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感性情報デバイスの現状 ○中森志穂、内山俊明、山中敏正 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 The baseline study for development of the information-devices with physiological information (1)  - The current situation survey results - 1.背景及び目的 3.方法 3.1.方法の概要 DEMATEL 法について 3.2.サンプルの収集 3.3.項目の選定 収集した作品をもとに、感性情報デバイスの機能に関連す ると思われる項目を情報デザインの知識があるもの3名で 話し合い、リストアップを行った。参加者は,情報デザイ ンの知識を有する学生 2 名と教員1名であった。 リストアップした項目を表1に示す 生体情報を利用した情報機器は、現在まだその開発が始まったばかりであり、現行製品の中での数は少ない。そのため、 メディアアート及び 先行開発中の製品 を主にインターネット上のニュースサイト、コンペティションサイト及び作成者あるいは製造会社のサイトで収集した。収 集した作品および製品は 24 件であった。 構造の分析には、DEcision Making Trial and Evaluation Laboratory 法 ( 以下 DEMATEL 法 ) を用いた。 現在、脳波や心拍、皮膚電気抵抗などの生体情報は感性プロセスを解明する手がかりとして 注目されている。 感性に基づいた研究およびデザインを行うにあたって、我々は感性情報の手がかりとしての 生体情報を利用したデバイス(以下感性情報デバイス)のアドバンストモデルのデザインを 提案したい。本研究の目的は、感性情報デバイスの現状を調査•収集し、その情報フローの 構造モデルを探ることである。このことにより、 これまでのデバイスでどのように 生体情報が利用されているかを大局的に把握する 。本研究で得られた結果からコ ンセプトを立案し、感性情報デバイスにおける生体情報の新しい利用の仕方を発想する。 システムの構造を明確にするための方法としては KJ 法や ISM 法などが挙げられ る。KJ 法が主観的に要素間の関連を評価するのに対して、ISM 法や DEMATEL 法では、問題と密接な関係を持つ人々にその要素関連を評価してもらうことに よって、ある程度客観的にシステムの構造を把握することができる。また、ISM 法がシステム構成要素間の関連の有無を評価し、多階層の有向グラフとしてシス テム構造を把握するのに対して、DEMATEL 法はシステム構成要素の一つ一つ に意味を持たせ、 要素関連に関係の強度を加えて有向グラフ化することができる本研究では DEMATEL 法により分析する ことを前提に ① サンプルの収集 ② 項目の選定 ③ 因果関係の評価 の手順でデータを作成した。 感性情報 デバイスの 構造把握 設計 コンセプトの 立案 01        02        03        04        05 06        07        08        09        10 11        12        13        14        15 16        17        18        19        20 21        22        23        24        DEMATEL 法は、システム構成要素の関連をある程度客観的 に評価でき、システムを構成している各要素の影響度の強さ や関連性の大きさを明らかにするができる特徴を持つ。 本研究では、感性情報デバイスにおける情報の構造を分析・ 考察する上で、DEMATEL 法が最も適切だと考え、この方法 を用いることにした。 ①サンプルの収集 ③因果関係の評価 ②評価項目 の選定 ④考察 ④DEMATEL 法による分析 手順 脳にチップを埋め込んで無線で義手を動かす 脳波を音に変換。大人数用。 