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Solution to John David Jackson Classical Electrodynamics FOR THIRD EDITION Jackson Consortium Rev. 41

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Solution to

John David Jackson

Classical

Electrodynamics

FOR THIRD EDITION

Jackson Consortium

Rev. 41

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iii

Introduction

このドキュメントは John David Jackson 氏による電磁気学の教科書「Classical

Electrodynamics」の第三版 (英語版) に掲載されている、演習問題の解答集です。

閲覧および配布等についてはこのドキュメントのライセンス、Creative Commons

BY-NC-SA1) に従う限り自由に行うことができます。

なお、本文中でダガー (†) またはダブルダガー (‡) で示されている脚注は、編集者が挿入したものであることを表します。

Copyright c⃝ Jackson Consortium 2010

Y.Hotta, M.Hyuga, T.Matsuda, Y.Ono

1) http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/3.0/deed.ja

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Contents

Introduction iii

Chapter 1 Introduction to Electrostatics 1

1.2 Dirac delta function for a general orthogonal coordinate system . . . . 1

1.4 Electric fields produced by a spherically symmetric charge density . . . 2

1.6 The capacitance of simple capacitors . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

1.8 Energy densities of certain capaciters . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

1.10 The mean value theorem (for electrostatics) . . . . . . . . . . . . . . 7

1.11 Normal derivertive of the electric field at the surface of a curved conductor 9

1.12 Green’s reciprocation theorem . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10

1.14 The behavior of Green functions for Poisson equation . . . . . . . . . 11

1.16 Energy decreasing with introduction of a conductor . . . . . . . . . . 12

1.18 The variational principal for capacitance . . . . . . . . . . . . . . . . 14

1.20 Theory of the capacitance estimation . . . . . . . . . . . . . . . . . . 15

1.22 The mathematical bases for relaxation method . . . . . . . . . . . . . 17

1.24 Numerical analysis performed by the relaxation method II . . . . . . . 18

Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I 23

2.4 A point charge placed outside a conducting sphere . . . . . . . . . . . 23

2.8 Two straight parallel line charges with equal and opposite charge densities 25

2.12 Poisson’s integral form of the potential . . . . . . . . . . . . . . . . . 31

2.16 The potential on a unit square area with a uniform charge density . . 33

2.20 Four symmetrically placed line charges . . . . . . . . . . . . . . . . . 35

2.24 The completeness relation for sine functions . . . . . . . . . . . . . . 38

2.28 The potential at the center of a regular polyhedron . . . . . . . . . . 39

Referential Sites 43

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vi Contents

About us 47

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Chapter 1

Introduction to Electrostatics

1.2 Dirac delta function for a general orthogonal coordinate system

まず次の理由で D(α;x, y, z)が α→ 0の極限でデルタ函数になる。

• (x, y, z) = 0のとき limα→0D(α;x, y, z) = 0

• (x, y, z) = 0)のとき limα→+0D(α;x, y, z) = ∞• limα→+0

∫D(α;x, y, z) = 1

いい加減だが,物理ではこれを満たせばデルタ函数だと言い張る。

問題文中の U, V,W の逆数はmetric coefficientsと言われ、次のように定義されて

いる。

U−1 =

∣∣∣∣∂x∂u∣∣∣∣ (1.2.1)

V −1 =

∣∣∣∣∂x∂v∣∣∣∣ (1.2.2)

W−1 =

∣∣∣∣ ∂x∂w∣∣∣∣ (1.2.3)

x = x(u, v, w), y = y(u, v, w), z = z(u, v, w) の対応が 1 対 1 であると仮定する。

(u, v, w)に (u′, v′, w′)を近づけるとき

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2 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

D(α;x− x′, y − y′, z − z′) (1.2.4)

=(2π)−3/2α−3 exp

(− 1

2α2[(x− x′)2 + (y − y′)2 + (z − z′)2]

)(1.2.5)

=(2π)−3/2α−3 exp

(− 1

2α2

(∂x

∂u∆u+

∂x

∂v∆v +

∂x

∂w∆w

)2

+

(∂y

∂u∆u+

∂y

∂v∆v +

∂y

∂w∆w

)2

+

(∂z

∂u∆u+

∂z

∂v∆v +

∂z

∂w∆w

)2)(1.2.6)

(∵ ∆u = u− u′ などとおいた)

となる。いま (u, v, w)は直交座標系だから∂r

∂u,∂r

∂v,∂r

∂wは直交している。よって

=(2π)−3/2α−3 exp

(− 1

2α2(U−2∆u2 + V −2∆v2 +W−2∆w2)

)(1.2.7)

=(2π)−1/2α−1 exp

(−U

−2∆u2

2α2

)× (2π)−1/2α−1 exp

(−V

−2∆v2

2α2

)× (2π)−1/2α−1 exp

(−W

−2∆w2

2α2

)(1.2.8)

よって次のことが容易に分かる。

limα→+0

D(α;x− x′, y − y′, z − z′) = δ(∆u)δ(∆v)δ(∆w)UVW (1.2.9)

1.4 Electric fields produced by a spherically symmetric charge density

どのケースにおいても、系の対称性から、

E = E(r)er (1.4.1)

と書けることに注意する。

また、問題文にあるとおり電場に関する Gauss の法則 (の積分形)、∫∂V

E · dS =1

ϵ0

∫V

ρdV (1.4.2)

にも注意。

外部電場はどのケースにおいても Gauss の法則から1)、

1) ただし、積分範囲は球の中心を中心とする半径 r の円とする。以下でも特に断り書きがない場合には同じ積分範囲をとるものとする

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1.4 Electric fields produced by a spherically symmetric charge density 3

図 1.1 帯電導体内外の電場の振る舞い

4πr2E(r) =Q

ϵ0(1.4.3)

E(r) =Q

4πr2ϵ0(1.4.4)

つまり、

E(r, θ, ϕ) =Q

4πr2ϵ0er (1.4.5)

が言える。

以下、内部電場を求めていく。ただし一様な場合は rn の場合の n = 0 としたとき

とみなせるので、省略する。

導体の場合

導体内部に電荷が存在しないこと、つまり ρ = 0 を Gauss の法則に適用すれば、

E = 0 (1.4.6)

図示すると図 1.1のようになる。

rn(n > −3) の場合

まず、中心から r までにある電荷量 Q(r) を計算する。

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4 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

図 1.2 rn の電荷分布を持った物体内外の電場の振る舞い

Q(r) = Q×

∫ r

0

4πr′2r′ndr′∫ a

0

4πr′2r′ndr′(1.4.7)

= Q×

∫ r

0

r′n+2dr′∫ a

0

r′n+2dr′(1.4.8)

= Q×

[rn+3

n+ 3

]r0[

rn+3

n+ 3

]a0

(1.4.9)

= Q( ra

)n+3

(1.4.10)

従って、Gauss の法則から、

E(r)4πr2 =Q(r)

ϵ0(1.4.11)

∴ E(r) =Qrn+1

4πϵ0an+3(1.4.12)

つまり、

E(r, θ, ϕ) =Qrn+1

4πϵ0an+3er (1.4.13)

となる。

n = 0,±2 の場合を図示すると図 1.2のようになる。

1.6 The capacitance of simple capacitors

(a)

高校生のころよく解いた問題。

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1.6 The capacitance of simple capacitors 5

キャパシタの側面から電場の漏れが無いとすると導体の内側では電場は極板に対し

て直交する。よってガウスの法則から、内側の導体近傍の電場は

E =σ

ϵ0=

Q

ϵ0A(1.6.1)

となる。V = Edであるから

C = Q/V = ϵ0A

d(1.6.2)

(b)

系の対称性とガウスの法則から中心から距離 r の点で次式が成立する。

Q

ϵ0= 4πr2E (1.6.3)

or

E =Q

4πϵ0

1

r2(1.6.4)

V =

∫ b

a

Edr =Q

4πϵ0(−1

b+

1

a) (1.6.5)

C =Q

V= 4πϵ0

ab

b− a(1.6.6)

(c)

これも (b)と同じようにガウスの法則を使えば,中心から距離 r の点において

Q

ϵ0= 2πrLE (1.6.7)

よって

V =

∫ b

a

Edr =Q

2πLϵ0ln

(b

a

)(1.6.8)

C =Q

V= 2πϵ0L

(ln

(b

a

))−1

(1.6.9)

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6 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

(d)

(c) で a = 1mm, C/L = 3 × 10−11F/m, ϵ0 = 8.9 × 10−12F/m とすると, b =

6.5mmとなる。次に C/L = 3× 10−12 とすると b = 1.2× 105mと現実的でない数

値になる。

1.8 Energy densities of certain capaciters

(a)

静電場のエネルギーは、

W :=ϵ02

∫E2dV (1.8.1)

で与えられることに注意する。ただし、積分範囲は全空間。

1.6 の結果をもとに単純な体積分を実行するだけなので、詳細な計算過程は省略し、

答えのみを掲載する。

種類 Q 表示 V 表示

(a)d

2ϵ0AQ2 ϵ0A

2dV 2

(b)Q2

8πϵ0

(1

a− 1

b

)2πϵ0V

2

(1

a− 1

b

)−1

(c)Q2

4πϵ0Llnb

aπϵ0LV

2

(lnb

a

)−1

ところで、計算していて、どの場合でも、

W =QV

2(1.8.2)

