がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的...

57
がん診療と腫瘍内科医の育成

Transcript of がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的...

Page 1: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

がん診療と腫瘍内科医の育成

Page 2: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

本日のトピック本日のトピック

• EBMとがん診療

• 腫瘍内科医とは?

• がん薬物療法専門医と腫瘍内科医

• 国立がんセンターのレジデント制度

• 腫瘍内科医の育成

Page 3: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

日本の死亡率の推移日本の死亡率の推移厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計より

22人は人は11人は「がん」になり、人は「がん」になり、33人に人に11人は「がん」で死ぬ時代人は「がん」で死ぬ時代!!

Page 4: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

日本人のがんの統計日本人のがんの統計

••

罹患数罹患数(2000)(2000)

538538,,345345人人

••

死亡数死亡数(2004)(2004)

320334320334人人

••

55年生存率年生存率

49.2%49.2%

••

7474才までにがんに罹患する確率才までにがんに罹患する確率

44%44%

••

7474才までにがんで死亡する確率才までにがんで死亡する確率

21%21%

国立がんセンターがん対策情報センターがんの統計より国立がんセンターがん対策情報センターがんの統計より

Page 5: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

最善の医療を提供するには?最善の医療を提供するには?

専門性専門性 科学的データ科学的データ

エビデンス・ベースド・メディシンエビデンス・ベースド・メディシン((EBM:EBM:根拠に基づく医療)根拠に基づく医療) の3要素の3要素

患者の希望患者の希望

Page 6: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

理想的ながん診療理想的ながん診療

患者さん患者さん

医者医者

看護師看護師

薬剤師薬剤師

ソーシャルソーシャルワーカーワーカーボランティアボランティア

栄養士栄養士外外科医科医

腫瘍内科医腫瘍内科医

放射線治療医放射線治療医

精神科医精神科医

緩和ケア医緩和ケア医

がん専門看護師がん専門看護師

心理療法士心理療法士

がん専門薬剤師がん専門薬剤師化学療法認定看護師化学療法認定看護師

Page 7: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

日本の日本のがん診療の実際がん診療の実際

患者さん患者さん

外外科医科医

看護師看護師

薬剤師薬剤師

ソーシャルソーシャルワーカーワーカーボランティアボランティア

栄養士栄養士外外科医科医

腫瘍内科医腫瘍内科医

放射線治療医放射線治療医

精神科医精神科医

緩和ケア医緩和ケア医

がん専門看護師がん専門看護師

心理療法士心理療法士

がん専門薬剤師がん専門薬剤師化学療法認定看護師化学療法認定看護師

Page 8: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

「がん」の治療法「がん」の治療法

•• 手術手術

((局所治療局所治療))

•• 放射線治療放射線治療

((局所治療局所治療))

•• 抗がん剤治療抗がん剤治療

((全身治療全身治療))

•• 緩和治療緩和治療

((全身治療全身治療))

Page 9: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

ステージ1

ステージ2

ステージ3

ステージ4

再発

がんのがんの進展と治療法進展と治療法

局所治療(手術・放射線)

局所治療

+ 全身治療

(手術・放射線) (抗がん剤)

全身治療(抗がん剤)

Page 10: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

内科のサブスペシャリティーとしての腫瘍内科内科のサブスペシャリティーとしての腫瘍内科

一般内科医(内科認定医、内科専門医)一般内科の知識、技量

臨床腫瘍内科医あらゆるがん種に対する化学療法のエキスパート、コン

サルテーション、治療コーディネーター、緩和治療

臓器専門腫瘍内科医臓器別の腫瘍内科医、臨床研究者、基礎

研究者

独創的成果が見えやすい

普遍的成果が見えにくい

チーフレジデント卒業生↓

がんセンターの医師

レジデント卒業生↓

がん拠点病院医師一般病院医師

Page 11: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

なぜ腫瘍内科医なぜ腫瘍内科医??

••

抗がん剤治療の特殊性抗がん剤治療の特殊性

((副作用と治療域副作用と治療域 が近いが近い))

••

がん薬物療法がん薬物療法((約約100100種類種類))の適応、副作用の適応、副作用 に精通する必要性に精通する必要性

••

全身疾患である「がん」に対する治療全身疾患である「がん」に対する治療

Page 12: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

埼玉医大抗がん剤過剰投与埼玉医大抗がん剤過剰投与事件事件

•• 20032003年年 33月月2020日日 読売読売 埼玉医大抗がん剤過剰埼玉医大抗がん剤過剰 投与死、主治医らに有罪判決投与死、主治医らに有罪判決

•• 埼玉県川越市の埼玉医大総合医療センターで埼玉県川越市の埼玉医大総合医療センターで 2000年10月、同県鴻巣市の高校2年生古館2000年10月、同県鴻巣市の高校2年生古館 友理さん(当時16歳)が抗がん剤を過剰投与さ友理さん(当時16歳)が抗がん剤を過剰投与さ れ死亡した医療過誤れ死亡した医療過誤 主治医(33)主治医(33)

