地上型レーザースキャナを用いた樹木の葉面積密度...

1
樹木の測定手法・データの概要 測定に用いたLiDAR 測定には地上型LiDAR(RIEGLVZ-400) を用いた。VZ-400の特徴は以下の2点。 測定時間が短い 中間パルスを無制限に取得可能。 測定原理 TOF 精度 5mm レーザー波長 1550nm ビーム広がり角 0.3mrad 垂直スキャン範囲 全100° 実測地:愛知県みよし市 トヨタ自動車 バイオ・緑化研究所 実験圃場 対象樹木:ケヤキ(右図) 測定分解能: 0.02 ° 測定対象 ケヤキ 樹高 6.4m 樹冠径 3m 測定地点 (左:側面から、右:上から) LiDARの 向き 葉面積指数の算出方法 VZ-400の仕様 得られた点群データの詳細 周辺:縦 樹冠下:横 地点1における測定で 得られたデータ 測定結果(横から) 反射強度 弱 測定の詳細 2 6 4 1 Tree 3 5 レーザー間隔 1.9mm フットプリント 直径 1.7mm レーザー間隔 0.9mm フットプリント 直径 0.8mm 1cm 1cm 反射強度 弱 123.4/ cm 3 27.7/ cm 3 研究の背景 都市空間における熱環境悪化の深刻化 地方自治体等による樹木の熱環境調整効果を 活かした 都市計画・建築計画の推進 研究の目的 熱・水収支の解明に必要不可欠な情報の 1 つである、 樹木の形状や葉面積密度(LAD) 等の形態情報を取得 することを目的とする。 その手段として3次元レーザースキャナ(LiDAR)に着目。 本報ではLiDARによる葉面積算出における課題のうち、 遮蔽の影響に着目し、樹冠各部のレーザー到達率を 算出し、レーザーが十分に到達しないことの葉面積 算出への影響を検証した上で葉面積指数(LAI) を算出。 樹木の熱環境 調整効果 この場合CF= 12 97 1層を 抽出 1層:10×10=100マス θ A z Acosθ Leaf : L L‘=L×( ) n B n L n B n L A:対象範囲の面積 L:葉の面積 L’:レーザー方向から見た葉の投影面積 θ:レーザー方向の天頂角 :レーザー方向の単位ベクトル :葉の法線方向の単位ベクトル n B n L i. 葉へのレーザー入射方向、葉の傾斜角について式(1)で補正を行う。 CF = , → ∴ = × cos , × (1) i. 得られた点群データを12㎜のvoxel(=S-voxel)に分割。 (voxelサイズは樹冠中心のレーザー照射間隔) ii. レイトレーシング法により各S-voxelの属性 (以下の4通り:右図と対応)を決定。 iii. 各属性を基に,レーザーが到達するS-voxelのうち,葉で レーザーが遮蔽されるS-voxelの割合として定義される CF(Contact Frequency)を算出。 1. S-voxelの属性決定 2. レーザーの傾き・葉の傾斜角についての補正 S-voxelの属性決定方法 (1)変形前の式の補足(右図も合わせて参照) 分母(Acosθ):面積Aの対象範囲のレーザー投影面積 分子( , )LiDARからの葉の投影面積 =実際の葉面積L(3)にレーザーに平行な単位ベクトル n B と葉の法線方向の単位ベクトルn L の内積G , (Mean Projection of unit foliage area)を乗じたもの レーザーの傾き・葉の傾斜角の補正 ①測定距離 / LiDARと樹冠中心間距離 樹冠中心において 5.5m 1.5m 2.6m 4m 周辺 4か所 樹冠下 2か所 地点6 (①1.5m②2.6m) 地点3 (①4m②5.5m) ( ) 測定結果 レーザー 照射方向 1.4 1.6 1.8 2 2.2 2.4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 葉面積指数[m 2 /m 2 ] 葉の傾斜角[°] 0 0.2 0.4 0.6 0.8 頻度 レーザー到達率 P 1地点 (pos3) 2地点 (pos3&5) 3地点 (pos3&2&5) 4地点 測定地点数 樹冠外部 樹冠内部 到達率(最小=41.6%) 0.4 1 高さ[m] 7.2 2.3 レーザー到達率の空間分布の2次元可視化結果 傾斜角 葉面積指数 [m 2 /m 2 ] (1)下條ら頻度分布() 1.97 (2)25 55 °均等分布 2.01 (3)0 90 °均等分布 2 0 0.03 0.06 0.09 0.12 0.15 0-5 5-10 10-15 15-20 20-25 25-30 30-35 35-40 40-45 45-50 50-55 55-60 60-65 65-70 70-75 75-80 80-85 85-90 割合[-] 葉の傾斜角度[°] ケヤキの葉の傾斜角の頻度分布(下條ら(2003) ) 測定回数別-レーザー到達率の頻度分布 LiDARデータによる葉面積算出時の課題 本研究における樹木のモデル化構想 風の影響 樹種による違い 手前の事物による遮蔽の影響 傾斜角や方位角の扱い 測定回数・位置 (回数が少なく効果的な測定方法) 葉面積指数算出結果 下條ら(2003)の実測結果に基づき傾斜角を与えた。 