製図（TPD＋GPS）および3D製図規格（DTPD）に関する国際規格（ISO）とJISの

最新動向

金田 徹 （関東学院大学理工学部 教授）

ISO/TC10国内対策委員会委員長

ISO/TC213国内対策委員会グループA主査

3D製図（3D-DPD）に関するJIS原案作成委員会委員長

2014年8月7日（木）

製図（TPD+GPS）の最新動向

ISO/TC10およびISO/TC213が取り扱う範囲

ISO/TC10： Technical Drawing（製図）から Technical

Product Documentation (TPD; 製品技術文書情報) へ

ISO/TC213： Geometrical Product Specifications and

verification (GPS; 製品の幾何特性仕様)

TPD+GPS=TPS

JISハンドブック 製図 2013

収容JIS数： 95件（製図関連JIS件数： 185件）

ISO/TC10関連国際規格数： 144件ISO/TC213関連国際規格数： 119件（合計263件）

経済産業省のJIS化に関する方針

(1)基本的には、日本の工業界の現状や必要に応じて、一つの

国際規格に対応する一つの国家規格を制定

(2)IDT状態： JIS内容＝ISO内容、MOD状態： JIS内容＝ISO内容

を修正、NEQ状態＝ISO内容と等しくない

（修正内容は、本文中に明示され、附属書でも記述される）

(3)「解説」にも、審議中の重要事項が記述されている。

（ハンドブックには記載されず、規格そのものの購入を促進）

(4)規格までとはいかないが、TS（Technical Specification：技術仕

様書）、TR（Technical Report：技術報告書）という状態の内容

もある。

(5)国際規格の和訳版、国家規格の英訳版の販売（日本規格協

会扱い）

特例の一つ JIS B 0001:2010 機械製図 対応国際規格ISO 128 series Technical drawings – General principles of presentation

ISO 128-20 Basic conventions for lines

ISO 128-24 Lines on mechanical engineering

ISO 128-30 Basic conventions for views

ISO 128-34 Views on mechanical engineering drawings

ISO 128-40 Basic conventions for cuts and sections

ISO 128-44 Sections on mechanical engineering drawings

ISO 128-50 Basic conventions for representing area and cuts

ISO 129series Technical drawings – Indications of dimensions and tolerances

ISO 129-1 General principles

ISO 129-2 Dimensioning of mechanical engineering drawings

ISO 5455 Technical drawings -- Scales

ISO 5456 series Technical drawings – Projection methods

ISO 5457 TPD – Sizes and layout of drawing sheet

ISO 13444 TPD – Dimensioning and indication of knurlingなど…

ISO/TC10 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(1)WG16(3D models, presentation of product definition data)：ISO 16792 Technical product documentation -- Digital product definition

data practices

3D-CAD利用が前提の図示規格（理想的な図示内容かもしれないが、現実的な3D-CADソフトウェアでの実現性の観点で問題がある。日本では、現在、「3D製図」規格原案で、その問題を解決する内容を審議・検討中である。いずれ、国際規格提案を計画している。

ISO/TC10 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(2)WG19(Harmonization of ISO 129 and ISO 128)：ISO 128 series Technical drawings – General principles of presentation

ISO 129 series Technical drawings – Indications of dimensions and

tolerances

それぞれのシリーズは、あまりにも多くのパートに分かれており、ユーザにとって、利便性が高くない。規格を揃えるのにも高くつく。可能な限り少ないパート数になるように、内容を精選・統合しようとしている。

ISO/TC10 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(3)WG20(Documentation for design for manufacture, assembly, disassembly

and end-of-life processing)：ISO WD 8887-1 Documentation for design for MADE(Manufacture,

Assembly, Disassembly and End-of-life processing)

この規格のベースは、BS 8887である。経済的な製品開発のためのもの。BS 8887の一部に、ドキュメンテーション以外の設計プロセス（TC10以外の管轄、IEC/TC111およびISO/TC207の管轄）のことが含まれていたので、国際規格原案からは当該部分は削除された。

ISO/TC10 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(4)SC6/WG12(Mechanical engineering documentation –

General requirement of digital mock-up for mechanical products)

