デザイン思考ブートキャンプ「お財布プロジェクト(The Wallet...

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デザイン思考ブートキャンプ「お財布プロジェクト」 ファシリテーションガイド(完全台本版) イントロ(5分) 【司会A「デザイン思考ブートキャンプ『お財布プロジェクト』」にお越しいただき、ありがとうございます。 本日の司会を務めるABです。 コンセプト説明 【司会Aトーマス・エジソン、スティーブ・ジョブス、本田宗一郎、盛田昭夫――彼らは皆、歴史に名を残す 偉大な発明家や経営者ですが、ある共通点があります。それは、偉大な発明家や経営者であった と同時に、偉大な「デザイン思考家」でもあったということです。 デザイン思考とは風変わりなオブジェを創ることではありません。既存の概念にとらわれず、飛躍 的な発想を生むための方法論です。 その大原則は「Show, Don't tell」。パワーポイントを使って長々と演説するよりも、一目で理解で きるような実物を見せるべきだということです。そのため、デザイン思考では有り合わせの材料を 使って手早く工作すること(ダーティ・プロトタイピングと言う)をとても重視しています。つまり「手を 動かしながら考える」のです。 今から始まる「お財布プロジェクト」はブートキャンプ(新兵訓練)形式のスピード感溢れるワーク 1 / 18

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デザイン思考ブートキャンプ「お財布プロジェクト」 ファシリテーションガイド(完全台本版) 

イントロ(5分)  【司会A】 「デザイン思考ブートキャンプ『お財布プロジェクト』」にお越しいただき、ありがとうございます。  本日の司会を務めるAとBです。  コンセプト説明 【司会A】 トーマス・エジソン、スティーブ・ジョブス、本田宗一郎、盛田昭夫――彼らは皆、歴史に名を残す偉大な発明家や経営者ですが、ある共通点があります。それは、偉大な発明家や経営者であったと同時に、偉大な「デザイン思考家」でもあったということです。  デザイン思考とは風変わりなオブジェを創ることではありません。既存の概念にとらわれず、飛躍的な発想を生むための方法論です。  その大原則は「Show, Don't tell」。パワーポイントを使って長々と演説するよりも、一目で理解で   きるような実物を見せるべきだということです。そのため、デザイン思考では有り合わせの材料を使って手早く工作すること(ダーティ・プロトタイピングと言う)をとても重視しています。つまり「手を動かしながら考える」のです。  今から始まる「お財布プロジェクト」はブートキャンプ(新兵訓練)形式のスピード感溢れるワーク

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ショップです。デザイン思考の基本プロセスとダーティ・プロトタイピング手法を使って、全く事前知識なしに、限られた時間の中で、この場で実際にプロダクト(今回は財布)を制作します。  手と頭をフル回転させる2時間。さあ、一緒にイノベーションを起こしましょう!  確認点 【司会A】 ワークショップを始める前にご了承いただきたい点が4つあります。  まず、1つの目の確認点です。 このセッションは講義を聞く「座学」スタイルではありません。実は、今日は配布資料1枚さえ用意していません。このセッションは参加者自身が手を動かすワークショップ・スタイルです。実際にダンボールとハサミと糊を使って「財布」を作ります。作業内容そのものは小学校の工作レベルと言っても過言ではありませんが、そういった作業を通じてデザイン思考のエッセンスを自ら学び取ることを目的としています。事前にご了承ください。  2つの目の確認点です。 このワークショップは他の参加者とペアを組んで作業するので、もし途中で退席するつもりのある人は、誠に申し訳ないのですが、このセッションへの参加をご遠慮いただけないでしょうか。片方の人がいなくなってしまうと、ペアを組んだ人がワークショップを続けられなくなって迷惑するからです。2時間という長丁場ですが、最後まで参加することを前提になさってください。  3つの目の確認点です。 このワークショップではご自身の財布・小銭入れの中身を含めてペアを組んだ相手に見せて頂きます。財布を持っていない人や、どうしても財布を見せられないという人は、誠に申し訳ないのですが、このセッションへの参加をご遠慮いただけないでしょうか。なお見られては困るものが財布に入っている場合は、あらかじめ抜き取っておいて下さい。  4つの目の確認点です。 このワークショップの途中では、原則として質問は受け付けません。それは意地悪をしている訳ではありません。個別の質問に答えていると制限時間内にワークショップを終えられないからです。なお、ワークショップが全て終了した後、質問に答える時間を取る予定です。  よろしいでしょうか?  --- イントロ終了 ---    

