助成機関とコミュニケーション
深尾 昌峰
第2部
自己紹介をかねて
深尾 昌峰(ふかお まさたか)公益財団法人京都地域創造基金 理事長一社)全国コミュニティ財団協会 会長特活)きょうとNPOセンター 常務理事龍谷大学政策学部 准教授
学生時代(1993~1997)2回生の時に阪神・淡路大震災 ボランティア活動→NPOの世界へ
1998年 きょうとNPOセンター設立2000年 ラジオカフェの設立(日本初のNPO法人放送局)2009年 公益財団法人京都地域創造基金の設立2010年 龍谷大学の教員も2012年 株式会社PLUS SOCIAL 代表取締役 (非営利型株式会社)
「公共の新たな担い手」と言われるNPO・市民活動活動は活発・多岐にわたり社会にとって欠かせないものに
社会システムの再構築の必要性
・依然抱える活動基盤の弱さ(資金、人材、制度)・下請け的な行政との協働によるNPOの疲弊
→先駆性、自立性などの市民活動らしさが損なわれつつある・依然としてNPOへの寄付が広がらない現状
NPO・市民活動が抱える課題
NPOの現状
「制度」「仕組み」
回収されてしまう
パラダイムの転換! 役所vs市民の構造の打破
今の「当たり前」は誰かの「ほっとけない」から始まっている...
・2009年3月26日 一般財団法人化8月7日 公益認定(京都府認定第1号)
2011年8月8日 寄付金の税額控除対象の証明取得(京都府第1号)
・役員:評議員12名、理事14名、監事4名・スタッフ(アルバイト・パート含む)
常勤4名、非常勤5名、ボランティア約10名・年間事業規模:約1億円(23年度決算)・設立後の寄付総額:約2億2100万円
京都地域創造基金 概要
“for Positive Social Change”
・多様な主体が公益を支えることができるインフラをつくる。=地域社会の中で、資源の再投資や再編成を促す地域社会インフラに。
・意思のある、新たな資金循環をつくる。=価値ある「寄付」をつくりだし、公益の担い手である「民の活動」を支える。
・NPOと地域社会のよりよき関係を築くプラットフォームとなり、市民による公益活動を市民が支える仕組みを社会に根付かせる。
=『市民活動を支えるのは市民社会』の実現
京都地域創造基金 概要 ー ミッション
設立過程〜市民財団としてつくる意味
市民がつくった財団ー京都地域創造基金中間支援組織のこれまでの10年とこれからの10年
・多様な主体の参画によるプロジェクトベース・300人以上の方々からの寄付により設立された
「市民立」の公益財団。
「当事者性」支援する・されるという関係を打破ーこれからの地域に必要なインフラは何か!?
「必要性」の確認(マーケティング)「ファンドレイジング」の実践/「ミッション」の体現
社会的信頼のあるNPOを可視化→社会からの支援。
NPOの社会的認証を活用ステップ1・2:きょうとNPOセンターステップ3 :社会的認証開発推進機構
ステップ1ガイダンス認証
(組織的情報開示の推進)2009年9月
開始
ステップ2開示情報と組織状況の
確認認証2010年2月
開始
ステップ3 第三者評価による認証2011年3月
開始
財団事業(助成金など)に応じて要件に設定地域で取り組む→信頼性を高める
寄付文化をつくるためにー京都におけるNPOの社会的認証のしくみ
3段階の認証ステップ
NPOに税制優遇を届ける
特定の事業に対して助成を受けたり、寄付をしたりできる制度
・積極的なファンドレイズ(努力)できるツールの提供
⇔高い情報開示と第三者認証を要求(ステップ3)+財団による審査
『事業指定助成』
・自分の意思に応じて信頼できるNPOに寄付を届けることができる。
・税制優遇
寄付を価値ある形に 『冠助成・冠褒賞』
寄付者が独自に助成金・表彰プログラムをつくることができる制度
・独自名称はもちろん、助成対象・分野・金額・選考方法…その他独自アレンジができる
*寄付金額など条件により異なる
・税制優遇・『記念』・社会課題解決に“より”効果的なプログラム・寄付者の地域やNPOへの視点、関わりを創造
・情報開示を要求・京都独自の多様な
助成プログラムの活用
地域に必要なお金の流れを生み出すしかけ
『テーマ等提案型プログラム』
独自のテーマ・地域設定で地域社会の様々な活動を応援できる制度
・今、地域に必要とされる「テーマ」で支援プログラムを財団に提案
*一定の条件を満たした団体やグループ等
「城陽みどりのまちづくり基金」
・市町村単位では解決できない地域課題を広域やテーマでつなぎ、NPOを支援するプログラム(助成金プログラムなど)を構築
・提案者は助成等に必要な資金を主体的に集め、財団と一緒にプログラムを展開
市民ファンドの可能性ー面で取り組むファンドレイズ
信託/遺贈/不動産・信託会社、士業との連携により相続/遺贈を市民公益へつなぐ
新たな地域展開型の「寄付信託」「遺言信託」商品「遺産・相続地域活用センター」開設
・相続/遺贈によるデベロッパー等との連携した不動産利活用「地域の拠点」
チャリティキャンペーン・飲食店と連携した「カンパイチャリティキャンペーン」・文化人や企業と連携した「チャリティ○○」
申請・成果報告・情報開示で工夫・苦労していること
◯京都地域創造基金自体の認知度
◯申請と「成果」の設定(特に事業指定プログラム)定量化「集める」と「配る」が一体化している特異性
◯情報開示と社会的認証 → 「ホワイトリスト」としての意味
◯「報告会」の開催…
◯意に添えない場合のコミュニケーション
◯資源提供者とのコミュニケーション(小口 ー 大口 ー 遺産…)
課題と取り組み
◯社会的認証の意味と限界
◯成果志向にどうシフトさせるか
◯社会的投資へのシフト
◯補助金改革
◯ファイナンススキームの”地域化”→信用保証のあり方、ヘッジファンドの形成
課題と取り組み
◯「NPO」を疑うということ→「NPO」に回収されてしまっている現状
◯「CSR」を疑うということ→特に中小企業と地域との関係(和歌山の地域づくりから)→「地域社会」非資金的資源とのジョイント→プロデュース/デザイナーとしての地域公共人材
総力戦の地域づくり
信用金庫の預貸率の推移1998年3月〜2013年11月
信金中金統計資料から作成
70%
60%
50%