物流オープンデータ活用コンテストとPDRベンチマーク標準化

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物流オープンデータ活⽤コンテストと PDRベンチマーク標準化 蔵⽥ 武志 123 1 (国研) 産業技術総合研究所 ⼈間情報研究部⾨ 2 筑波⼤学 システム情報系 教授(連携⼤学院) 3 PDRベンチマーク標準化委員会 委員⻑

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物流オープンデータ活⽤コンテストとPDRベンチマーク標準化

蔵⽥ 武志123

1 (国研) 産業技術総合研究所 ⼈間情報研究部⾨2 筑波⼤学 システム情報系 教授(連携⼤学院)

3 PDRベンチマーク標準化委員会 委員⻑

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ハイブリッド測位(画像+PDR)によるAR

Panorama-based Annotation, ISWC2001, ISMAR2003など

G

Environmental mapA

B C D

E

A

B

C

F

Input frames

Position at whicha panorama is taken

PositionDirection

235 [deg]

5 [deg]From the user’s camera

Located Orientated

2

たぶん世界初

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PDR on iPhone4 (G空間EXPO2010)

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たぶん世界初

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空⾶ぶPDR

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東⼤・ANA総研の共同研究、及び東⼤・産総研の共同研究の事例⽇経情報ストラテジー12⽉号

• 飛行中の機内でCAの動線計測&おもてなし分析• PDR+BLE+マップマッチング• BLEは機内持ち込み荷物の中でラピッド設置・撤去

たぶん世界初

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サービス⼯学︓測って図る

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⽇本再興戦略2016600兆円に向けた「官⺠戦略プロジェクト10」⑥サービス産業の活性化・⽣産性向上

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• 倉庫に関するデータ︓仕分け作業データ、従業員の位置情報、バイタルデータなど

• 物流に関するデータ︓トラックの⾛⾏記録など• エリアに関するデータ︓⼈⼝、世帯、メッシュ統計など

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物流倉庫での計測とシミュレーション

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• 可視光通信とWMSにより倉庫内スタッフの動線を把握

• 「倉庫業務の⾒える化と効率化」に関して検討

• シミュレーションによるシングルピッキングとゾーンピッキングの事前評価も可能に

トラスコ中山プラネット神戸物流センター、パナソニック、フレームワークス、産総研のコラボレーション事例

2014年4月~6月

既設の照明器具台数の約半数(228台)を可視光通信⽤LED照明に取り替え

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カイゼン活動の改善

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ピッキング⽅法の事前⽐較

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シングル ゾーン⾏︓指標、列︓⼈数 4 5 6 7 8 9 10 4 5 6 7 8 9 10

効率 ⼈時⽣産性 M M M M M M M H M H H H H M

ES 各作業者の作業時間 H H H H M M M M L L L L L L

ES 各作業者の作業時間のばらつき L L L M M M M L L L H H M H

効率 チームとしての作業時間 H H M M M L L H M M L L L L

High:75%以上, Middle:75%未満25%以上 ,Low:25%未満⻘⾊が多ければ良く、⾚⾊が多ければ悪い

⾏動計測、⾏動モデル化、データ同化型シミュレーションによって、効率と従業員満⾜度(ES)が両⽴する業務プロセスの設計が可能に

ゾーン分割数7

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設置型アセット

DB携帯型装置

計算 屋外測位 屋内測位 ⽅位

N L L-M L-M M-H N/A L

IMES H M M-H L M M-H N/A

パッシブRFID L-M M-H L-M L M-H M-H M-H

アクティブRFID M-H M-H M-H L-M M M-H L

Bluetooth(BLE, iBeacon) M M-H L-M L-M M M-H L

Wi-Fi M-H M L-M L-M M M-H L

UWB H M M-H L-M H H M-H

⾳波/超⾳波 H M-H L-M L M-H M-H M-H

光通信 M-H M-H M-H L M-H H M-H

(II) 設置型センサ主体

監視カメラ/RGB-D/LRF M-H M N H H H H

⼈⼯マーカ L M M M H H H

⾃然特徴点 N H M H H H H

INS N L H L M-H M-H H

PDR N L-M M L-M M-H M-H M-H

N H N M-H M M-H M-H

M M-H M H M-H M-H M-H

コスト 計測機能

測位技術のカテゴリ

(I) 設

置型装置

と携帯・

装着型装

置のペア

(A) GNSS (GPS, みちびき)