ISO/DIS 17599 General requirement of digital mock-up for mechanical

products

ディジタルモックアップ（DMU）に関する総則的な内容。日本においては、DMUは、各社の戦略的な性質を持つものなので、規格化・標準化にはそぐわないという反対意見を表明したが、他国の賛成によって、審議が進んでいる。2014年中か2015年内には、発行される見通し。DMUを広義に捉えている。日本としては、DMUを狭義にとらえている。

ISO/TC10 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(5)SC6/WG13(Edge)

ISO/WD 13715:2000 Edges – Vocabulary and indications

コーナー部の形を定めないで、形状が許される領域に関する規定ISO/CD 18388 Relief grooves – Types and dimensioning

逃げ溝に関する規定

(6)SC6/WG14(Simplified dimensioning)

ISO 129-6 Simplified dimensioning for mechanical engineering drawings

CAD作業を考慮すると、さらなる手間になる場合もあるので留意している。他国も、現状以上の簡略化は不要という意見を持っている。

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(1)WG17(Facilitation of GPS implementation)

GPS（製品の幾何特性仕様）関連の規格を普及を検討している。

WG17で作成されたデモ用のプレゼンテーションファイル

“GPS_presentation.pdf” を参照ください

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(2)WG2(Datums and datum system)

ISO/WD 5459 : 2011 (GPS) (GPS) (GPS) (GPS) -------- Geometrical Geometrical Geometrical Geometrical tolerancingtolerancingtolerancingtolerancing -------- DatumsDatumsDatumsDatums

and and and and datum datum datum datum systemssystemssystemssystems（JIS B 0022:1984 幾何公差のためのデータム）

ISO内容とJIS内容との乖離が激しい状態である。データムを決めるための当てはめ基準のデフォルトが、「L1ノルム」という手法に決まりそうである。もちろん、デフォルト以外の基準を適用することも可能。また、形状を測定するためのフィルタのデフォルト基準の審議も進んでいるが、なかなか決まらない。

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(3)WG12(Size)

ISO/DIS 3040 : 2009 Dimensioning and tolerancing – Cones

（JIS B 0028:1984 寸法及び公差の表示方式－円すい）

ISO内容とJIS内容との乖離が激しい状態である。

ISO 14405-1:2010 Linear sizes（JIS原案審議中 「長さに関するサイズ」）ISO 14405-2:2011 Dimensions other than linear sizes

ISO/FDIS 14405-3 Angular sizes（JIS化予定 「角度に関するサイズ」）

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(3)WG12(Size)

エッジ（形体が急激に変化する部分、しかし現実的な観点やミクロな視点では連続している）に関する議論。TC10管轄のISO 13715 Edgeにも関連するので、TC10とTC213とのJWGで調整が必要。

Partitioning（形体の分割）に関する議論。エッジの議論にも関連する。

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(4)WG14(Vertical GPS principle)

ISO 17450-1: 2011 General concept -- Model for geometrical

specification and verification

ISO 17450-2: 2012 Basic tenets, specifications, operators, uncertainties

and ambiguities

ISO 17450-3 Toleranced features

ISO 17450-4 Geometrical characteristics

以上は、GPS原理に関する内容で、現場の技術者向けではない。ISO/CD 18391 Population specification

測定値を統計処理する規定。Decomposition of geometrical characteristics for manufacturing control

製造過程の管理・制御のための幾何特性の分解

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）(4)WG14(Vertical GPS principle)

GPSの大元の規格 ISO 1101：2012 Geometrical tolerancing –

Tolerances of form, orientation, location and run-out の審議（大改訂）が進んでいるという背景から、 ISO 17450シリーズの内容は、ISO 1101の附属書に含めるべきという日本の意見は通らなかった。なお、JIS B 0021：1998 幾何公差表示方式－形状、姿勢、位置及び振れの公差表示方式 と、ISO 1101: 2012の内容（3D表示）にも、大きな乖離がある状態。

ISO/CD 18391の統計的な仕様に関する内容や、図示的には一つの値でしか仕様が表現されていても、それが形状偏差・姿勢偏差・位置偏差の3つに分けたときにそれぞれがどの程度寄与しているかを明確にして、製造プロセスにフィードバックしようという内容。

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(5)WG18(Geometrical tolerancing)

