東京大学 駒宮研究室山中 隆志

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ビームサイズモニタ メンバー 末原大幹( D3) 依田博太郎( M2) 大録誠広( M1) 山中隆志( M1)

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概要 ILC について

極小のビームサイズの必要性 ビームサイズモニタ

ワイヤスキャナー レーザーワイヤー レーザーコンプトン干渉モニタ

測定原理 FFTB での結果 ATF2 への設置

質問への回答

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ILCとは? International Linear Collider国際的な協力の下に、開発が進められている 電子・陽電子型の線形加速器衝突時の重心エネルギー  500GeV~ 1TeVエネルギーは LHCには及ばないが、ハドロンの破砕反応のないクリーンな反応

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線形加速器を選ぶ理由 円形加速器では Synchrotron 放射により、加

速エネルギーに限界がある 単位時間当たりの放射エネルギー

これを補うには大きな電力が必要 または、リング半径を大きくする

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線形加速器での難点 大きな加速勾配が必要

加速に距離が必要になると加速器が大きくなる ルミノシティーが小さい

円形加速器とは違って、一つの粒子は一度しか衝突に関与しない

(高エネルギーでは、反応断面積が減少する)

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ルミノシティーの定義反応確率  Γ= f N2σ/ S = Lσ

1バンチあたりの粒子数  N ビームの面積  S ビーム周波数  f 反応断面積  σ

ルミノシティー   L= f N2/ S ルミノシティーを高めるには

1バンチあたりの加速粒子数を増やすビーム周波数を高める 衝突点で電子ビームを極限まで細く絞り込む

SN N

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ILCでの電子ビームのデザイン重心エネルギー  500GeVピークルミノシティー ~ 2×1034 cm-2・ s-1

ビームサイズ(y方向 ) ~ 5nmビームサイズ( x方向) ~ 500nm

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ビームサイズモニタ ワイヤスキャナ レーザーワイヤー レーザーコンプトン干渉モニタ(新竹モニ

タ)

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ワイヤスキャナの原理

電子ビーム

ワイヤー γ 線

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レーザーコンプトン干渉モニタの原理(1)

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レーザーコンプトン干渉モニタの原理(2)

電子ビーム

γ 線

γ 線量

干渉縞の位置

ΔN

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レーザーコンプトン干渉モニタの特徴 最小でレーザー波長の半分の間隔の干渉縞 干渉縞の間隔に合った大きさのビームサイズ

に対してのみ、精度良く測れる

大きすぎるちょうどよい

小さすぎる

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干渉縞の形成

θ θ

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FFTBでの結果 レーザーコンプトン干渉モニタは SLAC の線

形加速器( SLC )で、すでに検証されている 測定されたビームサイズ  70nm

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モニタのレイアウト

真空チェンバー

( 中心を電子ビームが通る)

レーザーの光路

レーザーの入射角

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ATF2での検証 KEK の ATF2 に設置予定

ATF2 ← ILC の最終収束システムのテスト ビームサイズ 35nm (設計値) モニタを再設計

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新しいレイアウトでの変更点 位相(干渉縞)をモニタして、フィードバッ

ク 位相を安定化

レーザーの入射角を 4 通りに変えられる 広いレンジのビームサイズを測る

レーザーの強度を増す S/N 比を上げる

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モニタの新しいレイアウト

真空チェンバーレーザーの光路軸

レーザー入射角切り替え

干渉モニタ

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まとめ ILC では、極小のビームサイズが必要 直接測定が可能なビームサイズモニタは、現

在のところレーザーコンプトン干渉モニタのみ

新しく設計を行い、 ATF2 に 2008 年 2 月設置予定

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質問への回答 なぜ ILC の電子ビームのサイズは、垂直方向

と水平方向で違うのか? ILC のビームサイズを測ることはできるのか? ビームサイズの誤差はどのように見積もられ

ているのか? ILC では電子ビームはパルスだが、測定もパ

ルスごとに行うのか?

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なぜ ILCの電子ビームのサイズは、垂直方向と水平方向で違うのか? リニアーコライダーでは、ビームを小さく絞

るため、衝突点での相手方のビームのつくる電磁場が非常に強くなり、シンクロトロン放射をし、エネルギー幅ができてしまう。

縦横比の異なるビームにすることで、この効果を減少することができるので、水平方向にある程度の大きさを持たせ、垂直方向に極限まで絞ることにより、ルミノシティーを増加させる。

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ILCのビームサイズを測ることはできるのか? ILC で予定されるビームサイズは 5nm に対し、これから

ATF2で測ろうとしているビームサイズは 37nm である。 このとき、用いるレーザー波長は 532nm で、 35nm なら

±2nm の誤差で測ることが可能と見積もられている。 現在、実用可能な短波長のレーザーとしては F2 レーザー

( 153nm) などがある。 相対誤差を保ったままだと、 10nm が限界となるが、相対

誤差の増加を許容すれば、 5nm の測定も可能である。 そのときの、誤差は 1nm 程度になると見積もられている。

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ビームサイズの誤差はどのように見積もられているのか?(1) 電子ビームと、レーザーの干渉縞の密度分布

の形状は既に分かっている。 γ 線検出器で得られた、 γ 線量と干渉縞位置

の関係をプロットする。 電子のビームサイズをパラメータとして、電

子ビームと干渉縞の重なり具合で、得られたデータをフィッティングすることにより、ビームサイズが求まる。

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ビームサイズの誤差はどのように見積もられているのか?(2)

このとき得られるデータは、干渉縞に対するビームサイズの大きさによって上のように変わる。

小さすぎると、 γ 線量が極大、極小のまわりではほとんど変わらなくなり、ビームサイズの変化がわかりにくい。

逆に、大きすぎると γ 線量の変化が全体を通して、少なくなり、 γ 線の検出誤差が効いてくる。

干渉縞の位置

γ 線量

小さすぎる

ちょうどよい

大きすぎる

ちょうどよい

大きすぎる

小さすぎる

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ビームサイズの誤差はどのように見積もられているのか?(3)以上から、干渉縞の間隔に応じて感度のよい

ビームサイズが存在することがわかる。 532nm からつくられる、 266nm 間隔の干渉

縞では 50nm のビームサイズに最も感度がある。

しかし、感度を落とせばより小さいビームサイズも測定可能である。

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ILCでは電子ビームはパルスだが、測定もパルスごとに行うのか? 一つのパルスに対し、1回の測定が行われる。 ただし、 ILC のマルチバンチには対応してい

ないが、ビームサイズモニタとして機能するにはこれは必要ない。

1パルスごとに測定を行うので、干渉縞の位置が常に安定している必要があり、これが最重要課題となっている。