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根尖孔外0.15mmを大切にしていますか? ージャスティ3.5の機能を生かすためにー 庄司 茂 東北大学大学院歯学研究科歯内歯周治療学分野/非常勤講師 電気的根管長測定器ジャスティ3.5を考察する 図1 適切な髄腔開拡と根管拡大・形成 図2 ジャスティⅢとジャスティ3.5の比較 図3 歯内治療の入り口である髄腔開拡は、歯質の保護だけでなく、適切な根管口や根尖孔へのアプローチのために極めて重要な治療である。この時、 間違えた方向に拡大を行うと穿孔が生じる。 次に注意すべき点は、根管口の明示と拡大である。大臼歯部であればエンド三角の除去により、根管口が明示され治療が極めて容易になる。根管 中央部の拡大は、TFアダプティブファイルを用いれば、根尖手前3mm位までは安全・確実かつ負担なく治療できる。根尖孔部の拡大は手用リーマー やファイルを用いて、精神を一番集中して根尖孔部を破壊することなくアピカルシートを形成することが重要である。 根尖部での拡大・形成で大きな役割を果たすのが、電気的根管長測定器である。我々はこれまでジャスティⅢを用いてきたが、今回、ジャスティⅢ の機能はそのままに小型化、消費電力を削減したジャスティ3.5が発売された。 さらに、根尖孔部および孔外でのリーマーやファイルの位置を0.15mm単位で解りやすいように表示した。 また、ジャスティ3.5は、外側の透明ケースのどこを押しても容易にスイッチのON/OFFが可能になった。 抜髄と感染根管治療は同じと考えて、治療をなさっている先生がおられる。単に根尖狭窄部まで根管拡大すれば良いというのが理由である。 しかし、根管拡大で除去すべき対象が、抜髄であれば象牙前質に限られているのに対して、感染根管で対象になる罹患象牙質がある部位は、象 牙前質のように根部象牙質表面にあるとは限らず、その広がりをX線写真で推測することは難しい。この点だけでも踏まえて治療すれば、痛みの少 ない治療が可能になる。 根管拡大・形成前に考えるべき事 ● 根 尖が穿 通しない場 合は、MMC Kファイルとキレート剤での穿 通を試みる。 根管口 3mm 精神集中度 エンド三角除去 ●根管口の明示 ●髄腔開拡 ●根管拡大 ●手用リーマーによる根管形成・アピカルシート形成(重要) ◎ K 3 :オリフィスオープナー(エンド三角の除 去による根 尖への直 達 ) ◎ジャスティ3 .5による適 切な根 管 長 測 定 ◎ターン&プル ◎ウォッチ・ワインディング ※ 最 終 仕 上げ:Hファイルとキレート剤( EDT A-Na )による円 周ファイリング ■■象牙前質の除去 細 菌 増 殖 の 温 床になる可 能 性あり ◎ Ni-Ti : T Fアダプティブファイルによる回 転 切 削 ●歯髄炎:抜髄 ●根尖性歯周炎:感染根管治療 145mm 145mm 90mm 90mm 90mm 90mm 73mm 73mm ■■罹患象牙質の除去 抜 髄とは異なり、法 則 性はないので、ホワイトデンティンが出るまで、 罹 患 象 牙 質の 広がりに注 意して根 管 拡 大を行う 8 Dental Products News 230

