TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold...

20
SPECIALTY POLYMERS TegraCore PPSU 構造発泡体 デザイン および加工ガイド TegraCore

Transcript of TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold...

Page 1: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

SPECIALTYPOLYMERS

TegraCore™ PPSU 構造発泡体

デザインおよび加工ガイド

TegraCore

Page 2: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...
Page 3: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 3

目次

TegraCore™ PPSU構造発泡体 . . . . . . . . . . . . 5主な特長 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5

サンドイッチパネルデザインの検討事項 . . . . . . . . . 5

Iビームとの類似性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5

耐荷重パネル構造のデザインガイドライン . . . . . . . . . . . . . 6主な検討事項 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

FEAによる構造比較 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6FEAモデル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7FEAの結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

製作準備 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

PPSUフォームパネルの溶接 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8推奨接着剤. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8適切な接着剤の種類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8避けるべき接着剤の種類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9液状接着剤 (1液型および 2液型) . . . . . . . . . . . . . . . . . 9フィルム状およびシート状接着剤 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9

PPSUフォームパネルの端部接合. . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9

PPSUフォームパネルの表面接合. . . . . . . . . . . . . . . . . . 10

熱成形のデザインガイドライン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10PPSUフォームの熱成形の主な検討事項 . . . . . . . . . . . . 11

熱成形 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11

真空バッグを使う熱成形. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12

オーブン内での開放金型真空成形 . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

マッチドモールド熱成形機 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14

サンドイッチパネルアセンブリ . . . . . . . . . . . . . . . 14

熱可塑性スキンを使用して作成するラミネート . . . . . . . . . 14

フェノールベースのガラス/カーボンマットのプリプレグを使用したラミネート . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 15

熱可塑性スキンを使用したサンドイッチパネルの 冷間成形 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16

圧力、温度、時間によるTegraCore™ PPSU フォームの圧縮保持 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16

TegraCore™ PPSUフォームを使用して 作成するサンドイッチパネルでの インサートの使用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17

TegraCore ™ PPSUフォームと注入樹脂との 適合性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17

試験結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17

Page 4: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

4 \ TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド

Page 5: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 5

概要

TegraCore™ PPSU構造発泡体TegraCore™ R-1050 PPSUフォームを構造発泡体コアとして使用すると、衝撃によってひび割れが際限なく広がるのを防ぎ、水や薬品、-40°C~ 204°Cの温度に長時間曝されても耐えることができます。この革新的な技術は、航空機の内装部品の構造と装飾をはじめとする高性能用途に 25年以上にわたって使われている超高靭熱可塑性樹脂であるソルベイのレーデル® PPSU樹脂に基づくものです。レーデル® PPSUベース樹脂のガラス転移温度は約 220°Cです。

TegraCore™ R-1050 PPSUフォーム(以下、TegraCore™ PPSUフォーム)の製造には独自の押出技術を使用します。密度50 kg/m3での圧縮強度は室温で 0.63 MPaです。PPSUフォームは、マッチドモールドを使用して 210°C~ 220°Cで 2.3 MPaの圧力をかけると、1分未満で熱成形できます。PPSUフォームの詳細については、弊社の技術資料「TegraCore™ PPSU Foam for Aircraft」をご覧ください。

主な特長• 最高 180°Cまでの安定した機械特性

• 加工中の水分および樹脂の吸収が非常に少ない (オープンセル 7個以下)

• Skydrol®をはじめとする航空宇宙用流体に対する耐性

• 優れた FST(燃焼、発煙、毒性)性能

• クローズドセル構造により(ハニカムのような)エッジ充填が不要

• スプリングバックや収縮が非常に少ない

• 25%未満のひずみ下での熱成形が可能

• 機械加工、修復、リサイクルが容易

• 砕けにくく、発塵も非常に少ない

• 他の高性能フォームに比べて加工性が向上

サンドイッチパネルデザインの検討事項Iビームとの類似性コア/サンドイッチラミネートによる複合構造の利点は、Iビーム構造との類似性を示すことによって説明できます(図 1)。Iビーム構造では、Iビームのフランジにより、荷重がかかったときの曲げ応力に耐える力が得られます。Iビームの主桁から、せん断荷重に耐える力が得られることにより、Iビームの変形に対する剛性と耐性が高まります。荷重に耐える性能が得られるため、Iビームは効果的で効率のよい構造要素になります。

これと同じように、コア/サンドイッチラミネートにおける複合表面シートにより、Iビームのフランジと同様、負荷される荷重による曲げ応力に耐える力が得られます。コア材料からは、Iビームの主桁と同様に、せん断荷重に対する耐性が得られ、構造の剛性が高まります。サンドイッチラミネート構造のコア材料による継続的な支持は、主桁材料が Iビームにもたらす限定的な効果よりも改善されているため、Iビームよりも等方性の高い挙動が可能になります。これらの機械的改善によって構造に追加される重量はごくわずかです。

図 1:サンドイッチパネル構造と Iビーム構造の比較

フランジ主桁

接着剤

フォームコア表面スキン

Iビームサンドイッチパネル

Page 6: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

6 \ TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド

耐荷重パネル構造のデザインガイドラインサンドイッチラミネート複合部品のデザインに使用される基本概念の詳細は、以下をはじめとするいくつかの書籍で説明されています。

• 『Handbook of Composites』(George Lubin編集、Van Nostrand Reinhold出版、ニューヨーク、1982年、557-601ページ)

• 『Handbook of Sandwich Construction』(D. Zenkert編集、Engineering Materials Advisory Services Ltd.(EMAS)出版、1997年)

