The World’s First Ejector Cycle for DENSO’s Transport ...‰¹ 集 – 65 – – 66 –...
Transcript of The World’s First Ejector Cycle for DENSO’s Transport ...‰¹ 集 – 65 – – 66 –...
特 集
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特集 世界初エジェクタサイクル®冷凍機の開発*The World’s First Ejector Cycle® for DENSO’s Transport Refrigerator
武 内 裕 嗣 西 嶋 春 幸 池 本 徹 池 上 真Hirotsugu TAKEUCHI Haruyuki NISHIJIMA Toru IKEMOTO Makoto IKEGAMI
松 永 久 嗣 神 谷 博Hisatsugu MATSUNAGA Hiroshi KAMIYA
EJECTOR CYCLEL® is an epoch-making, world-first, high efficiency refrigeration cycle. By using kinetic energy
in the expansion process, DENSO’s new transport refrigerator has improved efficiency by 50%.
Key words: Ejector, High efficiency, Refrigerator cycle
* 2009 年 9 月 28 日 原稿受理
1.まえがき
エジェクタサイクル®とは, 膨張弁を用いた冷凍サイ
クルにおいて, 膨張弁で渦として損失していたエネル
ギーをエジェクタによりコンプレッサの仕事として回
収する高効率冷凍サイクルである. 各機器の効率向上
といった従来の延長線上では達成できない 50%の冷凍
サイクルの COP 向上(COP =冷凍能力/コンプレッ
サ消費動力)を達成できる画期的な冷凍サイクルであ
るが, エジェクタの単体効率が低く, 机上の空論とされ
ていた. 今回, 二段膨張ノズルなどの独自の高効率化に
より世界で初めて実用化に成功し, その将来性から全
国発明表彰「21 世紀発明奨励賞」, ものづくり日本大
賞「内閣総理大臣賞」など数々の賞を受賞したので,
当社でのエジェクタサイクル冷凍機® 開発への取り組
み, 成果, 今後の展望について報告する.
2.開発の背景と本開発の位置付け
21 世紀最大の課題の一つに地球環境の問題がある.
地球温暖化についてはロシアの批准により京都議定書
が正式発効し, 国際的な義務となった温室効果ガス削
減が急務となっているが, 日本は, CO2 総排出量を6%
削減する目標が立てられている.
しかし, 実際は, 1990 年に比べ , CO2 総排出量が大幅
に増加しており, 2000 年度の日本国内の CO2 排出量は,
約 12 億 2500 万トンとなっており, その内訳を見ると,
産業部門が4億 9367 万トンで 41%, エネルギー転換部
門が 8575 万トンで7%, 民生(家庭)が1億 5925 万
トンで 13%, 民生(業務)が1億 4945 万トンで 12%,
運輸部門が2億 5970 万トンで 21%, 工業プロセスが
4%, 廃棄物が2%となっている. 運輸部門では 1990
年度比 21%増加している. このため, 車両メーカ, 車両
機器関連メーカには排気ガス中の CO2 削減のための燃
料消費効率の向上などが必要であり, エンジンで駆動
される車載用冷凍・空調機器にはコンプレッサの消費
動力低減が重要な課題である.
このような状況の下, 当社は, 従来比+ 50%の COP
を向上できるエジェクタサイクル® を搭載した冷凍機
(エジェクタサイクル® 冷凍機)を 2003 年6月に世界
で初めて実用化に成功した. Fig. 1 に示すように, エバ
ポレータ, コンデンサを一体化したパッケージタイプ
の冷凍機である.
3.冷凍サイクル高効率化への着眼点
冷凍空調製品の 98%は, 膨張弁やキャピラリを用い
た蒸気圧縮式の冷凍サイクルで, 100 年以上基本システ
ム構成は変化していない.