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<はじめに>

歯内治療は根管に起因する痛みを除去

することを第一の目的としている。そのため

には、冠部歯髄腔から根尖狭窄部までの

根管内にあるすべての為害物質を除去

する必要がある。歯内治療は不採算治療と

言われ続けてきている。たしかに、指先の

疲労、加えて時には症状の改善が見られ

ない患者との出会いがあり、好まれる治療

ではない。しかし、根管内に炎症歯髄や

罹患象牙質などの為害物質を残したまま

だと、患者は違和感や痛みを訴え続ける。

歯内治療には、測定精度が高く使いやす

い電気的根管長測定器は不可欠である。

根尖孔外0.15mmを大切にしていますか?ージャスティ3.5の機能を生かすためにー庄司 茂 東北大学大学院歯学研究科歯内歯周治療学分野/非常勤講師

電気的根管長測定器ジャスティ3.5を考察する

図1 適切な髄腔開拡と根管拡大・形成

先に述べたように、抜髄根管では、細菌増殖の温床にならないように、象牙前質を除去することが大切である。そのための法則があり、根管長を決定した最初のリーマーやファイル(イニシャルサイズ)の号数から、2~3段階上まで拡大すれば、象牙前質を除去できる。図は、イニシャルサイズが#30の場合で、最終拡大号数は#45である。

図2 ジャスティⅢとジャスティ3.5の比較

感染根管内には、食物残渣や罹患象牙質が多く存在し、これらは細菌の温床になっている。根管内細菌からの刺激毒素に対して、根尖部歯周組織では好中球やマクロファージを中心とした防御反応が生じ、歯槽骨の吸収といったX線写真で明確に解る反応が起きている。

図3 感染根管で注意すべき罹患象牙質の広がり

図4 抜髄での根管拡大終了基準

ジャスティ3.5

図5 根尖部歯周組織での炎症動態(根尖性歯周炎)

図6

感染根管

歯槽骨

食物残渣羅患象牙質

■■象牙前質

●根管内での横の広がり ●根尖狭窄部付近での縦への広がり

歯内治療の入り口である髄腔開拡は、歯質の保護だけでなく、適切な根管口や根尖孔へのアプローチのために極めて重要な治療である。この時、間違えた方向に拡大を行うと穿孔が生じる。次に注意すべき点は、根管口の明示と拡大である。大臼歯部であればエンド三角の除去により、根管口が明示され治療が極めて容易になる。根管中央部の拡大は、TFアダプティブファイルを用いれば、根尖手前3mm位までは安全・確実かつ負担なく治療できる。根尖孔部の拡大は手用リーマーやファイルを用いて、精神を一番集中して根尖孔部を破壊することなくアピカルシートを形成することが重要である。

根尖部での拡大・形成で大きな役割を果たすのが、電気的根管長測定器である。我々はこれまでジャスティⅢを用いてきたが、今回、ジャスティⅢの機能はそのままに小型化、消費電力を削減したジャスティ3.5が発売された。さらに、根尖孔部および孔外でのリーマーやファイルの位置を0.15mm単位で解りやすいように表示した。また、ジャスティ3.5は、外側の透明ケースのどこを押しても容易にスイッチのON/OFFが可能になった。

抜髄と感染根管治療は同じと考えて、治療をなさっている先生がおられる。単に根尖狭窄部まで根管拡大すれば良いというのが理由である。しかし、根管拡大で除去すべき対象が、抜髄であれば象牙前質に限られているのに対して、感染根管で対象になる罹患象牙質がある部位は、象牙前質のように根部象牙質表面にあるとは限らず、その広がりをX線写真で推測することは難しい。この点だけでも踏まえて治療すれば、痛みの少ない治療が可能になる。

根管拡大・形成前に考えるべき事

●根尖が穿通しない場合は、MMC Kファイルとキレート剤での穿通を試みる。

根管口

3mm

精神集中度

エンド三角除去

●根管口の明示●髄腔開拡

●根管拡大

●手用リーマーによる根管形成・アピカルシート形成(重要)

◎K3 : オリフィスオープナー(エンド三角の除去による根尖への直達)◎ジャスティ3.5による適切な根管長測定

◎ターン&プル ◎ウォッチ・ワインディング※最終仕上げ:Hファイルとキレート剤(EDTA-Na)による円周ファイリング

■■象牙前質の除去細菌増殖の温床になる可能性あり

◎Ni-Ti : TFアダプティブファイルによる回転切削

●歯髄炎:抜髄 ●根尖性歯周炎:感染根管治療

#45#40

#35#30

●#45根管拡大・形成終了後 (アピカルシート)※#30がイニシャルサイズの場合

細菌

好中球による膿瘍形成

神経圧迫・刺激

活性酸素,NO(神経破壊・吸収)

