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「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関する調査」報告書 平成22年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業) 「地域におけるHIV陽性者等支援のための研究」 ケアをつなぎ、暮らしを支える 地 域 づくりをめざして

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「保健所等におけるH I V 陽性者への 相 談・支援に関する調査」報告書平成22年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)「地域におけるHIV陽性者等支援のための研究」

ケアをつなぎ、暮らしを支える地域づくりをめざして

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 HIV感染症は、1996年の抗HIV薬による多剤併用療法の導入によって治療

状況が劇的に変化し、長期に地域での療養生活を継続する疾患となりました。

このことにより、HIV陽性者のQOLは大きく改善した一方で、医療面のみな

らずさまざまな生活課題に直面しています。たとえば、高齢化の課題や他の慢

性疾患もあわせた療養、精神保健領域の相談ニーズなどです。

 しかし地域の支援機関には、HIV陽性者の生活支援ニーズは、十分に伝わっ

ていないのが現状です。多くの保健行政機関の担当者からは、相談対応や取り

組みへの迷いや躊躇の声が聞かれます。従来HIV陽性者への支援は、医療機関

やNGO/NPOが中心的に担ってきました。しかし、生活支援ニーズの量的増

加と質的な多様化により、ネットワークによる支援が求められています。

 全国の自治体ではHIV検査受検者の増加を目指し、即日検査の導入や検査ア

クセスの改善に取り組んできました。それら検査体制の整備と同時に、従来の

活動により地域の中で紡いできたネットワークを活かして、HIV陽性者支援の

取り組みを推進することは、地域住民の健康を支援する保健行政機関に期待さ

れるところです。

 今回の調査では、全国の保健所及び政令指定都市の保健センターのHIV陽性

者への相談・支援状況の現状と課題を明らかにすることを目指しました。その

結果、全国410施設、714人の担当者の回答を得ました。全国の保健所及び政

令指定都市保健センターでのHIV陽性者への支援は、一部の担当者が経験をし

ている状況でした。しかしそれらの経験内容に関する回答はもちろん、経験を

していない担当者の回答からも、HIV陽性者支援に向けて、全国に共通した課

題が浮きあがってきました。

 今回の調査結果が、地域の多様な支援機関や市民とともに、ケアをつないで

いける地域づくりに活かされることを願っています。

厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)

「地域におけるHIV陽性者等支援のための研究」

研究代表者 生島 嗣

研究分担者 大木幸子

は じ め に

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調査概要

 1. A調査:保健所及び政令指定都市保健センターでのHIV陽性者支援の組織体制調査

 2. B調査:全国の保健所及び政令指定都市保健センターでのHIV陽性者支援担当者調査

HIV検査での陽性告知時の支援の状況(A調査より)

 1. HIV検査実施状況

 2. 定例HIV検査での検査件数及び陽性者件数の状況

 3. プレカウンセリング(検査前相談)の実施状況

 4. 陰性告知及び告知時相談の実施状況

 5. 陽性告知及び告知時相談の実施状況

 6. 検査後ミーティングの実施状況

HIV陽性者への継続支援の状況(A調査、B調査より)

 1. 陽性者支援における組織体制(A調査)

 2. エイズ対策及びHIV検査担当経験(B調査)

 3. HIV陽性者への支援の経験(B調査)

 4. HIV陽性者への継続支援の経験内容(B調査)

  ① 性別

  ② 感染経路

  ③ 国籍

  ④ 相談経路

  ⑤ 支援内容

  ⑥ 連携機関

  ⑦ 支援過程で困ったあるいは迷ったこと

目 次

7

8

10

11

12

15

18

21

23

25

26

27

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 5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査)

  ① HIV/AIDSに関する医学的知識

  ② セクシャリティに関する知識

  ③ 福祉制度に関する知識

 6. セクシャルヘルスに関する相談経験(B調査)

 7. 性に関する相談への抵抗感(B調査)

 8. 職場の体制(B調査)

 9. HIV陽性者支援についての自己効力感と困難感(B調査)

  ① HIV陽性者支援への自己効力感

  ② HIV陽性者支援への困難感

  ③ HIV陽性者への支援の自己効力感との関連要因

 10. HIV陽性者支援に関する研修希望(B調査)

 11. 地域でのHIV陽性者の生活支援における課題(自由記述)(B調査)

HIV検査での陽性告知時相談のためのチェックポイント

 1. 組織体制についてのポイント

 2. 陽性告知時相談のためのプレカウンセリング(検査前相談)のポイント

 3. 陽性告知時相談のポイント

34

37

39

42

44

47

49

52

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調査の概要

(1)目的全国の保健所及び政令指定都市保健センターにおけるHIV陽性者支援に関する組織体制を明らかにする。

(2)方法① 調査方法:郵送による自記式質問紙調査② 対象:全国の都道府県・政令市保健所、政令指定都市保健センターのエイズ担当者③ 調査期間:2009年10月から2010年2月

(3)回収状況配布数:727件 有効回収数:410件 有効回収率56.4%(都道府県保健所69.9% 政令市保健所84.9% 政令指定都市の行政区における保健センター 8.1%)

