V. VI. 5 年間の - maff.go.jp...78...

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78 (4)その他の消費者向けの日本酒プロモーションに必要な事項に関する調査 ①調査内容 本調査では、 I. 対象国における日本食の教育の実態及び当該教育での日本酒の取扱いの有無 II. 対諸国の日本酒を扱っているレストランにおける、支払代金に占めるアルコールに支 払う代金の比率に関する調査 III. 対象国におけるアルコール飲料に関する税制・法令・規制(アルコール飲料の定義、 酒税適用区分、清酒の価格形成に影響する諸税、表示、流通、容量規制、包材規制、 プロモーションに関する規制等) IV. 対象国における日本酒及びその他のアルコール飲料の消費状況(飲酒人口、消費量、 総売上、単価、主要な酒類、消費者階層別酒類別割合、国内産日本酒の消費シェア等) 並びに流通状況(販売チャネル等) V. 対象国のアルコールの消費文化(飲酒の可否、主な飲酒場所等) VI. 対象国における日本食レストラン及び日本酒を取り扱う小売店の数と過去 5 年間の 増減の傾向 VII. 国内の清酒メーカーの大手・中小別、対象国ごとの日本酒の輸出実績(数量、金額、 銘柄類及び参入事業者数) VIII. 対象国内における日本酒の生産数量及び対象国に輸入される外国産日本酒の国別数量 について情報収集を行った。 ②調査方法 調査方法は、文献収集及びヒアリングを実施した。

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(4)その他の消費者向けの日本酒プロモーションに必要な事項に関する調査

①調査内容

本調査では、

I. 対象国における日本食の教育の実態及び当該教育での日本酒の取扱いの有無

II. 対諸国の日本酒を扱っているレストランにおける、支払代金に占めるアルコールに支

払う代金の比率に関する調査

III. 対象国におけるアルコール飲料に関する税制・法令・規制(アルコール飲料の定義、

酒税適用区分、清酒の価格形成に影響する諸税、表示、流通、容量規制、包材規制、

プロモーションに関する規制等)

IV. 対象国における日本酒及びその他のアルコール飲料の消費状況(飲酒人口、消費量、

総売上、単価、主要な酒類、消費者階層別酒類別割合、国内産日本酒の消費シェア等)

並びに流通状況(販売チャネル等)

V. 対象国のアルコールの消費文化(飲酒の可否、主な飲酒場所等)

VI. 対象国における日本食レストラン及び日本酒を取り扱う小売店の数と過去 5 年間の

増減の傾向

VII. 国内の清酒メーカーの大手・中小別、対象国ごとの日本酒の輸出実績(数量、金額、

銘柄類及び参入事業者数)

VIII. 対象国内における日本酒の生産数量及び対象国に輸入される外国産日本酒の国別数量

について情報収集を行った。

②調査方法

調査方法は、文献収集及びヒアリングを実施した。

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③調査結果

I. 対象国における日本食の教育の実態及び当該教育での日本酒の取扱いの有無

A) アメリカ

カリフォルニア州にある、昨年度 88 名が卒業している有力な寿司アカデミーのプログラム

には、日本酒に関する教育はまだない35。しかし、ロサンゼルスに創設されたサケ・スクール・

オブ・アメリカは、アメリカ人対象に日本酒の教育をしている。同校は、消費者に興味を持た

せるには、商流を教育しなければならないと考え、14 年 4 月には、ハイエンドなスーパー、ホ

ールフーズ・マーケットから 35 人の従業員を迎えて、歴史、原料、製造法、ラベルの読み方、

試飲セッションに至る集中授業を行った36。

また、日本の食材や食文化を PR するイベントは、相次いで開催されている。アメリカ人シ

ェフなどを対象とした日本食文化講座や、米系スーパーマーケットの店頭での販促活動など、

各種イベントを通じて幅広い層に日本食の浸透を図ることにより、日本産農水産物・食品のア

メリカへの輸出促進を目指している。セミナーを含むイベントでは日本食に合わせて、日本の

飲み物や文化も合わせて紹介されている37。以下に、日本酒とのペアリングの教育という観点

から日本食を教える教育施設を整理するとともに、日本酒を教えるコースを整理する。

図表 14 日本食を教える教育施設

学校名

住所

URL

概要

Breakthrough Sushi

2184 Sutter Street, #217, San Francisco, CA 94115

http://www.breakthroughsushi.com/

サンフランシスコにある寿司教室。2 時間半~3 時間のレッスン、チームビルデ

ィングレッスンなどを提供。パーティなどでイベントとしてのレッスンもあり。

料金は 99 米ドルから。

学校名

住所

URL

概要

California Sushi Academy

11310 Nebraska Ave. #1,Los Angeles, CA 90025

http://www.sushi-academy.com/

ロサンゼルスにある寿司アカデミー。初心者用の 1 回クラスから、プロ養成用の

12 週間コース(250 時間のレッスン+100 時間のインターン)まで幅広く提供し

ている。日本酒クラスを準備中。料金は初心者 1 日レッスンが 80 米ドル、12 週

間のプロ養成講座が 7000 米ドル。

学校名

住所

URL

概要

Food Story

810 S Spring St #1204,Btwn W 8th & E 9th Streets,Los Angeles, California

90015

http://www.ifoodstory.com

ロサンゼルスのダウンタウンにある日本料理教室。メニューごとの 1 回完結型レ

ッスンに加え、地元の鮮魚市場や日本への 5 日間の料理ツアーなども提供してい

る。料金はレッスンにつき 65~85 米ドル。

35 http://www.sushischool.net/pdf/2013_Annual_Report.pdf 36 Sake School of America http://www.sakeschoolofamerica.com/