光の点滅で脳波をコントロールする 脳波と心拍を計測してネトゲ上の表情アイコンを動かす α波でボールを動かすゲーム 心拍を可視化 脳波によるドローイング 脳波を計測してネトゲ上のキャラクターを動かす 脳波を計測しα波、θ波などによって画像を変化させる 服す人数用 筋電図を計測し、音に変換 筋電図を可視化する 脳波で作曲できるインタフェース 脳波を可視化する 脳波を可視化する 脳波で動くライトセーバーのおもちゃ 血圧などを計測し、 ぴったりの飲み物を作る 光の点滅で脳波をコントロールする 光の点滅と音楽で 脳波をコントロールする 魚とコミュニケーションする α波で魚や花を動かすゲーム 脳波を計測し、ぴったりの飲み物を作る 脳波、心拍などを計測し舞台の映像にエフェクトをかける 計算課題中の脳血流を計測し、スイッチのオンオフに利用 じゃんけんしているときの脳を計測し、手の形を再現 画像無し 画像無し 画像無し 画像無し Cardiomorphologies 脳波ドローイング Mindball Emotiv Systems Wave UFO,/ 森 万里子 Mind machine L VIbSIC 光トポグラフィを用いて脳活動に伴う脳内の血液量 を測定し機器を操作するブレイン・マシン・インタ フェース:日立製作所 ブレイン・マシン・インターフェイス ホンダ+ATR( 国際電気通信基礎技術研究所 ) Inner Force, The Brainbar Biometric Barman 伊曽保物語 / 赤松正行 身体動作と音楽/田中能 Regenerative Music/James Fung Cyborg/Kevin Warwick ソウル大学 USB 脳波メガネ「頭脳充電器」 ENKI Communicating with electric fish, IBVA/Interactive Brainwave Visual Analyser, Brain Wave Rider/ARTLAB TeleMuseTM/BCS 脳波による作曲システム / エドゥアルド・R ミランダ ライトセーバー 項目番号 項目 行為者 内容 1 装着者Aは普段通りにしている 装着者A 意図 2 装着者Aが:(何かを動かそうと)意図する 装着者A 意図 3 装着者Aが:気分を意識的にコントロールしようとする 装着者A 意図 4 装着者Aが:生体情報を意識的にコントロールしようとする(α波を出そうとする など) 装着者A 意図 5 装着者Aの:生体情報が変化する 装着者A 生体情報 6 デバイスが:装着者Aの生体情報の意味を伝えるための表現に変換する 装着者Aのデバイス 変換 7 デバイスが:装着者Aの生体情報を人間の状態と意味的に対応しない表現に変換す 装着者Aのデバイス 変換 8 デバイスが:装着者Aの生体情報をコントロールするための刺激を与える 装着者Aのデバイス 変換 9 装着者Aが:身体状態を確認できる 装着者A 受容 10 装着者Aが:こころの状態を類推できる 装着者A 受容 11 装着者Aが:自分の表現から印象を受け取る 装着者A 受容 12 装着者Aが:装着者Bの身体状態を確認できる 装着者A 受容 13 装着者Aが:装着者Bのこころの状態を類推できる 装着者A 受容 14 装着者Aが:装着者Bの:印象を受け取る 装着者A 受容 15 鑑賞者が:装着者Aの身体状態を確認できる 鑑賞者 受容 16 鑑賞者が:装着者Aのこころの状態を類推できる 鑑賞者 受容 17 鑑賞者が:装着者Aの表現から印象を受け取る 鑑賞者 受容 18 装着者Bは普段通りにしている 装着者B 意図 19 装着者Bが:(何かを動かそうと)意図する 装着者B 意図 20 装着者Bが:気分を意識的にコントロールしようとする 装着者B 意図 21 装着者Bが:生体情報を意識的にコントロールしようとする 装着者B 意図 22 装着者Bの:生体情報が変化する 装着者B 生体情報 23 デバイスが:装着者Bの生体情報の意味を伝えるための表現に変換する 装着者Bのデバイス 変換 24 デバイスが:装着者Bの生体情報を人間の状態と意味的に対応しない表現に変換す 装着者Bのデバイス 変換 25 デバイスが:装着者Bの生体情報をコントロールするための刺激を装着者に与える 装着者Bのデバイス 変換 26 装着者Bが:自分の身体状態を確認できる 装着者B 受容 27 装着者Bが:自分のこころの状態を類推できる 装着者B 受容 28 装着者Bが:自分のデバイスから印象を受け取る 装着者B 受容 29 装着者Bが:装着者Aの身体状態を確認できる 装着者B 受容 30 装着者Bが:装着者Aのこころの状態を類推できる 装着者B 受容 31 装着者Bが:装着者Aの表現から印象を受け取る 装着者B 受容

