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クⅡ STRESSMAR K

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応応 力力 解解 析析 塗塗 料料

ス ト レ ス マ ー ク Ⅱ

S T R E S S M A R KⅡ

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■ 応力解析塗料

応力解析塗料とは、応力(ひずみ)解析に用いられる特殊なもろい塗料のことをいい、学術的には“ぜい性塗料”、通称では“ひずみ塗料”ともいわれています。この塗料を解析しようとする物体上に塗布し、乾燥させてから負荷すれば、塗膜には高い応力が生じている部分から順次に亀裂が現れ鮮明な亀裂模様を描きます。 また、亀裂の方向は引張主応力に垂直で、その間隔と応力値の間には対応性がみられます。したがって、試験物体の危険な高い応力箇所を見落さずに、直接肉眼で全体の応力分布と主(応力)方向を同時に把握できます。

■ 特徴

1. エアゾール(エーロゾル)型ですので、スプレイガンやコンプレッサ等が不要で、簡便に塗布することができます。

2. 自然乾燥用ですので、加熱処理が一切不要です。 3. ひずみ感度(亀裂を生ずるときの最小のひずみ値)が極めて優れ、最適な応力解析

塗料を使用すれば、700~800 マイクロストレイン前後の感度が容易に得られます。 4. 負荷時に 5℃前後の空冷を行えば、450 から 550 マイクロストレインにすることが可

能です。 5. 塗布さえできれば、複雑な形状をした構造物や運動体にも応用され、容易に応力解

析を行うことができます。 6. スプレイガン専用の塗料を別途用意することもできます。

■ 塗料の種類

・応力解析塗料(STRESSMARKⅡ ST) 300ml/本

※ STRESSMARKⅡ ST-10、ST-30 は、製造中止 ・ 応力解析塗料用アンダーコート(STRESSMARKⅡ UC) 300ml/本

応力解析塗料を塗布する前に、試験体の表面に塗布します。 ・ 応力解析塗料用剥離洗浄液(STRESSMARKⅡ UC) 300ml/本

試験体の洗浄、応力解析塗料の剥離に使用します。

応力解析塗料 使用温度(℃)

使用湿度(R.H.%)

STRESSMARKⅡ ST-10 9~14 47~55

STRESSMARKⅡ ST-15 14~19 47~55

STRESSMARKⅡ ST-20 19~24 47~55

STRESSMARKⅡ ST-25 24~29 47~55

STRESSMARKⅡ ST-30 29~34 47~55

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■ 塗料の選定

応力解析塗料は、室温(供試体の温度)と湿度により種類を選定します。 たとえば、試験をする場所の最低温度が20℃で、湿度が 50%R.H.を下回らない場合には、縦軸の 20℃と相対湿度線 50%R.H.の交点 A をとおる塗料番号曲線を求めます。この場合は、曲線③すなわちSTRESSMARKⅡ ST-20 を選びます。 最低温度が 20℃で、湿度が 60%R.H.を下回らない場合には、交点 B をとおる塗料番号曲線を求めます。この場合は、曲線④すなわちSTRESSMARKⅡ ST-25を選びます。

最低温度が 25℃で、湿度が 40%R.H.を下回らない場合には、交点 C をとおる塗料番号曲線を求めます。この場合は、曲線③すなわちSTRESSMARKⅡ ST-20を選びます。

■ 試験手順

乾燥条件の予備調査

②ひずみ感度よりの選定確認

①乾燥温湿度よりの選定

塗料の選定

感度検定試験片の表面前処理

試験物体および

アンダーコートの塗装

室温乾燥(通常3時間)

自然乾燥(通常

時間)

ひずみ感度検定

負荷試験

亀裂模様の検出・記録

塗膜の後処理

応力(ひずみ)解析

応力塗料の塗装 28

30 40 50

60 70 80

相対湿度線

30

10 湿球温度(℃)

乾球温度

(℃

20

10

C

A B

(%R.H.)

※印は、製造中止

※①STRESSMARKⅡ ST-10

②STRESSMARKⅡ ST-15 ③STRESSMARKⅡ ST-20

④STRESSMARKⅡ ST-25 ※⑤STRESSMARKⅡ ST-30

20 30

応力解析塗料(STRESSMARKⅡ)の選定用図

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■ 適用事例

半だ円表面開口亀裂試験の

引張負荷時における亀裂模様

クレーン補強部材の先端

に生じた亀裂模様

販売元 〒564-0063 応 用 計 測 工 業 株 式 会 社 大 阪 府 吹 田 市 江 坂 町 2-12-6 Tel (06)6380-0121 Fax (06)6330-6562

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1. ま え が き

自動車開発において,強度面の品質確保は重要

な課題である。弱部の見落としは市場不具合に直

結し,ユーザーの信用を失墜するとともに,問題

解決に際しては,多大な時間と費用が必要である。

弱部の早期発見は,強度評価の大命題である。

代表的な強度評価手法とその特徴を表1,及び

写真1~4に示した。現在,一般的に採用してい

る手法は,表1におけるNo. 1~ 4までである。各々,一長一短があるので,最終的には複数の手

法を組み合わせることで補完されている。

これら従前の手法に応力塗料による強度解析手

法を加え,評価精度を向上させることを試みた。

応力解析塗料は 1930年代,アメリカで開発された技術である。当初は使い勝手の面で実用性に乏

しかったが,近年,ひずみ感度に優れ,自然乾燥

型で,なおかつエアゾル式となり,実用性が飛躍

的に向上した。これを機に,取り扱いにかかわる

パラメータースタディを行い,通常の強度評価に

活用できるよう,種々のノウハウを得ることにし

た。

* トラック・バス開発事業部 車両・要素実験部 強度グループ* 技術管理部

応力解析塗料を用いた強度試験法の開発Development of a Strength-Evaluation Method

Using Stress-Analysis Paint

概 要

応力解析塗料とは,強度解析の対象部品に応力塗料による皮膜を作った後,適度な負荷を

加えると,塗膜表面に亀裂模様が現れるので,ひずみの発生形態を目視確認できる評価手

法である。負荷に対する応力レベル,すなわち応力感度は,塗装表面温度などによる影響

を受けるが,今回,こうした影響を定量的に調査し,通常の強度評価に活用できるよう

種々知見を得たのでその内容を報告する。

AbstractStress-analysis paint is applied to a component to be subjected to strength analysis in orderto form a coating, and when this component is then loaded, a cracking pattern will appearon the painted surface, allowing the strain pattern to be visually confirmed. Although thestress level corresponding to loading - or in other words, the stress sensitivity - has previ-ously been influenced by factors such as the paint-surface temperature, it is now possiblefor such effects to be quantified during investigation. This report will detail the variousfindings made possible when such a paint was used in conventional strength evaluation.Key words: Stress-Analysis Paint, Evaluation Method by Which the Strain Pattern can be Visually