The New York Times/AFLO 37 ジェトロレポート:平成 21 年度景気対策市場調査不況下における日本産農林水産物の輸出と海外

市場の動向)/JETRO

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学校名

住所

URL

概要

Japanese Cooking Studio

Hunting Hill Drive, Huntington, New York (Metropolitan Area)

https://www.facebook.com

メトロポリタン地区にある日本料理教室。教室および自宅での料理教室の他に、

マナー講座や箸の持ち方レッスンなどを提供している。料金はグループレッスン

1 名 75 米ドルから。

学校名

住所

URL

概要

The Institute of Culinary Education

50 West 23rd Street,New York, NY 10010

http://www.ice.edu

日本料理以外にプロの調理師向けのコースを始め多種多様なレッスンを提供し

ている。カップル向けの寿司作りと日本酒を組み合わせたレッスン、日本の家庭

料理など複数有。料金は 2 名で 250 米ドル。

学校名

住所

URL

概要

De Gustibus Cooking School

Macy's Herald Square,151 West 34th St., 8th Floor, New York, NY 10001

http://degustibusnyc.com

総合的な料理学校において複数の日本料理レッスンを提供しているほか、アメリ

カ各地から日本人講師を招き、ラーメンと日本酒ペアリングのレッスンを開催。

ラーメン&日本酒レッスンの料金は 100 米ドル。

学校名

住所

URL

概要

Sushi on A Roll

1620 National Avenue San Diego,CA 92113

http://www.sushionarollclasses.com

サンディエゴで 22 年続く寿司教室。YouTube での配信も行っている。日本酒と

ともに楽しむ寿司レッスン有。料金は 65 米ドル。

図表 15 日本酒を教えるコース

学校名

住所

URL

概要

Chelsea Wine Vault

Chelsea, Manhattan, 75 9th Ave, At W 16th St, New York, New York 10011

http://www.chelseawinevault.com/

[Tuesday Night Take Out: Sushi & Wine/Sake Pairing]と題して寿司とワイ

ン・日本酒のペアリングレッスンを開催。料金は 45 米ドル。

学校名

住所

URL

概要

Sake School of America (Mutual Trading)

431 Crocker Street, Los Angeles, CA 90013

http://www.sakeschoolofamerica.com

日本酒アドバイザーおよびソムリエの資格取得用コースを提供。焼酎、ビールの

コースや日本の酒蔵を訪ねるツアーも有り。料金はアドバイザーコース 17 時間

で 750~950 米ドル。

学校名

住所

URL

概要

Sake Education Council (JohnGauntner)

未公開。

http://www.sakeeducationcouncil.org/index.php

世界各国で日本酒の専門家を養成するコース、Certified Sake Professional

(CSP)と Advanced Sake Professional (ASP)の 2 種類を提供。イベントとしての

1 回完結レッスンもあり。

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B) イギリス

飲食店等では、その店舗において、お客様に日本酒について語れる人材がいるか否かによっ

て、売り上げが大きく変わることから、流通事業者は、日本酒カタログの作成、日本酒セミナ

ーの開催等により、商流における人材教育を行っている。また、小売店に対して、流通業者の

アフターサービスの一環として、顧客向けの試飲イベントを提供することもある。

また、日本食関係者や日系人材派遣会社に対しては、「どこへ行けば本物の寿司の作り方が習

えるのか」、「日本人の料理人を派遣して欲しい」という問い合わせが年々増加している。しか

し、まだまだ日本料理を教える料理学校は少なく、日系以外のレストランによる料理教室が多

い。ジェトロ・ロンドンセンターが昨年からジャパン・フーディング社と連携し実施している

「すしチャレンジ」も、一般の家庭における寿司および日本食材の普及に大いに貢献するもの

と期待されている。現状ではどうしても寿司のみがクローズアップされ、料理学校などでも寿

司が中心の授業となっているが、一方では「うまみ」という言葉がイギリスでも浸透しつつあ

り、現地の料理人などの和食全般(日本酒も含む)に対する関心も高くなってきた38。以下に、

日本酒とのペアリングの教育という観点から日本食を教える教育施設を整理するとともに、日

本酒を教えるコースを整理する。

図表 16 日本食を教える教育施設

学校名

住所

URL

概要

Atsuko's Kitchen

Ruby: 35 Charlotte Rd, Shoredich, EC2A 3PB (Shoreditch High Street/ Old

Street)

http://www.atsukoskitchen.com

ロンドンのショーディッチで開催。初心者・上級者クラス(各 5 週間)、個人レ

ッスン、自宅・会場での出張レッスン、月毎のイベント型レッスンなど各種提供。

料金は個人 45 ポンド、クラス 5 週間 198 ポンドなど。

学校名

住所

URL

概要

Sozai Cooking Class

5 Middlesex Street, London, E1 7AA (Aldgate)

https://www.sozai.co.uk

一回完結型で寿司、天ぷら、餃子、焼き魚などのレッスンを提供。イベントやレ

ッスン中で日本酒と日本料理のペアリングなどを紹介している。料金は 37.50~

75 ポンド。

学校名

住所

URL

概要

Hashi Cooking

非公開。Wimbledon Park Tube Station (SW19 7HN)より徒歩 1 分。

http://www.hashicooking.co.uk/

メニューに特化したクラスから、初心者・上級者向け、家庭料理コース、プライ

ベートレッスンなどを開催。グルメ寿司&日本酒クラスあり。世界各国でホテル

やレストラン向けの訓練コースも提供。料金は 1 レッスン 75 ポンド、コース 260

ポンドから。

38 ジェトロレポート:平成 21 年度景気対策市場調査不況下における日本産農林水産物の輸出と海外

市場の動向

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学校名

住所

URL

概要

Yuki's Kitchen

21 Harold Road, London, SE19 3PU (Crystal Palace)

http://www.yukiskitchen.com

寿司、ストリートフード、家庭料理などのテーマごとに開催。コースでも 1 回か

らでも受講可能。個人・プロ用のトレーニング、レストラン向けコンサルタント

もあり。料金は、60 ポンドから。

学校名

住所

URL

概要

Suzu

170-172 Hammersmith Road, London W6 7JP (Hammersmith)

http://www.suzuonline.co.uk/cooking-class/

寿司レストランにて寿司レッスンを提供している。鮭のさばき方、包丁の研ぎ方、

子供向け寿司レッスンなどもあり。料金は 35 ポンドから。

学校名

住所

URL

概要

Ikuko's Kitchen

22Woodlands Beverley East Yorkshire HU17 8BX (Yorkshire)