Fig. 1 Ejector Cycle® refrigerator and ejector
Front Rear
<Cross-sectional view>
Ejector for refrigerator
Condenser
Evaporator
Insulated panel
Van’s body
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デンソーテクニカルレビュー Vol. 14 2009
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一方, この冷凍サイクルの高効率化に対しては, 1999
年の改正省エネ法により, トップランナー方式が採用
され, もっとも優れた機器の性能以上にする競争がは
じまっており, 各社あらゆる効率向上手段の開発が行わ
れている. その中身をみると, 熱交換器の伝熱面積向上
やコンプレッサのシール性向上などの各機能品の単体
効率向上は実施されているが, 基本となる冷凍サイク
ルそのものの効率向上は取り組まれていない. 特に, 従
来, エネルギー損失していた膨張過程の効率向上には
実用化された例がない状況である. この膨張過程のエ
ネルギー損失を活用する手段として, エジェクタを用
いた冷凍サイクル(以下, エジェクタサイクル®)に当
社は着眼し研究開発を行ってきた.
膨張損失エネルギーとは, 物質が持つエネルギーで
あるエンタルピーと, 運動エネルギーのうち, 等エンタ
ルピー変化をした際に保存されずに渦として損失して
しまう運動エネルギーのことである. この損失してい
るエネルギーをタービンなどを用いて回転力に変換し,
コンプレッサの圧縮仕事として回収することができれ
ば省動力化が期待できる. そこで今回, 膨張損失エネル
ギーを活用した動力回収による省動力化に取り組んだ.
動力回収手段としては, Fig. 3 に示すように, タービ
ンのような膨張機が一般的で, 国内外で積極的に研究
されている.
一方, エジェクタは, 従来, 蒸気機関や泡風呂など単
相流で使用されるほど古い技術であるが, 冷凍サイク
ルの膨張過程に用いる場合は, 液とガスが混在する二
相流エジェクタとなり, 大幅に効率が低下するという
特徴をもっており, 今まで実用化されてこなかった. 二
相流のエジェクタのエネルギー変換効率(以下, エジェ
クタ効率)は 10%程度と単相流の6分の1と非常に低
いが, その理由は , 液とガスが混在する二相流の場合
は, 液とガスの密度(密度比)が 90 倍から 600 倍も違
うためである. (フロン系冷媒の場合)つまり, ノズル
では, 液の速度を上げる必要があるが, 液密度が大きく
重いために, なかなか流速を上げることができず, 流速
を落としたい混合部やディフューザ部では, 液が重く
てなかなか流速が落ちないため, 圧力が上がらないと
いう根本的な問題を抱えていた. しかしながら, 当社で
は , 効率の面では, 膨張機に劣るが, 構造が簡素化でき,
小型・軽量化・低コスト化のポテンシャルが高いと考
え, エジェクタの高効率化に挑戦し, 後述する当社独自
の研究技術開発の末, 単相流レベルの高効率化を達成
し, 実用化を達成した.
4.エジェクタサイクル®の概要
エジェクタは Fig. 4 に示すように, ノズル部, 混合部,
ディフューザ部に大きく大別できる. ノズルに流入す
る流れ(駆動流)は, ノズルの喉部で減圧膨張(等エ
ントロピ膨張により超音速まで加速)され, この減圧
後の圧力が吸引部の圧力より低くなることで, 吸引部
より吸引が可能(吸引流の発生)となる. 混合部には
Fig. 2 Key point of improvement in refrigeration cycle
Energy loss in the expansionprocess(Turbulent energy consumption)
Recovery of energy lossin the expansion process
Improvement in ref. cycle efficiencyTarget
Receiver
Investigation of how to recover energy lossin expansion process
Con
vers
ion
to c
ompr
essi
on w
ork
Power reductionInprovement ofcooling capacity
Isen
trop
ic e
xpan
sion
Isen
trop
ic
expa
nsio
n
CompressorCompressorCompressor
<Turbo charger>
Expansion valve
High-efficiency
High-efficiency
High-efficiency
Energyrecovery
Comp.power
Comp.power
Pre
ssur
e
Enthalpy
Evaporator
Cooling capacity
Condenser
Cooling capacity
Conventional cycle
TurbineTurbine
特 集
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駆動流と吸引流とが均質になるまで混ざりあい, ディ
フューザ部にて流路面積の拡大による減速により出口
圧力を上昇(昇圧)が可能となる.
Fig. 5 に示すように, 従来の膨張弁の代わりにエジェ
クタおよび気液分離器を用い, 上述のディフューザ出
口圧力をエバポレータ出口より高くすることで, 液冷
媒のみを, エバポレータへ連続的に供給できる冷凍サ
イクル(以下, エジェクタサイクル®)が構成できる.