(B) LPSタグ

を設置す

る場合

携帯・装

着型セン

サ主体

(C) 装着/携帯型カメラ

(D) ⾃蔵・慣性航法

(E) マップマッチング

(F) ハイブリッド測位

測位技術もいろいろ

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屋外測位

屋内測位

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屋内測位パラドックス(ジレンマ)「屋内測位は良さそうだけど、コストと効果は︖」

• R. Solow⽒起源の⽣産性パラドックス議論

は、屋内測位にも当てはまる– GNSS(衛星測位)と異なり、屋内測位インフラのコ

ストは直接⾒えてしまうので– パラドックスの中でも(効果が定量化できなくても)

IT化は進められてきたが…12

「膨⼤な IT 投資が⾏われたにもかかわらず、⽣産性の上昇が統計的に確認できない」

You can see the computer age everywhere but in the productivity statistics.

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PDR: Pedestrian Dead-Reckoning歩⾏者⽤相対測位(推測航法)

• 測位インフラがなくても相対測位を続けることが可能。– 屋内測位パラドックスの緩和︕

• 点の集合ではなく、線(形、曲率)としての意味を持つ軌跡を取得可能。運動の種類や⼤きさも計測可能。

• 加速度、ジャイロ、磁気の9軸、もしくは気圧を含めて10軸センサを利⽤。

• H/W化で省電⼒化も加速。• UWBなどの⾼精度測位との

相性がよい(ハイブリッド測位)• マップ・ルート情報による

⾼精度化も可能

⾃蔵センサモジュール・加速度センサ・ジャイロセンサ・磁気センサ・気圧センサ

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PDRの最前線︓進⾏⽅向推定

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• Tutorial: Personal Navigation with Handheld Devices by Valerie Renaudin, IPIN 2015.

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PDRの最前線︓進⾏⽅向推定

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• Tutorial: Personal Navigation with Handheld Devices by Valerie Renaudin, IPIN 2015.• Long Paper: Christophe Combettes, Valerie Renaudin, Comparison of Misalignment

Estimation Techniques Between Handheld Device and Walking Directions, IPIN 2015.• FIS was proposed by Kourogi and Kurata in PLANS 2014.

“Globally, the FIS method provides better results than the other two methods.”

Frequency analysis of Inertial Signals

Forward and Lateral Acc. Modeling

Principal Component Analysis

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・測位誤差︓10軸PDR(2ユーザの気圧統合)+BLE 3.609m・フロア正答率︓10軸PDR(2ユーザの気圧統合) 87.4%

(三菱重⼯⼤型⼯場での実作業時データを⽤いた検証)

9軸PDRから10軸PDRへ︕

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屋内測位パラドックスからの解放︕

NTTドコモ、ゼンリンデータコム、旭化成、産総研によるコラボレーション事例

ドコモ地図ナビ• PDRを⽤いたコンシューマサービス開始 (2015.4から)• 全国の地下鉄構内や地下街など• インフラフリー技術採⽤

によりサービスエリアを⼀気に拡⼤

• 320箇所(2015.4)から440箇所(2016.3)へ

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PDR組み込みモジュール• PDR製品の⽼舗• 単3電池駆動の実⽤

型PDRモジュール、デュアルセンサ、BLE対応等などバラエティに富むラインアップ

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産総研・杉原SEI・澁⾕⼯業の共同研究事例

組み込みPDR3兄弟

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Frizz&カード型PDRモジュール

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• メガチップス社製省電⼒PDR指向モーションコプロセッサーFrizz︓従来⽐1/20に電⼒消費を削減

• CR2016 (公称容量︓90mAh) x2個で11時間強

• 10軸PDR+BLE測位• 出退勤、⼊出管理(セキュリティ)、

作業⽀援、⾏動分析、⼈材育成、評価をトータルにサポート

産総研・メガチップスの共同研究事例サイトセンシング社(産総研技術移転ベンチャー)の開発事例

職員証(カード)

消しゴム型

組み込みPDR3兄弟

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Frizz&リストウォッチw/PDR

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組み込みPDR3兄弟

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相対測位と絶対測位を⽤いたハイブリッド測位

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移動距離の評価あるある

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• 移動距離の評価とPDRとは相性がよい。• 例えば、電波だと位置のブレと本当の移動の

切り分けが難しく、単純に加算すると数倍くらい多く移動していることになってしまう。

• ⾼精度測位(UWB、LRF)を⽤いたとしてもやはり移動距離は⻑めに出てしまう。

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なぜPDRベンチマーク︖• PDRの研究開発や実⽤化を進めている企業や⼤学

