光化学オキシダントの原因物質を探る ~揮発性有機化合物の...
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2004年度 公開発表会
光化学オキシダントの原因物質を探る~揮発性有機化合物の実態~
分析研究部 星 純也
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2004年度 公開発表会
大気中に存在する様々な揮発性有機化合物(VOC)・・・
人の健康に有害な影響(有害大気汚染物質)
浮遊粒子状物質の生成
光化学オキシダントの生成
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2004年度 公開発表会
光化学オキシダント生成とVOC
都内大気中のVOC汚染の実態① VOCの成分別濃度
② オゾン生成能から見たVOC成分
発生源とVOC成分① 移動発生源(自動車等)
② 固定発生源(工場等)
今後の調査課題
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2004年度 公開発表会
調査対象物質
CH3CH2
CH C
H2
CH3CH3
CH2CH
CH3 CH2CH
CH
CH2CH3CH2
CH2
CH3
飽和炭化水素類(27成分)
ブタン3-メチルペンタン
不飽和炭化水素類(14成分)
プロピレン 1,3-ブタジエン
芳香族炭化水素類(15成分)
ベンゼン トルエン
アルデヒド類(2成分)
アセトアルデヒドホルムアルデヒド
OCH
H
OCH
CH3
CH3
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2004年度 公開発表会
VOCのクロマトグラムの例
プロピレン
イソブタン
1-ブテン-
n-ブタン
イソペンタン
n-ペンタン
3-メチルペンタン
トルエン
トルエンーd8
(内部標準物質)
ベンゼン
ヘキサンoーキシレン
m,p-キシレン
エチルベンゼン
1,3,5-トリメチルベンゼン
n-デカン
m,p-エチルトルエン
1,2,4-トリメチルベンゼン
平成15年11月、環状8号線沿道(世田谷区)
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2004年度 公開発表会
都内のVOCの測定地点
福生
杉並
足立
江東
大田
地域的なバランスを考慮し5地点を選定
測定時期
平成15年8月および11月
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2004年度 公開発表会
都内VOCの物質群別濃度
0
20
40
60
80
100
120
140
160
江東 大田 杉並 足立 福生
濃度(μg/m3)
アルデヒド類
芳香族炭化水素類
不飽和炭化水素類
飽和炭化水素類
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2004年度 公開発表会
都内各地点の個別成分別VOC濃度
上位8成分
0
5
10
15
20
25
トルエン
イソペンタン
n-ブタン
プロパン
イソブタン
エチルベンゼン
n-ペンタン
エチレン
濃度(μg/m3)
大田
福生
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2004年度 公開発表会
オゾン生成能によるVOCの評価
光化学オキシダント主成分であるオゾンの生成能はVOCの個別成分によって異なる
例)n‐ブタン : 1.33
プロピレン :11.58
ベンゼン : 0.81
トルエン : 3.97
ホルムアルデヒド: 8.97
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2004年度 公開発表会
VOC成分のオゾン生成能
飽和炭化水素類
低
不飽和炭化水素類
高
C C C C
芳香族炭化水素類
低~高
アルデヒド類
高
OCH
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2004年度 公開発表会
都内大気中VOC濃度のオゾン生成能評価
0
100
200
300
400
500
600
江東 大田 杉並 足立 福生
オゾン生成能(μg/m3)
アルデヒド類
芳香族炭化水素類
不飽和炭化水素類
飽和炭化水素類
成分別濃度×成分別オゾン生成能 の総和
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2004年度 公開発表会
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
濃度 オゾン生成能
VOC濃度とオゾン生成能の割合
大田 福生
アルデヒド類
芳香族炭化水素類
不飽和炭化水素類
飽和炭化水素類
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2004年度 公開発表会
大気中濃度およびオゾン生成能の高濃度成分(上位10成分)
1 トルエン
2 イソペンタン
3 プロパン
4 n-ブタン
5 イソブタン
6 エチルベンゼン
7 プロピレン
8 n-ペンタン
9 アセトアルデヒド
10 ホルムアルデヒド
濃度
1 トルエン
2 プロピレン
3 アセトアルデヒド
4 エチレン
5 ホルムアルデヒド
6 エチルベンゼン
7 1-ブテン
