Sangyo2010 07

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情報産業・職業論 七 情報産業・職業論 七

最終回最終回

コモンズとオープンソースコモンズとオープンソース

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第三の道,コモンズ第三の道,コモンズ

コピーライト コピーレフト

→ パブリック・ドメイン化

コモンズ

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伽藍とバザール伽藍とバザール伽藍伽藍 (( 体系的・組織的開発体系的・組織的開発 ==ビッグビジネスビッグビジネス )) とバザールとバザール (( 創創発的開発発的開発 == 物々交換的物々交換的 ))伽藍はブラックボックス伽藍はブラックボックス (( 秘密主秘密主

義義 )) が特徴。バザールは自由・開放が特徴。バザールは自由・開放両者は共存共栄で,どちらかが欠両者は共存共栄で,どちらかが欠

けてもいけないけてもいけないエリック・レイモンドが『伽藍とバザール』で提起したのは,オープンソースの開発手法の類形

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ハッカー文化の浸透80 年代以降,コンピュータと

ネットワーク利用に関する,対抗文化 ( カウンターカルチャー )としてのハッカー (*) 文化が,プログラムの領域を超え,著作物全般さらには社会の編制原理にまで及び始める ?ハッカー:コンピュータを自由自在に hack し ( 切り刻み ) ,

新しいハードウェアやソフトウェアを開発できるような高度な技術的能力を備えたユーザー。

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古典的ハッカー倫理コンピュータへのアクセスは無制限か

つ全面的でなければならない 権威を信用するなハッカーは年齢・地位などのようなま

やかしの基準ではなく,そのハッキングによって判断されなければならない

芸術や美をコンピュータで作り出すことは可能である

コンピュータは人生を良い方向に変える

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フリーハッカー文化の中で,互いに権

利を放棄し,無償でソフトウェアを共有する〈フリーソフト〉の考え方が生まれる

インターネット=フリー=どんなソフトでも無料またはきわめて低価格で共有できる

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学術的 公共的領域・インターネットの黎明期を牽引

したのは,大学・研究機関などの学術情報ネットワーク

大学・研究機関はその公共的性格から,ネット上のコンテンツ・ソフトウエアを無償で公開せざるをえなかった

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フリーソフトウェア基金フリーソフトウェア基金19851985 年年 ::Free Software Foundation Free Software Foundation (F(FSF)SF)設立設立

コンピュータ利用技術の発達のためコンピュータ利用技術の発達のためには,ソースコードの入手は自由でには,ソースコードの入手は自由でなければならないなければならない

GNUGNU 一般公有使用許諾書一般公有使用許諾書 ((GPLGPL:GNU :GNU General Public License)General Public License) によるライセによるライセンシングの開始 ンシングの開始

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GNUGNUプロジェクトプロジェクト©©は必ず入れるは必ず入れる。。 GPLGPL 付きで配布。付きで配布。

自由に使っていいし,誰かにコピー自由に使っていいし,誰かにコピーしてあげてもいい。ソースコードをしてあげてもいい。ソースコードを改良してもいいし,それを配布して改良してもいいし,それを配布してもいい。ただしもいい。ただし再配布に際しては,再配布に際しては,コピーした人に同じ自由を認めなくコピーした人に同じ自由を認めなくてはならないてはならない。どこかでソースコー。どこかでソースコード非公開・コピー禁止となる事態をド非公開・コピー禁止となる事態を回避回避

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オープンソースへオープンソースへ19971997年:年: E.S.E.S.レイモンドレイモンドらがらがオーオー

プンソースプンソースの呼称を提唱。の呼称を提唱。 Open SourOpen Source Initiativece Initiativeを組織し,オープンソーを組織し,オープンソースの要件・認証マークなどを整備。情スの要件・認証マークなどを整備。情報産業にとって報産業にとって GNUGNUが知的財産を食が知的財産を食い物にする脅威ではなく,最先端の技い物にする脅威ではなく,最先端の技術を自社の財産に取り込むビジネス術を自社の財産に取り込むビジネスチャンスになると訴えるチャンスになると訴える– free softwarefree softwareという名称には狂信的・反商業という名称には狂信的・反商業