主な検討事項複合ラミネートの負荷荷重と必要な剛性に加え、関連する熱および環境の要件を定めます。

• 使用するサンドイッチ構造のタイプと材料を定めます。

• 複合表面シートの構造(補強の種類、マトリックス樹脂、貼り合わせの配置など)および関連する材料特性

• サンドイッチのコア材料(フォーム、ハニカム、バルサなど)、厚さ、および関連する材料特性

• コアを表面シートに接合するために使用できる接着系(表面のマトリックスで十分な接着力を得られる場合もあります)

• 複合部品の物理的制約と環境上の制約に加え、重要な境界条件を特定し、デザイン過程で対処済みであることを確認します。

• 複合部品に望まれる性能を実現するための最適化計算を行います。

• TegraCore™ PPSUフォームは、スキンの有無にかかわらず使用できます。カーボンファイバーまたはグラスファイバーで強化したスキンだけでなく、フィラーを含有しない熱可塑性樹脂またはエポキシのスキンも使用できます。スキンのないフォームは、配管など衝撃の少ない用途に適しています。

FEAによる構造比較単純な複合材は、有限要素解析(FEA)の技法を使用して、同じ厚さの TegraCore™ PPSUフォームコアとNomex®ハニカムコアによるサンドイッチ構造のたわみを比較することで調べることができます。

スキンは、厚さ 25.4 mmのコアを持つ厚さ 0.5 mmのアルミニウム製であると想定します。長さ 2 m、幅 0.5 mのビームを両端で固定します。ビームの中央に中心線荷重をかけて、全体の力を1500 Nにします。

FEAの評価に使用した材料特性を表 1に示します。アルミニウムスキンには弾性係数 70,000 N/mm2を使用しています。

表 1:室温での FEA材料特性

変数 単位TegraCore™ PPSUフォーム

Nomex®

ハニカム

圧縮係数 N/mm2 25 25

ポアソン比 0.39 0.30

せん断係数

法線から 横断方向

N/mm2 9 1

負荷荷重の 法線方向

N/mm2 9 30

法線から リボン方向

N/mm2 9 30

かさ密度 kg/m3 50 48

Page 7: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 7

FEAモデルリソースを節約するため、ハーフビームでモデリングを行いました。左側を固定し、中央端が対称に境界条件を受けるようにしました。中央端に1500 Nに相当する線荷重をかけました。複合シェル要素を使用し、複合ビームの材料と厚さの違いはシェル要素の層として指定しました。

FEAの結果図 2に示すように、計算で得られるたわみの輪郭は、最大変位がビームの中央部分にあることを示しており、予想どおりです。最大変位は、TegraCore™ PPSUフォームコアで 14.9 mm、Nomex®

ハニカムコアで 11.4 mmでした。つまり、スキンとコア材料の厚さを同じにした場合は、TegraCore™ PPSUフォームコアの方が、同じ厚さの Nomex®ハニカムコアよりもたわみが 21%大きくなります。Nomex®ハニカムと同じたわみにするには、PPSUフォームコアの厚さを 31 mmに増やす必要があります。

図 2:TegraCore™ PPSUフォームコアを使用したサンド イッチパネル複合部品の荷重下でのたわみのFEAシミュレーション

製作準備コアや構造部品を製作するために TegraCore™ PPSUフォームを準備するときに利用できる一般的な機械的手段の例を以下に示します。

• 高圧ウォータージェット切断

• 鋭利なナイフによる切断

• 帯のこ

• 糸のこおよび振動カッター

• 単純な金属ドリルによる穴開け

• スカイビングによる最小厚さ 1 mmの薄型フォームの作成 (ベルトナイフを使用)

• オービタル/ベルト/ドラムサンダーによる手作業の研磨 (粗さ 80~ 300番)

• 溶接(ホットプレート技術)

高圧ウォータージェットによる切断では、他の方法で起こるような局所的な応力や変形はありません。厚さ 15 mmのパネルを適切に切断するには、直径 0.8 mmのノズルを付けたウォータージェット切断機を、水圧 3,000 bar、最高速度 2 m/分で使用します。研磨剤の添加は不要です。

Page 8: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

8 \ TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド

PPSUフォームパネルの溶接TegraCore™ PPSUフォームは、以下のガイドラインに従ってホットプレート技術を使用することにより、簡単に溶接することができます。

• ナイフの温度は 300°C~ 330°Cにします。

• 固着の問題を回避するために特殊コーティングが必要です。

• 優れた強度を得るために、溶接条件を最適にします (図 3および図 4)。

• 剛性は溶接線に沿って多少大きくなりますが、通常は 1 mm未満です。

• 溶接ビードは非常に小さく、ルーターで除去できます。

図 3:突き合わせ溶接した TegraCore™ PPSUフォームの溶接強度

図 4:突き合わせ溶接がある場合とない場合のTegraCore™ PPSUフォームの圧縮強さ *

応力

[ M

Pa

]

3.02.72.42.11.81.51.20.90.60.30.0

0 20 40 60 80ひずみ [ % ]

溶接あり溶接なし

* 30 x 30 x 15 mmの試験サンプルを 20°Cで測定

突き合わせ溶接装置を正しく選択することにより、隣接するPPSUフォームパネルを接合できます。2個のフォームをホットプレート溶接またはコンタクト溶接するには、320°Cで作業できる特殊コーティングした高温ブレードが必要です。接合圧力は、フォームの圧縮強さ(0.6 MPa未満)よりも十分に低い値にする必要があります。溶接接合によって PPSUフォームの剛性と強度は高まりますが、特に溶接の伸びや曲げが起きる場合は、熱成形が複雑になることに注意してください。

推奨接着剤PPSUフォーム部品は従来の接着剤を使用して接合することができます。接着剤はそれぞれ高度な独自の組成となっている場合があります。塗布および硬化時の温度と圧力については、メーカーの推奨条件に従ってください。

接着剤を選択するときは、最終用途における機械的、熱的、および環境上の要件など、いくつかの事項を検討する必要があります。使用温度が高くなる場合は、高温に長時間曝されても耐えることのできる接着剤が必要です。最終部品にかかる応力に接着強度が耐えること、最終使用環境に存在する化学薬品に対する耐性が接着剤にあることが必要です。