従来の膨張弁サイクルをエジェクタサイクル® 化す
ることで, ノズルでの等エントロピ膨張により冷凍能
力が向上され, エジェクタによる昇圧作用にてコンプ
レッサの吸入圧を上昇させることでコンプレッサの消
費動力が低減できる.
即ち, エジェクタはこのサイクルの中で, 膨張弁同様
の減圧作用と, エバポレータからのガスを吸引し, コ
ンプレッサ吸入圧を上昇させる昇圧作用の二つの役割
を果たし, ノズルでの等エントロピ膨張および混合部
ディフューザでの減速による圧力エネルギーへの変換
にて, 膨張損失エネルギーのコンプレッサへの動力回
収を実現させている.
5. エジェクタサイクル®の COP 向上効果の内訳
同一冷凍能力でのエジェクタサイクル® の COP 向上
効果は, 大きく三つの効果からなり, 上述のエジェクタ
によるコンプレッサ動力の低減とエバポレータに冷凍
Fig. 3 Issues of 2-stage flow ejector
Fig. 4 Principle of ejector
Fig. 5 Schematic of Ejector Cycle®
Device
Nozzle
Mixingsection
Diffuser
Researchtrend
Deveropment levelfor practical use
Efficiency
Weight
Cost
Overall
Sch
emat
ic
Expander Smoke tube for boiler
Low efficiencyauxiliary device
Efficienty reduction due to2-phase flow
Easy optimization due todrive flow of water(no phase change)
Forced smokedischarging
Sys
tem
Eje
ctor
effi
cien
cy (
%)
Char
acte
ristic
s
Bubbling jet bath
60
10
Water
Air
Vapor
Smoke exhaustionSmoke exhaustion
No practical example
Other companies DENSO
No practical example for 2-phase flow
Ejector
<Selection of device for energy recovery in DENSO> <Practical example of ejector>
No practical example of 2-phase flow ejector
Single-phaseflow
2-phase flow
Nozzle Diffuser
DecelerationAccelerationSuction port
Mixing section
Nozzle Diffuser
Suction due topressuredifference
Pressure risedue todeceleration
Mixing section
Gas suction
Driv
e flo
w
Ph
Ph
Pd
Ps
Ps
Pd
PL
PL
Drive flow
Ejector
Accumulator
Condenser
Liquid
Gas
Suctionpressurerise
Compressor
Suction flow
Evaporator
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に寄与しないガスを流さないことによる圧力損失の低
減, 更に, コンプレッサの吸入圧力と吐出圧力の比であ
る圧縮比の低減によるコンプレッサ単体の効率(体積
効率, 機械効率, 圧縮効率)向上が複合された効果が得
られるという特徴がある.
冷凍車用冷凍機では, Fig. 6 に示すように, 上述のエ
ジェクタによるコンプレッサ動力低減, エバポレータ
冷凍効果向上による COP 向上効果が約 29%と全体の
約6割を占める. コンプレッサの吸入圧力が上昇し, コ
ンプレッサの圧縮比が低減することで, コンプレッサ
単体効率向上によるコンプレッサの動力の低減効果は
約9%, エジェクタの吸引作用により, 冷凍に寄与しな
いガス冷媒を流さないため, エバポレータの圧力損失
が低減されることによるエバポレータ自体の性能向上
による COP 向上効果は約 11%となる. 冷凍車用冷凍機
では従来からオイルセパレータを用い冷凍機油をコン
プレッサ吸入へ帰還させている. エジェクタサイクル
化により, コンプレッサの吸入圧力が上昇することで,
コンプレッサの吐出温度低下に伴うオイルセパレータ
内冷凍機油の温度が低下する. このため, コンプレッサ
への帰還する冷凍機油の温度も低下するので, コンプ
レッサの吸入加熱度の低下に伴う吸入密度増大の効果
(COP 向上効果は約1%)も得ることができる. 以上の
ような相乗効果により, 従来技術では達成し得ない+
50%の COP 向上を実現できる.
6.エジェクタサイクル®の実用化を可能にした
エジェクタの高効率化の取り組み3)4)
上述の COP + 50%向上達成に不可欠であった, 二
相流エジェクタの高効率化に対する当社での取組み内
容の一部を示す.