http://ikukoskitchen.co.uk/classes/index.html

イングランドのヨークシャーで開催。巻きずしからお好み焼きまで、メニューご

とに様々なレッスンを提供。デモンストレーション型レッスンもあり。料金は

50 ポンドから。

学校名

住所

URL

概要

JC Sushi Academy

3 Denman Street, London W1D 7HA (Piccadilly Circus)

http://sushi-courses.co.uk/courses

ロンドン、ソーホーにあるラーメン店「Shoryu Soho」にて月 1 の寿司レッスン

を開催。1 クラス 12 名。他にキャラ弁レッスンもあり。料金は 50 ポンド。

学校名

住所

URL

概要

Japanese Ideas

80 Portland Road, Toton, Nottingham, NG9 6EW (Nottingham)

http://japaneseideas.co.uk/index.html

イングランドのノッティンガムにある教室。1 クラス 2~4 人制。寿司、夕食パ

ーティ、ミニ寿司レッスンを提供。自宅などへの出張レッスンもあり。料金はミ

ニ寿司レッスン 20 ポンド、寿司レッスン 2 名 90 ポンドから。

学校名

住所

URL

概要

Your Sushi

10-12 Picton Street, Bristol, BS6 5QA (Head Office, Bristol)

http://www.yoursushi.co.uk/

イギリス国内 9 か所(ロンドン、ブリストル、グラスゴーなど)で寿司クラスを

開催。1 クラス 6~12 人制。寿司職人用コースやコンサルタントもあり。料金は

49 ポンド。職人用コースは 2 日間 1000 ポンドから。

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図表 17 日本酒コース

学校名

住所

URL

概要

Hakkasan グループ、酒の花 in London

23 St. James’s Street, London, SW1A 1HA (Mayfair)

http://sakenohana.com

Wine & Spirit Education Trust (WSET)との提携により、ロンドン、ドバイに

て日本酒コースを開催。また 7 種類の日本酒+1 種類の梅酒の試飲と同レストラ

ンでの寿司ランチを組み合わせた半日マスターコースも独自に開催。料金

学校名

住所

URL

概要

Sake Sommelier Academy

54 Queenstown Road, London SW8 3RY (Clapham)

http://www.sakesommelieracademy.com

初級~上級までの資格コースおよび高級老舗デパート、ハロッズでの試飲クラス

を開催。イギリスだけでなく日本、香港、シンガポールなどでも行っている。

学校名

住所

URL

概要

WSET London Wine & Spirit School

39-45 Bermondsey Street, London SE1 3XF (London Bridge)

http://www.wsetschool.com/which-course/classroom-courses/level3-courses/ws

et-level-3-award-in-sake

世界的にワインその他のアルコール飲料に関する教育を提供している学校。

「WSET Level 3 Award in Sake」コースおよび資格試験を開催。料金は終日 3

日間および事前のオンライン学習で 445 ポンド。

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C) フランス

国家免状を授与する正規教育機関の調理学校で、日本食をカリキュラムに採用しているとこ

ろは今のところない。唯一、フランス商工会議所運営のフェランディ高等料理学校の社会人向

け生涯教育コースで、日本在住経験の長いフランス人教授が実施している研修プログラムが確

認されている(ただし、修了時に国家免状の授与はない)。

国家認定されていない教育機関としては、飲食業界の生涯教育コースを提供する団体に訓練

官として登録し、社会人向けの日本料理研修を行うフリーランス料理人がいるほか、近年、主

にパリで寿司を中心としたアマチュア向け・プロ向けの料理教室が増加している。フリーラン

スの料理人が自宅やレストランで行う個人的な料理教室、私営日本文化センターのカルチャー

教室、日本食情報フリーペーパー運営による料理教室などである。内容は寿司の作り方が中心

だが、天ぷら、茶碗蒸しなど日本料理のバリエーションを増やしたり、魚の扱い方、仕入れの

コツ、日本食文化などのレクチャーを添える場合もある。各教室によってばらつきはあるもの

の、2~4 時間のコースで参加費は約 100 ユーロ(材料費込み)というパターンが多い。

このほか、調理参加型の料理教室ではないが、日本文化の発信基地として設立されたパリ日

本文化会館で定期的に行われる日本食デモンストレーションや食文化講座もあり、人気のコー

スとなっているという。

生徒の多くは 30 歳以上の社会人男女であり、食文化への関心が高く、レストランでの食事や

旅行を通して日本食になじみのある層が大半を占める。プロでは、寿司や刺身をメニューに加

えるなど日本料理のテクニックを学び、自分の料理の幅を広げたいフレンチ・レストランの料

理人のほか、社員食堂など団体食堂の運営者や料理人、日本食レストランの開店を目的に申し

込む人も増えているようだ。プロ向けコースの参加者の多くはフランス人だが、アジア系日本

食レストランの料理人が他店との差別化を目指して研修を受けるケースも増えているという39。

以下に、日本酒とのペアリングの教育という観点から日本食コースが設置されているまたは普

及に向けて連携可能性のある料理学校を整理するとともに、酒を教えるコースを整理する。

図表 18 日本食コースが設置されているまたは普及に向けて連携可能性のある料理学校

学校名

住所

URL

概要

Wasabi

40, rue de Mouzaïa 75019 Paris

www.wasabi.fr/www.chef-sushi.com

2004 年創刊の WASABI とレストラン ZEN および Chef-sushi.com が開催して

いる日本料理教室、一般向けの寿司コースで 1 回の授業料が 55.00 ユーロ(2 時

間)、3 回分の授業料は 150.00 ユーロ、他にプロコース(270.00~400.00 ユーロ

税抜き)もある。

39 ジェトロレポート:平成 21 年度景気対策市場調査不況下における日本産農林水産物の輸出と海外

市場の動向

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学校名

住所

URL

概要

日仏文化センター(Centre Culturel Franco-Japonais :Espace Hattori)