Confirmed

相 沢  勉* 関 口 敬 夫*

Tsutomu Aizawa Takao Sekiguchi

佐 山  修* 佐 藤 智 英**

Osamu Sayama Tomohide Sato

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応力解析塗料を用いた強度試験法の開発

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.oN 法手価評 所  長 所  短

1 EAC 析解

:例 1真写

早し対に合具不,めたな能可が討検るよにルデモ。るきで応対に期

。るきでが価評で間時短ばれあで体造構な純単

・ あがとこいなれきし現再に確正を件条力入の体実要必がンョシーレブリャキのと体実,合場のそ。る

。るなに

2 験試久耐上台

:例 2真写

成促を合具不るあの性能可るす生発ていおに場市。るきで認確し

。るきでに易容が認確界限

・ あがとこいなれきし現再に確正を件条力入の際実。る

3 験試久耐車実

:例 3真写

・・

。能可が価評の体全両車促を合具不るあの性能可るす生発,ていおに場市

。るきで認確し成。るきで擬模ねむおおを力入の体実

・・

。いし難が断判,めたう違が率成促にとご品部成構。るかかが間時にのるす了完が価評

4 験試力応車実)ジーゲみずひ(

:例 4真写

・・

。るきで現再ねむおおを力入の際実効有,ばれいてっか分が荷負や向方と位部合具不

。るあで段手な

よに験経はのるす測予に確正を位部力応高な的部局。要必が能技る

。いすやりなく多が数点測計

5 料塗析解力応 ・・

。るか分が向方と位部中集の力応率効び及上向度精ばれせわ合み組と験試力応車実

。効有に上向

・・

。いならか分かし値力応のそよおおが間時に備準といながスーブ業作燥乾,装塗の用専

。るかか

表1 代表的な強度評価手法とその特徴Typical strength-evaluation methods and characteristics

写真3 実車悪路耐久走行試験Poor-road durability drive testing of an actual-vehicle

写真4 応力試験用ひずみゲージStrain gauges for stress testing

写真1 CAE解析結果CAE analysis results

写真2 台上試験Bench testing

クロスカントリー

基準凸凹路

シングルゲージ

クロスゲージ

ロゼットゲージ

例:リヤアクスル入力:上下曲げ

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2. 塗料の選定

2.1 応力解析塗料の種類

樹脂ベースの塗料のため,亀裂特性は塗布及び

乾燥時における温度と湿度の影響を大きく受ける。

したがって表2のとおり,使用環境に応じて,塗

料を選択する。

2.2 アンダーコート(STRESSMAP-UC)

塗料の亀裂模様は,斜光線を当てることにより

肉眼で観察または写真撮影することができる。た

だし,塗布面の反射率が低く,当該面に著しい加

工傷がある場合は,亀裂模様を判別しづらくなる

ため,反射率の高いアンダーコートを先に塗布す

る。

3. 応力解析塗料の手順及び用具

3.1 手  順

手順1:乾燥条件の予備調査2:応力解析塗料の選定(乾燥時の温湿度)3:試験実体及び検定片の表面処理4:アンダーコートの塗布及び乾燥(約3時間)

5:応力解析塗料の塗布6:乾燥

7:負荷試験8:亀裂模様の検出及び記録9:塗装の後処理10:ひずみの解析

3.2 用  具

(1) 感度検定器及び検定片(写真5)(2) 記録式温湿度計(3) ヒーター及び加湿器(4) カメラ

4. ひずみ感度に関する要因調査

上記手順により試験を遂行するが,下記要因が

感度に及ぼす影響を検定片により調査する。

4.1 要因調査項目

(1) ひずみ感度と塗膜厚(塗膜厚と塗布回数の関係を含む)

(2) ひずみ感度と乾燥時間(3) ひずみ感度と塗膜温度

4.2 乾燥時の条件

(1) 応力解析塗料:SC-20(2) 乾燥時条件:温度 20℃,湿度 50%恒温恒湿槽にて乾燥(写真6)

応力解析塗料を用いた強度試験法の開発

表2 応力解析塗料と標準使用温湿度範囲Stress-analysis paint and standard temperature/humidity ranges

STRESSMAP 温度範囲(℃) 湿度範囲(R.H.%)

SC-5 * 4以上~9未満 47~ 55

SC- 10 * 9~ 14

SC- 15 14~ 19

SC- 20 19~ 24

SC- 25 24~ 29

SC- 30 * 29~ 34

SC- 35 * 34~ 40

*: 特注品

写真5 検定器及び検定片Standardizing device and standardizing piece

検定器

検定片

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応力解析塗料を用いた強度試験法の開発

5.結  果

5.1 塗膜厚と塗布回数

条件:塗装面からの距離 30~40 cmスプレーのスピード 0.5 m/s(表3,図1及び2,写真7及び8)

5.2 ひずみ感度と塗膜厚

条件:0.07 mm,0.1 mm,0.12 mm結果:塗布時の塗膜厚のばらつきを考慮し,感

度の誤差を確認したが有意差はなかった(図3,

4参照)。

5.3 ひずみ感度と乾燥時間

条件:20℃で乾燥した検定片を使用20~30時間の感度追跡

結果:乾燥時間28hで最も高い感度が得られた。(図3の縦軸は塗膜に亀裂が発生する最低ひずみ

であり,この値が小さい程,感度が良いというこ

とである。)

71

写真6 恒温恒湿槽Constant temperature, constant humidity oven

槽内サイズ間口:850×575 mm奥行:555 mm

0.04

0.03

0.02

0.01

00 10 20

塗り回数(回)

30

塗膜厚(mm)

図1 アンダーコート塗膜厚と塗り回数Undercoat thickness and application repetitions

00

0.01

0.02

0.03

0.04

10 20 30 40

塗り回数(回)

塗膜厚(mm)

図2 応力解析塗料塗膜厚と塗り回数Stress-analysis paint thickness and application repetitions

表3 標準塗膜厚と結果Standard paint thicknesses and results

標準塗膜厚 結 果

アンダーコート 0.03 mm以内 27回塗り以下(図1)

応力解析塗料 0.09 ~ 0.12 mm 26 ~ 34回塗り(図2)

写真7 検定片への塗装Painting of the standardizing piece

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5.4 ひずみ感度と塗膜温度

条件: 20℃,28時間乾燥検定片を使用(写真9)

結果:負荷試験時,塗膜表面温度を計測し塗膜

表面温度が 1℃上昇(21℃← 20℃)したことで,70μ感度が悪化するが,3~ 5℃下昇(15~ 17℃← 20℃)すると,安定して 2倍程度の感度が得られた。

