Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話

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「Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話」 in DevLOVE 関西 2015/2/7 株式会社ヴァル研究所 Business Development Dept. 部長 篠原 徳隆 1

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「Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話」 in DevLOVE 関西 2015/2/7

株式会社ヴァル研究所

Business Development Dept. 部長 篠原 徳隆

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自己紹介 Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話

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篠原徳隆(しのはらのりたか) 株式会社ヴァル研究所 Business Development Department 部長 1999年 ヴァル研究所入社。 企業の基幹・業務システムの開発を経て、駅すぱあとを利用した旅費や通勤費などの精算業務のシステムを開発。 その後3年間の営業経験を経て、プロデューサーとして社内の新企画に従事。 2013年よりBusiness Development Dept.にて新規事業を模索中。

主なプロダクト 通勤費管理システム 通勤費申請Web 駅すぱあとWebサービス まるごと路線図(iPhone/iPad) 駅すぱあと for iPhone

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JAWS-UG MATCHMAKER 昨年末に立ちあげました。 AWS上でサービスを提供している企業様を マッチングさせるビジネスコミュニティです。

IPA(ITプロレス協会) 人生とはすべからくプロレスであり、 ソフトウェア開発もまた然り。 ITをプロレスで良くしようとする者達が 集う場です。

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リンスタカフェ リーンスタートアップを実際にやってみて、 難しかった事、失敗した事、工夫してみた事、分かった事、うまくいったこと、そんな経験を「お互いに」交換できる場です。

今回の内容について Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話

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まちなみくん facebook:https://www.facebook.com/matinamikun?fref=ts

ヴァル研究所 オフィシャルキャラクター?「まちなみくん」に、 好きな料理を学習させます。

パーソナルデータ

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料理属性

ジャンル

エリア 変容性

営業時間

イチオシ

蓄積されたパーソナルデータ x レコメンドエンジン = 嗜好に合うお店をオススメ

レコメンドエンジン

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今回は「Chrono」のProduct/Market Fitを目指す課程で 学んだことについてお話させて頂きます

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「手探りで始めた企業内スタートアップで嵌まったこと」 http://www.slideshare.net/noritakashinohara/dev-love20140516-ss

「手探りで始めた企業内スタートアップで嵌まったことEX」 http://www.slideshare.net/noritakashinohara/dev-love20140823

過去の発表については以下をご参照ください

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Product/Market Fitとは

ちょっと座学的な話

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顧客発見 組織構築 ストップ 顧客実証 ストップ 顧客開拓 ストップ

探索 実行

ピポット

顧客開発モデルの4つのプロセス

Problem/Solution Fit Product/Market Fit

PSFの目的 解決すべき課題と最適な解決方法を見つけること PMFの状態 最適なプロダクトを最適な市場に提供している状態

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わかりやすく言うと、こんな感じです。

・面白いけど、BDが売れないアニメ ・連載誌ではアンケートも悪くないけど、単行本が売れないマンガ

素晴らしい作品でも売上げが立たないと資金が無くなってしまいます。 極端な話、作品が面白くなくても売上げが立つ方が良いということになります。適切な市場を見つけることがPMFの最大の目的です。 とはいえ、個人的には売上げも大事ですけど、価値のあるもの、役に立つものを創り出したいと思っています。

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指標の選び方

ちょっと座学的な話

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指標はフェーズで選ぶ

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AARRR(海賊指標)

Acquisition(獲得)

Activation(活性化)

Retention(維持)

Referral(紹介)

Revenue(収益)

・課金率 ・売上高

・DL数 ・PV数

・ログイン ・登録数

・継続率 ・復帰率

・シェア数 ・招待数

価値のあるもの、役にたつものを作るという点で、 私はココを一番大事に考えてます。

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Lean Analytics:ビジネスモデルとステージで決める