8-10, passage Turquetil 75011 Paris

www.ccfj-paris.org

日仏文化センターで開催している日本料理教室(寿司コース)で、授業は毎週土曜

日(10:00~13:30)で予約が必要。授業料は1回 38.00 ユーロ。

学校名

住所

URL

概要

天理日仏文化協会 (Association Culturelle Franco-Japonaise de Tenri)

8-12, rue Bertin Poirée 75001 Paris

www.tenri-paris.com

天理日仏文化協会で開催している日本料理教室で、授業は毎月(8月を除く)1~2

回土曜日(10:30~13:30)で予約が必要。授業料は会員が1回 35.00 ユーロ、3 回

100.00 ユーロ、非会員が 1 回 45.00 ユーロ。講師は

Mrs.MayumiFUJIWARA。

学校名

住所

URL

概要

パリ日本文化センター(Maison De La Culture du Japon à Paris)

101 bis, quai Branly 75015 Paris

www.mcjp.asso.fr

パリ 15 区の日本文化会館で開催しているアトリエのプログラムの一つに

「Saveurs des Quatre Saisons(四季の味わい)」があり日本料理を紹介してい

る。時間は 1 時間 30 分前後で予約が必要。料金は 1 回 25.00~35.00 ユーロ

学校名

住所

URL

概要

L'Atelier des Chefs

10, rue de Penthièvre 75008 Paris

www.atelierdeschefs.fr

開催日と料理コースの予定表の中から希望するコース(1回完結)を予約す

るシステムで、パリの会場は百貨店のキッチンスタジオなど 6 ヵ所。パリ、リ

ヨン、ボルドー、ナント、リール、ディジョンの 6 都市で開催(フランチャイズ

を含む)。不定期だがアジア料理の中に「寿司と巻物」コースがある、時間は 2

時間で料金は 72.00 ユーロ。

学校名

住所

URL

概要

Sous les Cerisiers(Sakura)

12, rue de Stanislas 75006 Paris

www.souslescersieres.com

パリ 6 区のアトリエ・レストランで開催している日本料理教室(複数のプログラ

ム有り)、寿司コース(飾り巻き寿司とニギリ寿司)は、授業が月 1~2 回(土曜日

10:00~13:00)で予約が必要。授業料は1回 100.00 ユーロ。講師は Ms.Sakura

Franck。

学校名

住所

URL

概要

ABC Cooking Studio

366 ter, rue Vaugirard 75015 Paris

www.abccooking-france.com

日本の ABC Cooking Studio が展開するパリの日本料理教室。

学校名

住所

URL

概要

Kaiseki

7, rue André Lefebvre 75015 Paris

www.kaiseki.com

2001 年に Elisabeth & HisayukiTakeuchi が寿司教室を開始。授業は毎月後半

2 回の土曜日、企業向けの試食を含めたコースと、プロ向けの 1~5 日間コース。

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酒コースのみ実施

学校名

住所

URL

概要

Ecole de Vin

48 rue Baron Le Roy 75012 Paris / Tél : +33 (0)1 43 41 33 94

http://www.ecole-du-vin.fr/fr/formation-professionnelle/formation-sake.htm

1 日初心者向け酒コース:€220。Sake Service Institute より認証済み。次回のコ

ースは 2015 年 3 月 16 日開講。コースでは酒の基本コンセプト、酒の発展史、

スタイルの種類、酒と合う食べ物などについてを網羅予定。

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II. 対諸国の日本酒を扱っているレストランにおける、支払代金に占めるアルコールに支払う

代金の比率に関する調査

A) アメリカ

ジェトロ・ロサンゼルスセンターで行った、ロサンゼルス地区、サンフランシスコ地区、ニ

ューヨーク地区、およびシカゴ地区にある日本食レストランにおいて行ったアンケート結果は

以下のとおりである。

アメリカ人主体の店では通常、アルコール飲料が売上高に占める比率は 21~30%とみられる

40。

図表 19 ディナータイムにおける平均客単価

平均客単価 LA SF NY CHG 合計

$20 以下 4 2 1 1 8

$20-39 12 14 16 6 48

$40-59 7 2 10 4 23

$60-79 7 1 2 1 11

$80-99 3 - 1 - 4

$100 以上 - - 1 - -

小計 33 19 31 12 95

無回答 1 - - - -

合計 34 19 31 12 96

図表 20 売上に占めるアルコール飲料の割合

割合 LA SF NY CHG Total

20%以下 5 (16%) 2 (11%) 15 (48%) 2 (17%) 24 (26%)

21-30% 17 (53%) 12 (67%) 12 (39%) 9 (75%) 50 (54%)

31-40% 8 (25%) 4 (22%) 1 (3%) 1 (8%) 14 (15%)

41-50% 2 (6%) - 2 (6%) - 4 (4%)

51-60% - - - - -

60%以上 - - 1 (3%) - 1 (1%)

小計 32 (100%) 18 (100%) 31 (99%) 12 (100%) 93 (100%)