的イメージがつきまとっていた的イメージがつきまとっていた

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オープンソースの理念オープンソースの理念LinuxLinuxなどネットワーク上で興味などネットワーク上で興味

を持つ人たちが共同・協調で開発を持つ人たちが共同・協調で開発誰も経済的権利を主張しない誰も経済的権利を主張しない。。Open Source InitiativeOpen Source Initiativeで要件・認で要件・認証マークなどを整備証マークなどを整備

情報産業にとっては,情報産業にとっては, GNUGNUが最が最先端の技術を自社の財産に取り込先端の技術を自社の財産に取り込むチャンスむチャンス

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オープンソースの倫理オープンソースの倫理義務→自分の楽しみ・誰かの役に義務→自分の楽しみ・誰かの役に立つかもしれない立つかもしれない

情報専有→情報専有→情報共有情報共有金銭的報酬→仲間からの賞賛・評金銭的報酬→仲間からの賞賛・評

判・名声判・名声絶対保証→最善努力・自己責任絶対保証→最善努力・自己責任

((ベスト・エフォートベスト・エフォート ))協調性→創造性協調性→創造性

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オープンソースのメリッオープンソースのメリットト多くの人が関われるので信頼性多くの人が関われるので信頼性

が高いソフトが開発できる が高いソフトが開発できる 開発速度が速い 開発速度が速い 開発コストが少なくて済む 開発コストが少なくて済む ユーザーの利益が守られるユーザーの利益が守られる開発・販売会社の動向に左右さ開発・販売会社の動向に左右さ

れないれない

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クリエイティブ・コモンクリエイティブ・コモンズズ「「 All rights reservedAll rights reserved 」と「」と「 No rigNo rights reservedhts reserved 」」 (PD)(PD) の中間形態がの中間形態が存在しうるのでは存在しうるのでは ??

「「 Some Rights reservedSome Rights reserved 」」の考えの考え方方

クリエイティブ・コモンズ・ライクリエイティブ・コモンズ・ライセンスセンス。文書,動画,音楽,写真。文書,動画,音楽,写真など多様な対象など多様な対象

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コモンズの考え方コモンズの考え方著作権放棄でも著作権放棄でも PDPDでもないでもない (( 著著

作権は存在しているが,ビジネ作権は存在しているが,ビジネスを意識していないスを意識していない )) 。自由に。自由に使っても,誰かにコピーしてあ使っても,誰かにコピーしてあげても構わないげても構わない。。

だけど,相手にも同様の自由をだけど,相手にも同様の自由を保証しなければならない。保証しなければならない。

新たな創作性は数%にすぎない新たな創作性は数%にすぎない

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コモンズのコモンズの 44 項目項目(( 著作者の著作者の ))表示表示 (Attribution) (Attribution) 非営利非営利 (Non-commercial)(Non-commercial)改変禁止改変禁止 (No Derivative Works)(No Derivative Works)継承(同様に共有)継承(同様に共有) (Share Alike) (Share Alike) 44 項目の採否項目の採否 ((表示表示 -- 非営利非営利 -- 改変禁止改変禁止

などなど )) を決定し,著作物を流通を決定し,著作物を流通

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““オープン”をオープン”をビデオゲームビデオゲームの歴史を例にの歴史を例に

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スペースインベーダースペースインベーダー (78(78 年年 44月月 ))

©タイトー 1978

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インベーダー旋風インベーダー旋風ゲームコーナーだけでなく,喫茶店ゲームコーナーだけでなく,喫茶店

にも浸透にも浸透 (( インベーダー始めましたインベーダー始めました )) 。。専門店「インベーダーハウス」も登専門店「インベーダーハウス」も登場場

11 プレイプレイ 100100円の料金が定着円の料金が定着画面デザインは『スターウォーズ』画面デザインは『スターウォーズ』

の影響の影響 ? (? (解像度が低いグラフィック解像度が低いグラフィックで表現できる世界観→想像力で補完で表現できる世界観→想像力で補完 ))

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インベーダーゲームインベーダーゲーム『スペースインベーダー』『スペースインベーダー』 :: タイタイ