ISO 1101: 2012 Geometrical tolerancing – Tolerances of form,

orientation, location and run-out の追補内容および大改訂。対応するのは JIS B 0021: 1998 とか JIS B 0621: 1984

ISO 1660:1987 Dimensioning and tolerancing of profiles の大改訂。対応するのは JIS B 0027: 2000 輪郭の寸法及び公差の表示方式。

ISO 5458: 1998 Positional tolerancing の大改訂。対応するのは JIS B 0025: 1998 位置度公差方式。

ISO/TC213 現在審議中の規格原案内容（機械関係）

(5)WG18(Geometrical tolerancing)

ISO 2768-1: 1989 General tolerances – Tolerances for linear and angular

dimensions without individual tolerance indicationsの審議。対応するのは JIS B 0405:1991 個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差

ISO 2768-2: 1989 General tolerances – Geometrical tolerances for

features without individual tolerance indicationsの審議。対応するのは JIS B 0419:1991 個々に公差の指示がない形体に対する幾何公差

ISO GPS規格（図示関係）に関する日本の方針

イギリスが BS 8888:2013 Technical product documentation

and specification が、文字通りTPDとGPSを統合した規格を制定

した。その背景はこの通り。

日本の現状からすると、現実的な側面では不要な（？）内容の

規格は採用せず、海外との取引を考えたときに最低限必要かつ重要なものを精選して、GPS（図示）に関する統合規格を制定す

る計画がある。規格ユーザの利便性、教育・訓練・普及のしやすさの観点もある。対象となるJIS：B 0621、B 0021、B 0022、B 0023、B 0024、B 0025、

B 0026、B 0027、B 0029 などの内容を精選し、国際規格内容に準拠しつつ、統合化

“BS_8888_overview.pdf” を参照ください

TC10及びTC213関係のJIS制定・改定の予定（2013～2014年度）

(1)ISO 14405-1:2010 Geometrical product specifications (GPS) – Dimensional

tolerancing – Part 1: Linear sizes のJIS制定 「製品の幾何特性仕様（GPS) －公差表示方式－第1部：長さに関わるサイズ

(2)ISO 14405-3 Geometrical product specifications (GPS) – Dimensional tolerancing –

Part 2: Angular sizes のJIS制定 「製品の幾何特性仕様（GPS) －公差表示方式－第3部：角度に関わるサイズ

(3)JIS B 0401-1: 1998 寸法公差及びはめあいの方式－第1部：公差、寸法差及びはめあいの基礎JIS B 0401-2: 1998 寸法公差及びはめあいの方式－第2部：穴及び軸の公差等級並びに寸法許容差の表（ISO 286-1:2010及びISO 286-2:2010に対応する改定）

TC10及びTC213関係のJIS制定・改定の予定（2014～2015年度）

(4)JIS B 0612:2002 円すいのテーパ比及びテーパ角度の基準値ISO 1119: 2011 にIDTとする改定

(5)JIS B 0028: 2000 寸法及び公差の表示方式－円すいISO 3040: 2009 にIDTとする改定

そのほかに、CAD関係として次の規格があるが、2D-CADが主流の時代の内容であるので、検討がいずれ迫られるものと思われる。

JIS B 3401: 1993 CAD用語JIS B 3402: 2000 CAD機械製図JIS B 3410: 1996 プロッタ用語JIS Z 8321: 2000 製図－表示の一般原則－CADに用いる線

ISO 14405-1:2010 Geometrical product specifications (GPS) – Dimensional

tolerancing – Part 1: Linear sizes のJIS原案から

製品の幾何特性仕様（GPS) －公差表示方式－第1部：長さに関するサイズ

規定事項・長さに関わるサイズの標準指定演算子・“円筒”・“相対する平行二平面”の二つのサイズ形体の長さに関わる・サイズに対する特別指定演算子・長さに関わるサイズのための指定条件と図示方法