葉の傾斜角の与え方別の葉面積指数 単位葉面積の蒸散量に関する考察 LAI=1.97 [m 2 /m 2 ] 総葉面積=10.8[m 2 ] 蒸散量平均=24.5[kg/] 葉面積1m 2 あたりの 日平均蒸散量 =2.3[kg/(m 2 ・日)] Voxelモデル イメージ レーザー到達比率の確認 P= = 樹木有の到達数 樹木無の到達数 N nan N tree 高さ[m] 2.6 7.6 90%以上の部分に着目 レーザー到達比率の空間分布 1地点 2地点 3地点 4地点 59.9% 77.7% 84.6% 87.3% 樹冠内部・上部にはレーザーが十分に到達しない部分が見られる。 レーザーが十分到達しない部分についての検討 極端な傾斜角を与えない場合、 葉面積指数に大きな変動は見られない。 まとめ 地上型LiDARで樹木を測定したデータから、4地点の測定結果を用いた場合のレーザー 到達率・レーザーが十分に届かない地点での誤差・葉の傾斜角の与え方を検討した上で 葉面積指数を算出した。結果、本ケヤキでは 4 地点の測定により、樹冠内部の情報を 捉えるのに十分なレーザーが到達することが確認された。また、葉面積 1m 2 あたりの 日平均蒸散量は約2.3[kg/(m 2 ・日)]であることが明らかになった。 今後は対象樹木の葉の傾斜角・方位角を測定し、葉面積密度[指数]を最終同定する。 樹木の・正味放射量、蒸散特性や顕熱・潜熱輸送量等の解明 樹木の熱・水収支のモデル化 樹木の熱環境調整効果を予測・評価し、最適な緑化計画の策定 快適な緑化空間の創出に向けて 日射遮蔽 蒸散 風速低減 気温低下 潜熱 顕熱 長波長放射 受熱日射量 熱・水収支決定要素 蒸散量 日射透過率 吸水量 はじめに 樹木全体の 形状情報 樹冠形状 葉面積密度 (空隙)分布 個葉の 形状情報 面積 傾き 形状 吸水 [補足]葉面積指数算出方法 本研究では葉面積指数(LAI)、葉面積密度(LAD)の算出にHosoi et al.(2006)の手法を用いた。以下にその内容を示す葉面積指数算出結果 到達率 樹木の熱・水収支解明に向けて樹木の形態情報のモデル化が必要 個葉レベルでの樹木の形態情報の再現は計算負荷等の問題から困難 樹冠を20㎝四方のVoxel (=B-voxel)に分割しモデル化 (B-voxelの葉面積はHosoi et al.の手法(補足へ)を用いて算出) 葉面積指数・密度算出時の課題点を以下に示す。 (赤字今回の分析対象) 葉面積指数の算出結果 葉面積指数の算出に向けた検討(遮蔽の影響) 測定回数に従い、到達率が向上。 4回の測定により87.3%B-voxel9割以上のレーザーが到達。 4 地点の測定結果を用いた場合のレーザー到達率の 空間分布を示す。 下図は右図のように各水平断面の到達率を外側から 内側へ1本のデータで表し、それを高さ順に並べたもの。 Hosoi et al.(2006)の手法により葉面積指数を算出した。 不確定要素である葉の傾斜角は、下條ら(2003) 実測結果()を含む、複数のパターンで与えた。 4 地点の測定結果から、レーザー到達率が最も 高い1地点を各B-voxelで選び、葉面積を算出。 補足 樹冠内部・上部のレーザー到達率が低い B-voxel における誤差について検討する。 [Case1] 到達率が高いB-voxel の葉面積算出。 [Case2] 当該B-voxel の点群を到達率最小の 部分に置き換え、再度レイトレーシング を行い、葉面積を算出。 Case1,2を比較。過小評価の程度を検証。 0 50 100 150 200 250 0 50 100 150 200 250 レーザー 照射密度 不足に よる誤差 y=x 最大誤差 66最小誤差 21レーザー照射密度不足による葉面積推定の誤差 葉面積(Case1:到達率95%以上) [cm 2 /B-voxel] 葉面積(Case2 : 到達率最小) [2 /B-voxel] 過小評価の割合は内部の点群()分布で、 ばらつきが見られる。 当該Voxelにおける過小推定の割合:平均45% 今後、樹冠内部の葉の分布と 補正等について検証。 (葉の傾斜角は下條ら(2003)の実測結果の平均値を設定。) 日本ヒートアイランド学会 第7回全国大会 地上型レーザースキャナを用いた樹木の葉面積密度分布推定に関する検討 Estimation of Leaf Area Density Distribution using Terrestrial Laser Scanning System ○本田友里香(東京工業大学), 浅輪貴史(東京工業大学), 梅干野晁(放送大学), 押尾晴樹 (東京工業大学), 清水 克哉(トヨタ自動車) 2012.7.20-22 会場:京都大学 下條ら (2003) の実測結果で傾斜角を与えた LAI 値、及び重量計を用いた蒸散量測定結果 (夏期晴天日:2010.8.21-23)を用いて分析を行った。 遮蔽の影響の検討・測定手法の妥当性の検証 のために、測定回数別に各B-voxel への遮蔽物 が無い場合のレーザー入射数に対する、実際の 入射数の比率(=レーザー到達率P) を算出した到達率Min 到達率95%以上 Case1葉面積 (推定精度:高) 到達率Min 到達率95%以上 Case2葉面積 (推定精度:低) ①点群 データ 移動 ②再レイトレ 比較 (属性1) (属性2) レーザーが到達しない (属性4) レーザー通過 (属性3) 樹冠外部 樹冠内部

