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転用禁止 検査開発企業からみたコンパニオン 診断薬等(CDX)規制の評価点・問 題点と取扱い案に対する意見 2019年12月20日 (一社)日本臨床検査薬協会 CDx subWG 西田美和 (ロシュ・ダイアグノスティックス) コンパニオン診断薬WG ワークショップ 「がんゲノム医療実装を見据えたコンパニオン診断薬等の規制のあり方」

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検査開発企業からみたコンパニオン診断薬等(CDX)規制の評価点・問題点と取扱い案に対する意見

2019年12月20日

(一社)日本臨床検査薬協会

CDx subWG

西田美和 (ロシュ・ダイアグノスティックス)

コンパニオン診断薬WG ワークショップ「がんゲノム医療実装を見据えたコンパニオン診断薬等の規制のあり方」

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DISCLAIMER

本発表は、診断薬の開発経験に基づいていますが、内容の一部について、個人的見解・提案が含まれていることをご承知おきください

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CDxの将来イメージ

体外診断用医薬品の開発

CDxグループ化の課題2

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CDXの将来イメージ~脱コンパニオン診断薬の世界~

個別化医療 ⇒ 治療の有効性/安全性の最大化

個別化医療とは、バイオテクノロジーに基づいた患者の個別診断と、治療に影響を及ぼす環境要因を考慮に入れた上で、多くの医療資源の中から個々人に対応した治療法を抽出し提供することです。(国際個別化医療学会HPより)

個別化医療を実現するための重要な要素の一つがバイオマーカー

⇒ コンパニオン診断薬

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この薬が効くのは誰?

私のがんに効く薬はどれ?

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転用禁止CDXの将来イメージ~脱コンパニオン診断薬の世界~

厳密なCDx運用により患者の利便性が損なわれることが危惧される状況で、薬機法上CDxを特別扱いする必要性はなく、他の体外診断用医薬品と同様に「…診断の補助」とすればよいのではないか

使用目的は、「治療法選択(医薬品の適応判断/選択を含む)の判断の補助」

変異など疾病の特徴を検出/測定するキットとしての分析学的性能で承認

ただし、最初(先発)のCDxは、医薬品あるいは治療の有効性/安全性に紐づくデータが必要。 ← 臨床的意義の確立

製品の添付文書においては、診断薬に特定の医薬品を明示すのではなく、特定の医薬品に有効なコンパニオン診断薬を指定することが本来のCDxの役割に沿った対応である

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医薬品「○○○」の適応患者を層別化するためのコンパニオン診断薬

患者の疾病(例えば腫瘍)に対して最適な治療を選択するための診断薬

医薬品のコンパニオン 患者のコンパニオン

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CDxの将来イメージ

体外診断用医薬品の開発

CDxグループ化の課題5

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体外診断用医薬品(CDXも含む)の開発

約 3 ~ 5年

上市承認審査

製造移管(QMS)

臨床性能試験基本性能評価

研究開発キットデザインの決定

デザイン(設計)に基づく開発/販売(品質保証)

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デザイン(設計)に基づいて、製品開発

デザイン(設計)で規定された性能に関して品質保証 (QMS)

製造販売後の安全管理(GVP)

CDx開発の場合は、医薬品開発と同時並行で進行

Global 開発製品の場合は、ほとんどの場合、全世界同一のキットデザイン(設計)

デザイン(設計)には「使用目的、検体種、測定/検出対象等」が含まれる

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体外診断用医薬品における品質・精度の確保

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組織に対する要件(規制)

許可・届出・登録

製造販売業許可

製造業登録・外国製造業者登録

販売業許可・届出

体制の要件 人に関する要件

製品に対する要件(規制)

製造販売業による、承認取得・認証取得・自己認証(届出)

基本要件適合

QMS省令適合

製品性能の要件 体制の要件

承認基準等適合

QMS省令: 製品の製造管理及び品質管理

体制省令: 製造管理及び品質管理に係る業務体制

GVP省令: 製造販売後安全管理の方法

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CDxの将来イメージ

体外診断用医薬品の開発

CDxグループ化の課題8

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CDXグループ化のプロセス

IVD企業に追加のデータは求めない

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1. グループ化のプロセスにおける課題

2. 個々の診断薬のキットデザイン(設計)への影響

3. 診療報酬の課題

4. グループ化に伴う申請手数料

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CDXグループ化の課題(懸念)

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CDXグループ化の課題(懸念)

1. グループ化のプロセスにおける課題

グループ化要望に必要なエビデンスレベルの明確化が必要

例えば、国際 Journal(peer review journal) の論文など、Global が

参照可能なレベルが必要

アカデミアからの要望に対して規制側で検討としているが、CDxグループ化の受入れ要件の明確化が必要

PMDAが評価した結果(グループ化を決定した科学的根拠等)の公表/開示が必要

規制上(品質保証、安全管理等)の観点から、診断薬製販が受け入れられないケースがある

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CDXグループ化の課題(懸念)

2. 個々の診断薬のキットデザイン(設計)への影響

CDxグループ化により、個々の診断薬のキットデザイン(設計)との差分が生じるのではないか

適応がん種の拡大

適応薬剤の追加

検体種の追加

デザインと差分が生じた場合、GVP・QMSの観点で製造販売業者としての責任はどこまでとなるのか

Global claim との差異がでるのではないか

海外本社からの承認が得られない場合もある

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転用禁止遺伝子検査の具体的事例ーEGFR遺伝子変異検査の場合ー

検出可能な変異が異なる(症例報告における変異カバー率はそれほど差がない)