6. 実体(キャブステップ周り)での確認

6.1 乾燥及び負荷条件

今回は小型トラックのキャブ,ステップ周りの

確認のため,キャブ全体をシートで囲み乾燥する

環境を整えた(写真10)。温湿度は,ヒーター及

び加湿器により調整。

6.2 結  果

ステップ周りと同時に塗布した検定片の亀裂か

ら判断すると,約 500μ のひずみがA部及びB部(写真11,12,13)に発生したことになる。ま

た,主応力の方向は亀裂模様で一目瞭然である。

塗装条件の最適化を図ることで,有効に活用でき

ることを確認した。

応力解析塗料を用いた強度試験法の開発

写真8 形状粗さ測定器Shape-roughness measurement device

写真9 負荷後の検定片Standardizing piece after loading

亀裂模様

800

900

1000

1100

1200

18 20 22 24 26 28 30 32

0.12 mm塗膜厚

0.07 mm

0.10 mm

乾燥時間(h)

ひずみ(μ)

図3 ひずみ感度と乾燥時間Strain sensitivity and drying time

0.12 mm

14

1200

1000

800

600

400

20016 18 20 22

塗膜厚

0.07 mm

0.10 mm

乾燥時間(h)

乾燥温度

ひずみ(μ)

図4 ひずみ感度と塗膜温度Strain sensitivity and painting temperature

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応力解析塗料を用いた強度試験法の開発

7. 今後の課題

(1) 複雑な構造体に塗布する場合,塗膜厚を均一に保つには修練が必要。

(2) 気軽に使える環境作りが必要。・ 塗装及び乾燥環境を作る準備ノウハウ

・ 試験ノウハウの整備

8. ま と め

今回,応力塗料の基礎試験を実施した結果,集

中部位の特定や主応力方向を見極める手法として

は思いどおりの結果が得られた。従来から実施し

ている手法(特にひずみゲージによる評価)と併

用することで,精度及び効率の良い評価ができ,

結果的に開発期間の短縮及びコスト低減に繋がる

73

写真11 キャブステップ周りCab step area

写真12 A部拡大Magnification of section A

A部

B部

亀裂模様

写真10 乾燥用テントDrying tent

表4 乾燥項目と乾燥及び負荷条件Drying items and conditions

項目 負荷条件

乾燥温度 20~ 22℃

乾燥湿度 50~ 70%

乾燥時間 27時間

負荷 ステップ上に約130 kg

負荷時の塗膜温度 17℃(-4℃冷間増感法)

ブルーシート

写真13 B部拡大Magnification of section B

亀裂模様

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応力解析塗料を用いた強度試験法の開発

ものと思われる。

今後,塗料の乾燥が簡単にできる(恒温恒湿槽

利用)コンポーネント部品での評価から導入し,

徐々に範囲を拡大していきたい。

また,プラスチック製品の評価にも応用してい

くことで,さらに活用範囲を拡大していきたい。

最後に本開発を進めるに当たりご協力を頂いた

三菱自動車工業(株)殿 開発部門の関係各位に

は深く感謝いたします。

参 考 文 献

テスコ(株)資料

相 沢  勉 関 口 敬 夫

佐 山  修 佐 藤 智 英

∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗∗

『乗りたい車で移動できるタクシー』

武田 ひとみ

武田 利明(社員)夫人 澤井 智幸(社員)息女

『アニマルフルーツカー』

澤井 夏実 11才

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応応力力解解析析塗塗料料

SSTTRREESSSSMMAARRKKⅡⅡ

使 用 説 明 書

三精塗料工業株式会社

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目 次 1. ま え が き ------------------------------------------------------ 1頁 2. 塗料の種類および記号 ----------------------------------------------- 1頁

〔1〕 応力解析塗料STRESSMARKⅡ-ST 〔2〕 応力解析塗料用アンダーコートSTRESSMARKⅡ-UC 〔3〕 応力解析塗料用剥離洗浄液STRESSMARKⅡ-RC 〔4〕 応力解析塗料STRESSMARKⅡ-STとUCの塗装可能面積

3. 実験手順および用具 ------------------------------------------------ 2頁 3.1 実験手順 3.2 用 具

4. 実 験 方 法 ------------------------------------------------------------ 3頁 4.1 乾燥温湿度条件の調査 4.2 塗料の選定

〔1〕 乾燥温湿度条件からの選定 〔2〕 ひずみ感度からの選定確認

4.3 表面の前処理 4.4 塗装方法

〔1〕 アンダーコートSTRESSMARKⅡ-UC 〔2〕 応力解析塗料STRESSMARKⅡ-ST

4.5 乾燥法 4.6 負荷試験法 4.7 亀裂模様の検出と記録 4.8 塗膜の後処理

5. 応力解析塗料を使用する際の注意事項 --------------------------------------- 9頁 5.1 塗装時の注意事項 5.2 塗料乾燥時の注意事項 5.3 負荷時の注意事項

付 録 ------------------------------------------------------------- 11頁

1. STRESSMARKⅡ-ST塗膜の亀裂特性 ----------------------------- 11頁 1.1 乾燥過程におけるひずみ感度特性 1.2 負荷速度特性 1.3 応力緩和特性 1.4 その他

〔1〕塗膜の熱膨張係数と空冷増感法 〔2〕亀裂生成条件

2. 塗 装 要 項 ------------------------------------------------------------- 14頁 3. エアゾール缶の取扱注意事項 ---------------------------------------------- 17頁 4. 適 用 実 例 ----------------------------------------------------------- 18頁

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1. ま え が き

応力解析塗料とは、応力(ひずみ)解析に用いられる特殊なもろい塗料のことをいい、学術的には“ぜい性塗

料”、通称では“ひずみ塗料”ともいわれています。この塗料を解析しようとする物体上に塗装し、乾燥させて

から負荷すれば、塗膜には高い応力が生じている部分から順次に亀裂が現れ鮮明な亀裂模様を描きます。また、

亀裂の方向は引張主応力に垂直で、その間隔と応力値の間には対応性がみられます。したがって、試験物体の

危険な高い応力箇所を見落さずに、直接肉眼で全体の応力分布と主(応力)方向を同時に把握できますので、

現場技術者から特に実用的な解析法として注目されています。他のひずみ計、例えば電気抵抗ひずみ計を用いる

場合でも、この塗膜を併用すれば、まず測定すべき点が定まるうえに、高価なロゼットゲージ(3軸)を用いる

必要がありませんので、非常に合理的な測定を行うことができます。

応力解析塗料STRESSMARKⅡは以上の特性を十分に発揮し、特に使用しやすいように製造されたも

ので、次のような特長をもっております。

1) エアゾール(エーロゾル)型ですので、スプレイガンやコンプレッサ等が不要で、簡便に塗装するこ

とができます。

2) 自然乾燥用ですので、加熱処理が一切不要です。

3) ひずみ感度(亀裂を生ずるときの最小のひずみ値)が極めて優れ、表1に示す使用条件に従えば、700

~800マイクロストレイン前後の感度が容易に得られます。また、負荷時に5℃前後の空冷を行えば、

450から550マイクロストレインにすることが可能です。

4) 塗装さえできれば、複雑な形状をした構造物や運動体にも応用され、容易に応力解析を行うことがで

きます。

5) スプレイガン専用の塗料を別途用意することもできます。

2. 塗料の種類および記号

〔1〕 応力解析塗料STRESSMARKⅡ-ST

樹脂ベースの塗料のため、亀裂特性は塗装条件のほかに、乾燥時の温度と湿度に大きく影響されます。一般

には温度の影響のほうが大きいので、STRESSMARKⅡでは表1に示すように、乾燥温度に応じて5種

類用意しております。

表1 応力解析塗料STRESSMARKⅡの記号と標準使用温度範囲

塗 料 記 号 使 用 温 度 範 囲

(℃)