Transcript of 地上型レーザースキャナを用いた樹木の葉面積密度...

Page 1: 地上型レーザースキャナを用いた樹木の葉面積密度 …...樹木の測定手法・データの概要 測定に用いたLiDAR 測定には地上型LiDAR(RIEGL社 VZ-400)

樹木の測定手法・データの概要 測定に用いたLiDAR

測定には地上型LiDAR(RIEGL社 VZ-400)を用いた。VZ-400の特徴は以下の2点。

測定時間が短い 中間パルスを無制限に取得可能。

測定原理 TOF

精度 5mm

レーザー波長 1550nm

ビーム広がり角 0.3mrad

垂直スキャン範囲 全100°

実測地:愛知県みよし市 トヨタ自動車

バイオ・緑化研究所

実験圃場 対象樹木:ケヤキ(右図) 測定分解能:0.02°

測定対象 ケヤキ

樹高 6.4m

樹冠径 3m

測定地点 (左:側面から、右:上から)

LiDARの 向き

葉面積指数の算出方法

VZ-400の仕様

得られた点群データの詳細

周辺:縦

樹冠下:横

地点1における測定で得られたデータ

測定結果(横から) 反射強度 弱 強

測定の詳細

2

6

4

1 Tree 3 5

レーザー間隔 1.9mm

フットプリント 直径 1.7mm

レーザー間隔 0.9mm

フットプリント 直径 0.8mm

1cm 1cm

反射強度 弱 強

123.4点/ cm 3 27.7点/ cm 3

研究の背景

都市空間における熱環境悪化の深刻化

地方自治体等による樹木の熱環境調整効果を

活かした 都市計画・建築計画の推進

研究の目的

熱・水収支の解明に必要不可欠な情報の1つである、樹木の形状や葉面積密度(LAD)等の形態情報を取得することを目的とする。

その手段として3次元レーザースキャナ(LiDAR)に着目。

本報ではLiDARによる葉面積算出における課題のうち、遮蔽の影響に着目し、樹冠各部のレーザー到達率を算出し、レーザーが十分に到達しないことの葉面積 算出への影響を検証した上で葉面積指数(LAI)を算出。