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感性情報デバイスの現状 ○中森志穂、内山俊明、山中敏正

筑波大学大学院 人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻The baseline study for development of the information-devices with physiological information (1)  - The current situation survey results -

1.背景及び目的

3.方法3.1.方法の概要

DEMATEL 法について

3.2.サンプルの収集 3.3.項目の選定収集した作品をもとに、感性情報デバイスの機能に関連すると思われる項目を情報デザインの知識があるもの3名で話し合い、リストアップを行った。参加者は,情報デザインの知識を有する学生 2名と教員1名であった。リストアップした項目を表1に示す

生体情報を利用した情報機器は、現在まだその開発が始まったばかりであり、現行製品の中での数は少ない。そのため、メディアアート及び先行開発中の製品を主にインターネット上のニュースサイト、コンペティションサイト及び作成者あるいは製造会社のサイトで収集した。収集した作品および製品は 24件であった。

構造の分析には、DEcision Making Trial and Evaluation Laboratory 法 ( 以下 DEMATEL 法 ) を用いた。

現在、脳波や心拍、皮膚電気抵抗などの生体情報は感性プロセスを解明する手がかりとして注目されている。感性に基づいた研究およびデザインを行うにあたって、我々は感性情報の手がかりとしての生体情報を利用したデバイス(以下感性情報デバイス)のアドバンストモデルのデザインを提案したい。本研究の目的は、感性情報デバイスの現状を調査•収集し、その情報フローの

構造モデルを探ることである。このことにより、これまでのデバイスでどのように生体情報が利用されているかを大局的に把握する。本研究で得られた結果からコンセプトを立案し、感性情報デバイスにおける生体情報の新しい利用の仕方を発想する。

システムの構造を明確にするための方法としては KJ 法や ISM法などが挙げられる。KJ 法が主観的に要素間の関連を評価するのに対して、ISM法やDEMATEL法では、問題と密接な関係を持つ人々にその要素関連を評価してもらうことによって、ある程度客観的にシステムの構造を把握することができる。また、ISM法がシステム構成要素間の関連の有無を評価し、多階層の有向グラフとしてシステム構造を把握するのに対して、DEMATEL 法はシステム構成要素の一つ一つに意味を持たせ、要素関連に関係の強度を加えて有向グラフ化することができる。

本研究ではDEMATEL 法により分析することを前提に

  ① サンプルの収集  ② 項目の選定  ③ 因果関係の評価の手順でデータを作成した。

感性情報デバイスの構造把握

設計コンセプトの

立案

01        02        03        04        05

06        07        08        09        10

11        12        13        14        15

16        17        18        19        20

21        22        23        24       

DEMATEL 法は、システム構成要素の関連をある程度客観的に評価でき、システムを構成している各要素の影響度の強さや関連性の大きさを明らかにするができる特徴を持つ。本研究では、感性情報デバイスにおける情報の構造を分析・考察する上で、DEMATEL 法が最も適切だと考え、この方法を用いることにした。

①サンプルの収集

③因果関係の評価

②評価項目の選定

④考察④DEMATEL 法による分析

手順

脳にチップを埋め込んで無線で義手を動かす脳波を音に変換。大人数用。 光の点滅で脳波をコントロールする脳波と心拍を計測してネトゲ上の表情アイコンを動かす

α波でボールを動かすゲーム 心拍を可視化 脳波によるドローイング 脳波を計測してネトゲ上のキャラクターを動かす脳波を計測しα波、θ波などによって画像を変化させる服す人数用