使 用 湿 度 範 囲

(R.H.%)

※ STRESSMARKⅡ ST-10 9~14

STRESSMARKⅡ ST-15 14~19

STRESSMARKⅡ ST-20 19~24

STRESSMARKⅡ ST-25 24~29

※ STRESSMARKⅡ ST-30 29~34

47~55

※ 製造中止

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〔2〕 応力解析塗料用アンダーコート(下塗料)STRESSMARKⅡ-UC

上記のSTRESSMARKⅡ-STの塗膜は着色しておりますが、 透明度が高いので、斜光線を当てれ

ば亀裂模様を肉眼で観察し、写真撮影することができます。しかし、試験体表面の反射率が低かったり、ある

いは加工の際の傷痕が著しい場合には記録・観察が困難になります。また、表面の状態が極めて悪いときには

亀裂模様が乱れます。そのため、一般には反射率の高いアンダーコート(顔料を含む)が用いられています。

アンダーコートSTRESSMARKⅡ-UCは、この用途に使用されるもので、試料表面からのひずみ伝

達損失が特に小さくなるように工夫されております。

〔3〕 応力解析塗料用剥離洗浄液STRESSMARKⅡ-RC

この剥離洗浄液STRESSMARKⅡ-RCは、実験終了後、STRESSMARKⅡ-ST及びアンダ

ーコートSTRESSMARKⅡ-UCを除去するときに用いられます。なお、この製品を塗装面の前処理洗

浄液に使用しても差し支えありません。

〔4〕 応力解析塗料STRESSMARKⅡ-STとUCの塗装可能面積

a) 塗装可能面積 STRESSMARKⅡ-ST 約0.5㎡/本

STRESSMARKⅡ-UC 約1.8㎡/本

b) STRESSMARKⅡ-SC及びUCの標準ノズルは楕円パターンです。円形パターンのスペア

ノズル1個をおつけします。

3 実験手順および用具

3.1 実験手順

図 1は応力解析塗料STRESSMARKⅡを用いる場合の実験手順をブロック図にまとめたものです。

各ブロックの具体的な説明は次の実験方法の項に述べられています。

図1 実験手順

乾燥条件の予備調査

②ひずみ感度よりの選定確認

①乾燥温湿度よりの選定

塗料の選定

感度検定試験片の表面前処理

試験物体および

アンダーコートの塗装

室温乾燥(通常3時間)

自然乾燥(通常

時間)

ひずみ感度検定

負荷試験

亀裂模様の検出・記録

塗膜の後処理

応力(ひずみ)解析

応力塗料の塗装

28

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3

3.2 用 具

通常必要と思われる用具は次の通りです。入手法、その他取り扱い等に関しては、弊社の担当者まで御連絡

願います。

a) 自記式温湿度計(毛髪、バイメタル型)

b) アスマン型通風乾湿計、またはサーミスター静電容量式湿度計

c) ひずみ感度.検定器および検定試験片

d) スペースヒータ類・・・塗料に定められた温湿度下限値以下になるのを防ぐため、簡易ビニールハウ

ス的なものを作り、その中で水容器とともに用いられます。冬期の試験には

不可欠で、後述する空冷増感を行うときにも必要となります。

e) カメラ・・・一眼レフカメラ

f) その他・・・強力懐中電灯または冷光照明装置、チョーク、有機溶剤マスク、保護メガネ、ゴム手袋

など。

4 実 験 方 法

4.1 乾燥温湿度条件の調査

応力解析塗料による実験の成否は、塗料の選定と乾燥にあるといわれるほど重要です。塗料を選定する場合

は乾燥時の温湿度が基準になりますので、試験場での両条件をあらかじめ調査しておくことが大切です。

乾燥法の項で述べるように、このSTRESSMARKⅡ塗膜の所要乾燥時間はほぼ 28 時間ですので、こ

の間の温湿度変動を記録する必要があります。一般には、毛髪湿度計とバイメタル式の温度計を組み合わせた

自記式温湿度計が用いられますが、毛髪温度計は履歴の影響を受けやすいので、アスマン型通風乾湿計その他

でその都度較正してから使用しなければなりません。

4.2 塗料の選定

〔1〕 乾燥温湿度条件からの選定

図2はSTRESSMARKⅡの選定用図で、縦軸には乾燥時の乾球温度(室温)を、横軸には湿球温度を

とっています。また、毛髪湿度計の値を直接利用できるように、図には相対湿度線群を併記しています。

温湿度記録結果とこの選定用図から、試験条件に適合する塗料を求める方法について、例示しながら説明し

ます。

(例1) 図 3 の記録例のように、乾燥場所での最低温度が 20℃、その時の湿度が 50%R.H.を下回らな

い場合には、図2の縦軸の20℃と相対湿度線50%R.H.との交点Aを通る塗料記号曲線を求めます。この

場合は曲線③すなわちSTRESSMARKⅡ ST-20を選べばよいことになります。

(例2) (例1)と同様に、乾燥時の最低温度が 20℃、その時の湿度が 60%R.H.を下回らない場合に

は、(例1)と同様にしてB点を通る曲線を求めます。この場合は、曲線④すなわちSTRESSMAR

KⅡ ST-25を用いればよいことがわかります。

(例3) 上記と同様に、乾燥時の最低温度が25℃、そのときの湿度が40%R.H.を下回らない場合には、

これまでと同じようにしてC点が見出されます。しかし、C点をちょうど通る曲線がないので、このよう

な場合にはC点のすぐ左側に隣接する曲線③すなわちSTRESSMARKⅡ ST-20 を選ぶようにし

ます。誤って右側の曲線で示されるSTRESSMARKⅡ ST-25 を使用すると、焼割れを生ずる恐

れがありますので注意しなければなりません。

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4

30

40 50 60 70

80

相対湿度線郡

30

10

湿 球 温 度 ( ℃ )

乾球

温度

(℃

20

10

C

A B

(%R.H.)

※①STRESSMARKⅡ ST-10

※印は、製造中止

②STRESSMARKⅡ ST-15 ③STRESSMARKⅡ ST-20 ④STRESSMARKⅡ ST-25

※⑤STRESSMARKⅡ ST-30

20 30

図2 応力解析塗料STRESSMARKⅡの選定用図

時間(h)

温度(℃)

湿度

(%R.H.)