トーのプログラム・製品トーのプログラム・製品 ((筐体筐体 ))おおよび登録商標を指すよび登録商標を指す

インベーダーゲームインベーダーゲーム ::海賊版・海賊版・類似商品などを総称した,類似商品などを総称した,『ス『スペースインベーダー』的なるもペースインベーダー』的なるものの全体を指す言葉全体を指す言葉

任天堂が発売した『 Space Fever』

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任天堂の主張任天堂の主張 11

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遊びにパテントなし遊びにパテントなし (1979)(1979)遊び方にパテントはない遊び方にパテントはないわけです。わけです。

コピーしようと思えば,コピーでコピーしようと思えば,コピーできるわけです。きるわけです。パテントという考パテントという考え方を捨てて,え方を捨てて,相互にソフトを公相互にソフトを公開して,産業を発展させていくこ開して,産業を発展させていくことが重要です。秘密にするのではとが重要です。秘密にするのではなく,なく,互いが開発した優れたもの互いが開発した優れたものを交流していくを交流していくことが大切です。ことが大切です。

NHKインタビューから要約。『ルポルタージュにっぽん』

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原始,プログラムは原始,プログラムは PDPD だっだったたプログラムの著作物プログラムの著作物が著作権法でが著作権法で保護されるのは,アメリカで保護されるのは,アメリカで 19751975年,年,日本で日本で 19861986年年のことのこと (*)(*)

特許特許 (( パテントパテント )) ・商標などで経・商標などで経済権を守るしかなかった済権を守るしかなかった

(*) タイトーが“海賊版”を発売したメーカーを著作権侵害で訴えた裁判で勝訴 (83.3.30/ 横浜地裁判決 ) したことが,著作権法改正に結実した面もある。

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プログラムの権利プログラムの権利ビルビル ==ゲイツはゲイツは「ソフトウェアに権利「ソフトウェアに権利

がないと,産業は発展しない」がないと,産業は発展しない」と訴え,と訴え,Altair BASIC(75)Altair BASIC(75) の仕様をの仕様を非公開非公開にしたにした

大学・研究室の「コピーレフト=共有大学・研究室の「コピーレフト=共有の文化」と,コンピュータを産業化すの文化」と,コンピュータを産業化する際のビジネスの論理る際のビジネスの論理 (( 著作権著作権 )) との共との共存存

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Tennis for Two (1958)Tennis for Two (1958)

ウィリアム・ヒギンボーサム博ウィリアム・ヒギンボーサム博士が開発。アナログ演算機とオシ士が開発。アナログ演算機とオシロスコープを“遊び”のために用いロスコープを“遊び”のために用いたた

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特許をとらなかった特許をとらなかった入力手段入力手段 ++ 演算機演算機 ++ 表示機で,遊表示機で,遊

び目的の装置を作る――十分にび目的の装置を作る――十分に「特許」に値する開発「特許」に値する開発

しかし,ヒギンボーサムは特許しかし,ヒギンボーサムは特許を申請しなかったを申請しなかった–いつか誰かが開発することいつか誰かが開発すること–コンピュータを軍事ではなく,“楽しみ”コンピュータを軍事ではなく,“楽しみ”

のために用いたいという博士の理念のために用いたいという博士の理念

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『『 Space War!Space War!』』 (1962)(1962)MITMIT学生のスティーブ・ラッセ学生のスティーブ・ラッセ

ルがミニコン「ルがミニコン「 PDP-1PDP-1」で開発」で開発トグルスイッチで遊ぶトグルスイッチで遊ぶ

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ハッカーのおもちゃハッカーのおもちゃラッセルは「ラッセルは「 Space War!Space War!」の権」の権

利を,利を,コピーレフト=「コピー・コピーレフト=「コピー・改造自由」改造自由」とし,プログラムが書とし,プログラムが書かれた鑽孔紙テープを持ち出し可かれた鑽孔紙テープを持ち出し可としたとした

ハッカーたちは競って改造し,ハッカーたちは競って改造し,入力装置・プログラム・遊び方・入力装置・プログラム・遊び方・表示装置表示装置

ハッカー:コンピュータを自由自在に hack し ( 切り刻み ) ,新しいハードウェアやソフトウェアを開発できるような高度な技術的能力を備えたユーザー。

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UNIXUNIX19681968 年頃、ケン・トンプソンが後年頃、ケン・トンプソンが後継機の継機の PDP-7PDP-7で「で「 Space War!Space War!」を」を遊ぶため,遊ぶため,新しい新しい OSOSを作ることにを作ることにした。これがした。これが UNIXUNIXの原形となったの原形となった