になるのがとっても気になったので、ちょっと考察してみた。

まず二つの導体 A,B が離れた位置にそれぞれ電荷 +Q,−Q を帯びた状態で固定されているとする。また、この導体以外には何もないとする。

すると、

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1.10 The mean value theorem (for electrostatics) 7

W =ϵ02

∫E2dV (1.8.3)

=ϵ02

∫∇φ · ∇φdV (1.8.4)

=ϵ02

([φ∇φ]−

∫φφdV

)(1.8.5)

= −ϵ02

∫φφdV (∵ 無限遠点では電場は 0)

=1

2

∫ρφdV (1.8.6)

=1

2(+Qφ(A) + (−Qφ(B))) (1.8.7)

=Q

2(φ(A)− φ(B)) (1.8.8)

=QV

2(1.8.9)

と、どんな場合でも成り立つことが示された1)。

(b)

それぞれ、以下の表に示すようなエネルギー密度を持つ (定数項は省略した)。

種類 W ∝(a) 1

(b) r−4

(c) r−2

これを図示すると図 1.3のよう。

1.10 The mean value theorem (for electrostatics)

Green の公式を使って証明する。V, S をそれぞれ半径 R の球面の内部、境界と

する。 ∫V

(Φ(y)∇2

yG(x, y)−G(x, y)∇2yΦ(y)

)dVy

=

∫S

(Φ(y)∇yG(x, y)−G(x, y)∇yΦ(y)) ·−−→dSy (1.10.1)

1) よく見たら本文中 (p. 43 (1.62) 式) にもこの定理書いてありました。なのでそれを使えば体積分せずにもっと簡単に求めることができます。もちろん結果は同じになります

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8 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

図 1.3 電場のエネルギー密度の振る舞い

G(x, y) = R := 1/(|x − y|) とする。∇2G = −4πδ,∇2Φ(y) = −ρ/ϵ0 = 0 である

から、

(左辺) = −4πΦ(x) (1.10.2)

(右辺) =

∫S

(Φ∇

(1

R

)− 1

R∇Φ

)·−→dS (1.10.3)

= − 1

R2

∫S

ΦdS +1

R

∫V

∇ · EdV (∵ガウスの定理をつかった) (1.10.4)

= − 1

R2

∫S

ΦdS (1.10.5)

よって題意は示された。†

†(Editor’s note) この問題にはいくつか別証がある。そのうち一つは Chapter 2 の問題 28 の解答を参照されたし。ここではより直接的な証明を行う。まず考えている空間に電荷が存在しないことを積分形の Gauss の法則に適用することにより、∮

SErdS = 0 (1.10.6)

が成り立つことに注意する。ここで Er は電場 E の r 方向成分である。さらに、

Φ(r) = Φ(0) +

∫ R

0Erdr (1.10.7)

であることに注意すれば、∮SΦ(r)dS =

∮SΦ(0)dS +

∮SdS

∫ R

0drEr (1.10.8)

= 4πR2Φ(0) +

∫ R

0dr

∮SdSEr︸ ︷︷ ︸

=0 (∵(1.10.6))

(1.10.9)

= 4πR2Φ(0) (1.10.10)

これは求めたかった式となっている。

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1.11 Normal derivertive of the electric field at the surface of a curved conductor 9

図 1.4 導体表面の局所的な様子

導体表面

図 1.5 図 1.4 を真上 (真横)から見た様子

1.11 Normal derivertive of the electric field at the surface of a curved conductor

導体表面の微少な面 R1∆θ1 ·R2∆θ2 と、そこから垂直方向に ∆n だけ離れた面と

で囲まれる領域 V に、電場に関する Gauss の法則を適用する (図 1.5)。∫S=∂V

E · dS =1

ϵ0

∫V

ρdV (1.11.1)

導体のごく近くでは電荷がないとすれば ρ = 0 であるから1)、導体表面付近の電場を

E(0) として、導体から ∆n だけ離れたところの電場を E(∆n) とすれば2)、上述の

1) …というか領域内に電荷を含まないように微少量 ∆n をとることにしています2) 導体の表面付近では電場が導体と垂直になっていることします。また ∆θi が微少量なので導体表面付近とそこから ∆n 離れた部分ではそれぞれで電場は一定であるとしています

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10 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

Gauss の法則は、

E(∆n)× (R1 +∆n)∆θ1 · (R2 +∆n)∆θ2 − E(0)×R1∆θ1 ·R2∆θ2 = 0 (1.11.2)

これを整理すると、

E(∆n)− E(0)

∆nR1R2 + E(∆n)(R1 +R2) + E(∆n)∆n = 0 (1.11.3)

となるので、 ∆n→ +0 の極限では、

∂E

∂n(0)R1R2 + E(0)(R1 +R2) + 0 = 0 (1.11.4)

つまり、1

E

∂E

∂n= −

(1

R1+

1

R2

)(1.11.5)

が成り立つ。

1.12 Green’s reciprocation theorem

まずポテンシャル Φ が、

Φ(x) =1

4πϵ0

(∫V

ρ(x′)

|x− x′|d3x′ +

∫S

σ(x′)

|x− x′|da′)

(1.12.1)

と書き表せることに注意する。

(LHS) =

∫V

ρ(x)Φ′(x)d3x+

∫S

σ(x)Φ′(x)da (1.12.2)

=1

4πϵ0

[∫V

d3xρ(x)

(∫V

ρ′(x′)

|x− x′|d3x′ +

∫S

σ′(x′)

|x− x′|da′)+∫

S

daσ(x)

(∫V

ρ′(x′)

|x− x′|d3x′ +

∫S

σ′(x′)

|x− x′|da′)]

(1.12.3)

=1

4πϵ0

[∫V

d3x′ρ′(x′)

(∫V

ρ(x)

|x− x′|d3x+

∫S

σ(x)

|x− x′|da

)+∫

S

da′σ′(x′)

(∫V

ρ(x)

|x− x′|d3x+

∫S

σ(x)

|x− x′|da

)](1.12.4)

=

∫V

ρ′(x′)Φ(x′)d3x′ +

∫S

σ′(x′)Φ(x′)da′ (1.12.5)

= (RHS) (1.12.6)

と、問題文の等式が成り立つことが示された。ただし、二行目から三行目では違う

積分変数を用いて積分していることなどから、積分の順序交換は自由にできることを

用いている。

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1.14 The behavior of Green functions for Poisson equation 11

1.14 The behavior of Green functions for Poisson equation

(a)

Dirichlet問題に対する Green函数は

GD(x, y) = 0 (y が S上にあるとき) (1.14.1)

∫V

(GD(x, y)∇2GD(x′, y)−GD(x′, y)∇2GD(x, y)

)dV

=

∫S

(GD(x, y)∇GD(x′, y)−GD(x′, y)∇GD(x, y)

)·−−→dSy (1.14.2)

or

− 4πGD(x, x′) + 4πGD(x′, x) = 0 (1.14.3)

よって

GD(x, x′) = GD(x′, x) (1.14.4)

(b)

Neumann条件に対する Green函数は

∂GN (x, y)

∂ny= −4π

S(y が S上にあるとき) (1.14.5)

Greenの公式より∫V

(GN (x, y)∇2GN (x′, y)−GN (x′, y)∇2GN (x, y)

)dV

=

∫S

(GN (x, y)

∂GN∂ny

(x′, y)−GN (x′, y)∂GN∂ny

(x, y)

)day (1.14.6)

i.e.,

− 4πGN (x, x′) + 4πGN (x′, x) = −4π

S

∫S

GN (x, y)day +4π

S

∫S

GN (x′, y)day

(1.14.7)

よって題意は示された

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12 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

(c)

Neumann条件が課されているとき

Φ(x) = ⟨ΦS⟩+1

4πϵ0

∫V

ρ(x′)GN (x, x′)d3x′ +1

∫S

∂Φ

∂n′GNda′ (1.14.8)

右辺で GN → GN − F と代入しても左辺が変わらないことを示せばよい。

(右辺) →⟨ΦS⟩+1

4πϵ0

∫V

ρ(x′)(GN (x, x′)− F (x))d3x′

+1

∫S

∂Φ

∂n′ (GN (x, x′)− F (x))da′ (1.14.9)

= Φ(x)− F (x)

4πϵ0

∫V

ρ(x′)d3x′ − F (x)

∫S

∂Φ

∂n′ da′ (1.14.10)

= Φ(x) (∵ ガウスの法則を使った) (1.14.11)

1.16 Energy decreasing with introduction of a conductor

導体を挿入する前の物理状態をプライム (′)なしで、挿入した後の物理状態をプラ

イムつきとして区別する。

静電エネルギーはそれぞれ、

W =ϵ02

∫V

|E|2dV (1.16.1)

W ′ =ϵ02

∫V

|E′|2dV (1.16.2)

と書ける。

∆E := E′ −E と定義すると、

W =W ′ +ϵ02

(∫V

|∆E|2 dV − 2

∫V

E′ ·∆EdV

)(1.16.3)

となる。

ここで、∫V

E′ ·∆EdV = −∫V

∇Φ′ ·∆EdV (1.16.4)

= −∫S

Φ′∆E · da+

∫V

Φ′∇ · (E′ −E)dV (1.16.5)

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1.16 Energy decreasing with introduction of a conductor 13

であるが、∫S

Φ′∆E · da =∑i

Φ′i

∮Si

(E′i −Ei) · da

(符号が正になるように面要素をとった) (1.16.6)