エジェクタ単体性能は, エジェクタ内が二相流であ
ることから, 液とガスの密度比が小さい単相流に近い
方が, 液ガスの速度差が小さく, 効率が高い. 自然冷媒
CO2 は, 作動圧力が高いために, ガスの密度が液なみ
に高く, 気液の密度比は小さく, エジェクタ単体性能も
高いが, 今回の開発対象の R404A などフロン系冷媒は,
CO2 に比べて, 作動圧力が低く, 気液の密度比も大きい
ため, 上述のとおり, エジェクタ効率は, 従来 10%程度
と単相流で用いたエジェクタの約 60%に比べ非常に低
く, エジェクタ効率の向上は重要な課題であった.
6.1 ノズルの高効率化1)2)
まず, 減圧膨張過程での膨張損失エネルギーを速度
エネルギーに替えるノズルの高効率化には, いかに等
エントロピ膨張により近づけノズル出口での速度をよ
り加速できるかが重要である.
従来のノズルは, 単段のノズルで, 端からしかガス化
しないために真中の液滴が大きく, 流速が上がらない
という課題がある. このため, 当社では, 液をガスと同
じように流動するように, 液滴の微粒化に着眼し, 二相
流特有のノズル開発を行なった.
Fig. 7 に今回開発した二段膨張ノズルの概要と効果
を示す. 二段膨張ノズルは, 一段目のノズルで過冷却状
態の液から減圧して気泡を発生させ, 一度面積を増大
させ, 圧力を上昇させると気泡がつぶれて気泡核とな
り, 二段目のノズルでは, 一気に膨張が促進, 液滴を微
粒化, 二段目のノズル内にてあたかも均質流のように,
液滴とガスの速度を等しくすることを狙ったものであ
る. この二段膨張ノズル形状の実験的な解析により, ノ
Fig. 6 COP Improvement Effect of Ejector Cycle®
(R404A refrigerator for truck refrigerator)
+ 50%+ 1%
+ 9%
+ 11%
+ 29%
40
30
20
10
0
<Condition>R404A refrigerator, ambient temp. 25˚C, inside temp. -18˚Cin the case of same cooling capacity as conventional cycle.
Return oil temp. decrease Comp. suction density increase
(Comp. suction superheat decrease)
Only liquid refrigerant is suckedinto ejector.
Performance improvement dueto pressure drop reduction
Compression ratio decrease Compressor efficiency improvement
Performance improvement due toejector.Compressor power reductiondue to ejector pressure rising
Gas
Drive flow
EjectorAccumulator
Condenser
LiquidSuction pressure rise
Compressor
Oil separator
Suction flow
Evaporator
CO
P im
prov
emen
t effe
ct (
%)
Only liquid refrigerationflows into evaporator
Return oil temperature decrease due to comp. discharge temperature decrease
特 集
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ズルの効率(圧力エネルギーの速度エネルギーへの変
換効率)を 1.5 倍に上げることができ, 単相流同等のノ
ズル効率レベルとすることを実現した. ノズル出口の
速度は条件により異なるが, 音速の約 1.5 倍から 2.5 倍
程度に達する.
6.2 混合部・ディフューザの高効率化 (独自の数値解析技術)
エジェクタは, ノズル以外にも多数の形状要因を
持っているため, 二相流特有の現象を解明できる数値
解析が必要であったが, 開発当初世の中に存在せず, 豊
橋技術科学大学との共同研究のなかで作り上げた. 数
値解析は, 混合部とディフューザ部での液滴とガスの
減速度合いや混合状態を解析することで二相流特有の
最適形状を導き出すことができる.
Figs. 8-10 に示すように, 特にノズルの入り口では
人の歩くほどの速度だが, ノズル出口では, ジェット機
なみの超音速となり, ディフューザ出口では, 車両速度
程度まで減速することから, 緻密な形状推定が必要で
あった. 数値解析にあたっては, 二相流特有のノズルで
の液滴の沸騰遅れを考慮したスリップ比(液とガスの
速度比)によりノズル出口の液滴速度とガス速度を求
めた. 混合部とディフューザの流れは, 臨界ウェーバー
数から算出した液滴径をもとに, 抵抗力, 液ガス間に働
く運動量とエネルギー保存を1次の風上差分と K-ε 高
レイノルズ数乱流モデルを用い, SIMPLE 法により解
いた. また, ボイド率を考慮し, ラグランジェモデルと
オイラー方式を比較し, オイラー方式を選定した.