筋電図を計測し、音に変換

筋電図を可視化する脳波で作曲できるインタフェース 脳波を可視化する脳波を可視化する脳波で動くライトセーバーのおもちゃ

血圧などを計測し、ぴったりの飲み物を作る

光の点滅で脳波をコントロールする 光の点滅と音楽で脳波をコントロールする

魚とコミュニケーションする

α波で魚や花を動かすゲーム 脳波を計測し、ぴったりの飲み物を作る 脳波、心拍などを計測し舞台の映像にエフェクトをかける

計算課題中の脳血流を計測し、スイッチのオンオフに利用

じゃんけんしているときの脳を計測し、手の形を再現

画像無し

画像無し 画像無し 画像無し

Cardiomorphologies 脳波ドローイングMindball Emotiv Systems Wave UFO,/ 森 万里子

Mind machine

L VIbSIC

光トポグラフィを用いて脳活動に伴う脳内の血液量を測定し機器を操作するブレイン・マシン・インタフェース:日立製作所

ブレイン・マシン・インターフェイスホンダ+ATR( 国際電気通信基礎技術研究所 ) Inner Force, The Brainbar

Biometric Barman

伊曽保物語 /赤松正行

身体動作と音楽/田中能 Regenerative Music/James Fung Cyborg/Kevin Warwick ソウル大学

USB脳波メガネ「頭脳充電器」ENKICommunicating with electric fish,

IBVA/Interactive Brainwave Visual Analyser,Brain Wave Rider/ARTLABTeleMuseTM/BCS脳波による作曲システム /エドゥアルド・Rミランダライトセーバー

項目番号 項目 行為者 内容

1 装着者Aは普段通りにしている 装着者A 意図

2 装着者Aが:(何かを動かそうと)意図する 装着者A 意図

3 装着者Aが:気分を意識的にコントロールしようとする 装着者A 意図

4 装着者Aが:生体情報を意識的にコントロールしようとする(α波を出そうとするなど)

装着者A 意図

5 装着者Aの:生体情報が変化する 装着者A 生体情報

6 デバイスが:装着者Aの生体情報の意味を伝えるための表現に変換する 装着者Aのデバイス 変換

7 デバイスが:装着者Aの生体情報を人間の状態と意味的に対応しない表現に変換す

る装着者Aのデバイス 変換

8 デバイスが:装着者Aの生体情報をコントロールするための刺激を与える 装着者Aのデバイス 変換

9 装着者Aが:身体状態を確認できる 装着者A 受容

10 装着者Aが:こころの状態を類推できる 装着者A 受容

11 装着者Aが:自分の表現から印象を受け取る 装着者A 受容

12 装着者Aが:装着者Bの身体状態を確認できる 装着者A 受容

13 装着者Aが:装着者Bのこころの状態を類推できる 装着者A 受容

14 装着者Aが:装着者Bの:印象を受け取る 装着者A 受容

15 鑑賞者が:装着者Aの身体状態を確認できる 鑑賞者 受容

16 鑑賞者が:装着者Aのこころの状態を類推できる 鑑賞者 受容

17 鑑賞者が:装着者Aの表現から印象を受け取る 鑑賞者 受容

18 装着者Bは普段通りにしている 装着者B 意図

19 装着者Bが:(何かを動かそうと)意図する 装着者B 意図

20 装着者Bが:気分を意識的にコントロールしようとする 装着者B 意図

21 装着者Bが:生体情報を意識的にコントロールしようとする 装着者B 意図

22 装着者Bの:生体情報が変化する 装着者B 生体情報

23 デバイスが:装着者Bの生体情報の意味を伝えるための表現に変換する 装着者Bのデバイス 変換

24 デバイスが:装着者Bの生体情報を人間の状態と意味的に対応しない表現に変換す

る装着者Bのデバイス 変換

25 デバイスが:装着者Bの生体情報をコントロールするための刺激を装着者に与える 装着者Bのデバイス 変換

26 装着者Bが:自分の身体状態を確認できる 装着者B 受容

27 装着者Bが:自分のこころの状態を類推できる 装着者B 受容

28 装着者Bが:自分のデバイスから印象を受け取る 装着者B 受容

29 装着者Bが:装着者Aの身体状態を確認できる 装着者B 受容

30 装着者Bが:装着者Aのこころの状態を類推できる 装着者B 受容

31 装着者Bが:装着者Aの表現から印象を受け取る 装着者B 受容

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3.4.因果関係の評価

4.結果

5.考察、まとめ

次に図1に、影響が 0.2 以上の項目を2次元平面上に布置し、2次元構造モデルとしてしめした。ここで、矢印の向きを見ると、2種類のループが形成されている事がわかる。 [(5)-(6.7)-(11)-(5)] のループをループAとし黄色で示し、[(5)-(6)-(9.10)-(5)]のループをループBとし水色で示した。ループBは 9から 4を経由し、6へと繋がる

