作業マニュアル・経営意思決定支援システムの実証...

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食料生産地域再生のための先端技術展開事業 作業マニュアル・経営意思決定支援システムの実証研究 〔研究実施期間〕 平成24年度~平成26年度 〔分類〕個別要素技術型研究 (研究課題名 :土地利用型営農技術の実証研究) 研究の背景・課題 研究の目標 研究成果概要 〔研究機関〕 富士通株式会社 大規模化された農業経営においては、人材の外部雇用により、組織的・計画的な営農活動が求め られる。 経営の継続・発展のためには、生産・経営プロセスの見える化、事実に基づいた経営意思決定、人 材育成・後継者育成といった他産業と同様の手法を適用し、経営力強化を進める必要がある。 農業クラウドシステムを経営体が導入し、作業実績データを正確かつ継続的に入力する習慣が定 着するよう支援する。 クラウドシステム:データ等をインターネット上で保存して、パソコンやスマートフォンなどで利用する方法のこと。 蓄積されたデータを整理・分析・加工することで、食料生産地域再生を担う大規模土地利用型経営 体にとって有益な作業マニュアルや経営意思決定支援のための情報を提供する。 データ蓄積を通じて提供される作業マニュアルや経営意思決定支援等の情報によって経営体の改 善活動を促し、結果として生産効率の向上・コスト半減に寄与する。 データを活用した営農活動サイクル(蓄積→集計→分析→経営意思決定→実 行)を経営体自身が運用するスタイルの定着が進んだ。 年間作業の流れを農業の経験の少ない者でも把握できるように、農作業の実績 データから作業暦の作成を可能にした。これらのデータを次年度の作業計画を 立案に活用し、収量・品質・作業効率の改善に役立てる。 収穫適期予測をもとにした刈り取り計画支援や、水稲一作分の品種毎・一筆毎 の直接原価(人件費・農薬肥料費)算出など、生産の見える化・数値化を可能に した。これにより、コスト改善・高品質化のための基礎データとして次年度栽培時 に活用を可能とした。 研究の内容 農業現場で生まれるデータ(作業実績、生育状況、気象)を農業クラウドシステムに蓄積し、 ①作業マニュアル(経験者の経験・知恵・ノウハウを経営体向け最適化した栽培暦)や、 ②経営意思決定支援データ(作物毎の指標値や直接原価等の情報)を提供することによって、 技能伝承や人材育成、事実・数字に基づいた経営判断を支援し、強い農業経営の実現に寄与する。 平成24年度 現状把握・組織の変化 [システムの導入] 平成25年度 課題抽出・改善計画 [前年比較・マニュアル化] 平成26年度 生産効率向上・コスト改善 [改善活動の実行]

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食料生産地域再生のための先端技術展開事業

作業マニュアル・経営意思決定支援システムの実証研究

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究 (研究課題名 :土地利用型営農技術の実証研究)

研究の背景・課題1

研究の目標

研究成果概要4

〔研究機関〕富士通株式会社

大規模化された農業経営においては、人材の外部雇用により、組織的・計画的な営農活動が求められる。

経営の継続・発展のためには、生産・経営プロセスの見える化、事実に基づいた経営意思決定、人材育成・後継者育成といった他産業と同様の手法を適用し、経営力強化を進める必要がある。

農業クラウドシステムを経営体が導入し、作業実績データを正確かつ継続的に入力する習慣が定着するよう支援する。

※クラウドシステム:データ等をインターネット上で保存して、パソコンやスマートフォンなどで利用する方法のこと。

蓄積されたデータを整理・分析・加工することで、食料生産地域再生を担う大規模土地利用型経営体にとって有益な作業マニュアルや経営意思決定支援のための情報を提供する。

データ蓄積を通じて提供される作業マニュアルや経営意思決定支援等の情報によって経営体の改善活動を促し、結果として生産効率の向上・コスト半減に寄与する。

データを活用した営農活動サイクル(蓄積→集計→分析→経営意思決定→実行)を経営体自身が運用するスタイルの定着が進んだ。

年間作業の流れを農業の経験の少ない者でも把握できるように、農作業の実績データから作業暦の作成を可能にした。これらのデータを次年度の作業計画を立案に活用し、収量・品質・作業効率の改善に役立てる。

収穫適期予測をもとにした刈り取り計画支援や、水稲一作分の品種毎・一筆毎の直接原価(人件費・農薬肥料費)算出など、生産の見える化・数値化を可能にした。これにより、コスト改善・高品質化のための基礎データとして次年度栽培時に活用を可能とした。

研究の内容

農業現場で生まれるデータ(作業実績、生育状況、気象)を農業クラウドシステムに蓄積し、①作業マニュアル(経験者の経験・知恵・ノウハウを経営体向け最適化した栽培暦)や、②経営意思決定支援データ(作物毎の指標値や直接原価等の情報)を提供することによって、技能伝承や人材育成、事実・数字に基づいた経営判断を支援し、強い農業経営の実現に寄与する。

平成24年度現状把握・組織の変化

[システムの導入]

平成25年度課題抽出・改善計画

[前年比較・マニュアル化]

平成26年度生産効率向上・コスト改善

[改善活動の実行]

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システムに蓄積された実績データを活用し、これまで勘や経験で行っていた経営上の意思決定を事実に基づく客観的データを使って行うことで、経営強化に貢献する。

問い合わせ先:富士通(株) TEL:03-6424-6270

蓄積 活用

システム

作業マニュアル(作業暦)

研究概要

システム・定例会

経営意思決定支援データ

記録

作業

生育

気象

一度入力された実績データをそれぞれの立場に応じて、様々なシーンで活用

経営者管理者 作業者

品目ごと品種ごとの10aあたりコスト・作業時間 網羅型研究(出穂予測)との連携による収穫適期予測

コスト分析 収穫ピーク予測

栽培方法の改善 作付品種の選定 収穫順番の確定 作期分散の検討

農作業進捗状況確認

農作業計画立案

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

革新的作業体系を提供するイチゴ・トマトの密植移動栽培システムの研究開発

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(研究課題名:大規模施設園芸技術の実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容

研究の目標

イチゴとトマトの密植移動栽培により、単位面積あたりの収量を増加させるとともに、作業体系の変革をもたらす新しい栽培システムを開発する。株あたりの生産コストを考えると、高密植栽培によりハウス建設などのイニシャルコスト及び、暖房や炭酸ガス施肥などのランニングコストの低減が期待できる。