各変異に対する検出感度は、それぞれ異なる

FFPE検体を用いた検査とリキッドバイオプシー(LB)を用いた検査は、全く異なる検査。同じグループとするべきではない。

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エクソン アミノ酸変異

therascreen

EGFR 変異検出キット

RQG 「キアゲン」

コバス EGFR

変異検出キット v2.0

オンコマインDx

Target Test

マルチ CDxシステム

FoundationOne

CDxエクソン アミノ酸変異

therascreen

EGFR 変異検出キット

RQG 「キアゲン」

コバス EGFR

変異検出キット v2.0

オンコマインDx

Target Test

マルチ CDxシステム

FoundationOne

CDx

K745_E749del ー ● ● E709K ー ー ●

K745_A750delins ー ー ● E709A ー ー ●

E746_E749del ー ー ● E709G ー ー ●

E746_A750>IP ー ● ー E709V ー ー ●

E746_A750del ● ● ● G719A ● ● ●

E746_T751>IP ー ● ー G719S ● ● ●

E746_T751>I ● ● ● G719C ● ● ●

E746_S752>I ー ● ー G719D ー ー ●

E746_A750del ● ● ● S768I ● ● ●

E746_T751del ● ● ● V769_D770insASV ● ● ー

E746_T751>A ● ● ● V769_D770insASV ー ● ー

E746_T751>V ー ● ー D770_N771insG ● ● ー

E746_T751>VA ー ● ● D770_N771insSVD ー ● ー

E746_S752>A ● ● ー H773_V774insH ● ● ー

E746_S752>V ● ● ● T790M ● ● ●

E746_P753>VS ー ● ー L858R ● ● ●

L747_A750>P ● ● ● L858R ー ● ー

L747_T751>Q ● ● ● L861Q ● ● ●

L747_T751del ー ● ー L861R ー ー ●

E746_S752>D ● ● ●

L747_E749del ● ● ●

L747_A750>P ● ● ●

L747_T751>P ● ● ●

L747_T751del ● ● ー

L747_S752>Q ー ● ー

L747_S752del ● ● ●

L747_P753>Q ● ● ●

L747_T751>S ● ● ●

L747_T751del ● ● ●

L747_P753>S ● ● ●

S752_I759del ー ● ー

19 非公開

18 非公開

20 非公開

21 非公開

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転用禁止遺伝子検査の具体的事例ーBRAF遺伝子変異検査の場合ー

製品により対象がん種が異なる

がん種により腫瘍割合が異なる可能性があり、抽出のApply量については検証が必要になる

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コバスBRAF v600 変異検出キット

THxID BRAFキットMEBGEN RASKET-

B キットオンコマインDx Target Test マルチCDxシステム

FoundationOneCDx がん ゲノムプロファイル

適応癌腫 悪性黒色腫悪性黒色腫非小細胞肺癌

大腸癌 非小細胞肺癌 悪性黒色腫

対応する薬剤

ベムラフェニブダブラフェニブメシル酸塩トラメチニブジメチルスルホキシド付加物

FOLFOXIRI+Bmab療法

ダブラフェニブメシル酸塩トラメチニブジメチルスルホキシド付加物

ベムラフェニブダブラフェニブメシル酸塩トラメチニブジメチルスルホキシド付加物

方法 リアルタイムPCR法 リアルタイムPCR法 RCR-rSSO法 NGS法 NGS法

対象変異BRAF V600E BRAF V600E

BRAF V600KBRAF V600E BRAF V600E BRAF V600E

BRAF V600K

対象変異以外の変異の検出

なし なし あり

KRASNRAS

あり

EGFRALKROS1

あり

EGFRALKERBB2KRAS/NRASNTRK1/2/3BRCA1/2

検体種 FFPE組織検体 FFPE組織検体 FFPE組織検体(推奨) FFPE組織検体 FFPE組織検体

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CDXグループ化の課題(懸念)

3. 診療報酬上の課題

同じ検査項目であっても、がん種により異なる保険点数で算定されてい

るケースがある。保険への影響についても検討する必要がある。

(例)BRAF遺伝子変異検査

悪性黒色腫:6,520点(リアルタイムPCR法、NGS法) 大腸がん:2,100点(RCR-rSSO法) 肺がん:5,000点(NGS法)

4. グループ化に伴う申請手数料

一部変更申請が必須

診断薬企業の負担が軽減されるよう配慮をお願いしたい

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今後のグループ化に向けた課題

組織検体を用いた遺伝子変異検査でも、検討すべき課題がある

今後、リキッドバイオプシー(LB)や免疫染色(IHC)検査をグループ化する場合は、さらに多くの検討課題がある

LB 様々な検出対象:cfDNA, ctDNA, microRNA, …

Enrichの方法が試薬(検査キット)ごとに特定されている

IHC 染色状態の判定(カットオフ)が製品ごとに異なる

使用する抗体によってエピトープ/アフィニティなど多様性があり、染色像が必ずしも同じにならない

異なる測定原理の製品のグループ化における同等性評価

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診断薬業界が考えるCDXのあるべき姿

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患者の疾病(例えば腫瘍)に対して最適な治療を選択するための診断薬

CDXの将来イメージ~脱コンパニオン診断薬の世界~

他の体外診断用医薬品と同様に「…診断の補助」とすればよいのではないか

診断薬の製造販売業者ができること 検出対象/変異、検出感度についての情報提供 標準物質があれば、それを比較データとしてのせることは可能

使用者が各検査(製品)の特性/性能を理解して利用していけば良いのではないか

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医薬品「○○○」の適応患者を層別化するためのコンパニオン診断薬

医薬品のコンパニオン 患者のコンパニオン

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ご清聴ありがとうございました