デジタルマーケティング時代に
求められる知識と考え方 〜 戦略編 〜
ディー・フォー・ディー・アール株式会社
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デジタルマーケティング時代に求められる知識と考え方
「戦略編」 「デジタルマーケティング」と言われても、今までのオンライン施策と何が異なるのか、WEB サイトやメール等の様々な施策が関連しそうだが何から手を付ければよいのか、そもそも何をゴールに設定すれば良いのか、と
いう声が頻繁に聞かれます。 そもそもデジタルマーケティングとは何か、そしてどの様な視点で取り組めば良いかを、ディー・フォー・ディ
ー・アール㈱のコンサルティング知見をもとに解説していきます。 ■デジタルマーケティングの醍醐味 「デジタルマーケティング」とは何か。一般的には、WEB サイトを中心とした WEB マーケティングを包含する概念で、WEB サイトに限らず、ネット広告、SNS、メール、あるいはスマートフォンアプリ等の様々なオンラインチャネルを対象として、顧客を中心横断的に展開するマーケティングと言われています。 そうです、デジタルマーケティングは「顧客中心」で設計されるという点が従来のチャネル施策とは視点が異な
っており、そして、デジタルマーケティングの真の醍醐味は「顧客の行動をデジタルデータとして一元的に取得
し、チャネル横断して活用する」ことにあると考えています。 ■デジタルマーケティングの実践で乗り越えるべき 3 つの複雑化 一方で、デジタルマーケティングでは、チャネル単位から「顧客中心」
の横断的な視点での取り組みとなることで、従来にはない複雑さが生ま
れています。ここでは、デジタルマーケティングを推進していくために
乗り越えるべき 3つの複雑な事象と対策方針の一端を紹介します。 (1) マーケティング施策の複雑化 現在は、顧客接点のデジタル化が進み、行動データが容易に収集できる
ようになっています。また、行動データを施策にダイレクトに活用するテクノロジーの進化に伴い、マーケティ
ング活動のデジタルシフトが加速しています。 一方で、チャネルやデバイスの多様化により顧客の行動パターンが多岐に渡り、マーケティング施策は複雑化す
る傾向にあります。WEB サイトの回遊性を高める、メールのクリック率を向上させる等、従来のチャネル単位では一見成果が出ているように見えても、それらは部分最適に留まり、本来の成果に結びつかないケースが出て
成果� 複雑化�
基盤�
シナリオ�
KPI/KSF �
利益�
売上�
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きています。 個々の施策の成果を全体最適につなげ、成果を出していくためには、顧客の行動パターンを把握し、どの様に全
体成果に寄与するかという視点で個々の施策の役割を見直し、実施していくことが求められます。 (2) KPI/KSFの複雑化 顧客の行動パターンの多様化に伴い、顧客のどの様な行動が個別の施策成果向上に寄与し、かつ全体最適に貢献
するかが非常に見えにくくなってきています。個々の施策で顧客の行動をどの様に誘導し、全体最適を図るかを
検討するためには、基本となる KPI体系を整備し、KPIを押し上げるファクターを明らかにしておく必要があります。 顧客接点から得られる様々な行動データ、顧客情報、あるいは外的要因に関する情報をインプットとして、各種
パラメータと KPIとの関連性を分析した上で、自社ならではの KSF(Key Success Factor)を見い出し、施策の成果目標に設定する、という現状の棚卸しと基本設計は相応の時間と労力を要します。しかしこの基本設計を
行っておくことが、最終的には全体最適を図る近道となるため、労を惜しまずに取り組んでおくと良いでしょう。 (3) 運用基盤(ツール・サービス)の複雑化 より複雑化した情報を取り扱うために、ダッシュボードで実績を可視化する BI ツール、複数のシナリオを設計し施策を運用するマーケティングオートメーション、種々の行動データを統合・分析するプライベート DMP、あるいはインプット情報を充実させる 3rdPatry/パブリックデータ提供サービス、等の多種多様なツール・サービスが登場してきているが、自社にとって本当に必要な事(優先度が高い事)の判断が困難な状態になってい
ます。 目標達成に必要な基盤の検討に際して、成果目標、展開する施策(チャネル、仕掛け)、自社の現在のリソース
(予算や会員数)や将来の計画等の全体像を整理しておくと、優先順位が明確になり、選定がスムーズになりま
す。 ■ブレないデジタルマーケティングを実践するために 複雑化する環境の中では、手軽にできるという理由だけで部分的な施策にフォーカスしていくと、全体の成果が
上がらない、あるいは施策の位置づけを見失ってしまい、掛け声を上げてみたものの結局従来通りの施策を継続