禁固2年、執禁固2年、執

行猶予3年、耳鼻咽喉科教授(67)行猶予3年、耳鼻咽喉科教授(67)

罰金20万罰金20万 円、担当医(37)円、担当医(37)

罰金30万円(肩書はいずれも罰金30万円(肩書はいずれも

当時、求刑はいずれも禁固2年)当時、求刑はいずれも禁固2年)

Page 13: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

腫瘍内科医の役割腫瘍内科医の役割

臨床

– がん患者の全身治療、全身管理

– 最新のデータに基づいた標準的治療の実践

– 癌治療のコーディネーター

研究– 臨床研究(新しい治療)の計画、実行

– 基礎的研究から臨床への応用

教育

– 腫瘍内科医の育成

臨床臨床

–– がん患者の全身治療、全身管理がん患者の全身治療、全身管理

–– 最新のデータに基づいた標準的治療の実践最新のデータに基づいた標準的治療の実践

–– 癌治療のコーディネーター癌治療のコーディネーター

研究研究–– 臨床研究臨床研究((新しい治療新しい治療))の計画、実行の計画、実行

–– 基礎的研究から臨床への応用基礎的研究から臨床への応用

教育教育

–– 腫瘍内科医の育成腫瘍内科医の育成

Page 14: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

腫瘍内科医が知っておくべきこと腫瘍内科医が知っておくべきこと

• 基礎

– 癌の生物学– 癌の発生学– 癌免疫– 癌の疫学

• 臨床

– 病理学– 放射線診断学– 外科治療– 放射線治療– 化学療法– ホルモン療法– 標的療法– 臨床研究、臨床試験

• 臨床研究– 臨床試験のデザイン– 抗腫瘍効果の評価

• 各がんの治療

– 乳がん

– 消化器がん

– 肺がん

– 泌尿器がん

– 婦人科がん

– 頭頸部がん

– リンパ腫

– 肉腫

– 皮膚がん

– 中枢神経腫瘍

– 内分泌腫瘍

– 原発不明がん

– 白血病、骨髄異形成症候群

– エイズ関連腫瘍

– がんの救急治療

– 腫瘍随伴症候群

– 幹細胞移植

– 転移癌の局所治療

– 癌性胸腹水、髄膜炎の治療

• 合併症の治療

• 支持緩和療法

• がん生存者のケア

• 精神的サポート

• 生命倫理学、医療法、医療経

済学

• コミュニケーション技術

• 技術

– 化学療法、骨髄穿刺・生検な

• がんの情報システム

• 高齢者のがん

2005 米国臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍学会

教育カリキュラムより

Page 15: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

がん治療の目的がん治療の目的

治せる可能性のある癌

対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

治癒(完全に治すこと)を目指す

治せない癌

対象:進行・再発がんの化学療法

共存(延命、できるだけ長く元気に生きる)をめざす。

病気に伴う症状(痛み,咳などの苦痛)を緩和し、日常生活ができることをめざす(QOLの向上)。

治せる可能性のある癌治せる可能性のある癌

対象対象::血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法))

治癒治癒((完全に治すこと完全に治すこと))を目指すを目指す

治せない癌治せない癌

対象対象::進行・再発がんの化学療法進行・再発がんの化学療法

共存共存((延命、できるだけ長く元気に生きる延命、できるだけ長く元気に生きる))をめざす。をめざす。

病気に伴う症状(痛み,咳などの苦痛)を緩和し、日常生活ができる病気に伴う症状(痛み,咳などの苦痛)を緩和し、日常生活ができることをめざす(ことをめざす(QOLQOLの向上)。の向上)。

Page 16: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

全身的がん化学療法に期待される効果全身的がん化学療法に期待される効果

A 治癒が期待できる

絨毛癌、胚細胞性腫瘍、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病(小児)、

ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(中・高悪性度)

B 延命が期待できる

乳癌、卵巣癌、小細胞肺癌、

、非小細胞肺癌、大腸癌 、多発性骨髄腫、

慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度)