回答なし 2 1 - - 3

合計 34 19 31 12 96

40 ジェトロレポート:平成 17 年度 米国における日本酒と焼酎の輸出の可能性と市場動向/JETRO

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88

B) イギリス

ジェトロでは、Sake-Awards 2012 への参加者(1,043 人)に対して、日本酒に対する消費者

の意識を把握するため、各自記入(選択式)によるアンケート調査を実施した。ロンドンにお

いて、パブで飲むビールは1杯(1pint≒568ml)で、£3~4 程度で、スーパー等で手に入る

ワインはボトル一本で大体£5 から購入でき、£10 もあればある程度よいワインが購入できる。

そのような中で実際、日本酒に費やしてよいと考える金額はいくらぐらいかについて質問し

た(Q11-A~D)。注目すべきは、レストランにおいて、一ボトルあたり£30~50(約 4,000~

7,000 円)程度払ってもよいとする層が 30%もいるということである。日本酒は高級であり、

高価だがそれだけ支払う価値はあると考えている人々が十分いるということである41。

平成 25 年度「輸出拡大推進委託事業のうち国別マーケティング調査」において、日本食レス

トランの Restaurant KIKUCHI にインタビューした際には、グラス(10,20 ポンドグラス

175ml~最大 43 ポンド)と四合瓶が半々ぐらいで注文されているという。

C) フランス42

パリ市南西に隣接する人口約 11 万人のブローニュ・ビヤンクール市に、2009 年秋開業した

日本食レストラン「四季」は、立地エリア内に勤務または居住するフランス人を中心客層とす

る日本食レストランの成功例の 1 つである。顧客は、アッパーミドル層のフランス人が 9 割(昼

はビジネスマン、夜は家族中心)、日本人が 1 割(週末の家族中心)で、うち半数以上がリピー

ターという。客単価は、25 ユーロ程度になる。夜は、客単価は 40 ユーロ前後(前菜、メイン、

デザート)で、前菜として、すし・刺身または一品物(揚げ出し豆腐、あさりの酒蒸、魚のた

たき等 15 種)をとり、メインに、肉類(味噌カツ、鶏から揚げ、すき焼き、鴨ロース焼きなど)、

デザートに抹茶ティラミスやどら焼きなどをとる顧客が多いという。飲み物は、昼は水、日本

茶、ワインが好まれ、夜はビール、ワインが多く出るとのことである。

パリ市内 18 区、モンマルトル寺院の裏手に拡がる住宅地区に 2007 年秋に開業した日本食レ

ストラン「縁(えにし)」は、地域密着型日本食レストランの成功例の 1 つである。席は 30 席

で(昼食:1.5~2 回転、夕食:1 回転)、すし、天ぷら、海老フライ、トンカツ、すき焼きなど

の定食類(昼食:14~19 ユーロ、夕食:23~26 ユーロ)、うどん定食(昼食:13~15 ユーロ、

夕食:16~17 ユーロ)、丼定食(昼食:14~18 ユーロ、夕食:20~25 ユーロ)を提供してい

る。

アッパーミドル層のフランス人常連客に人気の日本食レストラン「枝魯枝魯(ぎろぎろ)パ

リ」は、モダンかつカジュアルな割烹を提供する。料金は 45 ユーロで、飲み物含め 60~65 ユ

ーロが相場である。

41 ジェトロレポート:英国における日本食及び日本酒に対する消費者意識調査 2012 年/JETRO 42 多様化する日本食レストラン ‐ 本物志向派のフランス人に好まれる日系レストラン/JETRO

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89

III. 対象国におけるアルコール飲料に関する税制・法令・規制(アルコール飲料の定義、酒税

適用区分、清酒の価格形成に影響する諸税、表示、流通、容量規制、包材規制、プロモー

ションに関する規制等)

A) アメリカ

以下、アルコール飲料の現地規制である43。

I. 酒類の輸入・販売にかかわる諸税

アメリカ内での酒類の輸入・販売には、輸入関税、連邦酒税、州酒税、市・郡酒税および

売上税が課される。(2013 年 11 月時点)

(1) 関税分類番号(HS コード)および関税

(2) 関税以外の諸税 :商業貨物関税使用料(Merchandise Processing Fee)や港湾維

持料(Harbor Maintenance Fee)など

(A) 州酒税

(B) 郡・市の酒税および売上税

(C) 連邦酒税

II. 酒類の管理規制

アメリカでは酒類はビール、ワインと蒸留酒に分類され(連邦アルコール管理法(Federal

Alcohol Administration Act:FAA Act))44、日本酒は、内国歳入庁(Internal Revenue

Service:IRS)の内国歳入コード(Internal Revenue Code:IRC)によってビールと同じ

規制を受ける。一方、容器のラベルは FAA Act に基づき、ワインと同じ扱いを受けるとい

う二面性を持っている。すなわち、日本酒には、ビールの規則 27CFR(Code of Federal

Regulations)Part 25 と、ワインの容器ラベルの規則 27CFR Part 4 の 2 つが適用される。

III. 輸入時の規制

(1) 輸入業者の認可

A. 新たに酒類を輸入しようとする者は、財務省のアルコール・タバコ税貿易管理局

(Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau:TTB)に輸入業の申請を行う。こ

の許可取得には、アメリカ内に事業拠点を持つ必要あり。

B. 上記の輸入業許可に加えて、州政府や地方自治体の酒類取扱い許可が必要な場合が

ある。

(2) 食品安全強化施設登録(バイオテロ法)

アメリカに輸入される食品・食料を製造、加工、包装、運送、受領、保管する国内外

の施設は、連邦食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)への登録と

輸入事前報告が義務付けられている(バイオテロ法 305 条)45。

43 アルコール飲料の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出/JETRO 44 http://www.ttb.gov/pdf/ttbp51008_laws_regs_act052007.pdf 45 JETRO「バイオテロ法に関する情報」

http://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/foods/bioterrorism.html

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(3) 酒類容器のラベル

A. アメリカで酒類を輸入しようとする者は、TTB が発行するラベル承認証明書

(Certificate of Labeling Approval:COLA)の交付を受け、輸入基本許可を取得

する。

B. 蒸留酒に区分される焼酎の容器ラベルは、27CFR Part 5 で規定されている。記載

事項は、上記の日本酒とほぼ同じ。

C. すべての酒類に健康についての警告文を記載する必要あり。

(4) 農薬・抗生物質・食品添加物に関する規制

米国に輸入される清酒・焼酎は、米国環境保護庁(EPA)が定める残留農薬の基準を

満たしていなければならない46。また、米国へ輸入される清酒・焼酎には、FDA が使

用を許可した食品添加物に限って使用することができる47 48。

IV. 販売時の規制

1. 食品医薬品化粧品法49による規制

2. 容器の容量規制(蒸留酒やワインは容器の容量が規定されているが、日本酒には適用

されない。)

46 米国連邦規則集第 40 巻 180 条(40CFR180)

http://www.epa.gov/opp00001/regulating/part-180.html 47 使用可能な着色料一覧

http://www.fda.gov/ForIndustry/ColorAdditives/ColorAdditiveInventories/ucm106626.htm 48 添加物一覧(着色料以外)

http://www.fda.gov/Food/IngredientsPackagingLabeling/FoodAdditivesIngredients/ucm091048.

