はじめにはじめに 『液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律』は、一般消費者等に おけるLPガスによる災害の防止及びLPガスの取引を適正にすることなどを目的と
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日本のLPガス政策について
平成26年3月6日経済産業省
資源エネルギー庁 石油流通課液化石油ガス産業担当 企画官
小 島 暢 夫
世界のLPガス消費と輸入における日本の位置付け(2012年)
出典:世界LPG協会(WLPGA)発表データから資源エネルギー庁で作成
我が国は、LPガス消費量においては世界第4位、輸入量では第1位。
国 名 消費量(千トン)
アメリカ 53,790
中国 23,834
サウジアラビア 21,380
日本 17,341
インド 15,369
ロシア 8,840
メキシコ 8,299
韓国 8,908
カナダ 7,531
タイ 7,386
ブラジル 7,135
インドネシア 5,080
その他 83,400
国 名 輸入量(千トン)
日本 13,419
韓国 6,008
インド 5,850
アメリカ 5,421
中国 3,376
トルコ 2,999
フランス 2,861
エジプト 2,684
インドネシア 2,670
メキシコ 2,656
オランダ 2,207
イタリア 2,134
その他 30,701
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供給の状況
○ 日本におけるLPガスの供給構造は、輸入依存度は約8割、輸入に占める中東依存度は約8割と
なっている。
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供給の構成(平成24年度)
輸入(78.8%)
石油精製(19.6%)
↓石油化学(1.6%)
供給合計 約1,674万トン
サウジアラビア(14.6%)
UAE(24.2%)
カタール(30.2%)
中東計約83.3%
クウェート(14.1%)
イラン(0%)
オーストラリア→(10.8%)
東チモール(0.2%) →
↓その他(2.0%)
輸入合計 約1,324万トン
アメリカ(3.7%) ↓
輸入の構成(平成24年度)
(出典)日本LPガス協会資料 (出典)財務省貿易統計
LPガスは、全国総世帯の過半数(約2,500万世帯)の家庭用燃料、全国約21万台のタクシー燃
料として利用されるなど、様々な分野で使用されている国民生活に密着したエネルギー。
LPガスの国内需要の推移我が国の部門別LPガス総需要(平成24年度)
家庭業務用
(48.8%)
工業用
(17.2%)
化学原料用
(12.2%)
都市ガス用 (6.7%)↓
自動車用→
(6%)
電力用(9.1%)↓
(出典)日本LPガス協会資料
平成24年度総需要は、昨年度と比較し、約37万トンの減少。引き続き、1,600万トン台で推移。
都市ガス用、電力用以外は対前年度比で減少。特に電力用は、原子力発電所の停止を受け、LPGによる火力発電も増加したため、大幅増となっている。
総需要合計 約1,657万トン22年度 23年度 24年度
国内需要 1,681(2.0) 1,694(0.8) 1,657(▲2.2)
家庭業務用
862(▲2.7) 827(▲4.1) 827(0.0)
(注)( )内は対前年度比。「国内需要」は総需要から輸出分を除いた値。
(単位:万トン、%)
国内需要の動向
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東日本大震災(2011年3月)の被災者への仮設住宅の熱源にLPガスを活用
東日本大震災での避難所における炊き出しの熱源にLPガスを活用
①【軒下在庫】:通常、各家庭にはLPガスボンベが2本設置され、供給途絶時も軒下在庫として平均1ヵ月以上使用可能
②【迅速な復旧】:個別供給するLPガスは、1戸単位での迅速な復旧が可能
③【炊き出しへの活用】:軒下在庫や災害バルク等を用い、被災初動時に地域の公民館などで暖房・炊き出し用熱源として利
用され、被災者の生活の維持に有効
④【劣化しない】:LPガスは劣化しない性質のため、備蓄に適し、廃棄コストの削減可能
⑤【LPG車の活躍】:ガソリンが不足した際もタクシー等のLPG車が走行可能
⑥【都市ガスへのバックアップ】:移動式ガス発生装置を活用し、都市ガス供給エリアの病院、避難所等にLPガスを供給可能
(出典)「東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に関する調査 報告書」
東日本大震災におけるライフラインの復旧状況
災害時に初期対応に適したエネルギー
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○ LPガスは 4月21日 に全面復旧
○ 都市ガスは 5月3日 に全面復旧
○ 電力は 6月18日 に全面復旧
震災時にも有効なライフラインとしてのLPガスの整備