C 症状緩和、QOL改善が期待できる

前立腺癌、軟部組織肉腫、骨肉腫、頭頚部癌

膀胱癌、食道癌、胃癌、子宮頚癌、膵癌、腎癌、脳腫瘍

D 効果はあまり期待できない

悪性黒色腫、肝癌、甲状腺癌

AA 治癒が期待できる治癒が期待できる

絨毛絨毛癌癌、、胚細胞性腫瘍、胚細胞性腫瘍、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病(小児)急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病(小児)、、

ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(中・高悪性度)ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(中・高悪性度)

BB 延命が期待できる延命が期待できる

乳癌、卵巣癌、小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌、小細胞肺癌、

、、非小細胞肺癌、大腸癌非小細胞肺癌、大腸癌

、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫、、

慢性骨髄性白血病慢性骨髄性白血病、、非ホジキンリンパ腫(低悪性度)非ホジキンリンパ腫(低悪性度)

CC 症状緩和、症状緩和、QOLQOL改善が期待できる改善が期待できる

前立腺癌、軟部組織肉腫、骨肉腫、頭頚部癌前立腺癌、軟部組織肉腫、骨肉腫、頭頚部癌

膀胱癌、食道癌、胃癌、子宮頚癌膀胱癌、食道癌、胃癌、子宮頚癌、、膵癌膵癌、、腎癌腎癌、、脳腫瘍脳腫瘍

DD 効果はあまり期待できない効果はあまり期待できない

悪性黒色腫、肝癌、甲状腺癌悪性黒色腫、肝癌、甲状腺癌

Page 17: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

我が国の抗がん剤治療の現状我が国の抗がん剤治療の現状

•• 非標準的化学療法の実践非標準的化学療法の実践

–– 少ない投与量少ない投与量

–– 経口フッ化ピリミジン製剤の多用経口フッ化ピリミジン製剤の多用

–– 意味のない補助化学療法意味のない補助化学療法

–– 自前の化学療法プロトコールの作成自前の化学療法プロトコールの作成

•• 不適切な支持療法不適切な支持療法

–– 不適切な入院治療不適切な入院治療

–– 不適切な制吐剤使用不適切な制吐剤使用

–– 不適切な不適切なGG--CSFCSF製剤の使用製剤の使用

–– 不適切な発熱性好中球減少に対する対応不適切な発熱性好中球減少に対する対応

Page 18: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

がんがん専門医とはいえないがん治療医専門医とはいえないがん治療医

•• 消化器内科医が消化器がんを担当消化器内科医が消化器がんを担当

•• 呼吸器内科医が肺がんを担当呼吸器内科医が肺がんを担当

•• 外科医が消化器がん、肺がん、乳がん外科医が消化器がん、肺がん、乳がん

の抗がん剤治療を担当の抗がん剤治療を担当

•• 産婦人科医が婦人科がんを担当産婦人科医が婦人科がんを担当

Page 19: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

さまざまな抗がん治療さまざまな抗がん治療

タキサン類、シスプラチン、アドリアマイシン

などの静注化学療法

腹腔内投与、動脈内投与

量の少ない化学療法

夜に投与する化学療法

免疫療法、丸山ワクチン、ハスミワクチン

漢方薬、ビタミン、プロポリスなど

タキサン類、シスプラチン、アドリアマイシンタキサン類、シスプラチン、アドリアマイシン

などの静注化学療法などの静注化学療法

腹腔内投与、動脈内投与腹腔内投与、動脈内投与

量の少ない化学療法量の少ない化学療法

夜に投与する化学療法夜に投与する化学療法

免疫療法、丸山ワクチン、ハスミワクチン免疫療法、丸山ワクチン、ハスミワクチン

漢方薬、ビタミン、プロポリスなど漢方薬、ビタミン、プロポリスなど

信頼性信頼性

高い高い

低い低い

Page 20: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

見逃してはいけない癌見逃してはいけない癌 そのその11

2727才才

男性男性

主訴主訴: : 上肢、顔の上肢、顔の

浮腫浮腫

某大学病院呼吸器内科受診。某大学病院呼吸器内科受診。

SVCSVC症候群と診断。症候群と診断。AFP AFP

2736027360ng/mlng/mlと高値。胸部と高値。胸部XX線、線、

胸部胸部CTCTにて、前にて、前縦隔に巨大腫

瘤を認めた。本院に紹介。を認めた。本院に紹介。

Page 21: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

治療法は治療法は??