が国内外で急増– IPIN 2015では,国内学会では考えられない頻度で

PDRというキーワードが⾶び交っていた.• PDRは相対測位。GPSやWi-Fi測位のような絶対

測位とは異なる評価⽅法が必要• 仕様書や論⽂に、どのように性能を表記すればよ

いかを統⼀していく必要性

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PDRベンチマーク

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• 内部要因︓センサのオフセット・感度• 外部要因︓

• ⼈的要因︓保持・装着状態、歩⾏者特性、歩⾏以外の動作の種類や量、位置情報を⾒ながら歩くか

• 環境要因︓ルート形状、⻑さ、歩⾏可能エリアの形状、磁場、気圧、温度等の環境

• 初期/計測条件︓初期⽅位設定やセンサ校正の有無、連続計測時間

• 評価の視座︓PDR単体の評価なのか、ハイブリッド測位から⾒たPDRの評価なのか

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PDRベンチマーク標準化委員会

• 賛同組織(33組織, 2016.4.12現在)– 旭化成、アジア航測(南)、インテック、MTI、KDDI研

究所、国際航業、澁⾕⼯業、クウジット、サイトセンシング、シャープ、杉原SEI、電通国際情報サービス、⽇⽴、フレームワークス(渡辺)、マルティスープ、ミルディア、村⽥製作所、メガチップス、リクルート(⽜⽥)、リコー、レイ・フロンティア

– 愛知⼯業⼤学(梶)、明⽯⾼専(新井)、神奈川⼯⼤(⽥中)、慶⼤(春⼭、神武、中島)、筑波⼤(蔵⽥)、東⼯⼤(岡⽥)、名⼤(河⼝)、新潟⼤(牧野)、⽴命館⼤(⻄尾)、産総研(蔵⽥、興梠)、HASC、Lisra (敬称略、順不同)

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Photo by Joe Sampouw on Flickr

Ubicomp/ISWC 2015 PDR Challenge

Lisra(位置情報サービス研究機構)、PDRベンチマーク標準化委員会、HASC(⾏動センシングコンソーシアム)

サポートコミュニティ︓

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• 倉庫に関するデータ︓仕分け作業データ、従業員の位置情報、バイタルデータなど

• 物流に関するデータ︓トラックの⾛⾏記録など• エリアに関するデータ︓⼈⼝、世帯、メッシュ統計など

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PDR Challenge in Warehouse (仮)

• Ubicomp/ISWC 2015 PDR Challenge– 屋内歩⾏者ナビシナリオ– ナビ画⾯を⾒ながらの連続歩⾏– 1回に付き数分(その都度リセット)

• 2016 PDR Challenge in Warehouse (仮)– 物流倉庫ピッキングシナリオ– 歩⾏だけではなく、ピッキング作業などのさまざまな動作– ⻑時間の連続データ

• 精度、再現性、計算コスト、公正性等を評価?!

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計測内容• 計測⽅法

– Android のPDRデータロガーによるセンサデータ(加速度、⾓速度、磁気、気圧)の計測

– WMSのピッキング位置の取得– 倉庫内図⾯(ルート制約)– BLE等の測位インフラは未設置

• 2016年2⽉17⽇約4時間• トラスコ中⼭北松⼾⽀店2F• 対象者数 12名

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倉庫管理システム︓WMS(Warehouse Management System)

ID、ピッキング⽇時、棚位置、商品CD、ピッキング数量→ ピッキング位置・時刻情報を取得

HT

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WMSの棚の前の通路位置

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交差点ノードとエッジの作成

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ピッキング作業者軌跡

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測位&全⾝姿勢推定&負荷推定

ウェアラブルメニーセンサ(センサスーツ)による詳細⾏動計測︓技能伝承、作業⽀援、改善⽀援、災害救助、

少数のウェアラブルセンサでの⾏動計測のための機械学習⼿段(PDRベンチマークのGround Truth)

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IPIN2017

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関連書籍紹介

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サービス⼯学51の技術と実践(朝倉書店)

様々な業種業態でのサービス⼯学的取り組み事例を

紹介

社会の中で社会のためのサービス⼯学

~モノ・コト・ヒトづくりのための研究最前線~(カナリア書房)

主に産総研のサービス研究事例を紹介

AR(拡張現実)技術の基礎・発展・実践(科学情報出版)

屋内測位や実空間のモデル化についても紹介

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いろいろ募集中︕(つくばだけど)

• 産総研– インターン(1か⽉から年単位まで)– RA(⼤学院⽣︓研究で給与)– 産総研特別研究員(ポスドク)– 共同研究

• 筑波⼤学⼤学院– 修⼠課程・博⼠課程・社会⼈