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惑星と太陽風の相互作用 The Interaction of The Solar Wind with Planets 深田 佳成 Yoshinari Fukada 大学 2004/01/30

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Page 1: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用The Interaction of The Solar

Wind with Planets

深田 佳成Yoshinari Fukada

北海道大学理学部 地球科学科惑星物理学研究室

20040130

惑星と太陽風の相互作用 要旨

要旨

惑星周辺の宇宙環境は太陽から常に放射されている電磁波と太陽風によってその基本的な構造が決められるまた太陽はプラズマからなる物質と紫外放射をときおり突発的に放出して宇宙環境に大きな変動を引き起こす本研究では太陽風が惑星周辺の環境にどのような影響をあたえるのかをわれわれの星地球を中心に磁場のない惑星である金星火星磁場をもち速い自転に起因するプラズマの運動がある木星について考察した磁場の有無で惑星と太陽風の相互作用が大きく異なる地球は磁気圏が太陽風と相互作用し火星金星は電離圏が太陽風と直接相互作用するまた木星では磁気圏内のプラズマ運動が太陽風との相互作用に影響を与える本論文では惑星磁場大気プラズマと太陽風が相互作用している領域では圧力バランスが成り立っていると考え太陽風と磁気圏電離圏の境界面を求めた

地球では地球磁場と太陽風の圧力がバランスする位置に磁気圏境界面が形成され中心から約 60000kmの太陽風側に磁気圏境界面のノーズが存在する金星火星では電離圏のイオン密度の高度分布から求めた温度を用いた電離圏のプラズマ圧では太陽風を支えられないことが分かったしたがってスケールハイトから求めた温度は実際の値より小さいと考えるその原因として太陽風による電離圏の圧縮や高度による温度分布の違いが考えられる金星においてはパイオニアヴィーナス (PVO)が直接観測した温度を用いて太陽風と電離圏の境界面の数値計算をおこない火星においてはデータが乏しいことから温度や磁場を仮定して数値計算をおこなった木星ではパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)

の観測から動圧静圧磁気圧を計算し実際の観測データと比較した地球磁気圏境界面金星電離圏境界面を計算した結果観測とよい一致を得た火星電離圏境界面木星磁気圏境界面の数値計算と探査機による観測との比較から太陽風の動圧を支えるのに必要な電離圏磁気圏のプラズマ密度温度速度磁場について制約を与えることができた

summarytex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 目次 i

目 次

第 1章 はじめに 1

第 2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏 4

2-1 太陽 4

2-1-1 太陽からの電磁波放射 4

2-1-2 太陽風 4

2-2 地球 5

2-2-1 地球磁場 5

2-2-2 磁場とプラズマ 6

2-2-3 地球磁気圏 9

2-3 金星火星 10

2-3-1 電離圏 10

2-3-2 金星火星電離圏 13

2-4 木星 15

第 3章 電離圏磁気圏境界面 17

3-1 圧力バランス 17

3-2 磁気圏境界面 18

3-2-1 地球磁気圏境界面 18

3-2-2 木星磁気圏境界面 20

3-3 電離圏境界面 20

3-3-1 金星電離圏境界面 20

3-3-2 火星電離圏境界面 22

第 4章 数値計算結果 25

4-1 地球磁気圏境界面 25

4-2 金星電離圏境界面 27

4-3 火星電離圏境界面 33

4-4 木星磁気圏境界面 35

第 5章 議論 40

5-1 地球磁気圏境界面 40

5-2 金星電離圏境界面 41

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惑星と太陽風の相互作用 目次 ii

5-3 火星電離圏境界面 42

5-4 木星磁気圏境界面 44

第 6章 まとめ 49

謝辞 51

Appendix 52

第 1章 Appendix 52

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出 52

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出 57

A-3 状態方程式の導出 57

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出 59

A-5 (3-22)から (3-23)への変形 62

A-6 Lambert-Beerの法則 62

A-7 図 3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程 63

A-8 (4-2) (4-3)の求め方 64

A-9 Newton 法 65

第 2章 Fortranプログラム 67

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図 4-1 67

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図 4-2 67

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図 4-3 69

A-13 金星電離圏境界面図 4-9 70

A-14 orbit185のデータ観測値図 4-9 71

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図 4-10 72

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図 4-11 72

A-17 火星電離圏の電子密度が図 3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図 4-12 72

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面距離変化による温度変化図 5-4 74

A-19 静圧は図 3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図 5-5 75

A-20 木星磁気圏の密度分布図 4-16 77

A-21 木星磁気圏境界面図 4-17 77

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図 4-18 78

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図 5-10 79

参考文献 81

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惑星と太陽風の相互作用 1

第1章 はじめに

惑星周辺の宇宙環境は太陽から常に放射されている電磁波と太陽風によってその基本的な構造が決められる太陽風と地球磁場の相互作用は電磁流体力学を用いて記述できる金星や火星などの磁場をもたない惑星は惑星大気中に存在するプラズマ (電離層)と太陽風が相互作用する [Spreiter1970]

図 1-1 太陽風の流れの特徴 左から地球 (a)月 (b)金星と火星 (c) [Spreiter1970]

地球月火星金星周辺で近年得られたデータは太陽風との相互作用に関して 3つの本質的に異なるタイプを明らかにした地球の場合通常の状況下において地磁気場により太陽風が 10RE(RE 地球半径)程度より接近するのを妨げているその覆われた空間つまり磁気圏は太陽風による超音速の流れにとって障害の役割をし図 1-1(a)に示すようにバウショックが磁気圏境界層の上側 23RE

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惑星と太陽風の相互作用 2

に形成される太陽風と月の相互作用に関しては月には太陽風の運動を変えるような十分強い磁場や電離層がないために月周辺のプラズマ環境は地球の場合と非常に異なる太陽風は月表面に接触するまで抑制されずに進み月表面は効率的にその流れを変えるその結果バウショックは形成されず図 1-1(b)のように月の後方に存在する流れの閉じた跡や太陽風の空洞が存在すると考えられている金星や火星は磁場を持たないが惑星大気 (電離層)は太陽風が惑星表面もしくは大気に直接流れ込むのを防ぐしたがってバウショックが惑星周囲に形成される電離層と太陽風の境界面で形成される空間のサイズは惑星により異なる図 1-1(c)に示すように磁場のない惑星の周りの電離層境界面は地球の周りの磁気圏境界面より惑星表面に近いところに存在する金星のノーズの高度は 500kmであるのに対して地球は 60000kmである火星のノーズの高度はよく知られていないが155kmから 175kmの間であると考えられている [Spreiter1970]

最近の結果から平均的な地球磁気圏境界面の位置は 10REであり金星電離圏境界面の位置は太陽風の動圧が高いときには 300km低いときには 425kmである[Russell and Vaisberg 1983]

金星火星の電離圏境界面を考える場合Spreiter1970は電離圏での静圧を次のように仮定した電離圏内の気体は静止していると仮定し平衡は気圧勾配と重力の間に存在する

dp

dr= minusρg (1-1)

ここで pと ρは気体の圧力と密度で rは惑星中心からの距離gは重力加速度を示す圧力は理想気体を考えることにより

p = nkT = ρRTM (1-2)

ここで nは粒子の全数密度でありTは絶対温度kはボルツマン定数で値は k =

138times10minus23JKRは気体定数で値はR=831 JmolmiddotK Mは平均分子量である温度重力加速度を一定と仮定すると式 (1-1) (1-2)より

p = pR exp(minusr minus rR

H) (1-3)

と電離圏での静圧分布が求まるここで rRは電離圏境界面の距離pR は電離圏境界面での圧力Hはプラズマのスケールハイトである

電離圏での静圧分布は 2章 3節で示すChapman関数で示す方がより実際の値に近い本論文では Chapman関数を用いた

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めたそ

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惑星と太陽風の相互作用 3

れぞれの惑星について太陽風の動圧の変化による境界面のノーズの変化太陽天頂角変化に対する境界面の変化を計算したまた金星火星に関しては電離圏の環境変化も激しいので電離圏の温度やイオン密度を変化させて計算した金星の場合はパイオニアヴィーナスオービター (PVO)などによる観測例が多く存在しているため計算結果と比較検討をおこなった火星の場合は観測データが金星の場合に比べて乏しいため金星と同様の考え方で計算し推測をおこなった木星の場合は動圧静圧磁気圧それぞれにおいて仮定を用いて考えパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)による観測データと比較をおこない太陽風とどのように圧力バランスしているか考えた

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惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

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惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

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惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 2: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 要旨

要旨

惑星周辺の宇宙環境は太陽から常に放射されている電磁波と太陽風によってその基本的な構造が決められるまた太陽はプラズマからなる物質と紫外放射をときおり突発的に放出して宇宙環境に大きな変動を引き起こす本研究では太陽風が惑星周辺の環境にどのような影響をあたえるのかをわれわれの星地球を中心に磁場のない惑星である金星火星磁場をもち速い自転に起因するプラズマの運動がある木星について考察した磁場の有無で惑星と太陽風の相互作用が大きく異なる地球は磁気圏が太陽風と相互作用し火星金星は電離圏が太陽風と直接相互作用するまた木星では磁気圏内のプラズマ運動が太陽風との相互作用に影響を与える本論文では惑星磁場大気プラズマと太陽風が相互作用している領域では圧力バランスが成り立っていると考え太陽風と磁気圏電離圏の境界面を求めた

地球では地球磁場と太陽風の圧力がバランスする位置に磁気圏境界面が形成され中心から約 60000kmの太陽風側に磁気圏境界面のノーズが存在する金星火星では電離圏のイオン密度の高度分布から求めた温度を用いた電離圏のプラズマ圧では太陽風を支えられないことが分かったしたがってスケールハイトから求めた温度は実際の値より小さいと考えるその原因として太陽風による電離圏の圧縮や高度による温度分布の違いが考えられる金星においてはパイオニアヴィーナス (PVO)が直接観測した温度を用いて太陽風と電離圏の境界面の数値計算をおこない火星においてはデータが乏しいことから温度や磁場を仮定して数値計算をおこなった木星ではパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)

の観測から動圧静圧磁気圧を計算し実際の観測データと比較した地球磁気圏境界面金星電離圏境界面を計算した結果観測とよい一致を得た火星電離圏境界面木星磁気圏境界面の数値計算と探査機による観測との比較から太陽風の動圧を支えるのに必要な電離圏磁気圏のプラズマ密度温度速度磁場について制約を与えることができた

summarytex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 目次 i

目 次

第 1章 はじめに 1

第 2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏 4

2-1 太陽 4

2-1-1 太陽からの電磁波放射 4

2-1-2 太陽風 4

2-2 地球 5

2-2-1 地球磁場 5

2-2-2 磁場とプラズマ 6

2-2-3 地球磁気圏 9

2-3 金星火星 10

2-3-1 電離圏 10

2-3-2 金星火星電離圏 13

2-4 木星 15

第 3章 電離圏磁気圏境界面 17

3-1 圧力バランス 17

3-2 磁気圏境界面 18

3-2-1 地球磁気圏境界面 18

3-2-2 木星磁気圏境界面 20

3-3 電離圏境界面 20

3-3-1 金星電離圏境界面 20

3-3-2 火星電離圏境界面 22

第 4章 数値計算結果 25

4-1 地球磁気圏境界面 25

4-2 金星電離圏境界面 27

4-3 火星電離圏境界面 33

4-4 木星磁気圏境界面 35

第 5章 議論 40

5-1 地球磁気圏境界面 40

5-2 金星電離圏境界面 41

20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 目次 ii

5-3 火星電離圏境界面 42

5-4 木星磁気圏境界面 44

第 6章 まとめ 49

謝辞 51

Appendix 52

第 1章 Appendix 52

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出 52

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出 57

A-3 状態方程式の導出 57

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出 59

A-5 (3-22)から (3-23)への変形 62

A-6 Lambert-Beerの法則 62

A-7 図 3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程 63

A-8 (4-2) (4-3)の求め方 64

A-9 Newton 法 65

第 2章 Fortranプログラム 67

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図 4-1 67

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図 4-2 67

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図 4-3 69

A-13 金星電離圏境界面図 4-9 70

A-14 orbit185のデータ観測値図 4-9 71

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図 4-10 72

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図 4-11 72

A-17 火星電離圏の電子密度が図 3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図 4-12 72

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面距離変化による温度変化図 5-4 74

A-19 静圧は図 3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図 5-5 75

A-20 木星磁気圏の密度分布図 4-16 77

A-21 木星磁気圏境界面図 4-17 77

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図 4-18 78

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図 5-10 79

参考文献 81

20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 1

第1章 はじめに

惑星周辺の宇宙環境は太陽から常に放射されている電磁波と太陽風によってその基本的な構造が決められる太陽風と地球磁場の相互作用は電磁流体力学を用いて記述できる金星や火星などの磁場をもたない惑星は惑星大気中に存在するプラズマ (電離層)と太陽風が相互作用する [Spreiter1970]

図 1-1 太陽風の流れの特徴 左から地球 (a)月 (b)金星と火星 (c) [Spreiter1970]

地球月火星金星周辺で近年得られたデータは太陽風との相互作用に関して 3つの本質的に異なるタイプを明らかにした地球の場合通常の状況下において地磁気場により太陽風が 10RE(RE 地球半径)程度より接近するのを妨げているその覆われた空間つまり磁気圏は太陽風による超音速の流れにとって障害の役割をし図 1-1(a)に示すようにバウショックが磁気圏境界層の上側 23RE

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 2

に形成される太陽風と月の相互作用に関しては月には太陽風の運動を変えるような十分強い磁場や電離層がないために月周辺のプラズマ環境は地球の場合と非常に異なる太陽風は月表面に接触するまで抑制されずに進み月表面は効率的にその流れを変えるその結果バウショックは形成されず図 1-1(b)のように月の後方に存在する流れの閉じた跡や太陽風の空洞が存在すると考えられている金星や火星は磁場を持たないが惑星大気 (電離層)は太陽風が惑星表面もしくは大気に直接流れ込むのを防ぐしたがってバウショックが惑星周囲に形成される電離層と太陽風の境界面で形成される空間のサイズは惑星により異なる図 1-1(c)に示すように磁場のない惑星の周りの電離層境界面は地球の周りの磁気圏境界面より惑星表面に近いところに存在する金星のノーズの高度は 500kmであるのに対して地球は 60000kmである火星のノーズの高度はよく知られていないが155kmから 175kmの間であると考えられている [Spreiter1970]

最近の結果から平均的な地球磁気圏境界面の位置は 10REであり金星電離圏境界面の位置は太陽風の動圧が高いときには 300km低いときには 425kmである[Russell and Vaisberg 1983]