山元町の大規模施設園芸研究実証施設に、52台の栽培ベッド等から成るイチゴ循環式移動栽培装置を設置し、連続運転による定植、防除、かん水作業等の栽培実証試験を行った。

かん水・防除作業の自動化、定植作業の約26%の作業時間短縮を確認した。また移動栽培装置(栽植密度16,667株/10a)および慣行高設栽培(同8,000株/10a)における全収量(平成26年1月~5月)を比較したところ、単位面積当り収量が倍増する見込みが得られた。

栽培ベッド間の距離を調節することにより、慣行低段栽培の1.5倍の栽植密度で密植栽培可能なトマト移動栽培装置を開発した。本装置は、ロックウール栽培ベッド、車輪などからなり、生育ステージに合わせて栽培ベッド間の距離をハンドルまたは電動モータで調節できる。実証施設および野菜茶業研究所の2か所で実証栽培試験を行った結果、1作(約4ヶ月)の収量が11~14t/10aとなり10t/10aを超えたことで、年間3作とすると収量が年間30t/10a以上となる見込みが得られた。

イチゴ栽培において単位面積あたりの収量を倍増する技術体系(3.5t/10a7t/10a)の確立を目指す。

トマト栽培において単位面積あたりの収量を1.5倍増する技術体系(20t/10a30t/10a)の確立を目指す。

〔代表機関〕国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(生物系特定産業技術研究支援センター)

〔参画研究機関〕国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(野菜茶業研究所)

イチゴの慣行高設栽培の栽植本数は7,000~8,000本/10aである。作業に必要な通路をなくし、栽培ベッドを循環させることで16,000本/10a程度の高密植栽培を実証する(単位面積あたりの収量増)。

トマト低段栽培の栽植本数は4,500~6,000本/10aである。生育段階に応じて条間を調整する機構を開発することで8,000本/10a程度の高密植栽培を実証する(単位面積あたりの収量増)。

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問い合わせ先:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農業技術革新工学研究センター)

TEL:048-654-7000(代表)

革新的作業体系を提供するイチゴ・トマトの密植移動栽培システムの研究開発

栽植密度9000本/10a

栽植密度6700本/10a

イチゴの移動密植栽培 トマトの移動密植栽培

生育ステージに合わせて条間の間隔を調節

※慣行低段栽培の栽植本数は4500~6000本/10a

作物を移動させることで栽植密度を増大させ、土地生産性の向上を図る

●イチゴ・トマトの移動栽培装置を開発、山元町の大規模施設園芸研究施設で実証

●気象条件や品種にあった移動栽培技術の確立が課題

移動栽培 16667 433 7208慣行栽培 8000 472 3772

移動/慣行比 2.1 0.9 1.9

株当り全収量(g/株)

単位面積当り全収量(kg/10a)

試験区栽植密度(株/10a)

移動栽培装置と自動防除・かん水の様子

定植作業時間の比較

収量の比較

移動栽培装置(左:手動式、右:電動式)

収量の比較(1作当たり)

試験区

年度 場所 品種1作当り収量(t/10a)

りんか409 11.1桃太郎ヨーク 10.9りんか409 13.5

13.210.6

移動栽培

実証施設

実証施設慣行栽培

野茶研

桃太郎ヨーク

りんか409 5.7

H25

H25

H26

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

イチゴ高設栽培システムの標準仕様の策定

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(研究課題名:施設園芸栽培の省力化・高品質化実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容3

〔代表機関〕国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(野菜茶業研究所)〔参画研究機関〕宮城県農業園芸総合研究所、香川県農業試験場、愛知県農業総合試験場、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(東北農業研究センター)

研究の目標2

亘理町のイチゴ団地では、本実証研究が提案している独立プランタとクラウン温度制御を中心とする栽培槽を導入することになった(図1)。

圧縮梱包されたヤシガラ培地を水で復元した直後は培地内のECが高く、Naイオン濃度高く、そのままでは使用できない。しかし、培地量と等量程度のかん水を行うとEC、Na濃度は大きく低下し、使

用可能となる(図2)。発泡スチロール製プランタとクラウン温度制御を組み合わせることで収量が高くなることが確かめられた(図3)。

イチゴ高設栽培で広く利用されているヤシガラとピートモスについて、異なる給液条件を設定して栽培試験を行ったところ、ヤシガラ培地は連用年数や給液量によって収量が異なることが明らかとなった(図4、5)。

亘理町、山元町のイチゴの生産復興の技術的な支援を通して高設栽培の問題点を抽出し、また、モデル実験の結果を考慮して、研究コンソーシアムが推奨する仕様を暫定的な標準仕様としてまとめた(表1)。

イチゴ産地である亘理町、山元町において、JAみやぎ亘理や普及センターと協力しながら、導入するイチゴ高設栽培の仕様(亘理仕様)策定を支援し、さらに高設栽培を導入した生産者を技術的に支援を行う。

全国の高設栽培実態調査、主要な高設栽培と亘理仕様の比較栽培試験、モデル実験を行い、国内のイチゴ高設栽培システムの特徴をタイプ別に整理するとともに、亘理仕様を改良し、イチゴ高設栽培の標準仕様を策定する。

培地種類、栽培槽の材質や形状の条件を変更して栽培試験を行い、モデル実験や技術支援によって得られた知見を活用して、標準仕様を提案する。

全国高設栽培実態調査、モデル実験、比較栽培試験の結果をまとめて高設栽培システムの特徴をタイプ別に整理するとともに、得られた知見とノウハウを活用して亘理仕様を改良し、イチゴ高設栽培の標準仕様の策定する。

東日本大震災の津波によって大きな被害を受けた東北地方最大のイチゴ産地である亘理町、山元町では新たに高設栽培を用いたイチゴ団地が建設され、平成25年9月からイチゴを定植して生産を再開している。本研究ではイチゴ生産者に対して、技術的支援を行いながら、高設栽培の問題点を抽出する。そして、イチゴ高設栽培システムに必要な仕様を整理し、標準モデルを提示する。

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図1 亘理町にて導入する予定のイチゴ栽培ベッド亘理町山元町の生産者に対する技術支援

(講習会)の実施

高設栽培モデル実験 様々なヤシガラ培地の特性調査

表3 供試培地の特性

原産国 含水比 液相率 仮比重 C含有率 N含有率 C/N比 pH

(%) (g/cm3) (mg/g) (mg/g)