1.1. CDDP 80mg/m2+VPCDDP 80mg/m2+VP--16 100mg/m2 d116 100mg/m2 d1--33

2.2. CDDP 60mg/m2+CPTCDDP 60mg/m2+CPT--11 100mg/m2 d1,8,1511 100mg/m2 d1,8,15

3.3. CDDP 20mg/m2 d1CDDP 20mg/m2 d1--5+VP5+VP--16 100mg/m2 d116 100mg/m2 d1--5+BLM 5+BLM

30mg d1,9,1530mg d1,9,15

4.4. CDDP 80mg/m2+PTX 210mg/m2CDDP 80mg/m2+PTX 210mg/m2

5.5. 放射線照射放射線照射+CDDP 100mg/m2+VNR 20mg/m2 d1,8+CDDP 100mg/m2+VNR 20mg/m2 d1,8

Page 22: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

その後の経過その後の経過

生検にて、縦隔原発胚細胞性生検にて、縦隔原発胚細胞性

腫瘍腫瘍((yolk sac tumoryolk sac tumor))と診断。と診断。

標準的標準的BEP (CDDP 20mg/m2 BEP (CDDP 20mg/m2

d1d1--5+VP5+VP--16 100mg/m2 d116 100mg/m2 d1--

5+BLM 30mg d1,9,15)5+BLM 30mg d1,9,15)療法療法

x 4x 4

コースにて、コースにて、CRCRとなる。となる。AFPAFP正常正常

化。手術施行。術後再発なし。化。手術施行。術後再発なし。

Page 23: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

見逃してはいけない癌見逃してはいけない癌 そのその22

6767才才

女性女性

主訴主訴: : 腹部膨満腹部膨満

癌性腹膜炎(腹水中から腺癌)の診癌性腹膜炎(腹水中から腺癌)の診 断にて、某大学病院消化器内科入院。断にて、某大学病院消化器内科入院。 CA125 3748CA125 3748。。消化管に異常なし、婦消化管に異常なし、婦

人科受診するも異常なし。人科受診するも異常なし。主治医から、主治医から、 家族へ「末期の癌であり、余命家族へ「末期の癌であり、余命33ヶ月ヶ月

でしょう」と言われた。でしょう」と言われた。翌日より翌日よりCDDP CDDP

30mg/body30mg/bodyのの腹腔内投与腹腔内投与開始。開始。セカセカ ンドオピニオン目的にて本院受診。ンドオピニオン目的にて本院受診。

Page 24: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

治療法は治療法は??

1.1. Best supportive careBest supportive care

2.2. CDDP 20mg/m2 CDDP 20mg/m2 腹腔内投与を続行。腹腔内投与を続行。

3.3. SS--11 120mg120mg//日日

内服内服

4.4. PTX 175mg/m2+CBDCAPTX 175mg/m2+CBDCA AUC6AUC6

5.5. FOLFOX 6FOLFOX 6

Page 25: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

その後の経過その後の経過

腹膜癌腹膜癌((卵巣癌の亜型、卵巣癌の亜型、上皮性卵巣癌の約上皮性卵巣癌の約9%9%、、治治

療は上皮性卵巣癌に準じて行われる療は上皮性卵巣癌に準じて行われる。。Cancer 1989;

64:110))と診断。と診断。

標準的標準的TCTC

((PaclitaxelPaclitaxel

175mg/m2 + 175mg/m2 + CarboplatinCarboplatin

AUC 6AUC 6))療法開始。療法開始。CRCRとなり、化学療法となり、化学療法66コース後手コース後手

術術((子宮、付属器、大網切除子宮、付属器、大網切除))施行。以後施行。以後55年間再発年間再発

なし。なし。

Page 26: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

クリニカルシナリオ1

• 57才 女性

卵巣癌術後患者(Stage IIIC 残存腫瘍径

<1cm)で、化学療法TJを選択、Paclitaxel 175

mg/m2/CBDCA AUC6を開始した。12日目に

採血をしたところ、WBC 1300, ANC 200で

あった。発熱もなく、患者さんは全く無症状で PS0。普通に食事も摂れる状況である。

Page 27: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

あなたはこの患者さんにどんな処 置をしますか?(複数選択可)

1. 無菌室に隔離、無菌食開始。

2. 外出・外泊禁止、入浴禁止。

3. 予防的抗生物質を開始。

4. G-CSF 皮下注射を開始。

5. 手洗いを励行する。

6. その他

Page 28: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

G-CSFの使い方

• 予防的投与(好中球が減る前から投与)

• 治療的投与(好中球が減ってから投与)

化学療法 G-CSF 24-72時間後

化学療法 G-CSF 好中球数<500mm3

好中球数

好中球数

Page 29: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

造血因子製剤の使用に関してのガイドライン (ASCO 2006 updated)

