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No51 イスラーム今日の成立 1 【51】イスラーム教の成立 イスラーム系重要地理 現代の「中東」の範囲を覚えよう。 古戦場3つは、位置も覚えること。 642年 ニハーヴァンドの戦い 732年 トゥール・ポワティエ間の戦い 751年 タラス河畔の戦い 北アフリカから西アジアにかけた地域 イスラーム系地理知識 ニハーヴァンド の戦い 642タラス河畔の 戦い 751トゥール・ポワ ティエ間の戦い 732アラビア半島 統一 631ムハンマド死亡 632 ウマイヤ朝 正統カリフ時代 アッバース朝 イスラーム教成立 622 「中東」とは 中東とは、イスラーム教の文化領域に、それ に属さないイスラエル、キプロスなどを含め た便利な広域地理概念。 イスラーム成立の舞台 1: 大半が2: 3: が点在 オアシス カナートの掘削で 農耕可能 BC8世紀ころから、アラ ビア語を話すアラブ人 が住む アラビア半島 砂漠 補足 西南部のみ降雨あり 旧約聖書の「シバの 女王」(BC10世紀後 半)で名高いサバー 王国(BC950?BC115)推定位置。 (今日の「イエメン」) 「シバの女王」 レイモン・ルフェーブル 西南部のみ定期的に降雨があり 古くから可能。 農耕

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No51 イスラーム今日の成立

1

【51】イスラーム教の成立

イスラーム系重要地理

現代の「中東」の範囲を覚えよう。

古戦場3つは、位置も覚えること。

642年 ニハーヴァンドの戦い

732年 トゥール・ポワティエ間の戦い

751年 タラス河畔の戦い

北アフリカから西アジアにかけた地域

イスラーム系地理知識

ニハーヴァンドの戦い 642年

タラス河畔の戦い 751年

トゥール・ポワティエ間の戦い

732年アラビア半島統一 631年

ムハンマド死亡 632

ウマイヤ朝

正統カリフ時代アッバース朝

イスラーム教成立 622

「中東」とは

中東とは、イスラーム教の文化領域に、それに属さないイスラエル、キプロスなどを含めた便利な広域地理概念。

イスラーム成立の舞台

【1: 】大半が【2: 】

【3: 】が点在

オアシス

カナートの掘削で農耕可能

BC8世紀ころから、アラ

ビア語を話すアラブ人が住む

アラビア半島砂漠

補足 西南部のみ降雨あり

旧約聖書の「シバの女王」(BC10世紀後

半)で名高いサバー王国(BC950?-BC115)推定位置。(今日の「イエメン」)

「シバの女王」レイモン・ルフェーブル

西南部のみ定期的に降雨があり

古くから【 】可能。農耕

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イスラーム教成立の背景には、通商ルートの変更があった。

【4: 】ペルシア

6、7世紀にわたって両帝国は抗争した

ササン朝

【5: 】(7世紀以降はビザンツ帝国)

東ローマ帝国

6世紀の君主は?

ホスロー1世

ユスティニアヌス帝

6、7世紀の主な都市

イスラーム以前の通商ルート

戦乱のため、6世紀末以降

通行困難となった。

このへんが

【6: 】メソポタミア

6世紀後半、通商ルートは

大きく変更された!

ヒジャーズ地方経由の陸路!なぜ紅海を

使わない?

世界最悪の無風地帯

海賊の跳梁

【7: 】ヒジャーズ地方 6世紀後半、通商ルート上の

メッカ、メディナは繁栄した!

インド洋

地中海

アデンで揚陸

メッカ、メディナを経て

ヒジャーズ地方経由の陸路

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6世紀後半のメッカ

インド洋と地中海を結ぶ交易で繁栄したメッカは、クライシュ族が支配していた。

貧富の差は拡大し、互助の精神は廃れた。

アラブ人の多数は多神教だが、

【8: 】、キリスト教も伝わり影

響を受けた。

ユダヤ教

イスラーム教開祖【9: 】

25歳の時、15歳年上

のハディージャと結婚。商売は順調だった。

クライシュ族の名門、ハーシム家に570年頃生まれ、父(0歳時)、母(6歳時)を失い、祖父も失う(8歳時)。

伯父の庇護の下、商人として育てられ、交易に従事した。

ムハンマド

瞑想するムハンマド

610年のラマダーン

月、彼はいつものように瞑想していた。

生活に余裕の出たムハンマドは、時々メッカ郊外5kmのヒラー

山の洞窟にこもって瞑想した。

「起きて警告せよ」

40歳前後のムハンマドは、大天使ジブリール(ガブリエル)から、このように唯一神の啓示を受けたとされる。610年頃のことである。

ムハンマドの顔は偶像化させないため、白い布で覆われている。

預言者ムハンマド

その後も啓示は次々とムハンマドに下され、

彼は【10: 】としての自覚にめ

ざめた。

ムハンマドの顔が描かれているので、異教徒が描いたものであろう。

予言者ではない!