A ヤシガラ スリランカ 7.29 54.7 0.075 443 5.88 75.3 6.2B ヤシガラ スリランカ 6.85 50.0 0.073 445 6.59 67.6 6.5C ヤシガラ スリランカ 8.16 47.3 0.058 453 5.03 90.1 6.4D ヤシガラ スリランカ 7.36 62.6 0.085 380 4.75 79.9 6.6E ヤシガラ スリランカ 4.14 35.6 0.086 477 5.87 81.2 6.4F ヤシガラ スリランカ 6.32 51.8 0.082 493 6.72 73.3 6.4G ヤシガラ スリランカ 9.25 63.8 0.069 472 4.55 103.6 6.4H ヤシガラ インド 6.96 57.8 0.083 439 5.55 79.1 6.4I ヤシガラ スリランカ 5.45 30.5 0.056 470 3.89 120.9 5.9J ヤシガラ スリランカ 5.03 34.0 0.067 483 3.05 158.2 5.8K ヤシガラ スリランカ 6.82 55.9 0.082 440 5.02 87.7 6.1P ピートモス カナダ 6.08 53.5 0.088 519 6.60 78.6 4.5

資材

A B C D E F G H I J K P0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

0

10

20

30

40

50

60

70

80EC(dS

/m)

Naイ

オン濃

度(m

g/L)

培地

初期EC かん水後EC

初期Na かん水後Na

図2 各培地の初期およびかん水後における抽出液EC、Naイオン濃度

ヤシガラ培地では復元後初期の水抽出液EC、Naイオン濃度がやや高いが、培地量と等量程度のかん水により、EC、Na濃度は大きく低下する。

図3栽培槽と加温処理が収量に及ぼす影響(収穫期間:平成24年11月~平成25年4月末、品種:ゆめのか)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

シート加

温なし

発泡加温なし

シートク

ラウン加温あり

発泡クラウン加温あり

シート培

地加温あり

発泡培地加温あり

4月3月2月1月12月11月

ゆめのか

イチゴのクラウン(株元)加温用熱交換パイプの敷設状況(矢印で示した部分)

発泡スチロール性ベッドとクラウン温度制御で収量が高いことが確かめられた。

商品果収量(g/株)

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問い合わせ先:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(野菜花き研究部門) TEL:029-838-8681

ピートモスと比べてヤシガラを培地とする場合は給液量が収量に影響しやすい。

図5 培地種類、栽培の形状、給液量が商品果収量に及ぼす影響(収穫期間:平成26年1月~平成25年5月末、品種:もういっこ)

図4 培地種類および連用年数が商品果収量に及ぼす影響(収穫期間:平成25年12月~平成26年5月、 品種:さちのか)

ヤシガラを培地とする場合は、培地の物理性が経年変化するので、給液管理(1回当たりの給液量、1日当たりの給液回数)を変更する必要がある。

0

100

200

300

400

500

600

一年目 二年目 一年目

ヤシガラ ピート

モス

商品

果収

量(

g/株

培地/連用年数

5月

4月

3月

2月

1月

12月0

100

200

300

400

500

600

700

標準 2倍 標準 2倍 標準 2倍 標準 2倍

独立型(亘理) 連続型(宮城) 独立型(亘理) 連続型(宮城)

商品

果収

量(

g/株

培地/栽培槽/給液量

5月

4月

3月

2月

1月

ヤシガラ ピートモス

構成要素 項目 備考

透水性大 保水性大養水分供給 やや不安定 安定

ガス環境 良好過湿による酸素欠乏、CO2濃度上昇

培養液の広がり 広がりにくい 広がりやすい培地水分制御 しにくい しやすい

圧力補正あり 圧力補正なし少量多頻度給液 可能 できない

コスト 高い 安価培地水分制御 しやすい しにくい

日射比例制御 タイマー排液量 少ない 多くなりやすい

培地水分制御 しやすい しにくいコスト 高い 安価

容積小 容積大養水分供給 コントロール重視 安定性重視培地温変化 気温に追随 少ない

独立プランタ・バッグ 連続着脱・移動 容易 できない排水性 容易 不織布の目詰まり

土壌病害の拡散 しにくい しやすい使用後の耕耘 機械耕耘できない 機械耕耘できる

発泡スチロールフィルム・プラス

チック培地温変化 小 大

寒冷地 暖地暖房費削減効果 出やすい 少ない

評価内容

給液タイミング

地域

精密潅水

物理性培地

潅水システム

潅水制御

培養液が広がりにくい培地では少量多頻度給液はできない

給液終了後にすみやかに余剰な培養液が重力によって排水され,生育に適した気相率・液相率となる培地・栽培槽が望ましい。

日射比例制御を行うには精密な給液が可能な潅水システムが必要。

栽培槽

根圏加温(培地加温、クラウ

ン加温)

培地容積が少ない場合は発泡スチロール製の栽培槽でも培地温は気温に追随しやすい。独立プランタ式の場合は、栽培終了後に栽培槽を片付けて育苗スペースとして利用することが可能。

暖房機の温度設定を高めにした場合は根圏加温の効果は見えない。寒冷地では根圏加温を行い、夜間の気温設定を低くすることによって暖房コストを削減することができる。根圏加温に生理的な反応を通した生育促進効果があるかどうかは現時点では不明。

容積

形状

素材

表1 高設栽培システム導入にあたり検討すべき事項と暫定標準仕様(グレーで着色)

培地は透水性と容積を組み合わせて選定する必要あり。構成要素の組み合わせは非常に多く、品種、地域、コストを勘案して決めることが必要。

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研究終了後の進捗

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

未利用資源を活用したバッグカルチャーによる高品質トマト生産技術

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(研究課題名 大規模施設園芸の実証研究)

研究の背景・課題1

過去の研究成果

研究の目標

〔代表機関〕住友林業(株)筑波研究所

〔参画研究機関〕千葉大学、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(野菜茶業研究所)、スミリン農産工業(株)

本研究は、津波による塩害で土壌の使用が難しい、あるいは地下水が使えない被災地において、極めて低コストで設置が簡単な栽培システムを導入することで、農業の早期復興に貢献することを目的とする。

栽培システム“バッグカルチャー”を元に、未利用資源の肥料化技術、日射量を元にした節水型給液制御技術を組み合わせることで、経済・環境面に優れた栽培システムを構築する。また、高品質トマトの安定的な生産技術を構築することで収益向上に貢献する。