①LPガス国家備蓄の推進
②石油備蓄法に基づく災害対応、LPガスサプライチェーンの維持
③地方自治体との協力
我が国の約半数の世帯に供給されているLPガスは、災害に強い分散型エネルギーとして、政府の国土強靱化政策の中でも重要な位置づけ。
その有効性を活かすために、今後とも環境整備施策を実施する予定。
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LPガス国家備蓄の推進①
【備蓄量】 (平成25年11月末現在)
● 現在国家備蓄及び民間備蓄・在庫合計で
約87日分
① 国家備蓄:25日分(約82万トン)
② 民間備蓄:備蓄義務50日分
+12日分流通在庫(合計202万トン)
○ LPガスは、様々な分野で使用されている国民生活に密着した重要なエネルギーであることから、安定供給
を確保するため、石油備蓄法に基づき備蓄を実施。
○ 我が国のLPガスの備蓄は、 ①国家備蓄 及び ②民間備蓄 (石油ガス輸入業者による備蓄)からなっ
ている。
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LPガス国家備蓄基地
LPガス国家備蓄の推進②
【地下国家備蓄基地】
● 水封式地下岩盤貯槽方式
愛媛県波方基地(45万トン)(2013年3月完成)
岡山県倉敷基地(40万トン)(2013年3月完成)
7
第2地域
第1地域
第3地域
第4地域
第5地域第7地域
第6地域
第8地域
第9地域
(1)LPガス備蓄の放出要件の見直し海外からの供給不足に加え、災害時における国内の特定の地域へのLPガスの供給不足時にも、備蓄LPガスの放出が可能。
(2)災害時のLPガス事業者の共同体制の構築一定規模以上の石油ガス事業者が、共同で、地域ごとに、災害時の石油ガスの供給に関する計画を策定。
備蓄法に基づく地域毎の災害時供給連携計画の策定
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LPガス中核充填所の各県における整備
○石油ガス安定供給体制整備事業・平成23年度3次補正予算・平成24年度当初予算・平成24年度補正予算上記3事業によって、全国344ヶ所の中核充填所を整備。
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災害時対応中核充塡所
被災者・被災地
LPG自動車による、①燃料の配送②物資の運搬③流出ボンベの撤去 等が可能となる。
・LPG自家発電設備の設置・ディスペンサーの配備・LPG配送車を配備・LPG軽自動車を配備・出荷設備の配備・緊急時通信設備の配備
自治体等
連携
・北海道、岩手県、千葉県、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、京都府協会については90%~100%と
ほぼすべての地方自治体と災害協定を締結している。
各県協会の地方自治体との災害協定締結状況
地方自治体との協力 ~ 避難施設におけるLPガスの確保 ~
・長期的な避難
(3)避難所に必要な施設・設備・機器の整備に努めます。
○貯水槽、井戸、仮設トイレ、マット、簡易ベッド、非常用電源、衛星携帯電話等の通信機器、空調、洋式トイレ、テレビ、ラジ
オ、ポータブル発電機、炊き出し用器具、LPガス等
・防災中枢機能の確保、充実(停電時の利用)
○災害応急対策にかかる機関は、保有する施設、設備について自家発電施設等の整備を図り、停電時でも利用可能なものと
します。その際、十分な期間の発電が可能となるような燃料(軽油、ガソリン、LPガスなど)の備蓄に努めます。
(すべての防災関係機関、救急医療を担う医療機関)
・ライフライン等施設の応急対策(避難所への支援)
○(社)高知県エルピーガス協会は、各支部により避難所での炊出し、給湯の支援を行います。
地域防災計画の改正事例 「高知県地域防災計画(一般対策編)」(平成24年修正)(抜粋)
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都道府県 政令指定都市 市 特別区 町 村
締結数/地方公共団体数
34/47 9/20 382/769 6/23 298/746 38/184
*出典:(財)地方自治情報センター/都道府県別市区町村数(平成24年10月1日現在)
地域の地方自治体によるLPガスの整備状況
【北海道】
○ 名寄市は、北海道LPガス協会上川支部名寄分会からの要望を踏まえ、当初、建物熱源が電気で決まりかけていた市の新設公共施設「駅前交流プラザ」にGHPを平成25年3月設置した。
【埼玉県】
○ 県協会朝霞支部において富士見市に対して小中学校へのGHP導入について市長、市議会、教育委員会など多面的に要請を行ったところ、平成24年8月末の市の補正予算により市内17の小中学校のうち12校でLPガスによるGHPを導入。平成25年度は、GHP燃料としてLPガスの貯蔵タンクを設置する全小学校と一部の中学校に、LPガス発電機や炊飯器などを配備し、災害時の避難所機能を強化。
【神奈川県】