Fig. 7 Improvement of ejector efficiency: 2-stage expansion nozzle
Fig. 8 Speed change in ejector
Fig. 9 Design factor of ejector (e.g.)
Fig. 10 Improvement of ejector efficiency (Numerical analysis technology)
Vn
Enthalpy I
Pre
ssur
e P
Noz
zle
effic
ienc
y (%
)
Gas
100
50
0
Two-phase
Liquid
Single-phase flow
Two-phase flow
90 90
60
Conventional single-stagenozzle
Low speed
Liquid droplet diameteris large.
Liquid droplet etornizetion
Bubbles disappear. Boiling cores are formed.
High speed
Bubbling
Target of two-stageexpansion nozzle
Patentapplication
Single-stage
Two-stage
Image of velocity change in two-phase flow ejector
Walk
Velocity changes significantly in a short distance.
Phase changes as two-phase flow.
Configuration has great influence on perfomance
Jet plane Car
1 ~ 2 m/s
1 ~ 2 m/sSuction
Mixing part
Diffuser
150 ~ 200 m/s supersonic 20 ~ 30 m/s
20 ~ 30 m/s 60 ~ 80 m/s
Nozzle Mixing section Diffuser
There are many parameters.
A1 Lmix
Y
dsuc φ dth φdmix φ
dD φ
θ mix
θ d
θ nd θ suc
A2 A3
0.0120.0670.1230.1780.2330.2890.3440.3990.4550.51
Two-phase Numerical Analysis
Using SQC Method
Established highly efficient design methods
Effi
cien
cy
Diffuser angle Mixing
section length
Reduced number of calculation cases from 729 28
Eddy loss energy (m²/s²) 0 700
Two-phase turbulent eddy loss Boiling delay
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7.2 その他波及効果
これらの冷凍能力および COP 向上効果を実現した
エジェクタサイクル® 冷凍機のシステム面への波及効
果も非常に大きい. Fig. 12 に示すように, 冷凍能力向
上による機能品のダウンサイジングにより膨張弁サイ
クル冷凍機に対して▲ 41%の軽量化および▲ 68%の
省冷媒化などを達成している.
Fig. 11 Load fluctuation response technology 2-stage expansion variable ejector
Fig. 12 Advantage of Ejector Cycle® refrigerator
上記の独自の数値解析モデルにより二相流の乱流渦
損失と壁面の境界層の圧力損失などを考慮すること
で, 液滴の粘性の緩和時間により最適化された混合部・
ディフューザ形状を明確にすることができた. また多
数の要因の交互作用を全て考慮するには膨大な計算時
間がかかるため, SQC 手法(応答曲面解析)を活用す
ることで, 3次元的な最適形状の計算回数の大幅低減
も図った.
6.3 負荷変動対応技術
冷凍車用冷凍機では, カーエアコン, 定置式空調・冷
凍機器に比べて使用される庫内温度範囲が広く, 冷媒
流量調整 , 能力制御手段の開発が重要である.
我々は使用範囲全域に対応できるエジェクタの制御
手段を検討し, 一段目ノズルを可変絞りにすることで,
気泡騰の生成に加え流量調整機能を付加し, ニ段目は
固定絞りにて膨張エネルギの回収機能を持つニ段膨張
可変エジェクタを採用することで, 高効率化と負荷変
動対応の両立を実現した.
7.エジェクタサイクル® 冷凍機の効果
7.1 冷凍能力, COP 向上効果
Fig. 12 に, エジェクタサイクル® 冷凍機の冷凍能力,
COP 向上効果を示す. 冷凍能力において JIS 定格条件
である庫内 -18 ℃で膨張弁サイクル比 +33%, 同一冷凍
能力時の COP は膨張弁サイクル比 +50%の向上効果を
実現した.
また, 上述のニ段膨張可変エジェクタの採用により,
定格条件以外の条件においても, 高い性能向上効果を
有することを確認している.
Evaporator
1st stage nozzle (Adjustable)
2nd stage nozzle (Fixed)
1st stage nozzle
2nd stage nozzle Bubble core formation, flow rate adjustment
Expansion energy recovery
Key points
Countermeasures
Isentropic line
Isenthalpic line
Expansion energy recovery
Flow ratecontrol withevaporator
SH.