樹木の熱環境調整効果

この場合…

CF=12

97

1層を

抽出

1層:10×10=100マス

θ A

z

Acosθ

Leaf : L L‘=L×( ・ )

nB

nL

nB nL

A:対象範囲の面積 L:葉の面積

L’:レーザー方向から見た葉の投影面積

θ:レーザー方向の天頂角

:レーザー方向の単位ベクトル

:葉の法線方向の単位ベクトル

nB

nL

i. 葉へのレーザー入射方向、葉の傾斜角について式(1)で補正を行う。

CF =𝐿𝐺 𝜃, 𝜃𝐿

𝐴𝑐𝑜𝑠𝜃 → ∴ 𝐿 = 𝐴 ×

cos 𝜃

𝐺 𝜃, 𝜃𝐿× 𝐶𝐹 (1)

i. 得られた点群データを1辺2㎜のvoxel(=S-voxel)に分割。

(voxelサイズは樹冠中心のレーザー照射間隔)

ii. レイトレーシング法により各S-voxelの属性

(以下の4通り:右図と対応)を決定。

iii. 各属性を基に,レーザーが到達するS-voxelのうち,葉で レーザーが遮蔽されるS-voxelの割合として定義されるCF(Contact Frequency)を算出。

1. 各S-voxelの属性決定 2. レーザーの傾き・葉の傾斜角についての補正

S-voxelの属性決定方法

※式(1)変形前の式の補足(右図も合わせて参照)

分母(Acosθ):面積Aの対象範囲のレーザー投影面積

分子(𝐿𝐺 𝜃, 𝜃𝐿 ): LiDARからの葉の投影面積

=実際の葉面積L(図3②)にレーザーに平行な単位ベクトル

nBと葉の法線方向の単位ベクトルnLの内積G 𝜃, 𝜃𝐿

(Mean Projection of unit foliage area)を乗じたもの レーザーの傾き・葉の傾斜角の補正

①測定距離 / ②LiDARと樹冠中心間距離 ※樹冠中心において

5.5m

1.5m

2.6m

4m

周辺

4か所

樹冠下

2か所

地点6 (①1.5m②2.6m) 地点3 (①4m②5.5m)

葉群/葉

点群密度の

理論値(※

) 測定結果

レーザー

照射方向

1.4

1.6

1.8

2

2.2

2.4

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90葉面積指数

[m2/m

2]

葉の傾斜角[°]

00.20.40.60.8

頻度

レーザー到達率 P

1地点 (pos3) 2地点 (pos3&5) 3地点 (pos3&2&5) 4地点

測定地点数

樹冠外部 樹冠内部

到達率(最小=41.6%) 0.4 1 高さ[m]

7.2

2.3

レーザー到達率の空間分布の2次元可視化結果

傾斜角 葉面積指数[m2/m2]

(1)下條ら頻度分布(※) 1.97

(2)25~55°均等分布 2.01

(3)0~90°均等分布 2

00.030.060.090.120.15

0-5

5-1

0

10

-15

15

-20

20

-25

25

-30

30

-35

35

-40

40

-45

45

-50

50

-55

55

-60

60

-65

65

-70

70

-75

75

-80

80

-85

85

-90

割合

[-]

葉の傾斜角度[°] ケヤキの葉の傾斜角の頻度分布(下條ら(2003) )

測定回数別-レーザー到達率の頻度分布

LiDARデータによる葉面積算出時の課題

本研究における樹木のモデル化構想

風の影響

樹種による違い

手前の事物による遮蔽の影響

傾斜角や方位角の扱い

測定回数・位置 (回数が少なく効果的な測定方法)

葉面積指数算出結果

※下條ら(2003)の実測結果に基づき傾斜角を与えた。

葉の傾斜角の与え方別の葉面積指数

単位葉面積の蒸散量に関する考察

LAI=1.97 [m2/m2]

総葉面積=10.8[m2]

蒸散量平均=24.5[kg/日]

葉面積1m2あたりの

日平均蒸散量

=2.3[kg/(m2・日)]

Voxelモデルイメージ

レーザー到達比率の確認

P =𝑁𝑡𝑟𝑒𝑒

𝑁𝑛𝑎𝑛= 樹木有の到達数

樹木無の到達数 =

Nnan Ntree

高さ[m] 2.6 7.6

90%以上の部分に着目

レーザー到達比率の空間分布

1地点 2地点 3地点 4地点

59.9% 77.7% 84.6% 87.3%

樹冠内部・上部にはレーザーが十分に到達しない部分が見られる。

レーザーが十分到達しない部分についての検討

極端な傾斜角を与えない場合、 葉面積指数に大きな変動は見られない。

まとめ 地上型LiDARで樹木を測定したデータから、4地点の測定結果を用いた場合のレーザー到達率・レーザーが十分に届かない地点での誤差・葉の傾斜角の与え方を検討した上で 葉面積指数を算出した。結果、本ケヤキでは4地点の測定により、樹冠内部の情報を 捉えるのに十分なレーザーが到達することが確認された。また、葉面積1m2あたりの 日平均蒸散量は約2.3[kg/(m2・日)]であることが明らかになった。