炎症性メディエーターIL-1MφTNF-α(破骨細胞による骨吸収)

145mm

145mm

90mm

90mm

▲90mm90mm 73mm73mm

■■罹患象牙質の除去抜髄とは異なり、法則性はないので、ホワイトデンティンが出るまで、罹患象牙質の広がりに注意して根管拡大を行う

※根尖孔外のバイオフィルムに注意!

感染根管治療で症状の改善が思わしくない時には、罹患象牙質の残存とその広がりを考えるべきである。感染根管での罹患象牙質の広がりというと、すぐ横への広がりを考えてしまう。ただ、横への広がりに対して円周ファイリングで対処しても、症状が改善しない場合は、罹患象牙質が根尖最狭窄部を超えて根尖孔外への縦の広がりを考えるべきである。症例によっては、根尖孔外に細菌の塊であるバイオフィルムが形成される場合がある。ただ、根尖最狭窄部から少し根尖部歯周組織に出た辺りでは、根尖孔外の免疫防御反応が期待できる。そこで我々は、感染根管で症状が長引いた場合、この少し出た位置を、ジャスティ3.5で表示する赤いバー1本(0.15mm)を目安として治療している。

▲ ▲

8 D e n t a l P r o d u c t s N e w s 2 3 0

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<はじめに>

歯内治療は根管に起因する痛みを除去

することを第一の目的としている。そのため

には、冠部歯髄腔から根尖狭窄部までの

根管内にあるすべての為害物質を除去

する必要がある。歯内治療は不採算治療と

言われ続けてきている。たしかに、指先の

疲労、加えて時には症状の改善が見られ

ない患者との出会いがあり、好まれる治療

ではない。しかし、根管内に炎症歯髄や

罹患象牙質などの為害物質を残したまま

だと、患者は違和感や痛みを訴え続ける。

歯内治療には、測定精度が高く使いやす

い電気的根管長測定器は不可欠である。

根尖孔外0.15mmを大切にしていますか?ージャスティ3.5の機能を生かすためにー庄司 茂 東北大学大学院歯学研究科歯内歯周治療学分野/非常勤講師

電気的根管長測定器ジャスティ3.5を考察する

図1 適切な髄腔開拡と根管拡大・形成

先に述べたように、抜髄根管では、細菌増殖の温床にならないように、象牙前質を除去することが大切である。そのための法則があり、根管長を決定した最初のリーマーやファイル(イニシャルサイズ)の号数から、2~3段階上まで拡大すれば、象牙前質を除去できる。図は、イニシャルサイズが#30の場合で、最終拡大号数は#45である。

図2 ジャスティⅢとジャスティ3.5の比較

感染根管内には、食物残渣や罹患象牙質が多く存在し、これらは細菌の温床になっている。根管内細菌からの刺激毒素に対して、根尖部歯周組織では好中球やマクロファージを中心とした防御反応が生じ、歯槽骨の吸収といったX線写真で明確に解る反応が起きている。

図3 感染根管で注意すべき罹患象牙質の広がり

図4 抜髄での根管拡大終了基準

ジャスティ3.5

図5 根尖部歯周組織での炎症動態(根尖性歯周炎)