Mixingsection
Diffuser Accumulator
From condenser
0
10
20
30
40
50
60
70
+45%
-30 -18 0
+33%
+25%
0
10
20
30
40
50
60
70
+45%
-30 -18 0
+50%
+65%
Return air temperature (˚C)
Return air temperature (˚C)
Coo
ling
capa
city
impr
ovem
ent e
ffect
(%
)C
OP
impr
ovem
ent (
%)
Cooling capacity improvement effect
115
41%81 kg
196
kgkg 1.5
68%3.2 kg
4.7
W396
33%194 W
41%81 kg
68%3.2 kg
33%194 W
590
COP improvement effect
Ejector Conv. Ejector Conv. Ejector Conv.
Wei
ght
Ref
. cha
rge
amou
nt
Pow
er c
onsu
mpt
ion
Weightreduction
Refrigerantsaving
Powersaving
特 集
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7.3 実車での性能確認結果(例)
Fig. 13 に実車での性能確認結果の一例を示す. 本結
果は, 大型冷凍車(最大積載量 10 トン)でのクールダ
ウン性能確認結果である. 従来の大型冷凍車用冷凍機
ではコンプレッサ消費動力が大きいため, 車両エンジ
ンとは別にコンプレッサ駆動専用エンジンを有するサ
ブエンジン式(以下 SE 式)冷凍機が主流である. エジェ
クタサイクル® 冷凍機を用いることで, コンプレッサ動
力を大幅に低減できるため, カーエアコンのように走
行用エンジンでコンプレッサを駆動する直結式化が容
易となった. Fig. 13 は, 時間毎の庫内の平均温度変化
を示しているが, エジェクタサイクル® 冷凍機のほうが,
コンプレッサ回転数が低いものの, 庫内温度の冷却速
度が早く, クールダウン性能が優れていることが分か
る.
7.4 実車燃費向上および温室効果ガス削減効果
Fig. 14 に大型冷凍車の燃料消費量に関する当社での
試算結果および実車での測定結果を示す. 試算は, 名古
屋地区の 2002 年気象データを元に, 最大積載量, 当社
調査に基づく実際の長距離輸送を模擬した1日 623.4
km 走行するパターンにて, 日本自動車研究所5)6)7)8)の
重量ディーゼル車の燃費シミュレーションを活用し試
算した. 実車での測定は, 大手冷凍機ユーザーのご協
力により, 大型冷凍車(13 台)にて 2003 年 12 月から
2004 年 11 月の 12 ケ月, 実際の1日平均約 611 km の
輸送にて, 満タン法により算出したデータである.
エジェクタサイクル® 冷凍機は, 従来の冷凍機に比べ
小型軽量化であること, 特に庫内温度が低いほど冷凍
能力向上効果が高く, コンプレッサ消費動力が大きな
庫内温度が高いほど動力低減効果が大きいなどの特徴
により, 試算結果では▲ 7.6%, 実車測定結果では平均
で▲ 22%もの大幅な燃料消費量低減効果があることが
分かった.
試算結果と実測の差は, 追加試算の結果, 積載量, ア
クセル開度などの車両走行条件の差によるものと考え
ており, 市場においては, 当社試算結果以上の燃料削減
効果が得られる可能性が高いことが分かった.
このエジェクタサイクル® 冷凍機による燃料削減効
果は, 中型冷凍車, 小型冷凍車でもそれぞれ▲ 9.2%, ▲
7.8%と大型同等以上の効果が試算できる. 日本国内で
の軽自動車を除く全冷凍車にエジェクタサイクル ® 冷
凍機を搭載した場合, 約 384 百万Lの使用燃料削減,
29965百万円の使用燃料代の削減(1 L=78円にて算出)
が可能となるほどのポテンシャルがり, 経済性の面で
も優れた技術であると言える.
これらの結果に基づき, 温室効果ガス削減効果を
CO2 排出量にて示すと, Fig. 15 に示すように, 約 100 万
トンの CO2 排出量の削減を可能とする規模となる. こ
れは日本が CO2 削減対策として推進しているモーダル
シフト(約 70 万トン削減), CO2 給湯器 400 万台普及
(110 万トン削減)に匹敵するポテンシャルがあり, エ
ジェクタサイクル® 冷凍機は, 環境にも優しい次世代の
冷凍機と言えると考える.