共感

定着

拡散

収益

拡大

EC 2-sided Market SaaS ユーザー制作

コンテンツ Mobile App メディア

※ Lean Analytics P238~240 参照

インタビュー、定性調査、定量調査

CVR ロイヤリティ

CAC シェア数

取引価格 直販の指標

Affiliate OEM

検索頻度 価格弾力性

販売者数 シェア数

Engagement Churn

自然的拡散CAC

起動回数Churn

Storeの評価 ランキング

Traffic 再訪問数

シェア数 SEM

Channel スパム率

招待数 シェア数

手数料 オプション

関連商品 オプション

アップセル CLV

API Traffic エコシステム

課金率 平均収益

代理店 スピンオフ

CPE imp

Syndication License

広告 寄附

Analytics User Data

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ポイント ・自分達が今いるフェーズ、又は課題を認識する ・1つの指標にフォーカスする。  複数選ぶと追い切れなくなる or ぶれる要因になる

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実践の課程で学んだこと

Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話

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KPIの悩ましい話

Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話

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悩ましい話① Chronoは「継続」に課題を持っています。 「獲得」に課題が無い訳ではありませんが、当初意図した利用傾向から考えれば、「継続」の方が大きな問題でザルの様な状態と言えます。(しかも大分目の粗い)

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「継続」に最も効果のある「KPI」を探す為に、 まずはやってみようということで、様々な仮説を検証して行きました。 試行錯誤を繰り返しながら、いくつか効果のあった施策もありましたが、 「継続」に大きく影響をもたらすと言える様な「KPI」は 見つけられていませんでした。

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閑話休題 仮説検証の思考プロセスをメンバーに浸透させる為と、検証の結果の アウトプットとしてMVP Canvasを利用。※1 コレ、本当に良いです。 仮説ー学びたいことー検証環境ー計測方法ーMVPーコストと一連の 必要な要素を1枚のシートで理解させられます。

※1 黒田さんのスライド:http://www.slideshare.net/i2key/rebuild-devlove-scrum-leanstartup?related=1

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MVP Canvas! No:  Sprint No:  Date: YYYY/MM/DD!

仮説: !

何を学ぶのか/ゴール: !

MVPの!タイプ:

何を作るのか/!仮説をどうやってそのMVPで実証するのか: !

実証に必要なデータ・条件: !

MVP構築に必要なコスト: !

実証に必要な時間: !

回避できる/発生する将来のリスク: !

結果/得た学び: !

注意!チームで使う為に一部modifyしてます

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KPIがみつからない理由として考えられること ・選んだ指標が適切ではない ・施策が影響を与える指標が違う ・見てるデータが違う ・検証環境(条件)が成立していない ・検証のスコープが大きすぎる ・そもそもユーザーに課題がない ・UVP(価値提案)が刺さっていない ・UVPが成立していない

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どうするべきか

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・選んだ指標が適切ではない ・施策が影響を与える指標が違う ・見てるデータが違う  UVP(独自の価値)によってもたらされる価値・体験がユーザーの  アクティビティのどこに影響を与えているのかを考える。  指標はユーザーのアクティビティを正確に表すものであること。  データ全体を見て、どこか他に影響を与えていないかも確認する。  施策で得られる結果と指標との距離も大事。  離れすぎてる場合は中間指標を差し込んで確認。  (ロジックツリーで考えると分かりやすい)

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・検証環境(条件)が成立していない ・検証のスコープが大きすぎる  検証に必要な条件が整っていないと、正しい結果は得られません。  成功でも失敗でもなく、何も学べなかったという事態に。  MVP、データ、時間・・・検証可能か最初に確認することが肝心。  仮説検証のスコープは可能な限り小さくする。  小さくしないと、色々な数字、要素が混じってしまって、  見るべきことが見えないケースがある。  極端な話、1人のユーザーにフォーカスした検証を行ってもOK。  (ユーザーの数だけ検証できる)

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・そもそもユーザーに課題(ニーズ)がない ・UVP(価値提案)が刺さっていない ・UVPが成立していない  UVPの成立=コアな価値・体験が成立していないとユーザーは  継続してくれません。  機能改善、UI改善、レスポンス改善・・・仮説検証を繰り返す。  (SolutionのFit)  課題と価値提案について悩む場合は、今一度整理・検証することを  お薦めます。