一次的予防投与初回治療からの予防的CSF投与は原則として行わない。しかしCSFを

使用しないと20%以上の確率で 発熱性好中球減少 (febrile neutropenia)を来すと予想される化学療法を行う場合は初回治療から

の予防的CSF投与を考慮しても良い。

二次的予防投与先行する化学療法によりfebrile neutropeniaが出現し、遷延する好中

球減少が化学療法施行の妨げとなる場合には、次のコースから予防的

CSF投与を行っても良い。

治療的投与無熱患者:好中球減少があっても発熱のみられないうちは、原則としてCSF

の投与は行わない。有熱患者:発熱を来した場合、抗生剤が使用されるが、これにCSFを併用す

ることの明らかな有用性を示すデータはない。しかしRisk factor (肺炎、

敗血症、真菌感染など)が存在する場合はCSFとの併用を行う。

J Clin Oncol 24 (19), 2006

Page 30: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

主要な化学療法とneutropenic feverの頻度

がん種 レジメン Neutropenic fever (%)急性白血病 DNR/Ara-C 64

胚細胞腫瘍 VIP 73

胚細胞腫瘍 BEP 16

膀胱がん M-VAC 10

悪性リンパ腫 CHOP 5

乳がん AC 5.5

乳がん FEC100 3

卵巣がん CBDCA/Pac 4

卵巣がん CBDCA/Doc 10

Page 31: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

化学療法後の発熱のない好中球減少 患者へのG-CSF投与の臨床試験

N Engl J Med 1997; 336:1776-1780

RANDOMIZE

G-CSF 5ug/kg SC

プラセーボ SC

固形がんリンパ腫

ANC<500

71 pts

67 pts

感染症の発生率に有意差なし

Page 32: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

クリニカルシナリオ2

乳癌術後リンパ節転移のある患者さんに、

FEC (5FU 500mg/m2 + Epirubicin 100mg/m2 + CPA 500mg/m2)を行おうと

した場合、制吐剤は何を使いますか?

Page 33: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

制吐剤の選択

1.

カイトリル3mg (1A) 静注

2.

カイトリル2mg経口

5日間

3.

カイトリル3mg 静注+デキサメタゾン8mg

4.

カイトリル3mg 静注+デキサメタゾン16mg

5.

カイトリル1mg 静注+デキサメタゾン20mg

6.

セロトーン

10mg (1A)

7.

ゾフラン

4mg +デキサメタゾン8mg

8.

その他

Page 34: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

ASCOのRecommendationCategory Drugs Acute

emesisDelayed emesis Evidence level

Acute Delayed

High CDDP

5-HT3 拮

抗剤

+ デキサメ

タゾン

20mg

デキサメタゾン16mg+プリンペラン60-160mg /2-4日

または

デキサメタゾン16mg+ 5-HT3 拮抗剤 /2-4日

I, A I, A

CBDCADTICCPAADRDNREPI

Ara-CIFX

II-III, A-B

III-V, B-D

J Clin Oncol 17, 1999:2971

Page 35: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

ASCOのRecommendation

Agent Dose Range Schedule Evidence level

Granisetron(カイトリル)

1mg or 10ug/kg2mg

1回静注

経口

I, AI, A

Ondansetron (ゾフラン)

8mg or 0.15mg/kg 12-24mg

1回静注

経口

I, A II, B

Tropisetron(ナボバン)

5mg 1回静注、経口 III, B

保険適応

Granisetron 40ug/kg (2-3mg) 静注、2mg経口Ondansetron 4mg 静注、経口

J Clin Oncol 17, 1999:2971

Page 36: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

Granisetronのdose-finding RCT

Author N Design Results

Riviere et al.BJC 69: 967, 1994

1572 vs. 10 vs. 40ug/kg

Double blind 2 < 10=40

Navari et al.JCO 12: 2204, 1994

184 5 vs.10 vs. 20 vs. 40ug/kg 5 < 10= 20=40ug/kg

Soukop et al.EJC 26: s15, 1990

29640 vs. 160ug/kg

Double blind40=160

Smith et al.EJC 26: s19, 1990

44340 vs. 160ug/kg

Double blind40=160

10ug/kg = 0.5mg, 40ug/kg = 2mg

Page 37: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

EBMEBMの三種の神器の三種の神器

コクランライブラリーコクランライブラリー

UpToDateUpToDate

二次資料二次資料 ((良いエビデンスをまとめた資料良いエビデンスをまとめた資料))の利用の利用

クリニカルエビデンクリニカルエビデン スス

Page 38: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

OncologyOncologyの三種の神器の三種の神器

NCI PDQNCI PDQASCOASCOのガイドライのガイドライ

ンン

二次資料二次資料 ((良いエビデンスをまとめた資料良いエビデンスをまとめた資料))の利用の利用

NCCNNCCN

http://http://cancernet.nci.nih.gov/pdq.htmlcancernet.nci.nih.gov/pdq.htmlhttp://http://www.asco.orgwww.asco.org//

http://http://www.nccn.org/Default.htmwww.nccn.org/Default.htm

Page 39: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

がん薬物療法専門医と腫瘍内科医がん薬物療法専門医と腫瘍内科医

Page 40: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

1. 会員歴2年以上

2. 2年の初期研修後に5年以上のがん治療の臨床研修(基礎系大学院のうち2

年間は臨床研修の5年の中に含めることができる )