基材とフォームとの化学的適合性も検討する必要があります。フォームや基材が溶解または劣化することなく、適切に接着できなければなりません。硬化温度と最終使用温度は、PPSUフォームだけでなく、フォームを接着するすべての基材や表面にも適している必要があります。PPSUフォームを PPSUフォームに接着する場合、一部の接着剤ではフォーム自体の引張強度を超える接着強度が生じます。

接着剤を使って良好な接着力を得るには、0.14 barを超える圧力が必要です。

PPSUフォームを表面層に接着するのに適した接着剤の一般的な種類を以下に示しますが、これらに限定されるわけではありません。

適切な接着剤の種類• エポキシ系

• フェノール系

• ポリウレタン系

• ポリエステル系

• ビニル系

• アクリル系

特定種類の接着剤および前処理材は、PPSUの溶解を起こす可能性があるため、使用を避ける必要があります。たとえば次のようなものがありますが、これらに限定されるわけではありません。

Page 9: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 9

避けるべき接着剤の種類• シアノアクリレート系

• メチルメタクリレート系

• PPSUと適合しない調合の溶剤(高濃度のケトンや塩素化炭化水素など)

• 一部のアミン系硬化剤(RTM6など)

これまでに評価が完了した、適切な接着力を示す市販の接着剤を以下に示します。

液状接着剤 (1液型および 2液型) • 3M Scotch-Weld™

• 9323 A/B、9323-2 A/B

• 1099

• DP 8005

• DP 8010

• DP 125

• DP 460

• DP 490

• 3M EC-2216 B/A(BMS5-92)

• 3M EC-3532 B/A(BMS5-105)

• Huntsman Araldite® AV138と硬化剤 HV998

• Huntsman Araldite® 1570 A/B

• Lord® 7545 A/B

• Lord® 7542 A/B

• Henkel Hysol® 9620(BAC5-101)

フィルム状およびシート状接着剤• AF 163-2K(BMS5-101)

• AF 163-3M(BMS5-101)

• Bostik PE-120-30

• Bostik Sharnet® 4275 FR

PPSUフォームパネルの端部接合PPSUフォームパネルを接合して長さを伸ばしたり、幅を広げたりすることはよくあります。フォームパネルのサイズや形状をカスタマイズできることが有益な用途もあります。PPSUフォームコアに熱可塑性スキンを使用する場合は、余ったスキン樹脂によってもフォームパネルが接着される場合があることに注意してください。

側面接合では、デザインと接着剤の選択が重要です。使用する接合のタイプは、応力や荷重がどのようにかかるかによって異なります。荷重や張力が働く方向に対して平行な接合面を最大にすると、接合強度が最大になります。接着剤の選択も接合デザインの影響を受けます。複雑な接合では、シート状やフィルム状の接着剤を使用できない場合があります。いくつかの接合オプションを図 5に示します。

図 5:側面フォーム接合の種類

90°突き合わせ接合

斜め重ね接合*

段付き重ね接合*

t

* 接合の重なりは厚さ(t)の 3倍です。

90°突き合わせ接合のような垂直接合では、パネル両端の表面同士が一致するように仕上げるための注意が必要です。パネルの間に空気が残らないように貼り合わせる必要があります。空気溜まりは性能低下の原因になります。接着剤は、メーカーが推奨する厚さに塗布した後、硬化させる必要があります。液状接着剤を使う方法が最も簡単です。硬化に熱を必要とするフィルム状またはシート状接着剤は、フォームに断熱性があるため、長い加工時間が必要になる場合があります。養生テープを使用して、組み立てプロセス中のパネルを固定できます。

Page 10: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

10 \ TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド

PPSUフォームパネルの表面接合フォームパネル端部の接合に加え、パネルの厚さを増やすためにパネルの表面を接合することができます。例として、ケーブル保護や換気ダクト用のフォーム導管があります。表面接合は、合板を作るために使われるようなスプレー式接着剤(3M Scotch-Weld™ 1099など)を使うことにより、熱成形構造にも利用できます。

接合には、熱硬化性のフィルム状またはシート状接着剤や、低温の熱可塑性フィルムも利用できます。熱硬化性のシート状またはフィルム状接着剤が適切な成形温度で硬化する場合は、フォームの成形時にそのまま使用できます。

端部接合と表面接合を組み合わせて導管を作成する概要図を図6に示します。この部品は 210°C~ 220°Cで組み立てと成形が可能です。接着力を最大にするには、接触面がこの温度に到達する必要があります。これよりも高い接着温度は、フォームが変形する恐れがあるため推奨しません。熱硬化性のフィルム状およびシート状接着剤は、メーカーの指示に従って使用する必要があります。

図 6:端部接合と表面接合で作成した導管

1 mmの層に熱成形した外側のフォームシート

1 mmの層に熱成形した内側のフォームシート

突き合わせ接合

二つの面を接着

突き合わせ接合

熱成形のデザインガイドライン温度変化によって機械特性が変化することにより、材料を要望する形状に成形できます。図 7に示すように、フォームの強度は温度が高くなるほど低下します。データ点から、PPSUフォームは200°C~ 230°Cの間で熱成形する必要があることがわかります。この温度範囲での実験による応力 -ひずみ曲線(引張と圧縮)を図 8に示します。PPSUフォームの真空バッグ熱成形をモデリングするために、これらの結果を使用して有限要素解析(FEA)計算を行いました。計算では、フォームの温度を 200°Cの一定と見なしています。

図 7:TegraCore™ PPSUフォームのひずみ 10%での温度ごとの圧縮強度

圧縮強度

[ M

Pa

]

0.7

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0.00 10050 200150 250

温度 [ °C ]

