「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … ·...

8
1 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目指して~施設名:岩国市医療センター医師会病院 サークル名:チーム☆星の子 所属名:透析室 発表者 名:川 かわ さき 寿郎 としろう <運営規模> 病床数 〔本館+東館〕 201 床 診療科目 血液内科、内分泌内科、腎臓内科、人工透析内科、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、総合診療科、緩和ケア科、 小児科、外科、整形外科、脳神経外科、放射線診断科、泌尿器科、麻酔科、ペインクリニック内科、リハビリテーション科 (1) 施設名 ( 岩国市医療センター医師会病院 ) (2) テーマの種別 □①診断治療 □②安全 ③患者サービス/満足度向上 □④無駄削減・能率・業務環境 □⑤質管理システム □⑥その他 (3) 改善しようとした問題/課題 透析患者さんに対する足病変の教育及び改善 (4) 改善の指標とその目標値 改善指標(構築度) 目標値(90%) (5) 実施した対策 透析部署のフットケア業務の構築 (6) 改善指標の対策実施前後の変化 実施前 ( 3% ) 実施後 ( 101.1% ) (7) 活動の種類(複数可) □①職場単位のグループ活動 ②複数の職場が連携したグループ活動 □③テーマに合せて召集されたチームプロジェクト □④組織全体で取り組んだ活動 □⑤その他 (8) チームの名称 team・星の子 (9) 実施期間 計( 35 )週 (10) 所属部門(複数可) ①診療部門 □②支援部門 □③管理部門 □④その他 (11) チームリーダー 名前( 川﨑 寿郎 )所属部署( 透析室 )職種 (臨床工学技士) (12) チームメンバーの人数 8(人) (13) 活動回数: 今回で( 2 )回目 (14) QCストーリー □①問題解決型 ②課題達成型 □③その他 ( ) 1.病院紹介 2.職場&サークル紹介 透析室のスタッフ 11 名 医師 2 名、臨床工学技士 4 名、看護師 4 名、医療秘書 1 名 透析室での主な業務 血液透析の他、臨床工学技士は透析機器の保守管理を行っています。 サークル名の由来 「星」は華やかさを表現し、「子」はサークル初心者が多く、出来立ての 為、サークル名「チーム☆星の子」として活動に取り組みました。 岩国市医療センター医師会病院は、山口県の東部に 位置し、1993 年 8 月にオープンしました。 近くに五橋として知られている錦帯橋があります。 私たちは透析室で血液透析業務を担当しています。

Transcript of 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … ·...

Page 1: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

1

「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目指して~」

施設名:岩国市医療センター医師会病院 サークル名:チーム☆星の子

所属名:透析室 発表者 名:川かわ

﨑さき

寿郎としろう

<運営規模>

病床数 〔本館+東館〕 201床

診療科目

血液内科、内分泌内科、腎臓内科、人工透析内科、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、総合診療科、緩和ケア科、

小児科、外科、整形外科、脳神経外科、放射線診断科、泌尿器科、麻酔科、ペインクリニック内科、リハビリテーション科

(1) 施設名 ( 岩国市医療センター医師会病院 )

(2) テーマの種別 □①診断治療 □②安全 ☑③患者サービス/満足度向上

□④無駄削減・能率・業務環境 □⑤質管理システム □⑥その他

(3) 改善しようとした問題/課題 透析患者さんに対する足病変の教育及び改善

(4) 改善の指標とその目標値 改善指標(構築度) 目標値(90%)

(5) 実施した対策 透析部署のフットケア業務の構築

(6) 改善指標の対策実施前後の変化

実施前 ( 3% )

実施後 ( 101.1% )

(7) 活動の種類(複数可)

□①職場単位のグループ活動 ☑②複数の職場が連携したグループ活動

□③テーマに合せて召集されたチームプロジェクト

□④組織全体で取り組んだ活動 □⑤その他

(8) チームの名称 team・星の子 (9) 実施期間 計( 35 )週

(10) 所属部門(複数可) ☑①診療部門 □②支援部門 □③管理部門 □④その他

(11) チームリーダー 名前( 川﨑 寿郎 )所属部署( 透析室 )職種 (臨床工学技士)

(12) チームメンバーの人数 8(人) (13) 活動回数: 今回で( 2 )回目

(14) QCストーリー □①問題解決型 ☑②課題達成型 □③その他

( )