3. 認定研修施設での所定の研修カリキュラムに基づく2年以上の研修(薬物療

法を主体)

4. 各科基本学会(日本内科学会など)の認定医・専門医資格

5. 臨床腫瘍学の論文1編以上、日本臨床腫瘍学会発表1回以上

6. 教育セミナー出席(3年間にA、Bセッションを各1回以上)

7. 過去5年以内の30例の症例報告書

(薬物療法例、3がん腫以上、造血器を含むことが望ましい)

8. 専門医認定試験に合格

日本臨床腫瘍学会専門医認定条件

Page 41: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

血液・腫瘍内科医の日米比較

日本日本 米国米国 比比

人口人口 1.2811.281億億 人口人口 2.9822.982億億 4343%%

医師医師 (2004)(2004) 249,574249,574 医師医師 (2004)(2004) 632,818632,818 39%39%

日本内科学会認定医日本内科学会認定医

((専門医専門医))55,27855,278

((10,57310,573)) Gen InternGen Intern MedMed 186,868186,868 30%30%

日本臨床腫瘍学会日本臨床腫瘍学会専門医専門医 4747 Med OncologyMed Oncology 10,01610,016 0.5%0.5%

日本血液学会日本血液学会認定血液専門医認定血液専門医 2,1192,119 HematologyHematology 6,1226,122 35%35%

Page 42: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)
Page 43: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

腫瘍内科医腫瘍内科医

~日米の違い~~日米の違い~

•• チーム医療の中心チーム医療の中心•• 全ての大学病院に腫瘍内科教室全ての大学病院に腫瘍内科教室•• 6161のがんセンターに配置のがんセンターに配置•• 1001610016名の認定腫瘍内科医名の認定腫瘍内科医(2006(2006年年))

•• チーム医療でないチーム医療でない•• 33つの私立大学に腫瘍内科教室つの私立大学に腫瘍内科教室•• 3030のがんセンターのうちのがんセンターのうち88施設に腫瘍内科医施設に腫瘍内科医•• 127127名の認定腫瘍内科医名の認定腫瘍内科医

(2006(2006年年))

Page 44: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

米国と日本の比較米国と日本の比較

••

6161のがんセンターのがんセンター

••

NCI (NCI (米国がん研究所米国がん研究所))がが 認定認定

••

1616項目の厳しい規準項目の厳しい規準

••

NCINCIの監査ありの監査あり

••

一人約一人約3030分の診療、待ち分の診療、待ち 時間なし時間なし

••

3030のがんセンターのがんセンター––

全がん協全がん協((全国がん全国がんセンターセンター

協議会協議会))が認定が認定

––

44項目の規準項目の規準

––

監査なし監査なし

••

8787のがん拠点病院のがん拠点病院––

厚生労働省が認定厚生労働省が認定

––

厚生労働省の監査なし厚生労働省の監査なし

••

33分診療、分診療、33時間待ち時間待ち

がんセンターがんセンター

Page 45: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

米国のがん拠点病院米国のがん拠点病院

••

14251425の認定病院の認定病院((2003年2003年))

••

American College of SurgeonAmerican College of Surgeon

(ACS)(ACS)が認定を行うが認定を行う

••

承認条件承認条件

––

すべてのがん腫に対して、腫瘍すべてのがん腫に対して、腫瘍

内科医が携わること内科医が携わること

––

腫瘍カンファレンス腫瘍カンファレンス((外科医、腫外科医、腫

瘍内科医、放射線治療医など瘍内科医、放射線治療医など))

にて、治療方針が決定されるこにて、治療方針が決定されるこ

とと

––

臨床研究支援部門があること臨床研究支援部門があること

((Cancer CenterCancer Center))

Page 46: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

日米がんセンターの医師数日米がんセンターの医師数(2006(2006年年))

MDACC (米国MDアンダーソンがんセンター)

MSKCC(米国メモリアルスローンケタリングがんセンター)

NCC(国立がんセンター中央病院)

SCC(四国がんセンター)