サイズと寸法

・規格の中での混用

・寸法が関係する「はめあい」にも、「公差域」が定義され、幾何公差

の定義の中にも「公差域」

・公差といえば、「寸法公差」となる背景

・幾何公差が、副次的な扱いとされてきた背景

現状の打破のため、幾何公差は重要（もちろん寸法公差も重要）と

いうことから、従来から二点間測定（相対する平行二平面と円筒）で決まるものを、「サイズ」と統一する方針。

modifier：指定条件、operator：演算子

長さに関わるサイズ (1) 局部サイズ

長さに関わるサイズ (2) 全体サイズ

長さに関わるサイズ (3-1) 算出サイズ

d＝L/π

長さに関わるサイズ (3-2) 算出サイズ

d＝（4A/π）

1/2

長さに関わるサイズ (3-3) 算出サイズ

d＝（4V/Lπ）1/2

長さに関わるサイズ (4) 順位サイズ

・最大サイズ・最小サイズ・平均サイズ・中央サイズ・中間サイズ・範囲サイズ

具体例（10個の直径測定値）20.045mm，20.032mm，19,998mm，20,012mm，19,986mm，20,003mm，20.005mm，19.993mm，20,010mm，19.897mm

最大サイズ＝20.045mm

最小サイズ＝19.897mm

平均サイズ＝19.9981mm

中央サイズ＝19.0075mm（この場合は，得られた値に一致する値ではない）

中間サイズ＝19.971mm

範囲サイズ＝0.148mm

ISO標準指定演算子

図示標準指定演算子

特別指定演算子(1)

特別指定演算子(2)

特別指定演算子(3)

特別指定演算子(4)

特別指定演算子(5)

特別指定演算子(6)

TPSに関する2Dと3Dの対応ISO/DIS 1101

ただし、2004年版に補則追加作業と2012年版を改訂作業とが同時進行

3D製図 国際規格ISO/FDIS 16792: 2012

ISO 1101: 2012から 表1 幾何特性のシンボル

2Dと3Dの図示（ISO 1101: 2012から）

2Dと3Dの図示（ISO 1101: 2012から）

2Dと3Dの図示（ISO 1101: 2012から）

2Dと3Dの図示（ISO 1101: 2012から）

2Dと3Dの図示（ISO 1101: 2012から）

ISO 1101: 2012から

記述記述記述記述 シンボルシンボルシンボルシンボル

Median feature

Unequally disposed tolerance zone UZ

Line element LE

Not convex NC

Any cross section ACS

Direction feature

Collection plane

Intersection plane

Orientation plane

表2 追加シンボル

Median featureの図示例（ISO 1101: 2012から）

Unequally disposed tolerance zoneの図示例

Line elementの図示例（ISO 1101: 2012から）

Not convex（中高を許さない、凸状を許さない）の図示例

Any cross sectionの図示例（ISO 1101: 2012から）

Direction featureの図示例（ISO 1101: 2012から）

Collection planeの図示例(1)・Intersection planeの図示例(1)

