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母の報復
進路 番外編
本作は「妄想創作団」掲載の「進路」番外編です。
先に「進路」をお読みください。
作:Pz
大変なことになった。
今年 16 歳になる笹井純一はパジャマ姿で立ち尽くしている。
信じられない事に、彼はどう考えても宇宙空間にいるのだ。
足元には半分だけ太陽に照らされた地球が見える。
赤白く輝く太陽が遠くに見え、水星、金星、火星が光って見える。
(ああ・・・僕は死んでしまったんだな・・・・)
純一はボンヤリとそう考えた。
死んで魂となり、宇宙空間を彷徨っているんだ・・・。
そう思って、ふと後ろを振り返った。
「あ、母さん・・・・!」
そこには、純一の母、笹井恵が全裸で立っていたのだ。
⾧い黒髪が無重力により後光のように広がっていた。
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母の顔の二倍はある乳房、だいぶ緩やかになった腰、
真っ白く垂れることもない大きなお尻。
真っ黒なヘアーが丁寧に手入れされ、むっちりとした太ももが
交差する V ゾーンをそっと隠している。
⾧い脚はぴったりと閉じられ、女性のエロチックな凹凸を
さらに強調している。
見ていて恥ずかしくなる、まるで巨乳系 AV モデルみたいだ。
しかし、二の句が継げない。
彼の母親は身⾧が千メートルを余裕で超えていたのだ。
「・・・母さん・・・またでっかく成って・・・」
宇宙空間に聳え立つ恵、その身⾧はどれほどの大きさであろうか?
「純ちゃん、怪我はなかった?」
恵がそっと純一を掌に入れる。
その手のひらは、彼が通う中学校のグラウンド程の広さがあったのだ。
「か、母さん・・・なんで・・・・・・。」
純一は笑みを浮かべる母の口元と、その恐ろしい目つきに
母親が何を考えているか、見当がついてしまったのだ。
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ここは、本当の宇宙空間なのだろう。
純一はこの状況を受け入れた。
彼の母親・・・
笹井恵は、巨大ヒロインであったのだ。
宇宙人からの侵略を何度も撃退した巨大ヒロイン。
全人類が彼女に感謝をしていた。
しかし、20年ほど前に、宇宙人からの侵略が止まると
忽然と姿を消し世間からも忘れられていった。
今年に入って、再度宇宙人の侵略が始まると母は
ウルトラウーマンとして、再度宇宙人を撃退した。
しかし、その際に街を破壊し犠牲者を数百人だしてしまったのだ。
素顔で巨大化した彼女は、身元を特定され収監されそうになった。
だが、恵はそこで変身巨大化して、彼女を捕まえに来た
公安や警察を一人残らず踏みつぶしてしまったのだ。
「私たちに干渉しないで。」
全身ピンクのボディースーツ姿で地面を見下ろすと
それだけ言った母。
それからは母と子、二人だけとなった半径1500メートルの無人地帯で
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この数か月を過ごしていた。
つまりは、人類の敵に認定されてしまったのだ。
「いつか、家ごと僕たちを殺すつもりだよ。」
純一は、母に毎日そう言っていたが。
母の恵は、笑いながらそれを聞き流していた。
⾧い黒髪をいつも偏に括って、その白い小顔を若々しく見せている。
「あら。ご近所に迷惑かけないで済みそうね・・・!」
洗濯物を畳みながら笑っていた母。
そして。
とうとう、家ごと爆破されてしまったのだ。
おそらくは、米軍の対戦車ミサイルであろう。
木造スレート葺きサイディング仕上げの4LDK 住宅に午前3時ちょうどに
それは発射された。
直撃であった。
笹井恵と純一の住む住宅は、周囲の空き家を巻き込んで四散してしまう。
数分後、特殊部隊と思われる数人の兵士が純一達の住んでいた
家屋の残骸に突入した。
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しかし、遺体らしきものは見つからない。
遺体は消滅したのではないか?
皆がそう思っていた。
しかし、それは大きな間違いであったのだ。
恵は、対戦車ミサイルの直撃と同時に宇宙に空間移動していたのだ。
全裸でも宇宙空間に生存できるヒューマノイド。
身⾧を自由に変えられ、空中を飛ぶことができる女性。
人類に彼女を殺すことなど、不可能であったのだ。
このベテランウルトラウーマンを、人類が制御できるとすれば。
それは懇願するしか手がなかったのだが。
人類は最悪の選択をとってしまった。
宇宙から地球を見ると、地上の夜と昼が良くわかる。
裸で宇宙空間を漂う母は、地球のどこに降りるか、
狙いをつけているのだ。
「母さん・・・酷いことはしないでよ・・・。」
巨人の母親から見れば1.6ミリの大きさしかない純一は
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不安そうに掌の上から母親の恵を見上げた。
山よりも大きな乳房越しに、顎と鼻の穴が強調される
恵の顔は、一見ユーモラスであったがその巨大な体は
実の子供である純一にすら恐怖を引きおこさせたのだ。
純一は、自分の体の周りに見えない壁ができていることに気がついた。
「母さん・・・これってバリヤー?」
掌をチラリと見下ろした母、恵。
掌を乳房の谷間に持ち上げると、なんと彼を胸の谷間に押し込んだのだ。
「ああ!母さん、何するの!?」
叫ぶ純一であったが、恵は構わずに両乳房を両手で左右から押し付けた。
「うふふ。純ちゃん、潰れちゃえー!」
悪戯っぽく笑う恵。
しかし、それは最愛の息子を守るバリヤーの性能を試すものであった。