ベッド数 512 437 600 360

部位 内科 外科放射線

治療

内科 外科放射線

治療

内科 外科放射線

治療

内科 外科放射線

治療

胸部腫瘍 19 6 7 8 6 6 4 4 3

婦人科腫瘍 3 12 2 9 13 (1)* 5 0 4

血液腫瘍 53 - 2 29 - 9 - 2 -

脳腫瘍 10 12 4 12 5 0 4 0 0

乳がん 22 8 4 20 12 5* 3 0 3

消化器がん 13 11 5 17 16 9 16 8 5

泌尿器がん 11 11 3 16 15 (1)* 4 0 2

頭頸部がん 8 13 8 3 6 0 5 0 2

皮膚がん 5 9 2 16 7 0 2 0 0

肉腫 5 5 6 4 0 4 0 0

合計

149 87 37 136 84 38 28 47 6 14 19 2

(55%) (32%) (14%) (53%) (33%) (15%) (36%) (57%) (7%) (40%) (54%) (6%)

273名 258名 81名 35名

*は兼任

Page 47: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

米国のヘルスケアの動向米国のヘルスケアの動向

••

19901990年代以降年代以降––

入院患者数の減少、外来治療への移行入院患者数の減少、外来治療への移行

––

ヘルスケアマネージメントの動向ヘルスケアマネージメントの動向••

医療費抑制医療費抑制

••

医療効率促進医療効率促進

••

化学療法の投与化学療法の投与

––

> > 990%0%

外来化学療法実施率外来化学療法実施率

––

< 10% < 10% 入院化学療法実施率入院化学療法実施率

((連日の化学療法連日の化学療法

,,急急 性白血病の導入化学療法、性白血病の導入化学療法、BMTBMTなどに限るなどに限る))

Page 48: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

外来化学療法~日本の現状~外来化学療法~日本の現状~

••

外来化学療法実施率外来化学療法実施率

4.4%4.4%

(1(1,,127/127/25,55425,554名名))

468468施設からの回答より施設からの回答より

((厚生労働省がん研究助成金による研究報告集厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成平成1414年度年度

1414--1717、、464464‐‐468468、、2002)2002)

Page 49: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

腫瘍内科医が日本に少ない理由腫瘍内科医が日本に少ない理由

癌告知のタブー

外科ががん診療の中心

大学に診療科がない

癌告知のタブー癌告知のタブー

外科ががん診療の中心外科ががん診療の中心

大学に診療科がない大学に診療科がない

Page 50: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

国立がんセンターのレジデント制度国立がんセンターのレジデント制度

• 1962年

国立がんセンター発足

• 1969年

レジデント制度発足

• 1990年

がん専門修練医制度(チーフレジデント)

発足

• 1992年

国立がんセンター東病院発足

• 2005年

37期レジデント受け入れ

•• 19621962年年

国立がんセンター発足国立がんセンター発足

•• 19691969年年

レジデント制度発足レジデント制度発足

•• 19901990年年

がん専門修練医制度がん専門修練医制度((チーフレジデントチーフレジデント))

発足発足

•• 19921992年年

国立がんセンター東病院発足国立がんセンター東病院発足

•• 20052005年年

3737期レジデント受け入れ期レジデント受け入れ

中央病院中央病院((築地築地)) 東病院東病院((柏柏))

予防・検診センター予防・検診センター 研究所研究所((築地・柏築地・柏))

Page 51: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

国立がんセンターのレジデント制度国立がんセンターのレジデント制度

国立がんセンター内科レジデント

医師免許取得

初期研修

前期ローテーション(内科各領域)

診断部、病理、緩和ケアなど内科以外の研修専門部署での臨床研修

国立がんセンター内科チーフレジデント

臨床研修

研究(基礎研究または臨床研究)

3年間

2年間

2年以上

1年

1年

後期ローテーション

1年半

1年半

Page 52: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

部門 コース 前期 後期

内科 固形腫瘍 前期ローテーション呼吸器、消化管、肝胆膵、乳

腺・腫瘍、血液、をそれぞれ

3ヶ月以上、CCM

2ヶ月)

後期ローテーション必須: 外来

1ヶ月以上、固形腫瘍2領

域 3ヶ月以上

選択: 病理、診断、緩和、放射線治療

血液腫瘍 前期ローテーション呼吸器、消化管、肝胆膵、乳

腺・腫瘍、血液、をそれぞれ

2ヶ月以上、

CCM

2ヶ月

後期ローテーション必須: 外来、専攻コース

選択: 病理、診断、緩和、放射線治療

中央病院内科レジデントコース中央病院内科レジデントコース

中央病院内科がん専門修練医中央病院内科がん専門修練医((チーフレジデントチーフレジデント))コースコース

部門 コース 1年目 2年目

内科 呼吸器、消化管、肝胆

膵、乳腺・腫瘍、血液、

造血幹細胞移植、治療

開発

臨床研修 研究

(基礎研究、臨床研究)