ルートも持っている。これら二つのループを大きく捉えると、人間の生体情報が変化し、それにもとづいて感性情報デバイスが何らかの表現に変換し、その結果を受け取ることで人間の生体情報が変化する、という流れを持っているといえる。また、ループBはデバイスの働きのうち、6番の項目に特有のループである。9,10 はそれぞれ、「身体状態を確認できる」、「こころの状態を類推できる」であり、この結果は 6の「生体情報の意味を伝えるための表現に変換する」から派生している。

表 4は、総合影響行列から各要素の影響度(R)、非影響度(D)、中心度(D+R)、および原因度(D-R)から1標準偏差外の項目を抜き出し示したものである。

ヒストグラムを左上に合わせて示した。中心度では、項目番号5、6、7、11、の値が高いことが特徴としてみられる。また、11以外のこれらの項目は、中心度は高いが、原因度はそれほど高くないものが多い。しかし、影響度・被影響度をみると、ともに高く、他の要素へ影響を与え、

かつ与えられているということがわかる。すなわち、要素間の関係が一方通行ではなく、相互に影響し合っているといえる。

表3は、DEMATEL 法により得た総合影響行列である。数値の大きいものを色分けして示した。また、要素iがすべての要素に及ぼす総合影響である影響度(D)、要素iがすべての要素から受ける総合影響である被影響度(R)、および中心度(D+R)、原因度(D+R)を合わせて示した。なお、影響の大きさに合わせて色分けして示している。

表1の項目について,項目間の関係を評価させた。被験者は、情報デザインの知識を有する学生4 名で評価方法は31 項目のマトリックスを表形式で提示し,組み合わせについて逐

一評価回答させた。評価基準は「ai (縦)が達成されることによって,aj (横)の達成が期待出来る」とし,この関係が真だと思われる場合に,1,偽だと思われる場合の評価を 0 とした。これを3.3.の手順で選定した 14件の作品全てについて回答させた。なお、被験者はこのような回答方式に慣れておらず、また、項目の理解のぶれを防ぐため、本研究の遂行者である中森と相談しながら評価を行った。本研究では、感性情報デバイス全体の動向を大局的に把握するため、個別のデータを分析するのではなく、各被験者および各サン

プルについて加算した数値を接点の結びつきの強さと捉え、全てを加算した行列を作成し、分析に用いた。得られた 4人分、14サンプルのデータを全て加算したものを表2に示す。

本研究では、感性情報デバイスを収集し、情報デザインの知識のある被験者による評価に基づいて、収集した感性情報デバイスの大局的な構造を把握しようとした。結果、大きく関係する項目は、項目番号 5、6、7、11で

あり、かつ相互に影響し合うフィードバックループを持っていることが示された。代表的な例として「脳波が変化し、それに伴って映像が変化し、その映像を見ることにより脳波が変化する」という構造があげられる。こ

のことは、感性情報デバイスを設計するにあたって、再入力があるという生体情報センシングの特質を活かした結果であると考えられる。また、本研究に用いたサンプルはニュースサイトなどで取り上げられていた話題性のある、注目度の高い作品及び製品であり、これらの特徴は、“良い”デバイスの特徴ではないかと考えられるが、本研究においては、対照群を設定していないため、結論するのは早急である。フィードバックループは、設計者の意図に関係なく生体情報を用いる際に生じてくる現象ではないかとも考えられ

る。今後、生体情報を利用した新しい感性情報デバイスを設計するにあたっては、フィードバックがどのように起こりうるか、また、そのフィードバックをどのように活かすかということが課題になるかと思われる。

DEMATEL 法を用いることで、既存の製品の構造的な特徴を捉える事ができたことが本研究の成果である。今後この結果をもとに提案を行う予定である。

影響度(D):すべての要素に及ぼす総合影響被影響度(R):すべての要素から受ける総合影響中心度(D+R):数値が大きいほど他の項目と大きな関係を持つことを意味する。原因度(D-R):数値が大きいほど他の項目に大きな影響を与え、負の数値が大きいほど他の項目から影響を受けていることを表す。