Collection planeの図示例(2) （ISO 1101: 2012から） ３

Intersection planeの図示例(2) （ISO 1101: 2012から）

Orientation planeの図示例(1) （ISO 1101: 2012から）

Orientation planeの図示例(2-1) （ISO 1101: 2012から）

Orientation planeの図示例(2-2) （ISO 1101: 2012から）

データム記号の表示(1) （ISO 1101: 2012から） ３

データム記号の表示(2) （ISO 1101: 2012から）

データム記号の表示(3) （ISO 1101: 2012から）

データム記号の表示(4) （ISO 1101: 2012から）

データム記号の表示(5) （ISO 1101: 2012から）

公差付き形体（限定領域）(1) （ISO 1101: 2012から）

公差付き形体（限定領域）(2) （ISO 1101: 2012から）

製品定義データセット（ISO/FDIS 16792: 2012から）

製品定義データセットの内容

・モデル・変更履歴・製図・部品一覧・材料、表面仕上げ、表面処理・注記・解析データ、検査データ・印刷物

モデルの内容（ISO/FDIS 16792: 2012から）

モデル

アノテーション

設計モデル

アトリビュート

幾何要素

補足幾何形状モデル幾何

座標系（ISO/FDIS 16792: 2012から）

右手座標系

RGBの順にXYZ

ビュー(1)モデル切断面（ISO/FDIS 16792: 2012から）

右手座標系

RGBの順にXYZ

ビュー(2)オフセット断面（ISO/FDIS 16792: 2012から）

右手座標系

RGBの順にXYZ

厚さ指示（ISO/FDIS 16792: 2012から）

右手座標系

RGBの順にXYZ

アノテーション(1)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

すべてのアノテーションが

表示されたモデル

アノテーション(2)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

選択されたアノテーション

のみが表示されたモデル

関連付けの照会(1)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

寸法公差に関連付いて、ハイライト

関連づいている形体パターンをハイライト

関連付けの照会(2)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

軸中心に関連している形体の照会

データムの照会（ISO/FDIS 16792: 2012から）

TED（ISO/FDIS 16792: 2012から）

寸法表記(1)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

寸法表記(2)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

寸法表記(3)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

逃げ

段差

そのほか(1)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

逃げ

段差

そのほか(2)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

逃げ

段差

そのほか(3)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

逃げ

段差

溶接記号(1)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

溶接記号

溶接記号(2)溶接パスの照会（ISO/FDIS 16792: 2012から）

溶接パスの照会

表面性状(1)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

表面性状(2)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

表面性状(3)（ISO/FDIS 16792: 2012から）

3D製図規格（DTPD）の最新動向

参考になる書籍の一例

(1)金田徹：3Dで変わるものづくりの世界、日本規格協会、2014

デジタル製品技術文書情報（DTPD）制定の趣旨

製品をデジタル形式の情報で表現することで，従来に比して精度よく，明確に，効率的に，その情報の作成者と使用者との間で確実に伝達させる。

要件要件要件要件（（（（a）））） 製品開発の効率，精度，品質の向上に“デジタル製品技術文書情報（製品開発の効率，精度，品質の向上に“デジタル製品技術文書情報（製品開発の効率，精度，品質の向上に“デジタル製品技術文書情報（製品開発の効率，精度，品質の向上に“デジタル製品技術文書情報（DTPD）”を寄）”を寄）”を寄）”を寄

与させるためには，製造データなど製品設計の下流プロセスの情報を加えたデジタル与させるためには，製造データなど製品設計の下流プロセスの情報を加えたデジタル与させるためには，製造データなど製品設計の下流プロセスの情報を加えたデジタル与させるためには，製造データなど製品設計の下流プロセスの情報を加えたデジタルモックアップ（モックアップ（モックアップ（モックアップ（DMU）でのデザインレビューを行う必要がある。）でのデザインレビューを行う必要がある。）でのデザインレビューを行う必要がある。）でのデザインレビューを行う必要がある。（（（（b）））） デザインレビューでは，デザインレビューでは，デザインレビューでは，デザインレビューでは，CAEを用いて判定要件を満たすまで繰り返し行う。を用いて判定要件を満たすまで繰り返し行う。を用いて判定要件を満たすまで繰り返し行う。を用いて判定要件を満たすまで繰り返し行う。（（（（c）））） デザインリリースでは，試作又は量産の設備や実機などの製造開始が指示できるデザインリリースでは，試作又は量産の設備や実機などの製造開始が指示できるデザインリリースでは，試作又は量産の設備や実機などの製造開始が指示できるデザインリリースでは，試作又は量産の設備や実機などの製造開始が指示できる

ようにするため，製造データなどの下流工程の情報を含めた（例えば，鋳造部品の抜ようにするため，製造データなどの下流工程の情報を含めた（例えば，鋳造部品の抜ようにするため，製造データなどの下流工程の情報を含めた（例えば，鋳造部品の抜ようにするため，製造データなどの下流工程の情報を含めた（例えば，鋳造部品の抜けこう配と削り代，組立用工具とのすき間）デザインレビューの結果を反映する。けこう配と削り代，組立用工具とのすき間）デザインレビューの結果を反映する。けこう配と削り代，組立用工具とのすき間）デザインレビューの結果を反映する。けこう配と削り代，組立用工具とのすき間）デザインレビューの結果を反映する。（（（（d）））） 試作，実験の結果をデジタルモックアップ（試作，実験の結果をデジタルモックアップ（試作，実験の結果をデジタルモックアップ（試作，実験の結果をデジタルモックアップ（DMU），），），），CAEにフィードバックして，次開にフィードバックして，次開にフィードバックして，次開にフィードバックして，次開発のデザインレビューの効率と精度向上に寄与させる。発のデザインレビューの効率と精度向上に寄与させる。発のデザインレビューの効率と精度向上に寄与させる。発のデザインレビューの効率と精度向上に寄与させる。