Page 53: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

部門 コース 2年間 1年間

内科 腫瘍内科 各領域の研修頭頸部、消化管、呼吸器、肝

胆膵、乳腺・腫瘍、血液、緩

和医療・精神医療

選択研修各臓器別がん、病理、診断、PCU

臓器別内

科呼吸器内科、消化器内科

(肝胆膵)、消化器内科(消

化管)、化学療法科、緩和

ケア・精神科

専攻コース

東病院内科レジデントコース東病院内科レジデントコース

東病院内科がん専門修練医東病院内科がん専門修練医((チーフレジデントチーフレジデント))コースコース

部門 コース 1年目 2年目

内科 呼吸器、消化管、肝胆

膵、化学療法・治療開

発、緩和ケア・精神科

臨床研修 研究

(基礎研究、臨床研究)

Page 54: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

腫瘍内科医腫瘍内科医の育成の育成

••

レジデントレジデント––

応募資格応募資格::卒後臨床経験卒後臨床経験22年以上年以上––

内科認定医を取得または、取得見込み内科認定医を取得または、取得見込み

のある者のある者––

募集人員募集人員::中央病院中央病院3030名名、東病院、東病院1212名名––

33年間の研修期間年間の研修期間

••

がん専門修練医がん専門修練医((チーフレジデントチーフレジデント))––

応募資格応募資格::卒後臨床経験卒後臨床経験55年以上年以上––

募集人員募集人員2020名名、東病院、東病院88名名––

22年間の研修期間年間の研修期間

••

任意研修医任意研修医––

応募資格応募資格::医師であること医師であること––

研修期間研修期間: : 1日~1日~66カ月以上カ月以上

国立がんセンターホームページ

http://www.ncc.go.jp/jp/index.html

Page 55: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

施設 中央病院 東病院レジデント修了者 チーフレジデント

修了者

レジデント修了者 チーフレジデント

修了者

国立がんセンター

(チーフレジデント)8 5

国立がんセンター

(病院・研究所)2 9 2 5

地域がんセンター 0 1 0 0

その他病院(大学病

院・一般病院)15 6 5 3

計 25 16 12 8

レジデント修了者の就業状況レジデント修了者の就業状況

(2004(2004年度修了生年度修了生))

内科レジデント修了者の主な勤務先内科レジデント修了者の主な勤務先

癌研究会病院、栃木県立がんセンター、静岡県立がんセンター、愛知癌研究会病院、栃木県立がんセンター、静岡県立がんセンター、愛知

県がんセンター、兵庫県立成人病センター、北海道大学腫瘍内科、埼県がんセンター、兵庫県立成人病センター、北海道大学腫瘍内科、埼

玉医科大学腫瘍内科、近畿大学腫瘍内科、三重大学腫瘍内科、都立玉医科大学腫瘍内科、近畿大学腫瘍内科、三重大学腫瘍内科、都立

駒込病院化学療法科など駒込病院化学療法科など

Page 56: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

新しい治療の開発新しい治療の開発 ((臨床研究臨床研究))

日本からの発表日本からの発表 9393 8585 9292 9393NCCNCC 1919 1919 1818 2121

279506

1284

2352

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

2002 2003 2004 2005

Abstract only

Poster

Poster discussion

Oral

20052005年英文論文数年英文論文数((中央病院中央病院))23(23(レジデントレジデント) / 201) / 201

Page 57: がん診療と腫瘍内科医の育成€¦ · がん治療の目的 z治せる可能性のある癌 z対象:血液がん、胚細胞性腫瘍など、固形がんの補助化学療法)

腫瘍内科医の育成腫瘍内科医の育成 ––今後の課題今後の課題--

•• 腫瘍内科教育プログラムの充実腫瘍内科教育プログラムの充実–– 外来教育プログラムの充実外来教育プログラムの充実

–– 整形外科・皮膚科領域の研修整形外科・皮膚科領域の研修

–– 東病院との共同カリキュラム東病院との共同カリキュラム

•• 地域がんセンター、がん拠点病院との連携地域がんセンター、がん拠点病院との連携

•• 大学病院大学病院腫瘍内科腫瘍内科との連携との連携–– 医学生・研修医への啓蒙医学生・研修医への啓蒙

–– レジデント修了後の連携レジデント修了後の連携

–– 共同プログラムの開発共同プログラムの開発

•• 初期・後期研修病院との連携初期・後期研修病院との連携–– 交換研修プログラム交換研修プログラム