横軸を中心度D+Rとし、縦軸を原因度D-R としている。また影響が 0.2 以上のものを矢印で表しており、始点にある項目は終点にある項目に影響を及ぼしている。

表2:因果関係の加算データ

図1:影響0.2 以上の項目の要素関連図

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

平均標準偏差平均の標準誤差平均の上側95%信頼限界平均の下側95%信頼限界N

0.66129030.70127380.12595250.9185196 0.404061

31

モーメント

影響度(D)

-1

0

1

2

3

4

5

平均標準偏差平均の標準誤差平均の上側95%信頼限界平均の下側95%信頼限界N

0.6612903 0.864360.15524360.97834010.3442405

31

モーメント

被影響度(R)

-1

0

1

2

3

4

5

6

7

平均標準偏差平均の標準誤差平均の上側95%信頼限界平均の下側95%信頼限界N

1.32258061.5383345 0.2762931.8868463 0.758315

31

モーメント

中心度-D+R(X軸)

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

平均標準偏差平均の標準誤差平均の上側95%信頼限界平均の下側95%信頼限界N

-0.0038710.43819840.07870280.1568615-0.164603

31

モーメント

原因度-D-R(Y軸)

一変量の分布

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

影響度(D)被影響度(R)

中心度-D+R(X軸)原因度-D-R(Y軸)

1 0.00 0.02 0.02 0.03 0.32 0.14 0.16 0.02 0.07 0.05 0.06 0.00 0.00 0.00 0.02 0.01 0.03 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.02 1.01 0.23 1.24 0.78 12 0.00 0.03 0.02 0.03 0.48 0.20 0.21 0.03 0.07 0.08 0.08 0.00 0.00 0.00 0.02 0.02 0.04 0.00 0.00 0.01 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.03 0.03 1.43 0.69 2.12 0.73 23 0.00 0.02 0.02 0.02 0.38 0.16 0.16 0.02 0.06 0.06 0.06 0.00 0.00 0.00 0.02 0.01 0.03 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.02 0.03 1.11 0.75 1.86 0.36 34 0.01 0.03 0.03 0.03 0.51 0.23 0.22 0.03 0.08 0.08 0.09 0.00 0.00 0.00 0.03 0.02 0.05 0.00 0.00 0.01 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.03 0.04 1.53 0.91 2.45 0.62 45 0.01 0.08 0.06 0.08 0.23 0.52 0.53 0.08 0.18 0.19 0.21 0.01 0.00 0.00 0.06 0.05 0.11 0.00 0.00 0.01 0.01 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.07 0.09 2.61 4.14 6.76 -1.53 56 0.02 0.10 0.06 0.09 0.26 0.11 0.11 0.02 0.20 0.22 0.22 0.00 0.00 0.00 0.08 0.09 0.13 0.00 0.00 0.01 0.01 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.10 0.08 1.94 2.23 4.17 -0.28 67 0.01 0.08 0.07 0.09 0.24 0.11 0.10 0.02 0.18 0.19 0.25 0.02 0.00 0.00 0.06 0.01 0.12 0.00 0.00 0.02 0.02 0.02 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.06 0.11 1.81 2.26 4.07 -0.45 78 0.00 0.01 0.01 0.02 0.08 0.03 0.03 0.01 0.01 0.04 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.31 0.33 0.64 -0.02 89 0.00 0.16 0.06 0.21 0.25 0.11 0.11 0.02 0.04 0.06 0.04 0.00 0.00 0.00 0.01 0.01 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.02 1.16 1.10 2.25 0.06 910 0.03 0.04 0.19 0.08 0.34 0.14 0.15 0.02 0.05 0.05 0.07 0.00 0.00 0.00 0.02 0.01 0.03 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.02 1.29 1.21 2.50 0.09 1011 0.01 0.07 0.07 0.12 0.56 0.25 0.24 0.04 0.09 0.09 0.10 0.00 0.00 0.00 0.03 0.02 0.05 0.00 0.00 0.01 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.03 0.04 1.84 1.31 3.16 0.53 1112 0.00 0.02 0.01 0.02 0.07 0.03 0.03 0.00 0.01 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.24 0.10 0.34 0.15 1213 0.02 0.01 0.05 0.03 0.13 0.06 0.06 0.01 0.02 0.02 0.02 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.01 0.47 0.17 0.64 0.30 1314 0.00 0.01 0.01 0.01 0.16 0.07 0.07 0.01 0.02 0.03 0.03 0.00 0.00 0.00 0.01 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.01 0.47 0.15 0.62 0.31 1415 0.03 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.03 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.12 0.39 0.51 -0.27 1516 0.04 0.00 0.01 0.00 0.02 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.07 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.17 0.35 0.52 -0.18 1617 0.03 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.06 0.76 0.82 -0.69 1718 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.08 0.01 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.12 0.03 0.16 0.09 1819 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.00 0.02 0.02 1920 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.06 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.08 0.27 0.36 -0.19 2021 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.11 0.01 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.17 0.23 0.40 -0.06 2122 0.00 0.00 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.01 0.01 0.03 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.01 0.01 0.07 0.21 0.00 0.00 0.04 0.02 0.00 0.00 0.00 0.50 0.88 1.38 -0.38 2223 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.06 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.03 0.02 0.00 0.00 0.00 0.18 0.16 0.34 0.02 2324 0.00 0.00 0.04 0.02 0.05 0.02 0.02 0.00 0.01 0.01 0.03 0.03 0.05 0.10 0.02 0.02 0.02 0.00 0.00 0.02 0.03 0.03 0.00 0.01 0.00 0.02 0.10 0.11 0.02 0.00 0.00 0.80 0.39 1.20 0.41 2425 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 2526 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.03 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.06 0.02 0.08 0.04 2627 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.06 0.01 0.10 0.01 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.23 0.20 0.43 0.02 2728 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.01 0.00 0.12 0.01 0.03 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.19 0.18 0.37 0.01 2829 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.02 0.02 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.07 0.13 0.20 -0.06 2930 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.00 0.06 0.03 0.05 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.20 0.42 0.62 -0.21 3031 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.01 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.16 0.01 0.03 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.31 0.52 0.83 -0.22 31