=∑i

Φ′i

(− qiϵ0

−(− qiϵ0

))(1.16.7)

= 0 (1.16.8)

および、

∫V

Φ′∇(E′ −E)dV = − 1

ϵ0

(∑i

∫Vi

Φ′i(ρ

′i − ρi)dV +

∫Vins

Φ′(ρ′ − ρ)dV

)(1.16.9)

= − 1

ϵ0

(∑i

Φ′i

∫Vi

(ρ′i − ρi)dV +Φ′∫Vins

(ρ′ − ρ)dV

)(∵ 導体表面ではポテンシャル一定) (1.16.10)

= 0 (∵ 電荷保存) (1.16.11)

に注意すれば、結局、 ∫V

E′ ·∆EdV = 0 (1.16.12)

が言える。

従って、(1.16.3) 式は、

W =W ′ +ϵ02

∫V

|∆E|2 dV (1.16.13)

となるから、

W >W ′ (1.16.14)

が言えた。† 問題文では「the surfaces lowers the electrostatic energy」とあるが、非帯電導

体の挿入により必ずしも静電エネルギーが低下するわけではない。例えば挿入前の等

電位面と、挿入する導体の表面が一致する場合、そもそも挿入前の系で電荷が存在し

なかった場合など。‡ 式だけをみていると非常に対称性があるので、上のように W = · · · の式から始めるのではなく、W ′ = · · · の式から始めたら W ′ =W + ϵ0

2

∫V|∆E|2 dV が導かれ

るような感覚を覚えるし、実際に計算をしてみると途中まで全く同様の計算になるの

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14 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

だが、∫Vins

Φ(ρ′ − ρ)dV という式が出てきて、これ以上計算が進まなくなる。上の方

では Φ ではなく Φ′ であったので、導体上でポテンシャルが一定になる、という事実

が適用できるので計算が進んだのであった。

1.18 The variational principal for capacitance

(a)

G(x, x′)は x′ が S 上にあるときは 0である。

Φ(x) =1

4πϵ

∫V

d3x′ρ(x′)G(x, x′) +1

∫S

dS′(G(x, x′)

∂Φ

∂n′ − Φ(x′)∂G

∂n′

)(1.18.1)

=1

∫S1

da′G(x, x′)∂Φ

∂n′ −1

∫S1

−→dS · ∇′G(x, x′) (1.18.2)

x′ が S 上にあるとき ∇′G(x, x′) = 0となるようにグリーン函数をとることが出来る

ので第二項は 0となる。

W =1

2

∫V

dV ρ(x)Φ(x) =1

8πϵ0

∫S1

da

∫S1

da′σ1(x′)G(x, x′)σ1(x′) (1.18.3)

(b)

汎関数を σ で微分すると

dC−1[σ]

dσ(1.18.4)

=1

4πϵ0

1(∫S1daσ(x)

)4(∫S1

da

∫S1

da′G(x, x′)(σ(x) + σ(x′))

(∫S1

daσ(x)

)2

− 2

∫S1

daσ(x)

∫S1

da

∫S1

da

∫S1

da′G(x, x′)σ(x)σ(x′)

)(1.18.5)

(a)よりdC−1[σ1]

dσ= 0 (1.18.6)

よってこの汎関数は実際の電荷の配置から少し動いても安定である。つまり σ1 は停

留点になっている。σ1 が極小値か極大値かの判定→分からないです

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1.20 Theory of the capacitance estimation 15

1.20 Theory of the capacitance estimation

(a)

いま Φ1 = Φ′1 となるように電荷を導体 1, 1’ に与えたとする。このとき、導体内で

は電位は一定であることと、導体 1 は導体 1’ をすっぽり覆うことから、Φ(r) は ’ 付

きの状況の境界条件を満たす函数である。従ってこの Φ(r) は問題 1.17 のtrial function

試行函数

Ψ′(r) として採用することができる。だから問題 1.17 で導かれた結果を用いれば、

C ′ 6 C ′[Φ] (1.20.1)

= ϵ0

∫V

|∇Φ|2d3x (1.20.2)

= C (1.20.3)

と、求められている不等式が示された。

(b)

立方体を、それをすっぽりおおう球状の導体 (上限) と、立方体の中にすっぽり入

る球場の導体 (下限)を用いて立方体型の導体の静電容量を評価する1)。

上下から評価を求める前に半径 R の球状孤立導体の静電容量を求めておく。対称

性から E = Er(r)er であるから、球と中心を同じにする、半径 r > R なる球面上

で静電場に関する Gauss の法則を適用することによって、

Er(r) =Q

4πϵ0

1

r2(1.20.4)

を得る。ここで Q は球状孤立導体に帯電されている総電荷量を表す。従って、電位

の基準点を無限遠点上にとることとすれば、球状孤立導体上の電位は、

V = −∫ R

−∞Er(r)dr =

Q

4πϵ0

1

R(1.20.5)

であるから、求める静電容量は、

C =Q

V= 4πϵ0R (1.20.6)

となる。

1) もちろん球状の導体で上下を評価する必要性はなくて、他の形状の導体で評価してもかまいません。が、他に私たちがその静電容量をよく知っているような形状の導体はない (少なくとも自分には思いつかない)ので、Jackson 氏も球状導体で評価することを望んでいるものと思われます

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16 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

上限の評価

一片が a の立方体をすっぽり覆うような球の半径の最小値は√32 a であるから、こ

れを (1.20.6) 式に代入することで、

C↑ := 0.866× 4πϵ0a (1.20.7)

である。

下限の評価

一方、一片が a の立方体にすっぽり覆われるような球の半径の最大値は a2 である

から、同様にこれを (1.20.6) 式に代入することで、

C↓ := 0.5× 4πϵ0a (1.20.8)

を得る。

平均値と数値解析による値との比較

上で計算した上限および下限の値を平均すると 0.683× 4πϵ0a となる。これは問題

文に掲載されている、数値解析によるより正確な値 0.655× 4πϵ0a と非常に近く (約

4 %の差)、このような「大雑把な」評価でも十分な見積もり値を与えることができ

ることを示している2)。

(c)

(a) で証明された定理は、一つの導体のみ 0 でないポテンシャルがあり、そのほ

かの導体のポテンシャルはすべて 0 になっていなければ適用できないので、両方の

円柱形導体に反対負号の同量の電荷を付与した場合の電位差から定義される 1.7 の

静電容量が同様にこの定理が適用できるかどうかは定かではない。つまり、片方の

円筒をより大きな直方形導体で覆ったとしても、 1.7 で定義されている静電容量が

上昇するとは一般には言えない。しかし、導線がその太さに比べて十分離れている

という近似のもとでは、片方の導線の形を変えたときの両者の静電ポテンシャルの

変化は無視できると考えられる †。この仮定の下では (a) と全く同じ議論により、

静電容量は増加するということが言える。

2) 今回はこのようにうまくいったけど、その他の場合でも必ずしもうまくいくとは限らない…と思います

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1.22 The mathematical bases for relaxation method 17

これを式の形でもう少しみてみると以下のようになる。すなわち、静電容量係数を

Cij とすると、 (Q1

Q2

)=

(C11 C12

C12 C22

)(V1V2

)(1.20.9)

である。ここで静電容量係数が対称テンソルであることを用いている。1.7 で定義さ

れる静電容量は、片方 (1 とする) に +Q の電荷を、もう片方 (2 とする) に −Q の電荷を付したときの電位差 V1 − V2 を用いて、

C =Q

V1 − V2(1.20.10)

で定義されていた。上の静電容量係数の定義式にこれらの値を代入して計算を実行す

ることにより、

C =C11C22 − C2

12

C11 + C22 + 2C12(1.20.11)

を得る。この上で片方 (1) の円柱形導線を、それをすっぽり囲むような四角形の導線

に置き換えることを考える。このとき、導線の太さに対して互いの距離は十分に離れ

ているから、C12 は変化しないと仮定することができる3)。一方、(a) で証明した定

理から C11 は増加することが分かる4)。そこで、 C の C11 による偏微分を計算して

みると、∂C

∂C11=

(C12 + C22)2

C11 + C22 + 2C12> 0 (1.20.12)

となり、C は C11 に関して単調増加であることが分かるから、C11 が増加する、す

なわち片方の導線を問題文のように置き換えるときには、 1.7 で定義される静電容量

は必ず増加する。

1.22 The mathematical bases for relaxation method

念のため多変数関数のテイラーの定理を復習しておく。

f を well-behavedな関数とすると、

f(x1 + h1, x2 + h2, · · · , xn + hn) =∞∑k=0

(dkf)(x1,x2,··· ,xn)(h1, h2, · · · , hn) (1.22.1)

ここで

A := x1, x2, · · · , xn Sk :=

k⊕i=1

A (1.22.2)

3) この仮定は † であげた仮定と (おそらく)同値です4) これは V1 = V, V2 = 0 とすることで、近似なしに成り立つことが分かります

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18 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

(dkf)(x1,x2,··· ,xn)(h1, h2, · · · , hn) :=∑

(α1,α2,··· ,αk)∈Sk

∂kf(x1, · · · , xn)∂α1∂α2 · · · ∂αk

hl1hl2 · · ·hlk

(1.22.3)

(hli は αi と同じ座標の変量)

これを使って (a)も (b)もゴリゴリ計算すればできる。

(補足)