金星火星の電離圏境界面を考える場合Spreiter1970は電離圏での静圧を次のように仮定した電離圏内の気体は静止していると仮定し平衡は気圧勾配と重力の間に存在する

dp

dr= minusρg (1-1)

ここで pと ρは気体の圧力と密度で rは惑星中心からの距離gは重力加速度を示す圧力は理想気体を考えることにより

p = nkT = ρRTM (1-2)

ここで nは粒子の全数密度でありTは絶対温度kはボルツマン定数で値は k =

138times10minus23JKRは気体定数で値はR=831 JmolmiddotK Mは平均分子量である温度重力加速度を一定と仮定すると式 (1-1) (1-2)より

p = pR exp(minusr minus rR

H) (1-3)

と電離圏での静圧分布が求まるここで rRは電離圏境界面の距離pR は電離圏境界面での圧力Hはプラズマのスケールハイトである

電離圏での静圧分布は 2章 3節で示すChapman関数で示す方がより実際の値に近い本論文では Chapman関数を用いた

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めたそ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 3

れぞれの惑星について太陽風の動圧の変化による境界面のノーズの変化太陽天頂角変化に対する境界面の変化を計算したまた金星火星に関しては電離圏の環境変化も激しいので電離圏の温度やイオン密度を変化させて計算した金星の場合はパイオニアヴィーナスオービター (PVO)などによる観測例が多く存在しているため計算結果と比較検討をおこなった火星の場合は観測データが金星の場合に比べて乏しいため金星と同様の考え方で計算し推測をおこなった木星の場合は動圧静圧磁気圧それぞれにおいて仮定を用いて考えパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)による観測データと比較をおこない太陽風とどのように圧力バランスしているか考えた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

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惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

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惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

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惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

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惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

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惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

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惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

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惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

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惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

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惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

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惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

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惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 3: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 目次 i

目 次

第 1章 はじめに 1

第 2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏 4

2-1 太陽 4

2-1-1 太陽からの電磁波放射 4

2-1-2 太陽風 4

2-2 地球 5

2-2-1 地球磁場 5

2-2-2 磁場とプラズマ 6

2-2-3 地球磁気圏 9

2-3 金星火星 10

2-3-1 電離圏 10

2-3-2 金星火星電離圏 13

2-4 木星 15

第 3章 電離圏磁気圏境界面 17

3-1 圧力バランス 17

3-2 磁気圏境界面 18

3-2-1 地球磁気圏境界面 18

3-2-2 木星磁気圏境界面 20

3-3 電離圏境界面 20

3-3-1 金星電離圏境界面 20

3-3-2 火星電離圏境界面 22

第 4章 数値計算結果 25

4-1 地球磁気圏境界面 25

4-2 金星電離圏境界面 27

4-3 火星電離圏境界面 33

4-4 木星磁気圏境界面 35

第 5章 議論 40

5-1 地球磁気圏境界面 40

5-2 金星電離圏境界面 41

20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 目次 ii

5-3 火星電離圏境界面 42

5-4 木星磁気圏境界面 44

第 6章 まとめ 49

謝辞 51

Appendix 52

第 1章 Appendix 52

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出 52

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出 57

A-3 状態方程式の導出 57

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出 59

A-5 (3-22)から (3-23)への変形 62

A-6 Lambert-Beerの法則 62

A-7 図 3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程 63

A-8 (4-2) (4-3)の求め方 64

A-9 Newton 法 65

第 2章 Fortranプログラム 67

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図 4-1 67

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図 4-2 67

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図 4-3 69

A-13 金星電離圏境界面図 4-9 70

A-14 orbit185のデータ観測値図 4-9 71

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図 4-10 72

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図 4-11 72

A-17 火星電離圏の電子密度が図 3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図 4-12 72

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面距離変化による温度変化図 5-4 74

A-19 静圧は図 3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図 5-5 75

A-20 木星磁気圏の密度分布図 4-16 77

A-21 木星磁気圏境界面図 4-17 77

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図 4-18 78

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図 5-10 79

参考文献 81

20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 1

第1章 はじめに

惑星周辺の宇宙環境は太陽から常に放射されている電磁波と太陽風によってその基本的な構造が決められる太陽風と地球磁場の相互作用は電磁流体力学を用いて記述できる金星や火星などの磁場をもたない惑星は惑星大気中に存在するプラズマ (電離層)と太陽風が相互作用する [Spreiter1970]

図 1-1 太陽風の流れの特徴 左から地球 (a)月 (b)金星と火星 (c) [Spreiter1970]

地球月火星金星周辺で近年得られたデータは太陽風との相互作用に関して 3つの本質的に異なるタイプを明らかにした地球の場合通常の状況下において地磁気場により太陽風が 10RE(RE 地球半径)程度より接近するのを妨げているその覆われた空間つまり磁気圏は太陽風による超音速の流れにとって障害の役割をし図 1-1(a)に示すようにバウショックが磁気圏境界層の上側 23RE

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 2

に形成される太陽風と月の相互作用に関しては月には太陽風の運動を変えるような十分強い磁場や電離層がないために月周辺のプラズマ環境は地球の場合と非常に異なる太陽風は月表面に接触するまで抑制されずに進み月表面は効率的にその流れを変えるその結果バウショックは形成されず図 1-1(b)のように月の後方に存在する流れの閉じた跡や太陽風の空洞が存在すると考えられている金星や火星は磁場を持たないが惑星大気 (電離層)は太陽風が惑星表面もしくは大気に直接流れ込むのを防ぐしたがってバウショックが惑星周囲に形成される電離層と太陽風の境界面で形成される空間のサイズは惑星により異なる図 1-1(c)に示すように磁場のない惑星の周りの電離層境界面は地球の周りの磁気圏境界面より惑星表面に近いところに存在する金星のノーズの高度は 500kmであるのに対して地球は 60000kmである火星のノーズの高度はよく知られていないが155kmから 175kmの間であると考えられている [Spreiter1970]

最近の結果から平均的な地球磁気圏境界面の位置は 10REであり金星電離圏境界面の位置は太陽風の動圧が高いときには 300km低いときには 425kmである[Russell and Vaisberg 1983]

金星火星の電離圏境界面を考える場合Spreiter1970は電離圏での静圧を次のように仮定した電離圏内の気体は静止していると仮定し平衡は気圧勾配と重力の間に存在する

dp

dr= minusρg (1-1)

ここで pと ρは気体の圧力と密度で rは惑星中心からの距離gは重力加速度を示す圧力は理想気体を考えることにより

p = nkT = ρRTM (1-2)

ここで nは粒子の全数密度でありTは絶対温度kはボルツマン定数で値は k =

138times10minus23JKRは気体定数で値はR=831 JmolmiddotK Mは平均分子量である温度重力加速度を一定と仮定すると式 (1-1) (1-2)より

p = pR exp(minusr minus rR

H) (1-3)

と電離圏での静圧分布が求まるここで rRは電離圏境界面の距離pR は電離圏境界面での圧力Hはプラズマのスケールハイトである

電離圏での静圧分布は 2章 3節で示すChapman関数で示す方がより実際の値に近い本論文では Chapman関数を用いた

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めたそ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 3

れぞれの惑星について太陽風の動圧の変化による境界面のノーズの変化太陽天頂角変化に対する境界面の変化を計算したまた金星火星に関しては電離圏の環境変化も激しいので電離圏の温度やイオン密度を変化させて計算した金星の場合はパイオニアヴィーナスオービター (PVO)などによる観測例が多く存在しているため計算結果と比較検討をおこなった火星の場合は観測データが金星の場合に比べて乏しいため金星と同様の考え方で計算し推測をおこなった木星の場合は動圧静圧磁気圧それぞれにおいて仮定を用いて考えパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)による観測データと比較をおこない太陽風とどのように圧力バランスしているか考えた

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惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

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惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

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惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

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惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

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惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

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惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

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惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 4: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 目次 ii

5-3 火星電離圏境界面 42

5-4 木星磁気圏境界面 44

第 6章 まとめ 49

謝辞 51

Appendix 52

第 1章 Appendix 52

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出 52

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出 57

A-3 状態方程式の導出 57

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出 59

A-5 (3-22)から (3-23)への変形 62

A-6 Lambert-Beerの法則 62

A-7 図 3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程 63

A-8 (4-2) (4-3)の求め方 64

A-9 Newton 法 65

第 2章 Fortranプログラム 67

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図 4-1 67

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図 4-2 67

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図 4-3 69

A-13 金星電離圏境界面図 4-9 70

A-14 orbit185のデータ観測値図 4-9 71

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図 4-10 72

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図 4-11 72

A-17 火星電離圏の電子密度が図 3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図 4-12 72

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面距離変化による温度変化図 5-4 74

A-19 静圧は図 3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図 5-5 75

A-20 木星磁気圏の密度分布図 4-16 77

A-21 木星磁気圏境界面図 4-17 77

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図 4-18 78

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図 5-10 79

参考文献 81

20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 1

第1章 はじめに

惑星周辺の宇宙環境は太陽から常に放射されている電磁波と太陽風によってその基本的な構造が決められる太陽風と地球磁場の相互作用は電磁流体力学を用いて記述できる金星や火星などの磁場をもたない惑星は惑星大気中に存在するプラズマ (電離層)と太陽風が相互作用する [Spreiter1970]

図 1-1 太陽風の流れの特徴 左から地球 (a)月 (b)金星と火星 (c) [Spreiter1970]

地球月火星金星周辺で近年得られたデータは太陽風との相互作用に関して 3つの本質的に異なるタイプを明らかにした地球の場合通常の状況下において地磁気場により太陽風が 10RE(RE 地球半径)程度より接近するのを妨げているその覆われた空間つまり磁気圏は太陽風による超音速の流れにとって障害の役割をし図 1-1(a)に示すようにバウショックが磁気圏境界層の上側 23RE

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惑星と太陽風の相互作用 2

に形成される太陽風と月の相互作用に関しては月には太陽風の運動を変えるような十分強い磁場や電離層がないために月周辺のプラズマ環境は地球の場合と非常に異なる太陽風は月表面に接触するまで抑制されずに進み月表面は効率的にその流れを変えるその結果バウショックは形成されず図 1-1(b)のように月の後方に存在する流れの閉じた跡や太陽風の空洞が存在すると考えられている金星や火星は磁場を持たないが惑星大気 (電離層)は太陽風が惑星表面もしくは大気に直接流れ込むのを防ぐしたがってバウショックが惑星周囲に形成される電離層と太陽風の境界面で形成される空間のサイズは惑星により異なる図 1-1(c)に示すように磁場のない惑星の周りの電離層境界面は地球の周りの磁気圏境界面より惑星表面に近いところに存在する金星のノーズの高度は 500kmであるのに対して地球は 60000kmである火星のノーズの高度はよく知られていないが155kmから 175kmの間であると考えられている [Spreiter1970]

最近の結果から平均的な地球磁気圏境界面の位置は 10REであり金星電離圏境界面の位置は太陽風の動圧が高いときには 300km低いときには 425kmである[Russell and Vaisberg 1983]

金星火星の電離圏境界面を考える場合Spreiter1970は電離圏での静圧を次のように仮定した電離圏内の気体は静止していると仮定し平衡は気圧勾配と重力の間に存在する

dp

dr= minusρg (1-1)

ここで pと ρは気体の圧力と密度で rは惑星中心からの距離gは重力加速度を示す圧力は理想気体を考えることにより

p = nkT = ρRTM (1-2)

ここで nは粒子の全数密度でありTは絶対温度kはボルツマン定数で値は k =

138times10minus23JKRは気体定数で値はR=831 JmolmiddotK Mは平均分子量である温度重力加速度を一定と仮定すると式 (1-1) (1-2)より

p = pR exp(minusr minus rR

H) (1-3)

と電離圏での静圧分布が求まるここで rRは電離圏境界面の距離pR は電離圏境界面での圧力Hはプラズマのスケールハイトである

電離圏での静圧分布は 2章 3節で示すChapman関数で示す方がより実際の値に近い本論文では Chapman関数を用いた

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めたそ

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惑星と太陽風の相互作用 3

れぞれの惑星について太陽風の動圧の変化による境界面のノーズの変化太陽天頂角変化に対する境界面の変化を計算したまた金星火星に関しては電離圏の環境変化も激しいので電離圏の温度やイオン密度を変化させて計算した金星の場合はパイオニアヴィーナスオービター (PVO)などによる観測例が多く存在しているため計算結果と比較検討をおこなった火星の場合は観測データが金星の場合に比べて乏しいため金星と同様の考え方で計算し推測をおこなった木星の場合は動圧静圧磁気圧それぞれにおいて仮定を用いて考えパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)による観測データと比較をおこない太陽風とどのように圧力バランスしているか考えた

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惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

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惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

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惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

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惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 5: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 1

第1章 はじめに

惑星周辺の宇宙環境は太陽から常に放射されている電磁波と太陽風によってその基本的な構造が決められる太陽風と地球磁場の相互作用は電磁流体力学を用いて記述できる金星や火星などの磁場をもたない惑星は惑星大気中に存在するプラズマ (電離層)と太陽風が相互作用する [Spreiter1970]

図 1-1 太陽風の流れの特徴 左から地球 (a)月 (b)金星と火星 (c) [Spreiter1970]

地球月火星金星周辺で近年得られたデータは太陽風との相互作用に関して 3つの本質的に異なるタイプを明らかにした地球の場合通常の状況下において地磁気場により太陽風が 10RE(RE 地球半径)程度より接近するのを妨げているその覆われた空間つまり磁気圏は太陽風による超音速の流れにとって障害の役割をし図 1-1(a)に示すようにバウショックが磁気圏境界層の上側 23RE

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惑星と太陽風の相互作用 2

に形成される太陽風と月の相互作用に関しては月には太陽風の運動を変えるような十分強い磁場や電離層がないために月周辺のプラズマ環境は地球の場合と非常に異なる太陽風は月表面に接触するまで抑制されずに進み月表面は効率的にその流れを変えるその結果バウショックは形成されず図 1-1(b)のように月の後方に存在する流れの閉じた跡や太陽風の空洞が存在すると考えられている金星や火星は磁場を持たないが惑星大気 (電離層)は太陽風が惑星表面もしくは大気に直接流れ込むのを防ぐしたがってバウショックが惑星周囲に形成される電離層と太陽風の境界面で形成される空間のサイズは惑星により異なる図 1-1(c)に示すように磁場のない惑星の周りの電離層境界面は地球の周りの磁気圏境界面より惑星表面に近いところに存在する金星のノーズの高度は 500kmであるのに対して地球は 60000kmである火星のノーズの高度はよく知られていないが155kmから 175kmの間であると考えられている [Spreiter1970]

