医学医療系 抗体医薬 -...
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CD8
NK
CD8
NK
正常細胞形質転換
防 御
NK
CD8
排 除
平 衡
CD8+T細胞
NK 細胞
逃 避
免疫監視
腫瘍細胞
NK 細胞
CD8+
T細胞
CD8+T 細胞 腫瘍細胞
Killing
TCRAg
MHC
DNAM-1 CD155/CD112
Signal
0
20
40
60
80
100
0 200 400
% M
ice w
ith s
arc
om
a
Days after MCA treatment
WT
DNAM-1KO
P<0.01
発がん率 生存率
0
20
40
60
80
100
0 200 400
% S
urv
ival
Days after MCA treatment
P<0.001
WT
DNAM-1
KO
背 景 (1)
0
10
20
30
0 20 40 60
Tum
or
siz
e (
cm
3)
Days after inoculation
■ sCD155-MethA(n=15)
◆ Mock-MethA(n=15)
sCD155-MethAor Mock-MethA8x104 cells s.c.
0
20
40
60
80
100
0 20 40 60
% S
urv
ival
Days after inoculation
N.D.
sCD155-MethA
→sCD155 →mCD155
Mock-MethA
ELISA FACS(Culture sup)
0
10
20
30
0 20 40 60
Tum
or
siz
e (
cm
3)
Days after inoculation
0
20
40
60
80
100
0 20 40 60
% S
urv
ival
Days after inoculation
* P<0.001
Mock-MethA
sCD155-MethA
sCD
15
5 (
ng
/ml)
~~
Gastric ca.
** *
*** *
Ex 8Ex 7Ex 6Ex 5Ex 4Ex 3Ex 1 Ex 2
Ex 8Ex 76Ex 5Ex 4Ex 3Ex 1 Ex 2
Ex 8Ex 7Ex 5Ex 4Ex 3Ex 1 Ex 2
a
b
g
TM
可溶型
膜型
可溶型膜型
子宮頸がん
HeLa
H2
O
GAPDH
CD155 a
b
g
1 2 3 4 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 6 7
卵巣がん 子宮体がん
膜型CD155
可溶型CD155
背 景 (2) 背 景 (3)
図1腫瘍免疫監視と逃避
正常細胞が腫瘍化すると、免疫システムによって除去される。これを免疫監視という。一方、腫瘍は免疫監視からの逃避機構を有する。発がんは、免疫監視と逃避のバランスの結果であると考えられている。
A
B
A B
C
図2活性化受容体DNAM-1と膜型CD155による免疫監視
私たちはこれまでに活性化受容体DNAM-1が腫瘍上のCD155と結合して腫瘍を殺傷することを見出した(A)。DNAM-1欠損マウスでは、発がん率が上昇し、生存率が下がる(B)。このことから、生体内にてDNAM-1が腫瘍免疫監視を行なっていることが明らかとなった。
図3 ヒトの腫瘍は可溶型CD155を産生している
マウスCD155と異なり、ヒトCD155には膜貫通部位を欠損するスプライシングバリアントが存在する(A)。このスプライシングバリアントがコードする可溶型CD155の構造を示す(B)。私たちは、ヒト腫瘍細胞が可溶型CD155を発現していることを観察した(C)。
目 的
ヒト腫瘍から産生される可溶型CD155 (sCD155) の腫瘍免疫における機能を明らかにする
結 果(1)
A 図4 血清中可溶型CD155はがん患者において高値を示す
B C
(A) がん種別のがん患者と健常人の血清中の可溶型(sCD155)の値を示す。解析した全てのがん種において、がん患者血清中のsCD155は健常人に比較して有意に高値を示した。
(B) 胃がん患者の血清中sCD155値をステージ1&2とステージ3&4に分けて示す。ステージ3&4の進行がんの胃がん患者の血清中sCD155はステージ1&2の胃がん患者と比較して有意に高値を示した。
(C) 術前後の患者の血清中sCD155値を示す。がん切除後の患者の血清中sCD155値は、術前に比較して優位に低くなった。
以上のことから、血清中のsCD155値は、がんの進展の指標となることが示唆された。*, P<0.05; **, P<0.01; ***, P<0.001;****, P<0.0001.
結 果(2)
Mock-MethA
sCD155-MethA
発がん率 発がん率生存率 生存率
A
B WT C DNAM-1 KO
図5 腫瘍から産生される可溶型CD155は免疫逃避を促進する
(A) 可溶型CD155 (sCD155) の腫瘍免疫応答における機能を解析するために、sCD155産生腫瘍株を作製し、マウスに移入した。
(B) 野生型マウスにsCD155産生腫瘍株とコントロール腫瘍株を移入した時の発がん率と生存率を示す。sCD155産生腫瘍株は拒絶されずに速やかに増大し、移入したマウスの生存率は有意に低下した。
(C) 一方、DNAM-1遺伝子欠損マウスにこれらの腫瘍株を移入しても、発がん率、生存率に差を認めなかった。
以上のことから、腫瘍から産生されるsCD155は、DNAM-1による腫瘍免疫からの逃避に関与していると考えられる。
考 察
膜型CD155
細胞傷害活性
DNAM-1
腫瘍細胞CD8+T細胞/
NK細胞可溶型CD155
膜型CD155
DNAM-1腫瘍細胞
CD8+T細胞/NK細胞
A B
図6 可溶型CD155による腫瘍免疫逃避メカニズムの考察
免疫活性化受容体が腫瘍細胞上の膜型CD155と結合すると、活性化シグナルが伝達され腫瘍が排除される (A)。腫瘍から産生される可溶型CD155は、DNAM-1の膜型CD155結合部位に結合することにより、DNAM-1と膜型CD155の結合を阻害し、これにより免疫細胞の細胞傷害活性を阻害していると考えられる(B)。
今 後 の 展 開
(1)新規がん治療法への応用
腫瘍から産生される可溶型CD155が、腫瘍の免疫逃避に関与していることを示した。このことより、がん患者の生体から可溶型CD155を除去すれば、腫瘍の免疫逃避が回避され、生体が本来有する腫瘍免疫応答によって腫瘍を排除できるようになると考えられる。今後は、可溶型CD155特異抗体等による可溶型CD155の除去方法の確立とその抗腫瘍効果を解析し、新規がん治療法への応用を目指す。
(2)既存の免疫療法との作用機序の違い
昨今注目されている免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1をはじめとする抑制性受容体からの抑制シグナルを阻害することで、免疫システムを活性化する。しかし、抑制シグナルを阻害しても、肝心の活性化シグナルが存在しなければ十分な抗腫瘍効果は得られない。本研究では、可溶型CD155が活性化シグナルを直接阻害していることが明らかになった。可溶型CD155の除去は活性化シグナルを増強する。すなわち、可溶型CD155除去による抗腫瘍効果は、従来の免疫チェックポイント阻害剤とは作用機序が全く異なる。したがって、免疫チェックポイント阻害剤の効果不十分な症例に対しても、可溶型CD155除去療法を併用することで、効果が高まることが期待できる。
文 献
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可溶型免疫受容体を標的としたがん免疫活性化剤の開発
1-9-2
医学医療系 准教授 渋谷和子
抗体医薬医学医療系
連絡先 ①研究代表者:渋谷和子 ②産学連携:山本信行 ③事務局:産学連携企画課[email protected] [email protected] [email protected]