Fig. 13 Vehicle cool down test result (e.g.)
Fig. 14 Annual fuel consumption reduction effect of large-sized trucks
600
Nozzle flow rate [cc/min]
Ne=1500rpm, Torque=50Nm Equivalent smoke emission
30% reduction
Nox
em
issi
on [g
/kW
h]
700
0.2 g/kwh
Euro 5 Spec.
Euro 4 Spec.
800 1000
G3S
G2S
30
20
Tem
pera
ture
(°C
)
10
0
1:00 2:00 3:00 4:00
Elapsed time (h)
-10
-20
-30
Comparison under city traffic conditionDENSO Ejector Cycle: E/G=900 r/min (compressor=1400 r/min)S/E type: E/G=2200 r/min (compressor=1550 r/min)
Ambient temp.
Return air temp. for S/E type refrigerator
Return air temp. for DENSO Ejector Cycle®
refrigerator
80000
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
80000
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
7.6%
22%
(5,400L)
(14,905L)
Conditions
Est
imat
ion
Tes
t res
ult (
avg.
)
Annual fuel consumption per vehicle
623.4 km (Kyushu Osaka Tokyo) (8h high way & 1h city drive)
Avg. 611 km (Kyushu Kansai) S/E type N=7, Ejector N=6
10 t large-sized truckLoading 10 t
10 t large-sized truckLoading Not fixed
Fue
l con
sum
ptio
n (L
/yr/
vehi
cle)
Fue
l con
sum
ptio
n (L
/yr/
vehi
cle)
Conv.(S/E)
Ejector
Conv.(S/E)
Ejector
Day2(9h)Day1
(9h)
Day3(9h)Day4
(9h)
Day1
Day2
– 71 –
デンソーテクニカルレビュー Vol. 14 2009
– 72 –
10.まとめ
(1) 従来, 蒸気圧縮式サイクルで失われていた膨張損
失エネルギーをコンプレッサ動力に回収することで,
省動力できるエジェクタサイクル® の開発に取り組
み, 大幅な冷凍能力向上と省動力を得られるエジェ
クタサイクル® 冷凍機を製品化した.
(2) 本技術はすべての蒸気圧縮式サイクルで活用で
きる技術であり, 家庭用自然冷媒(CO2)給湯機 「エ
コキュート」(2003 年 07 月製品化)にも搭載しており,
次世代の冷凍サイクルとして期待できる. 今後, カー
エアコンなどの車両用空調装置, 定置式空調・冷凍・
給湯装置など幅広く適用検討を進める.
(3) 本製品は, 2003 年 06 月製品化済.
Fig. 16 Domestic shipping Vol. of refrigeration A/C equipment
Fig. 17 Applicable areas of Ejector Cycle®
8.エジェクタサイクル® の発展性
Fig. 16 に示すように, 日本国内の冷凍空調機器製品
の約 98%はエジェクタが適用可能な蒸気圧縮式冷凍サ
イクルである. 当社での基礎的なベンチ試験レベルで
は, CO2 カーエアコン, CO2 バスエアコン, 家庭用エア
コン, 家庭用冷蔵庫でも +20 〜 49%の COP 向上効果が
あることが分ってきており, カーエアコンなどの車両
用空調装置, 定置式空調・冷凍・給湯装置への適用, 実
用化検討も進めている.
9.エジェクタサイクル® の地球環境への貢献
これら全ての冷凍空調機器へエジェクタサイクル
を適用した場合の温室効果ガス削減効果(CO2 換算)
を算出すると, 日本の 1.1%を占める約 1318 万トンの
CO2 を削減できると試算できる.
これは京都議定書で日本の削減目標である6%の約
8.4%に相当し, 等価の森林量でいえば, 7億 3000 万本
となり, 東海三県面積相当の森林に相当すると試算で
きる.