図3 乾燥温湿度記録例

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〔2〕 ひずみ感度からの選定確認

上記のようにして選ばれた塗料は一般には乾燥条件を満足するはずです。しかし、平均風速が約2cm/sを大

きく超える気流中で乾燥した場合には、焼割れを生ずることがあります。また、非常に換気の悪いところでは

ひずみ感度が若干悪化します。そのため、選定図から得られた塗料を中心にして、1グレード上下の記号の塗

料をも同様に検定試験片に塗装し、所定の場所で 28 時間乾燥させてから各ひずみ感度を測定します。この結

果から、実際に適合する塗料を決定するのが最も確実です。

4.3 表面の前処理

試験物体表面の凹凸が著しいときには、塗料がのりにくく、生ずる亀裂模様も乱れます。反面、鏡面のよう

になめらかにすれば、塗膜は剥離しやすくなります。したがって、ブラスティング処理を行うのが理想的です

が、大きな構造物や部材には適用できませんので、一般にはサンダをかけてから、#100程度のサンドペーパー

で軽く仕上げます。じん埃を取り除いてから、トルエン、キシレンのような溶剤で十分に脱脂します。また、

現場でシリコーン油が付着していると思われるときには、表面状態が良好でも、ペーパーで表層を機械的に除

去するほうがよいようです(シリコーン油は通常の有機溶剤では脱脂することが難しい)。多孔質材を試験する

ときには、吸込みを防止するため、あらかじめ下地塗料を塗布する必要があります。

4.4 塗装方法

応力解析塗料は一般の塗料と特性が著しく異なりますので、次の要領に従って塗装することが大切です。な

お、このSTRESSMARKⅡシリーズはエアゾール型ですので、塗装を中止するときには必ず缶を倒立さ

せ、ガスのみが噴出するまでノズルを押し、塗料がノズル部に凝固するのを防止しなければなりません。

〔1〕 アンダーコートSTRESSMARKⅡ-UC

この塗料にはマイカチタン顔料が含まれていますので、保存中に顔料が沈降します。缶内にはボールが封入

されていますので、使用前にはボールの音がするまで缶を十分に振ることが必要です。塗装要領は次の通りで

す。

1) 塗装面にほぼ垂直にノズル孔を向け、塗装面との距離を約30~40cmに保ち、一定速度でスプレイし

ます。この時、塗装面が銀白色になるようにしたください。

2) スプレイは1~2分おきに2~3回重ね塗りします。膜厚は0.03mmが上限で、これ以上厚くすると試

料表面よりのひずみ伝達の損失が増大し、ひずみ感度の悪い応力解析塗料を用いることと同じ結果に

なります。

3) スプレイ後そのまま3時間程度自然乾燥を行い、硬化させます。

(注意) 大きな物体に塗装する場合は、塗装中でも時々缶を振って、顔料を撹拌するようにすれば、光沢の

ある膜面が得られます。

〔2〕 応力解析塗料STRESSMARKⅡ-ST

アンダーコートSTRESSMARKⅡ-UCが硬化してから次の要領で塗装します。ただし、長時間放置

したため、STRESSMARKⅡ-UC膜上にじん埃や油分が付着していれば、改めてトルエンで軽く洗浄

することが必要です。塗装要領は次の通りです。

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1) 塗装面にほぼ垂直にノズル孔を向け、塗布面との距離を約20~30 cmに保ち、一定速度でスプレイし

ます。

2) 塗膜の標準膜厚0.09~0.12 mmの範囲に入るように、何回にも分けてスプレイし、重ね塗りを行いま

す。この場合、膜面が流動しないように注意しなればなりません。個人差はありますが一般には 2~3

分間隔で10回程度スプレイします。流動しやすい形状の物体では、上記の時間間隔を更に大きくとる

必要があります。塗膜は光沢があり、ぼけたり(blushing)、粉末化(dust coating)すれば失敗で

す。塗装はこの実験法の基本となりますので、練習することが大切です。

末尾の付録にさらに具体的な要領を記しておきますので御参照下さい。

(注意)

(a) 塗装時の雰囲気が選定した応力解析塗料の適合温度になっていても、試験物体が冷えている場合には、

早期に焼割れを生ずることがあります。一般には、上記の適合温度下限値よりも低温状態の物体にス

プレイしてはなりません。

(b) エアゾール缶が冷却されている時には霧化しにくいことがあります。このような場合には缶を25℃

程度まで温水で温めてからスプレイして下さい。

4.5 乾燥法

STRESSMARKⅡは自然乾燥用ですので、予備調査の温湿度条件を下回らなければ、そのまま放置し1

時間を経過させます。気候の変動が激しい時期で、乾燥後 20 時間前に予測された条件より温度で 3℃、湿度で

7%R.H.ほどそれぞれ低下すれば焼割れが生じます。したがって、このような場合にはスペースヒータとバット

(水入り)等で条件を下回らないように調節しなければなりません。特に冬期、屋外試験を行う場合にはシート

類を準備し、外気の影響を直接受けないようにする必要があります。

さらによい測定結果を得るためには、温湿度をほぼ一定に保つことができる乾燥室(現場では、ビニールハウ

ス内でヒータとバットでコントロールする方法がよく利用されます)へ移動し、乾燥することをお薦めします。

この場合には、スプレイ後30 分程度放置し、塗膜の流動がなくなってから運搬します。

主として冬期の問題ですが、移動の際物体を外気にさらし、急冷することは避けなければなりません。

4.6 負荷試験法

〔1〕 ひずみ感度検査法

ひずみ感度とは単軸応力状態で塗膜に亀裂が生ずるときの最小ひずみ値(被塗装面上での)で表されます。

いま塗装した帯状のひずみ感度検定試験片に片持曲げ荷重Wを負荷し、塗膜に図 4 に示すような亀裂が生じた

とします。負荷した点より最初の亀裂までの距離をι0、試験片の縦弾性係数をEとすれば、その点での試験

片表面のひずみは:

ε=6Wι0 /Ebh2

また、先端でδの変位を与えたときは:

ε=23×(hι0 /ι

3)δ

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このεのひずみ感度または亀裂感度(strain sensitivity)といい、もろい塗膜ほど小さい値を示すことに

なります。

塗膜の単位長さ(亀裂に垂直な方向をとる)に生ずる亀裂数を亀裂密度(crack density)といい、亀裂数

がひずみに対してステップ状に増加したのちに、図示するようになります。この亀裂密度とひずみとの関係を利

用すれば、ひずみ範囲を知ることができます。

W

ιι0

ひずみ (×10-6)

500 1000

20

10

亀裂

密度(n

/cm)