今後は対象樹木の葉の傾斜角・方位角を測定し、葉面積密度[指数]を最終同定する。

樹木の・正味放射量、蒸散特性や顕熱・潜熱輸送量等の解明

樹木の熱・水収支のモデル化

樹木の熱環境調整効果を予測・評価し、最適な緑化計画の策定

快適な緑化空間の創出に向けて

日射遮蔽

蒸散

風速低減

気温低下

潜熱

顕熱

長波長放射

受熱日射量

熱・水収支決定要素

蒸散量

日射透過率

吸水量

はじめに 樹木全体の 形状情報

樹冠形状

葉面積密度 (空隙)分布

個葉の 形状情報

面積

傾き

形状

吸水

[補足]葉面積指数算出方法 本研究では葉面積指数(LAI)、葉面積密度(LAD)の算出にHosoi et al.(2006)の手法を用いた。以下にその内容を示す。

葉面積指数算出結果

到達率

樹木の熱・水収支解明に向けて樹木の形態情報のモデル化が必要

個葉レベルでの樹木の形態情報の再現は計算負荷等の問題から困難

樹冠を20㎝四方のVoxel (=B-voxel)に分割しモデル化 (各B-voxelの葉面積はHosoi et al.の手法(補足へ)を用いて算出)

葉面積指数・密度算出時の課題点を以下に示す。 (赤字→今回の分析対象)

葉面積指数の算出結果

葉面積指数の算出に向けた検討(遮蔽の影響)

測定回数に従い、到達率が向上。 4回の測定により87.3%のB-voxelに9割以上のレーザーが到達。

4地点の測定結果を用いた場合のレーザー到達率の空間分布を示す。

下図は右図のように各水平断面の到達率を外側から 内側へ1本のデータで表し、それを高さ順に並べたもの。

Hosoi et al.(2006)の手法により葉面積指数を算出した。

不確定要素である葉の傾斜角は、下條ら(2003)の 実測結果(※)を含む、複数のパターンで与えた。

4地点の測定結果から、レーザー到達率が最も 高い1地点を各B-voxelで選び、葉面積を算出。

補足

樹冠内部・上部のレーザー到達率が低い

B-voxelにおける誤差について検討する。

①[Case1]到達率が高いB-voxelの葉面積算出。

②[Case2]当該B-voxelの点群を到達率最小の

部分に置き換え、再度レイトレーシング

を行い、葉面積を算出。

③Case1,2を比較。過小評価の程度を検証。

050

100150200250

0 50 100 150 200 250

レーザー 照射密度

不足に

よる誤差

y=x

最大誤差66%

最小誤差21%

レーザー照射密度不足による葉面積推定の誤差

葉面積(Case1:到達率95%以上) [cm2/B-voxel]

葉面積

(Ca

se

2 :

到達率最小

)

[㎝2/B

-vo

xe

l]

過小評価の割合は内部の点群(葉)分布で、 ばらつきが見られる。

当該Voxelにおける過小推定の割合:平均45% 今後、樹冠内部の葉の分布と 補正等について検証。

(※葉の傾斜角は下條ら(2003)の実測結果の平均値を設定。)

日本ヒートアイランド学会 第7回全国大会

地上型レーザースキャナを用いた樹木の葉面積密度分布推定に関する検討 Estimation of Leaf Area Density Distribution using Terrestrial Laser Scanning System

○本田友里香(東京工業大学), 浅輪貴史(東京工業大学), 梅干野晁(放送大学), 押尾晴樹 (東京工業大学), 清水 克哉(トヨタ自動車)

2012.7.20-22 会場:京都大学

下條ら(2003)の実測結果で傾斜角を与えたLAI値、及び重量計を用いた蒸散量測定結果(夏期晴天日:2010.8.21-23日)を用いて分析を行った。

遮蔽の影響の検討・測定手法の妥当性の検証のために、測定回数別に各B-voxelへの遮蔽物

が無い場合のレーザー入射数に対する、実際の 入射数の比率(=レーザー到達率P) を算出した。

到達率Min

到達率95%以上

Case1葉面積

(推定精度:高)

到達率Min

到達率95%以上

Case2葉面積

(推定精度:低)

①点群 データ 移動

②再レイトレ

比較

本来、葉面積は

等しいはず

葉 (属性1) 枝 (属性2) レーザーが到達しない (属性4)

レーザー通過 (属性3)

樹冠外部 樹冠内部