預言者

信者第1号、第2号

最初に入信したのは妻のハディージャで、2人目は当時まだ若かった従弟のアリー(後の第4代カリフ)や友人のアブー=バクル(後の初代カリフ)がそれに続いた。

ムハンマドは、まず、近親の者たちに彼に下った啓示の教え、すなわちイスラーム教を説き始めた。

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イスラームとは

イスラーム教は人間の平等や社会正義の実現を基本としており、社会的弱者の救済、偶像崇拝禁止を説いた。

信徒は「ムスリム」あるいは「ムスリーム」と呼ばれる。

イスラームとは「神への絶対的服従」の意味。

唯一の神の名は=【11: 】「アッラーフ」の方が原語の発音に近い。

アッラー

迫害されたムスリム

アラビア人伝統の多神教の聖地でもあったメッカを支配し、富と血統を重んじるクライシュ族は、ムハンマドとその信徒(ムスリム)たちに激しい迫害を加えた。

613年頃から、ムハンマドは公然とメッカの人々にイスラーム教を説き始めた。

ヒジュラ=622年

622年、ムハンマドらは迫害を逃れ、メディナに移住した。(伯父、妻を619年頃失う)

これを【12: 】(聖遷)と言う。

メディナは、当時ヤスリブと呼ばれていたが「メディナに移住」と答えてよい。

メッカ

メディナ

ヒジュラ

ヒジュラ暦 622年が元年

イスラーム暦は、ヒジュラが行われた年のアラビア暦1月1日(西暦622年

7月16日)を紀元元年1月1日とする純粋な太陰暦である。ヒジュラ暦とも言う。

1年は354日(閏年は355日)なので太陽暦と1年に11日(または10日)ずつずれていくから農耕暦としては使えない。

ヒジュラ後、630年まで

イスラーム教徒=

【13: 】は、

メディナで

【14: 】(共同

体)を形成した。

クライシュ族との激しい戦いが続き、包囲されたりムハンマドが負傷したりした。

メディナの人々と契約を結ぶムハンマド。

ムスリム

ウンマ

メッカ逆包囲、無血占領 630年

カーバ神殿に祀られていた無数の偶像は、ムハンマド自身が破壊し破棄した。

翌631年、アラビア半島全体を統一。

632年、ムハンマドは波瀾万丈の人生を終えた。

630年、メッカを1万の

軍勢で逆包囲し無血占領した。

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カーバ神殿(メッカ)