1.病院紹介

2.職場&サークル紹介

透析室のスタッフ 11 名

医師2 名、臨床工学技士4 名、看護師4 名、医療秘書1 名

透析室での主な業務

血液透析の他、臨床工学技士は透析機器の保守管理を行っています。

サークル名の由来

「星」は華やかさを表現し、「子」はサークル初心者が多く、出来立ての

為、サークル名「チーム☆星の子」として活動に取り組みました。

岩国市医療センター医師会病院は、山口県の東部に

位置し、1993 年8 月にオープンしました。

近くに五橋として知られている錦帯橋があります。

私たちは透析室で血液透析業務を担当しています。

Page 2: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

2

特に、糖尿病がある透析患者の場合、四肢壊死の発生率は、一般

人のおよそ 481 倍 とも言われています。

合同サークルの利点を生かし、透析部署に関する幅広いテーマで

活動を行っています。マトリックス図により評価し、今年はフッ

トケアについて取り組みました。

導入までの保存期腎不全の期間や、血管の石灰化等、透析患者は

一般の患者よりも動脈硬化のリスクが高いとされており、近年、

糖尿病を併せ持つ透析患者が非常に増えている背景があります。

また、PAD が関与した糖尿病足潰瘍患者の場合、足切断率が高

く、生命予後に大きく影響をします。日常のフットケアはこれら

の深刻な足病変の早期発見、早期治療に役立つ、透析分野には欠

かせない課題のひとつと言えます。

QC ストーリー判定シートから、今回のテーマは課題達成型

で進めていくことに決定しました。

フットケアとは、足の循環を良くする事、足を清潔にする事、足

に傷を作らないようにする事、の3つの柱で成り立っています。

3.テーマ選定 4.適応判定シート

6.背景2 5.背景1

7.背景3 8 背景4

Page 3: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

3

8.テーマ選定理由

透析患者では、PAD(末梢動脈疾患)を発症し重篤化すると予

後も悪いので、スタッフはリスクへの予防対策を講じる必要があ

る。また、一人でも多くの患者が、最後まで、自分の足で歩ける

ように有効とされているのが、日常的なフットケアであります。

9.活動計画表

2013 年4 月から活動を開始し、9 月末でフットケア業務を

構築しました。

現在、フットケア業務の改善を継続中です。

10.攻め所の明確化

現状と、理想の姿を明文化、数値化し、そのギャップを表しました。目指すフットケアの構築には、97%ものギャップがありました。

評価により、攻め所の全項目を採用としました。

Page 4: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

4

11.重点指向

今回はフットケア開始1 年目でもあるため、スタッフへ事前アン

ケートを行い、ケアの内容や理想など、各人の活動イメージを確

認、重点志向を加えています。結果、観察・指導に重点を置いた

活動を行おう!と意識統一しています。また、行いたいケアの具

体例も意見を集めました。

12.目標

透析室でのフットケア業務を、10 月上旬までに、3%から90%

構築する。としました。

1からのフットケア業務立ち上げのため、ケア技術の習得や患者

意識への定着があり、100%を目指すことは難しく、目標値を少

し落として90%としています。

13.方策の立案

人・方法・管理・時間の特性から14

の方策案を上げ、全てを採用としてい

ます。

方策案から最適策を追求し、

人・方法の特性から10 項目を

採用としています。

14.最適策の追求① ~人・方法~

Page 5: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

5

また、管理・時間の特性から

6 項目を採用とし、

全部で16 項目を採用としました。

15.最適策の追求② ~管理・時間~

16.最適策の実施

17.最適策の実施① ~観察シート・実施予定表~ No.1・12・14

最適策の実施は左図のように

実施する事としました。

実施内容を6つに分けて報告

します。

No.1・12・14 の観察シート・実

施予定表について、

観察シートはフットケアを行って

いる近隣病院のご協力と学会資料

などを集め、実際に試作を繰り返し

作成しました。

フットケア実施予定表は患者ごと

に糖尿病の有無や足病変の重症度

を分類し、年間を通して計画的に足

を観察できるようにしました。

Page 6: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