図6

感染根管

歯槽骨

食物残渣羅患象牙質

■■象牙前質

●根管内での横の広がり ●根尖狭窄部付近での縦への広がり

歯内治療の入り口である髄腔開拡は、歯質の保護だけでなく、適切な根管口や根尖孔へのアプローチのために極めて重要な治療である。この時、間違えた方向に拡大を行うと穿孔が生じる。次に注意すべき点は、根管口の明示と拡大である。大臼歯部であればエンド三角の除去により、根管口が明示され治療が極めて容易になる。根管中央部の拡大は、TFアダプティブファイルを用いれば、根尖手前3mm位までは安全・確実かつ負担なく治療できる。根尖孔部の拡大は手用リーマーやファイルを用いて、精神を一番集中して根尖孔部を破壊することなくアピカルシートを形成することが重要である。

根尖部での拡大・形成で大きな役割を果たすのが、電気的根管長測定器である。我々はこれまでジャスティⅢを用いてきたが、今回、ジャスティⅢの機能はそのままに小型化、消費電力を削減したジャスティ3.5が発売された。さらに、根尖孔部および孔外でのリーマーやファイルの位置を0.15mm単位で解りやすいように表示した。また、ジャスティ3.5は、外側の透明ケースのどこを押しても容易にスイッチのON/OFFが可能になった。

抜髄と感染根管治療は同じと考えて、治療をなさっている先生がおられる。単に根尖狭窄部まで根管拡大すれば良いというのが理由である。しかし、根管拡大で除去すべき対象が、抜髄であれば象牙前質に限られているのに対して、感染根管で対象になる罹患象牙質がある部位は、象牙前質のように根部象牙質表面にあるとは限らず、その広がりをX線写真で推測することは難しい。この点だけでも踏まえて治療すれば、痛みの少ない治療が可能になる。

根管拡大・形成前に考えるべき事

●根尖が穿通しない場合は、MMC Kファイルとキレート剤での穿通を試みる。

根管口

3mm

精神集中度

エンド三角除去

●根管口の明示●髄腔開拡

●根管拡大

●手用リーマーによる根管形成・アピカルシート形成(重要)

◎K3 : オリフィスオープナー(エンド三角の除去による根尖への直達)◎ジャスティ3.5による適切な根管長測定

◎ターン&プル ◎ウォッチ・ワインディング※最終仕上げ:Hファイルとキレート剤(EDTA-Na)による円周ファイリング

■■象牙前質の除去細菌増殖の温床になる可能性あり

◎Ni-Ti : TFアダプティブファイルによる回転切削

●歯髄炎:抜髄 ●根尖性歯周炎:感染根管治療

#45#40

#35#30

●#45根管拡大・形成終了後 (アピカルシート)※#30がイニシャルサイズの場合

細菌

好中球による膿瘍形成

神経圧迫・刺激

活性酸素,NO(神経破壊・吸収)

炎症性メディエーターIL-1MφTNF-α(破骨細胞による骨吸収)

145mm

145mm

90mm

90mm

▲90mm90mm 73mm73mm

■■罹患象牙質の除去抜髄とは異なり、法則性はないので、ホワイトデンティンが出るまで、罹患象牙質の広がりに注意して根管拡大を行う

※根尖孔外のバイオフィルムに注意!

感染根管治療で症状の改善が思わしくない時には、罹患象牙質の残存とその広がりを考えるべきである。感染根管での罹患象牙質の広がりというと、すぐ横への広がりを考えてしまう。ただ、横への広がりに対して円周ファイリングで対処しても、症状が改善しない場合は、罹患象牙質が根尖最狭窄部を超えて根尖孔外への縦の広がりを考えるべきである。症例によっては、根尖孔外に細菌の塊であるバイオフィルムが形成される場合がある。ただ、根尖最狭窄部から少し根尖部歯周組織に出た辺りでは、根尖孔外の免疫防御反応が期待できる。そこで我々は、感染根管で症状が長引いた場合、この少し出た位置を、ジャスティ3.5で表示する赤いバー1本(0.15mm)を目安として治療している。