最近の結果から平均的な地球磁気圏境界面の位置は 10REであり金星電離圏境界面の位置は太陽風の動圧が高いときには 300km低いときには 425kmである[Russell and Vaisberg 1983]

金星火星の電離圏境界面を考える場合Spreiter1970は電離圏での静圧を次のように仮定した電離圏内の気体は静止していると仮定し平衡は気圧勾配と重力の間に存在する

dp

dr= minusρg (1-1)

ここで pと ρは気体の圧力と密度で rは惑星中心からの距離gは重力加速度を示す圧力は理想気体を考えることにより

p = nkT = ρRTM (1-2)

ここで nは粒子の全数密度でありTは絶対温度kはボルツマン定数で値は k =

138times10minus23JKRは気体定数で値はR=831 JmolmiddotK Mは平均分子量である温度重力加速度を一定と仮定すると式 (1-1) (1-2)より

p = pR exp(minusr minus rR

H) (1-3)

と電離圏での静圧分布が求まるここで rRは電離圏境界面の距離pR は電離圏境界面での圧力Hはプラズマのスケールハイトである

電離圏での静圧分布は 2章 3節で示すChapman関数で示す方がより実際の値に近い本論文では Chapman関数を用いた

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めたそ

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惑星と太陽風の相互作用 3

れぞれの惑星について太陽風の動圧の変化による境界面のノーズの変化太陽天頂角変化に対する境界面の変化を計算したまた金星火星に関しては電離圏の環境変化も激しいので電離圏の温度やイオン密度を変化させて計算した金星の場合はパイオニアヴィーナスオービター (PVO)などによる観測例が多く存在しているため計算結果と比較検討をおこなった火星の場合は観測データが金星の場合に比べて乏しいため金星と同様の考え方で計算し推測をおこなった木星の場合は動圧静圧磁気圧それぞれにおいて仮定を用いて考えパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)による観測データと比較をおこない太陽風とどのように圧力バランスしているか考えた

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惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

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惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

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惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 6: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 2

に形成される太陽風と月の相互作用に関しては月には太陽風の運動を変えるような十分強い磁場や電離層がないために月周辺のプラズマ環境は地球の場合と非常に異なる太陽風は月表面に接触するまで抑制されずに進み月表面は効率的にその流れを変えるその結果バウショックは形成されず図 1-1(b)のように月の後方に存在する流れの閉じた跡や太陽風の空洞が存在すると考えられている金星や火星は磁場を持たないが惑星大気 (電離層)は太陽風が惑星表面もしくは大気に直接流れ込むのを防ぐしたがってバウショックが惑星周囲に形成される電離層と太陽風の境界面で形成される空間のサイズは惑星により異なる図 1-1(c)に示すように磁場のない惑星の周りの電離層境界面は地球の周りの磁気圏境界面より惑星表面に近いところに存在する金星のノーズの高度は 500kmであるのに対して地球は 60000kmである火星のノーズの高度はよく知られていないが155kmから 175kmの間であると考えられている [Spreiter1970]

最近の結果から平均的な地球磁気圏境界面の位置は 10REであり金星電離圏境界面の位置は太陽風の動圧が高いときには 300km低いときには 425kmである[Russell and Vaisberg 1983]

金星火星の電離圏境界面を考える場合Spreiter1970は電離圏での静圧を次のように仮定した電離圏内の気体は静止していると仮定し平衡は気圧勾配と重力の間に存在する

dp

dr= minusρg (1-1)

ここで pと ρは気体の圧力と密度で rは惑星中心からの距離gは重力加速度を示す圧力は理想気体を考えることにより

p = nkT = ρRTM (1-2)

ここで nは粒子の全数密度でありTは絶対温度kはボルツマン定数で値は k =

138times10minus23JKRは気体定数で値はR=831 JmolmiddotK Mは平均分子量である温度重力加速度を一定と仮定すると式 (1-1) (1-2)より

p = pR exp(minusr minus rR

H) (1-3)

と電離圏での静圧分布が求まるここで rRは電離圏境界面の距離pR は電離圏境界面での圧力Hはプラズマのスケールハイトである

電離圏での静圧分布は 2章 3節で示すChapman関数で示す方がより実際の値に近い本論文では Chapman関数を用いた

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めたそ

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惑星と太陽風の相互作用 3

れぞれの惑星について太陽風の動圧の変化による境界面のノーズの変化太陽天頂角変化に対する境界面の変化を計算したまた金星火星に関しては電離圏の環境変化も激しいので電離圏の温度やイオン密度を変化させて計算した金星の場合はパイオニアヴィーナスオービター (PVO)などによる観測例が多く存在しているため計算結果と比較検討をおこなった火星の場合は観測データが金星の場合に比べて乏しいため金星と同様の考え方で計算し推測をおこなった木星の場合は動圧静圧磁気圧それぞれにおいて仮定を用いて考えパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)による観測データと比較をおこない太陽風とどのように圧力バランスしているか考えた

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惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

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惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

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惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 7: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 3

れぞれの惑星について太陽風の動圧の変化による境界面のノーズの変化太陽天頂角変化に対する境界面の変化を計算したまた金星火星に関しては電離圏の環境変化も激しいので電離圏の温度やイオン密度を変化させて計算した金星の場合はパイオニアヴィーナスオービター (PVO)などによる観測例が多く存在しているため計算結果と比較検討をおこなった火星の場合は観測データが金星の場合に比べて乏しいため金星と同様の考え方で計算し推測をおこなった木星の場合は動圧静圧磁気圧それぞれにおいて仮定を用いて考えパイオニア (Pioneer)ヴォイジャー (Voyager)による観測データと比較をおこない太陽風とどのように圧力バランスしているか考えた

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惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

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惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

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惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

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惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

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惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

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惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

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惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

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惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

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惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

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惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

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惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 8: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 4

第2章 太陽風と惑星の電離圏磁気圏

2-1 太陽

2-1-1 太陽からの電磁波放射

太陽は多量のエネルギーを電磁波として放射し惑星大気の気象現象や電離層の生成などの源となっているこのエネルギーの源は太陽の中心核で進行する核融合反応によって生じたものと考えられている

太陽からの紫外線によって惑星大気中の原子や分子の解離電離 (光反応)が起こりイオンと電子 (プラズマ)からなる電離層が形成される

2-1-2 太陽風

太陽は電磁波の放射のほかに太陽風と呼ばれるプラズマの流れを放出している太陽コロナのプラズマは 100万度という高温にあるため静的な釣り合い状態がとれずコロナのプラズマは絶えず外向きに加速されて超音速の流れとなり惑星間空間に向かって吹き流されているこの流れを太陽風という太陽風のエネルギーは地球付近で~10minus9Paであり電磁波放射の 100万分の 1にすぎないがこの太陽風が惑星の周辺の宇宙環境を決定づけるエネルギー源となっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

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惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 9: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 5

2-2 地球

2-2-1 地球磁場

地球の磁場は図 2-1のように地球の中心に自転軸から 11 deg傾けて磁気双極子をおいた磁場で近似できるこの磁気双極子を表現するには磁気双極子を基準にした地磁気緯度 θ地磁気経度 φを用いる地球の中心を原点に位置ベクトルrで表される任意の P の地磁気緯度は磁気双極子M に垂直な面とベクトル rとがなす角で定義されるP における双極子磁場のポテンシャル V は

図 2-1 地球の双極子磁場の概念図 地球中心の双極子の N極は南極側にある

V = Mr

r3(2-1)

と表せられる Mと rのなす角が π2 + θ であることに注意すると

V = minusMsin θ

r2(2-2)

が得られる通常地球の磁場は図 2-2のように水平成分H(北向きが正)鉛直成分 Z(下向きが正)および伏角 Iで表される式 (2-2)から

H = Bθ = minus partV

rpartθ=

M cos θ

r3= B0 cos θ(

RE

r)3 (2-3)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 10: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 6

Z = minusBr =partV

partr=

2M sin θ

r3= 2B0 sin θ(

RE

r)3 (2-4)

tan I =Z

H= 2 tan θ (2-5)

磁場の強度は

B =radic

H2 + Z2 = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (2-6)

ここでREは地球半径B0は地表の赤道における磁束密度の大きさである磁場の強さは距離の 3乗に反比例して減少する

図 2-2 Bは磁場ベクトルHは水平成分Zは鉛直成分Dは偏角Iは伏角

2-2-2 磁場とプラズマ

磁場は電離ガスであるプラズマと強い相互作用を起こし両者は絡み合った複雑な運動をするその磁場とプラズマの運動を記述する電磁流体力学 (MHD)について説明する

MHD方程式の基本となるのはマクスウェルの方程式である

rot E +part B

partt= 0 (2-7)

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惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 11: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 7

div B = 0 (2-8)

rot H = J (2-9)

div D = ρ (2-10)

オームの法則  (電気伝導度 σを用いる)

J = σ( E + V times B) (2-11)

を用いて式 (2-7)(2-10)より E Jを消去して

part B

partt= rot(V times B) + (

1

micro0σ) B   (2-12)

となる右辺第 2項を無視した式

part B

partt= rot(V times B) (2-13)

は磁力線はいつもそこに存在するプラズマとともに動く (frozen-in)ことを示している現象的には異なった起源の磁場をもつプラズマは互いに混じりあわないことを意味しているこれを式 (2-1)と比べると

E + V times B = 0 (2-14)

となるこの式は式 (2-11)で σ = infinに対して Jが有限であるための条件としても得られるσ = infinの場合電場 Eは磁力線に平行な成分を持たない ( E = minusV times B

による)

V を磁場に平行な速度 Vと磁場に垂直な速度 Vperpに分けて考える式 (2-14)はVについて何も決定しないがVperpについては

Vperp =E times B

B2(2-15)

となりプラズマと磁力線の運動は磁場と電場によって完全に記述できる

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惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

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惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 12: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 8

式 (2-12)の右辺第 2項について考えるこの項は凍結の原理が成り立つような理想的な電磁流体状態が破れプラズマが互いに混じりあう状態に適用される磁場の拡散の時定数 τは

τ sim micro0σL2 (2-16)

と表されるここで Lは磁場拡散の空間スケールである

電磁流体における運動方程式は

ρdV

dt= minusgradp + J times B (2-17)

である右辺第 2項は磁気力を示すアンペールの法則 ( 1micro0

rot B = J   div B = 0)

から

J times B = (1

micro0

)rot B times B (2-18)

= minusgradB2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(2-19)

となる式 (2-19)の右辺でB2

2micro0は磁気圧と呼ばれるまた第 2項は磁気張力を

表す磁場は圧力として運動方程式に入り (磁気圧)また張力としても寄与する (磁気張力)

連続の式 (質量保存則)は

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (2-20)

でありエネルギー方程式は式 (2-17)に V middotを掛け連続の式状態方程式を用いて

part

partt(ρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0) + div(

ρV 2

2V +

γpV

γ minus 1+

E times B

micro0) = 0 (2-21)

となるここで左辺第 1項の括弧  第 1項流体運動の運動エネルギー         第 2項熱エネルギー         第 3項磁場のエネルギー左辺第 2項 第 1項の括弧内のエネルギーの移流

であるただし左辺第 2項の最後の項はポインティングフラックスである (電場と磁場のエネルギーの流れ)

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

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惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

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惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

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惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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惑星と太陽風の相互作用 9

2-2-3 地球磁気圏

地球磁気圏の外側の惑星間空間には300~800kmsの太陽風が吹いている地球の磁場は太陽風にあたかも壁のごとくたちはだかり太陽に面した側の地球磁場は圧縮され流れの圧力とつりあうまた地球磁場はほぼ球形の空間に閉じ込められて磁気圏を形成するそのため太陽風は進路を曲げられ上下や脇にそれて夜側へと流されていく夜側の磁気圏境界の形状は太陽風プラズマに吹き流されて長く尾を引いている

図 2-3 3つの磁気圏モデル(a)太陽風との相互作用を考えないモデル地球の双

極子磁場に支配され軸対称な構造をもつ(b)静的な閉じた磁気圏太陽風は地球磁

気圏と相互作用することなく周りをすり抜けていく(c)動的な開いた磁気圏太陽

風は磁力線再結合過程を通して地球磁気圏内の対流を支配しているこの図は惑星

間空間磁場 (IMF)が南向きの様子IMF の方向によって磁気圏内のさまざまな対流

パターンが引き起こされる

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惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

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惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

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惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

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惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

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惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

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惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

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惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

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惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

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惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

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惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

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惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

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惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

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惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

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惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

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惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

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惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

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惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 14: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 10

2-3 金星火星

2-3-1 電離圏

電離圏の熱源は中性大気粒子による太陽電磁放射の吸収によって生成した光電子である吸光は主として波長 3000Å以下の紫外領域で起こりそれぞれの波長に対応して異なる高さで異なる吸光機構によって放射エネルギーの吸光がおこる

水平方向に一様な平行成層大気を考えそこに複数の気体種X = 1 2 3が数密度n(X z)で存在するものとする太陽放射は天頂角χの方向から平行光束として入射してくるものとして大気外での放射束を Φ(λinfin)[photonsmiddotcmminus2middotsecminus1middotÅminus1]とするいま分子種Xの波長 λにおける吸光断面積を σ(X λ)[cm2particle]とおけば高さ zにおける放射束は Beerの減光法則により

図 2-4 平行球面大気による放射の吸収

Φ(λ z) = Φ(λinfin) exp[minusτ(λ z χ)] (2-22)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

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惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 15: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 11

となるここに

τ(λ z χ) =sumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)ds (2-23)

sec χsumX

σ(X λ)

int infin

z

n(X zprime)dzprime (2-24)

sec χsumX

σ(X λ)n(X z)H (2-25)

は高さ zにおける光学的深さを表すまた 2行目は平行平面近似を使った

すべての放射エネルギーが気体の熱運動に転化することはなくかなりの部分が再放射などによって再び大気外へ失われてしまう放射エネルギーの熱への転化の能率は光電離光解離再結合などの吸光にともなうあらゆる量子過程を詳しく追跡することによって求まるがイオン化効率 ε(z)をもって表すのが一般的であるイオン化効率は厳密には放射の波長大気組成密度温度電離度などの複雑な関数であるが近似的には局所的な全吸光エネルギー量に対して

qT (z) = ε(z)sumX

int infin

0

Φλ(λ z)σ(X λ)n(X z)dλ (2-26)

と表すここで qT (z)はイオン生成率ε(z)はイオン化効率σ(X λ)は電離断面積を示す

等温単一組成平行平面大気に単色放射が入射する場合を考えるとスケールハイトより考える高さ範囲が十分小さければg=一定すなわち単一組成大気においてはm=一定 であるから H =一定 となり

n(z) = n(z0) exp[minusz minus z0

H] (2-27)

より

τ(z χ) = σn(z)H sec χ (2-28)