熱成形範囲

図 8:TegraCore™ PPSUフォームの 200°Cおよび 220°Cでの実験による応力 -ひずみ曲線

応力

[ M

Pa

]

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0.0

ひずみ [ % ]302520155 100

引張 ( 200 °C )圧縮 ( 200 °C )引張 ( 220 °C )圧縮 ( 220 °C )

Page 11: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 11

TegraCore™ PPSUフォームの応力 -ひずみ曲線に基づいて、フォームパネルに 1 barの最大圧力を加えます。応力 -ひずみ曲線では、巨視的破壊の単純な基準がひずみ 25%未満と示されています。25%以上のひずみがかかると断裂の危険があり、フォームが破壊する原因となります。図 9に、この FEA計算の例を示します。図 10は、その結果をひずみ分布とともに示したものです。

図 9:PPSUフォームパネルの熱成形の FEAシミュレーション *

r = 15 mm

r = 26 mm

r = 30 mm

* r = 曲率半径

図 10:ひずみ分布を示した PPSUフォームの熱成形の FEAシミュレーション

PPSUフォームの熱成形の主な検討事項• 成形は、ガラス転移温度を超えない熱たわみ温度付近で発生する弾性係数の減少と延性の増加の結果として発生します。

• ひび割れを起こさずに延伸するには、フォームの表面温度を維持する必要があります。

• 温度制御付きの金型またはフォームの断熱が必要です。

• 真空引きは穏やかに行う必要があります。

• 適切な場所で冷却することによってスプリングバックが抑制されます。金型温度が適切であればスプリングバックは発生しません。

• 200°C未満でのフォームの収縮は 1%未満であり、均一な厚さが維持されます。

• 金型形状の曲率半径を小さくして、フォームボードを厚くした場合は、一般に式 γ=t ⁄ (2rc)に従ってマッチドモールドでのひずみが大きくなります。ここで、tはボードの厚さ、rcは金型の曲率半径、γは発生するひずみです。25%のひずみは部品を損傷する可能性があります。一方で、ひずみが小さすぎると (応力 -ひずみ曲線の線形領域など)スプリングバックが発生します。

• 部品の形状に応じ、サイクルタイムはマッチドモールドで約 2~ 3分、開放金型真空成形で 10分、真空バッグを使う熱成形で 30~ 60分です。

• 温度が 215°C以上かつ圧力が 5 bar以上の条件が重なると、マッチドモールド加工中に肉厚が大きく失われる場合があります。

• 温度が 210°Cを超えると、多少のフォーム収縮が見られます。

熱成形TegraCore™ R-1050 PPSUフォームは、各種の熱成形法を使用して、3次元形状に容易に成形できます。加工ウィンドウは、原板の厚さ、加える延伸、最終部品の形状、使用する熱成形法によって異なります。使用する方法に応じて、一般的なフォームパネルの温度は 200°C~ 230°C、加工時間は数分から 1時間の範囲になります。

熱成形中の熱特性を考慮する必要があります。固体の PPSUポリマーと比較して、PPSUフォームの熱伝導率は約 10倍低く、密度 は約 20倍低くなるため、PPSUフォームの熱拡散率は固体のPPSUポリマーの 2倍になります。PPSUフォームは、固体のPPSUポリマーで作られた同様の物体よりもはるかに速く加熱および冷却されます。図 11に示した、PPSUフォームの一般的な加熱挙動は、215°Cでのオーブン加熱中に時間の経過に合わせてプロットしたフォームパネルの内部温度に基づいています。厚さ21 mmの PPSUフォームパネルの自由冷却挙動を図 12に示します。

図 11:厚さの異なる TegraCore™ PPSUフォームパネルの加熱時間 パネルのコア部分に熱電対を配置し、215°Cのオーブン内で測定

フォームコアの温度

[ °C

]

250

200

150

100

50

0

時間 [分]

6050403010 200

フォームコア 6 mmフォームコア 12 mmフォームコア 21 mmフォームコア 42 mm

Page 12: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

12 \ TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド

図 12:TegraCore™ PPSUフォームパネルの大気中での冷却時間 *

温度

[ °C

]

250

200

150

100

50

0500 150 250200 300100

時間 [秒]

フォームコア ( 21mm )

* 15秒後にはコアの温度が加工ウィンドウの下限に達します。

使用する熱成形法は、要望の部品形状、製造する部品の数量、利用できる装置、オペレーターの知識や経験によって異なります。TegraCore™ PPSUフォームを加工する一般的な方法を以下で説明します。

• 真空バッグを使う熱成形: 金型は非常に低コストです。手作業の多い加工であるため、サイクルタイムは長くなります(30~ 60分)。予熱装置や温めた金型を使用することにより、サイクルタイムを短縮できます。

• オーブン内での開放金型真空成形: この方法は、先行投資と加工サイクルタイムとのバランスが魅力的です。ただし、最終部品に可能な形状に制限があります。材料の取扱いは簡単で、サイクルタイムは 10分前後です。

• マッチドモールド金型を使う熱成形機: 熱成形機は、最速 2~ 3分のサイクルタイムで同一形状を大量に生産できます。装置と金型のコストが高くなることに加え、このプロセスを立ち上げるための時間と専門知識や経験が障害となる場合があります。

真空バッグを使う熱成形真空バッグによる PPSUフォームの熱成形には、アルミニウム、深絞り鋼、または高温カーボンファイバーかガラス繊維の複合材(D-Formなど)から成る金型材料が適しています。一般に、定格温度が最高 230°Cの消耗品が必要です。たとえば、ポリアミド 6の真空バッグ(Solvay A6200)、ポリエステルブリーザー(Econoweave® 44)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはパーフルオロメチルアルコキシポリマー(MFA)製真空チューブ、各種の高温シーラントテープなどがあります。