二次元製図主体とDTPD主体のプロセス比較

DTPD制定の経緯

一般的に，実際の設計，製造，販売の現場では，図面上では表現できないながらも重要な情報が口頭で伝達されたり，交渉で決まることがある。3Dから2D変換、2Dから3D変換という作業も存在する。

これらが、非効率の要因となる。

日本国内では，ASME Y14.41:2003 Digital Product Definition Data

Practicesを基本としたを基本としたを基本としたを基本としたISO 16792: 2006, Technical Product Documentation-

Digital Product Definition Data Practicesを参考にした“を参考にした“を参考にした“を参考にした“3D単独図ガイドライ単独図ガイドライ単独図ガイドライ単独図ガイドライン”が，日本自動車工業会（ン”が，日本自動車工業会（ン”が，日本自動車工業会（ン”が，日本自動車工業会（JAMA），日本自動車部品工業会（），日本自動車部品工業会（），日本自動車部品工業会（），日本自動車部品工業会（JAPIA）及び）及び）及び）及び電子情報技術産業協会（電子情報技術産業協会（電子情報技術産業協会（電子情報技術産業協会（JEITA）によって）によって）によって）によって2008年あたりから団体規格として年あたりから団体規格として年あたりから団体規格として年あたりから団体規格として規定され，運用されている。規定され，運用されている。規定され，運用されている。規定され，運用されている。

DTPD制定の経緯

研究段階も含めた設計から製造あるいは販売及びサービスに至るまでのプロセスにおいて，情報伝達の効率と製品精度の向上を目的とした3D-

CADソフトウェアの普及→デジタルモデルの利用

このデジタルモデルにも，寸法，三次元形状などに代表される幾何特性，物性，加工条件，組立条件，検査条件，部品番号，部品個数などの製品情報をもたせて表現・表示することが可能になったが、・・・

デジタルモデルの取り扱い・表現・解釈・表示などの統一が必要

JIS化 → ISO化

設計モデルと３ＤＡモデル

設計モデル対象物の寸法や形状のみの数値的情報をもつもの

三次元製品情報付加モデル（3DAモデル）設計モデルに幾何特性，物性，加工条件，組立条件，検査条件などの製品特性情報（属性情報も含む）および管理情報（例えば，部品番号，部品個数，標題欄・部品欄情報）を付加して表現したもの

これらは，ビューアなどの特定のツールを利用することで，自由な視点から全体的あるいは局部的に詳細な情報をコンピュータモニタに表示（描画）させ，具体的な情報の中身を確認できたり，紙に印刷できたりする。

3D-DTPDではなく、なぜDTPDなのか？

現時点では、3D-CADによる図面だけがすべてではない。従来からの2D図面も、多く活用されている現状を考慮した結果。

10年後？20年後？ には・・・

DTPD 第1部：総則

1 適用範囲適用範囲適用範囲適用範囲

2 引用規格引用規格引用規格引用規格

3 用語及び定義用語及び定義用語及び定義用語及び定義

4 デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（DTPD）の目的）の目的）の目的）の目的

5 デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（DTPD）の構成）の構成）の構成）の構成

6 三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（3DAモデル）モデル）モデル）モデル）

6.1 三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（3DAモデル）の具備すべき要件モデル）の具備すべき要件モデル）の具備すべき要件モデル）の具備すべき要件

6.2 三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（三次元製品情報付加モデル（3DAモデル）の表示モデル）の表示モデル）の表示モデル）の表示

DTPD 第1部：総則

7 表示要求事項（アノテーション）の図示方法表示要求事項（アノテーション）の図示方法表示要求事項（アノテーション）の図示方法表示要求事項（アノテーション）の図示方法7.1 寸法及び寸法の許容限界寸法及び寸法の許容限界寸法及び寸法の許容限界寸法及び寸法の許容限界7.2 幾何公差幾何公差幾何公差幾何公差7.3 表面性状表面性状表面性状表面性状7.4 溶接溶接溶接溶接7.5 熱処理熱処理熱処理熱処理7.6 表面処理表面処理表面処理表面処理