8 m,p-キシレン
9 イソペンタン
10 n-ブタン
オゾン生成能
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2004年度 公開発表会
VOCの発生源
光化学オキシダントに影響を与える発生源の調査
自動車の影響 大
大規模工場が少ない
自動車交通量が多い
東京
固定発生源(工場等):9割
移動発生源(自動車等):1割
環境省の推定
全国
シャシダイナモメータを用いた調査
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2004年度 公開発表会
シャシダイナモメータ
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2004年度 公開発表会
自動車から排出されるVOC
0
5
10
15
20
25
30
35
40
ホルムアルデヒド
1-ブテン
1,3-ブタジエン
イソブタン
ベンゼン
トルエン
排出係数(ディーゼル車)
(mg/km)
ディーゼル車
0
0.5
1
1.5
2
2.5
排出係数(ガソリン車)
(mg/km)
ガソリン車
ディーゼル車とガソリン車では排出される成分が大きく異なる
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2004年度 公開発表会
自動車排出ガスのオゾン生成能
ディーゼル車はガソリン車の20倍
0
200
400
600
800
1000
1200
オゾン生成能(mg/km)
ディーゼル車 ガソリン車
アルデヒド類
芳香族炭化水素類
不飽和炭化水素類
飽和炭化水素類
0
10
20
30
40
50
60
オゾン生成能(mg/km)
ガソリン車
37%
10%
49%
4%
2%
37%
21%
40%
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2004年度 公開発表会
酸化触媒によるVOC低減効果
ホルムアルデヒド アセトアルデヒド ベンゼン1,3-ブタジエン
環境モニタリングデータを用いて効果を検証
0
20
40
60
80
100
排出係数(mg/km)
装着前
装着後
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2004年度 公開発表会
固定発生源からの排出量
固定発生源からの排出量
PRTRデータ
環境確保条例の届出
小規模事業所等の排出実態
届出対象成分以外
しかし
環境モニタリングデータを用いた検討
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2004年度 公開発表会
VOC個別成分からの発生源の推定
大気中濃度の比較
ベンゼン比の比較
ベンゼン比の比較
道路沿道と
一般環境の
道路沿道と
一般環境の
固定発生源からの排出について検討
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2004年度 公開発表会
ベンゼン
トルエン
1-ブテン
トルエン
1-ブテン トルエン
自動車排出VOC濃度
ベンゼン濃度
自動車排出VOC+固定発生源VOC濃度
ベンゼン濃度
道路沿道≒一般環境 道路沿道<一般環境
ベンゼン比による発生源の推定
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2004年度 公開発表会
大気中の年平均濃度とベンゼン比
0 10 20 30 40
ブタン
3-メチルペンタン
1-ブテン
ベンゼン
トルエン
濃度(μg/m3)
道路沿道
一般環境
0 2 4 6 8 10
ブタン
3-メチルペンタン
1-ブテン
ベンゼン
トルエン
ベンゼン比
道路沿道(ベンゼン比)
一般環境(ベンゼン比)
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2004年度 公開発表会
VOC成分モニタリングデータによる発生源の推定
道路沿道>一般環境
自動車排出ガスの影響
道路沿道<一般環境
環境濃度
ベンゼン比
道路沿道≒一般環境
大
1-ブテン
3-メチルペンタン
固定発生源の影響
大
ブタン
トルエン
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2004年度 公開発表会
光化学オキシダント対策としてのVOC調査(これまでの調査結果のまとめ)
大気中のVOC成分
オゾン生成能で光化学
オキシダントへの影響を評価
不飽和炭化水素類、
芳香族炭化水素類の
削減が有効
自動車由来VOCの低下が期待
自動車排出ガスのVOC成分
ディーゼル車はガソリン車の
20倍
酸化触媒の普及
VOC個別成分のモニタリング
大気中濃度とベンゼン比による発生源の推定
固定発生源対策の必要性
(トルエン等)
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2004年度 公開発表会
光化学オキシダント低減に向けた今後の調査課題
固定発生源からの排出実態の把握
PRTR対象外の成分
小規模事業所からの排出
屋外塗装等の影響
大気中濃度実態が未把握の成分
届出排出量が多く環境調査が行われていない成分
例)イソプロピルアルコール、アセトン等
光化学オキシダントの原因物質を探る~揮発性有機化合物の実態~分析方法VOC削減の第1の理由光化学オキシダントへのVOCの寄与