1 年間アメリカへゆく―博士論文を書くために
京都大学大学院文学研究科科学哲学科学史専修
杉本舞
どこへ留学?
何のために留学?
語学の勉強学部に入学修士課程に入学博士課程に入学在外研究
博士論文研究海外で調査 etc.
どうやって留学?
交換留学奨学金を獲得して留学
国費奨学金(フルブライト奨学金)各種財団奨学金
日本学術振興会特別研究員として留学DC1, DC2, PD海外学振
私費で留学
私の留学(概略) 時期
2008 年 8 月 9 日~ 2009 年 8 月 31 日
目的博士論文(科学史・計算機史)の研究と調査
地域アメリカ合衆国 ミネソタ州 ミネアポリス(ミネソタ大学 科学史・技術史・医学史プログラム /
チャールズバベッジ研究所)
資金フルブライト奨学金 + 私費
(アメリカに 1 年行くための)留学準備の流れ
1. TOEFL (あるいは IELTS )を受験する2. 必要であれば GRE を受験する3. 資金源を獲得する4. 留学先を探し、問い合わせる
1. TOEFL( あるいは IELTS)を受験する
TOEFL iBT に申し込み、所定以上のスコアを獲得する。 奨学金では 80 が目安だが、大学院入学には 100 以
上が必要なこともある。 Speaking, Writing に苦労する人が多い。 奨学金応募の前には受験していなければならない。 頻繁に受けられないので、受験は計画的に。
私の場合… 2006 年夏~秋に受験。 TOEFL CBT で250 ( iBT 換算 100 程度)。
2. 必要であれば GRE を受験する
アメリカ・カナダの大学院進学のための共通試験(センター試験のようなもの)。
聴講生として籍を置くだけでも GRE スコアを要求してくる大学もあるので要注意(例:プリンストン大学)
数学は簡単だが、英語の試験が超難問。 でも結局 GRE より自分の論文の方が大事。
私の場合… 2007 年秋に受験。
【おすすめ】自分の論文を英語に直しておいた方がよい
奨学金の申し込み、大学への受け入れ申し込みのいずれでも、必ず「自分の研究の概要」あるいは「英語での論文」が要求される。
要求されてから、自分の論文を英語に直すのは不可能!
院生なら、留学を思い立った時点で自分の論文を 1 本英語に訳しておくべき。必ず役に立ちます。
3. 資金源を獲得
アメリカ留学の場合、主要な奨学金は
フルブライト奨学金ロータリー奨学金
のいずれか。ただし、ロータリー奨学金は募集停止という話も。
私の場合…フルブライト奨学金(博士論文研究プログラム)を獲得。 2007 年 4 月に応募して、3 回の選考を経て、 2007 年 12 月に結果発表。
フルブライト奨学金とは? 日米両政府による政府奨学金
大学院留学(学術系学位)プログラム大学院入学 1 年目の学費・生活費・保険その他、
大学院 2年目以降の若干の学費を出してもらえる大学院博士論文研究プログラム
最大 10 カ月までの学費・生活費・保険その他を出してもらえる。
奨学金のほかに、査証( J1ビザ)がもらえ、語学研修、各種オリエンテーションやセミナーなど、フルブライトのイベントに招待される。
私の留学資金フルブライトから毎月 1335ドル ×10 カ月
の生活費を得た。査証を 12 カ月に延長してもらっていたので、残
り 2カ月分は私費でまかなった。学費と保険はフルブライトから直接支払われたの
で、自分では出費しなかった。また、行き帰り合計 20万円の引っ越し代と、無料航空券を貰った。
なお、フルブライトでは地域によって若干受給額が変わる。ミネアポリスでは物価が安いので1335ドルあればお釣りが来るほど。その分を貯金して地方の調査資金に回した。
2013 年度フルブライト奨学金応募受付は 2012 年 4 月 1 日か
らhttp://www.fulbright.jp/scholarship/
index.html をご参照ください。2010 年 6月から 2012 年 5月に実施された
TOEFL あるいは IELTS のスコアが必要。
とはいえフルブライトは狭き門なので…他の資金源を当たることは非常に大切です
ロータリー奨学金の動向に注意する他の各種財団奨学金をチェック(「研究助成ガ
イド」や、教務掛横の掲示版)向こうの大学の fellowship, scholarship を
チェックしっかり貯金する(!)
3. 留学先を探し、問い合わせる
科学史の講座を持つ大学をすべてピックアップし、片っぱしから「 1 年間の受け入れ」についてメールで問い合わせた。大学の入試オフィスではなく、講座の
Director の先生にメールを送るのがよい。
留学準備タイムテーブル
• 留学 2年前:語学試験に取り組み始める
• 留学 1 年半前:奨学金について調べ、申し込む(申し込みはだいたい春先)
• 留学 1 年前:留学先について調べ、随時質問や申し込み開始(だいたい秋から冬)
• 留学半年前:奨学金獲得・行き先決定
私の 3つの目標
博士論文のための史料調査をする米国の科学史研究者との人脈を作る英語に慣れる
史料調査 ミネソタ大学のアーカイブで史料調査(常時)。 調査旅行( 3 回)、のべ 9箇所のアーカイブを訪問。 自分の拠点が米国内にあると調査しやすい!
授業やセミナーの聴講 計算機史で著名な教授 (Prof. Misa) の授業と読
書会に参加。 科学哲学センターとの合同コロキアム(毎週)
と、その後の議論(と飲み会)にも参加。 研究所での特別セミナー聴講など。
今後留学を目指す人のために 1 年はあっという間。留学前には具体的な達成
目標(しかも期間内で達成可能と思われるもの)を作るべき。
できるだけ奨学金プログラムには参加して留学するのがよい。お金だけではなく、多彩な人間関係が生活や研究を支えてくれる。
学位をとってからどうするかを(結論は出ずとも)考えておくこと。あらゆる場面で尋ねられます。
今後留学を目指す人のために 自国の文化・歴史、他国の文化・歴史・政治状況はきちんと頭に入れておくべき。
英語はできるにこしたことはない。 研究以外でも社交的になっておくと、色んな場面で助けられる。また、現地の人にお友達をつくると、いいことが色々ある。
ちなみにアメリカは食事がまずいというが、自炊ができる人には天国みたいな場所。
アメリカ大学院留学説明会フルブライト奨学金説明会
日時: 2012 年 4 月 21 日(土) 留学説明会 14 時~ 16 時 フルブライト説明会 16 時~ 17 時
場所:大阪府咲洲庁舎 44階 大会議室
事前オンライン登録が必要です。「日米教育委員会」ウェブサイトからアクセスしてください。
アメリカ留学情報
Connect USA http://connectusa.jp/ 「イベント情報」に留学説明会情報、「国務省人物交流プログラム」にフルブライト奨学金その他の情報があります。
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