= σn(z0)H sec χ exp[minusz minus z0

H] (2-29)

また式 (2-26)を代入して

qT (z χ) = Φ(infin)n(z0)ε(z)σ exp[minusz minus z0

Hminus sec χn(z0)σH exp(minusz minus z0

H)] (2-30)

を得るただし単一組成単色の仮定により不必要となった λXはすべての物理量の記号から省略したこれによって明らかなように高さの増加とともに大気密度は減少し一方では放射束は逆に増加するからある高度において qT の極

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

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惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 16: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 12

大が現れるε(z)の変化が充分小さければqT の極大値およびそれがおこる高さに関して

qTmax(χ) = Φ(infin)ε(zmax) cosχeminus1H (2-31)

zmax(χ) = H ln[n(z0)σH sec χ] + z0 (2-32)

が成立するまたこれらより

τ(zmax χ) = 1 (2-33)

であり極大は常に放射が eminus1の値に減少する高さに現れることを意味するこれらの関係式を用いると

qT (z χ) = qTmax(χ) exp[1 minus z minus zmax(χ)

Hminus sec χ exp(minusz minus zmax(χ)

H)] (2-34)

と書き直すことができる

図 2-5 Chapman関数

上式で χ = 0のときは

qm = qTmax(0) = Φεeminus1

H(2-35)

zm = zmax(0) = H ln[n(z0)σH ] + z0 (2-36)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

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惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

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惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

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惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

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惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

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惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 17: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 13

となるのでこれらの値を用いて上式を無次元化して

qT (z χ)

qm

= Ch(y χ) (2-37)

と表すここで

y =z minus zm

H(2-38)

Ch(y χ) = exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (2-39)

であるこの式は Chapman関数と呼ばれる

2-3-2 金星火星電離圏

金星火星は地球のように太陽風を支えるような磁場を持たないそのため大気が太陽風と直接相互作用することになる大気の中性粒子が太陽からの放射エネルギーによって電離されてプラズマが生成され大気の上部に電離圏を形成する

図 2-6 太陽風中の IMFは金星起源の光電離したイオンが巻き付くことにより余剰

質量が付加されこのため金星近傍で減速される金星から離れたところでは IMF

は太陽風の速度で流れるため IMFは金星にひっかけられた形状となりこの結果

反太陽方向に尾部を生ずる[Vaisbergand Zeleny 1984]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 18: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 14

金星の探査は旧ソビエト連邦のべネラシリーズおよび米国のパイオニアヴィーナスによって行われたとくにパイオニアヴィーナスオービター (PVO)は長期間に渡り金星を周回し金星のまわりのプラズマについて多くのデータを送ってきたまた火星の探査はバイキング 12号が火星に軟着陸したときのデータおよび旧ソビエト連邦のフォボス 2号がわずかに数回火星の周りを回っただけでそのデータ量は多くはないだがフォボス 2号は新型探査機であったため多くの情報をもたらしたまた地上でこれらの探査機からの電波を受けるときに金星や火星の電離層による屈折を測定しこれより電離層の電子密度を求めることも行われた

図 2-7 パイオニアヴィーナスオービターが観測した金星電離層高度での磁場強度

と電子密度(左図)太陽風の動圧が低い場合(右図)太陽風の動圧が高い場合磁

場強度はある高度以下で減少しかわりに電子密度が上昇しているこの入れ替わ

る領域をアイオノポーズと呼び電離層がプラズマの圧力により太陽風を支えてい

る太陽風の動圧が上昇するとアイオノポーズは低い高度に押し込まれまた厚みを

ますさらに太陽風の磁場が電離層中に染み込み高度 150km付近にたまる[Russell

and Vaisberg1983]

一般に磁場を持たない惑星と太陽風との相互作用については次の 3つのタイプの相互作用が考えられる(1)惑星が電離層をもちプラズマの圧力によって太陽風の動圧を支えている場合(2)電離層に太陽風がぶつかることにより電離層中に磁場が誘導されこの磁場の圧力により太陽風の動圧を支える場合(3)惑星が電離層をもたないかもっていても上記のような電離層内のプラズマまたは磁場の圧力で太陽風の動圧を支えきれない場合ただしこのとき太陽風は直接その惑星大気あるいは惑星表面にぶつかることになる

金星火星の場合は実際の探査によるデータから電離圏の電気的な電導性は太

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 19: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 15

陽風が惑星表面もしくは吸収率の低い大気に直接流れ込むのを妨げるのに十分高いつまり電離圏が太陽風と直接相互作用している

2-4 木星

外惑星である木星は地球より大きな固有の磁場を持っているその固有磁場は地球の2万倍もの強さである木星の磁軸は自転軸から約 10゜傾いている内部には電気伝導度の良い金属水素が分厚い層をなしておりここで地球の核内で起こっているのと同じダイナモ作用が起こって強大な磁場を維持していると考えられている

図 2-8 ディスクの形をした木星の磁気圏木星に近い領域では木星の自転ととも

にプラズマが回転している磁気圏の尾部領域では太陽風との相互作用が重要にな

り磁気圏嵐とよばれるプラズマの流れが木星から吹き出している

木星磁場は衛星イオと激しい相互作用をしておりそれによって発生した電流が木星とイオをつなぐ磁力線と木星の赤道上を取り巻く電流シートの中を流れているボイジャーが磁力線上に流れる電流を測定したところその強さは実に 500万アンペアに達していたこの2つの電流が磁場を乱すので単なる中心のずれた双極子磁場では木星の外部磁場を表すことはできない木星の磁気圏が特に地球と異なっているのは磁気圏内に衛星イオから供給されるプラズマが満ちていることであるイオは木星半径の約 6倍の距離をまわっているがこの衛星は活発な火山活動を行っておりここから供給されるプラズマが木星の磁気圏内にひろがり内部磁気圏のプラズマシートを形成しているこのプラズマは木星の自転とともに回転しているそのため磁気圏境界面は昼側では太陽風の動

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 20: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 16

圧と磁場の圧力+磁気圏内のプラズマの圧力がつりあった位置に存在し太陽風の強さによっておおきく変化するがおよそ 45RJから 100RJ(木星半径)の間に存在する逆に太陽と反対側に惑星から約 25RJ離れたところでは外部への流れと太陽風の相互作用によって磁気圏は吹き流しのように閉じないのびた磁気圏尾へと変わるこの磁気圏尾は 7億 km以上つまり土星を越える程の距離にまでのびていることが観測されたこの磁気圏の外側寄りには木星と一緒には回転していないrsquo熱いrsquoプラズマが存在する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 21: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 17

第3章 電離圏磁気圏境界面

3-1 圧力バランス

太陽風と惑星の圧力バランスから境界面を導出する圧力バランスを考える上で 2-2-2で説明したMHD方程式を用いる式 (2-17)より

ρdV

dt= minusnablap + J times B (3-1)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-2)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0

+ ( B middot nabla)B

micro0

(3-3)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-4)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(3-5)

part(ρV )

partt+ nabla middot ((ρV middot V ) + p +

B2

2micro0

) minus ( B middot nabla)B

micro0

= 0 (3-6)

磁場が太陽風の向きに垂直であるとすると磁気張力は無視できるここで定常状態を考えると

nabla middot ((ρV middot V ) + p +B2

2micro0

) = 0 (3-7)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

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永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

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Page 22: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 18

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

= Const (3-8)

太陽風側と惑星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0P (3-9)

3-2 磁気圏境界面

3-2-1 地球磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と地球側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

E (3-10)

地球付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 7 9times104 6 21 times 10minus9 17 times 10minus11 14 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって太陽風の磁気圧静圧は動圧より非常に小さいので太陽風側は動圧のみ考えるまた地球側は磁気圧のみを考える

(ρV middot V )S = B2

2micro0E (3-11)

まず太陽天頂角 θ = 0のときの地球からの距離 rを求める地表 (赤道域)での磁場強度を B0地球半径を REとするとrにおける地球磁場強度はダイポール磁場を考えると式 (2-1)より

B = B0(RE

r)3 (3-12)

と表されるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (3-11)(3-12)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (3-13)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 23: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 19

つぎに天頂角変化による地球磁気圏境界面変化を考える式 (3-31)を天頂角変化を含む式に書き直すと

ρV 2 cos2 ψ =B2

2micro0(3-14)

つまり式 (3-11)は ψ = 0のときの式である図 3-1より式 (3-14)を変形すると

cos2 ψ = (dy

ds)2 =

(rdθ cos θ + dr sin θ)2

dr2 + (rdθ)2=

B2

2micro0ρV 2= E (3-15)

dr

rdθ=

sin 2θ plusmn 2radic

E minus E2

2(E minus sin2 θ)(3-16)

式 (3-16)より天頂角変化による境界面距離変化がわかる[Spreiter 1970]

図 3-1 天頂角変化と境界面変化 [Spreiter 1970]

また地球の磁場は式 (2-6)より

B = B0(RE

r)3

radic1 + 3 sin2 θ (3-17)

とあたえられ緯度変化はするが経度変化はしない式 (3-11)(3-17)より地球中心から境界までの距離 rは

r = RE(B2

0(1 + 3 sin2 θ)

2micro0ρV 2)

16 (3-18)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 24: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 20

となるよって地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-16)(3-17)からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-13)(3-16)から求まる

3-2-2 木星磁気圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と木星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0J (3-19)

木星付近での太陽風の値は [Huddleston et al 1998]より Voyager 2での速度と密度の 1976年 2月 21日の値を磁場の値は [Kivelson et al 1997]よりGalileoでの1995年 11月の値を温度は [The Gaint Planet of Jupiter]よりVoyagerによって得られた値を参照しまとめたものを次に示す

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

450 02 105 15 65 times 10minus11 28 times 10minus13 90times10minus13

それぞれの観測時期は異なるが動圧が静圧磁気圧より大きいのは明らかであるよって太陽風は動圧のみ考えるまた木星側の圧力は磁場の力が大きいといわれるが磁場の力だけでは 45RJ~100RJという距離で磁気圏境界面を形成することはできずまた図 2-8のような形になることも考えられないよって磁気圏内のプラズマの圧力を考えプラズマが木星の自転とともに回転し動圧静圧として磁気圏境界面で太陽風動圧と相互作用していると考える

(ρV middot V )S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0J (3-20)

3-3 電離圏境界面

3-3-1 金星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と金星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0S = (ρV middot V ) + p +

B2

2micro0V (3-21)

金星付近での代表的な太陽風の値を用いると

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 25: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 21

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 14 11times105 10 41 times 10minus9 44 times 10minus11 40 times 10minus11

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた金星側の圧力は動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが金星の静圧に比べて無視し得る値であり表にすると次のようになる

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Venus 0 10minus9 5 times 10minus11

これより式 (3-21)は

(ρV middot V )S = pV (3-22)

と変形できる金星の静圧は Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-23)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-24)

と書ける金星電離圏の主要イオンは 図 3-2のようになっており200km以下では O+

2 イオンが 200km 以上では O+イオンが主である金星電離圏の静圧は

y =z minus zm

H(3-25)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+ + (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-26)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-22)(3-25)(3-26)より求まる

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-27)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 26: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 22

図 3-2 PVOの OIMSによる太陽活動度最大時の昼側金星電離圏の電子密度とイオ

ン分布の高度変化太陽天頂角 11 degorbit 185 day 1979158[Taylor et al 1980a]

3-3-2 火星電離圏境界面

式 (3-9)より太陽風側と火星側の圧力を比較すると

(ρV middot V ) + p +B2

2micro0

S = (ρV middot V ) + p +B2

2micro0

M (3-28)

火星付近での代表的な太陽風の値を用いると

v(kmsec) n(cm3) T (K) B(nT) ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

430 30 7times104 33 89 times 10minus10 55 times 10minus12 43 times 10minus12

太陽風の平均的な値 [Blomberg 2003]

よって地球付近の太陽風と同様に太陽風の圧力は動圧のみを考えるまた火星側の圧力で動圧は 0Paであり磁場も微小にはあるが火星の静圧に比べて無視し得るよって式 (3-28)は

(ρV middot V )S = pM (3-29)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 27: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 23

と変形できる火星の静圧は金星同様Chapman関数 (2-39)を用いて

y =z minus zm

H(3-30)

p = p0 exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)] (3-31)

火星電離圏の主要イオンは 図 3-3のようになっており 230km以下では O+2 イオン

図 3-3 探査機バイキングによる昼側火星電離圏の電子密度とイオン分布の高度変

化[Hanson et al 1977]

が 230km 以上ではO+2 O+イオンが主であることがわかるよって火星電離圏の

静圧は

y =z minus zm

H(3-32)

p = (p exp[1 minus y minus sec χ exp(minusy)])O+2

(3-33)

と書けるよって天頂角 θ = 0での電離圏境界面距離 zは式 (3-29)(3-32)(3-33)より求まる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

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惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 28: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 24

電離圏境界面距離も図 3-1式 (3-15)(3-16)より求まるただし式 (3-15)において Eは

E =p

ρV 2(3-34)

である

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

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惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 29: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 25

第4章 数値計算結果

4-1 地球磁気圏境界面

太陽天頂角 θ = 0のときの磁気圏境界面の地球からの距離 rを求める式 (3-13)

より地球磁場を B0 =30000nT地球半径を RE =6370km透磁率を micro0 = 4π times10minus7Hmとし太陽風の密度を 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図 4-1に示す

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 3e-08 6e-08 9e-08 12e-07 15e-07 18e-07

r R

_E

solar wind pressure (Pa)

図 4-1 天頂角 ψ = 0での磁気圏境界距離

図 4-1より太陽風の動圧を 16 times 10minus11~16 times 10minus7Pa変化したとき地球磁気圏境界面は 4RE~12RE変化する

次に太陽風の動圧を固定して ρV 2 = 10minus9Paとして地球磁場を B0 =30000nT地球半径をRE =6370km透磁率を micro0 = 4π times 10minus7Hmとして計算すると磁気

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 30: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 26

圏境界面ノーズは 84REである地球磁気圏境界面の緯度方向は式 (3-13)(3-16)

からまた地球磁気圏境界面の経度方向は式 (3-16)(3-18)から計算するその結果を図 4-2 4-3に示す

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-2 経度方向の地球磁気圏境界面

0

5

10

15

20

25

30

-20-15-10-5 0 5 10

r R

_E

r R_E

rR_E

図 4-3 緯度方向の地球磁気圏境界面

これより太陽天頂角 90degでは磁気圏境界面が経度方向で 12RE緯度方向で 14RE

となりまた地球より 10RE後方では経度方向で 14RE緯度方向で 17REとなる磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 31: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 27

4-2 金星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの電離圏境界面の金星からの距離 zを求めるつまり式 (3-25)において E = 1の時の距離を求める金星の静圧は式 (3-23)(3-24)

でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-1)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 のそれ

ぞれの質量m= 16times 16times 10minus27g 32times 16times 10minus27g金星の重力加速度 841ms2

より温度 Tがわかる

TO+ + Te = 2248K (4-2)

TO+2

+ Te = 301K (4-3)

O+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-4)

を用いて計算する

太陽風の動圧の値はデータとして得られている値としてもっとも PVOの orbit

185 day=1979158に近い値である PVOの orbit 185が金星電離圏から宇宙空間にでて約 1時間後の値 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)としたしかし金星電離圏は太陽風を支えきれないなぜなら式 (4-4)で p を求めると

pO+ = 31 times 10minus9Pa (4-5)

pO+2

= 21 times 10minus9Pa (4-6)

となり太陽風の動圧 ρV 2 = 4 times 10minus9(Pa)より小さい値になるためである実際には金星電離圏境界面が存在していたこの時の電離圏内のイオンと電子の温度を図 4-4 4-5に示すこれはパイオニアヴィーナスオービター (PVO)により観測されたものである

この温度は静水圧を仮定して求めた電離圏温度と全く異なるこれは電離圏が太陽風の動圧によって圧縮されたためにスケールハイトも小さくなったことや高度変化によって電離圏温度が変化することが原因として考えられるそのため境界面の計算には電離圏の温度として図 4-4 4-5を用いた

図 4-4 4-5から電離圏のイオンと電子の温度は

Ti = 2000K (4-7)

Te = 4000K (4-8)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 32: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 28

図 4-4 金星電離圏のイオン温度の高度変化 [Miller et al 1980]

図 4-5 金星電離圏の電子温度の高度変化 [Miller et al 1980]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 33: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 29

であるpを求めると

pO+ = 83 times 10minus9Pa (4-9)

となり太陽風の動圧を十分耐え得るPVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子の温度と密度を図 4-6に示す

図 4-6 PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の磁場の強さと電子の温度と密

度の高度変化

電子の温度は 3000Kであるよって PVOの orbit 185 day=1979158での電離圏の電子とイオンの温度は

Ti = 2000K (4-10)

Te = 3000K (4-11)

となるイオンの密度は図 3-2よりO+イオンが太陽風の動圧を支えると考えられるので密度 105cm3を用いる圧力バランスの式に表すと

ρV 2 = pO+(1 minus z minus zm

Hminus sec χ exp(minusz minus zm

H))O+ (4-12)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

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Page 34: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 30

となりこのとき左辺が太陽風の動圧右辺が電離圏の静圧である電離圏境界面を求めると 604kmとなるこの値は図 4-6から観測値と等しい値であることが分かる太陽天頂角変化を式 (3-16)より求めたものを図 4-7に示す

この場合Chapman関数において expの中の sec χは χ =90 degで sec χ = infinとなり expの中が minusinfinとなるため 0~80 degまでの範囲を計算した

0

05

1

15

2

-1-05 0 05 1

r R

_V

r R_V

rR_V

図 4-7 金星電離圏境界面r0は半径

次に太陽天頂角80deg以上の領域の電離圏境界面を考える式 (3-24)における sec χ

はおもに 0~60 deg付近で pの値を大きく変化させ80~110 deg付近ではあまり影響を与えないまた 110 deg以降は太陽風の影響をほとんど考えなくてよいことが図4-8より明らかであるそのため80deg以降においては sec χ = sec 80degとして計算をおこなった結果を図 4-9に示す図 4-8は Spreiter 1970においてスケールハイトを変えることによる境界面の太陽天頂角変化を示している

図 4-9より PVOの観測値rdquoINBOUNDrdquo ldquoOUTBOUNDrdquoとほぼ等しいまたSpreiter 1970が式 (1-3)で求めた電離圏境界面図 4-8でのスケールハイトHr0 =

01の線とほぼ等しい形となるこのとき求めたスケールハイトはH = 320kmでありHr0 = 006である

PVO orbit185 day1979158においてイオンと電子の温度の和が 10000K5000K3000Kだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-10に示す2500Kは太陽風の動圧に耐えられなかった図 4-10から 3000Kでは電離圏境界面が金星表面にぶ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 35: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 31

図 4-8 スケールハイトを変えて計算した電離圏境界面値は Hr0[Spreiter 1970]

つかることが分かるこれは式 (4-12)より太陽風を O+ イオンだけで支えていると考えたためで実際は電離圏環境が図 3-2のようになっているためO+イオンで支えきれないと O+

2 イオンで支えるため実際は電離圏は 3000Kの場合も境界面を形成すると考えられる

PVO orbit185 day1979158において太陽風の動圧が 15倍の 6times10minus9Pa067倍の 2 times 10minus9Paだった場合の電離圏境界面を求めたものを図 4-11 に示す境界面ノーズが動圧 15倍通常時067倍で 771km604km386kmであり境界面の形状は変わらないことがわかる

図 4-8 4-10 4-11より電離圏境界面の形状は電離圏の温度つまりスケールハイトが影響していることがわかる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 36: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 32

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

rR_V

INBOUNDOUTBOUND

図 4-9 金星電離圏境界面r0は半径ldquoINBOUNDrdquordquoOUTBOUNDrdquoは PVO or-

bit185 day1979158の観測値

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

1000050003000R_V

図 4-10 電離圏の温度が 10000K5000K3000Kにおける金星電離圏境界面r0は半径

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

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Page 37: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 33

0

1

2

3

4

-2-1 0 1

r R

_V

r R_V

pre15pre

pre067R_V

図 4-11 PVO orbit185 day1979158の観測値において太陽風の動圧が 15 倍

067倍した時の金星電離圏境界面ldquoprerdquoが通常の場合r0は半径

4-3 火星電離圏境界面

太陽天頂角 θ = χ = 0のときの火星からの距離 zを求めるつまり式 (3-32)において E = 1の時を求める金星の静圧は式 (3-28)(3-29)でありそれぞれの値は図 3-2を利用するスケールハイト Hは

H =kT

mg(4-13)

で図 3-2の傾きでありボルツマン定数 k = 138times 10minus23(JK)O+ O+2 の質量

m=16times 16times 10minus27g32times 16times 10minus27gである火星の重力加速度 375ms2より図 3-3からスケールハイトを求め温度 T を計算すると

TO+2

+ Te = 403K (4-14)

であるO+ O+2 のそれぞれの圧力は

p = nkT (4-15)

を用いて計算できるO+ O+2 のそれぞれの密度 nは図 3-3においてのイオン密度

が最大のときなのでそれぞれ 105(ionscm3) 5times105(ionscm3)であるまた太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算をした時の結果を図に示す

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

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惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

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惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

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惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

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惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

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惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 38: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 34

火星電離圏環境は変化が激しくイオンの密度温度 (スケールハイト)は刻々と変化しているそのため密度を 10倍10分の 1倍温度を 2倍2分の 1の場合に計算したものを図 4-8 4-9で示す密度 10分の 1の場合は存在しうる境界面がなく密度が図 3-3の値の場合は温度が 2倍のときのみ存在し密度 10倍の場合は図 3-3の温度2倍の温度のとき存在した

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-12 図 3-3から求めた値における火星電離圏境界面の太陽風の動圧イオン

電子の温度における変化 (3つの曲線はイオン電子の温度の変化によるもの真中

が図 3-3より求めた値上が温度が 2倍下が温度が 2分の 1の場合)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

450000

500000

0 2e-09 4e-09 6e-09 8e-09

altit

ude

(m)

solar wind pressure (Pa)

T2T

T05

図 4-13 図 4-8におけるイオン密度が 10倍の場合

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 39: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 35

4-4 木星磁気圏境界面

観測データの木星磁気圏境界面を形成するような木星側の圧力を考える木星側の圧力を磁気圧のみと仮定した場合式 (3-20)は

(ρV middot V )S = B2

2micro0J (4-16)

となる地球のようなダイポール磁場を仮定すると

B = B0(RJ

r)3 (4-17)

と表されるただしB0は木星表面の磁場強度 4times10minus4TRJは木星半径 71400km

であるここで太陽風による圧縮のために磁場強度がここで若干強くなる効果は無視した式 (4-16) (4-17)より

r = RJ(B2

0

2micro0ρV 2)

16 (4-18)

式 (3-15) (3-16)より太陽天頂角変化を求めたものを図 4-14に示す磁気圏境界面ノーズで 28RJであり観測データより求めた磁気圏境界面である図 4-15では磁気圏境界面ノーズで 50~60RJであり磁気圧のみでは実際の木星の磁気圏境界面を形成できない

0

10

20

30

40

50

60

-30-20-10 0 10 20 30

r R

_J

r R_J

rR_J

図 4-14 木星側の圧力を磁気圧のみで仮定した場合磁場はダイポール磁場を仮定

木星側の圧力を磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)を用い動圧は

ρV 2 = m times n times V 2 (4-19)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 40: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 36

と仮定しこのとき

n = n0(7RJ

r)x (4-20)

V = V0 (4-21)

V0 =

radic2GM

7RJ

= 22kms (4-22)

と仮定するここで n0は図 4-16における実際の密度分布での 7RJ での値 4 times1010m3でありV0は 7RJ での脱出速度であるV は距離によって変化しないと仮定するただしGは万有引力定数 667times10minus11m3kgsminus2Mは木星の質量19times1027kgであるxは図 4-16の密度分布を満たすように選ぶx = 6で実際の密度分布と近い値をとるだが x = 6における動圧のみで圧力バランスを考え境界面ノーズを求めると 196RJとなるこれに磁気圧を加えても 318RJと磁気圧のみと同様に実際の磁気圏境界面を形成することができずこの仮定は正しくないことが分かる

式 (4-20)における x = 6での密度分布が正しいと仮定して磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの速度が必要か計算すると

V =

radic(ρV 2)S

mn0

(r

7RJ

)3 = 489kms (4-23)

となるつまり太陽風と同程度の速度で流れていることになる

木星側の圧力を静圧と磁気圧と動圧で考える磁気圧は式 (4-17)動圧は式 (4-19)

を用いて静圧は

p = nkT (4-24)

を考える密度 nは式 (4-20)として磁気圏境界面ノーズが 55RJになるためにはどれだけの温度が必要か計算すると

(ρV 2)S = nkT (4-25)

T =(ρV 2)S

nk(

r

7RJ)6 = 28 times 107K (4-26)

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 41: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 37

図 4-15 木星磁気圏の観測結果からの磁気圏境界面の東西方向の予測[Bridge et al 1979]

図 4-16 Voyager 1が観測した木星磁気圏の密度分布と式 (4-20)において x=6の

ときの密度分布横軸が木星からの距離縦軸が密度ただし縦軸はログスケー

ル[McNutt et al 1981]

木星側の圧力において静圧もしくは動圧が一番大きな圧力であった場合イオンの温度もしくは速度を固定して境界面の太陽天頂角変化を計算すると境界面は同じ形状になる計算結果と図 4-15を比較したものを図 4-17に示す太陽天頂角が大きくなると実際の観測データと合わなくなることが分かる境界面距離が大きくなるにしたがって木星側の圧力が足りないためであるイオンの密度の仮定 (5-1)

が正しいとするとイオンの温度もしくは速度が大きくならなければならない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 42: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 38

図 4-17 静圧もしくは動圧が木星から距離 55RJ で太陽風と圧力バランスしている

と考えたときの磁気圏境界面の太陽天頂角変化

速度を次のように仮定して計算したものを図 5-7に示す

v = 973r minus 461 (4-27)

v = 0157r2 + 143 (4-28)

v = 28r3 times 103 + 21 (4-29)

r = 7RJ v = 22kms

r = 55RJ v = 489kms

このとき vは距離 rのときの速度を示す単位は kmsである

これより速度が距離の 2乗程度で変化すれば観測結果の値となるただしこのとき太陽天頂角が 120 deg~135 deg程度で速度が 4500~7500kmsとなる

動圧は速度の 2乗に比例し静圧は温度の 1乗に比例するのでイオンの温度を変化させて考える場合イオンの速度以上の増加が必要となるため温度の変化は考えない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 43: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 39

r RJ

r R

J

0 -100 -200

0

200

100

100100

r RJ

(1)

(2)

(3)

(4)

図 4-18 速度を仮定し計算した結果の比較(1)速度固定(2)v = ar + b(3)v =

ar2 + b(4)v = ar3 + b

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

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Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

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Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

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Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

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referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

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Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 44: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 40

第5章 議論

5-1 地球磁気圏境界面

第4章の結果と実際の観測データを比較する図5-1はNess 1964による計算結果と観測データを比較したものに本研究の計算結果を加えたものであるただし境界面ノーズを 10REとなるように図 4-2の計算において太陽風の動圧を 36times10minus10Pa

として計算をおこなった結果である

(1)

(2)

図 5-1 磁気圏境界及びショック域の観測と計算値(1)本研究での計算結果(2)Ness

による計算結果図は太陽赤道面を示す[Ness 1964]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 45: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 41

これは実際の観測データとよく合っており第 3章の計算方法は正しいことが分かる

5-2 金星電離圏境界面

第 4章の結果と実際の観測データを比較する図 5-1よりパイオニアヴィーナスオービター (PVO) orbit185の電離圏境界面通過時間は朝側であることが分かる計算結果図 4-9の rとパイオニアヴィーナスオービター (PVO)が朝側で観測した電離圏境界面を重ねたものを図 5-2で示すrは境界面ノーズが平均境界面ノーズより高いため観測データが少ないが変化の仕方は等しく実際の観測データとよく合っている

185185

図 5-2 パイオニアオービター (PVO)の電離圏境界面通過時間 [柿並 2000]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 46: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 42

図 5-3 太陽天頂角変化によるパイオニアヴィーナスオービター (PVO)の通過した

電離圏境界面高度と図 4-9の rの太陽天頂角変化による高度変化 [Brace et al 1980]

5-3 火星電離圏境界面

第 4章の結果から火星電離圏プラズマは太陽風を支えられないという結果となるが実際には火星には電離圏境界面が存在するつまりここで考える圧力とは別に太陽風を支える圧力が存在することになる火星付近での代表的な太陽風の値である 3-3-2での表の値 89 times 10minus10(Pa)をあたえそれに耐え得る電離圏環境を考える

電離圏を支える圧力を考えるとき式 (3-26)より動圧静圧磁気圧が考えられるここで動圧は火星では考えなくてよい静圧に関して考えると電離圏のイオンと電子の密度と温度によって静圧は決まるから密度と温度の増加を考えるイオンと電子は太陽活動による紫外線放射によって生成されるので太陽活動が急激に変化したことも考えられるイオンと電子の温度を変化させて nose部分での電離圏境界面を各温度について求めたものを図 4-10に示すただし図 3-3