魚煮汁、カキ殻等の未利用資源を使いトマト栽培が充分可能であることを確認日射量、土壌水分センサーを利用した、トマトに最低限必要な水を供給する給液管理システムの開発宮城県内の生産者に販売開始

低コストのバッグカルチャーシステムを開発→従来の養液栽培システム導入コストの50%以下。

未利用資源を活用した肥培管理技術を確立→生産したトマトのブランド力向上。

日射量を元にした給液制御技術を確立→極めて水分ロスの少ない節水栽培が可能。上記技術を組み合わせ、高品質トマトの安定生産技術を確立→高品質トマトの生産で収益率2倍。

自動給液栽培システムとして販売体制構築。宮城県を中心に全国販売網で販売推進中。

研究では、未利用資源の肥料への活用技術を確立したが、安価な原料の安定調達が困難であることから、未利用資源は利用せず通常の無機肥料を利用した仕様にした。給液制御は、日射計、土壌水分センサーを利用した管理技術を採用(先端プロの研究期間中に特許出願済)。普及状況は宮城県内で9軒の生産者、面積は2,500m2。栽培作物はすべてトマト。通常の養液栽培システムの導入が難しい、小規模の生産者がメイン。

普及先の評価は、特にトラブルはなく、評価は全般的に良い。普及先のほとんどは土耕からの切り替えで、これまでの栽培管理が楽になり、収量増よりは品質が良好になり、高単価での販売が可能になっている。例えば、渡辺種苗(宮城県内)が開発したミニトマト品種“プチプヨ”の生産者では、2,000円/kg以上の単価で販売しているとのこと。

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問い合わせ先:(住友林業㈱筑波研究所、TEL:029-847-0151)

本栽培システムの概要

これまでの普及・活動状況

2014年3月に自動灌水栽培システム「グローイングバッグシステム」の販売開始 宮城を中心に全国販売を展開

① 土作りが不要で設置が簡単② 日射量と土壌水分に応じた最適な灌水

③ 通常の養液栽培システムの半分の価格で導入可能

【特徴】

都道府県 軒数 面積(m2)

宮城県 9 2,500

山形県 1 350埼玉県 2 4,100新潟県 2 2,100栃木県 2 2,400

合計 16 11,450

宮城県内生産者 栃木県内生産者

資材名 仕様 10a当たりの数量

グローイングバッグ専用培地苗を定植する培地(20㍑)4株/袋

500袋

灌水制御機日射比例式給液制御機能と土壌水分制御機能を複合した制御機

1台

液肥混入機 所定濃度になるように液肥を混入する 1台潅水資材 潅水ドリッパー、ポリ管など 2,000セット

【システム構成】

【普及実績】

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

IT・RTフュージョンによる果物の安全安心育成支援システムの研究開発

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(被災地の早期復興に資する果樹生産・利用技術の実証研究 )

研究の背景・課題1

研究の内容3

〔代表機関〕国立大学法人東京農工大学

研究の目標2

東日本大震災で疲弊した果樹農業の軽労化、安全安心、トレーサビィリティーの実現、高収益化をめざす。軽労化はパワーアシストスーツ(RT:Robot Technology)を用いることで達成し、安全安心とトレーサビィリティーはICT(Information and Communication Technology)を利用することで達成する。RTとICTのフュージョンによる果樹栽培の効率化、グローバル化を目指す。

果樹栽培用パワーアシストスーツの開発(軽量化、高機能化、糖度センサーやカメラの搭載) 高輝度LEDを使った糖度センサーの開発(小型軽量化、使いやすく安価) 果実のデータをクラウドへ蓄積し、参照できるICTソフトウェアの開発

果樹栽培用パワーアシストスーツを試作し、実証試験を行った。重量は7kg強であり、装脱着は2~3分程度と簡単に利用できる。スクワット動作の補助や腕を上げた姿勢を補助する。アシスト率は50%程度である(図1)。

リンゴの糖度センサーを開発した。LEDを用いた吸光度法による測定である。ハンディーであり果樹園でも簡単に利用できる。イチゴなど他の果物の糖度測定にも応用できるように改良中(図1)。

果実のICTによるデータベースを開発した。糖度の測定や果実の画像は直ちにクラウドに格納され、生育記録として参照できる。果実一個一個にICタグを取付け、情報収集時の初めにICタグを読み取れば、果実ごとに情報が蓄積され管理できる(図2)。

果樹栽培用パワーアシストスーツを利用して、高齢者でも楽に安全安心に作業ができる。 ハンディーな果実糖度センサーで出荷時の甘みをチェックできる。これを自動的にクラウドへ記録す

る。 ICTを利用したトレーサビリティーの充実。果実の生育データや成分データがクラウドへ記録され、

いつでもどこでも参照できる。

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問い合わせ先:東京農工大学 遠山研究室 E-mail:[email protected]

軽労化のための果樹栽培用パワーアシストスーツ(図1)

ICTよるトレーサビィリティーの実証(図2)果樹育成データ、画像データ、位置データが情報端末から入出力および閲覧可能である。これらのデータは、果実一個一個にICタグを取付け、情報収集時の初めにICタグを小型のリーダーで読み取ることにより、果実ごとに情報が蓄積され管理される。

ICタグとリーダー

・転倒防止の足裏センサーについてBluetoothによる無線化を行った。

・装着感を改善するため、体の拘束箇所を減らした。

・膝の屈伸時における違和感を軽減するために膝部のバネを再設計した。

・LEDを用いた吸光度法によるリンゴの糖度センサーを開発した。

・主フレームの材質を変更し、重量が7 kg強となった。軽量化の実現で、装脱着にかかる時間は2~3分程度となった。

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研究成果の概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(研究課題名 被災地における農産物加工技術の実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容

研究の目標

〔代表機関〕国立大学法人東北大学

〔参画研究機関〕宮城県産業技術総合センター、太子食品工業株式会社

震災後の食料基地再生の道筋のひとつとして、大豆利用の用途拡大を図ることで、更なる大豆生産地域の創出、大豆生産者の栽培意欲高揚への寄与を目指す。

被災地の大豆を被災地で加工して被災した食料基地の再生を牽引する。 高脂肪含有豆乳加工素材の製造技術を確立し、高付加価値商品を開発する。 大豆加工業の収益を向上させるとともに生産面積の更なる拡大を図る。