影響度(D)被影響度(R)中心度-D+R(X

軸)

原因度-D-R(Y軸)0.66 0.66 1.32 0.00

0.71 0.87 1.53 0.44

1.37 1.53 2.85 0.44

2.09 2.40 4.37 0.88

1 装着者Aは普段通りにしている 1.01 0.23 1.24 0.78

2 装着者Aが:(何かを動かそうと)意図する 1.43 0.69 2.12 0.73

4 装着者Aが:生体情報を意識的にコントロール

しようとする(α波を出そうとするなど)1.53 0.91 2.45 0.62

5 装着者Aの:生体情報が変化する 2.61 4.14 6.76 -1.53

6 デバイスが:装着者Aの生体情報の意味を伝え

るための表現に変換する

1.94 2.23 4.17 -0.28

7 デバイスが:装着者Aの生体情報を人間の状態

と意味的に対応しない表現に変換する

1.81 2.26 4.07 -0.45

11 装着者Aが:自分の表現から印象を受け取る 1.84 1.31 3.16 0.53

17 鑑賞者が:装着者Aの表現から印象を受け取る 0.06 0.76 0.82 -0.69

平均

標準偏差

1標準偏差外

2標準偏差外

中心度(D+R)

原因度(D-R)

合計

14 件×4名

表4:項目別影響度

表3:総合影響行列

0 ~ 0.1

0.1 ~ 0.2

0.2 ~ 0.3

0.3 ~ 0.4

0.4 ~ 0.5

0.5 ~

色分け

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

Degree of cause (D+R) (Y-axis)

1 2 3 4 5 6 7Centrality (D + R) (X-axis)

0.3 or over

0.2~0.3

12

3

4

5

67

9 10

11

22

24

roop Aroop A

roop Broop B