よりイオン密度の最大が 130kmであるのでこのときが静圧の最大値となるのでその高度以上において計算したものを図 5-3に示す

これより温度 645Kより大きければ火星電離圏境界面は存在することがわかるこれは金星電離圏の温度よりずっと低い温度である

火星の磁場双極子モーメントは非常に弱いことが観測から知られているした

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 47: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 43

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

altit

ude

(m)

temparature (K)

図 5-4 イオンと電子の各温度による電離圏境界面

がって太陽風と火星の相互作用のこれまでのモデルにおいて火星の固有磁場は金星の場合と同様に無視されることが多かったしかし Mars Global Surveyor 衛星の磁場観測で火星の表面に局所的な磁気異常があると報告されたこの観測によると磁気異常は南半球に多く分布されておりその磁場強度のピークは高度約 400kmで 200nT以上になるこのような磁場は局所的に火星電離圏の全圧力を増加させ太陽風と電離圏の相互作用に影響を与えると考えられる[久保田

前澤 2003] そのため火星電離圏の静圧を図 3-3で得られた値を用いどれだけの磁気圧があれば電離圏境界面が存在するかを考える計算して得られた結果を図 5-4で示す

図 5-4より磁場強度が 29nT以上あれば図 3-3(JULY 20 1976)の時に電離圏境界面が存在し得たことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 48: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 44

140000

160000

180000

200000

220000

240000

260000

280000

300000

25e-08 3e-08 35e-08 4e-08 45e-08 5e-08

altit

ude

(m)

magnetic field strength (B)

図 5-5 各磁場強度における電離圏境界面

5-4 木星磁気圏境界面

第 4章において木星磁気圏では太陽風を動圧もしくは静圧が主に圧力バランスしていることが分かった木星磁気圏境界面のノーズの距離を 55RJとしたとき密度を

n = n0(7RJ

r)6 (5-1)

と仮定し動圧mnV 2が太陽風と圧力バランスするとき速度 V は (4-23)より489kmsであればよいまた静圧 nkTが太陽風と圧力バランスするとき温度は (4-26)より 28 times 107Kであればよい

ヴォイジャー 1によって観測された木星磁気圏のイオンの速度成分を図 5-6に示す図 5-6より速度は共回転とよく似た値つまり距離に比例した値よりも小さい値であることが分かるつまり磁気圏境界面付近のイオンの速度が 489kmsに達しないので太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は動圧でないことが分かる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 49: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 45

図 5-6 ヴォイジャー 1の D装置により観測された速度成分の値イオンスペクト

ルの低分離度 (L-mode)高分離度 (M-mode)に合うものに分けた

ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度分布を図 5-7に示す木星磁気圏のイオンの温度は 10~102eV1eV=11600Kであるから 116times105K~116times106K

であるこれは (5-3)に達しない太陽風を支える木星磁気圏側の圧力は静圧でないことが分かる

図 5-7 ヴォイジャー 1によって観測されたイオンの温度 [Bagenal and Sullivan

1981]and[McNutt Belcher and Bridge 1981]

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 50: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 46

磁場に関してダイポール磁場を仮定したが実際の木星の磁場のモデルは図 5-8のようになっているまたヴォイジャー 12による磁気圏境界面付近での磁場の強さの観測データを図 5-9に示す図 5-9より磁気圏境界面付近において磁場の強さは 10nT程度あることが分かる

図 5-8 パイオニアによる観測データから考えた木星磁気圏モデル [Smith Davis

and Jones 1976]

図 5-9 ヴォイジャー 12により観測された磁場の強さ

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 51: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 47

図 5-6より境界面でのイオンの速度を 300kmsとし図 5-7より境界面でのイオンの温度を 116times106Kとし図 5-9より境界面での磁場の強さを 10nTとし密度を式 (5-1)として境界面のノーズの距離を求めると

(ρV 2)S = mnV 2 + nkT +B2

2micro0(5-2)

r = 558RJ (5-3)

木星側のそれぞれの圧力は

ρV 2(Pa) p(Pa) B2

2micro0(Pa)

Jupiter 225 times10minus11 25 times 10minus12 40 times 10minus11

となる木星では太陽風の動圧を磁気圧動圧が太陽風と相互作用していることが分かる

太陽天頂角変化を考えると図 5-6より木星から 30RJ以上の距離では速度はあまり変化しないので式 (5-1)より動圧は木星から離れるにしたがって小さくなる第 4章では図 4-17より太陽天頂角が大きくなるにしたがって計算結果と観測データに差が出始めたため速度を大きくして動圧で太陽風と圧力バランスを考えたが実際は磁場の力が太陽天頂角変化に大きな影響を与えていることが考えられる磁場強度において境界面のノーズでの磁場強度 10nTから太陽天頂角変化において変化しないと考えた場合と磁場強度において

B = B0(RJ

r)x (5-4)

と考えた場合の計算結果を図 4-15と比較したものを図 5-10に示すただしBに境界面のノーズの部分の磁場強度 10minus8TB0に木星表面での磁場強度 4 times 10minus4T

を代入したときに x = 263であったのでBにおいて

B = 4 times 10minus4 times (RJ

r)263 (5-5)

を用いた

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 52: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 48

(1)

(2)

図 5-10 磁場強度を変えたときの磁気圏境界面と図 4-15の比較(1)磁場の強さを

固定(2)磁場の強さを x = 263で変化

図 5-10より磁場強度の変化においては磁気圏境界面のノーズの強さと変わらないという仮定も式 (5-5)の仮定も成り立たない

木星磁気圏ではプラズマの動圧や静圧ではなく磁気圧が主に太陽風と圧力バランスし磁気圏境界面の形状は図 5-8のモデルのようにプラズマの運動が磁場の構造に大きく影響して式 (5-4)において x = 2となるようなディスク状の磁場の構造になると考えられるこれは磁気圏が経度方向に広く緯度方向に狭い図 2-8

のモデルと一致する

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 53: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 49

第6章 まとめ

本論文では Spreiter1970 の考え方を基に磁場のない惑星金星火星の電離圏境界面を求めさらに磁場のある惑星地球木星の磁気圏境界面を求めた実際の観測結果等から数値計算結果を比較すると次のことが分かった

惑星と太陽風の境界面では圧力バランスが成り立っている地球 地球磁気圏は太陽風と磁場の力が相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽風を密度 1~100cm3速度を 100~1000kmsまで変化すると考えて計算すると地球磁気圏境界面は約 4~18REまで変化する (図 4-1)

地球磁気圏境界面は経度方向より緯度方向に広がっている(図 4-2 4-3)

地球磁気圏境界面の計算結果は実際の観測データとよく合っている(図 5-1)

金星 金星電離圏は静圧が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成しているまた静圧は Chapman関数で表される 電離圏は高度が高くなるにつれて温度が大きくなり静水圧平衡は成り立たずスケールハイトは小さくなるこれは太陽風による圧縮が原因のひとつに考えられる 電離圏でのイオンと電子の温度を PVOのデータから用いて数値計算した場合実際の PVOのデータによる電離圏境界面と等しい値となりまた Spreiter 1970

で求められた値とも等しい値となる 金星電離圏境界面の計算結果は太陽天頂角変化において実際の観測データと変化の仕方が酷似している(図 5-3)

火星 火星電離圏では静圧や磁場の力が太陽風と相互作用し電離圏境界面を形成していると考えられる(図 5-4 5-5)

木星 木星磁気圏境界面は磁場の力とプラズマの動圧が太陽風と相互作用し磁気圏境界面を形成している 太陽天頂角変化において磁気圧の影響が大きくなりその変化においてはプラズマの運動の影響が大きいことが考えられる

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

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referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 54: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 50

木星磁気圏の磁場はディスク状の構造をしており磁気圏境界面は経度方向に広く緯度方向に狭い形状をしている

また本論文を作成するにあたりいくつかの問題点が生じた

電離圏環境においてスケールハイトが実際の温度より小さいのはなぜか

太陽風による電離圏の圧縮は実際にスケールハイトを小さくしているのか

実際に火星電離圏を支えているのはどんな力なのか

上の 2点は電離圏環境をより詳しく考察する必要があり本論文では太陽風との関係から考えるのみに留まった火星電離圏の問題は実際に観測する必要があるためここでは考察しない

maintex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 55: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 謝辞 51

謝辞

本論文を作成するにあたり多くの方々に助けていただきご指導していただきました北海道大学 渡部重十 教授には本論文のもととなる Spreiter 1970を紹介していただき論文の完成に至るまでにさまざまなご助言ご指導をいただきました心から感謝申し上げます

惑星物理学研究室地球流体力学研究室の皆様にはいろいろと叱咤激励いただきました柿並義宏さんにはSpreiter 1970の和訳添削金星電離圏境界面モデル構築のご助言数値計算指導PVOデータの提供と本論文を完成する上で必要となるご指導をいただきました小松研吾さんには木星磁気圏境界面モデル構築にご助言いただきましたまた卒論を作成するコンピュータ環境構築に EPnetFan

参加者の皆様にはいろいろと御世話になりました併せて感謝申し上げます

thankstex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Page 56: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 52

第1章 Appendix

A-1 MHD方程式 運動方程式 (3-17)の導出

6次元位相空間における保存則を考えると

nabla6 middot (6次元空間内の流れの密度ベクトル) +part

partt(6次元空間内の粒子密度) = 0

ここでnabla6は 6次元位相空間における発散を表す

第 1項において空間座標 (xyz)における流れの密度ベクトルは粒子密度に速度を掛けたものであるので f(x y z vx vy vz t)vと書けるまた速度空間では流れの密度ベクトルは f(x y z vx vy vz t)α と書けるまた第 2項において分布関数は f(x y z vx vy vz t)と書けるよって上式は

nablar middot (fv) + nablav middot (fα) +partf

partt= 0   (A-1)

となるここで

nablar middot A =partAx

partx+

partAy

party+

partAz

partz(A-2)

nablav middot A =partAvx

partvx+

partAvy

partvy+

partAvz

partvz(A-3)

であるまた vは速度空間の座標変数であるから位相空間の座標変数 (x y z)

とは無関係でありαは加速度であり速度空間の座標変数 vとは無関係である(fnablar middot v = 0 fnablav middot α = 0)よって式 (A-1)は

v middot nablarf + fnablar middot v + α middot nablavf + fnablav middot α +partf

partt= 0 (A-4)

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= 0 (A-5)

ここではベクトル解析の公式nabla middot (fa) = a middot nablaf + fnabla middot aを使ったこれが 6次元空間における粒子保存則である

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 57: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 53

ところがもし粒子が他の粒子など外部からの刺激によって数を増減するようなことが起こる場合はこの保存則が成り立たずこのときには

v middot nablarf + α middot nablavf +partf

partt= (

partf

partt)c (A-6)

と書きこの式をボルツマン方程式というここで (partfpartt

)cは衝突による fの時間変化率を示す

ここでmα = F (f 粒子に働く力)を代入すると

v middot nablarf +F

mmiddot nablavf +

partf

partt= (

partf

partt)c (A-7)

また dfdtについて考えると

df

dt=

partf

partt+

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt+

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt(A-8)

と書けてこれにおいて

partf

partt時間に関する依存性

partf

partx

dx

dt+

partf

party

dy

dt+

partf

partz

dz

dt= v middot nablaf (A-9)

ニュートンの第 3法則mα = mdvdt

= F より

partf

partvx

dvx

dt+

partf

partvy

dvy

dt+

partf

partvz

dvz

dt=

F

mmiddot partf

partv(A-10)

と書けるので dfdtは位相空間内の対流微分であり粒子とともに動く座標系でみた

変化率である

また十分高温なプラズマにおいては衝突は無視でき力 Fがまったく電磁的な場合式 (A-6)において F = mdv

dt= q( E + v times B)より

v middot nablarf +q

m( E + v times B) middot nablavf +

partf

partt= 0 (A-11)

となりこれを Vlasov方程式という

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 58: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 54

ボルツマン方程式の最低のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)を積分するとint

v middot nablarfdv +q

m

int( E + v times B) middot nablavfdv +

intpartf

parttdv =

int(partf

partt)cdv (A-12)

第 1項においてvは独立変数でありしたがって演算子nablaの影響は受けないのでintv middot nablarfdv = minus

intfnablar middot vdv + nablar middot

intvfdv

= nablar middotint

vfdv = nablar middot (nv) = nablar middot (nu) (A-13)

(u 平均速度 (流体速度))

第 2項の Eの項においてintE middot nablavfdv = minus

intfnablav middot Edv +

intnablav middot f Edv

=

intnablav middot f Edv =

intSinfin

f E middot dS = 0 (A-14)

(Maxwell分布を考える)

完全発散は v = infinにおける表面での f Eの値を与えるように積分されるこれが 0になるのは vrarrinfinのとき vminus2より速く f rarr 0となることを条件つまり有限なエネルギーを持つどんな分布においても必要第 2項の v times Bの項においてint

(v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot (f(v times B))dv minus

intfnablav middot (v times B)dv = 0 (A-15)

ここでint nablav middot (f(v times B))dvにおいては表面積分に変換してint

nablav middot (f(v times B))dv =

intSinfin

(f(v times B))dS = 0 (A-16)

Maxwell分布では vrarrinfinに際して fは vのどのようなべき乗より速く 0になるのでこの積分は 0になるまた

intfnablav middot (v times B)dvにおいてはv times Bはnablavに垂直なため0になる

第 3項において intpartf

parttdv =

part

partt

intfdv =

partn

partt(A-17)

また右辺は粒子の全体の数が衝突によって変わらないため 0である(結合は考えない)

よってこれらをまとめると

partn

partt+ nablar middot (nu) = 0   (A-18)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 59: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 55

これは連続の式である

いま最低のモーメントを考えたがその次のモーメントを考えるローレンツ力に限定した F で式 (A-6)にmvを乗じdvで積分すると

m

intv(v middot nablar)fdv + q

intv( E + v times B) middot nablavfdv

+m

intvpartf

parttdv =

intmv(

partf

partt)cdv (A-19)

第 1項においてintv(v middot nablar)fdv =

intnablar middot (fvv)dv = nablar middot

intfvvdv (A-20)

関連する量の平均は vに関するその重み積分の 1n倍であるので

nabla middotint

fvvdv = nablar middot nvv (A-21)

ここで vを平均 (流体)速度 uと熱速度 ωに分ける

v = u + ω (A-22)

nablar middot (nvv) = nablar middot (nuu) + nablar middot (nωω) + 2nablar middot (nuω) (A-23)

平均 ωは明らかに 0なので 2nablar middot nuω = 0となり量mnωωは正確には応力テンソル P であるまた

nablar middot (nuu) = unablar middot (nu) + n(u middot nablar)u (A-24)

