Quantum Computer
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Transcript of Quantum Computer
量子計算機
量子力学の基礎である“重ね合わせの原理”を用いた
従来とはまったく異なる仕組みの超高速コンピュータ
量子力学というアカデミックな分野と
コンピュータという応用の分野を結びつける新しい分野
計算とは? → 初期状態から終状態への状態間の遷移
ex) 5 × 2 = 10 初 終
5 10
101 1010
2 をかける (2 進数では末尾に 0 を付けるという操作)
量子計算機と古典計算機の比較
古典計算機 Bit 0 or 1
どちらか一方の状態しかとれない
量子計算機 Quantum bit (Qubit) 0 and 1
両方の状態を同時にとることができる
Qubit の概念
“重ね合わせの原理”
状態|a>と状態|b>が可能な状態であれば、 αとβを複素数として
α|a> + β|b> も可能な状態である。
2準位量子井戸
|1 > α|0 > + β|1 >|0 >
ラビ振動
|Ψ> = α|0 > + β|1 > ( |α|2 + |β|2 = 1
レーザー照射
)
量子計算機における計算 1. 初期状態
例. 3 qubit
|Ψ> = (a1|0> + b1|1>)×(a2|0> + b2|1>)×(a3|0> + b3|1>) = c000|000 >+ c001|001 >+ c010|010> + c011|011>+
c100|100 >+ c101|101 >+ c110|110> + c111|111> |ijk >≡|i >×|j >×|k >
N qubit の量子計算機では
2N 個の状態の重ね合わせ状態を一度に実現できる
2. 量子計算
量子計算 = ユニタリー変換
|Ψout > =U|Ψin >
一度のユニタリー変換で全ての状態が変化する
⇒ 超並列計算
3. 観測
最終状態の観測 = データの読み出し
派束の収縮 ⇒ 瞬間的に答えを得ることができる
|Ψout > →|010 >
量子コンピュータの歴史 1982 Feynmann 『量子系は古典計算機以上の能力が あるかもしれない。』 1985 Deutsch 量子計算機の基本概念の定式化 超並列計算が可能であることを指摘 1994 Shor 素因数分解アルゴリズムの発表 1995 Deutsch 2 種類の基本量子ゲート(1 qubit の位相回転ゲートと 2 qubit の制御 NOT ゲート)の組み合わせで、 ユニバーサルな量子計算機が作れることを示す 1996 Grover データ検索アルゴリズムの発表 1995 Monroe イオントラップを用いて実験的に 2 qubit の 制御 NOT 回路を実現 1997 Chuang and Jones NMR を用いて 2 qubit の量子計算機を実現 (世界初の量子計算機)
量子計算機の基本ゲート
2 qubit 制御 NOT ゲート(CNOT)
制御 bit が 1 のとき標的 bit を反転
量子井戸を用いた CNOT ゲートの例
量子計算機のアルゴリズム
Shor の素因数分解アルゴリズム ( 1994 )
Grover のデータサーチアルゴリズム ( 1996 )
Grover のデータサーチアルゴリズム ( 1996 ) “Quantum mechanics helps in searching for a needle in a haystack”
PRL 79 ( 1997 ) 325
量子計算機の実現 要求 1. コヒーレンス時間が長いこと 2. Qubit を集積化できること Ex) NMR ( Chuang 、Jones によって 1997 年に実現 )
コヒーレンス時間が長い 集積化は難しい Ex)量子井戸 集積化が容易 コヒーレンス時間は短い
⇒ 決定的な候補は現在無し
量子計算機 まとめ
重ね合わせの原理を利用した超並列型コンピュータ
1 qubit の位相回転ゲートと、
2 qubit の制御 NOT ゲートを用いて実現できる
量子計算機専用のアルゴリズム
古典計算機が苦手としていた問題を
高速に解く可能性を持つ
2 qubit の NMR 計算機が 1997 年に実現
多 qubit の量子計算機の実現には
コヒーレンス時間を延ばす
qubit の集積化
という技術的躍進が必要
量子コンピュータはまちがえる |Ψ> = 0.1|a > + 0.8 |b >+ 0.1 |c > + ・・・ 正解を |b> とすると、正答率は 64 %
検算が可能な問題に向いている
○ 因数分解 × 数値計算
量子計算機 CPU 搭載パソコン?
量子計算機は古典計算機に強く依存しているため、 その可能性はないだろう しかし、古典計算機が宇宙時間かけないと 解けない問題を数分で解く可能性を持つ
量子計算機は古典計算機と補完関係にある 理学 と 工学
理学 量子力学の根底、解釈問題などを研究すること → 直接工学へ寄与を与える 工学 机上の理論ではなく、直接実験で確かめることができる
→ 新発見が理学へ衝撃を与える
研究の大義名分が作りやすい!
参考文献 パリティ 1996.12 p.50~55 細谷暁夫 パリティ 2000.4 p.17~21 細谷暁夫
まとまっていて読みやすい。 SGC4 量子コンピュータの基礎 別冊数理科学
サイエンス社 細谷暁夫 詳細まで勉強したい場合に。教科書に最適。 電子技術総合研究所 川畑史郎氏 web page http://www.etl.go.jp/~shiro/ OHP が掲載されている。プレゼン形式なのでわかりやすい。 PRL 74 (1995) 4083 Deutsch et. al. 2 つの論理ゲートでユニバーサルな量子計算機を作製できる。 PRB 33 (1986) 6976 Miller et. al. 量子井戸閉じ込めシュタルク効果 PRL 79 (1997) 325 Grover データ検索アルゴリズム