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Page 3: Tbh t - 株式会社ヨシダ · 2019. 2. 27. · ¸ w Nw¿U ßQ VpK ± «{ t lox ¸ z tIÕwtpK Ì ¦Ñ çÜU R^ ÔùUKh i 7±e æ{z T ` æà * Ê ët Zh % px ¸ z w Ôø w S U8 4pVf

根管拡大で重要な根尖孔付近の構造を考えた場合、セメント質ー象牙質境(CDJ)とセメント質が根尖孔内に入り込んでできる根尖最狭窄部(AC:Apical Contriction)の認識が重要である。もちろん、CDJがACと一致する場合もあるので、アピカルシート形成には細心の注意が必要である。

●根管長測定を考える時に必要な根尖部の解剖。  特にCDジャンクション(CDJ)、根尖最狭窄部(AC)、 解剖学的根尖(AA)が重要である。

●生理学的根尖はCDジャンクション(CDJ)から 根尖最狭窄部(AC)間に存在すると考えられ、 作業長先端はこの部分に設定する。

歯内治療で治療中や術後に痛みを起こさないために、根尖孔外歯周組織にリーマーやファイルでの突出による機械的刺激を与えないようにすることは重要である。ただ、どうしても電気的根管長測定器では十分な電流の流れが必要であり、更にはCDJ手前の根管内と外部の歯周組織の電気抵抗値の違いを見出す必要がある。そのため、図Bに示したように、75度の角度を持つリーマー等の先端がCDJを僅かに越えて歯周組織に触れている必要がある。

図AやCのように、根尖狭窄部との直径とリーマーの太さに大きな差があると、電気的根管長測定器の指示値は頻繁に上下する。この上下の変化は、リーマー等の周囲を流れる電流量が一定になっていないために生じる。そこで、図Bのように根尖狭窄部の直径にあった太さのリーマーを用いれば、電流量が一定になり、正確な計算に基づいた指示値を表示することができる。このような変化を我々は、比抵抗と呼んでいる。臨床でこのような状態に出会ったら、すぐに次の号数のリーマーで測定する。次の号数でも同様な変化が生じたら、恐れずに次の号数にする。このようにしてリーマーの太さを太くしていけば、正確な根尖指示値表示が得られる。

ジャスティ3.5は、ジャスティⅢで実績のある「統合補正測定システム」を引き継いでいるので、0.15mmという精度の高い表示が可能になっている。従って、根尖最狭窄部から0.15mm単位でリーマー等の先端の位置を把握でき、根尖孔外歯周組織への傷害が少なくなる。

ジャスティ3.5は、ここに挙げた多くの特徴を有し、設置場所を問わず、メーター指示値を目線の高さで読めるので、根尖孔外歯周組織を傷害しない使いやすい電気的根管長測定器であると実感している。

図12 ジャスティ3.5の臨床的意義と評価

図11 エンド三角除去後の根管拡大では作業長が変わる?

図10 なぜジャスティ3.5では根尖孔部0.15mmを把握できるのか?

図9 根尖狭窄部の直径とリーマー・ファイルの太さの関係

図8 電気的根管長測定器での根尖部指示

図7 根尖孔部付近の構造

●根尖部の解剖 ●生理学的解剖

電気的根管長測定器で根尖狭窄部の位置を示した時のリーマー先端の位置は?

ジャスティ3.5は、設置場所を問わず、メーター指示値を目線の高さで正確に読める位置に置くことが可能である。

根管

A B C

レントゲン的根尖

解剖学的根尖 AA(解剖学的根尖)

根尖口

0.5表示が根管最狭窄部(AC)

一目盛0.15mm単位で測定

CDJ

※CDJ:セメント象牙質境

※CDJ:根管狭窄部

CDJ CDJ

象牙質

セメント質

CDジャンクション根尖最狭窄部

CDJAC

A B C

CDJ CDJ CDJ

AACDJACCDJAC

作業長の先端位置CDJ~AC(生理学的根尖)作業長の先端位置CDJ~AC(生理学的根尖)