通常は、最初に室温でフォームを曲げて金型にかぶせて固定し、その後に真空引きします。真空引きする前に、手でサンプルを曲げて、金型とフォームの間にバッグが引き込まれていないことを確認することをお勧めします。

フォームを冷間曲げする場合は、表 2に示したガイドラインに従ってください。部品の曲率半径によっては、フォームボードの厚さが右側の列の値よりも小さい場合は、真空を加える前にフォームを手で曲げて金型にかぶせることができます。それよりも厚いフォームボードは、破断を回避するために、オーブンで加熱した後でのみ曲げる必要があります。

表 2:異なる曲率半径に対する手作業の冷間曲げでのフォームボードの最大厚さ

部品の曲率半径 [mm]

最大厚さ[mm]

40 15

20 12

10 8

真空引き中は、金型とフォームをオーブンで加熱します。金型の加熱速度によりますが(通常はフォームよりも長くなります)、サイクルタイムは 210°Cで 30~ 60分の範囲です。

追加の電気ヒーターを備えていないアルミニウム金型は、金型の肉厚を 5 mmまで減らして加熱時間を短くする必要があります。金型に電気ヒーターを追加することによって加熱時間が短くなります。オーブンから取り出した後の金型とフォームは、室温で真空状態のまま 10~ 15分間冷却してから、型から外す必要があります。

Page 13: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 13

図 13に、真空バッグを使用して PPSUフォームを L字形の部品に熱成形する手順を示します。図 14は、真空バッグで熱成形した S字形の部品を示しています。

厚さが 8 mm~ 15 mmの PPSUフォームボードを、ボウル形の金型を使用して、真空バッグ熱成形の試験を行いました。このプロセスでは、オーブンを 225°Cに設定し、10~ 15分間は真空引きをしないことにより、フォームの温度を 215°Cまで上げました。真空バッグ内で真空引きし、フォームをボウル形状に成形してから、真空状態のまま部品を 10分間冷却します。金型とフォームボードの間に真空バッグを引き込まないように特に注意する必要があります。

図 13:TegraCore™ PPSUフォームとアルミニウム金型を使用した L字形部品の真空バッグ熱成形

図 14:TegraCore™ PPSUフォーム(600 x 900 mm)を使用した S字形部品の真空バッグ熱成形

オーブン内での開放金型真空成形ボウル形部品の成形は、オーブン内で開放金型真空熱成形を使用して、厚さ 6 mm~ 15 mmの TegraCore™ PPSUフォームでも実施しました(図 15)。このプロセスでは、金型に開けた直径1 mmの複数の穴から真空引きします。フォームを金型に緩く固定し、真空漏れを最小限にするために、平らなフランジが必要です。部品の平らな端を固定し、フォームと金型を密着させるために、重しやクランプ、トグルクランプを使うことができます。アセンブリをオーブン内で約 10分間加熱して、220°C~ 230°Cにします。次に、キャビティを 20秒間真空引きすると、フォームがキャビティに引き込まれます。真空を解放すると、熱成形部品を加工温度で金型から外して冷却することができます。

図 15:開放金型真空熱成形用のボウル形金型とTegraCore™ PPSUフォーム部品

Page 14: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

14 \ TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド

マッチドモールド熱成形機マッチドモールド加工技術は、精密な PPSUフォーム部品の成形に利用できます。フォームボードの加熱を正確に制御して、フォームが曲がる原因となる上部から下部への温度勾配を回避する必要があります。このため、オイルヒーターまたは電気カートリッジを備えたアルミニウム製マッチドモールド金型をお勧めします。

以下の手順で、上下にハロゲン式加熱システムを備えた Geiss社製成形機を使ってTegraCore™ R-1050 PPSUフォームのマッチドモールド熱成形を行いました。

• 装置を予熱して、温度制御を良好にします。

• 通常は下側に保護ガラスが取り付けられているため、下側を上側よりも加熱する必要があります。開始時はパワー配分を 4(上側):7(下側)を目安とし、最適化してください。

• フォームボードの温度は 210°C~ 220°Cを目標にします。

• 厚さ 12 mmの PPSUフォームボードの加熱では、50秒間温度を上げた後に 50秒間温度を保持することをお勧めします。

• 正しく成形するには、金型温度を 180°C~ 200°C、最大圧力を 2.3 MPaに保つことが一般に適切です。圧縮が強いと、構造が局所的に柔らかくなる可能性があります。

• フォームが曲がったり(温度勾配が原因)、たるんだり(柔らかすぎる)しないように注意する必要があります。

• アセンブリは、圧力をかけたまま金型内で 50秒間冷却してから、次の処理を行う必要があります。

サンドイッチパネルアセンブリPPSUフォームは、ラミネートまたはサンドイッチ構造のコア材料としてよく使用されます。単純なラミネートは、熱接合や従来の液状、フィルム状、シート状接着剤を使用して作成できます。 ラミネートの作成には、真空成形やプレスなどの方法が使用されています。スキンは、圧密化熱可塑性プリプレグまたは熱硬化性プリプレグから作成できます。熱硬化性ラミネート(フェノールベースまたはエポキシベース)を使用するときは、マトリックス樹脂が接着剤として働きます。この場合は、真空バッグやプレス、オートクレーブでの熱硬化によって、スキンがフォームコアに接着されます。熱可塑性スキンを使用する場合は、一般に接着層を使用する必要があります。

ラミネートの成形では、最終用途の強度、製作方法、可燃性、環境要件を考慮する必要があります。スキンは、部品が効率的に製作され、あらゆる最終使用要件を満たすように選択する必要があります。

熱可塑性スキンを使用して作成するラミネートTegraCore™ PPSUフォームのラミネートは、圧密化ポリエーテルイミド(PEI)ベースおよびポリカーボネート(PC)ベースのCetex™ガラス強化プリプレグ、圧密化カーボンファイバー強化ポリエーテルサルホン(PESU)プリプレグ、Aonix UltraMaterials™プリプレグで成功しています。