図4 塗膜のひずみ感度と亀裂密度

なお、弊社ではひずみ感度検定試験片と感度検定器(図5)を製作し、用意しております。

図5 感度検定器

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〔2〕 負荷試験法

乾燥開始後20時間程度経過してから、検定試験片でひずみ感度を追跡し、予定した感度になったときに負荷

します。付録1.1の乾燥過程におけるひずみ感度の項に述べるように、一般には28時間乾燥してから、次の形

式のいずれかに従って荷重を加えます。負荷形式は解析の目的や試験条件によって異なりますが、

① 試験物体に全荷重を一度に負荷する場合

② 試験物体に低荷重よりステップ状に逐次負荷を増大する場合

に大別されます。

前者の①は実地試験のように一度の実荷重のみで試験を行い、再負荷が困難なときです。生じた亀裂模様の

先端をつらねた曲線(isoentatics)は、上記の検定試験片で求められたひずみ感度の値とほぼ一致します。こ

の曲線の内側領域上のひずみは、亀裂密度からひずみ値をある程度推定することができます。しかし、非常に

ひずみが高い場合でも、亀裂密度は増大しませんので、あるレベル以上のひずみであることしか知ることがで

きません。このような場合には、要点にひずみゲージを貼り、無負荷にした際の値から求めるのも一方法として

考えられます。

②形式は負荷を自由に選べる工場や実験室などで行われます。低荷重より各ステップ負荷ごとに現れる

アイソエンタティックス(isoentatics)をチョークなどで描き、後刻、検定試験片のひずみ感度と負荷により

ひずみを図6に併記するようにして算出します。ただし、塗膜は粘弾性拳動を示すので、ステップ状に負荷を

増加する場合には、付図4のように、必ず一旦無負荷状態にもどし、負荷していた時間の3倍程度経過させて

から、次のレベルまで負荷を一気に増大しなければなりません。

一次アイソエンタティックス(荷重 W1)

二次アイソエンタティックス(荷重 W2)

A B C D E F W1<W2<W3<W4

ε:ひずみ感度

ひずみ

(ε

1S)

A

A’B’C’ D’ E’

三次アイソエンタティックス(荷重 W3)

四次アイソエンタティックス(荷重 W4)

ε

最大主応力

(σ1S)A=ES(ε1S)A

ここで、ESは供試体の縦弾性係数

図6 アイソエンタティックスと負荷よりのひずみ算出法

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さらに負荷する際に注意しなければならない点について述べますと、

(a)負荷時の温度ですが、付録1.4で説明しますように、この塗膜の熱膨張係数は通常の金属材料より1桁

大きくなっています。したがって、最終の乾燥温度より高い雰囲気で負荷することは絶対に避けなければな

りません。負荷時の試験温度を人為的にわずかにでも下げられる場合は問題になりませんが、低下できない

状態のときは、温度の低い時間帯に負荷できるように、塗装する時刻を工夫する必要があります。

(b)負荷保持時間ですが、引張領域のみの亀裂模様を求めるときには、2~3分以上とるほうが無難です(付

録1.3を参照)。短時間にすると、乾燥が不十分であったり、膜温が上昇する場合には、一旦生じた亀裂が閉

じることがあります。

(c)圧縮領域の亀裂模様をも観察する場合には、負荷保持時間をできるだけ長く(通常は1時間以上)とり、

緩和させる必要があります。(付録1.3を参照)。

(d)さらに鋭敏なひずみ感度が必要なときには、空冷増感法を応用することを推奨します。(付録1.4を参照)