オーバー位置もより正確に確認することができる。

Apexの位置をより正確に確認することが可能。

外部透明カバーのどこを触れてもスイッチのON/OFFが可能である。本体が小さいので、落下の可能性の少ない位置に置くことができ、安全である。ICクリップを付けたままでの根管拡大が容易にできるので、正確かつリーマー等の誤飲・誤嚥がない安全な治療が可能である。電力消費が少ないので、電池交換の手間が少ない。0.15mm単位の高い精度で、リーマー等の先端の位置が把握できるので、根尖孔外歯周組織への機械的ダメージが少ない治療が可能で、痛みが出にくい。

エンド三角除去エンド三角

象牙質

セメント質

CDジャンクション根尖最狭窄部

CDJAC

0.5~1mm

*統合補正測定システム:測定に2種類の波長の電流を用い、その一つの電流を基準波長とし、その測定部位毎の変動を二つの電流値の比率計算で補正して、 精度の高い測定を可能にしたシステムである。

●根尖孔の太さとリーマーやファイルの太さがAとCのように合わないと電気的根管長測定器の指示値はふらつく →すぐ、次の号数に上げて測定する。

直線根管での電気的根管長測定では、根管形成後でも作業長は拡大前とほとんど変わりはない。しかし、大臼歯で根尖が湾曲した根管ではエンド三角除去などにより、作業長が0.5~1.0mm程度短くなる。つまり拡大前の作業長で拡大を続けていくと、根尖孔外歯周組織を機械的に傷害してしまうことがある。このようなことを防ぐために、ジャスティ3.5を用いて、ICクリップを付けたままで根尖最狭窄部を示す0.5の指示値に合わせた根管拡大を続けていけば、正確で確実な根管拡大・形成が可能になる。

湾曲根管と直線根管では拡大後のEMRで作業長が0.5mm違う

10 D e n t a l P r o d u c t s N e w s 2 3 0

Page 4: Tbh t - 株式会社ヨシダ · 2019. 2. 27. · ¸ w Nw¿U ßQ VpK ± «{ t lox ¸ z tIÕwtpK Ì ¦Ñ çÜU R^ ÔùUKh i 7±e æ{z T ` æà * Ê ët Zh % px ¸ z w Ôø w S U8 4pVf

根管拡大で重要な根尖孔付近の構造を考えた場合、セメント質ー象牙質境(CDJ)とセメント質が根尖孔内に入り込んでできる根尖最狭窄部(AC:Apical Contriction)の認識が重要である。もちろん、CDJがACと一致する場合もあるので、アピカルシート形成には細心の注意が必要である。

●根管長測定を考える時に必要な根尖部の解剖。  特にCDジャンクション(CDJ)、根尖最狭窄部(AC)、 解剖学的根尖(AA)が重要である。

●生理学的根尖はCDジャンクション(CDJ)から 根尖最狭窄部(AC)間に存在すると考えられ、 作業長先端はこの部分に設定する。

歯内治療で治療中や術後に痛みを起こさないために、根尖孔外歯周組織にリーマーやファイルでの突出による機械的刺激を与えないようにすることは重要である。ただ、どうしても電気的根管長測定器では十分な電流の流れが必要であり、更にはCDJ手前の根管内と外部の歯周組織の電気抵抗値の違いを見出す必要がある。そのため、図Bに示したように、75度の角度を持つリーマー等の先端がCDJを僅かに越えて歯周組織に触れている必要がある。

図AやCのように、根尖狭窄部との直径とリーマーの太さに大きな差があると、電気的根管長測定器の指示値は頻繁に上下する。この上下の変化は、リーマー等の周囲を流れる電流量が一定になっていないために生じる。そこで、図Bのように根尖狭窄部の直径にあった太さのリーマーを用いれば、電流量が一定になり、正確な計算に基づいた指示値を表示することができる。このような変化を我々は、比抵抗と呼んでいる。臨床でこのような状態に出会ったら、すぐに次の号数のリーマーで測定する。次の号数でも同様な変化が生じたら、恐れずに次の号数にする。このようにしてリーマーの太さを太くしていけば、正確な根尖指示値表示が得られる。