調和関数に対して次の定理があります。

f を領域 Ω で調和とする。このとき Ω 内の任意の点 (a, b) と (a, b) を中心

とする半径 Rの円 C に対して

f(a, b) =1

2πR

∫C

dsf(x, y) (1.22.4)

が成立する

したがって本文中で述べられていたように、ラプラス問題を解くのに各点の周りで

4 点 (あるいは 8 点) の平均値をとることをくり返すというのは直感的に自然である

と言えます。

1.24 Numerical analysis performed by the relaxation method II

この問題では、教科書 p.49 (1.82) 式:

Φnew(i, j) = ⟨⟨Φold(i, j)⟩⟩+h2

5

ρ

ϵ0+h2

10

⟨ρ

ϵ0

⟩C

+O(h6) (1.24.1)

を使えばよい。ただし、

⟨f(i, j)⟩C :=1

4

(f(i− 1, j) + f(i+ 1, j) + f(i, j − 1) + f(i, j + 1)

)(1.24.2)

⟨f(i, j)⟩S :=1

4

(f(i−1, j−1)+f(i+1, j−1)+f(i−1, j−1)+f(i+1, j+1)

)(1.24.3)

⟨⟨f(i, j)⟩⟩ := 1

5⟨f⟩S +

4

5⟨f⟩C (1.24.4)

である1)。また電荷密度は問題文より ρ = 1 である。

(0.25, 0.25) およびそれに対応する他の三点でのポテンシャルを Φ1 、(0.25, 0.5)

およびそれに対応する他の三点でのポテンシャルを Φ2 、(0.5, 0.5) でのポテンシャ

1) いろいろなところに散在して書かれていたのでまとめてみました

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1.24 Numerical analysis performed by the relaxation method II 19

表 1.1 Jacobian 反復法 (左)と Gauss-Seidel 反復法 (右)による出力値PPPPPPPPP試行回数

場所 Jacobian 反復法 Gauss-Seidel 反復法

1 2 3 1 2 3

0 1.0000 1.0000 1.0000 1.0000 1.0000 1.0000

1 0.6463 0.9160 1.2356 0.6463 0.7745 0.9845

2 0.6245 0.8132 1.0977 0.5554 0.7125 0.9167

3 0.5765 0.7667 1.0111 0.5272 0.6814 0.8862

4 0.5536 0.7255 0.9642 0.5132 0.6667 0.8716

5 0.5348 0.7028 0.9267 0.5066 0.6596 0.8646

6 0.5238 0.6855 0.9048 0.5034 0.6562 0.8613

7 0.5158 0.6750 0.8888 0.5019 0.6546 0.8597

8 0.5108 0.6676 0.8788 0.5012 0.6539 0.8589

9 0.5073 0.6628 0.8718 0.5008 0.6535 0.8586

10 0.5051 0.6596 0.8673 0.5007 0.6533 0.8584...

......

......

......

100 0.5005 0.6532 0.8583 0.5005 0.6532 0.8583

(正確な値) 0.5691 0.7205 0.9258 0.5691 0.7205 0.9258

ルを Φ3 とおく。4πϵ0Φi のことを Ψi と書くことにして上の式を計算すれば、以下

の三式を得る: Ψnew

1 = 0.4Ψ2 + 0.05Ψ3 +π16

Ψnew2 = 0.4Ψ1 + 0.1Ψ2 + 0.2Ψ3 +

11160π

Ψnew3 = 0.2Ψ1 + 0.8Ψ2 +

340π

(1.24.5)

あとは Ψi = 1.0 を初期値としてこれらの式を用いて計算すればよい。

Jackson 氏曰く、「点がちょっとしかないから、ちゃっちい電卓とちょっとした計算

用紙があれば反復計算なんて手計算で簡単にできるよね」ということだが、プログ

ラム書いてしまった方が良いのと、グラフを書く都合から Java で組んでみた (ソー

スコード 1.1)。

計算結果は表 1.1のようである。

また、この結果をプロットすると図 1.6 のよう。ただし赤線は問題文中に与えられ

ている正確な値である。

グラフを見れば一目瞭然だが、Jacobian 法によるものよりも Gauss-Seidel 法の方

が遙かに速く収束する。また、使用するメモリの観点から言っても、Jacobian の半

分のメモリ量ですむので経済的 (?)である。

収束先の値は、問題文で与えられた正確な値と比べてどれも 0.07 ほど小さなもの

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20 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

図 1.6 Jacobian および Gauss-Seidel 法による数値計算結果

になっている。標本点が非常に少ないため、それほど正確な値が出ないというのは自

明なのだが、一様に小さな値になってしまっている方はあまり自明ではない。これは

分割数 n を大きくとればとるほど、四角形の辺の電位が 0 になることを考慮しなけ

ればいけない点は全体でおおよそ 4n 個なので、このことが全体に及ぼす影響は相対

的に「小さくなる」ので、正確な (分割数を十分大きくとった) 計算に比べて小さな

(つまり、端の影響が「大きい」)結果をはじき出してしまったと考えられる。

そこで実際に先ほどのプログラムを書き直し、任意の分割数に対応したものを作成

した (ソースコード 1.2)。ただし、書くのも考えるのも面倒なので、対称性を考慮し

た計算量の削減等の最適化処理は一切施していない2)。このプログラムを用いて分割

数を変えて計算してみると表 1.2 のようになり、確かに、教科書に載っているような

値に近づいていくことが分かる。

ソースコード 1.1 Relaxation.java

1 import java.io.*;2 import java.awt .*;3 import java.awt.image .*;4 class Relaxation5 public static final int WIDTH = 500;6 public static final int HEIGHT = WIDTH;7 public static final int TRY = 100;8 public static final double PRECISE [] = 0.5691 , 0.7205 , 0.9258;9 public static void main(String args [])

10 double x[] = new double [3], y[] = new double [3], z[] = new double [3];

2) なお、分割数が増えると、繰り返し部分の処理が O(n2) で増加するのとともに、収束も遅くなる(なぜなら、一カ所の値の変化が遠く離れた場所に影響を及ぼすまでに ∆x+∆y ∈ O(n) かかるため)ので、このような「テキトーな」プログラムでは分割数 100 程度で限界だった

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1.24 Numerical analysis performed by the relaxation method II 21

表 1.2 分割数をいろいろと変化させた場合の計算結果分割数 4 8 12 16 20 24 28 32 36Φ1 0.50053 0.55254 0.56177 0.56498 0.56646 0.56726 0.56775 0.56806 0.56827Φ2 0.65316 0.70401 0.71320 0.71639 0.71787 0.71867 0.71916 0.71947 0.71968Φ3 0.85826 0.90929 0.91848 0.92168 0.92316 0.92396 0.92444 0.92476 0.92497

分割数 40 44 48 52 56 60 64 68Φ1 0.56843 0.56854 0.56863 0.56870 0.56875 0.56879 0.56883 0.56886Φ2 0.71984 0.71995 0.72004 0.72010 0.72016 0.72020 0.72024 0.72027Φ3 0.92513 0.92524 0.92533 0.92539 0.92545 0.92549 0.92553 0.92556

分割数 72 76 80 84 88 92 96 100Φ1 0.56888 0.56890 0.56892 0.56893 0.56895 0.56896 0.56897 0.56898Φ2 0.72029 0.72031 0.72033 0.72034 0.72036 0.72037 0.72038 0.72039Φ3 0.92558 0.92560 0.92562 0.92563 0.92565 0.92566 0.92567 0.92568

11 double jacobi [][] = new double[TRY +1][3];12 double gauss [][] = new double[TRY +1][3];13 x[0] = x[1] = x[2] = 1.0;14 z[0] = z[1] = z[2] = 1.0;15 for(int i=0; i<=TRY; i++)16 System.out.printf("%d: %.4f %.4f %.4f <> %.4f %.4f %.4f\n", i, x[0], x

[1], x[2], z[0], z[1], z[2]);17 // Gauss -Seidel18 gauss[i][0] = z[0] = 0.4*z[1] + 0.05*z[2] + Math.PI /16.0;19 gauss[i][1] = z[1] = 0.4*z[0] + 0.1*z[1] + 0.2*z[2] + (11.0/160.0)* Math.

PI;20 gauss[i][2] = z[2] = 0.2*z[0] + 0.8*z[1] + (3.0/40.0)* Math.PI;21 // Jacobian22 y[0] = 0.4*x[1] + 0.05*x[2] + Math.PI /16.0;23 y[1] = 0.4*x[0] + 0.1*x[1] + 0.2*x[2] + (11.0/160.0)* Math.PI;24 y[2] = 0.2*x[0] + 0.8*x[1] + (3.0/40.0)* Math.PI;25 jacobi[i][0] = x[0] = y[0];26 jacobi[i][1] = x[1] = y[1];27 jacobi[i][2] = x[2] = y[2];28 29 BufferedImage img = new BufferedImage(WIDTH , HEIGHT , BufferedImage.

