不安定型仙骨骨折に対して低侵襲に S2-alar-iliac Screw を刺入し　　腰椎骨盤固定術 を行った一例

　　　　

不安定型仙骨骨折

・腸骨仙骨固定では強固な固定は望めないGriffin DR , et al . J Orthop Trauma 2003

・脊椎インストゥルメンテーションを用いた 腰椎骨盤固定が有用 Vresilovic EJ , et al . JBJS 2005

⇒3Dナビ下に経皮的 S2AI screwを用いて　 固定した不安定型仙骨骨折の一例を報告する

症例　 16 歳 女性【現病歴】　　 マンション５階から転落受傷

　　　　当院へ救急搬送【既往歴】　　 精神疾患の疑い【内服歴】　　 なし

【身体所見】 BP 122/70 mmHg , HR 116/min　　　　仙骨部・下位腰椎に圧痛 (+)　　　　両足部に圧痛 (+)

　　　　右足趾の運動不良　　　　右大腿外側〜下腿背側の粗大触覚低下　　　　肛門括約筋収縮不良

初診時 Xp

左踵骨

右足部骨盤部

初診時 腰椎骨盤 CT

L5 椎体骨折

Coronal SagitalAxial

初診時 仙骨部 3D-CT

入院後経過

1 日目　 high root 創外固定

　　　　

6 日目　 3Dナビ下に経皮的 S2AI screwを用い　　　　　　　　　　　　　腰椎骨盤固定術を施行

ナビゲーション画像

S2AI screw 刺入

術中所見

手術時間 : 150分，出血量： 150ml

術後経過1 日目 離床開始6 週目 歩行訓練開始8 週目 リハビリ病院へ転院13週目 自宅退院4 ヶ月目 外来へ独歩で再診 術後Ｘｐ

最終 Xp , CT ( 術後 4 ヶ月 )

考察

仙骨骨折の分類

Roy-Camille R , et al . Spine 1985

Suicidal Jumper’s Fracture

腰椎骨盤固定術　　　 Galveston 法　　　 　　　 S2-alar-iliac Screw

・仙腸関節を通過しない・刺入部が同定しやすい

・ screw headが筋膜下・ロッド操作が容易

経皮的 S2AI screw

手術時 術後 4 ヶ月

結語

・不安定型仙骨骨折に対し、 3D ナビゲーションシステム下 に経皮的 S2AI screw を用い低侵襲に腰椎骨盤固定術を 行った一例を経験した。

・経皮的に S2AI screw を刺入することで、低侵襲に強固な　　 固定が獲得できた。

以上

術中所見 -1

術中 CT

術前 CT

経皮的 SAI screw

Neurosurg Focus 2003

Galveston 法　　　　　経皮的 Galveston 法　　　　　経皮的 SAI screw　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （本症

例 )

手術時間　　　　 237 分　　　　＞　　　　　　 213 分　　　　　　　　＞　　　 150 分出血量　　　　　 778ml 　　　　＞　　　　　　 205ml 　　　　　　　　＞　　　 150ml　　　　　　　 (5 例の平均 ) 　　　　　 (4 例の平均 ) 　　　　　　　　( 過去の報告では 45-100cc)

　　　　　　　　　　　　　　　　　沼崎ら 骨折 2006 　　　　　　　　　　　　越宗ら . J. Spine Res 2011 Martin C , et al . Spine 2011

Shunichi Kishida 2011

仙骨骨折の治療方針

Suicidal Jumper’s Fracture 以外

腸骨 – 仙骨 固定

Suicidal Jumper’s Fracture

腰椎 – 骨盤 固定

Chip Routt 2005 Shunichi Kishida 2011

仙骨骨折の分類

⇒ Suicidal Jumper’s Fracture

Denis 分類 Chip Routt, M.D. Harborview Medical Center

症例の情報• ＃ C7 棘突起骨折• 4/22 ビスタカラー 保存• POD 3M はカラー

＃ L5 骨折＃仙骨骨折＃右坐骨骨折

• 4/22 high root 創外固定 4/27 後方固定

• 4/28 Gup フリーの床上安静•

＃右第 2 、 3 、 4 、 5 中足骨基部骨折＃右第 2 中足骨頚部骨折

• 4/22 シーネ固定• 4/27 経皮ピンニング

＃右楔状骨折＃右立方骨骨折

• 4/22 シーネ固定• 4/27 ORIF

＃右第 3MP 関節脱臼　→整復済み＃左踵骨骨折

• 4/22 シーネ固定• 4/27 ORIF

はじめに

• Galveston法：腰仙部骨盤領域の最も強固な固定法の一つ

Denis F , et al . Clin Orthop 1988

• S2-alar-iliac (SAI) Screw: 腰椎骨盤固定に用いて，成績良好

Martin C , et al . Spine 2011江川ら　骨折　 2015

⇒当院にて 3Dナビ下に経皮的 SAI screwにより　固定した不安定型仙骨骨折の一例を報告する　

症例まとめ

• 16歳　女性• 転落外傷• 仙骨骨折 Denis Zone II• L5椎体骨折　合併• 両足部骨折多数• 右足部痺れ、右足趾運動不良• 外傷性硬膜下血腫は保存治療

治療選択①緊急除圧は必要か？　椎弓形成による除圧 or 保存療法　②固定方法は？　・腸骨 - 仙骨 固定　　　 IS screw , TI screw , sacral bar , M-plate

　・腰椎 - 骨盤 固定　　 Galveston法 , S2-alar iliac Screw

Chip Routt, M.D. Harborview Medical Center

仙骨骨折の治療方針

H,U 型骨折以外

腸骨仙骨 固定術

H,U 型骨折

腰椎骨盤 固定術

Chip Routt 2005 Shunichi Kishida 2011

不安定型仙骨骨折の治療 : 除圧

• 膀胱直腸障害を含む神経損傷が自然回復 Phelan ST , et al . J Bone Joint Surg 1991

• 椎弓切除による除圧は保存療法より優れるZelle BA , et al . Int Orthop 2004

• 保存 or 除圧の選択、除圧の時期・・・

不安定型仙骨骨折の治療 : 固定

• Galveston 法は腰仙部骨盤領域の最も強固な固定方の一つである

Denis F , et al . Clin Orthop 1988

• ただ、手術手技が煩雑、軟部組織への損傷 etc …

• 外傷症例に対して S2-alar-iliac Screw を応用津田ら　整形外科と災害外科 2014

SAI screw Galveston