ラミネートおよびサンドイッチアセンブリの熱接合には、PC、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリサルホン(PSU)製の薄いポリマーフィルムなど、比較的低温のポリマーを使用できます。PSUフォーム同士の接合や、PPSUフォームとガラス/カーボンで強化したレーデル® PPSUシートおよびレーデル® PPSUベースのプリプレグの接合には、厚さ 80~ 250ミクロンの PSUフィルムが使用されています。

このプロセスは、オーブンに入れた真空バッグまたはホットプレスで実行できます。最適な加工条件では、アセンブリに 0.1~0.3 barの圧力を10分間かけて210°C~215°Cまで加熱します。その後、圧力をかけた状態でアセンブリを 190°C未満まで冷却してから次の処理を行います。この方法は平らなパネルの製作に使用することができ、この加工温度で熱成形とラミネートを一度に実行できます(図 16と図 17)。ユーデル® PSUフィルムはソルベイAjediumフィルムの製品です。

Page 15: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 15

図 16:厚さ 15 mmの TegraCore™ PPSUフォームコアを半径 40 mmの治具にかぶせて成形すると同時に、ユーデル® PSUフィルムを使って PPSUカーボンファイバープリプレグにラミネートしたもの

図 17:ユーデル® PSUフィルムを接合層として使用し、厚さ1 mmの TegraCore™ PPSUフォームボードを矩形管に成形したもの

Bostik社が販売しているようなポリエステルを材料とした市販のシート状接着剤も、頑丈なサンドイッチ構造の作成に使用できます。これらの接着剤および前述の比較的低温の接着剤でうまくいくかどうかは、フォームを接合する基材との相性に大きく依存します。多くの場合、PPSUフォームはこれらの接着剤を使用して、フォームが柔らかくなる温度よりも低い温度で接着できます。 150°C~ 180°Cの範囲の温度を使用すると、フォームコアの特性に与える影響を最小限に抑えてこれらの材料を接着できます。これよりも温度が高くなるとフォームの重大な変形の原因となり、低くなると接着力が低下する可能性があります。ポリマーフィルムが柔らかくなる温度を事前に知っておく必要があります。シート状接着剤について、メーカーの指示に必ず従う必要があります。

フェノールベースのガラス/カーボンマットのプリプレグを使用したラミネートTegraCore™ PPSUフォームは、滑らかなフォーム表面、小さなセルサイズ、高温での優れた圧縮特性により、フェノールベースのプリプレグとの良好なラミネートが可能です。部品の形状とフォームの厚さに応じて、PPSUフォームの事前成形が必要になる場合があります(熱成形の項を参照)。プリプレグとの冷間成形も可能です。

フェノールプリプレグを取り扱う際には、プリプレグの SDS(安全データシート)をよく読み、安全な作業条件を確認してください。樹脂製手袋を使用し、作業場所の換気を十分に行う必要があります。TegraCore™ PPSUフォームをフェノールプリプレグにラミネートする手順の詳細は次のとおりです。

• 冷却したプリプレグの大きな断片をフリーザーから取り出し、室温に馴らします。数時間かかる場合があります。

• ハサミかナイフを使ってプリプレグを適切な大きさに切断します。

• 保護フィルムの片面を剥がし、PPSUフォームボードの端から端までをプリプレグで覆います。プラスチックの板を使用して、プリプレグをフォーム表面に優しく押し付けます。複雑な構造の場合は、先の尖ったノミのような形状の PTFE製工具を使用して、フォームコアの細かい部分にプリプレグを押し付けます。

• 上側の保護フィルムを剥がします。

• 必要であれば、最初のプリプレグの表面に 2層目のプリプレグをかぶせることができます。要件に応じて、2層目を 1層目と同じ方向に向けることも、90°や 45°の相対角度に合わせることもできます。

• 湿った状態のプリプレグを ETFE離型フィルム(穴あきと穴なしがあります)で覆います。

• 部品をひっくり返し、もう一方の表面で作業を繰り返し、こちら側も ETFE離型フィルムで覆います。

• ポリエステルブリーザー/ブリーダーを使用して、真空バッグ(次の手順を参照)による圧力を表面全体に分散させます。穴あきの ETFEフィルムを使用する場合、余分な樹脂はブリーダーによって吸収されます。

• 部品を真空バッグで覆います。フォームの厚さや部品の形状によっては、許容値を保証するために金型が必要になる場合があります。厚みのあるフォームを使用する場合の多くでは、金型に固定しなくても、フォームコアには硬化に対して十分な寸法安定性があります。

• TegraCore™ PPSUフォームに重ねたフェノールプリプレグの硬化は、真空バッグごとオーブンに入れるか、ホットプレスまたはオートクレーブで行います。真空バッグをオーブンに入れた場合は、80°Cの保持温度で 15分間ののち、150°Cを 15分間、0.3 MPaの圧力を 30~ 60分間かけると硬化が始まります。最大圧力、時間、温度の関係については後述します。

• 硬化後は、部品をオーブンから取り出し、真空バッグ内で真空をかけた状態で冷却した後、型から外します。

Page 16: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

16 \ TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド

ソルベイコンポジットマテリアルズが提供する、ガラス繊維で強化したフェノールプリプレグのMTM 82S-C製品ラインで良好な結果が得られています。この製品は機械強度が高く、剥離強度に優れ、抜群の衝撃特性を備えています。作成したサンドイッチパネルや部品は、FAR 25.853の燃焼試験規格要件を満たします。

EcoTechnilin社のFibriPregスキンも、TegraCore™ PPSUフォームコアへのラミネートに成功しています。FibriPregは亜麻と糖をベースにしたバイオ樹脂製で、織り上げた玄武岩樹脂で強化されています。これを使用したサンドイッチパネルも、FAR 25.853の燃焼試験規格要件を満たします。