してしまう、という状態に陥ってしまいがちです。 デジタルマーケティングで成果を出すためには、例え部分的な施策を先行することになったとしても、常に本来
すべき事が何か、何のために実施しているのかという立ち戻りができるように、事前に全体像を描き、関係者間
で共有しておくと良いでしょう。 (この全体像を描く際は完成度の高さを追求いたしません。チャネルやデバイス、テクノロジーは進化し続けて
おり、また競合の新サービスの登場などにより、顧客の意識・行動は常に変化するリキッド状態にあるため、一
度作成した全体像は実際に施策展開と効果検証を経て、実績をもとに時々の実態に合った形に柔軟にアジャスト
していくものであるためです。)
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■戦略編 本書では、「戦略編」として、デジタルマーケティングを進めるにあたって初期段階で検討しておきたい 4 つの要素をピックアップし、そのポイントを解説します。 ▽戦略編ピックアップ
デジタルマーケティングに取り組むにあたり、まずは目標(成果指標)を設定します。企業の自社サービス認知
~成約までのプロセス上の取り組みは、マーケティング領域とセールス領域に 2分されます。デジタルマーケティングの目標設定は、限られた予算の中で、受注確度の高い顧客をセールス部門に効率よく提供していく事です。
つまり、「受注確度の高い顧客の獲得件数」(ボリューム目標)と、左記顧客を限られた予算の中で効率的に獲得
する「コスト目標」という 2つの観点で成果指標を設定し達成することが最終的な利益増加に寄与する事になります。 そして、ボリューム目標とコスト目標の観点で設定した成果指標それぞれについて、具体的な目標値を設定して
いきます。目標値の設定は、最終的な利益(営業利益)目標とデジタルマーケティングの貢献度を踏まえて試算
する形となります。 ▽目標設定 基本フレーム
(�)�目標設定
(�)����評価と予算設定
(�)�組織体制
(�)�スコープ設定�
(�)目標設定
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▽目標設定 基本フレーム
※赤字部分がデジタルマーケティングの KPIとなります。
設定した目標値の正当性、すなわちは効率よく利益を獲得できるものであるかを評価するために、ROIを算出し確認していきます。ROIの算出は目標と同様に、マーケティングの成果とコストの両面で実績(目標)値を整理します。そして、算出した ROIでマーケティング投資に対する成果(利益)獲得の効率性をチェックします。 利益目標を達成していたとしても、ROI の値が低い、すなわち効率が低い場合は、施策や運用コストの見直し、あるいは現予算の中でのボリューム目標の増大のためのマーケティング施策内容の見直しを行っていきます。 ▽ROI算出 基本フレーム
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(�)���評価と予算設定
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*Check!:LTV(Life Time Value)の要素を加味する マーケティング活動で得られる営業利益額を試算する際に考慮したい要素が獲得顧客の LTV(Life Time Value)です。イニシャル+運用の両面でフィーが得られる、あるいはリピートが期待できるサービスの場合は、顧客との契約期間
中に得られる利益やリピート受注で得られる利益を加味する場合、取り組みの方針は将来にわたって自社により多く
の利益をもたらしてくれる可能性が高い顧客を創出・獲得する、という視点になります。 なお、LTVの要素を加味する際は、CRM施策の貢献度を考慮して価値金額を算出する等の調整を行います。
デジタルマーケティングでは、顧客を中心にした取り組みを行っていきます。つまり、WEB サイトや広告、メール、SNS、スマートフォンアプリなどの様々なオンラインチャネル、あるいはデジタル化された展示会やセミナー参加等のオフラインチャネル等のチャネルやデバイスの垣根を超えて、顧客の行動データを収集し、顧客の
ステータスに合わせた施策展開を行っていくことになります。 そのため、組織が分断されている状態では最適な施策展開が実現できません。社内の企画・制作/チャネル開発・
運用/プラットフォーム開発・運用/データ分析・フィードバック等の業務を担当する複数の部門を横断した、
柔軟に動ける体制が求められます。 業務を横断した組織作りのためには、関係者の理解と協力が欠かせません。あらかじめ、デジタルマーケティン
グ全体像を描いておくことで、どのフェーズで何をアクションし、そのために必要な仕組み(チャネル、システ
ム、データ基盤等)は何かを洗い出せます。そうすることで、関係する担当・部門が把握できると同時に、社内
