電磁波(電磁界)の健康影響について
平成29年2月16日
一般財団法人 電気安全環境研究所
電磁界情報センター
徳永 正一
電磁界情報センター
1
2002年8月24日朝日新聞
電磁界情報センター
2
電磁波に関する雑誌記事
電磁界情報センター
3
世界保健機関の見解
WHOは病気発症との因果関係を否定しています。
WHOファクトシートNo.322資料47~51ページ
健康
影響
磁界
電界
電化製品・送電線(低周波)
短期
影響
長期
影響
?機器
影響
IH調理器(中間周波)
携帯電話(高周波)
電磁波の話題整理
4
鉄道・MRI(静電磁界)
?
電磁界情報センター
電磁界情報センター
5
主題の前に
電磁波・電磁界とは?
6電磁界情報センター
電磁波(電磁界)の種類と用途
7電磁界情報センター
電界・磁界・電磁界とは
+=
磁界電界
電磁界
8電磁界情報センター
電気から発生する電磁界
電界
電界電界
電界
電界
磁界
磁界
電圧 電圧+電流
OFF OFF ON
超低周波電磁界の健康影響
一般の人々が通常で遭遇するレベルの電界に関して本質的な健康問題はないと結論しました。(WHOファクトシート集
48ページ上段)
したがって、以下では、主として磁界へのばく露の影響を取り扱います。
9
10電磁界情報センター
電磁界と電磁波「電磁界」は、周波数が高くなると、電界と磁界が絡み合うようにして、波として伝わる性質が強くなる。
この波のことを、「電(磁)波」という。
電流
磁界
磁界
磁界
磁界
電界
電界
電界
電磁界情報センター
11
電磁波(電磁界)の健康影響
電磁界情報センター
12
WHO国際電磁界プロジェクト
2016/4 現在
電磁界情報センター
13
WHO環境保健クライテリア
No. 238
超低周波電磁界
2007年6月18日
WHO国際電磁界プロジェクト
WHOファクトシート
No. 322
超低周波電磁界へのばく露
2007年6月18日
電磁界情報センター
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(1) 電磁界ばく露の短期的影響
「強い磁界を浴びるとどうなるの?」
電磁界情報センター
15
磁界の生体影響
磁界
電流
非常に強い磁界にさらされると、体内を流れる生理的な電流以上の電流が誘導されるので、これは望ましくない。例:網膜閃光現象
電磁界情報センター
16
体内を流れる生理的な電流の例
電磁界情報センター
17
参考:網膜閃光現象
電磁界情報センター
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短期的ばく露については、健康への有害な影響が科学的に確立されている。
政策策定者は、人々をこれらの影響から防護するために作成されている国際的なばく露ガイドラインを採用すべきである。(WHOファクトシート集 49ページ)
WHOの見解
電磁界情報センター
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国際的なばく露ガイドラインICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)
周波数電界
(kV/m)
磁界(μT:
マイクロテスラ)
50Hz 5.0 200
60Hz 4.2 200
大小
しきい値(磁気閃光、神経刺激)低減係数指針値200μT
日本では、磁界の改定ガイドライン値(50Hz,60Hz いずれも200μT)を電力設備から発生する磁界の規制値として導入されました。(2011年3月)
電磁界情報センター
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身の周りの磁界の強さ
電磁界情報センター
21
22電磁界情報センター
磁界測定結果(例)
ICNIRPガイドライン値:200μT
送電線から発生する磁界
0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%
100%
-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
線路中心からの距離(m)
磁界
レベ
ル相
対値
3m
3m
3m
14m
23m
5.3m
6.3m
4.8m電線から離れると、磁界レベルは急激に低減
(地表1mの磁界の強さ)
23電磁界情報センター
電磁界情報センター
24
(2) 電磁界ばく露の長期的影響
「弱い磁界でも長く浴びていたら病気になるのではないか?」
本題!
電磁界情報センター
25
電磁界研究の評価
人を対象とした統計的な
疫学研究
総合評価
実験動物や細胞を用いた
生物学研究
疫学研究とは
26
【強み】人を対象【弱み】病気の原因を特定するのは困難な場合が多い
電磁界情報センター
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電磁界と小児白血病との疫学研究
1.0
<0.1 0.1-<0.2 0.2-<0.4 0.4≦
2.0
3.0
4.0
0.9
μT
0.5
9.0
プール分析
Ahlbom他, 2000相対危険度(95%信頼区間)
電磁界情報センター
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WHOの見解
0.3~0.4μTを上回るばく露に関連して小児白血病が倍増するという一貫したパターンが示された
「しかしながら、疫学的証拠は、選択バイアスの可能性など手法上の問題によって弱いものになっている。」
WHOファクトシート集
48ページ
証拠は限定的
電磁界情報センター
29
電磁界研究の評価
人を対象とした統計的な
疫学研究
総合評価
実験動物や細胞を用いた
生物学研究
電磁界情報センター
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生物学研究
動物実験装置例 細胞実験装置例
総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 電力安全小委員会 電力設備電磁界対策ワーキンググループ(第3回)資料を一部引用
【強み】目的とする要因の影響を直接観察可能
メカニズムの解明(細胞実験)が可能
【弱み】人への適用の課題<生物学研究の評価>
1回の実験結果のみで判断できない
- 精度の向上(繰り返し同様の結果を示す)
- 再現性(他の研究者が同様の結果を示す)
電磁界情報センター
31
WHOの見解
低レベルのばく露ががん発生に関与することを示唆するような生物物理学的メカニズムとして正当と認められたものはありません。
WHOファクトシート集48ページ
証拠不十分
電磁界情報センター
32
電磁界研究の評価
人を対象とした統計的な
疫学研究
総合評価
実験動物や細胞を用いた
生物学研究
証拠は限定的 証拠不十分
電磁界情報センター
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小児白血病に関連する証拠は因果関係(※電磁界が原因)と見なせるほど強いものではない。WHOファクトシート集 48ページ
その他の健康影響全てについて、科学的証拠は小児白血病よりもはるかに弱い。WHOファクトシート集 48ページ
結論(WHOの見解)
電磁界情報センター
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白血病以外の小児がん、成人のがん、うつ病、自殺、心臓血管系疾患、生殖機能障害、発育異常、免疫学的修飾、神経行動学的影響、神経変性疾患などです。WHO のタスクグループは、これらの健康影響全てについて、ELF 磁界ばく露との関連性を支持する科
学的証拠は小児白血病に関する証拠よりはるかに弱いと結論しました。いくつか例を挙げれば、(すなわち心臓血管系疾患や乳がんに関する)証拠から、ELF 磁界はこれらの疾患を引き起こさないことが示されています。
WHOファクトシート集 48ページ下段
結論(WHOの見解)
健康
影響
磁界
電界
電化製品・送電線(低周波)
短期
影響
長期
影響
影響あり国際ガイドラインの遵守で防護可能
機器
影響
IH調理器(中間周波)
携帯電話(高周波)
まとめ
35
鉄道・MRI(静電磁界)
小児白血病との関連性。ただし、磁界が原因とまでは言えない。
電磁界情報センター
36電磁界情報センター
ご静聴、ありがとう
ございました。
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