TYPE_3BYTE_BGR );30 Graphics2D g = img.createGraphics ();31 g.setColor(Color.WHITE);32 g.fillRect(0, 0, WIDTH , HEIGHT );33 g.setColor(Color.BLACK);34 g.setFont(g.getFont (). deriveFont (( float )20));35 g.drawString("Jacobian", WIDTH /7*2, HEIGHT -30);36 g.drawString("Gauss -Seidel", WIDTH /7*5, HEIGHT -30);37 for(int i=0; i<=TRY; i++)38 g.drawLine(WIDTH *1/7, (int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*jacobi[i][0]), WIDTH *2/7,

(int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*jacobi[i][1]));39 g.drawLine(WIDTH *2/7, (int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*jacobi[i][1]), WIDTH *3/7,

(int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*jacobi[i][2]));40 g.drawLine(WIDTH *4/7, (int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*gauss[i][0]) , WIDTH *5/7,

(int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*gauss[i][1]));41 g.drawLine(WIDTH *5/7, (int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*gauss[i][1]) , WIDTH *6/7,

(int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*gauss[i][2]));42 43 g.setColor(Color.RED);44 g.drawLine(WIDTH *1/7, (int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*PRECISE [0]), WIDTH *2/7, (

int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*PRECISE [1]));45 g.drawLine(WIDTH *2/7, (int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*PRECISE [1]), WIDTH *3/7, (

int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*PRECISE [2]));46 g.drawLine(WIDTH *4/7, (int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*PRECISE [0]), WIDTH *5/7, (

int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*PRECISE [1]));47 g.drawLine(WIDTH *5/7, (int)( HEIGHT *1.25- HEIGHT*PRECISE [1]), WIDTH *6/7, (

int)( HEIGHT *1.25 - HEIGHT*PRECISE [2]));48 g.dispose ();

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22 Chapter 1 Introduction to Electrostatics

49 try50 System.out.println(51 javax.imageio.ImageIO.write(img , "PNG", new File("relaxation.png")) ?52 "Success" : "Fail"53 );54 catch(IOException e)55 e.printStackTrace ();56 57 58

ソースコード 1.2 Relaxation2.java

1 class Relaxation22 public static void main(String args [])3 int cases = 25;4 for(int i=1; i<= cases; i++)5 double ret[] = doRelaxation (4*i);6 // output the result7 System.out.printf("%d: %.5f %.5f %.5f\n", 4*i, ret[0], ret[1], ret [2]);8 9

10 public static double [] doRelaxation(int split)11 return doRelaxation(split , Double.MIN_VALUE );12 13 /**14 * @param split 分 割 数15 * @param certainty 正 確 さ 。 前 の iteration と 比 べ て 、 こ れ 以 下 の 差 し か な け れ

ば 収 束 し た と 見 な し て ル ー プ を 抜 け る16 */17 public static double [] doRelaxation(int split , double certainty )18 double h = 1D / split;19 double p[][] = new double[split +1][ split +1];20 // initialize21 for(int i=1; i<split; i++)22 for(int j=1; j<split; j++)23 p[i][j] = 1D;24 // do iteration (with Gauss -Seidel scheme)25 double bef = p[split /4][ split /4];26 for (;;)27 for(int i=1; i<split; i++)28 for(int j=1; j<split; j++)29 // square term30 double s = (p[i-1][j-1] + p[i-1][j+1] + p[i+1][j-1] + p[i+1][j+1]) /

4D;31 // cross term32 double c = (p[i-1][j] + p[i+1][j] + p[i][j-1] + p[i][j+1]) / 4D;33 // 4\pi\epsilon_0 * <\rho / \epsilon_0 >_C34 double rhoc = 4D * Math.PI * ((2 + ((i==1||i==split -1)?0:1) + ((j

==1||j==split -1)?0:1)) / 4D);35 p[i][j] = (s/5D + c*4D/5D) + (h*h/5D) * (4* Math.PI) + (h*h/10D) *

rhoc;36 37 double aft = p[split /4][ split /4];38 if(Math.abs(aft - bef) < certainty)39 break;40 bef = aft;41 42 // return the result43 double ret[] = p[split /4][ split /4], p[split /2][ split/4], p[split /2][ split

/2];44 return ret;45 46

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23

Chapter 2

Boundary-Value Problems in

Electrostatics: I

2.4 A point charge placed outside a conducting sphere

点電荷の電荷量を q とし、球状導体上の総電荷量を Q = rq とする1)。

教科書 p.61 (2.9) 式から、点電荷に働く力は、

F =1

4πϵ0

q2

d2

(r − R3(2d2 −R2)

d(d2 −R2)2

)(2.4.1)

である。

(i) 釣り合いの位置

点電荷に引力が働くのは、力が全く働かない位置 (釣り合いの位置)よりも内側で

あり、逆に斥力が働くのは力が全く働かない位置よりも外側なので、力が全く働かな

い位置を求めればよい。従って F = 0 として整理すると、

F = 0 (2.4.2)

⇔rd(d2R2)2 = R3(2d2 −R2) (2.4.3)

⇔rγ5 − 2rγ3 − 2γ2 + rγ + 1 = 0 (2.4.4)

ここで、

γ :=d

R(2.4.5)

とした。

1) (a), (b) は r = 1.0 の場合、(c) は r = 0.5, 2.0 の場合だと考えればいいので、このようにすべて一緒にやってしまいます

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24 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

γ > 1 に注意して r = 0.5, 1.0, 2.0 の場合の解を Mathematica に解かしてみると

以下のようになる:

表 2.1 力の釣り合いの点の位置 (γ = dR)

r γ

0.5 1.8823

1.0 1.6180

2.0 1.4276

r = 1 の場合は教科書の解答と若干ずれているが、おそらくこちらの方が正しい2)。

(ii) 球状導体に近づけたときにかかる力の漸近的振る舞い

d := a+R(a≪ R) として力の表式 (2.4.1) 式を書き直すと、

F =1

4πϵ0

q2

(R+ a)2

(r − R3(R2 + 4aR+ 2a2)

(R+ a)(2aR+ a2)2

)(2.4.6)

であるから、a→ 0 の時のおおよその振る舞いは、

F ≈ 1

4πϵ0

q2

R2

(0− R3 ·R2

R(2aR)2

)= − q2

16πϵ0a2(2.4.7)

となる。この結果は、球状導体に帯電させられている電荷 Q = rq の量および符号に

全く依存しないことに注意されたい。

球に帯電させられている電荷 Q = rq が結果の式に全く影響しないことは (式に r

を含まないことは) — 計算途中の式からも明らかだが — 点電荷を球状導体に近づけ

ると、点電荷と点電荷により誘起される電荷との間に働くクーロン力が +∞ に発散

していくため、高々有限の球状導体に帯電させられている電荷 Q との相互作用は相

対的に無視できるようになることから明らかである。

また、この結果の式は、

F ≈ 1

4πϵ0

q · (−q)(2a)2

(2.4.8)

と書けるが、これは、点電荷が球状導体に近いときは球状導体は近似的に平板状の導

体に見えるため、平板から距離 a だけ離れた点電荷が感じる力に漸近的に近づいて

いくことは納得のいく結果である (図 2.1)。

2) 少なくとも、 Mathematica を信用する、という仮定の下では

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2.8 Two straight parallel line charges with equal and opposite charge densities 25

a

球状導体 (近いときには平板状の導体 と同一視できる)

鏡像電荷

a

image charge

図 2.1 点電荷と球状導体が非常に近い場合の模式図

図 2.2 二本の平行直線状電荷によるポテンシャルのプロット

2.8 Two straight parallel line charges with equal and opposite charge densities

(a)(R

2, 0

)に線密度 +λ、

(−R

2, 0

)に線密度 −λ の直線状電荷が x-y 平面と垂直

になるように直交座標系を設定する。このとき静電ポテンシャルは、

Φ(x, y, z) =λ

4πϵ0· ln

(x− R

2

)2

+ y2(x+

R

2

)2

+ y2

(2.8.1)

と書ける。

ポテンシャルが一定となるのは、

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26 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

Φ(x, y, z) = (一定) (2.8.2)

(x− R

2

)2

+ y2(x+

R

2

)2

+ y2= (一定) (2.8.3)

であるから、正数 A に対して、(x− R

2

)2

+ y2(x+

R

2

)2

+ y2≡ A−1 (2.8.4)

とおいて整理すると、

(A− 1)

(x2 + y2 +

R2

4

)− (A+ 1)Rx = 0 (2.8.5)

となる。

まず A = 1 の場合は x ≡ 0 が言えるから等ポテンシャル面は y-z 平面となる。

次に A = 1 の場合は、(x− 1

2

A+ 1

A− 1R

)2

+ y2 =A

(A− 1)2R2 (2.8.6)

となるから、この場合の等ポテンシャル面は中心を(1

2

A+ 1

A− 1R, 0

)とする半径

√A

|A− 1|R の真円である1)。

(b)

この問題文の設定状況は、図 2.3 のように二本の “鏡像”直線電荷を用いて等価な

ものに置き換えることができる。

1) アポロニウスの円を考えることで、より簡単に幾何学的に処理することもできる。結果は当然ながら同じものを帰結できる

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2.8 Two straight parallel line charges with equal and opposite charge densities 27

等ポテンシャル面

"鏡像"直線電荷

図 2.3 ”鏡像”直線電荷を使った、問題設定の等価な置き換え (d > a+ b; 離れている場合)

ここで (a) から、

1

2

Aa + 1

Aa − 1R = xa (2.8.7a)

√Aa

|Aa − 1|R = a (2.8.7b)

1

2

Ab + 1

Ab − 1R = xb (2.8.7c)

√Ab

|Ab − 1|R = b (2.8.7d)

xa − xb = d (2.8.7e)