関係者に対して、何をするために、どういう役割を担ってほしいかが明確になり、協力を仰ぐ際の説明をスムー
ズに行うことができるというメリットが得られます。そして、社内関係者との協議を重ね、デジタルマーケティ
ングで「何が得られるのか(今までとの違い)」、「どのくらいの貢献度があるのか」、「なぜ今必要なのか」、「何
をゴールとするか」、「何からスタートすればよいのか」等についての意識共有を行い、協力体制を整えていきま
す。 将来的には全体をコントロールできる部門を設置することが理想的ではあるものの、取り組み初期の段階では、
大きな体制変更をせずに、関係部門内で担当をつけ、コアメンバーによる分科会形式で進めるという形の方がス
タートを切りやすくなります。
(�)組織体制
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・ 分科会型:コアメンバー参加による取り組み、権限は各部決済、全体ゴールを見据えつつ個別目標 ・ 統合組織型:コントロールタワーとしての上位部門設置と権限委譲、統一目標・貢献度設定
▽担当・部門の整理表 下表のようなフレームを使用し、顧客の成約プロセスで、どのタイミングでどの部門が関わってくるのかを予め
整理しておきます
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デジタルマーケティングの全体像を描く際は、オンラインに加えて、オフラインでの顧客行動を計測できるよう
な仕組みの構築までを取り組みスコープに入れておくとよいでしょう。サービス認知から成約に至る過程で、顧
客はオンラインチャネルとオフラインチャネル(イベントやセミナー等)を行き来し、徐々にステータスをアッ
プ(HOT 化)させていくため、顧客行動をオン/オフ両面でトラッキングし統合管理できる仕組みがあることで、より HOT化ポテンシャルの高い顧客に対して、確度の高い施策が展開できるようになるからです。 オン/オフのチャネル間を行き来するという点では、ここでの O2Oは「Online to Offline」と「Offline to Online」の両方の意味を持ちます。例えば以下の様な顧客行動/情報/施策の流れのイメージです。 ▽O2O行動トラッキングのポイント ü オンラインからオフラインへの送客(CTA設置[WEBフォーム]等) ü オフラインでの行動計測(アプリや QRコードでのイベント来場計測等) ü オフラインでのオンライン接続(イベント会場でのアンケート、SNS接続、Profile把握・履歴入力等) ü オフライン行動後のオンライン施策(イベント参加者へのコンテンツ配信等) ü オンラインとオフラインの統合行動によるステータス管理(統合 DB等)
▽O2O行動トラッキングのイメージ
(�)スコープ設定�
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ここで、そもそもオフライン施策を含めてデジタルマーケティングの全体像を描くにあたっては、サービス認知
から成約までのフェーズにおいて、顧客がどのチャネルやコンテンツに接触し、その時のニーズは何か、自社に
対する意識変化はいつ・どのようにして起こるか、競合との比較点は何か、等の「カスタマージャーニー」をあ
らかじめ把握しておく事が求められます。 カスタマージャーニーを把握することで、各フェーズでの課題を明らかになり、課題の解決方法(施策方針)、
ターゲット選定、施策の優先順位付けという、デジタルマーケティング全体像が描けるようになります。 (※カスタマージャーニーについては次号「施策編」を参照。 弊社ブログでも記事掲載中 http://www.d4dr.jp/customer_̲journey_̲1-‐‑‒pbd0524/)
ここまででご紹介した通り、デジタルマーケティングの検討初期段階では、目標/体制/スコープを定めます。
先々検討を進める施策すべては、ここで設定した目標達成の手段として、位置づけと期待成果を明確にしたうえ
でプランニングを進めていくことになります。 ディーフォーディーアール株式会社では、目的意識を持ったブレないデジタルマーケティングを実践するために、
「戦略」視点の初期設計をご支援いたします。 □次回予告 次回は、「施策編」として、設定した目標を達成するための施策プランニングに必要な 4 つのアプローチをご紹介します。 「施策編」(予定) (1) カスタマージャーニーの活用 (2) 適合性の評価 (3) デジタルマーケティングの施策設計 (4) リード管理方法
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お問い合わせ先はE-mail: [email protected] URL: www.d4dr.jp TEL 03-3457-8646
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