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イングリッシュローズに出会ってから、その虜

とりこになり、ほとんどの品種を育てた。

既成概念にとらわれない自由な発想で、人気のバラの鉢栽培を中心とした、手軽で気楽なバラ栽培を推進。実践に基づく理路整然としたアドバイスが好評。写真はデビッド・ＣＨ・オースチン氏と共に。

有あり

島しま

薫かおる

イングリッシュローズは永遠に

Rest in Peace, Mr.David C.H. Austin

　

イギリスのバラ育種家、デビッド・Ｃ

Ｈ・オースチン氏は、もともとオールド

ローズの愛好家でした。しかし「春だけ

咲くオールドローズを四季咲きバラのよ

うに咲かせたい」との思いから、四季咲

きの現代バラとオールドローズの交配を

重ね、育種に取り組みました。そうして、

理想とするバラの作出に成功。次々と新

品種を発表し、オールドローズの美しさ

と香り、現代バラの四季咲き性に豊富な

花色をもつ、これらのバラの総称を「イ

ングリッシュローズ」としました。

　

イングリッシュローズが世に出始めた

ころ、バラはハイブリッドティーが全盛

でした。同時に、イングリッシュガーデ

ンの人気が出てきたころでもあります。

当時のガーデンローズは草花や風景にな

じみやすい、オールドローズが人気でし

た。そこへ登場したイングリッシュロー

ズは、年に数回咲く性質により、徐々に

注目されていったのです。最初にニュー

ジーランドで火がつき、それがアメリカ、

ヨーロッパ、日本にも波及し、爆発的に

人気が高まりました。

イングリッシュローズの魅力

写真／デビッド・オースチン・ロージズ株式会社

イギリスのバラ育種家、デビッド・CH・オースチン氏は「イングリッシュローズ」という一つのジャンルを築き、園芸界に一大旋風を巻き起こしました。残念なことに2018年に逝去された彼の功績について、バラ専門家の有島 薫さんに語っていただきます。

　

２０００年以前に作出された品種には、

耐病性や丈夫さにやや劣るものもありま

した。私が１９９８年に試作場を訪ねた

際は、バラを無造作に置いている所があ

り、耐病性や丈夫さを検証中とのことで、

いくらよい花でもここで落とされるもの

があると言っていました。彼の耐病性や

丈夫さにかける思いが、新品種に生かさ

れてきたのが２０００年以降のように思

います。このような経緯から、イングリ

ッシュローズは作出年度が新しい方が、

耐病性や丈夫さに優れているのです。イングリッシュローズには豊かな香りがあるのも魅力。中でもミルラの香りはイングリッシュロー

ズを代表する香り。ピンクのバラはʻコンスタンス スプライʼ（Constance Spry〈Ausfirst〉）。

イギリスのバラ育種家、デビッド・ＣＨ・オースチン氏。オールドローズと現代バラの長所を併せもつ「イングリッシュローズ」を作出した。2018年に逝去。

イングリッシュローズを代表する名花ʻグラハム トーマスʼ（Graham Thomas〈Ausmas〉）。

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初めてホットカラーのʻパット オースチンʼ（Pat Austin〈Ausmum〉） が登場した際は、話題を呼んだ。

　

イングリッシュローズの歴史は、

１９６１年発表の＇コンスタンス

ス

プライ＇から始まります。残念なが

ら

＇コンスタンス

スプライ＇は一季

咲きでしたが、大きなカップ咲きで、

モダンローズとして初のミルラ香が

強い大型シュラブで、今でもつるバ

ラとして人気があります。

　

数ある品種のうち、１９８３年の

「チェルシーフラワーショウ」で発

表した＇グラハム

トーマス＇は特に

注目を集めました。オールドローズ

にない黄色の大輪カップ咲きで、テ

ィー系の芳香が強いバラです。その

名は英国の植物研究家でオールドロ

ーズの復権に力を尽くした故グラハ

ム・スチュアート・トーマス氏に由

来。不遇時代のデビッド・ＣＨ・オ

ースチン氏を支え続けた方でもあり

ます。＇グラハム

トーマス＇はその

後２００９年にカナダで開催された

世界バラ会議で、「バラの殿堂」入

りを果たしました。

　

１９９５年には、長年にわたって

デビッド・ＣＨ・オースチン氏を支

えてきたパット夫人の名を冠した初

のホットカラーの品種＇パット

オー

スチン＇が発表されました。パステ

ルカラーだけだったイングリッシュ

ローズの世界に強い衝撃を与え、以

後数年おきにホットカラーの品種が

誕生しています。彼が作出するホッ

トカラーの品種は、パステルカラー

イングリッシュローズの歩み

の品種と混植しても違和感がありま

せん。一人の卓越した育種家が自身

の感性で作り上げたカラートーンの

バランスは、さすがです。

　

２０００年代に入ると、ヨーロッ

パでは花の美しさに加え、耐病性と

育てやすさが求められるようになり

ました。イングリッシュローズも２

００品種を超え、新しいものへの挑

戦として耐病性のある育てやすい品

種が発表されるようになりました。

作出年度が新しい品種ほど改良され

ているようで、２０１４年発表の

＇オリビア

ローズ

オースチン＇は黒くろ

星ぼし

病に強く、無消毒で落葉前になっ

ても病害がほとんど見られません。

　