が成り立つ。Aa, Ab は (a) の A に相当する正の数である。

いま、二つの導体のポテンシャルの差は、

V :=

∣∣∣∣ λ

4πϵ0lnA−1

a − λ

4πϵ0lnA−1

b

∣∣∣∣ (2.8.8)

4πϵ0

∣∣∣∣ln AbAa∣∣∣∣ (2.8.9)

で与えられるから、静電容量は、

C :=λ

V= 4πϵ0

∣∣∣∣ln AbAa∣∣∣∣−1

(2.8.10)

である。

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28 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

まず (2.8.7a) 式を変形すると、

Aa = 1 +2R

2xa −R=

2xa +R

2xa −R(2.8.11)

となるから、 (2.8.7b) 式 (の自乗)にこれを代入して、

a2 =1

4(4x2a −R2) (2.8.12)

を得る。同様にして、

b2 =1

4(4x2b −R2) (2.8.13)

だから、 (2.8.7e) 式を用いて、

d2 − a2 − b2 = (x2a + x2b − 2xaxb)−1

4(4x2a −R2)− 1

4(4x2b −R2) (2.8.14)

=1

2(R2 − 4xaxb) (2.8.15)

および、

(2ab)2 =1

4(4x2a −R2)(4x2b −R2) (2.8.16)

を得る。

従って、d > a+ b より d2 − a2 − b2 > 0 であることと、 2ab > 0 に注意すると、

d2 − a2 − b2

2ab=

(R2 − 4xaxb)√(4x2a −R2)(4x2b −R2)

(2.8.17)

=

√√√√√√(4xaR

xbR

− 1)

(4(xaR

)2− 1

)(4(xbR

)2− 1

) (2.8.18)

ここで、

2xaR

=Aa + 1

Aa − 1(2.8.19)

などから、

4xaR

xbR

− 1 = 2Aa +Ab

(Aa − 1)(Ab − 1)(2.8.20)

および、

4(xaR

)2− 1 = 4

Aa(Aa − 1)2

(2.8.21)

などに注意すれば、

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2.8 Two straight parallel line charges with equal and opposite charge densities 29

d2 − a2 − b2

2ab=

√(2

Aa +Ab(Aa − 1)(Ab − 1)

)2

× 1

4

(Aa − 1)2

Aa× 1

4

(Ab − 1)2

Ab(2.8.22)

=1

2

√AbAa

+ 2 +AaAb

(2.8.23)

=1

2

(√AbAa

+

√AaAb

)(2.8.24)

= cosh

(ln

√AbAa

)(2.8.25)

となる。

従って、

arccosh

(d2 − a2 − b2

2ab

)=

∣∣∣∣∣ln√AbAa

∣∣∣∣∣ = 1

2

∣∣∣∣ln AbAa∣∣∣∣ (2.8.26)

と計算できる。

結局、 (2.8.10) 式から静電容量は、

C = 4πϵ0

∣∣∣∣ln AbAa∣∣∣∣−1

=2πϵ0

arccosh

(d2 − a2 − b2

2ab

) (2.8.27)

と求めることができた。

(c)

N :=d2 − a2 − b2

2ab(2.8.28)

とおき、

arccoshN = ln (2.8.29)

となる を求める。両辺の cosh をとることで、

N = cosh(ln) =1

2(+−1) (2.8.30)

= N±√N2 − 1 (2.8.31)

ここで arccosh > 1 であるから ± は + のみ許されて、

= N+√N2 − 1 (2.8.32)

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30 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

等ポテンシャル面

"鏡像"直線電荷

図 2.4 ”鏡像”直線電荷を使った、問題設定の等価な置き換え (d < |a − b|; 内包している場合)

a≪ d, b≪ d とすると、右辺第二項は近似的に N であるから、

≈ 2N (2.8.33)

従って結局、

arccoshN ≈ ln 2N (2.8.34)

であるから、C

2πϵ0≈(lnd2 − (a2 + b2)

2ab

)−1

(2.8.35)

ここでさらに a2 + b2 ≪ d2 であることから、a2 + b2 で Taylor 展開して一次の項ま

で残す近似を行うと、

C ≈ πϵ0

(ln

d√ab

)−1

+1

2πϵ0

ab(a2 + b2)

d4

(ln

d√ab

)−2

(2.8.36)

となる。この第一項は問題 1.7 で求めた近似解と等しくなっている。

(d)

(b) と同じように文字を設定する。

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2.12 Poisson’s integral form of the potential 31

計算は (b) とほぼ同じように実行でき、

d2 − a2 − b2

2ab= − cosh

(ln

√AbAa

)(2.8.37)

となるから、

arccosh

(a2 + b2 − d2

2ab

)=

1

2

∣∣∣∣ln AbAa∣∣∣∣ (2.8.38)

となって、結局、静電容量 C は、

C =2πϵ0

arccosh

(a2 + b2 − d2

2ab

) (2.8.39)

と求められる。

d = 0 のときは、

arccosha2 + b2

2ab= ln (2.8.40)

⇔ =b

aor

a

b(2.8.41)

つまり、

arccosha2 + b2

2ab=

∣∣∣∣ln ba∣∣∣∣ (2.8.42)

だから、

C = 2πϵ0

∣∣∣∣ln ba∣∣∣∣−1

(2.8.43)

となって、問題 1.6 (c) の結果と一致する。

2.12 Poisson’s integral form of the potential

教科書 77 ページ (2.71) 式と、円筒内部では電荷が存在しないことから、

Φ(ρ, ϕ) = a0 +∞∑n=1

(anρn cos(nϕ) + bnρ

n sin(nϕ)) (2.12.1)

と書ける。特に ρ = b の時には、

Φ(b, ϕ) = a0 +∞∑n=1

(anbn cos(nϕ) + bnb

n sin(nϕ)) (2.12.2)

となる。

ここで、 Φ(b, ϕ) の ϕ に対する Fourier 級数展開は、

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32 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

Φ(b, ϕ) =α0

2+

∞∑n=1

(αn cosnϕ+ βn sinnϕ) (2.12.3)

αn =1

π

∫ 2π

0

Φ(b, ϕ′) cosnϕ′dϕ′ (2.12.4)

βn =1

π

∫ 2π

0

Φ(b, ϕ′) sinnϕ′dϕ′ (2.12.5)

であるから、(2.12.2) 式と (2.12.3) 式を見比べて、a0 =

α0

2(2.12.6a)

an = b−nαn (n > 1) (2.12.6b)

bn = b−nβn (2.12.6c)

と分かる。

従って (2.12.1) 式は、

Φ(ρ, ϕ) =1

∫ 2π

0

Φ(b, ϕ′)dϕ′

+∞∑n=1

((ρb

)2(∫ 2π

0

Φ(b, ϕ′) cosnϕ′dϕ′)cosnϕ

+(ρb

)2(∫ 2π

0

Φ(b, ϕ′) sinnϕ′dϕ′)sinnϕ

)(2.12.7)

=1

∫ 2π

0

Φ(b, ϕ′)

(1 + 2

∞∑n=1

(ρb

)n(cosnϕ′ cosnϕ+ sinnϕ′ sinnϕ)

)dϕ′

(2.12.8)

ここで、

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2.16 The potential on a unit square area with a uniform charge density 33

2∞∑n=1

(ρb

)n(cosnϕ′ cosnϕ+ sinnϕ′ sinnϕ) (2.12.9)

= 2∞∑n=1

(ρb

)ncosn(ϕ′ − ϕ) (2.12.10)

=

∞∑n=1

(ρb

)n(exp(in(ϕ′ − ϕ)) + exp(−in(ϕ′ − ϕ))) (2.12.11)

=

∞∑n=1

((ρbei(ϕ

′−ϕ))n

+(ρbe−i(ϕ

′−ϕ))n)

(2.12.12)

=ρb ei(ϕ′−ϕ)

1− ρb ei(ϕ′−ϕ) +

ρb e

−i(ϕ′−ϕ)

1− ρb e

−i(ϕ′−ϕ) (2.12.13)(∵∣∣∣ρbei(ϕ

′−ϕ)∣∣∣ = ∣∣∣ρ

be−i(ϕ

′−ϕ)∣∣∣ = ρ

b< 1だからきちんと収束する

)=

2bρ cos(ϕ′ − ϕ)− 2ρ2

b2 + ρ2 − 2bρ cos(ϕ′ − ϕ)(2.12.14)

だから、結局、

Φ(ρ, ϕ) =1

∫ 2π

0

Φ(b, ϕ′)b2 − ρ2

b2 + ρ2 − 2bρ cos(ϕ′ − ϕ)dϕ′ (2.12.15)

となる。

2.16 The potential on a unit square area with a uniform charge density

まず教科書 p.39 (1.44) 式と問題 2.15 の結果から、

Φ(x, y) =1

4πϵ0

∫ 1

0

dx′∫ 1

0

dy′G(x, y;x′, y′) (2.16.1)

=2

πϵ0

∞∑n=1

sin(nπx)

n sinh(nπ)

∫ 1

0

sin(nπx′)dx′︸ ︷︷ ︸♠

(2.16.2)

×(sinh(nπ(1− y))

∫ y

0

sinh(nπy′)dy′ + sinh(nπy)

∫ 1

y

sinh(nπ(1− y′))dy′)

︸ ︷︷ ︸⋆

(2.16.3)