4.7 亀裂模様の検出と記録

このSTRESSMARKⅡ-ST塗膜は透明ですので、斜光線を当てれば鮮明な亀裂模様が観察されます。

光源に通常の写真電球を用いると塗膜が加熱され、亀裂が閉じてしまう恐れがあります。したがって、亀裂を

検出するときには、電池式の携帯ランプか、または冷光照明装置を使用する必要があります。

この塗膜は光沢がありますので、写真撮影する場合にはやわらかい光線でむらなく照らし、深い絞りに

して偏光フィルタをかけるのが“こつ”です。

4.8 塗膜の後処理

STRESSMARKⅡ-STを除去する場合には、物体表面に損傷を与えないにように、一般には竹べら

類でこすり、剥離させます。多少傷ついても差し支えないときは、ワイヤブラシを用います。その後、トルエ

ンやキシレンを含ませた布で拭き取ります。この方法は、最初から溶剤で洗浄するよりも大変効率的です。

STRESSMARKⅡ-UCについては、剥離洗浄液STRESSMARKⅡ-RCをスプレイし、直ち

に布で拭けば容易に取り除くことができます。

(注記)本品の取り扱い方法、試験方法につきましてご不明の点がありましたら、弊社の担当者までお問合せ

願いします。

5 応力解析塗料を使用する際の注意事項

5.1 塗装時の注意事項

(1) 試験物体は、前もって十分脱脂洗浄しておくこと。

(2) STRESSMARKⅡ-UCは、試験物体を負荷した時に入った亀裂を見やすくするための塗料です

ので、試験物体全体がほぼ均一に銀白色になるように注意して下さい。また、顔料入り塗料ですので、

スプレイする前に良く振ってから使用して下さい。

(3) STRESSMARKⅡ-STは塗装間隔を2~3分とり、再びその上に重ね塗りをするようにして下

さい。通常10回程度重ね塗りすると、標準の塗膜厚 0.1 mm前後となります。なお、重ね塗りの時間

を縮めると、平滑な膜面が得られません。

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5.2 塗料乾燥時の注意事項

(1) 一例としてあげれば、STRESSMARKⅡ ST-20 は、20℃、50%R.H.で乾燥負荷される場合を

基準にした塗料です。

(2) 塗膜にとって基準よりも温度及び湿度が下がることは、膜内に過大な張力を生じ、“焼割れ”を起しま

す。このため乾燥時は、基準の温度湿度下限値よりも常に高い条件で乾燥して下さい。突発的な原因で

乾燥温度の調節が不可能になった場合には、湿度でコントロールして下さい。乾燥温度 4℃の変化は、

湿度 10%R.H.の変動に相当します。例えば、5℃だけ温度が低下したときには約 13%加湿すればよいこ

とになります。

(3) 乾燥時はなるべく無風に近い条件(2 cm/s以下)で乾燥をして下さい。風速が大きくなれば、塗膜表

層のみが早く乾燥し、膜内部との間に過大な張力が発生するため“焼割れ”が生じます。

(4) 焼割れを防ぐには、簡易のビニールハウス内で外気と遮断するようにして乾燥すればよいです。この

ようにして乾燥すると、たとえ外気温度が下がってもヒータで容易に加熱できますので適切な乾燥を行

うことができます。

5.3 負荷時の注意事項

(1) 塗膜の線膨張係数は通常の金属材料に比べて一桁大きいので(付録の 1.4 の頁を参照)、負荷直前に供

試体を最終乾燥温度よりも 5℃位冷却すると、供試体よりも塗膜の方がより大きく縮み、引張応力が発

生するため、小さなひずみで亀裂を入れることができます。

(2) 負荷時の温度が乾燥時の温度よりも 10℃以上低い場合には、低ひずみ領域に焼割れを生ずることがあ

りますが、高応力領域の解析にはほとんど差し支えありません。

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付 録

1 STRESSMARKⅡ-ST塗膜の亀裂特性

実験解析を具体的に進める場合には、STRESSMARKⅡ-ST塗膜の亀裂特性をある程度理解してお

かなければなりません。次に必要と思われる特性について概略を説明します。

1.1 乾燥過程におけるひずみ感度

付図1はSTRESSMARKⅡ ST-20の乾燥過程におけるひずみ感度特性を示す一例で、恒温恒湿室

(20±1℃、50±5%R.H.)内で0.10 mmの膜厚にして試験した結果です。乾燥時間とともにひずみ感度は良

好になりますが、20~24時間以内の範囲で過渡的に感度が悪化することが分かります。したがって、この時間

帯を避け、28時間以降に負荷することが必要です。なお、この時間帯は膜厚とともに右側、すなわち乾燥時間

が延びますので、膜厚が0.12 mmを超えないようにしなければなりません。

1.2 負荷速度特性

STRESSMARKⅡ-ST塗膜は非常にもろいですが、樹脂ベースであるため粘弾性挙動を示し、ひず

み感度は負荷速度にも支配されます。

付図 2 は負荷時間特性を示す一例で、STRESSMARKⅡ ST-15 の塗膜を 15℃で乾燥し、それぞ

れの温度で負荷測定した結果です。試験温度に適するSTRESSMARKⅡ-STを用い、良好なひずみ感

度を示すときには負荷時間が 10 秒程度まではほとんど問題になりません。しかし、ひずみ感度が悪い場合に

は、負荷時間によって感度が大きく変化しますので注意を要します。

試験条件

20±1℃

50±5%R.H.

1200

1000 1000

700

10 20 30 乾燥時間(h)

ひずみ感度(

×10

-6)

3000

2000

1000

ひずみ

感度(×

10-6)

負荷時間(S)0.1 1 10 100 1000

温度 ℃ ① 15 ② 20 ③ 25 ④ 30

付図1 乾燥過程におけるSTRESMARKⅡ ST-20の 付図2 負荷速度特性

ひずみ感度条件特性

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1.3 応力緩和特性

この塗膜の粘弾性挙動は使用上一見不利に思われますが、圧縮ひずみを測定する場合には大変有用です。す

なわち、圧縮ひずみを受けたままの塗膜は、剥離しない限り、時間とともに応力緩和(relaxation)を起しま

す。したがって、緩和が十分進んでから無負荷にすれば、膜内には反転した引張応力が作用して亀裂を生じま

す。緩和が完了するのに要する時間は試験温度や塗膜の乾燥状態によって大いに異なります。

付図3は、この緩和特性を示す一例で、STREESSMARK ST-15の塗膜を試験した結果です。こ

こでの緩和率は引張時のひずみ感度と緩和時の感度との比で表しています。試験温度に適合するSTRESS

MARKⅡの塗膜では約90%緩和させるのに2.5時間ほど圧縮荷重を負荷し続ける必要があります。

付図4はステップ状負荷方式を示しています。金属試料に作用している負荷レベルは一定でも、塗膜の応力

は緩和しますので、次のレベルまで負荷を増大させるときには、必ず一旦無負荷に戻し、十分に緩和してから

一気に増加させる必要があります。

緩和

30℃ 25℃

20℃

15℃

1.00

0.75

0.50

0.25

0.00 10 100 1000

負荷保持時間 S

( |σ

2|)

(|σ

1|)

荷重

膜応力

時間 t

W3 (σ3)

W2 (σ2)

W1 (σ1)

荷重

W(膜応力σ)

付図3 塗膜の緩和特性 付図4 ステップ状負荷増方式

1.4 その他

〔1〕 塗膜の熱膨張係数と空冷増感法

塗膜の乾燥状態によって異なりますが、乾燥が十分進めば、室温では 1.5×10-4/℃前後の線膨張係数を示し

ます。この値は通常の金属材料に比べて1桁大きくなっています。そのため、乾燥中の温度よりわずかでも高

い雰囲気で負荷すれば、塗膜には圧縮応力が作用しますので、著しくひずみ感度が悪化します。試験物体の熱

容量にもよりますが、3℃ほど高温側で測定する場合には、通常 200 マイクロストレインほど感度が失われま

す。したがって、最終の乾燥温度よりも高温側で負荷することは絶対に避けなければなりません。

空冷増感法は、上記と反対に、3~5℃ほど低温の雰囲気にして負荷試験をする方法です。付図5は検定試験

片(ステンレス鋼、インバー合金鋼、厚さ2 mm)を用い、5℃の空冷を行った場合の増感効果を示しています。

空冷開始後 10 分弱で負荷すれば、250 マイクロストレインほど鋭敏な感度が得られることが分かります。更

に冷却温度を大きくすれば、増感効果は顕著になりますが、不測の要素が加わりますので、あまり好ましくは

ありません。

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13

0

増感量(マ

イク

ロス

トレ

イン

ステンレス鋼

インバー合金鋼

10 20 30 40

100

200

300

400

500

冷却経過時間(min) 付図5 空冷増感効果

〔2〕 亀裂生成条件

構造物の表面は通常平面応力状態になりますので、単軸応力のときと亀裂生成の条件がどう違うかをみてみ

ます。

σ1S、σ2Sを試験物体表面の主応力(σ1S>σ2S)に、σ0を単軸応力(σ2S=0)とします。

なお、このσ0は検定試験片上のひずみ感度εとその縦弾性係数 E の積と一致します。このとき鉄鋼材料上の

塗膜に生ずる亀裂生成の条件は付図6で与えられます。すなわち、

領域 MNQRPではピッチ1 mmの亀裂が主方向(σ1S)に垂直に生じます

領域 PRTではピッチ0.5 mmの亀裂が主方向(σ1S)に垂直に発生します

領域 SQRTではピッチ 1 mm の亀裂が各主方向(σ1S 、σ2S)に垂直。すなわちに直交亀裂となっ

て出現します

この図の特性から、σ2Sが正ならば、σ0より小さな応力で亀裂が生じ、負であればその反対になることが分

かります。しかし、その差異は、一次亀裂ではσ1Sに対して最大でも10%台ですので、一般には余り神経質に

なる必要はありません。

3.0

2.0

1.0

-1.0 0.0 1.0 2.0

二次亀裂領域

(亀裂ピッチ 0.5mm)直行亀裂領域

一次亀裂領域

(亀裂ピッチ 1.0mm)

σ2S/σ0

σ1S

/σ0

図6 塗膜亀裂の生成条件線図

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またこのほか、二次亀裂や直交亀裂が現れるところは、高い応力状態にあることが了承されます。なお、