TegraCore™ PPSUフォームで作成したラミネートは、Nomex®

ハニカム材料よりも剥離強度試験で優れた結果を示します。たとえば、Cycom® 2265/7781フェノールプリプレグを使用して作成した TegraCore™ PPSUフォームラミネートと、Nomex®ハニカムラミネートの剥離強度を BMS 8-222試験プロトコルで比較したところ、PPSUフォームで作成した TegraCore™ PPSUフォームベースのラミネートで測定した平均剥離強度は幅あたり3.3 mm-kgf/mmであり、一方のハニカム材料では幅あたり2 mm-kgf/mmでした。PPSUフォームの方が剥離強度の値が高いのは、フォームコアとスキンの接触面積が広くなるためです。

熱可塑性スキンを使用したサンドイッチパネルの 冷間成形TegraCore™ PPSUフォームを材料とするサンドイッチパネルの冷間成形には、ワンステップまたは複数ステップの加工方法を利用できます。加工方法の選択は、強化用スキンの組成、最終部品の厚さと複雑さ、接着剤によって異なります。デザインと加工に関するいくつかの要素を考慮する必要があります。

スキンの加工要件では、スキンが固体であるため、PPSUフォームに適した圧力と温度よりも高い値が示される場合があります。フォームの構造から、フォームの加工要件はそれよりも低くなると考えられます。図 18は、フォームコア材料と固体のスキンの一般的な加工ウィンドウを示しています。フォームを成形し、表面シートへの良好な接触と接着を維持するために、最低限の圧力が必要です。圧力が高すぎるとフォームが破壊する恐れがあります。フォームを成形し、スプリングバックや断裂を防ぐために、最低限の温度も必要です。通常は、固体のスキンを成形するために、高めの温度が必要になります。ただし、温度が高すぎるとフォームが破壊する恐れがあります。

図 18:PPSUフォームコアと固体のスキンの 一般的な加工ウィンドウ

温度

Tg

圧力

熱劣化

表面シートの成形ウィンドウ

剛性限界フォーム破壊

フォームの成形ウィンドウ

フォーム断裂

破壊圧最小成形圧

表面シートの圧密減少

加工ウィンドウが重なる場合、あるいはスキン温度でのクリープ特性を利用して適切な変形が可能な場合は、熱可塑性スキンとPPSUフォームコアを一緒に同じ手順でクリープ成形することができます。特に、少量の絞りや変形だけを必要とする単純な形状ではこの方法が有効です。

圧力、温度、時間によるTegraCore™ PPSUフォームの圧縮保持高温成形プロセスをデザインする際には、PPSUフォームの粘弾性挙動の理解が不可欠です。PPSUフォームは機械的応力がかかると粘弾性挙動を示します。変形のほとんどは弾性であり、フォームの降伏点よりもはるかに低くなります。降伏点に近づくにつれて塑性変形が大きくなります。降伏点よりも上では、塑性変形が優勢になります。

PPSUフォームのクリープ挙動も考慮する必要があります。200°C未満では、TegraCore™ PPSUフォームはクリープに対して優れた耐性を示します。PPSUの Tgに近い温度でフォームに圧力がかかっていると、時間が経つにつれて大きなクリープが発生します。圧力、温度、時間を必要とするすべてのプロセスについて、加工条件によって結果的に失われる厚さを測定する必要があります。厚さの損失は、フォームの厚さを増やすことによって軽減できます。押さえ板の間に詰め物を使用すると、厚さの損失が最小限になります。表 3は、最大サイクルタイム 1時間における各温度での最大加工圧を示しています。これらの条件では、PPSUフォームの厚さの損失は 1 mm未満に抑制されます。

Page 17: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

TegraCore™ PPSU構造発泡体デザインおよび加工ガイド / 17

表 3:TegraCore™ PPSUフォームの厚さ損失を抑えるために使用する各温度での最大加工圧

温度[°C]

最大加工圧 [MPa]

215 0.05

200 0.20

180 0.30

150 0.40

TegraCore™ PPSUフォームを使用して作成するサンドイッチパネルでのインサートの使用複合パネル同士の接合またはパネルの支持構造への接合に、ウォールパネルやフローティングインサートを使用することはよくあります。これらのインサートは、パネルからパネルへ伝わる荷重の分散を促します。さらに、インサートを使用すると、各種の接合方法を利用できるようになります。インサートは一般にパネルに埋め込まれ、貫通インサートとして、または止まり穴で使用できます。航空機客室の内装では、フロアパネル、側壁パネル、荷物置き場、ギャレー、洗面所などでインサートを使用できます。

TegraCore™ PPSUフォームから成形したサンドイッチパネルと一般的なインサートの適合性を調べる予備試験を行いました。 サンドイッチパネルは、厚さ 1 mmの PPSUフォームと2層の Cytec MTM82Sフェノールプリプレグを使用して作成しました。 インサートは、60°Cで硬化するエポキシ系接着剤であるScotch-WeldTM 9323 A/Bを使って埋め込みました。試験には3種類のインサートを使用しました。どの場合も、埋め込み用コンパウンドとサンドイッチパネルスキンとの接触を増やすために、インサートの直径よりも 3.15 mm大きいアンダーカットを付けてパネルを準備しました。試験の結果を表 4に示します。

表 4:TegraCore ™ PPSUフォームコアとガラス繊維強化 フェノールパネル(2層)のサンドイッチ構造からインサートを取り出すときに必要な引抜力

変数直径

[mm]高さ

[mm]引抜力

[N]