第 2項においてintv( E + v times B) middot nablavfdv =

intnablav middot [fv( E + v times B)]dv

minusint

fvnablav middot ( E + v times B)dv minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv (A-25)

int nablav middot [fv( E + v times B)]dvint

fvnablav middot ( E + v times B)dvに関してはMaxwell分布を考えて 0であることがわかるよって int

v( E + v times B) middot nablavfdv = minusint

f( E + v times B) middot nablavvdv

= minusn( E + u times B) (A-26)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

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referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 60: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 56

第 3項において

m

intvpartf

parttdv = m

part

partt

intvfdv = m

part

partt(nu) (A-27)

右辺に関してはint

mv(partfpartt

)cdv は衝突による運動量の変化のためこれを Pijと置くよってこれらをまとめて

munablar middot (nu) + mn(u middot nablar)u + nablar middot P minus qn( E + u times B) + mpart

partt(nu) = Pij(A-28)

これに連続の式 (A-18)を代入すると

mn[partu

partt+ (u middot nablar)u] = qn( E + u times B) minusnablar middot P + Pij (A-29)

次に完全電離気体中における拡散の問題を考えるイオンと電子において散逸項 Peiが速度の差 vi minus veを含むのでviveが個々に未知数であるより vi minus veが未知数であると考えたほうが考えやすいのでそのようにしてイオンと電子の方程式の線形結合を考える1価のイオンの準中性プラズマにおいて質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを次のように置く

ρ equiv niM + nem asymp n(M + m) (A-30)

v equiv 1

ρ(niMvi + nemve) asymp Mvi + mve

M + m(A-31)

j equiv e(nivi minus neve) asymp ne(vi minus ve) (A-32)

運動方程式に重力に対する項を加えイオンと電子の方程式を書くと

Mndvi

dt= en( E + vi times B) minusnablarpi + Pie + Mng (A-33)

mndve

dt= minusen( E + ve times B) minusnablarpe + Pei + mng (A-34)

ここでは粘性テンソルは無視した(いろいろな量が変化する領域の長さに比べて Larmor半径が十分小さければ大きな間違いはない)

2式を足し合わせて

nd

dt(Mvi + mve) = en(vi minus ve) times B minusnablarp + n(M + m)g (A-35)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 61: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 57

      (  Pie = minusPei    p = pi + pe)

ここで前に定義した質量密度 ρ質量速度 v電流密度jを代入すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp + ρg (A-36)

重力項を無視すると

ρdv

dt= j times B minusnablarp (A-37)

となりこれは式 (3-17)である

A-2 MHD方程式 連続の式 (3-20)の導出

物質の保存により体積 V 中の粒子の総数NはV を囲む表面Sを横切る正味の粒子の流速があるときのみ変化することができる粒子の流速密度は nuであるのでStokesの定理により

partN

partt=

intV

partn

parttdV = minus

∮nu middot dS = minus

intV

div(nu)dV (A-38)

これは任意の体積 V に対して成り立たなければならないから被積分関数を等しいとして

partn

partt+ div(nu) = 0 (A-39)

1粒子で考えた場合nは ρとなり速度ベクトルを V と書き直すと

partρ

partt+ div(ρV ) = 0 (A-40)

A-3 状態方程式の導出

理想気体の準静的断熱変化を考えると熱力学第 1法則より

0 = δQ = dU + pdV (A-41)

dU = minuspdV = minusnR(273 + t)

VdV   (A-42)

ここで dUをほかの方法で書き直すと

dU = (partU

partt)V dt + (

partU

partV)tdV (A-43)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 62: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 58

これに

CV = (partU

partt)V (A-44)

ジュールの法則  

(partU

partV)t  = 0 (A-45)

を代入すると

dU = CV dt (A-46)

となり(A-42)に代入して

CV dt +nR(273 + t)

VdV = 0   (A-47)

となる次に CpCV について考える

Cp minus CV = [p + (partU

partV)t](

partV

partt)p (A-48)

ジュールの法則 (partUpartV

)t  = 0より

Cp minus CV = p(partV

partt)p (A-49)

ここで V = nR(273+t)p

より (partVpartt

)p = nRpと書け

Cp minus CV = nR    (A-50)

となるこれはマイヤーの関係式と呼ばれるここで Cp

CV= γと置きCp minus CV = nRとともに (A-47)に代入すると

CV dt +(Cp minus CV )(273 + t)

VdV = 0 (A-51)

273 + t = T と置き dt = dT を利用して書き直すと

CV dT +(Cp minus CV )T

VdV = 0 (A-52)

また γ minus 1 = Cp

CVminus 1 = CpminusCV

CVなので

CV dT + CV (γ minus 1)TdV

V= 0 (A-53)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

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砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

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Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

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Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

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Page 63: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 59

dT

T+ (γ minus 1)

dV

V= 0 (A-54)

積分して

TV γminus1 = k (A-55)

pV = nRT に代入して

pV γ = nRk (A-56)

となるこれはポアッソンの方程式と呼ばれるV = 1ρでありまた n R kは定

数よりまとめて Cと書き直すと

p(1

ρ)γ = C (A-57)

p = Cργ    (A-58)

よって状態方程式が導かれた

A-4 MHD方程式 エネルギー方程式 (3-21)の導出

式 (3-17)に関して

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-59)

両辺に V middotを掛けると

ρV middot dV

dt= minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-60)

ρd

dt(V 2

2) = minusV middot nablap + V middot ( J times B) (A-61)

左辺は

ρd

dt(V 2

2) =

d

dt(1

2ρV 2) minus V 2

2

dt

=part

partt(1

2ρV 2) + (V middot nabla)

1

2ρV 2 minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 +

V 2

2(V middot nabla)ρ minus V 2

2

partρ

parttminus V 2

2(V middot nabla)ρ

=part

partt(1

2ρV 2) +

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-62)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 64: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 60

ここで

nabla middot ρV 2

2V =

ρV

2middot nablaV 2 +

V 2

2nabla middot ρV =

ρ

2(V middot nabla)V 2 minus V 2

2

partρ

partt(A-63)

なので

ρd

dt(V 2

2) =

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V   (A-64)

また右辺第 1項は

V middot ( J times B) = minus J middot (V times B) = J middot E =1

micro0

E middot (nablatimes B) (A-65)

nabla middot ( E times B) = B middot (nablatimes E) minus E middot (nablatimes B) (A-66)

より

V middot ( J times B) =B

micro0

middot (nablatimes E) minusnabla middotE times B

micro0

=B

micro0middot (minuspart B

partt) minusnabla middot

E times B

micro0

= minus part

partt(B2

2micro0

) minusnabla middotE times B

micro0

(A-67)

さらに右辺第 2項について状態方程式より

pρminusγ = Const (A-68)

d

dt(pρminusγ) = 0 (A-69)

d

dt(pρminusγ) =

dp

dtρminusγ + p

d

dt(ρminusγ)

=dp

dtρminusγ minus pγρminusγminus1 dρ

dt= 0 (A-70)

両辺に ργを掛けて

dp

dtminus pγ

1

ρ

dt= 0 (A-71)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 65: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 61

ここで連続の式を考えると

partρ

partt+ nabla middot (ρV ) =

partρ

partt+ nablaρ middot V + ρnabla middot V

=partρ

partt+ (V middot nabla)ρ + ρnabla middot V

=dρ

dt+ ρnabla middot V

= 0 (A-72)

つまり dρdt

= minusρnabla middot V でありこれを式 (A-71)に代入すると

dp

dt+ pγ

1

ρρnabla middot V = 0 (A-73)

dp

dt+ pγnabla middot V = 0 (A-74)

これを変形して

partp

partt+ (V middot nabla)p + pγnabla middot V = 0 (A-75)

partp

partt+ (V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) minus γ(V middot nabla)p = 0 (A-76)

partp

partt+ (1 minus γ)(V middot nabla)p + γnabla middot (pV ) = 0 (A-77)

なので

minus(V middot nabla)p =1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-78)

よって式 (A-61)に式 (A-64)(A-67)(A-78)を代入すると

part

partt(1

2ρV 2) + nabla middot ρV 2

2V = minus part

partt(B2

2micro0) minusnabla middot

E times B

micro0

+1

1 minus γ

partp

partt+

γ

1 minus γnabla middot (pV ) (A-79)

part

parttρV 2

2+

p

γ minus 1+

B2

2micro0

+ nabla middot ρV 2

2V +

γ

γ minus 1pV +

E times B

micro0

= 0 (A-80)

これで (3-21)が導かれた

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 66: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 62

A-5 (3-22)から (3-23)への変形

式 (3-17)において

ρdV

dt= minusnablap + J times B (A-81)

ρ(partV

partt+ (V middot nabla)V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-82)

part(ρV )partt

= partρpartt

V + ρpartVparttより

part(ρV )

parttminus partρ

parttV + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-83)

連続の式より

part(ρV )

parttminusnabla middot (ρV )V + ρ(V middot nabla)V = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-84)

nabla middot (ρV middot V ) = (nabla middot ρV )V + (nabla middot V )ρV より

part(ρV )

partt+ nabla middot (ρV middot V ) = minusnablap minusnabla B2

2micro0+ ( B middot nabla)

B

micro0(A-85)

A-6 Lambert-Beerの法則

単色光が媒質の中を通過するとき光に直角な dLなる薄い層を考える

dLを通過後の光の強度の減少量minusdI は層を通過する前の光の強度 Iと dLに比例すると考えられ式で表現すると次の様に書くことが出来る

minusdI = kIdL (A-86)

ここで kは比例定数である変形すると

minusdI

I= kdL (A-87)

両辺をそれぞれI0から I まで0 から Lまでの積分区間で積分すると次の様なLambertの法則が導かれる

log(I0

I) = kL (A-88)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 67: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 63

媒質が均一ならば単位断面積における溶質の分子数Nは液層の厚さ Lに比例するから次の様な関係が導かれる

log(I0

I) = kL = k2N (A-89)

Nは濃度Cに比例するから次の様な Beerの法則が導かれる

log(I0

I) = k3C (A-90)

式 (A-88)と式 (A-90)を組み合わせると次の様な Lambert-Beerの法則を導くことができる

log(I0

I) = εLC (A-91)

ここで εは吸光係数である

A-7 図3-2 3-3より電離圏での温度を求めた過程

n0というイオン密度が最大のところより高いところで密度について静水圧平衡が成り立つと仮定すると

n = n0 exp(minusz minus z0

H) (A-92)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 68: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 64

変形して

z minus z0

H= ln n0 minus ln n

= lnn0

n(A-93)

ここでスケールハイトは

H =kT

mg(A-94)

なのでこれを代入し変形すると

T =mg(z minus z0)

k

1

ln n0

n

(A-95)

これより電離圏の温度が求まる

A-8 (4-2) (4-3)の求め方

O+ O+2 イオンと電子の運動方程式を考える

minus 1

ρO+

partPO+

partzminus g minus eE

mO+

= 0 (A-96)

minus 1

ρO+2

partPO+2

partzminus g minus eE

mO+2

= 0 (A-97)

minus 1

ρe

partPe

partz+

eE

me

= 0 (A-98)

ただし

ne = nO+ + nO+2

(A-99)

という関係がある(A-98)より

eE =me

ρe

partPe

partz

=1

ne

partPe

partz(A-100)

これを (A-96) (A-97)に代入すると

minus 1

nO+mO+

partPO+

partzminus g minus 1

nemO+

partPe

partz= 0 (A-101)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 69: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 65

minus 1

nO+2mO+

2

partPO+2

partzminus g minus 1

nemO+2

partPe

partz= 0 (A-102)

図 3-2をみると約 240km以上では O+ O+2 なのでここでのスケールハイト

を考えるときne = nO+と考える

Peを

Pe = Pe(0)eminusz

He (A-103)

とすると

1

nemO+2

partPe

partz=

1

nemO+2

minus 1

HePe(0)eminus

zHe

=Pe(0)

nemO+2

1

Heeminus

zHe

また

PO+(0) + Pe(0) = ne(0)k(Ti(0) + Te) (A-104)

ne = ne(0)eminusz

He (A-105)

なので

1

nemO+2

part(PO+2

+ Pe)

partz=

ne(0)k(Ti(0) + Te)

ne(0)eminusz

He mO+2

1

Heeminus

zHe

=k(Ti(0) + Te)

mO+2

mO+g

k(Ti(0) + Te)

=mO+

mO+2

g (A-106)

=1

2g (A-107)

これよりmO+2の温度が 1

2倍になる

A-9 Newton 法

fortran90 プログラムにおいて圧力バランスの釣り合いを考える上で考慮した手法

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

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Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

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referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 70: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 66

方程式 f(x) = 0の実根を求めることを考えるいま曲線 y = f(x)上の適当な(xn f(xn))で接線を引く次に接線が x軸と交わる点を次の近似値 xn+1にとるここで点 (xn f(xn))での接線の傾きは次のように表される

f prime(xn) =f(xn)

xn minus xn+1

(A-108)

図に曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフを示す図から点 (xn 0)より

曲線 y = f(x)と点 (xn f(xn))での接線のグラフ

も点 (xn+1 0)の方が f(x) = 0の解の近似値になっていることがわかる式 (A-109)

を変形して

xn+1 = xn minus f(xn)

f prime(xn)(A-109)

が得られるただしf prime(xn) = 0とするこの式で表される反復法をNewton法と呼ぶ

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

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referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 71: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 67

第2章 Fortranプログラム

A-10 太陽風動圧変化による地球磁気圏境界面ノーズの距離変化図4-1

計算結果をいれるファイルを作成open(20file=dat4-1status=unknown)

pi=31415 π

do n=11001 太陽風の数密度変化do i=10010001 太陽風の速度変化

rho=n10e616e-27 密度=プロトンの質量 x 数密度v=i10e3 太陽風の速度pre=rhov20 太陽風の動圧

b=30e410e-9 地球表面の磁場 30000 nT

r=(b2(24pi1e-7x))(16) 式 (3-13)

write(20)prer 太陽風の動圧と地球中心から境界までの距離enddo

enddo

close(20)

end

A-11 地球磁気圏境界面の経度変化図4-2

real8 rhov2 B E dr0 dr r

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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Page 72: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 68

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-2status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 地球磁場 式 (3-12)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

85 7663-7678

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

Bridge HS et 10 al 1979 Plasma observations near Jupiter initial results from

Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

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Geophys Res 103 No E9 20075-20082

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418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 73: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 69

A-12 地球磁気圏境界面の緯度変化図4-3

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth r0 th x y

real8 r0

open(20file=dat4-3status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 01

B0 = 3d41d-9 地球表面の磁場 30000nT

RE = 637d6 地球半径mu = 4314151d-7 透磁率

rhov2 = 1d-9 太陽風の動圧

rhov2 = 3582802254d-10 境界面が 10 R_0 となる時の太陽風の動圧 式 (5-1)