ここで、

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34 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

♠ = − 1

[cos(nπx′)

]10

(2.16.4)

= − 1

nπ(cos(nπ)− 1) (2.16.5)

=1− (−1)n

nπ(2.16.6)

および、

⋆ = sinh(nπ(1− y))1

[cosh(nπy′)

]y0− sinh(nπy)

1

[cosh(nπ(1− y′))

]1y

(2.16.7)

=1

(sinh(nπ(1− y)) cosh(nπy)︸ ︷︷ ︸− sinh(nπ(1− y))

− sinh(nπy) + sinh(nπy) cosh(nπ(1− y))︸ ︷︷ ︸) (2.16.8)

=1

[sinh(nπ(1− y) + nπy)−

[sinh(nπy) + sinh(nπ(1− y))

]](2.16.9)

=1

[sinh(nπ)− 2 sinh

(nπ2

)cosh

(nπ

(y − 1

2

))](2.16.10)

に注意すれば、

Φ =2

πϵ0

∞∑n=1

sin(nπx)

n sinh(nπ)× 1− (−1)n

nπ× 1

[sinh(nπ)− 2 sinh

(nπ2

)cosh

(nπ

(y − 1

2

))](2.16.11)

=2

π3ϵ0

∞∑n=1

sin(nπx)

n3(1− (−1)n)

(1−

cosh(nπ(y − 12 ))

cosh(nπ2 )

)(2.16.12)

=4

π3ϵ0

∞∑m=0

sin[(2m+ 1)πx]

(2m+ 1)3

(1−

cosh[(2m+ 1)π(y − 12 )]

cosh[ (2m+1)π2 ]

)(2.16.13)

を得る。

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2.20 Four symmetrically placed line charges 35

図 2.5 問題 2.16 の解のプロット

2.20 Four symmetrically placed line charges

(a)

Φ(ρ, ϕ) =1

4πϵ0

∫S

σ(ρ′, ϕ′)G(ρ, ϕ; ρ′, ϕ′)da′ (2.20.1)

=1

4πϵ0

λ

a

3∑n=0

(−1)2∫ 2π

0

dϕ′∫ ∞

0

ρ′dρ′δ(ρ′ − a)δ(ϕ′ − nπ

2

)G(ρ, ϕ; ρ′, ϕ′)

(2.20.2)

=1

4πϵ0

λ

a

3∑n=0

(−1)2aG(ρ, ϕ; a,

2

)(2.20.3)

2πϵ0

3∑n=0

∞∑m=1

(−1)n1

m

(ρ<ρ>

)mcos[m(ϕ− nπ

2

)](2.20.4)

ここで、先に n に対して和をとると、m に対する和は、m が 4 で割って 2 余ると

きのみ残り、 4 cos(mϕ) となるから、

Φ(ρ, ϕ) =λ

2πϵ0

∞∑k=0

1

4k + 2

(ρ<ρ>

)4k+2

4 cos[(4k + 2)ϕ] (2.20.5)

πϵ0

∞∑k=0

1

2k + 1

(ρ<ρ>

)4k+2

cos[(4k + 2)ϕ] (2.20.6)

となる。

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36 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

(b)

Φ(ρ, ϕ) =2λ

πϵ0Re

[ ∞∑k=0

1

4k + 2

(ρ<ρ>

)4k+2

exp[i(4k + 2)ϕ]

](2.20.7)

=2λ

πϵ0Re

∞∑k=0

1

4k + 2

ρ<ρ> exp(iϕ)︸ ︷︷ ︸ψ

4k+2 (2.20.8)

ここで、

ln(1 + z) = z − z2

2+

z3

3− z4

4+ · · ·

ln(1− z) = − z − z2

2− z3

3− z4

4− · · ·

ln(1 + iz) = +iz +z2

2− i

z3

3− z4

4+ · · ·

ln(1− iz) = −iz + z2

2+ i

z3

3− z4

4− · · ·

より、

1

4[ln(1 + iz) + ln(1− iz)− ln(1 + z)− ln(1− z)] =

z2

2+z6

6+ · · · (2.20.9)

∴ 1

4ln

(1 + z2

1− z2

)=

∞∑k=0

z4k+2

4k + 2(2.20.10)

であることを用いれば、

Φ(ρ, ϕ) =2λ

πϵ0Re

[1

4ln

(1 + ψ2

1− ψ2

)](2.20.11)

2πϵ0Re

[ln

(ψ2 + 1

ψ2 − 1

)](∵ Re[ln(−z)] = Re[ln(z)]) (2.20.12)

2πϵ0Re

[ln

(ρ2e2iϕ + a2

ρ2e2iϕ − a2

)](∵ ρ > aのときと a < ρのときそれぞれに対し頑張ると出る)

(2.20.13)

2πϵ0Re

[ln

((ρeiϕ − ia)(ρeiϕ + ia)

(ρeiϕ − a)(ρeiϕ + a)

)](∵ ρ< = ρ, ρ> = a) (2.20.14)

= Rew(ρeiϕ) (2.20.15)

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2.20 Four symmetrically placed line charges 37

一方、計算を続行すると、

Φ(ρ, ϕ) =λ

2πϵ0ln

∣∣∣∣ (ρeiϕ − ia)(ρeiϕ + ia)

(ρeiϕ − a)(ρeiϕ + a)

∣∣∣∣ (2.20.16)

4πϵ0ln

|ρeiϕ − ia|2|ρeiϕ + ia|2

|ρeiϕ − a|2|ρeiϕ + a|2(2.20.17)

4πϵ0ln

(x2 + (y − a)2)(x2 + (y + a)2)

((x− a)2 + y2)((x+ a)2 + y2)(2.20.18)

これは問題 2.3 …を持ち出してくるまでもなく、四つの直線電荷のポテンシャルの式

をそれぞれ計算し、足し合わせたものになっている。

(c)

ρ < a では (a) の答えは、

Φ<(ρ, ϕ) :=λ

πϵ0

∞∑k=0

1

2k + 1

(ρa

)4k+2

cos[(4k + 2)ϕ] (2.20.19)

であるから、このうち k = 0, 1 の項のみ残す近似を行うと、

Φ<(ρ, ϕ) ≈λ

πϵ0

[ρ2

a2cos(2ϕ) +

1

3

ρ6

a6cos(6ϕ)

](2.20.20)

πϵ0Re

[(xa+ i

y

a

)2+

1

3

(xa+ i

y

a

)6](2.20.21)

= · · ·

πϵ0

(x2

a2− y2

a2+

1

3

x6

a6− 1

3

y6

a6− 5

x4

a4y2

a2+ 5

x2

a2y4

a4

)(2.20.22)

従って電場は、

Ex ≈ − λ

πϵ0

(2x

a2+

2x5

a6− 20

x3

a4y2

a2+ 10

x

a2y4

a4

)(2.20.23)

Ey ≈ λ

πϵ0

(2y

a2+

2y5

a6+ 10

x4

a4y

a2− 20

x2

a2y3

a4

)(2.20.24)

となる。

一方 y = 0 での原点付近での Ex の近似値は、

Ex(x, y = 0) ≈ − λ

πϵ0

(2x

a2+

2x5

a6

)(2.20.25)

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38 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

図 2.6 直線電荷の周囲での電場の様子

だから、k = 1 の項は k = 0 の項に対してちょうど、(xa

)4(2.20.26)

分しかなく、無視できるほど小さいことが分かる。

2.24 The completeness relation for sine functions

Φ(ϕ) :=∞∑n=1

An sin

(nπϕ

β

)(2.24.1)

と表せる函数に対して、∫ β

0

Φ(ϕ′)2

β

∞∑m=1

sin

(mπϕ

β

)sin

(mπϕ′

β

)dϕ′ = Φ(ϕ) (2.24.2)

を示せばよい。

まず、

∫ β

0

sin

(nπϕ

β

)sin

(mπϕ

β

)dϕ (2.24.3)

=− 1

2

∫ β

0

[cos

((n+m)πϕ

β

)− cos

((n−m)πϕ

β

)]dϕ (2.24.4)

= −1

2β(δn,−m − δn,m) (2.24.5)

に注意する。

(2.24.2) 式の左辺を計算すると、

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2.28 The potential at the center of a regular polyhedron 39

((2.24.2)-LHS) =2

β

∞∑n=1

An

∞∑m=1

sin

(mπϕ

β

) − β2 (δn,−m−δn,m)︷ ︸︸ ︷∫ β

0

Φ(ϕ′)2

βsin

(mπϕ′

β

)dϕ′

(2.24.6)

= −∞∑n=1

An

∞∑m=1

sin

(mπϕ

β

)(δn,−m − δn,m) (2.24.7)

=

∞∑n=1

An sin

(nπϕ

β

)(2.24.8)

= Φ(ϕ) (2.24.9)

従って、(2.24.1) 式の形の函数に関しての完全性関係、

δ(ϕ− ϕ′) =2

β

∞∑m=1

sin

(mπϕ

β

)sin

(mπϕ′

β

)(2.24.10)