M6フローティングナット 18.90 14.40 1,351

M5フローティングナット 14.00 8.80 550

M5固定ナット 14.10 6.40 590

埋め込み用コンパウンドは、フォームとフェノールスキンの両方に対して良好な接着が見られました。強度と破壊の関係はインサートごとに異なりました。引抜によってプリプレグが割れ、それに続いてエポキシ鋳物が割れることにより、インサートを取り出すことができました。M6インサートでは、フォームに 45°の裂け目ができ、スキンが 45°変形しました。M5固定ナットのインサートでは、インサートによって埋め込み用エポキシコンパウンドがせん断され、プリプレグにひびが入りました。この場合は、埋め込み用コンパウンドを広げてインサートの下の全空間を埋めることによって強度が増すと考えられます。PPSUフォームはセルが小さく、閉じているため、埋め込みの前にフォームに穴を開けておくことが明確に定められています。つまり、ハニカムコアと比べて、必要な埋め込み剤は少なくなります。

TegraCore™ PPSUフォームと注入樹脂との適合性TegraCore™ PPSUフォームは、さまざまなレジントランスファー成形用樹脂との適合性が評価されています。樹脂配合との適合性は、樹脂の硬化温度と化学組成によって異なります。アミン系硬化剤を含む樹脂は、PPSUフォームに対する攻撃性を示すことがあります。圧力下での高温硬化を必要とする樹脂は、フォームの変形を招く恐れがあります。

Hexcel社の VRM-34注入システムを使用して、以下の手順を行いました。

• VRM 34エポキシと硬化剤をそれぞれ 100対 42の割合で混合します。

• 13 x 13 x 13 mmの試験片を PPSUフォームから切り出します。

• 立方体状のフォームを、VRM 34の混合液を満たしたガラス容器に沈め、70°Cのオーブンに 24時間入れます。

• それぞれの試験片を半分に切り、エポキシ樹脂の浸透を評価します。

試験結果• VRM 34系ではフォームは溶解しませんでした。

• 浸透は 0.1~ 1.0 mmでした。

Page 18: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...
Page 19: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

索引

あ圧力、温度、時間による TegraCore ™ PPSUフォームの 圧縮保持 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16

おオーブン内での開放金型真空成形 . . . . . . . . . . . 13

さサンドイッチパネルアセンブリ . . . . . . . . . . . . . 14サンドイッチパネルデザインの検討事項 . . . . . . . . 5

し試験結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17真空バッグを使う熱成形 . . . . . . . . . . . . . . . . 12

せ製作準備 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

た耐荷重パネル構造のデザインガイドライン . . . . . . . 6

ね熱可塑性スキンを使用したサンドイッチパネルの 冷間成形 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16熱可塑性スキンを使用して作成するラミネート. . . . . . 14熱成形 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11熱成形のデザインガイドライン . . . . . . . . . . . . . 10

ふフェノールベースのガラス/カーボンマットのプリプレグを 使用したラミネート . . . . . . . . . . . . . . . . . . 15

まマッチドモールド熱成形機 . . . . . . . . . . . . . . . 14

FFEAによる構造比較 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

IIビームとの類似性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5

PPPSUフォームパネルの端部接合 . . . . . . . . . . . 9PPSUフォームパネルの表面接合 . . . . . . . . . . . 10PPSUフォームパネルの溶接 . . . . . . . . . . . . . . 8

TTegraCore ™ PPSU構造発泡体. . . . . . . . . . . . 5TegraCore ™ PPSUフォームと注入樹脂との適合性 . . 17TegraCore ™ PPSUフォームを使用して作成する サンドイッチパネルでのインサートの使用. . . . . . . . 17

Page 20: TegraCore · • 『Handbook of Composites』(George Lubin ... Nostrand Reinhold 出版、ニューヨーク、1982 年、557-601 ページ) • 『Handbook of Sandwich ...

www.solvay.com

SDS(安全データシート)をご希望のお客様は電子メールでご請求いただくか、または弊社の営業担当者へご連絡ください。弊社製品をご使用になられる場合は必ず事前に該当の SDSをお取り寄せの上、ご検討ください。

弊社または関係会社は本製品および関連情報につき、明示または黙示を問わず、いかなる権利を許諾するものでもなく、またそれらの市場適応性および使用適合性を含め、いかなる責任も負いかねます。ソルベイグループの製品が、食用、水処理、医療用、薬用および介護等の用途に用いられる場合、かかる使用が関係法令もしくは国内外の基準またはソルベイグループの推奨に基づいて制限または禁止される可能性があることにご留意ください。埋め込み型医療機器としてお使いいただけるのは、Solviva®の生体材料群として指定された製品だけです。本情報および製品の使用につきましては、あくまでもお客様ご自身の判断と責任において、かかる情報および製品が特定の用途に適しており、関係法令に適合していることをご確認頂き、使用方法や知的財産権の侵害のリスクなどをご検討のうえ、ご使用くださるようお願い申し上げます。本情報および製品は専門家の慎重な判断および責任において利用すべきものであり、他の製品や工程と組み合わせて利用することを想定しておりません。本文書は特許権その他の財産権に基づく実施権をお客様に付与するものではありません。本情報はあくまでも標準的な特性を説明したものであり、仕様を述べるものではありません。

すべての商標および登録商標は、ソルベイグループまたは他の該当する所有権者に帰属します。© 2016, Solvay Specialty Polymers.All rights reserved. D 09/2016 | Version 1.1

スペシャルティポリマーズ本社[email protected] Lombardia, 20 20021 Bollate (MI), Italy

米州本部[email protected] McGinnis Ferry Road Alpharetta, GA 30005, USA

アジア本部[email protected] Jindu Road Shanghai, China 201108

日本事務所ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン株式会社 Solvay Specialty Polymers Japan K.K. 〒105-6207東京都港区愛宕二丁目 5番 1号 愛宕グリーンヒルズMORIタワー 7階 Tel: 03-5425-4320(大代表)

03-5425-4300/03-5425-4330(営業代表)Fax: 03-5425-4321