遠心分離の操作条件を制御することにより脂肪含量の異なる豆乳製品を安定的に製造する。 酵素処理によって、風味や機能性を制御する。 脂質酸化の品質に与える影響を明らかにし、酸化を抑制する技術を確立する。 宮城県産大豆を使用した豆乳クリームを材料として用いた商品を開発する。

豆乳を原料とした、多様なバラエティを提供する「豆乳加工製品」というジャンルを確立する。 豆乳加工製品の商品アイテムの増大を可能にするための技術開発を行う。 新たな市場を開拓することで大豆加工企業の利益率を向上させる。 大豆生産においては年間3000tの作付量増大を目指す。

高付加価値豆乳加工製品の研究開発

豆乳加工製品の未開拓市場を新たな市場として確立することを目指して、安定しているエマルションを不安定化させ、加熱抽出した豆乳から工業用遠心分離機を用いて、脂質の大部分を含む凝集物を沈降・回収するプロセスを構築した。回収した脂質含有凝集物はクリーム(沈降分離豆乳クリーム)状で、豆乳とは異なる物性とコクのある風味が特徴であり、新しい食品素材としてパンに添加したり、ゲル状デザートや含泡食品への応用が期待される(図1)。エマルション:互いに混じり合わない2種の液体で、一方が他の液体中に微粒子状で分散しているもの。

一方、豆乳に酵素処理を行うと、遠心分離することで豆乳から容易に高脂質含有物が浮上分離され、上記とは異なる豆乳クリームを得ることができた。これまでの低脂肪豆乳、高脂肪豆乳に加えて、新たな商品アイテムとして酵素処理豆乳クリームが開発され、酵素処理で生成した豆乳クリームは安定的に製造可能であった。

豆乳に含まれる脂質構成を分析し明らかにするとともに、タンパク質分解物(ペプチド)の分子量を広範囲で分析できる評価系を確立した。

今後は、豆乳クリームや高脂肪豆乳、低脂肪豆乳の社会実装を進める(図2)。

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問い合わせ先:東北大学 藤井 TEL:022-717-8975

被災地の大豆を被災地で加工して被災した食料基地の再生を牽引する

●豆乳クリームの社会実装を目指した取り組み(図2)

●豆乳コロイドの分散凝集制御技術(図1)

豆乳クリーム入りのパンナコッタ

真鯛のスフレ

加工品の創成

豆乳クリーム入りのパン

●研究開発のデザイン

●研究開発の波及効果固形分含量/脂質含量から見た乳製品・豆乳製品

乳製品

脱脂乳

生乳

普通牛乳

ソフトクリーム

アイスクリーム

アイスクリーム(高脂肪)

チェダーチーズ

ホイップクリーム

生クリーム

有塩バター

0

20

40

60

80

100

0 20 40 60 80 100

脂質含量(%)

固形分含量(%

豆乳製品

豆乳絹ごし豆腐

充てん豆腐

調製豆乳

木綿豆腐

豆腐よう湯葉

0

10

20

30

40

50

0.0 5.0 10.0 15.0

脂質含量(%)

固形分含量(%)

未開拓市場

試作品を持ち寄っての情報交換会チーズケーキの試作品

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

高度米加工技術導入による新たな米加工食品の開発

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(研究課題名:被災地における農産物加工技術の実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容

研究の目標

津波被害を受けた宮城県南沿岸部は耕地面積の8割を水田が占めており、農地復旧を進める一方で、米の消費拡大が課題である。その解決策の一つとして米粉利用があげられる。

これまで、県内でも米粉利用の様々な取組みが行われてきたが、課題として、製造コストの低減、品質の安定化、用途の拡大があげられる。宮城県では、用途拡大に向けて公設試験場、県内企業、大学が連携して研究を進めてきた。

米粉を60℃~80℃で1時間処理すると、マルトトリオースなどの3糖類が低アミロース品種でより増

加する傾向が見られた。これにより、しっとり感の付与や老化抑制効果が期待される(図1)。県内企

業で試作を実施。

アミロース含量が低い米粉をすり身に添加することで、ソフトで特徴的な食感の試作品を製造できる

ことを確認した(図2)。県内企業で試作を実施した結果、企画品での利用を検討(糯米利用でコスト

アップするため)。

高品質な乾麺製造のために、配合を最適化し、加熱から乾燥までの連続工程にすることで時間を短

縮できた。製造直後の乾麺は、乾燥前の生麺と同様の食感が得られた(図3)。県内企業で試作を

実施。

簡易加水粉砕方式(粗粉砕+加水+微粉砕)にすることで、デンプン損傷度を10%以下に抑えられる

ことを確認した(図4)。本研究成果をベースに、現在、米粉粉砕受託中。

水産練り製品・洋菓子において、米粉を原料として使用することで、新規商品開発を行い、小売向け

市場の回復を図り、収益率2倍化を目指す。

冷凍麺と即席麺の開発を行い、米粉麺の製造コストを低減しつつ、市場拡大による収益率2倍化を

目指す。

精密な製粉条件を構築し、ニーズに対応した米粉供給体制を確立する。

〔代表機関〕(公)宮城大学

〔参画研究機関〕宮城県産業技術総合センター、宮城県水産技術総合センター、日本蕎麦街道(株)、(株)はつらつ

低アミロース米粉の特徴を活かした洋菓子開発への実証研究

アルファ化度を変化させた米粉の特徴を活かした水産練り製品への実証研究

高アミロース米粉を用いた製麺物性の適性評価

米粉を高配合した乾麺と冷凍麺の開発

米原料の特性評価に基づく精密粉砕条件の決定

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問い合わせ先:宮城県産業技術総合センター TEL:022-377-8700

●低アミロース米(ゆきむすび)では、焼成により三糖類(マルトトリオ-ス等)が中アミロース米(ひとめぼれ)より増加する傾向がみられた(図1)。

●アミロース含量が低い米粉を添加すると、ソフトで特徴的な食感の試作品ができた(図2)。

●簡易加水粉砕方式(粗粉砕+加水+微粉砕)は、細かい粒径でも、澱粉損傷を10%以下に抑えることができた(図4)。

・ケーキの試作米粉(または小麦粉)、卵、食用油、

牛乳、上白糖の生地をオーブンで190℃、30分焼成した

押出し式製麺機

切れなし・こしあり 切れあり・こしなし

【ボイル後の状態(製造8ヶ月後】

最適条件 対照条件

乾燥に用いたスチームコンベクションオーブン(温度及び湿度を調節可能)