8 非表示要求事項（アトリビュート）の照会非表示要求事項（アトリビュート）の照会非表示要求事項（アトリビュート）の照会非表示要求事項（アトリビュート）の照会9 当てはめ方法の適用当てはめ方法の適用当てはめ方法の適用当てはめ方法の適用10 テキストデータの書き方テキストデータの書き方テキストデータの書き方テキストデータの書き方11 図記号の書き方図記号の書き方図記号の書き方図記号の書き方12 デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（デジタル製品技術文書情報（DTPD）に関するデータの保存・管理）に関するデータの保存・管理）に関するデータの保存・管理）に関するデータの保存・管理

DTPD 第2部：用語

3DAモデルの分類と構成

3DAモデルの分類と構成

3DAモデルの表示例

DTPD 第3部以降

基本図示 → 2015～2016年度原案作成予定

基本情報 → 2016年度原案作成予定

連携情報 → 2017年度以降原案開発予定

解析データ

製造データ

試験データ

品質データ

サービスデータ

管理情報

４

ISO/TC184 (Automation systems and

integration) /SC4 (Industrial data)

国内委員会との連携

JAMAにおける適用例（高効率化）

JAMAにおける適用例（デザイン）

発泡スチロール・ク

レイを使った実物モデルが不要

デザイン部門以外

の担当者の関与が簡単

JAMAにおける適用例（設計）エンジンルームに配置されるモジュール・部品間に静的・動的な干渉の有無のチェック、修理が必要になった際に工具が使えるか否かのチェック、ドア内部での電気配線の確認、運転席周りの各種計器窓への映りこみのチェック（安全性のため）

JAMAにおける適用例（金型設計）

3D-CADデータとの連携による

金型設計の効率化

JAMAにおける適用例（溶接ロボットへの教示）

JAMAにおける適用例（幾何公差の理解容易化）

幾何公差の仕様・指示が

関係する箇所が連携するので、データム、幾何公差記入枠など、3Dデジタ

ルモデルのすべての関連箇所がハイライト

↓

幾何公差を図面指示する

際の確認が容易になり、設計者の負担減少。

図面を読む側の理解促進。

寸法公差、幾何公差、表

面性状、表見処理、熱処

理など、多くの仕様指示がある場合に、該当する部位を特定が簡単。

JAMAにおける適用例（部品設計時での性能の作り込み）

機械加工（生産準備）検討の容易化

幾何公差などの仕様指示部ごとの機

械加工に関する情報の自動的な入手が可能。

素材表面と機械加工面の識別も簡単。幾何公差などが関連づいた3Dデジタ

ルモデルの情報を用いるので、素材

加工および機械加工に関する生産準備の検討効率化、精度向上。

左図は、素材の形状から除去加工されて製品になっていく過程において、

除去加工に関する位置や形状、寸法

公差や幾何公差が自動的に一覧になる例

JAMAにおける適用例（製品・部品理解の容易化）

設計部署以外の担当者との情報共有・意思疎通が簡単

JAMAにおける適用例（製品・部品理解の容易化）

エンジンルーム内の配管部品の例

JAMAにおける適用例（製品・部品理解の容易化）

2Dの場合

3Dの場合

５

JAMAにおける適用例（その他）

NCデータ作成の効率化

検査工程の効率化 など

2014年度、JEITA（電子情報技術産業協会）主催の

設計コンテスト実施中（公社）日本設計工学会（JSDE) 後援

効率化の実証研究

実証結果は、JEITAフォーラム・JSDEの研究発表講演会等で発表予定。

中国提案、国際規格ISO/DIS 17599について

• ISO/DIS 17599 Technical product documentation (TPD) –General requirements of digital mock-up for mechanical products

• デジタルモックアップ（DMU)の定義digital description given to a complete mechanical product or sub-system with an independent function, not

only of the geometric properties but also its function and/ or performance in a particular field

NOTE The digital mock-up of the product is built at a design stage, and is applicable to the whole life-cycle of the

product, including design, manufacture, marketing and aftermarket. The digital mock-up could realize interference check,

motion analysis, simulation of performance and manufacturing, technical training, advertising and maintenance planning

etc

DMUのすべての種類

各プロセスにおけるDMU