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 ワークシート1:初期スケッチ(7分)  【司会A】 二つ折りになっているA3用紙を1枚用意してください。 折り目が下に来るようにしてください。  用紙の上部に「ワイワイCAFE」と書きます。 中央に「デザイン思考ブートキャンプ」と書きます。 下部に自分の名前(ハンドルネーム可)を書きます。 これでワークシートの「表紙」が出来ました。  【司会A】 早速、作業を始めましょう。 二つ折りのままで用紙を裏返してください。  普段、私たちは何か製品を企画するときに、自分の生活や体験を振り返って「こんなモノがあればいいな」という思いから始めることが多いですよね。 今日も同じことをやってみたいと思います。  今日の開発テーマは「財布」です。  まず、あなた自身が「こんな財布があればいいな」と思う財布のイラストを1つ描いてください。 前提条件や制約条件はありません。本当にあなたが欲しいと思う、あなたにとって理想の財布を自由にイメージして描いてください。  ただし、必ず「絵」を描いてください。 絵の上手・下手は関係ありません。 デザイン思考の原則は「Show, Don't tell」。自分の考えを「絵で表現する」のはの基本中の基本   です。  

【司会B】 では、作業を始めます。 制限時間は「3分」です。 用意はいいですか? スタート! * 1分経過、残り2分です。 * 2分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了 

 【司会A】 では、ここからは隣の席の人とパートナーになってペアで作業を進めます。 便宜上、座席の右側の人をパートナーA、左側の人をパートナーBと定義します。 念のため、自分のワークシートの左上に「A」または「B」と書いてください。  では、「表紙」をお互いに見せて、簡単に自己紹介してください。 

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 【司会B】 制限時間は「1分」です。 用意はいいですか? スタート! * 30秒経過。そろそろ交代してください。 * 終了 

 --- ワークシート1終了 ---     

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 ワークシート2前半:インタビュー(20分)  【司会A】 では、次の作業に移ります。  各自、二つ折りになったA3用紙を新しく1枚用意してください。 折り目が右に来るように置いて、さらに下から5センチくらいのところで折り曲げます。 折り曲げたところを開いて、A4縦の状態にします。  【司会A】 今から、お互いにインタビューしていただきます。  パートナーの「財布の現物」を見せてもらって話を聞きます。どんな材質で、どんな物が入っていて、どんな状態なのか(新品?くたびれている?)など、相手の財布をじっくり観察しながら話を聞きましょう。疑問があればどんどん質問しましょう。  そのうえで、パートナーの「理想の財布」について、彼/彼女が描いたイラストを見せてもらいながら話を聞きます。やはり疑問があればどんどん質問しましょう。  インタビューしながら、見聞きしたことは用紙に記入します。ただし、折り目から下側と用紙の裏は使わないでください。  なお、インタビューする上で非常に重要な注意点が2つあります。 ・ 財布の現物を見せてもらう時に、インタビューする人は絶対に相手の財布を手にとってはいけ

ません。インタビューされる側の人が、自分の財布を相手に見せてあげるようにしてください。それは、万一、財布から何かが無くなった場合、財布に触れた人が疑われることになるからです。繰り返し警告しておきます。絶対に相手の財布に触れてはいけません。 

・ 財布は非常にプライベートな持ち物です。財布には非常に高度な個人情報が入っている場合があります。それらの個人情報を必要以上に詮索してはいけません。例えば、クレジットカードが入っていることは確認すべきですが、カード番号まで見る必要はありません。 

 【司会B】 では、インタビューを始めます。 最初はパートナーAがパートナーBにインタビューします。Bの財布をAが見せてもらいます。Bの人は自分の財布と描いたイラストを用意してください。  ※MUSIC開始  制限時間は「4分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 * 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了 

 