米粗粉砕(ピンミル)

微粉砕(イクシードミル) 米粉

(加水)

平均粒径(μm)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

0

20

40

60

80

100

澱粉損傷度

(%)

粗粉砕→加水15%→微粉砕(7,800~12,000rpm)

7,800rpm 9,000rpm 12,000rpm

【コメ4品種で微粉砕の回転数を変えて粉砕】

澱粉損傷度

平均粒径

6

7

8

9

10

100 200 300 400 500

破断凹み

(mm)

破断強度(g)

無添加区

馬鈴薯区

高アミロース米

中アミロース米

低アミロース米

もち米

すり身AA級で作成した蒲鉾の物性(1日後)

●乾麺の最適製造条件(配合、乾燥条件)を見出した(図3)。

ソフト

弾力あり

試作ケーキ

試作ケーキの糖組成(高、中、低はアミロース含量)

糖濃度

(エリア値(=相対値))

4品種

【米粉砕受託加工代金】30kgの時 (最小単位) ¥1,700/㎏

100kgの時 ¥1,500/㎏500㎏の時 ¥1,100/㎏

1,000㎏の時 ¥800/㎏

企業での試作風景

乾麺

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

宮城県南部沿岸地域の水資源・未利用エネルギーを活用した中規模園芸生産システムの技術開発

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術(研究課題名:農村地域における未利用エネルギー利活用実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容

研究の目標

〔代表機関〕国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究部門〔参画研究機関〕宮城県農業・園芸総合研究所、公立大学法人宮城大学、一般財団法人電力中央研究所、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門

東北地方太平洋沖地震により津波によって浸水した地域では、地下水の塩水化が問題となっている。また、震災時は停電や断水、燃油不足等によって園芸施設の環境制御装置や灌水装置が停止し、作物に甚大な被害が及んだ。被災した園芸産地を再生する上で、地下水の除塩、省資源、低炭素等の技術の確立が重要である。本研究では、地中熱ヒートポンプ、高圧細霧冷房、省電力型循環扇等の高度環境制御技術、塩水化した地下水を淡水化するための逆浸透膜装置の現地実証試験を通じ、農村地域の水資源・未利用エネルギーを活用した園芸生産システムの確立を目指す。

高度環境制御技術(ヒートポンプ、細霧冷房、循環扇)により施設の年間利用期間の1ヶ月増やす。 暑熱対策用器具と作業着の組合わせを改良し、夏期の作業着の作業着下温度を5℃低下させる。

秋冬期の園芸施設内の温度・湿度環境を最適制御するための送風設備を開発し、噴出し流量の不均一性を10%解消する。

ヒートポンプ暖房の環境・成績係数の測定法の確立及び植物内容成分に及ぼす影響を解明する。 低コストな農業用逆浸透膜装置を開発し、水道使用量の6割以上削減及びマニュアルを作成する。

地中熱源ヒートポンプの稼働試験および室内環境改善のための循環扇の制御手法を検討する。 高圧細霧冷房等による施設内環境改善効果と農作業者の暑熱低減効果を測定・評価する。 送風ダクトによる温室内部の流れを数値シミュレーション及び実験的手法により解析する。 実証温室において、地中熱源および空気熱源ヒートポンプの成績係数測定手法を検討・構築する。 農業用逆浸透膜装置を現地導入する際の課題抽出とその解決法を提案する。

宮城県岩沼市の現地実証温室に、高圧細霧冷房装置および地中熱ヒートポンプを設置し、稼働試験を行った(図1、2、3、4、5、6、7)。地中熱ヒートポンプは夜間を通して安定的に採熱し、室内機の吹き出しからは約40 ℃の温風を温室に供給した。地中熱源ヒートポンプの成績係数(COP)は、寒冷な東北地域においても3~4を維持し、優れた熱交換効率を示すことが確認された。

ファンと1本のダクトをモデル化し数値計算および実際の温室で送風試験を行った結果、ダクト端部の開放条件の調整が室内気流および温度斑の解消に寄与することを確認した(図8、9)。

キュウリの食味に影響するグルコースの含有量を簡易に測定する方法を開発した(図10)。 農業用逆浸透膜装置(地下水の除塩装置)を試作し、1日当たり3m3 、 8m3 、25m3の造水能力を有

する低圧の装置を亘理町および岩沼市の実証温室に導入した。 造水能力8m3の装置を6ヶ月間連続稼働した結果、逆浸透膜の目詰まり(スケーリング)により造水能力が約25%低下したが、膜を薬品洗浄することにより造水量が回復することを確認した(図11、12、13、14、15)。

電気自動車からの独立電源で稼働する可搬型農業用逆浸透膜装置を開発した(図16)。

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問い合わせ先:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (農村工学研究部門) TEL:029-838-7655

図1 現地実証温室(キュウリ、2,160m2)

図2 高圧細霧の噴霧状況

図12 現地実証温室(岩沼市、キュウリ、2,280 m2) 図14 逆浸透膜装置(岩沼市、日浄水量約25m3)

図7 ヒートポンプ用エネルギーテスター図4 地中熱ヒートポンプ交換器設置(深さ1m)

図5 地中熱ヒートポンプ室外機

図6 地中熱ヒートポンプ室内機

図8 現地実証温室送風ダクトの数値計算モデル

図3 循環扇を設置した現地実証温室

現地実証温室(宮城県岩沼市):高度環境制御技術

現地実証温室(宮城県岩沼市、亘理郡亘理町):地下水除塩

図11 現地実証温室(亘理町、イチゴ、1, 500 m2) 図13 逆浸透膜装置(亘理町、日浄水量約3m3)

図16 電気自動車と可搬型農業用逆浸透膜装置

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

10.0

9/7 9/12 9/17 9/22

逆浸透膜造水量(

m3 /

d)

洗浄前 洗浄後

↑9/18洗浄

図9 数値計算によるダクト内外の等風速線図

(a)ダクト端部開放条件

(b)ダクト端部閉鎖条件

図10 キュウリ含有グルコースの簡易分析法

逆浸透膜を薬品洗浄

図15 逆浸透膜装置による地下水の脱塩状況

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

流通におけるICT活用の研究開発

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(網羅型研究課題名 地域資源を活用した省エネ・省コスト・高付加価値型の水産業・水産加工業の実用化・実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容

研究の目標

近年、魚介類の消費量が大きく減少し、消費者の魚離れが指摘されている。そのような中、日本で有数の魚場を持つ東北の水産業は、東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた。東北の水産業復興のためには、漁業者や加工業者の所得を増やすことが重要であり、消費者に魅力