特異点近傍(σ1S≒σ2S)では、不規則な亀裂模様を呈しますので、解析に際しては、焼割れと見誤らないよ

うに注意して下さい。

2 塗 装 要 領

通常みられる基本的な形状を例にとって、具体的な塗装方法を説明します。

付図7は広い部分をスプレイする場合の例です。缶を往復させてパターンの1/3~1/4を塗りかさねるようにし

ます。塗装対象物の直前でノズルを押し、終点で離します。ノズルを押し続けると塗料を浪費し、dust coating

の原因になるばかりでなく、疲労が著しくなります。

1/3~1/4 ラップ

1/3~1/4ラップ

ノズルを押す

ノズルを離す

ノズルを押す

ノズルを押す

ノズルを離す

付図7パターンのラップとノズルの開閉

付図8は角や縁のある場合で、まずノズルの中心を稜線に向けてスプレイし、ついで平面部を塗ります。

付図8 縁のある物体へのスプレイ

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付図9は、平面部を塗るときには、手前のほうからスプレイする要領を示しています。このようにすれば、オ

ーバースプレイによる膜面の荒れを防止することができます。

付図9 オーバースプレイを考えた塗装順序

付図10は、塗装面が広い場合での例で、まず塗装面をいくつかのブロックに分け、各塗り端を10 cm程度

ラップするようにスプレイします。

10cm 10cm

付図10 広い部分のスプレイ法

付図 11 は、内壁面を塗装する場合です。最初にすみに沿って片側の面を帯状に縦塗りすることを示していま

す。

付図11 内壁面のスプレイ法

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付図 12 は、円筒面への塗装例です。物体を交互に回転させ、スプレイすればよいことを表しています。この

ほか、複雑な形状をした構造物に塗装する際には、オ-バースプレイによって dust coating にならないよう

に、塗装順序を考える必要があります。また、スプレイ中は、しばしばノズル口を溶剤で洗浄するよう心掛け

て下さい。

付図12 円筒面へのスプレイ法

.

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3 エアゾール缶の取扱注意事項

次のことをそれぞれ厳守してください。

(1) 貯蔵上の注意

² 直射日光に当てないで下さい。

² 温度40℃以上になるところには置かないで下さい。缶が破裂する危険があります。

² 高い湿度雰囲気や酸、アルカリ、水銀等と接触する可能性のある場所に保管しないで下さい。缶が腐

食し、破裂する恐れがあります。

² 本エアゾール製品の使用可能期間は出荷日から2年までです。この期間を過ぎた製品はガス抜き後廃

棄して下さい。

(2) 使用上の注意

² 本製品は応力解析用の特殊コーティング塗料です。応力解析用途以外には使用しないで下さい。

² 本製品は有機溶剤、可燃性ガスを充填しています。そのため、通気のない閉めきった場所では使用し

ないで下さい。作業に支障のない程度に窓を開けて換気して下さい。なお、使用時は必ず有機溶剤マ

スク、保護眼鏡、保護手袋を着用して下さい。また、火気のある場所では絶対に使用しないで下さい。

² エアゾール液が皮膚に付かないように注意して下さい。皮膚に付いた場合は直ちに石鹸水で良く洗い

落として下さい。

² エアゾール液が目に入らないように注意して下さい。万一エアゾール液が目に入った場合には直ちに

大量の水で目を良く洗い、医師の診断を受けて下さい。

² エアゾール缶を廃棄する場合は、必ず缶に穴を開けて、ガスを抜いてから廃棄して下さい。そのまま

投棄しますと、缶が破裂する危険があります。

² エアゾール缶をガス抜きせず投棄して起こった事故については、使用者の責任となりますので特に御

注意下さい。

² 冬期、夏期は気温の変化により、噴霧状態が異なるため、気温の変化に応じて試験品とエアゾールの

ノズルの距離を適宜に変えて、微粒子が均一にスプレイできるようにする必要があります。また、使

用せずに長く放置しておくと、次第に缶の下部へ成分が沈降します。したがって使用に際しては前も

ってよく振り、均質になるように懸濁させることが必要です。

² 缶の温度が15℃以下の時は、25℃前後の温水で温めてから使用して下さい。

² 使用後ノズル口の内部に残った溶剤が揮発して、固形成分がノズル口に凝着することがあります。こ

のような場合にはノズル口を細い針で開口して下さい。使用後缶を逆さにしてボタンを押し、液が噴

出されなくなったところで止めますと、詰まりを防ぐことができます。

² エアゾール製品は構造上噴射のときはノズル部を上にして使用することになっています。横または逆

さにして長時間噴射すると、缶内のガスを多量に放出し、その後の噴射圧が低下するため、使用でき

なることがあります。十分に注意して下さい。

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8 適 用 実 例

n 半だ円表面開口亀裂試験の引張負荷時

における亀裂模様

n クレーン補強部材の先端に

生じた亀裂模様

n 水車ガイドベーンに発生した

亀裂模様

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平成 20 年 8 月 1 日

応力解析塗料価格表

製造元

三 精 塗 料 工 業 株 式 会 社

〒639-1037

奈良大和郡山市額田部北町 1 2 6 1 - 5

TEL:0743-56-8611

FAX:0743-56-8621

名 称 型 式 数 量 単 位 価 格 備 考

応力解析塗料(上塗) STRESSMARKⅡ ST-15 1 本 9,800 300 mlエアーゾル缶

応力解析塗料(上塗) STRESSMARKⅡ ST-20 1 本 9,800 300 mlエアーゾル缶

応力解析塗料(上塗) STRESSMARKⅡ ST-25 1 本 9,800 300 mlエアーゾル缶

応力解析塗料(下塗) STRESSMARKⅡ-UC 1 本 8,000 300 mlエアーゾル缶

塗料剥離材 STRESSMARKⅡ-RC 1 本 2,200 300 ml缶

試験器 ST-101 1 台 97,000 試験片 5枚付

試験片 ST-201 1 枚 500

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応力解析塗料価格表

販売元

三 精 塗 料 工 業 株 式 会 社

〒639-1037

奈良県大和郡山市額田部北町 1 2 6 1 - 5

TEL:0743-56-8611

FAX:0743-56-8621

名 称 型 式 数 量 単 位 価 格 備 考

応力解析塗料(上塗) STRESSMARKⅡ ST-15 1 本 8,800 300 mlエアーゾル缶

応力解析塗料(上塗) STRESSMARKⅡ ST-20 1 本 8,800 300 mlエアーゾル缶

応力解析塗料(上塗) STRESSMARKⅡ ST-25 1 本 8,800 300 mlエアーゾル缶

応力解析塗料(下塗) STRESSMARKⅡ-UC 1 本 7,200 300 mlエアーゾル缶

塗料剥離材 STRESSMARKⅡ-RC 1 本 2,000 300 ml缶

試験器 ST-101 1 台 88,000

試験片 ST-201 1 枚 400