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【司会B】 今度はパートナーBがパートナーAにインタビューします。Aの財布をBが見せてもらいます。Aの人は自分の財布と描いたイラストを用意してください。  制限時間は「4分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 * 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 【司会A】 用紙を裏返してください。 今度は視点を変えて、もう一度インタビューします。  最初のインタビューでは現物の財布やイラストの財布に注目して話を聞きましたが、今度は財布を使う本人にもっと視点を向けて掘り下げていきます。  例えば、 ・ ある人はブランド物の財布を持つことをステイタスシンボルとしてとらえているかもしれませ

ん。 ・ ある人は家計用とお小遣い用の財布を2つ使い分けていて、それは金銭に対して几帳面な性

格だからかもしれません。 ・ また、ある人は占いや風水に凝っていて、そのため色や形状に独自のこだわりを持っている

かもしれません。  このように2回目のインタビューでは「財布と持ち主」の関連をもっと深く探ります。そういう目的でインタビューをしていると、いつの間にか財布の話題から離れているかもしれませんが、それで構いません。2回目のインタビューでは「財布」はメインテーマではありません。財布そのものよりも、財布の持ち主の「ライフ」を深く掘り下げていきましょう。  インタビューしながら、見聞きしたことは用紙に記入します。ただし、今回も折り目から下側は使わないでください。  

【司会B】 では、インタビューを始めます。 最初はパートナーAがパートナーBにインタビューします。さっきと同じようにBの人は自分の財布と描いたイラストを用意してください。  ※MUSICスタート  制限時間は「4分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 

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* 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了 

 今度はパートナーBがパートナーAにインタビューします。さっきと同じようにAの人は自分の財布と描いたイラストを用意してください。  制限時間は「4分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 * 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了  

--- ワークシート2前半終了 ---     

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 ワークシート2後半:要求定義(10分)  【司会A】 この後、財布の現物を使うことはないので、財布をしまってください。  次はインタビューの内容を分析します。  二つ折りになっている用紙を広げて、A3サイズにしてください。  【司会A】 1回目のインタビューと2回目のインタビューのメモを全部読み返しながら、重要な箇所に下線を引いてください。また、何か気づいた点や、思い出した点があれば自由に書き加えてください。  冒頭でも話しましたが、財布はプライベートな持ち物の一つです。そのため、持ち主の生活や思考のパターンがそこに反映されていることが少なくありません。  あなたのパートナーは「どんな人で、どんな生活をしていて、どういう理由で、どんな財布を求めている」と言えるでしょうか?パートナーの「心のずっと奥のほう」を探索しましょう。パートナーの「本音」は何でしょうか?  なお、今回も折り目から下側は使わないでください。  

【司会B】 では、作業を開始します。 各自で個別に作業します。相談したり質問したりしてはいけません。 

 ※MUSIC開始  制限時間は「3分」です。 用意はいいですか? スタート! * 1分経過、残り2分です。 * 2分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 【司会A】 次は、今の分析結果を簡潔な文章形式で記述します。  用紙の下側に5センチ程度の横長の空白がありますが、ここに以下のようなフォーマットを作ります。([   ]さんは[          ]したい。なぜなら[         ]だから)  通常、明示的な要求を実現してもあまりユーザに感動を与えることはできません。本人でさえ気付いていない「暗黙の要求」を満たしてこそ真の満足を与えることができます。しかし、皮肉なことに

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その要求は本人に聞いても決して出てきません。インタビューと観察で得た事実から、分析者が推定する以外にありません。  あなたの分析結果をフォーマットの書式に従って用紙の下側に記述してください。なお、通常、「××な財布が欲しい」という要求定義は間違っています。その背後にある要求を推定して記述してください。  

【司会B】 では、作業を開始します。 各自で個別に作業します。相談したり質問したりしてはいけません。  ※MUSIC開始  制限時間は「3分」です。 用意はいいですか? スタート! * 1分経過、残り2分です。 * 2分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 --- ワークシート2後半終了 ---    