Fig. 15 Greenhouse gas reduction effect of Ejector Cycle® refrigerator
14
CO
2 em
issi
on v
ol. (
Mill
ion
t/yr)
230K t – CO2
320K t – CO2
450K t – CO2
12
10
8
6
4
2
0Conventional Ejector
SmallSmall < Vehicles in operation >
Mid sizeMid size
LargeLarge
200K vehicles
70K vehicles
30K vehicles
8.1% ( 1M t-CO2)
Total:
Freezer & refrigerator showcase
2.06%Car A/C
Room A/C
Refrigerator
Bus A/C0.06%
Legends
Transport refrigerator 0.16%
25.5% 26.4%
37.4%
14M vehicles
Source: JRAIA (2000)
Approx. 98% of refrigerator & A/C systems applyvapor-compression type refrigeration cycle
Refrigeration and air-conditioning system shipment records
Freezer/refrigerator showcase Industrial-use refrigerator Residential-use refrigerator
Car A/CBus A/CRoom A/C Transport freezer/refrigerator unit
Ejector cycle is applicable for most of the vapor-compressiontype refrigeration cycle products.
General A/C &refrigeration
Hot watersupply
Vehicle climatecontrol
Freezer Refrigeratorshowcase
TransportrefrigeratorEjector
technology
Hot waterheating
Hot watersupply
Refrigeratedtruck
Floor heating
HEV
Refrigerator
Room A/C
FC vehicle
Bus A/CICE vehicle
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
1225M t 1211.82M t
Energyconversion
Waste
Industry process
< Calculation assumption > All of the domesticrefrigeration A/C system apply Ejector Cycle®
Current Ejector effect
CO
2 em
issi
on (
mill
ion
t)
14
1.0%
CO
2
12
10
8
6
4
2
0
3.6%
1.6%
Reduction of 13.18M t (equiv. to 1.1% of nation wide CO2 reduction)
Reduction effect (potential) is equivalent to 8.4% of reduction target 6% (157M t compared to
1990) of the COP3 (Kyoto protocol)
Vehicle A/CTransportation
refrigerator
RefrigeratorFreezer
show caseRoom A/CIntegrated
cooler
Transportat
Commercial
Residential
Industrial
Fig. 18 Global warming suppression effect of Ejector Cycle®
特 集
– 73 –
<著 者>
武内 裕嗣
(たけうち ひろつぐ)
冷暖房事業部
カー A/C の開発に従事
池本 徹
(いけもと とおる)
空調冷熱技術1部
冷凍機の開発に従事
松永 久嗣
(まつなが ひさつぐ)
冷暖房実験部
冷暖房の実験に従事
西嶋 春幸
(にしじま はるゆき)
熱システム開発部
エジェクタの開発に従事
池上 真
(いけがみ まこと)
熱システム開発部
エジェクタの開発に従事
神谷 博
(かみや ひろし)
電装(中国)投資有限公司
上海テクセン所長
<参考文献>
1) 管内高速ミスト噴流の混合性能に関する研究, 中川,
武内他, 日本機械学会論文集 60 巻, 575 号, B 編, (平
成 6 年 7 月)pp. 316-321.
2) 冷凍サイクルに適用される二相流エジェクタの流動
特性, 中川, 武内他, 日本機械学会論文集 64 巻, 625 号,
B 編,(平成 10 年 9 月)pp. 304-311.
3) 高効率エジェクタサイクル冷凍機, 武内, 西嶋他 冷
凍 2004 年 6 月号別冊 pp. 431-432.
4) World’First high Efficiency refrigeration Cycle with
Two-phase Ejector �EJECTOR CYCLE�, Takeuchi,
Nishi j ima, Ikemoto, SAE2004 Congress SEA
international SP-1859, 2004-01, pp. 39-42.
5) 日本自動車研究所, 自動車研究, 第 20 巻, 第 11 号
(1998)重量ディーゼル車の燃費推定法の検討-空
気抵抗係数の推定-, 細井他.
6) 日本自動車研究所, 自動車研究, 第 20 巻, 第 11 号
(1998)重量ディーゼル車の燃費推定法の検討-こ
ろがり抵抗係数の推定-, 細井他.
7) 日本自動車研究所, 自動車研究, 第 20 巻, 第 11 号
(1998)重量ディーゼル車の燃費推定法の検討-走
行抵抗値とエンジン燃費マップによる車両燃費の推
定-, 細井他.
8) 日本自動車研究所, 自動車研究, 第 25 巻, 第 04 号
(2003)重量ディーゼル車の燃費シミュレーション,
細井他.