ジャスティ3.5は、ジャスティⅢで実績のある「統合補正測定システム」を引き継いでいるので、0.15mmという精度の高い表示が可能になっている。従って、根尖最狭窄部から0.15mm単位でリーマー等の先端の位置を把握でき、根尖孔外歯周組織への傷害が少なくなる。

ジャスティ3.5は、ここに挙げた多くの特徴を有し、設置場所を問わず、メーター指示値を目線の高さで読めるので、根尖孔外歯周組織を傷害しない使いやすい電気的根管長測定器であると実感している。

図12 ジャスティ3.5の臨床的意義と評価

図11 エンド三角除去後の根管拡大では作業長が変わる?

図10 なぜジャスティ3.5では根尖孔部0.15mmを把握できるのか?

図9 根尖狭窄部の直径とリーマー・ファイルの太さの関係

図8 電気的根管長測定器での根尖部指示

図7 根尖孔部付近の構造

●根尖部の解剖 ●生理学的解剖

電気的根管長測定器で根尖狭窄部の位置を示した時のリーマー先端の位置は?

ジャスティ3.5は、設置場所を問わず、メーター指示値を目線の高さで正確に読める位置に置くことが可能である。

根管

A B C

レントゲン的根尖

解剖学的根尖 AA(解剖学的根尖)

根尖口

0.5表示が根管最狭窄部(AC)

一目盛0.15mm単位で測定

CDJ

※CDJ:セメント象牙質境

※CDJ:根管狭窄部

CDJ CDJ

象牙質

セメント質

CDジャンクション根尖最狭窄部

CDJAC

A B C

CDJ CDJ CDJ

AACDJACCDJAC

作業長の先端位置CDJ~AC(生理学的根尖)作業長の先端位置CDJ~AC(生理学的根尖)

オーバー位置もより正確に確認することができる。

Apexの位置をより正確に確認することが可能。

外部透明カバーのどこを触れてもスイッチのON/OFFが可能である。本体が小さいので、落下の可能性の少ない位置に置くことができ、安全である。ICクリップを付けたままでの根管拡大が容易にできるので、正確かつリーマー等の誤飲・誤嚥がない安全な治療が可能である。電力消費が少ないので、電池交換の手間が少ない。0.15mm単位の高い精度で、リーマー等の先端の位置が把握できるので、根尖孔外歯周組織への機械的ダメージが少ない治療が可能で、痛みが出にくい。

エンド三角除去エンド三角

象牙質

セメント質

CDジャンクション根尖最狭窄部

CDJAC

0.5~1mm

*統合補正測定システム:測定に2種類の波長の電流を用い、その一つの電流を基準波長とし、その測定部位毎の変動を二つの電流値の比率計算で補正して、 精度の高い測定を可能にしたシステムである。

●根尖孔の太さとリーマーやファイルの太さがAとCのように合わないと電気的根管長測定器の指示値はふらつく →すぐ、次の号数に上げて測定する。

直線根管での電気的根管長測定では、根管形成後でも作業長は拡大前とほとんど変わりはない。しかし、大臼歯で根尖が湾曲した根管ではエンド三角除去などにより、作業長が0.5~1.0mm程度短くなる。つまり拡大前の作業長で拡大を続けていくと、根尖孔外歯周組織を機械的に傷害してしまうことがある。このようなことを防ぐために、ジャスティ3.5を用いて、ICクリップを付けたままで根尖最狭窄部を示す0.5の指示値に合わせた根管拡大を続けていけば、正確で確実な根管拡大・形成が可能になる。

湾曲根管と直線根管では拡大後のEMRで作業長が0.5mm違う

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