無重力状態ではあるが、左右から巨人が乳房を押し付けた力は
優に一万トンを超えていたのだ。
乳房の谷間から飛び出すように出てくる純一。
「もう。僕死んじゃうかもよ!」
怒り出す純一。
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恵は、そんな彼を愛おしそうに見つめる。
「私の体から離れちゃだめよ。」
恵は、それだけ言うと地上に目標を定め、空間転移を開始したのだった。
身⾧1700メートル、全裸のウルトラウーマンが最初に現れたのは
中国大陸であった。
北京に出現した超巨大女は、地上を見渡すやビームを発射したのだ。
彼女が立っていた天安門広場を中心にして、半径50キロが白い灰となった。
地下にいた人々は、さらに悲惨であった。一気に数千度の温度にさらされて
空気が膨張し地下で爆発を起こしたのだ。
さらに、太陽表面とほぼ同じ温度の熱線が彼らを襲った。
天安門広場を踏み壊す恵。
この全裸の巨乳女は、数分で北京を白い砂漠に変えてしまった。
さらに、天津、南京、上海と破壊を続ける。
続いて、ロシア、ドイツ、フランス、イギリスと
首都が焼かれていった。
二時間足らずで、主要国の首都機能が消滅してしまったのだ。
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そして、アメリカ。ワシントンとニューヨークを恵は狙ったが
ここで戦術核攻撃を受ける。
最愛の息子を掌にそっと入れると、恵は巡航ミサイルに載せられた
核爆弾の破裂を目の前にした。
結果。
この超巨大女には、傷一つつけられなかったのだ。
「あはははは!」
大笑いする恵。
地上に犇めく人間の群れを踏みつぶしながら都市の中心部に進む。
「うふふ。世界の超大国さん。裸の女性一人、止められないのかしら?」
意地悪そうに地上を逃げ惑う人々に話しかける恵。
400平米近くある白い女の素足が、建物を、人間を踏みつぶし
六千万トンと推定される女の体重で地面に埋め込まれ、その摩擦により
消滅していったのだ。
「さて。日本は今、正午頃かしら・・・。」
夜のニューヨークを白い砂漠に変身させ、恵は日本を思い描いたのだ。
「街が賑やかに成っているころね。」
そう呟くと、恐ろしい笑みを浮かべたのだ。
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「か・・・母さん・・・日本も破壊するの?もう住む処が無くなっちゃうよ。」
身⾧1.6ミリの純一が恵の目の前に浮かんできた。
優しい笑みに表情を変える恵は、二ミリ足らずの息子の頭をそっと指でなぜた。
「心配しないの。お母さんに任せなさい。」
そういうと、また純一を掌に掴みその姿を忽然と消したのだった。
日本政府は大パニックを起こしていた。
暗殺したはずの巨大女が、中国、ロシア、ドイツ、フランス、イギリス
アメリカの順に首都を消滅させているのだ。
自衛隊は在日米軍の指揮下に入り、中央官庁は各自治体に住民の避難要請を
行った・・・。しかし、各地方の反応は鈍かった。
ウルトラウーマンは、各国の首都を消滅させると姿を消すのだ。
東京と其の近県だけが危険だと判断された。
一方の東京は。
呆れたことに、通勤通学は平常通り行われていたのだ。
電車も平常運転である。
行政に、強権が与えられない結果であったが。
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都民1400万人は、逃げようとしても一時間ではどこへも逃げられない。
かえってパニックになる心配があった。
結果、何もできなかったのだ。
「ウルトラウーマン、笹井恵の慈悲にすがるしかない。」
官邸は、米軍主導で行われた暗殺作戦を棚に上げ
彼女の機嫌を取る方法の検討に入ったのだ。
しかし、すべては無駄であった。
ざぱあああーーーんん!
東京湾に大波が発生した。
身⾧1700メートル、体重六千万トン、バスト1080メートル
ウエスト640メートル、ヒップ1100メートルの巨大女が
突如出現し、東京湾に飛び降りたのだ。
大波が湾岸を洗う。
柔らかな日差しを受け、恵の白い肌が光り、その黒髪は虹色に輝いた。
アラフォーであるが、大人の女性らしさと艶やかさを発散させる
肉感的な女性だ。
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しかし、その大きさは人間の千倍サイズである。
遠浅の東京湾、その海底の泥に足を沈み込ませても、この巨大女の
足首程度の水深しかなかったのだ。
両腕を腰に当て、恵は都市を見下ろし、声を上げた。
「この虫けらども。今からお前たちの、身の程を教えてあげるわ!」
そういうや、東京湾の海水を水たまりのように蹴立て乍ら
大きなひき波で漁船や小型の貨物船を巻き込み沈没させ歩き始めたのだ。
海底トンネルが踏み抜かれる。
バランスを崩した超巨人は、慌てて人口島に手をついた。
一瞬で海底に陥没してしまう人工島。
ナイアガラの数十倍の水量の瀑布が巻き上がり、恵が立ちあがる。
彼女はレインボーブリッジに目を付けた。
巨大な乳房をゆさゆさと揺らし、この巨大なつり橋を一跨ぎにする。
全裸の巨人女の性器も肛門も丸見えであったが。
大気を押しのけるようにして、恵が屈みこんだ。
がっし!
数十台の自動車が通行中の大型つり橋を掴み上げた。
ぐおおおおお!
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一気に持ち上げられるつり橋。
轟音を立てて連結部から千切れてしまう。
無人列車「ゆりかもめ」が千切れた橋から海上に落下する。
数十台の自動車も。
恵は、胸元に持ち上げた橋を海に投げ捨てたのだった。
地上施設を一撃で踏みつぶし、恵は遂に上陸をした。