２０１８年12月にデビッド・ＣＨ

・オースチン氏の悲報に接しました。

彼は最後まで育種に情熱をもってい

たと聞いています。２０１５年7月

に彼の圃ほ

場じょう

を訪ねた時には、数年先

まで生産がほぼ決まっている品種が

植栽されていました。その時元気だ

った彼が選抜したのだそうです。こ

れから先しばらくは、彼自身が選抜

した品種が発表されると思います。

今後は、イングリッシュローズの50

年間の蓄積をもとに、育種チームに

受け継がれていくことでしょう。彼

のバラへの情熱を伝えるべく「シン

プルな美しさ」「ガーデンの中で映

える花」にチャレンジし、新しい品

種を作ることになると思います。

イングリッシュローズを代表する品種ʻグラハム トーマスʼ（Graham Thomas〈Ausmas〉）。つる仕立てにしてダイナミックに彩ることもできる。

イギリスで開かれた「チェルシーフラワーショウ」にて、エリザベス女王と会話を交わすデビッド・ＣＨ・オースチン氏。

一番最初に作出されたʻコンスタンス スプライʼ（Constance Spry〈Ausfirst〉）。ミルラの香りをもつ。

ʻオリビア ローズ オースチンʼ（Olivia Rose Austin〈Ausmixture〉）は、黒星病に強く、晩秋まで葉が傷まず健やかに育つ。写真／有島 薫

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私のイングリッシュローズとの出会い

は、１９８７～１９８８年のイギリスに

てです。そのころ＇グラハム

トーマス＇

＇メアリー

ローズ＇と出会い、育て始め

たのがきっかけです。その後正規に国内

販売が始まると、とどまることなく収集

しました。なぜそこまで引きつけられた

のかというと、オールドローズの雰囲気

にひかれたのかもしれません。思いが募

って、一度このバラを育種したデビッド

・ＣＨ・オースチン氏にお会いしたいと

思うようになり、念願かなって１９９８

年6月25日に実現することになりました。

　

そのころのイングリッシュローズのカ

タログや海外の文献には、必ずといって

いいほど、シュロップシャーのイングリ

ッシュローズガーデンにある彫刻家の奥

様が作った女神像が写っていました。そ

の前でデビッド・ＣＨ・オースチン氏と

写真を撮らせてもらうのが夢でした。オ

フィスで初めて彼に会い、握手した時の

大きな手の感触が今も残っています。し

ばらく話をして写真の撮影をお願いする

と、快くガーデンの女神像まで行き、一

緒に撮ってくれました。その写真は、私

の宝物です。

　

その後、彼が「作業場を見せてあげる

よ」と、旧式の温室などを案内してくれ

て、いろいろ説明してくれるので私はす

っかり興奮していたと思います。見終わ

って、オフィスに向かうころにはすっか

り打ち解けて、彼は私の肩を組むように

して歩き、「君はバラのハートが分かる

ナイスガイだ」と言ってくれました。私

にとってこれ以上うれしい褒め言葉は

ありません。帰りがけにはサイン入り

の著書までいただきました。

　

その後も何度か訪ね、２００５年7

月1日に行った時に、私がイングリッ

シュローズにはなぜ絞りの花がないの

ですかと聞くと、しばらく考えて「絞

りが安定しないから」と言いました。

イギリスではオールドローズの絞りの

花、ロサ・ムンディが人気ですが、完

璧主義の彼には受け入れられなかった

のかもしれません。その後もイングリ

ッシュローズに絞りの花はありません。

　