--- 地球磁気圏境界面のノーズの距離 ---

r1 = (B02(2murhov2))(16) 式 (3-13)

r = r1r0 式 (3-13)

-------------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)r0 求める値y =rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3sqrt(1+3sin(thrad)2) 地球磁場 式 (3-17)

---- Θ=0 での圧力の比 ---------

E = B2(2murhov2) 式 (3-15)

---- 天頂角変化による境界面の変化 -----

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

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松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

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8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

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Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

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Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

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Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

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惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

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Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

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82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 74: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 70

r=r+dr 磁気圏境界面距離

enddo

close(20)

end

A-13 金星電離圏境界面図4-9

open(20file=dat4-9status=unknown)

rad = 31415921800 ラジアンdth = 1

To = 5000 Te+Ti

pre = 4d-9 太陽風の動圧r0 = 6052e3 金星半径no = 10d11 イオン密度最大の時の数密度zmo = 200e3 + 6052e3 イオン密度最大の時の高度k = 1380d-23 ボルツマン定数po = nk(To) 静圧m = 160 O^+イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 841 金星の重力加速度Ho = kTomng スケールハイトr = 604281e3 + 6052e3 境界面ノーズの距離

do th = 01 800 dth 太陽天頂角 80 degまでの計算

y1 = (r-zmo)Ho chapman関数のpres1 = exp(1-y1-(1cos(thrad))exp(-y1)) 静圧E = popres1pre 式 (3-27)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

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Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

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Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 75: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 71

y=rsin(thrad)r0 求める値

write(20)xy

enddo

do th = 801 1700 dth 太陽天頂角 80 deg以降の計算

y1 = (r-zmo)Ho

pres1 = exp(1-y1-(1cos(80rad))exp(-y1)) 30ppの仮定

E= popres1pre

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad

r=r+dr

x=rcos(thrad)r0 求める値y=rsin(thrad)r0 求める値write(20)xy

enddo

close(20)

end

A-14 orbit185のデータ観測値図4-9

open(20file=datOUTBOUNDstatus=unknown)

open(30file=datINBOUNDstatus=unknown)

rad = 001745329

r0=6052e3

x=6452e3cos(11rad)r0 求める値y=6452e3sin(11rad)r0 求める値

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

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Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

85 7663-7678

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

Bridge HS et 10 al 1979 Plasma observations near Jupiter initial results from

Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 76: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 72

write(20) xy

x=6842e3cos(52rad)r0 求める値y=6842e3sin(52rad)r0 求める値write(30) xy

close(20)

close(30)

end

A-15 金星電離圏境界面の温度変化図4-10

図 4-9 の計算において温度と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

To = 3000 温度を 3000K にする場合To = 10000 温度を 10000K にする場合r = 151672e3 + 6052e3 温度 3000K の場合境界面ノーズの距離r = 1556867e3 + 6052e3 温度 10000K の場合境界面ノーズの距離

A-16 太陽風の動圧の変化による金星電離圏境界面の変化図4-11

図 4-9 の計算において太陽風の動圧と境界面ノーズの距離の値を次のように変える

pre = 4d-915 動圧15

pre = 4d-915 動圧15

r = 7709255e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離r= 3856765e3 + 6052e3 動圧15 の場合境界面ノーズの距離

A-17 火星電離圏の電子密度が図3-3である時の各温度における境界面ノーズの変化図4-12

real8 kn

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

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松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

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Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

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Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

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Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

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82 4351

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John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

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magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

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Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

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Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 77: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 73

real8 no2Ho2

open(20file=dat4-12status=unknown)

pre = 89e-10 太陽風の動圧

To2 = 403 Ti + Te

To2 = 4032 温度が半分 To2 = 4032 温度が 2倍

k = 1380d-23 ボルツマン定数m = 32 O_2 イオンの質量n = 16d-27 プロトンの質量g = 375 火星の重力加速度Ho2 = kTo2(mng) スケールハイトno2 = 1d11 イオン密度最大の時の数密度po2 = no2k(To2) 静圧zmo2= 130e3 イオン密度最大の時の高度

z=10e6 境界面距離を仮定する

-- Newton 法を用いて計算するdo

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre 圧力の差yy2 = 10-y2-exp(-y2)

yy22= -1Ho2 +1Ho2exp(-y2) yy2 の微分b=yy22po2exp(yy2)

z=z-ab

if(zlt0) then

write() 境界面が地表にぶつかるときexit 計算を終わるendif

c=po2-pre

if(clt0) then 太陽風の動圧に耐えられない場合write() 計算を終わるexit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

85 7663-7678

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

Bridge HS et 10 al 1979 Plasma observations near Jupiter initial results from

Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 78: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 74

endif

if(abs(a)lt50e-15) then a の絶対値が 5 x 10^-15 よりwrite(20)prez 小さくなったら 圧力バランスがexit 成り立っていると仮定するendif そのとき計算を終わる

enddo

close(20)

end

図 4-13に関しては密度 no2を 10倍にして計算をおこなう

A-18 太陽風の動圧を静圧のみで耐え得る場合の火星電離圏境界面

距離変化による温度変化図5-4

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=dat5-4status=unknown)

do To2=1100001

pre=89e-10

zmo2=130e3

k=1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g =375

Ho2=kTo2(mng)

no2=1d11

po2=no2k(To2)

x = 境界面距離z=xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

85 7663-7678

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

Bridge HS et 10 al 1979 Plasma observations near Jupiter initial results from

Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 79: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 75

a= po2exp(10-y2-exp(-y2))- pre

-- Newton 法で境界面を求める

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(yy2)

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

write()

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)To2z

exit

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの温度と高度をプロットして線を引く

A-19 静圧は図3-3で与えられた値を用いたときに電離圏境界面を形成するために必要な磁場強度変化図5-5

real8 kno2po2Ho2a

open(20file=bstatus=unknown)

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

85 7663-7678

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

Bridge HS et 10 al 1979 Plasma observations near Jupiter initial results from

Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 80: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 76

do b0 = 255001 磁場強度の変化

x = 89e-10

To2 = 403

zmo2 = 130e3

k = 1380d-23

m = 32

n = 16d-27

g = 375

Ho2 = kTo2(mng)

no2 = 1d11

po2 = no2k(To2)

b = b01e-8

bb = b22431415921d-7 磁気圧

x = 境界面距離z = xe3

y2=(z-zmo2)Ho2

a= po2exp(10-y2-exp(-y2)) + bb- x

yy2= no2kexp(10-y2-exp(-y2))

+po2(y2Ho2-y2Ho2exp(-y2))exp(10-y2-exp(-y2))

b=yy2po2exp(10-y2-exp(-y2))

z=z-ab

if(To2lt0) then

write()

exit

endif

c=po2-x

if(clt0) then

exit

endif

if(abs(a)lt50e-14) then

write(20)bz

exit

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

85 7663-7678

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

Bridge HS et 10 al 1979 Plasma observations near Jupiter initial results from

Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 81: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 77

endif

enddo

close(20)

end

いくつかの磁場強度と高度をプロットして線を引く

A-20 木星磁気圏の密度分布図4-16

real8 n

open(20file=4-16status=unknown)

do r=75001 木星からの距離単位R_J

n0=4e4 7R_Jでの密度r0=1 初期値n=n0(r07r)6 式 (5-1)

write(20)rn

enddo

end

A-21 木星磁気圏境界面図4-17

real8 rhov2 B E dr0 dr r

real8 B0 mu

real8 rad dth RE th x y

real8 pre1pre2pre11

open(20file=4-17status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

B0=4d-4 木星表面での磁場強度RE = 714d7 木星半径

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

environment electric field and langmuir probe diagnostics IEEE Trans

Plasma Sci in press in special issue on Space and Cosmic Plasma

Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

Venus ionosphere in response to solar wind interactions J Geophys Res

85 7663-7678

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 82

Bridge HS et 10 al 1979 Plasma observations near Jupiter initial results from

Voyager 2 Science 206 972-976

Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

as observed by the Viking rerarding potential analyzers J Geophys Res

82 4351

Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

Kivelson M G et al 1997Galileo at Jupiter Changing states of the mag-

netosphere and first looks at Io and Ganymede Adv Space Res 20(2)

193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

Russell C T and Vaisberg O 1983 The interraction of the solar wind with

Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

I) 873pp

Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

referencetex 20030130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

referencetex 20030130(深田 佳成)

Page 82: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 78

mu = 431415921d-7 透磁率rhov2 = 65d-11 太陽風の動圧

r=5539328979RE 境界面のノーズの距離do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad)RE 求める値y =rsin(thrad)RE 求める値write(20)xy

B = B0(REr)3 ダイポール磁場pre2 = B2(2mu) 磁気圧

pre1 = 16d-274d10489d3489d3

pre11 = pre1(RE7r)6 動圧

E= (pre11+pre2)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-22 速度をいろいろ仮定したときの木星磁気圏境界面図4-18

v0rの値をいろいろ変えて計算する

real8 pnmn0

open(20file=4-18status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

p=65d-11

m=16d-27 プロトンの質量

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

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松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

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Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

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Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

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193

Mario H Acuna Kenneth W Behannon and J E P Connerney 1983 Jupiterrsquos

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McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

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Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

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Taylor H A Jr H C Brinton S J Bauer and R E Hartle 1980a Global

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Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 79

n0=4d10 7R_Jでの密度

----------------------------------

r=55015 ax+b

r=5505 ax2+b

r=54 ax3+b

r=55006 ax+b

----------------------------------

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

n = n0(7r)6 式 (5-1)

--- 速度 v を考えるv0の単位kms ---

v0=973r-461

v0=0157r2+143

v0=28e-3r3+21

v0=-3746r +557

v=v01d3

-----------------------------------

E = mnv2p 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

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enddo

close(20)

end

A-23 磁場強度を仮定したときの木星磁気圏境界面図5-10

real8 rhov2 pre1 pre11

real8 pre3 pre33

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

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r=r+dr

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close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

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松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

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Venusian magnetosphere Icarus 58 412

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惑星と太陽風の相互作用 Appendix 80

real8 pre2 mu

open(20file=5-10status=unknown)

rad = 31415921800

dth = 01

rhov2 = 65d-11

r = 558 境界面のノーズの距離

do th = 01 1800 dth

x =rcos(thrad) 求める値y =rsin(thrad) 求める値write(20)xy

pre1 = 16d-274d10300d3300d3 動圧pre11 = pre1(7r)6

------ 磁気圧 -----------------

pre2 = 40d-11 磁場強度を固定したときの磁気圧 ------------------------------

b = 4e-4(1r)26348 式 (5-5)

mu= 431415921d-7

pre2 = b2(2mu) 磁気圧 ------------------------------

pre3 = 4d10138d-23116d6 静圧pre33 = pre3(7r)6

E= (pre11+pre2+pre33)rhov2 式 (3-15)

dr0 = (sin(2thrad)-2sqrt(E-E2))(2(E - sin(thrad)2))

dr = dr0rdthrad 式 (3-16)

r=r+dr

enddo

close(20)

end

apetex 20040130(深田 佳成)

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 81

参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

砂川 重信 1977 電磁気学 岩波書店 317pp

砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

永田 武 等松 隆夫 1972 超高層大気の物理学 裳華房 453pp

松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

Bagenal F and J D Sullivan 1981 Direct plasma measurements in the Io

Plasma torus and inner magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86

8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

Physics of the Jovian Magnetosphere ed A J Dessler Cambridge Planetary

Science Series 68-105

Blomberg L G Cumnock J A and Eriksson A I 2003 The Martian plasma

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Brace L H Theis R F Hoegy W R Wolfe J H Mihalov J D Russell

C T Elphic R C and Nagy A F 1980 The dynamic behavior of the

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Hanson W B S Sanatani and D R Zuccaro 1977 The Martian ionosphere

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John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

418pp

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193

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McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

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Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

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Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

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参考文献

大林 辰蔵 1970 宇宙空間物理学 裳華房 484pp

恩藤 忠典 丸橋 克英 2000 宇宙環境科学 オーム社 302pp

柿並 義宏 小山孝一郎 渡辺 尭 2000 金星ホールの生成機構に関する一考察 宇宙科学研究所報告 109 58pp

久保田康文 前沢洌 2003 太陽風と火星の相互作用における火星表面磁場の影響の評価 地球惑星科学合同大会予稿

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砂川 重信 1982 電磁気学演習 岩波書店 296pp

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松井 孝典 永原 裕子 藤原 顕 渡邉 誠一郎 井田 茂 阿部 豊 中村 正人 小松 吾郎 山本 哲生 1997 比較惑星学 岩波書店 478pp

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8447-8466

Belcher J W 1983 The Low-energy plasma in the Jovian Magnetosphere

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1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

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John H Rogers 1995 The Giant Planet Jupiter Cambridge University Press

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193

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A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

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Silar zenith angle dependence of ionospheric ion and electron temperatures

and density on Venus J Geophys Res 85 7759

Ness N F Scearce C S and Seek J B 1964 Initial results of the IMP1

magnetic field experiment J Geophys Res 69 3531-3569

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Venus Venus (ed D M Hunten Colin L Donahue T M and Moroz V

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Smith E J L Davis Jr and D E Jones 1976 Jupiterrsquos magnetic field and

magnetosphere In Jupiter ed T Gehrels University of Arizona Press

Tucson 788-829

Spreiter J R Summers A L Rizzi A W 1970 Solar wind flow past non-

magnetic planets - Venus and Mars Planet Space Sci 18 1281-1299

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惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

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observations of the composition and dynamics of the ionosphere of Venus

implications for the solar wind interraction J Geophys Res 85 7765

Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

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Huddleston D EC T Russell M G Kivelson K K Khurana and L Bennett

1998 Location and shape of the Jovian magnetopause and bow shock J

Geophys Res 103 No E9 20075-20082

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193

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Magnetic field and Magnetosphere Physics of the Jovian Magnetosphere ed

A J Dessler Cambridge Planetary Science Series 1-50

McNutt RL Belcher JW amp Bridge HS 1981 Positive ion observations in the

middle magnetosphere of Jupiter J Geophys Res 86 No A10 8319-8342

Miller K L W C Knudsen K Spenner R C Whitten and V Novak 1980

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Vaisberg O L and Zeleny L M 1984 Formation of the plasma mantle in the

Venusian magnetosphere Icarus 58 412

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Page 87: The Interaction of The Solar Wind with Planetsshwlab/doc2004/fukada...Wind with Planets 深田佳成 Yoshinari Fukada 北海道大学理学部地球科学科 惑星物理学研究室

惑星と太陽風の相互作用 参考文献 83

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referencetex 20030130(深田 佳成)