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 ワークシート3:スケッチングとフィードバック(20分)  【司会A】 では、次の作業に移ります。  各自、二つ折りになったA3用紙を新しく1枚用意してください。 折り目が下に来るようにしてください。 A4サイズを六等分するように線を描いてください。  【司会A】 ここからは創造力を最大限に発揮していきます。  さっき定義したパートナーの暗黙の要求を満たせるようなアイデアを出します。1つの枠に1つのアイデアを、必ずイラストで描きます。そのイラストが何を表しているかを示す、シンプルなタイトルも各イラストに付けてください。  まずはアイデアを6つ出すように頑張ってみてください。今はアイデアの質を追求する段階ではありません。アイデアの量を追求する段階です。  また、突飛なアイデアや実現可能性が疑わしいアイデアも大歓迎です。どんなアイデアであっても、それがきっかけとなって新たなアイデアにつながるかもしれません。今はアイデアをまとめる段階ではありません。発想を広げる段階です。  「極端」なアイデアを6つ出しましょう(例えば、ドラエモンのポケットから出てくる財布みたいな)。  なお、もし6つ以上のアイデアが出た場合は用紙の下側ではなく「裏側」に描いてください。  

【司会B】 では、作業を開始します。 各自で個別に作業します。相談したり質問したりしてはいけません。  ※MUSIC開始  制限時間は「5分」です。 用意はいいですか? スタート! * 3分経過、残り2分です。 * 4分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 【司会A】 二つ折りになっている用紙を広げてください。  

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今度はパートナーに6つのアイデアを見てもらいながらインタビューしましょう。 ・ 6つのアイデアの中で、パートナーはどれが一番気に入ったみたいでしょうか。それはなぜで

しょうか。 ・ それぞれのアイデアのどの部分が気に入って、どの部分は気に入らないみたいでしょうか。そ

れはなぜでしょうか。 ・ パートナーは何か疑問を感じていないでしょうか。それはどんな疑問でしょうか。 ・ パートナーは何か重要なことを思い出していないでしょうか。それは何でしょうか。  今はアイデアを売り込む段階ではありません。相手の話に謙虚に耳を傾けて、要求をさらに深く追求する段階です。  インタビューしながら、見聞きしたことは用紙の下側に記入します。  

【司会B】 では、インタビューを始めます。 最初はパートナーAがパートナーBにインタビューします。Aの人は自分が描いたイラストを見せながらインタビューしてください。  ※MUSIC開始  制限時間は「4分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 * 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  今度はパートナーBがパートナーAにインタビューします。Bの人は自分が描いたイラストを見せながらインタビューしてください。  制限時間は「4分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 * 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 --- ワークシート3終了 ---  

※※※ ここまでで約60分間 ※※※     

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 休憩&工作準備(10­15分)  【司会A】 どうですか、そろそろパートナーの本当の要求が分かってきたのではないでしょうか。 今から休憩に入りますが、その間に、もし必要ならば、さっき記述した要求定義を変更しても構いません。  

【司会B】 hh:mmまで休憩します。  こちら(テーブル)に、この後使用する工作道具と材料がそろっているので、どんなものがあるのか事前に確認しておいてください。 ただし、まだ道具や材料は持っていかないでください。今は見るだけにしておいてください。  

    

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 ワークシート4:プロトタイピング(40分)  【司会A】 では、次の作業に移ります。  各自、二つ折りになったA3用紙を新しく1枚用意してください。 それを、さらに二つ折りにします(つまり4つ折り)。 2つ折りの状態(A4サイズ横)に戻します。 折り目が下に来るようにしてください。  【司会A】 これまでの全ての情報を総合して「ソリューション」を1つ考えます。  通常、6つのアイデアから1つを選ぶというアプローチは適切ではありません。一番良かったアイデアに他のアイデアの良い点を加えたり、複数のアイデアを組み合わせたり、新たなアイデアを付け加えたりすることで、本当のソリューションが生まれます。  また、ソリューションは実装可能でなくてはいけません。今回の場合はこの会場に用意された材料で制作可能なアイデアでないといけません。  書式は用紙の左半分にソリューションを具体的にイメージしたイラストを描きます。右半分の上部には製品名を書いて、その下に製品の特徴を3つ以内で書きます。  

【司会B】 では、作業を始めます。 各自で個別に作業します。相談したり質問したりしてはいけません。  ※MUSIC開始  制限時間は「5分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り3分です。 * 4分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 【司会A】 さあ、このワークショップの山場です。  ソリューションを実装します。 会場内にある道具と材料を使ってプロトタイプを作成してください。  