それから何度か訪問するうち、近年

病を得たと聞きましたが、カタログな

どには以前の写真が使われ、消息がま

ったく分からないでいました。２０１

５年にイギリスに行く機会があり、彼

の所へは2日取っておき、会いたい旨

を事前に再三にわたり連絡しましたが、

返事はもらえませんでした。1日目は

試作圃場や生産現場など見せてもらい、

折に触れ彼に会いたいと言っても、返

事はありません。それでも2日目に行

くと、広報担当者に「15分間だけ会え

る」と言われ、驚きとうれしさでいっ

ぱいでした。お会いできた場所はご自

宅のプライベートガーデンで、杖をつ

いてお出でになりましたが、元気そう

で以前に会った時と変わっていません

でした。15分の予定のところ、1時間

くらい話をしてくれました。これが最

後となりましたが、とてもよい思い出

になりました。

デビッド・ＣＨ・オースチン氏との思い出

デビッド・オースチン・ロージズ本社の見本庭園、「ルネッサンスガーデン」。イングリッシュローズが煙るように咲く景色は圧巻。

美しいバラの追求に生涯を捧げたデビッド・ＣＨ・オースチン氏。育種中の様子。

イギリス本社に展開する「ライオンガーデン」。イングリッシュローズと宿根草の競演が見事。

イギリス本社のイングリッシュローズ直売店「プラント・センター」。

筆者とデビッド・ ＣＨ・ オースチン氏が初めて会って、一緒に写真に収まった記念の一枚。写真／有島 薫

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インターネットでもご注文いただけます。　

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お届け規格輸入接ぎ木2年生10.5㎝ロングポット苗

ご注文締切商品のお届け

11/2012/上より順次このページの商品 ◆マークの説明やご注文に関しては「ご利用ガイド」をご覧ください。

◆�写真はイメージです。お届け商品に写真内の器などはつきません。

暖かみのあるピンクの大輪の花で、内側から外に向かって淡くなる。樹形もしっかりしていて病気に強い。フルーツにティーがミックスされた強香。

グラハム トーマス

デスデモーナ プリンセス アレキサンドラ オブ ケント

エミリー ブロンテ

輝くような黄色いバラʻグラハム トーマスʼ（Graham Thomas〈Ausmas〉）と宿根草を組み合わせた彩り豊かな花壇。Images courtesy of David Austin Roses

●表記のない品種は明確に系統分類がされていない園芸品種です。（オールドローズを除く）

※�香りの揮発成分は、土壌・気候等の生育条件、時間帯により異なり、また感じ方には個人差があります。花

か

径けい

　香り　樹形　樹高

径 香 形 高

5〜11月 強（バラ科）

有島 薫さんおすすめのイングリッシュローズ

花姿が美しくて仕立てやすいイングリッシュローズを有島薫さんにセレクト＆解説していただきました。耐病性にも優れ、初心者でも育てやすいバラたちです。

径 8 〜 10㎝ 香 強香 形 横張 高 約1.25m

申込番号 851-008-03 1本 4,583円

ソフトピンクにアプリコットを感じる優しい色合い。フルーツにティーのさわやかな香りがする。丈夫な中型のシュラブ樹形。

深みのある黄色の花で四季咲き性が強く、つるバラにもなる。ティーローズの香りも魅力。世界バラ会議の「バラの殿堂」入りを果たす。

（登録名：AUSMERCHANT）

径 約10㎝ 香 強香 形 半横張 高 約1.1m

咲き始めはピンクが交ざり、その後透き通るような白い花になる。四季咲き性も強く、小ぶりな樹形で草花とのミックスにも最適。

出願中（出願名：Auskindling）申込番号 851-008-04 1本 4,583円

写真／有島 薫

… シュラブS

径 8 〜 10㎝ 香 中香 形 シュラブ、つる性 高 約1.1m（シュラブとして）、約3.75m（つる性として）

申込番号 851-008-02 1本 4,583円

GRAHAM THOMAS／グラハム トーマス登録商標4345875（Ausmas） S

径 8 〜 10㎝ 香 強香 形 半直立 高 約1.4m

申込番号 851-008-01 1本 4,583円

出願中（出願名：AUSEARNSHAW） S

09お届け規格

輸入接ぎ木2年生10.5㎝ロングポット苗

ご注文締切商品のお届け

11/2012/上より順次このページの商品

径 8～ 10㎝ 香 中香 形 半直立 高 約1.25m（シュラブとして）、約2.5m（つる性として）

2018年発表で、久々にイングリッシュローズのよさを感じる花。蕾が多い房咲きで、整った小ぶりの深いカップの花になる。甘くフルーティーな香りも魅力。

ザ ミル オン ザ フロス若い蕾は深みのあるオレンジレッド、徐々に花びらが緩やかに並んだゴブレット形になる。リンゴにティー系の香りが含まれる芳香が特徴。

レディー オブ シャーロット

アプリコット色で大輪の深いカップ咲き。柑橘系の強い香りをもち、人気がある。生育旺盛で、暖地ならつるバラとしても使える。

ジュード ジ オブスキュア

径 約10㎝ 香 強香 形 半横張 高 約1.5m

径 7～ 9㎝ 香 強香 形 半直立 高 約1.1m

径 8～ 10㎝ 香 強香 形 半横張 高 約1.25m

深みのある大輪のピンクの花が春から秋まで咲く。イングリッシュローズらしいミルラの強い香りが魅力。病気になりにくく、丈夫。

花の中心から外に向かってピンクが淡くなる、花弁が多いロゼット咲き。フルーツの香りをもつ。耐病性に優れている。

申込番号 851-009-01 1本 4,583円

申込番号 851-009-05 1本 4,583円

（登録名：オスジョー）

（登録名：Ausnyson）

申込番号 851-009-02 1本 4,583円

申込番号 851-009-04 1本 4,583円

優美なパステルピンクのバラʻオリビア ローズ オースチン ̓（Olivia Rose Austin〈Ausmixture〉）は、白やブルーの花色と相性抜群。Images courtesy of David Austin Roses

ジ エンシェント マリナー

オリビアローズ オースチン

出願中（出願名：Ausoutcry） S

（登録名：Ausmixture） S

径 6～ 8㎝ 香 中香 形 半直立 高 約1.4m

申込番号 851-009-03 1本 4,583円

出願中（出願名：AUSTULLIVER） S