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閑話休題 UVPの成立具合などを確認する為に、今まで得られた学び、データから カスタマージャーニーマップ(CJM)を作成しました。 CJMで検証が必要なところをユーザーインタビューで課題の確認や、 UVPの修正判断を行いました。

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まとめ ・ユーザーのアクティビティに注目する ・検証は小さく、検証可能であること ・UVP成立の為にひたすら仮説検証 ・影響を与えるKPIを見つけることが最大の成果

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評価の悩ましい話

Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話

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評価の話の前に

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新規事業

駅すぱあとの新たな価値

新規事業の 体制作り 他部署支援

外部との共創

現在のBusiness Development Dept.のMission

2020年など色々

開発・間接支援から、 社内外のハブ活動

企画から実現、評価 までのプロセス作り

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部門(プロジェクト)と会社が握るもの

部門(プロジェクト)と個人が握るもの

評価の仕組み

部門評価

個人評価

結果目標の評価

結果目標の評価 プロセスの評価

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話を戻します

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悩ましい話② 会社と握る目標設定(結果)の内容に四苦八苦してます。 新規事業の評価を会社の「期」に合わせて行うことは非常に難しいです。本当に価値のあるもの、役に立つものになる為の試行錯誤の課程を、従来の会社の評価方法に合わせるには、どの様な結果で評価して貰えば良いのか。 評価する会社側にも基準が無いのです。

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本件に関しては明確な答えを得ておりません。 現在進行形で試行錯誤中です。 弊社の現状の評価方法について あくまで一例としてご説明させて頂きます。

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個人評価について

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新規事業におけるメンバーの評価は何回PDCAを回して、学びを得たか。 【例】 ・PDCA(仮説検証)を回した回数 ・施策実行数 プロセス評価はこの辺を指標にして目標設定しています。 大事なのはメンバーに新規事業における試行錯誤への理解と、 KPIの意味をちゃんと理解して貰うこと。今のところ上手く回せてます。

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問題は会社

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会社としては  新規事業にチャレンジする人材がいなくなること が一番困る話です。 特に企業内で始める場合は人事異動で集められるケースがほとんどで、 本人の意思とは関係ない場合も考慮しなくてはなりません。

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新規事業の初期は結果に対し、非常に厳しい評価となっていました。 そもそも新規事業の部署を他の部門と並列で評価するので、相対的に 低くなりがちなのは当たり前です。 なにより、既存事業と新規事業とではフェーズが異なります。 評価すべき指標が違うのです。 会社はそもそも新規事業においては失敗を許容しているのに、これでは 本末転倒な状況になってしまっています。

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現在の評価方法 ・結果に関わらず、部門評価を会社の平均評価を軸に、  下限と上限を設けた一定の範囲で評価する。  適切な結果が握れないならばそこは決めの問題という形に。  結果がでなくても評価が低くならず、成果が出た時は上積みができる。

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とはいえ PMF前でも、結果の評価はどこかでする必要があります。 ある程度の期間を与えた後、私はリテンション率を評価するべきだと 考えています。

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日数

アクティブ率

リテンションカーブ

まずはフラットを目指す

大体これ

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まとめ ・個人は仮説検証の実施数で評価 ・企業における新規事業は結果に関わらず特定の評価を設定する ・PMF前の結果はリテンション率で評価

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さいごに

Product/Market Fitを目指す道での悩ましい話

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実践あるのみ ・計測を重視する様になって、結構考え方変わりました。  何にでも言えるのですが、やったことに対するエビデンスを  示せないものって、何かしら破綻してると思います。 ・KPIが適当だったりすると、どうにもならないです。  KPIすら改善対象です。 ・企業内における新規事業は実践内容を会社にちゃんと  アウトプットして理解して貰うことが大事。  (それでも悩ましいことはあると思います)

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以上になります。 いつか色々な現場の失敗談や、壁になっている話を 収集して、纏められたらなと思っています。 ご静聴ありがとうございました。

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