松井里枝さん

Rie M

atsui

歯科衛生士

しまだ歯科クリニック

患者さんを笑顔にできる仕事がしたい

私、高校までずっと理系だったので、いわゆるリ

ケジョでした。高校２年生で文系か理系かを選択す

るときに、数学や化学、生物のほうが国語や社会よ

りも好きだったから。そして進路は、母から「行け

るのだったら大学にいってほしい」と言われ、富山

大学理学部ならＡ判定が出ていたので行きなさいと

いう流れで、自分では全然考えていませんでした。

大学では「シダ植物の水分環境の変化における遺伝

子の変性」を、植物生理学の教授について研究して

いました。でも、大学４年のときに教授が求めてい

るものをなぜ出せないのか悩み、答えのないものに

取り組むことが私にはできないと思ったんです。大

学時代には、１年のときから矯正歯科で歯科助手の

アルバイトをしていて、そこで歯科衛生士という職

業を知りました。患者さんがどんどん笑顔になって

いくのを見ていて、歯科衛生士さんがうらやましく

て、笑顔を作るお手伝いができる、そんな仕事がや

りたいと思いました。だから、大学に行くよりもバ

イトに行くほうが楽しくて、研究棟に足が向かなく

てサボったりもしました。就職活動も一応しました

が、そんな人間は採用されないですよね。すると母

が「歯科衛生士の資格を取ったら？」と勧めてくれ

たんです。それで、授業料だけは親に出してもらい、

家賃は奨学金、生活費は全部バイトで賄う約束で、

働きながら通える学校を探して、新大阪歯科衛生士

専門学校に入学しました。

専門学校はとても充実した３年間で、もうサボろ

うなんて思うこともありませんでした。大学で学ん

だ生理学や薬学、解剖学もすいすい入ってきました。

私が理学部卒というのをクラスのみんなが知ってい

たので「化学を教えて」と頼られて、大学４年生の

時に自分は落ちこぼれだと思っていたので、ここで

力になれたことで前に進めたと思えました。また、

夜間部の学生は18歳から60歳近くと年齢層が幅広

かったので、人とのつきあい方が勉強になりました。

実習で意見を交わすときには18歳くらいの子たちは

遠慮してしまうので「何かある？」と聞いたり、年

上の人が仕切っているときはみんなが発言しやすい

ように持っていくなど、みんなが力を出せるように

和んだ雰囲気や環境を作ることを学んだ経験が、今

の職場でも活きていると思います。

産休明け、三児の母と歯科衛生士を両立中

卒業後は、学生時代に３年間歯科助手のアルバイ

トをしていた歯科医院に就職したのですが、学生時

代に結婚し既に妊娠していたので３ヶ月ほど勤めて

退社しました。その後２人目を出産した後、

２０１２年の８月からしまだ歯科クリニックで働く

ことになりました。上の子が３歳、下の子が１歳の

ときでした。２０１４年の４月まで働いてまた産休

に入り、６月に３人目を出産。２０１５年の４月か

ら３人とも同じ保育園に入れたので、院長にお話し

たところ「戻ってきて大丈夫」ということで、現在、

歯科衛生士として働いています。みんなに子育てと

仕事の両立は大変でしょう？と言われますが、ス

イッチが切り替わるというか、仕事をする前よりも

子供のことをかわいく思えますし、忙しくはなった

けれど心は楽です。やりがいはもちろんあります。

「おかえり」と言ってくださる患者さんが何人もい

らっしゃって、それがすごくうれしくて「また頑張

ろう」と思いました。だから私も名前と顔、困って

いる疾患部位などがカルテなしでもわかるように一

生懸命覚えているところです。ドクターと私たち歯

科衛生士が頑張れば、来院する方を増やすことがで

きます。患者さんを覚えることできっと来てくれる

人も増えるのではないかと頑張っています。最近で

は、治療の患者さんとメンテナンスやクリーニング

で来られる方の割合が同じになってきています。メ

ンテナンスで来られる方が増えれば、虫歯がない状

態をキープできるので治療が減っていくと思うんで

す。だから、それを理想に働いています。歯科医院

は健康な人も行くところということをこの医院から

発信できればと思います。お口のなかのケアは一生

寄り添わないといけないので、生涯のパートナーに

なれるのが理想ですね。目標は、患者さんの困って

三児の母と歯科衛生士を両立！　患者さんとは生涯のパートナーになりたい

新大阪歯科衛生士専門学校

歯科衛生士学科夜間部

２００９年卒業

プロフィール

富山大学理学部卒業後、新大阪歯科衛生士専門学校に入学。夜間部で学びながら、昼

は歯科クリニックで歯科助手として３年間働き、卒業と同時に就職。二人の子供を育

てながら、現在のしまだ歯科クリニックに勤務。２０１４年に第三子を出産のため産

休に入り、今年の４月に職場復帰。子育てと仕事を両立中。

島田賢二院長と松井さん。「歯が痛い人だけ

が来るのではなく、お話に来るような感じで、

ちょっとネガティブだった人がポジティブに

なって帰っていくような歯科医院にしたいと

院長も朝礼でよく言っています。歯科医院は

健康な人も来るところだということを発信し

ていきたいです」。

歯科

いることを察知して、ドク

ターに橋渡しができる歯科衛

生士。また、スタッフのみん

なが動きやすい現場づくりに

貢献したい、それが私の目標

です。