のある商品を提供していかなければならない。このためには、東北の水産物のブランド価値を高めることが肝要である。

●実証サイト全体では5,731アクセス(実証期間:2014年9月22日~2015年3月31日)があり、このうち相互リンクしているサイト(三陸鉄道、久慈市役所、シュフモ)のHPから2,558アクセスがあり、有力なHPからのリンクが有効と考えられる。また、イオンが全国販売する「骨取りさんま」に係るコミュニティーページ「骨取りさんまのファンコーナー」では2,735アクセスがあったが、商品貼付のQRコードからのアクセスは1%未満であった。一方、消費者の反応を喚起し、商品改善のヒントを獲得できるような事例もできており、情報発信活動は有効であったと考える。

●網羅型研究の課題である高鮮度スルメイカの情報発信ページは152アクセス(1月13日~3月31日)あり、コメント発信の運用なども合わせて実施することでさらなる集客が期待できたと考える。

●運用に関わる操作は支援をしながら徐々に漁業関係者に移管し、説明書を見ながらであれば情報発信が可能であることを確認した。この仕組みで、ICTの専門家でない漁業者も自ら情報を発信し、消費者と双方向のコミュニケーションをとることが可能であると考える。

●以上から、漁業者と消費者がICTを活用してコミュニケーションをとることは可能であり、商品改善の

ヒントを獲得できることから、商品力を強化し、ブランド価値を高めることに貢献できると考える。

●岩手県水産物のブランド価値を高め、漁業者や加工業者の利益率を向上させる。●漁業者と消費者の情報ギャップを埋める情報交流の場として、

ICT(情報通信技術)のプラットフォームの有効性評価や運用上の課題を抽出する。(注)・ICT:Information and Communication Technology の略

・プラットフォーム:あるハードウェアやソフトウェア、サービスが動作するための土台(基盤)として機能する部分

〔代表機関〕富士通(株)

〔参画研究機関〕国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所

●実証サイト「うんとうめぇお魚.jp」をインターネット上で公開し(図1)、様々な相互リンクを通して消費者を誘導するとともに漁業者と消費者のコミュニティーページを通して、情報を収集し、有効性の評価と考察を行う。

●漁業者を支援しながら、サイト運用をすることで、ICTを活用する際の運用上の課題の抽出と収集を行う。

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問い合わせ先:(富士通株式会社、TEL:0120-933-919)

*1

*1 公開期間:2014年9月22日~2015年3月31日

月2回

月2回

図1

累積構成比

アクセス数

他のサイトからのリンク

直接アクセス

検索エンジン

ソーシャルメディア

【アクセス数とその内訳】

■アクセス数:5,731(2014年9月22日~2015年3月31日時点)■アクセス数の内訳(3月31日時点)・他のサイトからのリンク :2,677・直接アクセス(お気に入りやブックマーク等) :1,936・検索エンジン :1,097・ソーシャルメディア(Facebook,Twitter等) : 21※QRコード(パッケージ出荷数:26,000パック) : 53(1月27日から出荷開始)

(注)QRコードアクセス数は直接アクセス数の内数

アクセス数分析

アクセス数

累積アクセス数

月別アクセス数

アクセス数の推移

コミュニケーション事例

※消費者の反応を喚起し、商品改善のヒントを獲得できたことから有効であったと考える。

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

農水資源の上下流連携による小水力発電の漁村における利活用の研究開発

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(網羅型研究課題名 例:自然エネルギーを利用した漁村のスマート・コミュニティ化技術実用化・実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容

研究の目標

岩手県沿岸部では震災によって冷蔵・冷凍施設の電源喪失などで多大な被害が発生したことから、従来のグリッドだけに依存しない非常時にも利用できる電源の必要性が課題となった。そこで地域資源の再生可能エネルギーとしての水力発電の利用可能性を検討し、非常時の電源確保や平常時の地域の再生可能エネルギーの最適な利用方法について研究を行うものである。

漁業地域においては、港湾付近には水力エネルギーが小さいが、河川上流部やその周辺の孵化場や養魚場のような漁業施設においては、小水力発電の可能性が確認された。

孵化場と養魚場での発電実証では約0.4kWの安定した発電が行われた。

孵化場のような地下水を汲み上げて放水する施設では、非常時には小水力発電を利用することができないが、平常時においては発電実証から安定した発電が行われることが確認され、採算性をみても施設で使用する電気料金の削減に貢献することが可能な利用モデルが確認された。

研究期間中には孵化場から養魚場に小水力発電機を移設させ、異なる条件でも発電が行われることが確認されたことから、非常時には電気が必要な地点に移設させて利用することも可能であることが確認された。

今後、漁業地域で小水力発電を検討する際に参考資料として活用できるよう研究成果を整理した資料を作成した。

農水資源としての水エネルギーと低落差で発電可能な小水水力発電技術によって、従来のグリッドだけに依存しない非常時にも利用できる自立分散電源を地域に確保するとともに、平常時における採算性の高い有効な利用モデルの確立を図る。

〔代表機関〕

JAGシーベル株式会社

平成23年度から平成25年度にかけて以下の項目について研究を実施した。

漁業地域における小水力発電のポテンシャル調査 孵化場の放流水を利用した小水力発電の実証 養魚場施設の自然水流を利用した小水力発電の実証 漁業地域における小水力発電の利活用の検討

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問い合わせ先:(JAGシーベル株式会社、TEL 03-3237-9634)

さけます孵化場の1m程度の落差を利用した小水力発電技術

約0.4kWを持続的に発電

1m程度の水位差を利用

通常時、非常時の再生可能エネルギー利用方法の検討を行うために、非常時を想定した独立電源利用、通常時を想定した場内系統との連系利用の二通りで実証を行い約0.4kW程度の安定した発電が行われた。

養魚場の1m程度の落差を利用した小水力発電技術

孵化場での発電実証で使用した水力発電設備を養魚場に移設させて、養魚場の自然水流の環境で発電実証を行い、約0.4kW程度

の安定した発電が行われた。養魚場は河川からの自然水流を利用しているが、大雨などの自然環境の影響を受けずに発電が行われた。

漁業施設の未利用エネルギーの有効利用施設電気利用代の低減(36.72円/kWh)

