前希釈オンラインHDFの...
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前希釈オンラインHDFの 愁訴と貧血への効果
医療法人社団城南会 西條クリニック鷹番
朝日大樹、長友まどか、西條公勝
演題発表に関連し、開示すべき COI 関係にある 企業などとして、
①顧問: なし ②株保有・利益: なし ③特許使用料: なし ④講演料: 協和発酵キリン株式会社 ⑤原稿料: なし ⑥検査費用の一部: ニプロ株式会社 ⑦奨学寄付金: なし ⑧寄附講座所属: なし
⑨贈答品などの報酬: なし
第7回フレッシュマンセミナー
COI開示
筆頭発表者名:朝日大樹
本日の内容 ① オンラインHDFの特徴 ② 愁訴への効果
1) HDと30L前希釈オンラインHDFの比較
2) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
③ 貧血への効果
1) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
本日の内容 ① オンラインHDFの特徴 ② 愁訴への効果
1) HDと30L前希釈オンラインHDFの比較
2) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
③ 貧血への効果
1) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
各種血液浄化法におけるクリアランスと溶質の分子量の関係
峰島三千男:血液浄化装置,臨床工学技士標準テキスト, 小野哲章, 峰島三千男, 堀川宗之ほか(編), P346-389, 金原出版, 2002
より引用一部改変
置換液量増加
峰島三千男:血液浄化装置,臨床工学技士標準テキスト, 小野哲章, 峰島三千男, 堀川宗之ほか(編), P346-389, 金原出版, 2002
より引用一部改変
各種血液浄化法におけるクリアランスと溶質の分子量の関係
置換液量増加
峰島三千男:血液浄化装置,臨床工学技士標準テキスト, 小野哲章, 峰島三千男, 堀川宗之ほか(編), P346-389, 金原出版, 2002
より引用一部改変
各種血液浄化法におけるクリアランスと溶質の分子量の関係
人 全国のHDF患者数の推移 希釈方法
日本透析医学会:わが国の慢性透析療法の現況 2014年12月31日現在 より引用一部改変
(%)
後希釈
前希釈
コンソール
フィルタ
オンラインHDFは、 透析液を置換液 として使用する。
政金生人:医師スタッフのためのオンラインHDF入門 より引用(一部改変)
表 オンラインHDFの前希釈と後希釈の特徴
要項 前希釈 後希釈
血流量(mL/min) 250-400 250-300
総置換液量(L) 24-72 7.2-12
TMP 上昇しにくい 上昇しやすい
アルブミン損失 コントロール可能 爆発的リークあり
フィルタ 大孔径が可能 大孔径が可能
小分子除去 低下 不変
低分子蛋白除去 高い 高い
分子量 60 113 11,800 23,000 33,000 66,000
朝日大樹, 他:ヘモダイアフィルタABH-PとABH-FのHDFにおける性能評価.腎と透析70別冊HDF療法‘11:98-100,2011
同一フィルタでの前・後希釈オンラインHDFの比較
小分子量物質 低分子量蛋白物質
佐藤隆 :On-lineHDF の臨床効果. 腎と透析 70 別冊HDF療法’11:62-63, 2011 から引用一部改変
表 清浄化透析液使用HDとオンラインHDF: 臨床効果の比較
超清浄化透析液HD On-lineHDF
関節痛 ◎
かゆみ ◎
イライラ感 ◎
難治性貧血 ◎ ◎
栄養障害 ◎ ◎
血中β2-MGの低下 ◎ ◎
透析時血圧 ○ ○
生存率の向上 ○ ○
本日の内容 ① オンラインHDF治療とは ② 愁訴への効果
1) HDと30L前希釈オンラインHDFの比較
2) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
③ 貧血への効果
1) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
自己記入形式(家族またはスタッフによる聞き取りも可)
質問数 20項目 、0~4の5段階評価のフェイススケールのアンケート
点数が低い方が愁訴が少ない(合計最高点 0点 最低点 76点)
・関節痛 ・かゆみ ・イライラ ・寝つき ・睡眠 ・食欲 ・だるさ
・透析中のだるさ ・頭痛 ・血圧低下 ・クランプ ・動悸息切れ
・便秘 ・穿刺痛 ・美味しい ・口渇 ・食事制限 ・憂鬱 ・興味 ・満足
関節痛、かゆみ、寝つき、熟睡、食欲、イライラ、の6項目で、
2点(中等度)以上の愁訴を訴える患者割合の推移を観察した。
② 愁訴への効果 評価方法(愛Pod調査シート)
政金生人 (2011年)「患者視点の新しい透析治療―わかりやすい計画から実際の処方」 より引用 新興医学出版社
質問内容
② 愁訴への効果
1) HDと30L前希釈オンラインHDFの比較
N=71 HD 30L前希釈
オンラインHDF
QB [mL/min] 234 ±35 238±32
QDtotal [mL/min] 500 500
膜種
FB-U
NV-X
APS-EA
積層型透析器
MFX-S(ニプロ)
膜面積 [m2] 1.83±0.34 1.87 ±0.31
透析液 カーボスターP カーボスターP
(%)
図1 愛Pod 2点以上の割合(N=71)
Kruskal-Wallis H 検定 ( N.S. )
オンラインHDF変更
図2 かゆみの有無が他の愁訴に与える影響
(愛Pod 2点以上の割合)
(%)
* **
**P<0.01
*P<0.05
mean±SD
Mann-Whitney U 検定
本日の内容 ① オンラインHDF治療とは ② 愁訴への効果
1) HDと30L前希釈オンラインHDFの比較
2) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
③ 貧血への効果
1) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
② 愁訴への効果
2) 30Lから50L前希釈オンラインHDFに変更
30L 50L P値
QB [mL/min] 252±25 253±25 N.S.