を示すことができた。

2.28 The potential at the center of a regular polyhedron

初等的な解法

n 枚の導体曲面があるとする。領域はそれらの導体曲面のうち何枚かで囲まれてい

るとする。囲まれていない場合でも無限遠点でポテンシャルが 0 に固定された導体

曲面があると思えばよい。

このとき、この導体曲面のうち k 枚が電圧 V になっており、その他の導体曲面は

すべて電圧 0 になっていることを考える。このときのポテンシャルの解を Φ0(r) と

する。いまこの k 枚の導体曲面を電圧 lV に変えた状況を考えると、そのときのポテ

ンシャルの解は明らかに lΦ0(r) である。

このことを用いれば以下のことが容易に示される。すなわち、各導体曲面に

(1, 2, · · · , n) と番号付けをし、i 番目の導体曲面の電圧を Vi と書くことにすれば、ポ

テンシャル Φ(r) は、導体曲面の配置と、場所にのみ依存する定数 gi(r) を用いて、

Φ(r) =n∑i=1

gi(r)Vi (2.28.1)

とあらわすことができる。

これを簡単に示そう。

i 番の導体曲面の電圧を Vi と書くと約束する。まず、1 番の導体曲面の電圧のみ

を上げ下げする1)ことを考える。任意の場所のポテンシャルは V1 に対して線形に変

1) ただし、他の導体曲面はすべて電圧 0V になっているとする

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40 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

化するから、

Φ(r) = A(r;V2, V3, · · · )V1 + γ(r;V2, V3, · · · ) (2.28.2)

と書ける。ここで V1 と V2 の値をともに (両者の値が一緒になるように) 上げ下げす

ることを考えると、このときにも任意の場所のポテンシャルは V := V1 = V2 に対し

て線形に変動しなければならないから、上で定義した函数 A(r;V2, V3, · · · ) が V2 に

依存してはならないことが分かる2)。同様の議論により函数 A は V3, V4, · · · にも依存してはならないことが分かるから、結局函数 A は場所にしか依存してはならない

ことが分かる。

そしてさらに V2 の値のみを上げ下げすることを考えると、

Φ(r) = A(r)V1 +B(r;V3, V4, · · · )V2 + λ(r;V3, V4, · · · ) (2.28.3)

と書けることが分かるが、上と同様の議論により函数 B は V3, V4, · · · に依存してはならないことが分かる。

このように上の議論を繰り返し適用することで、

Φ(r) =n∑i=1

gi(r)Vi + C(r) (2.28.4)

と書けることが分かる。いま V1 = V2 = · · · = 0 の時には左辺のポテンシャルは場所

に依らず恒等的に 0 であるから、函数 C も場所に依らず恒等的に 0 でなければなら

ない。以上から、任意の位置のポテンシャルが (2.28.1) 式のように表せることが示

された。

ここで問題文に与えられているように、各導体曲面が対称性を持っている状況を考

える。このとき中心点 rC から見た場合には、各導体曲面はどの二つも区別すること

ができないから、

gi(rC) = (const.) (2.28.5)

となる。そこでこの値を gC とおくことにすれば、

Φ(rC) = gC

n∑i=1

Vi (2.28.6)

となる。次に gC の値を決めよう。いますべての導体曲面が電圧 V になっていると

すれば、そのときのポテンシャルの解は明らかに Φ(r) ≡ V であるから、特に、

V = gC

n∑i=1

V = gCnV (2.28.7)

2) ∵ V1 × V2 といった項が出てきてしまうため

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2.28 The potential at the center of a regular polyhedron 41

が成り立つ。よって gC = 1/n と分かるから結局、

Φ(rC) =1

n

n∑i=1

Vi (2.28.8)

が示された。

なお、この議論は各導体が平面的でない場合にも成り立つことに注意されたい。

(たとえば、スイカカットされた球殻や、表面が丸みを帯びている立方体などでも成

り立つ)

Green 函数法による解法

Green 函数法によれば、Green 函数と呼ばれる函数 G(r, r′) を発見すれば、

Φ(r) = − 1

∮S

Φ(r′)∂G

∂n′ dS′ (2.28.9)

によりポテンシャルを計算できる。

従って、電圧が Vi(i = 1, 2, · · · , n) である n 枚の導体曲面のみが真空中にあると

すると、

Φ(r) = − 1

n∑i=1

Vi

∮Si

∂G

∂n′ dS′︸ ︷︷ ︸

=:−4πgi(r)

(2.28.10)

=n∑i=1

gi(r)Vi (2.28.11)

と書ける。これは (2.28.1) 式に他ならないから、前節の議論と全く同様に問題文の

証明ができる。

平均値の定理 (the mean value theorem) の別証

球状領域 V の中は自由空間であるとする。するとこの球状領域の境界 S := ∂V

上でのポテンシャルの値 Φ0(r) が分かれば、この球状領域内の任意の位置のポテン

シャルを知ることができる (∵ Laplace 方程式の一意性)。従って、この球状領域内の

ポテンシャルを決定する問題は、S とおなじ大きさの、各点の電圧を任意に調整でき

る球殻があり、その球殻上の電圧を上で調べたポテンシャル Φ0(r) に設定した状況

を考えることと等価である。

この球殻を n 枚に分割し、その n 枚の各部分を電圧 Vi にすると一番はじめの議

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42 Chapter 2 Boundary-Value Problems in Electrostatics: I

論により、

Φ(r) =n∑i=1

gi(r)Vi (2.28.12)

と書ける。ここで n → ∞ として球殻上の電圧分布を Φ0(r) に近づけていくことを

考えると、これは、

Φ(r) =

∮S

g(r, r′)Φ(r′)dS′ (2.28.13)

となる。

またはこの式は Green 函数法で∂G

∂n′ =: −4πg(r, r′) とした式でもある。

球殻の中心点 rC からは球殻上の各微小領域は等価であるから、このことから、

g(rC , r′) = (const.) (2.28.14)

であることが分かる。従ってこの値を gC とおけば、

Φ(r) = gC

∮S

Φ(r′)dS′ (2.28.15)

ここで Φ(r′) ≡ V の時を考えると、

V = gC × 4πR2 (2.28.16)

であるから (ただし R は球殻の半径) 、

Φ(r) =1

4πR2

∮S

Φ(r′)dS′ (2.28.17)

となり、平均値の定理を証明できた。

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Referential Sites

Official Sites, etc.

⋆ J. D. Jackson Home Page(http://www-theory.lbl.gov/jdj/)

John David Jackson 氏の公式ウェブサイト。顔写真あり

⋆ Errata(2010).pdf(http://www-theory.lbl.gov/jdj/Errata%282010%29.pdf)

Classical Electrodynamics の訂正表。上の公式ウェブサイトにリンクがあるが、

一応張っておく

⋆ ジャクソン電磁気学 UT2010(https://sites.google.com/site/jacksonut2010/)

自主ゼミのために作ったページ。各問題ごとの解答がある

Solutions

⋆ Jackson Electrodynamics Solutions(http://www.airynothing.com/jackson/)

”Solutions in the left column are the problems I did myself. Solutions in the

right column were sent to me by Azar Mustafayev, ...” とあるけど左にある解答の

方が明らかに少ない :(

⋆ Jackson Physics Solutions(http://www-personal.umich.edu/~pran/jackson/)

解答多数あり。”The only way to survive Jackson E&M is by standing on the

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44 Referential Sites

shoulders of those who’ve gone before.”とのこと。結構苦しめられているらしい

⋆ Solutions to Jackson’s Electrodynamics(http://www-personal.umich.edu/~jbourj/em.htm)

前半しかないけど、充実してる

⋆ Jackson’s Electrodynamics solutions(http://web.ipac.caltech.edu/staff/turrutia/public_html/jackson/jackson.html)

”These are all I have. Maybe in the vast World Wide Web, the rest are hidden.”

わっふるわっふる

⋆ Rudy’s Physics Resource Page(http://www.physics.rutgers.edu/~rmagyar/physics/)

分かりにくいけど真ん中らへんに解答の PDF へのリンクがある。直リン→

http://www.physics.rutgers.edu/~rmagyar/physics/jackson.pdf

⋆ Solutions to problems of Jackson’s Classical Electrodynamics by

Kasper van Wyk(http://samizdat.mines.edu/jackson/)

掲載量は少なめ。Chapter 1, 2, 8+ のみで真ん中らへんの解答はない

⋆ Walter Johnson - Electromagnetism(http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/probNN.pdf)

”NN” の部分は 1-11 の数字。あとサイトタイトルは適当。一応直リン↓

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob1.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob2.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob3.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob4.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob5.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob6.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob7.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob8.pdf

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• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob9.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob10.pdf

• http://www.nd.edu/~johnson/Classes/E&M/prob11.pdf

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About us

この解答集の解答は Jackson 会のメンバ (Y.Hotta, M.Hyuga, T.Matsuda,

Y.Ono) が分担して解いたものです。それぞれの分担を以下に示します。

Y.Hotta

各章の問題のうち、法を 4 として 2 と合同なものを基本的に担当。

次の問題も担当した:

M.Hyuga

各章の問題のうち、法を 4 として 0 と合同なものを基本的に担当。

次の問題も担当した: 1.11

編集担当。

T.Matsuda

各章の問題のうち、法を 4 として 3 と合同なものを基本的に担当。

次の問題も担当した:

Y.Ohno

各章の問題のうち、法を 4 として 1 と合同なものを基本的に担当。

次の問題も担当した:

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⋆ M E M O ⋆

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⋆ M E M O ⋆

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Solution to Classical Electrodynamics

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著者 / 発行者Jackson Consortium

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c⃝ Jackson Consortium 2010 Edited in Japan