6

18.最適策の実施② ~配布資料~ No.2・3・6

19.最適策の実施③ ~勉強会~ No.4

20.最適策の実施④ ~マニュアル~ No.5・11

No.2・3・6 の配布資料について、

こちらもメーカー発行のものや文献

を調べ、足病変やフットケア、日常の

手入れに関する事で分かりやすいも

のを選定し、必要に応じて患者に配布

しています。

同時にスタッフの知識向上へも役立

てています。

No.4 の勉強会について、

こちらはメーカーへご協力頂き、2~

3 ヶ月毎に1回1 時間程度、勉強会

を実施しています。

No.5・11 のマニュアルについて、

配布資料やDVD の内容から、足の観察、

フットケア、患者指導の手順と内容をマニ

ュアルにまとめました。

足を観察する際の観察マニュアルと患者

指導行うためのフットケア指導マニュア

ルの 2 種類のマニュアルを作成し、閲覧

しやすいようにラミネートしています。

Page 7: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

7

特性項目、方法について

実施前フットケアを行っていなかった為、行ったフットケア5項

目を全て達成としています。また、事前アンケートであつめた理

想のケアと、実現できたケアを比較し、達成率を出しています。

足の循環を良くするケアはマッサージ・足浴は採用せず、ホット

タオルによる清拭のみを採用とした為、達成率33.3%。

足を清潔にするケアは爪・タコ、鶏眼・角質のケアは採用せず、

保湿とホットタオルによる清拭を採用した為、達成率40%。

足の傷をつくらない様にするケアについては、観察の大切さの指

導、靴の選び方の指導の両方を行い、達成率100%。

以上、これらの8 項目の平均達成率は、84.2%となっています。

効果の確認です。特性項目、人について

まず、スタッフにフットケアに関するテストを行い、正解率75%

以上が実施前後で12.5%→75%へと増え、達成率71.4%。

次に、外来患者へアンケートを行い、目標値を90%としました。

足への関心度は、62%→82%へ増加、達成率72.9%。

フットケアの知識は、25%→83%へ増加、達成率は 89.7%。

自宅でのセルフケア実施は25%→83%、達成率89.7%。

以上、人に関する4 項目の平均達成率は、79.9%になりました。

No.7・8・9・15 のフットケアの様子について、

まず、患者指導用の資料をもとに、足病変の知識や、家庭で出

来るケア、靴の選択についての説明を行います。

次に、モノフィラメントを使用して足の知覚の検査や、傷や痛

みの有無などをチェックシートに沿って確認していきます。

最後に、ホットタオルを使用して温めながら簡単なマッサージ

を行い、足の清潔、循環を良くするよう取り組んでいます。

No.10・13・16 の分類・実施基準について、

足病変の危険度とそのレベルに合わせたフットチェックの実施基

準を作成しています。レベルは糖尿病やPAD の有無によっても変

化させています。

また、必要に応じてDr.へ上申を行い、皮膚科やフットケア外来へ

の紹介へつなげていきます。

21.最適策の実施⑤ ~フットケアの様子~ No.7・8・9・15 22.最適策の実施⑥ ~分類・実施基準~ No.10・13・16

23.効果の確認 ~特性項目:人~ 24.効果の確認 ~特性項目:方法~

Page 8: 「フットケアを始めよう! ~透析部署のフットケア業務構築を目 … · No.4の勉強会について、 こちらはメーカーへご協力頂き、2~ 3ヶ月毎に1回1時間程度、勉強会

8

今後の課題として3つ、意見が上がりました。

フットケア業務を構築して1年ぐらい経過しています。その為、

現在は爪・角質・タコ・鶏眼のケア及びフットマッサージを追加

しています。

特性項目、管理について

フットケアの管理方法がなかった為、今回、足の状態把握・記録・

定期的な観察の3 項目を実施し、達成率100%。

特性項目、時間について

ケア時間は透析の落ち着いた時間帯を確保して実施している為、

達成率100%。

以上により、管理・時間は共に達成率100%となりました。

人・方法・管理・時間の項目により、全体的なフットケア業務

の構築度は91.0%。

目標達成率は101.1%になり、目標達成です。

波及の効果として

5 つの意見が上げられました。

無形の効果としても、サークルとしての成長が見られます。

標準化と管理の定着は上記のように取り決めました。

現在も継続中です。

反省点として

8つの意見が上げられました。

25.効果の確認 ~特性項目:管理・時間~ 26.効果の確認

27.波及・無形の効果

29.反省

28.標準化と管理の定着

30.今後の課題