QDtotal [mL/min] 500 500 N.S.
膜種 MFX-S MFX-S -
膜面積 [m2] 1.97±0.25 1.98±0.25 N.S.
β2-MG 除去率 (%) 76.2±4.1 78.0±3.8 P<0.01
α1-MG 除去率 (%) 22.5±4.0 27.5±6.0 P<0.01
透析液 カーボスターP カーボスターP -
置換液量増加の変更条件
①75歳未満 ②ALB 3.5g/dL 以上 ③除去率 α1-MG 30% 未満
の3つの条件を満たす患者36名
図3 愛Pod 2点以上の割合(N=36)
(%) Kruskal-Wallis H 検定 ( N.S. )
除去率
α1-MG 30%未満
除去率
α1-MG 30% 以上 N=49 N=21
Kruskal-Wallis H 検定
* P<0.05
図4 HDと前希釈オンラインHDFでの愛Pod2点以上の
全体割合
(%) (%)
*
道脇宏之, 土田健司:種々の治療条件とアルブミン漏出量, オンラインHDFの最前線,Clinical Engineering Vol.27 No.8 2016
かゆみ改善は、生命予後との関連が示されている1)。
1) 飯野則昭, 他:透析患者のかゆみの疫学. 透析療法ネクストⅫ, pp20-33, 医学図書出版, 東京, 2011
本日の内容 ① オンラインHDF治療とは ② 愁訴への効果
1) HDと30L前希釈オンラインHDFの比較
2) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
③ 貧血への効果
1) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
エリスロポエチン抵抗性貧血の原因
・ 鉄欠乏性貧血 ・ 二次性副甲状腺機能亢進症
・ 慢性失血 ・ 悪性腫瘍
・ 透析不足 ・ 血液疾患
・ 慢性炎症 ・ 脾機能亢進症
・ 栄養障害 ・ アルミニウム中毒
・ 抗EPO抗体 ・ 薬剤の副作用
尿毒症性物質または、低分子量蛋白領域の造血阻害
因子の蓄積がESA反応性の低下の原因となる。
透析不足は
置換液量・膜面積・血流量を増加して、 ESA使用量の推移を検討した。
③ 貧血への効果
1) 30Lと50L前希釈オンラインHDFの比較
30L 50L
変更前 変更
4ヵ月後
変更
14ヵ月後
変更
26ヵ月後
QB [mL/min] 258.7 ±23.3 260.0 ±22.7 260 ±22.7 269.3 ±23.7
Qdtotal [mL/min] 500
治療時間 [hr] 4.03 ±0.13 4.03 ±0.13 4.03 ±0.13 4.07 ±0.26
膜面積 [m2] 2.01 ±0.21 2.01 ±0.21 2.10 ±0.00 2.10 ±0.00
Kt/V for urea [-] 1.52 ±0.16 1.47 ±0.16 1.48 ±0.18 1.60 ±0.19
β2-MG除去率(%) 76.1 ±4.9 78.3 ±3.8 78.0 ±3.5 77.9 ±3.9
α1-MG除去率(%) 22.4 ±4.4 28.9 ±6.0 31.2 ±5.9 30.8 ±6.0
*
**
** **
対象
①出血がない ②CRP 0.5mg/dL未満③ダルベポエチンα 1剤のみ
の3つの条件を満たしている患者15名
**
貧血と鉄代謝状態の推移 **P<0.01 *P<0.05 mean±SD
* **
**
N=15 N=15
30L(変更前)をベースラインとしてWilcoxon符号付き順位検定
貧血と鉄代謝状態の推移 **P<0.01 *P<0.05 mean±SD
*
*
*
N=8 N=8
30L(変更前)をベースラインとしてWilcoxon符号付き順位検定
15名中、レボカルニチンおよびクエン酸第二鉄を使用していない8名で検討
エリスロポエチン抵抗指数
N=15
エリスロポエチン抵抗指数:ERI式
N=8
15名の検討 8名の検討 (レボカルニチン、クエン酸第二鉄抜き)
HDFにおける貧血改善効果(学会・論文)
国内 ○賛否両論、否定的な報告が多い。
腎と透析77別冊HDF療法‘14:114-115,2014
HDFにおける貧血改善効果(学会・論文)
海外 ○否定的な報告が多い。
オンラインHDFは、エリスロポエチン
抵抗指数は変化せず、腎性貧血に寄与
しないと報告
オンラインHDFは、エリスロポエチン
抵抗指数は変化せず、腎性貧血に寄与
しないと報告
HDFにおける貧血改善効果(学会・論文)
海外 ○否定的
低分子量蛋白領域(特にα1-MG)の除去率
増加と長期間施行した報告が少ないことも事実
まとめ
○ HDFの目的
→HDおよびHFで除去することができない大分子量物質を
効率良く除去すること
○ HDから前希釈オンラインHDFの効果
→β2-MG&α1-MG除去率が増加により、かゆみが減少
→かゆみが改善することで、他の愁訴も減少した。
○ 置換液量増加による効果
→β2-MG&α1-MG除去率が増加し、さらにかゆみが減少
→ESA製剤使用量の減少