○ 川崎市は、地元事業者からの要望を踏まえ、平成25年度から都市ガス利用の公立学校を対象にLP
ガスの併用を始めることし、初期7校分を予算計上した。主に1階の管理室や特別活動室などに設
置する予定。今後4年間かけて市内約120校に導入する構想。
○ 横浜市は、中学校が避難場所になったときに確実に炊き出しかまどが使えるよう、平成25年度から
都市ガスエリア内にありLPガスを使用していなかった市内の中学校78校の全てにLPガス設備を常
設する。50Kg容器を4本備え、体育館のシャワー用などに使う。
【奈良県】
○ 平成23年の紀伊半島大水害で十津川村などで最大2週間程度停電した経験を踏まえ、中山間地域の非常用電源として有効なLPガス発電のモデルとして、都道府県自治体で初めて、経済産業省の国庫補助を活用したLPガス発電設備を十津川高校に導入
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「エネルギー基本計画への意見」 の中に示されたLPガスの位置づけ(総合資源エネルギー調査会基本政策分科会)
〈LPガス〉①位置付け
中東依存度が高く脆弱な供給構造であったが、北米シェール随伴の安価なLPガスの購入などが進んでおり、地政学的リスクが小さくなる方向にある。化石燃料の中で温室効果ガスの排出が比較的低く、最終需要者への供給体制及び備蓄制度が整備され、可搬性、貯蔵の容易性に利点があることから、平時の国民生活、産業活動を支えるとともに、有事にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源である。②政策の方向性
災害時にはエネルギー供給の「最後の砦」となるため、備蓄の着実な実施や中核充填所の設備強化などの供給体制の強靭化を進めるとともに、供給構造の改善を通じてコストを抑制することで、利用形態の多様化を促進するとともにLPガス自動車など運輸部門においてさらに役割を果たしていく必要がある。
<課題> (総合資源エネルギー調査会基本政策分科会 (第4回会合 平成25年9月17日(火))資料より)
日本のLPガス販売事業者は①調達ソース多角化とLPガス供給構造改革が必要。○例えば、米国のシェールガス・オイル随伴LPガスの調達増などの多角化を図るとともに、充てん所の統合や集中監視システムの導入等の供給構造の改善が必要。
②新しい事業の創出が必要。○例えば、売電事業や都市ガス事業といった他のエネルギービジネスへの参入、アジア諸国等へのLPガスの安全機器の輸出などが考えられる。
③エネルギー利用の多様化に資する高効率LPガス機器の普及促進が必要。○需要家側での備蓄(軒下在庫)を活用したLPガスコジェネレーションシテムの普及促進を図る。
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※調達量は、2016年に約180万トン(日本の年間輸入量の約14%)を越える見込み。※他にも、東ティモール、豪州など、非中東産LPガス調達に向けた動き
米国からの調達見通し
中東依存度が高い中、価格面、リスク低減両方の観点から北米からの調達を進めるため、シェールガスに随伴するLPガスを、調達する動きが出ている。
化石燃料の調達国多角化の取組(LPガス)
調達国の多角化
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○環境特性が高くクリーンなガス体エネルギーであるLPガスは、劣化がなく可搬性に優れており、需要家側に在庫として備蓄することが可能であるとともに、エネルギー利用多様化の視点も踏まえ、空調などの設備において使用するエネルギーを電力から他の燃料にシフトすることについても、節電・ピークカット対策として有効な手法。
(そのため、災害初動時及び孤立した地域においてはいち早い対応が可能。)○LPガスが強靱なエネルギーであることを発揮し、またLPガス事業が地域密着型の燃料として発展するためには、流通構造などを改善し、新しい機器によるLPガスの新しい豊かさを普及していくことが重要。
小型燃料電池
学校病院
オフィスビル マンション
バルク貯槽
コジェネ
公民館
戸建て住宅
小型燃料電池ボンベ
コジェネ
コジェネ
バルク貯槽
バルク貯槽
発電機発電機
発電機
発電機
LPガスコジェネレーション等の普及促進について
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家庭用燃料電池
炊き出しこんろ
電力
LPガス自動車/ LPガスハイブリッド自動車
LPガス簡易スタンド
LPガス(液体)
LPガス(気体)
ガス栓箱
ストーブ
(エネファーム)
(プロパンガスをLPガス自動車に充てんするケースも増えつつある。)
可搬形発電機
バルク貯槽
バルク貯槽+災害に強い機器(エネファーム、炊き出しセット、LPガス自動車)
○災害時に送電網からの電力供給が途絶した場合でも、避難所等に電力、温水、温かい食事、暖房を供給可能
○自動車も移動・連絡手段に使用可能
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電力温水