htm 49 http://www.fda.gov/regulatoryinformation/legislation/federalfooddrugandcosmeticactfdcact/

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B) イギリス

以下、アルコール飲料の現地規制である。

I.輸入許可・ライセンス等規制

1. 輸入許可

2. 小売販売業ライセンス

II.ラベル表示

ラベルはイギリス英語でなければならない。

外装に標準含有アルコール量を記載する。

食品情報規則 2014 年(The Food Information Regulations 2014)50が、食品全般の表

示義務を規定しており、食品規格庁(Food Standard Agency:FSA)が酒類の表示基

準ガイドラインを定めている。これらは、EU におけるアルコールラベルの規制

(Commission Directive 87/250/EEC of 15 April 198751:後述の「EU における規制」

参照)にも準拠している。

III. 容量規制

2007 年 10 月欧州議会・理事会指令 2007/45/EC により、製品の容量・サイズ規制を、

ワインおよび蒸留酒を除く事前包装されたすべての製品で廃止。

2012 年 1 月から容量規制がさらに緩和され、日本酒の場合、醸造アルコールの添加、

非添加にかかわらず、また、アルコール度数 22%以下であれば、度数に関係なく日本酒

であれば容量は問われないという見解がとられている(後述の「EU における規制」参

照)。

IV.包装規制

イギリスでは、EU における規制とは独自のアルコール飲料包装に関する規制がある(後

述の「イギリスにおけるネーミング、外装、広告に関わる規制等について」参照)。

V .諸税

(1) 関税

イギリスの関税は EU 共通関税に準拠。

(A) 日本酒(Sake)

-アルコール非添加酒

a.2 リットル以下の容器(CN コード 2206.00.59.00)

7.7 ユーロ/100 リットル

b.2 リットルを超える容器(同 2206.00.89.00)

5.76 ユーロ

- アルコール添加酒

a.2 リットル以下の容器(CN コード 2208.90.91)

50 http://www.legislation.gov.uk/uksi/2014/1855/contents/made 51 http://www.euissuetracker.com/en/eu-legislation/1389/labelling-alcohol-strength

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1 ユーロ×%vol./100 リットル+6.4 ユーロ/100 リットル

b.2 リットルを超える容器(同 2208.90.99)

1 ユーロ×%vol./100 リットル

(B) 焼酎等

焼酎(2208.90)は無税

(2) 酒税(物品税)

a.アルコール度数 5.5%超、15%以下の日本酒

273.31 英ポンド/100 リットル

b. アルコール度数 15%超、22%以下の日本酒

364.37 英ポンド/100 リットル

c. アルコール度数 22%超の日本酒

2,822 英ポンド/純アルコール 100 リットル

d.蒸留酒(焼酎)およびこれらを使ったリキュール

2,822 英ポンド/純アルコール 100 リットル

(3) 付加価値税(VAT):20%

VI.輸入時の規制

日本酒をイギリスに輸入するための特別なライセンスは必要ない。他の食品やアルコー

ル飲料を輸入する一般的な手順で日本酒も輸入できる。いったん輸入された日本酒を販

売するには、ライセンスが必要となる。

VII. 卸売時・販売時のルール

(1) 卸売業者に対する新ルール

2015 年 10 月 1 日から、イギリス拠点のアルコール卸売業者(既存、新規とも)はすべ

て登録が必要となる。新しい Finance Bill 2015 legislation52のもと HMRC の承認を得

なければならない。承認なしで取引、販売した場合には新規の罰則が適用される。

アルコールの卸売業者と小売業者は登録業者からのみアルコールを購入することが義

務付けられる。

(2) 販売時のライセンス

イギリスでアルコールを販売するためには、地域行政が発行するライセンスが必要であ

る。ライセンスタイプには次の 4 通りがある。

ⅰ Premises licence

継続的にアルコールを販売・供給する企業または団体が対象。

ⅱ Personal license

アルコールを販売・供給する個人が対象。このライセンスを取得すると、Premises

52

https://www.gov.uk/government/publications/finance-bill-2015-draft-legislation-overview-docume

nts

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licence か Club premises certificate を保持する企業の代わりにアルコールを販売

することが可能となる。

ⅲ Club premises certificate

Royal British Legion や 労働者クラブ、ラグビークラブなどのメンバーズクラブ

は、アルコールを販売する予定がある場合にはライセンスを取得する必要がある。

ⅳ Temporary event notice

一時的にアルコールを販売提供しようとする個人が対象。

既に国際取引に携わっておりエコノミックオペレータ登録をして ID番号(EORI)を取得

している企業は、任意でイギリス歳入関税局に認可エコノミックオペレータとしての登

録ができ、税関手続きを簡易化することができる。

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イギリスにおけるネーミング、外装、広告に関わる規制等53について

イギリスのアルコールの広告に関するルールは世界で最も厳しく、アルコール広告と人々の

飲酒に対する考え方に関連性があるとのエビデンスに基づいている。若者を守ることを強調し、

若者文化に影響を与えたり、アルコールを無責任な行動や社会的・性的な魅力と結びつけるこ

とで、18 歳以下をターゲットにしたり、彼らにアピールするようなことをしてはいけない。

この広告ルールは、すべてのメディアが対象で、2005 年に顕著に厳しくなり、2009 年に再評

価され、公の協議の対象となった。

2013 年 12 月に Broadcast Committee of Advertising Practice54は TV 広告に関する新しい

ガイドラインを発表し、TV 局がアルコール広告を排除すべき番組を判断する際の基準を明確化

した。

イギリスのネーミング、外装、広告に関わる規制機関(例)は以下の通りである。

図表 21 ネーミング、外装、広告に関わる規制機関

規制機関名 担当領域

The Advertising

Standards Authority (ASA)