大天使ジブリールによってアブラハム(カーバ神殿の建設者)にもたらされたと伝えられる黒石。

イスラームの聖典は

ムハンマドにアラビア語で下された啓示をまとめたものが

『【15: 】』で

ある。アラビア語で「読誦すべきもの」の意味。『コーラン』とも。

他の宗教の経典は開祖の教えをまとめたもので、神の言葉そのものではない。『クルアーン』は神の言葉そのものであるとされる。

クルアーン

ムハンマドは預言者

ムハンマドは神性を持たない。彼は「最後の預言者」であるとされる。

『クルアーン』は650年頃、現在の形に編集された。

570年頃生まれ、632年死亡。

アラビア半島統一の翌年

第3代カリフウスマーン

(再度)ムハンマドは最後の預言者

イスラーム教徒にとって、ユダヤ教徒、キリ

スト教徒は「【16: 】」。

ユダヤ教、キリスト教との関係では、「神」は共通で、モーセもイエスも優れた預言者。

その力が足りず神の真の教えが充分に伝わらなかった。

啓典の民

クルアーンを読むムスリム

ムスリムの義務=【17: 】六信五行

「六信」とは

神、天使、啓典、預言者、来世、天命 の6つを信じること

「五行」とは

信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼 の5つの行を行うこと。

信仰告白

信仰告白 「アッラーの他に神はなし。ムハン

マドはその使徒(預言者)なり」と公言すること。

サウジアラビアの緑地の国旗の中央に、この言葉が刺繍されている。その下に剣。

六信五行の五行①

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1日5回の礼拝六信五行の五行②

礼拝はメッカのカーバ神殿の方向に向かって行う。もともとはイェルサレムの方向だったが、ヒジュラ以降はメッカの方向になった。

キブラ

礼拝のための施設は【18: 】モスクキブラを示す「へこみ」

ザカート(喜捨)六信五行の五行③

税ではあるが、宗教的な「施し・喜捨」の観念と一体化し、イスラム共同体の社会福祉システムとして働いている現実などから喜捨と訳す。

ムハンマド時代には義務ではなかったが、初代カリフ(アブー=バクル)以降、実質上、救貧に使途限定された財産税として制度化された。

イスラム国家では現代でも税金として存在。たとえば、失業率20%を超えるサウジアラビ

アでは、多くの失業者の生活保護に当てられている。また、ジハードで戦死した兵士の遺族にはザカートで集めた金銭が国家から支給される

近所の人が声を掛け合い、金銭を集めて直接渡す、などの行動も見られる。これはサダカ(自由な喜捨)という。

ザカートの補足 ラマダーン月には断食

断食は日の出から日没まで。日没から日の出までの間に一日分の食事を摂る。ヒジュラの道中の苦難を追体験するためとか、食べ物のありがたみを感じさせるためとも。

旅行者や重労働者、妊婦・産婦・病人など合理的な事情のある場合は免除される。

ラマダーン月の昼間は、デパートのフードコートも休業。

六信五行の五行④

ラマダーン中は日が沈んでいる間に食い溜めをするため夜食が盛大になり、通常より食糧品の売れ行きが良くなったり、太る人が多くなるといわれる。

ラマダーン明けは、お祭りがあり、日本の正月に似て帰省する人も多い。家庭では豪華な食事が用意される。

ラマダーンの補足

生涯に1度は【19: 】に巡礼

ムハンマドのメッカ巡礼 世界中からカーバ神殿に集まったムスリム(現代)

六信五行の五行⑤

メッカ

No51 イスラーム今日の成立

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本論と無関係(ガンダム詣で) 『クルアーン』はムスリムの全生活を規定する。

①宗教的立場を説明した部分

②信徒の個人的・社会的生活全般を制約する律法的部分

③歴史的記述

きわめて具体的で特徴的

禁止される行為=ハラム

明らかに非ハラムであること= ハラル

よくある

よくある

ムスリムの生活を規定

オ)平等に扱えるなら4人まで妻を持つことができる。

ア)「枡(ます)と秤(はかり)を公正に扱え」

イ)【18: 】を食べることは禁止

ウ)飲酒は禁止

エ)利子(リバー)を取ることは禁止。

豚肉

続いて以上の各項目を説明します

「枡(ます)と秤(はかり)を公正に扱え」

イスタンブルのバザール(現代)

『クルアーン』 第6章第152節

「スーク」 アラビア語

「バザール」 ペルシャ語

イスラーム支配者はスーク(orバザール)の安全を保障し、度量衡、貨幣の統一に努力。

常設店舗市場は

NECの「バザールでござーる」→

【20: 】を食べることは禁止

《現代のある権威あるウラマーの説明》 豚は雑食で交尾も見境なく行い、餌があれば食べ続け、暗い場所を好み、喧嘩ばかりしている。人間の排せつ物でも汚いものでも、腐ったものでも何でも食べます。 豚肉は伝染病の温床のようなものです。豚肉は病原菌を運びます。

豚肉

ユダヤ教徒も豚肉は禁止

定められた方法(ザフブ)以外で処理された肉を食べることも禁止。

ムスリムの手で「ビスミッラー(神の御名において)」と言い、頸動脈を切断する方法(ザフブ)で屠られた動物の肉しか食べてはならない。自然死、事故死もダメ。

海の魚・動物についてはザフブを行わなくても可。

『クルアーン』第2章172,173節

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飲酒の禁止

厳密には飲酒を避けることを強く推奨。

酔って礼拝することは禁止のため結果的に飲めない。

理由は言うまでもない。

利子(リバー)を取ることは禁止

出資者(預金者に相当)が、信頼すべき実業家に無利子で資本を提供し、その企業活動で得た利潤を分け合うパートナーシップ契約は、すべてのイスラム金融の基本。イスラム銀行はこれを仲介して手数料を得る。

利子を取る融資は禁止だが、利潤を得ることと投資は許される。

平等に扱えるなら4人まで妻を持つことができる

一夫多妻制は、少なくとも『クルアーン』成立期においては、未亡人保護の為の合理的なシステムだった。

イスラームは女性にも相続権を与えた。少なくとも『クルアーン』成立期においては、女性蔑視の宗教だとは言えない。

現在のイスラーム圏で、女性がどういう立場にいるかは、各自勉強せよ。

シャリーア=イスラーム法

【21: 】は、『クルアーン』

に基づく法体系のことで、行政法、身分法、家族法、商法など、全分野に及び、家庭生活から政治まで律する。

主な法源は①『クルアーン』、②預言者ムハンマドの言行(スンナ)、ムハンマドの言行(スンナ)を伝えた伝承がハディース。③合意(イジュマー)、④類推(キヤース)。

シャリーア

世界で一番ムスリムの多い国は?

正解 インドネシア共和国

画像の出典

• 『グローバルワイド』最新世界史図表 第一学習社

• 『タペストリー』 最新世界史図説 帝国書院• 『世界史のミュージアム』 歴史風景館 とうほう• 『アカデミア世界史』 浜島書店• 『ニューステージ』 世界史詳覧 浜島書店• 『ニュービジュアル』 新詳世界史図説 浜島書店

• 『プロムナード世界史』浜島書店• 『世界史のパサージュ』新世紀図説 とうほう

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