【司会B】 

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工作に関していくつかアドバイスがあります。 何かをとめる場合、ビニールテープやセロテープ、のり、クラフトテープを使うと、後で上手く剥がせません。もちろん、固定したい場合はそれでよいのですが、修正したり、やり直したりすることは難しくなります。もし、修正する可能性があれば、養生テープやメンディングテープ、ホッチキスなどを使うようにしてください。  では、作業を開始します。 各自で個別に作業します。 なお、お互いに道具や材料を貸し借りしながら、仲よく作業してください。  ※MUSIC開始  制限時間は「15分」です(道具・材料選びの時間を含む)。 なお刃物を使うので、焦らず、慎重に怪我をしないように作業してください。  用意はいいですか? スタート! * 5分経過、残り10分です。 * 10分経過、残り5分です。 * 14分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 【司会A】 用紙を裏返してください。  用紙を3分割するように線を描きます。 左上に「良い点」、その下に「問題点」、右上に「改善案」と書きます。  今度は、今作ったプロトタイプをパートナーに見てもらいながらインタビューします。 単に意見を聞くのではなく、なるべく財布を「使って」もらいながら話を聞きましょう。 ・ 財布を使う場面を想定して、実際にその財布を使うとすればどんな行動を取るでしょうか。 ・ その時に何か問題はないでしょうか。 ・ 何か追加の要求はないでしょうか。 ・ それらは、どう改善できるでしょうか。  インタビューしながら、見聞きしたことは用紙に記入します。  

【司会B】 では、インタビューを始めます。 最初はパートナーAがパートナーBにインタビューします。  ※MUSIC開始  制限時間は「4分」です。 

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用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 * 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  今度はパートナーBがパートナーAにインタビューします。  制限時間は「4分」です。 用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り2分です。 * 3分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 【司会A】 さあ、このワークショップも終盤です。  パートナーから寄せられたフィードバックを活かしてプロトタイプを改善します。限られた時間内で改善を行うには、改善案に優先順位を付けるべきです。制限時間内で達成できて、最も効果の高いと考えられる改善案に集中します。なお、特に改善すべき点がない場合は、プロトタイプの完成度を上げる作業を行ってください。  

【司会B】 では、作業を開始します。 各自で個別に作業します。 なお、お互いに道具や材料を貸し借りしながら、仲よく作業してください。  ※MUSIC開始  制限時間は「5分」です。  用意はいいですか? スタート! * 2分経過、残り3分です。 * 4分経過、残り1分です。 * 残り30秒 * 残り10秒 * 終了  ※MUSIC終了 

 --- ワークシート4終了 ---   

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 エンディング(3分) 【司会A】 お疲れ様でした。 これでデザイン思考ブートキャンプは終了です。  最後にパートナー同士で確認していただきたいことがあります。  今、各自のお手元に「4枚のワークシート」があると思います。その1枚目(表紙と理想の財布)のワークシートをお互いに「交換」していただけないでしょうか。 そして、1枚目と4枚目を見比べてください。  多くの人は1枚目と4枚目には「異なる/全く異なる絵」が描かれているのではないでしょうか。  それがデザイン思考の典型的な成果です。つまり、ユーザの要求を鵜呑みにするのではなく、インタビューと観察を通じてユーザの暗黙の要求を理解したうえで、「ユーザの要求を超える」または「ユーザが全く想像しない」ようなソリューションを提示したということです。  今回は非常に限られた時間の中でデザイン思考のプロセスを一通り実行しただけなので、必ずしも全員がパートナーを満足させるような成果を出せた訳ではないと思います。 それでも、この中にはパートナーを驚かせるようなお財布をデザインした人もいるのではないでしょうか。  

-------------------------- 以下はオプション -------------------------  展覧会(30分) 【司会A】 今日は時間に余裕があるので、他の人が作った作品をお互いに観賞できるように、今から「展覧会」を開催したいと思います。  

【司会B】 まず、展示の準備をします。 

1. 工具や材料を片付けます。今から「回収箱」が巡回するので、使い終わった工具や材料はその中に返却してください。 

2. 私物を片付けてください。皆さんに持参していただいたハサミやホッチキスはもう必要ありません。ただし、写真を撮りたい人はスマホを用意してください。 

3. 床に敷いた段ボールの上に作成したワークシートとお財布を展示してください。  次に交代で見学します。 

1. 各チームとも、まずパートナーAが説明係としてその場に残ってください。説明係はパートナーの作品と自分の作品について、見学者からの質問に答えてあげてください。 

2. パートナーBは見学者として、今から約10分間、会場内を自由に見学してください。写真を撮っても構いません。 

3. 10分経ったので交代します。今度は、パートナーBが説明係を務めてください。 4. パートナーAは見学者として、今から約10分間、会場内を自由に見学してくださ