TV や映画を含む広告に関する独立系の規制機関であり、UK

広告コード(ノンブロードキャスト広告、販売促進、ダイレ

クトマーケティング、およびブロードキャスト広告)を通じ

て業界を統制している。

Ofcom テレビラジオ部門の規制機関で、Communications Act 2003

により国会への説明義務を負っている。2004 年から ASA に

日常的業務を外注しているが、TV 番組スポンサーシップに

関する規制は引き続き担当している。

Portman Group 英国のアルコール業界の半数以上55が参加する NPO であり、

アルコール市場全体を取り締まる自主規制団体である。ネー

ミング、包装、広告等のルールを運用しており、このルール

は ASA や Ofcom が規制していない市場のアルコールすべて

に適用される。

53 The Portman Group / Code of Practice on the Naming, Packaging and Promotion of Alcoholic

Drinks

http://www.portmangroup.org.uk/codes/alcohol-marketing/code-of-practice/code-of-practic 54 http://www.cap.org.uk/About-CAP/Who-we-are/Our-committees.aspx#.VRpTUTuCgcA 55 http://www.portmangroup.org.uk/about

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イギリスでは、上述の Portman Group によって、1996 年にアルコール飲料のネーミング、

包装、販促につての実施規則56が導入されている。この規則は、飲料業界の自主規制アプロー

チであり、ある製品がこの規則に抵触しているのが見つかれば、Portman Group がアクション

を取るものの、法的な権利はない。

主な規則は次の通り:

(1) 飲料のアルコール特性が包装上ではっきりと伝わらなければならない、つまり、アルコ

ールが入っているという事実が包装を見て明確で明瞭でなければならない。

(2) 直接的にも間接的にも、飲料、その包装、その販促材料は:

(a) アルコール度数が高いことや酔う効果などを不適当に強調してはならない。同様の飲

料の平均よりアルコール度数が低い場合は、割合を使って強調してもよい。事実に基づ

くアルコール強度の情報が提供されること。「比較して」強調することができる。

(b) いかなる団体にも、尊大に勇気を誇示するような行動、または、暴力的、過激、危険、

反社会的な行為を提案してはならない(モーターレース、ヨットレースなど、アルコー

ル摂取の後では危険になりうるアクティビティのスポンサーになること自体は規則違

反ではない);

(c) いかなる団体にも、違法薬物を受け入れるよう、またはそれをほのめかず提案をしては

ならない;

(d) いかなる団体にも、性的な活動性または性的な成功について提案してはならない;

(e) 飲料を摂取することで社会的成功や人気がでることなどを提案してはならない;

(f) 飲酒運転や、無茶飲み、酩酊など、違法なまたは無責任、過度な摂取を推奨してはなら

ない;

(g) 消費者に急いで飲ませたり一気飲みをさせることを促してはならない;

(h) 18 歳以下の若者に向けて特別なアピールをしてはならない(スポンサーになる場合、

18 歳以下が参加者、観客、来場者の 25%を超えてはならない);

(i) 25 歳以下の、またはそう見える人物が、飲酒をしていたり特別な役として扱われている

画像を使用してはならない。人が副次的な内容で映っている画像は使う事ができる;

(j) 製品が、健康増進または、精神的や体力的な増強効果があると提案してはならない.

この規則は、ラベルに関するベストプラクティスガイドラインを含んでいる。このガイドラ

インの内容は、UK -The Code of Practice on the Naming, Packaging and Promotion of

Alcohol57で提示されている。

56 http://www.portmangroup.org.uk/docs/default-source/default-document-library/code_of_practice

_fifth_edition.pdfsfvrsn=2 57 The Portman Group / Code of Practice on the Naming, Packaging and Promotion of Alcoholic

Drinks

http://www.portmangroup.org.uk/codes/alcohol-marketing/code-of-practice/code-of-practic

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また、企業が規則に違反していると思われる時は、独立苦情処理委員団 (Independent

Complaints Panel)に申し立てる。委員団は申し立てを調査し、企業が違反していると判明した

ときは、 次の措置を取る。ただし、この限りではない:

• 改善までのスケジュールを含む書面での違反通知

• 小売店に対して、商品を置かないことと今ある違反商品の廃棄を求める通知

• 関係政府当局への通知、食品ラベル規則 1886(Food Labelling Regulations )などによ

って告訴することもある

さらに、近年では、イギリスのアルコール企業が、ネーミング、外装、販促の実務規定58の運

営を Portman Group が行うこととなり、アルコールのラベルと容器に「責任ある飲酒」につ

いてさらに情報を提供する画期的な健康ラベルスキームを実施するとされている。この自主的

なスキームは欧州では初めてのことで、イギリス保健省との協力で進められた。飲料会社は

2013 年 12 月末までに 80%の飲料の容器に、アルコール含有量(現在英国では義務化)、医務

部ガイドラインと妊娠に関する警告を表示することとなった。

58 The Portman Group / Code of Practice on the Naming, Packaging and Promotion of Alcoholic

Drinks

http://www.portmangroup.org.uk/codes/alcohol-marketing/code-of-practice/code-of-practic

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C) フランス

以下、アルコール飲料の現地規制である。

I.輸入許可・ライセンス等規制

(1)輸入ライセンス

(2)小売販売業ライセンス

アルコール飲料を輸入販売するには、飲料小売業(débitant de boissons)または認可倉

庫業(entrepositaire agréé de boissons)のいずれかのステータスが必要(租税一般法典

302G 条)。飲料小売業には小売形態と、販売する飲料に対応したライセンス制度で 5 つの

グループに分類される(公衆衛生法典 L3321-1 条)。

a. 第 1 グループ :ノンアルコール飲料(炭酸水、ジュース、コーヒー、茶など)

b. 第 2 グループ :ワイン、ビールなど

c. 第 3 グループ:リキュールなど

d. 第 4 グループ :ラム酒、果物を蒸留したアルコール飲料など

e. 第 5 グループ :その他のアルコール飲料(日本酒・焼酎を含む)