7070 年代に年代に UNIXUNIXの開発がオープンの開発がオープンで進んだが,“方言”がいくつも生まで進んだが,“方言”がいくつも生まれ,れ, OSOSの相互運用性の相互運用性 (( 互換性互換性 )) がが保てなくなる弊害も保てなくなる弊害も

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『『 Computer SpaceComputer Space』』 (1971)(1971)

ノラン・ブッシュネルが『ノラン・ブッシュネルが『 Space Space War!War!』を基に,アーケードゲーム』を基に,アーケードゲームに。に。

発売元はナッチング・アソシエーツ社

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『『 PONG!PONG!』』 (1972)(1972)ブッシュネルがアタリ社を創業しブッシュネルがアタリ社を創業し

発売。発売。

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『『 BreakoutBreakout』』 (1975)(1975)通称“ブロック崩し”。プログラ通称“ブロック崩し”。プログラ

ム的に『スペースインベーム的に『スペースインベーダー』はダー』は

このゲームのこのゲームの発展型発展型海賊版無数海賊版無数 !!映像は Atari2600 向け『 SUPER BREAKOUT』

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Atari2600(1977)Atari2600(1977)

Video ComputerVideo ComputerSystemSystemとしてアタリ社が発売としてアタリ社が発売8282年末までに年末までに 14001400万台万台を発売を発売8282年年 1212月末に突然に市月末に突然に市場が崩壊。いわゆる“アタリ・場が崩壊。いわゆる“アタリ・ショック”ショック” 売れたのも『スペースイ

ンベーダー』のおかげ

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オープン・システムオープン・システムアタリ社はアタリ社は Atari2600Atari2600 向けプログ向けプログ

ラムの開発仕様を広く公開ラムの開発仕様を広く公開誰でも・自由に・アタリ社に関係誰でも・自由に・アタリ社に関係

なくなく,同機で動作するソフトウェ,同機で動作するソフトウェアを開発し販売することが可能アを開発し販売することが可能

結果として,多くのメーカーが参結果として,多くのメーカーが参入し,粗製濫造・粗悪なソフトが入し,粗製濫造・粗悪なソフトが蔓延し,ユーザーの嫌気を招いた蔓延し,ユーザーの嫌気を招いた

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ハッカーハッカー // ヒッピー文化ヒッピー文化コンピュータは“対抗文化”の一つコンピュータは“対抗文化”の一つ

で,ヒッピーとハッカーを併せ持で,ヒッピーとハッカーを併せ持つ開発者がアタリ社に集結したつ開発者がアタリ社に集結した(*)(*)

ヒッピーには,ビッグビジネスヒッピーには,ビッグビジネス(( 大伽藍大伽藍 )) を動かせなかった側面を動かせなかった側面もも 俗に“ハイテク・ヒッピーズ”ともいう。

Appleの創業者,スティーブ = ジョブズもその一人

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コピー文化コピー文化ユーザーはプログラムを解析し,ユーザーはプログラムを解析し,

自分のマイコン向けに改良・コ自分のマイコン向けに改良・コピーピー

NECのマイコンPC-8001

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ファミリーコンピューファミリーコンピューターター19831983年年 77 月月 2121日発売日発売玩具メーカーでは最後発玩具メーカーでは最後発セキュリティ・チップによるセキュリティ・チップによる「キー・システム」「キー・システム」を特許と著作を特許と著作

権で守り,正規ライセンス・権で守り,正規ライセンス・メーカー以外の参入を制約し,ソメーカー以外の参入を制約し,ソフトのクオリティ・コントローフトのクオリティ・コントロールに乗り出したルに乗り出した

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『 NHK特集 電子立国日本の自叙伝』

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任天堂の主張任天堂の主張 22

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むすんでひらいてOpening and Closing勃興期はオープン,市場形成・拡大期はクローズド ( コピーライト )

市場安定 縮小期に入ったときは,・コモンズ的な再オープンの発想

再オープンの方法論=フリーミアムまたはシェアリング