い。写真を撮っても構いません。 

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 ドット投票+発表(20分+20分) 【司会A】 最後に人気投票を行いたいと思います。  今日は「ドット投票(Dot voting)」という簡易投票手法を使います。 投票用紙(と言っても普通のポストイットですが)を配るので、今、見学した範囲で自分が「いいな」と思った作品に自由に投票してください。 なお、投票用のポストイットに、出来れば、作者に対する感想や励ましの言葉(いいね! 欲しい! etc... イラストや絵文字でも可)」書いて投票してあげてください。  

【司会B】 今から投票用ポストイットを配ります。一人3枚ずつ配ります。 自分が「いいな」と思った作品の周りにポストイットを貼りつけてください。 ポストイットに何か一言コメントや、イラスト・絵文字を書いたりしても構いません。  なお、今日は自分とパートナーが作った作品は投票の対象外にしてください。 自分たち以外のチームの作品に投票してください。  異なる作品に1枚ずつ投票しても構いませんし、1つの作品に3枚投票しても構いません。また、ある作品には2枚、他の作品には1枚という風に投票しても構いません。  投票時間は約10分ありますので、ゆっくり考えて投票してください。 

 【司会A】 上位の作品を発表します。  1位を発表します。 皆さん、こちらに集まってください。 (制作者とパートナーに話を聞く。参加者からの質疑も可)  2位を発表します。 皆さん、こちらに集まってください。 (制作者とパートナーに話を聞く。参加者からの質疑も可)  3位を発表します。 皆さん、こちらに集まってください。 (制作者とパートナーに話を聞く。参加者からの質疑も可)  なお、今回の投票は厳密なものではありません。 今、発表した作品以外にも、ユニークな作品はたくさんあります。 ぜひ、懇親会の場で改めて他の作品もご覧になって、気になる作品があれば、その作者と話してみてください。  --- ワークショップ終了 ---     

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参考資料 d.Schoolのオリジナル資料 ◎ワークシートとファシリテーションガイド(英語) https://dschool.stanford.edu/groups/designresources/wiki/4dbb2/ ◎工作材料リスト(英語) https://dschool.stanford.edu/groups/k12/wiki/56b69/Materials_List.html  翻訳資料 ◎デザイン思考家になるための90分集中講座 ­スタンフォード大学 d.school教室­(※   この映像や資料は「プレゼント体験」用ですが、ワークシートやファシリテーションの内容は 「お財布」でもほとんど同じです。) http://designthinking.or.jp/index.php?video ◎Hcd体験ワークショップ(※上記ビデオ映像を元にした「お財布」用のファシリテーションガイドです。) http://www.slideshare.net/RieTokumi/hcd­16267797 ◎デザイン思考ブートキャンプ「お財布プロジェクト」材料リスト(※オリジナル資料を翻訳して画像を添付した材料リストです。材料購入時の参考にしてください。) http://www.slideshare.net/barrelbook/ss­15016771  

  このファシリテーションガイドの初版は Scrum Gathering Tokyo 2013 で開催した「         POのための「デザイン思考」ブートキャンプ――2時間で”お財布”を再発明!」のために、樽本徹也(アジャイルUCD研究会)と関満徳(POStudy)氏が共同で制作しました。その後、2015年6月開催のIMJワイワイCAFE「UX、デザイン思考、サービスデザインのための『ワークショップのワークショップ』」のために樽本の責任において改変したものを公開しています。  ※なお、関氏も独自に「お財布プロジェクト」ワークショップを開催されています。 ◎POStudy Day 2014 Autumn in Tokyo ~プロダクトオーナーシップを磨くための一           日~ http://www.slideshare.net/fullvirtue/postudy­day­2014­autumn­in­tokyo­postudy/ ◎「POStudy Day 2014 Autumn in Tokyo」参加レポート http://dev.classmethod.jp/etc/postudy­day­2014/   

以上 

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