水力発電は持続的に発電できるので蓄電せずに鳥獣除けの電気柵用などに独立電源として使用できる

漁業施設における小水力発電の使用用途

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研究成果概要

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

小型風力発電によるスマート・コミュニティシステムの実証研究

〔研究実施期間〕平成24年度~平成26年度

〔分類〕個別要素技術型研究(研究課題名 自然エネルギーを利用した漁村のスマート・コミュニティ化技術実用化・実証研究)

研究の背景・課題1

研究の内容

研究の目標

〔代表機関〕ゼファー 株式会社

今回発生した東日本大震災において、漁港施設や水産加工施設では甚大な被害が発生。 地元では『災害に強い漁業・地域づくり』が強く望まれており、災害発生時に電力を供給して水産物、

水産加工品の被害を減少させるとともに、平時には系統電力の使用量を削減できるような漁村や漁港施設、水産加工施設等に適したスマート・コミュニティシステムの構築が求められている。

現地の環境を考慮した風力発電機による系統連携システムの運用・評価。風力発電機+太陽光パネル+蓄電池によるハイブリッド独立電源システムの運用・評価。漁村における電源喪失時の利用モデルの確立。

実証実験地として釜石湾の大平町の水産加工施設と新浜町の荷捌所を選定 (図1)。 水産加工施設(井戸商店)の施設屋上部に風力発電による系統連系システムを構築。

夏季は発電量が小さいなど電力の安定利用には、太陽光発電との併用や蓄電池による平準化が必要 (図2)。 新浜町荷捌所に風力発電機+太陽光パネル+蓄電池によるハイブリッド独立電源システムを構築。 風力+太陽光のハイブリットシステムにすることにより、発電の平準化がなされ、利便性、安定性が向上。

平常時の系統電力の使用量削減が可能 (図3)。

アンケート調査の結果、漁業関連施設には、自家発電システムの備えがなく、災害等で系統電力が停電した時、電源喪失することが判明。電源喪失時に最低限稼働させたい機器類は、パソコンによる顧客データの保護、テレビ、ラジオによる情報収集、照明、調理器具による生活の継続、携帯電による情報交換などであった (表1)。

災害から素早く復旧するための事業継続性を重視した活用から、自家発電システムの導入が必要。再生可能エネルギーによる自家発電設備は、化石燃料による発電機に比べ設備費、燃料費、維持管理費に対する経済面で優位。燃料入手が困難な時に対する安定性、信頼性、運転時の騒音や排気ガスによる環境面においても優位 (表2)。

一定時間の送電停止や災害発生時に電力を供給する自然エネルギーシステムを構築する。 あわせて平時に使用する系統電力や重油等のエネルギー使用量を削減するシステムとする。

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食料生産地域再生のための先端技術展開事業

図1 【 研究実証地域内での技術展開状況 】

平成24年10月に実証地域である岩手県釜石市の水産加工施設(井戸商店)に風力発電機システムを設置

平成25年11月に新浜町荷捌所にハイブリッド独立システムを設置実証発電量と施設内負荷とのバランスや供給電力の評価を実施

問い合わせ先:ゼファー株式会社 TEL:03-5425-2566

新浜町荷捌所

ハイブリッド独立電源システム小型風力発電機 1.1kW太陽光パネル 2.5kW蓄電池 24.4kWh2014年2月~

井戸商店

系統連系連系システム小型風力発電機 1.1kW2012年11月 ~

汎用小型風力発電システム

・ 名称:エアドルフィン 定格出力 1.1kW・ ブレード回転直径 1.8m 重量 20.0kg・ ブレード: 炭素繊維織布(CFRP/カーボンファイバー)・ 本体 アルミダイキャスト製

食料生産地域再生のための先端技術展開事業

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食料生産地域再生のための先端技術展開事業

図2 岩手県釜石市の水産加工施設発電データ

問い合わせ先:ゼファー株式会社 TEL:03-5425-2566

図3 岩手県釜石市の新浜町新魚市場発電データ

0

5

10

15

20

25

30

35

0

2

4

6

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10

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20

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1月

20

15年

2月

風速

(m/s

)

発電

量(k

Wh

)

風力発電量(kWh)

平均風速(m/s)

最大風速(m/s)

最大瞬間風速(m/s)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

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0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

風速

(m/s)

日照

時間

(h)・発

電量

(kW

h)

太陽光発電量(kWh)

風力発電量(kWh)

アメダス日照(h)

平均風速(m/s)

最大風速 最大瞬間風速(m/s)

小型風力発電の有効な電力活用のためのアンケート(表1)

1)現状、停電などに備えて自家発電などの設備を設けていますか?

設備有り2 (東日本大震災後に導入)

設備なし 9

2)停電が発生したとき、電気が使えるとしたら最優先したい用途

業務用冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫

パソコン、サーバ 5

照明、業務用冷蔵庫照明、

テレビ、ラジオ 1

地下水汲上げポンプ 1

炊飯器 1

3)停電が発生したとき、風力太陽光発電で10kwh/日程度の電気が作れた場合どのような用途に使いますか

パソコン、サーバ、FAX

テレビ、ラジオ 3

照明 2

携帯電話の充電 2

再生可能エネルギー発電機と化石燃料発電機の比較(表2)

再生可能エネルギー 化石燃料発電機

機器 風力 1.0kW太陽光 2.5kW蓄電池24.0kWh

発電機メーカー製90KVA程度

初期投資 6,300千円 1,500千円

設置費 1,000千円 500千円

年間維持費 100千円 1,050千円

耐用年数 10年 10年

10年間の総費用 8,300千円 12,500千円

平時発電量 10kWh -

電源喪失時供給量 10kWh 90KVA(2日間)

発電の継続 風、太陽光により継続可能

燃料の補充が必要。継続不能もありうる

騒音 40dB 60dB

排気 なし 排ガスあり

・平均風速 : 0.93 m/s ・最大風速 : 13.0m/s (2014年1月28日 23:20)・瞬間最大風速: 33.3m/s (2014年1月28日 23:28)・総発電量 : 96.6 kWh・1日の最大発電量: 2.5kWh (2013年3月2日)

・平均風速 : 2.11 m/s・最大風速 : 18.91m/s (2015年1月27日16:00)・瞬間最大風速: 38.50m/s (2014年12月18 2:57)・総発電量 : 2284.3kWh

風力 : 141.6 kWh / 太陽光: 2142.7kWh ・1日の平均発電量 11.6kWh

食料生産地域再生のための先端技術展開事業