II.ラベル表示

(1) 表示に関する規定

消費法典(R112-9 条)に基づき、以下の記載が義務付けられている。いずれもフラン

ス語で、消費者が読みやすい大きさで表示すること。また、消費者が誤認するおそれ の

ある表示、疾病予防や効能などを表示することは禁止(同 R112-7 条)。

(2) アレルギーに関する表示規定

アルコール度数 1.2%以上の飲料については、アレルギー表示規則が適用される。

(3) その他の表示規定

妊娠中の飲酒に対し以下の警告文(あるいは所定の絵表示)を掲載する必要あり。

III. 容量規制

2007 年 10 月欧州議会・理事会指令 2007/45/EC により、製品の容量・サイズ規制を、

ワインおよび蒸留酒を除く事前包装されたすべての製品で廃止。

2012 年 1 月から容量規制がさらに緩和され、日本酒の場合、醸造アルコールの添加、

非添加にかかわらず、また、アルコール度数 22%以下であれば、度数に関係なく日本酒

であれば容量は問われないという見解がとられている(後述の「EU における規制」参

照)。

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IV.諸税

(1) 関税

フランスの関税は EU 共通関税に準拠。CN コード分類上では、容器の容量が 2 リット

ル以下と 2 リットル超に分けて記載されており、関税率が異なることに注意。

(A) 日本酒(Sake)

-アルコール非添加酒

a.2 リットル以下の容器(CN コード 2206.00.59.00) 7.7 ユーロ/100 リットル

b.2 リットルを超える容器(同 2206.00.89.00) 5.76 ユーロ

- アルコール添加酒

a.2 リットル以下の容器(CN コード 2208.90.91) 1 ユーロ×%vol./100 リットル+6.4

ユーロ/100 リットル

b.2 リットルを超える容器(同 2208.90.99) 1 ユーロ×%vol./100 リットル

(B) 焼酎等

焼酎(2208.90)は無税

(2) 酒税(物品税)

a. アルコール度数 1.2%超、15%以下の日本酒(アルコール非添加)3.60 ユーロ/100l

b. アルコール度数 15%超、22%以下の日本酒(アルコール非添加) 180.00 ユーロ/100l

c. アルコール度数 1.2%超、22%以下の日本酒(アルコール添加)180.00 ユーロ/100ld.

蒸留酒(焼酎)およびこれらを使ったリキュール 1,660 ユーロ/純アルコール 100l

(3) 付加価値税(VAT):20%

(4) アルコール飲料税(アルコール度数 25%超) :130 ユーロ/100 リットル

(5) 特別税(アルコール度数が 1.2~12%の飲料) :11 ユーロ/純アルコール dl

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EU における規制について

以下は、EU におけるラベル及びパッケージに関する規制である。

EU での食品と飲料のラベルとパッケージはいくつかの package of Directives で規定さ

れており、一部は全般に適用するが、特定の製品にしか適用しないものもある。イギリスで

も、EU でのアルコールのラベル規制の要件に準拠している。

規制名

- Commission Directive 87/250/EEC of 15 April 198759

最終消費者向け販売用アルコール飲料のラベルにアルコール度数を表示する指示60.

- Directive 2000/13/EC of the European Parliament and of the Council of 20 March 2000

食物のラベル、表示、広告に関する加盟国の法律61 (and amending acts62).

-Directive 2007/45/EC Of the European Parliament and of the Council of 5 September

200763

あらかじめ容器詰めされた製品の内容量記載について規定

ラベルに含むべき情報

製品の販売名:

商標またはブランド名を一般名として表示してはならないが、一般名に追加するこ

とはできる。

あらかじめ包装された飲料の正味数量をメーター法で表示(リットル、センチリッ

トル、ミリリットル)

アルコール強度に関する指示

容量で 1.2%を超える飲料のラベルには容量での実際のアルコール強度を表示しな

ければならない。例えば alcohol や略語の alc.の後に% vol と表示する。

最小耐久期限 Date of minimum durability:

日、月、年で構成し、その前に"best before," "best before end,"腐敗しやすいもの

には "use by"と記入する

保存や使用方法についての条件があれば記入

製造者、包装者、イギリスへの輸入者の名前

原産地

必要な場合は使用上の注意

あらかじめパックされた飲料にはロットマーク、頭に「L」をつける

59 http://www.euissuetracker.com/en/eu-legislation/1389/labelling-alcohol-strength 60 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/;ELX_SESSIONID=cX8jJ0mp9sBwGkvjngl

xWzyg1WJWnLtPTyjsLvFvN8cvmn1hnq2b!-970489225?uri=CELEX:31987L0250

61 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32000L0013

62 http://europa.eu/legislation_summaries/consumers/product_labelling_and_packaging/l2109

0_en.htm#amendingact

63 https://www.fsai.ie/uploadedFiles/Dir2007_45.pdf

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100

以下は、EU における容量に関する規制である。

規制名

According to the Commission Directive 87/250/EEC64

容量によるアルコール強度の指示(アルコール強度表示の許容誤差)

5.5% vol 未満のビール、22.07 B II of the Common Customs Tariff に該当かつ葡萄

からつくられている飲料に対しては 0.5% vol.

5.5 % vol. 以上のビール、22.07 B I of the Common Customs Tariff に該当かつ葡

萄から作られている飲料:ciders, berries, fruit wines, and the like、はちみつを発

酵している飲料に対しては 1% vol.

柔らかくなった果実や植物を含む飲み物に対しては 1.5 % vol.

その他の飲料に対しては 0.3 % vol.

ワインのラベリング

一か所に次の表記があること(ボトルをひっくり返さず見える)

※ただし、輸入者の情報、ロット番号、アレルギー表示を除く

Wine of "(country name)"

Actual alcoholic strength

Nominal volume

Lot number

Importer details

o 輸入者名、行政地域名、加盟国名が"Importer"または "Imported by"の後に

表示されること

- アレルギー表示(亜硫酸塩を含むワインの場合):

※原産地域のないワインはワインのタイプやビンテージを表示してはならない。原産地域を

法定しているワインのみがそれらを表示できる。

※アレルゲン情報は英語で表示されなければならないが、それ以外は EU の公用語の 1 つ以

上で表示できる。

64 http://faolex.fao.org/docs/pdf/den108120.pdf