(4)回答者の基本属性回答者の所属機関は都道府県保健所が68.0%と最も多く、政令市保健所は25.6%、政令指定都市保健センターは6.3%であった。

(5)結果HIV検査における相談・支援の体制は全国でばらつきがみられ、特に陽性告知時の相談は、「毎回実施」している機関が66%であり、「必要に応じて実施」している機関が14%、そして約1割は実施されていない状況であった。また「毎回実施」及び「必要に応じて実施」している機関の実施状況をみると、陽性告知時相談の担当職種は医師が9割近くを占めていた。相談内容は専門医療機関への受診に関する相談は、ほとんどの機関が実施していたが、セーファーセックスについての相談や周囲へのカミングアウトについての相談など、医療以外の相談に関しては、機関によって違いがみられた。HIV検査の陽性告知時相談において、専門医療への受診に加えて、生活や対人関係についての情報提供や相談・支援が提供できる体制の整備は、重要な課題であろう。そのためには、支援経験の少ない担当者にとって、HIV陽性者の生活課題についてイメージできるようなツールの普及や支援経験の共有のできる機会の確保が必要と考えられた。

機関種類

度数 %都道府県保健所 278 68.0政令市保健所 105 25.6 政令指定都市 42 10.3 中核市 38 9.3 その他の政令市 6 1.5 特別区 19 4.6政令指定都市保健センター 26 6.3合計 410 100

保健所及び政令指定都市保健センターでのHIV陽性者支援の組織体制調査A 調査

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(1)目的全国の保健所及び政令指定都市保健センターの保健師等によるHIV陽性者支援状況及びHIV陽性者支援に対する自己効力感との関連要因を明らかにする。

(2)方法① 調査方法:郵送による自記式質問紙調査 ② 対象:全国の都道府県・政令市保健所、政令指定都市の行政区における保健センターのHIV  陽性者支援経験者あるいはエイズに関する相談担当者(各施設に2部配布) ③ 調査期間:2009年10月から2010年2月

(3)回収状況配布施設数727件  回答施設数397件(施設回収率53.7%)  有効回収部数714部(調査票回収率49.2%)

(4)回答者の基本属性回答者の職種は保健師が全体で98.2%を占めていたが、その他に看護師、獣医師、薬剤師、医師等が含まれていた。性別では、女性が698件(98.0%)、男性が12件(1.7%)で、男性の内訳は保健師10件、獣医師とその他各1件であった。年齢は、23 ~ 63歳に分布し、平均41.6歳(±9.98)であった。担当業務は全体ではエイズ対策及び結核、感染症が6割から7割を占めたが、保健師では精神保健や難病対策担当等も含まれていた。

回答者の機関別職種

保健師 看護師 医 師 獣医師 薬剤師 その他 合 計都道府県保健所 473 0 0 0 1 3 477 99.2% 0% 0% 0% 0.2% 0.6% 100.0%政令市保健所 174 3 0 2 1 2 182 95.6% 1.6% 0% 1.1% 0.5% 1.1% 100.0%政令指定都市保健センター 54 0 1 0 0 0 55 98.2% 0.0% 1.8% 0% 0% 0% 100.0%合計 701 3 1 2 2 5 714 98.2% 0.4% 0.1% 0.3% 0.3% 0.7% 100.0%

職種別現在の担当業務

全体n=707 保健師n=694 その他n=13

60

80

(%)100

40

20

0その他健康づくり母子保健難病精神保健感染症結核エイズ

76.972.572.6

7.7

64.463.4

84.6

69.669.9

0.0 0.0 0.0

18.217.828.728.1

7.713.413.3

16.916.5

53.8

14.415.1

全国の保健所及び政令指定都市保健センターでのHIV陽性者支援担当者調査B 調査

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(5)結果

① HIV陽性者への継続支援の経験HIV陽性者への継続支援経験があると回答したものは146件(21.1%)と限定的であった。経験ありの群を機関別でみると、政令市保健所や政令指定都市保健センターなどの都市部の機関で優位に高かった。保健所や保健センターの担当者のHIV陽性者への支援経験の内容は、同性との性的接触による男性事例や自所の検査からの相談経路の事例の経験の割合が高かった。相談内容は受療に関する支援が中心であるが、外国人や精神保健領域の課題をもつケース、高齢のケースなどHIV療養以外の生活課題を抱えるケースへの支援経験もみられ、多様な相談に応じている状況が示された。

② HIV陽性者への支援に対する自己効力感と困難感の関連要因HIV陽性者への支援について、「十分対応できる」「まあ対応できる」「少しは対応できる」「ほとんど対応できない」、「対応できない」の5段階で自己効力感を尋ねたところ、「十分対応できる」「まあ対応できる」あわせて24.9%であった。 HIV陽性者支援に対する自己効力感は、業務経験年数、支援経験数のみならず、医療やセクシャリティに関する知識、職場内の協力体制、性に関する相談への抵抗感、エイズ業務以外での専門医療機関との連携状況が関連していた。一方でHIV陽性者支援への困難感は、業務経験年数、医療やセクシャリティに関する知識、職場内の協力体制、性に関する相談への抵抗感、陽性者支援でのNGO/NPOとの連携状況が関連していた。

③ 地域支援の準備性を高めるために全体の経験数は少ないが、HIV陽性者への支援としてHIV以外の健康問題や生活問題をあわせもったケースへの支援について、保健所や保健センターが関わることは、今後のHIV陽性者数の増加とあわせて、より一層求められると考えられる。そうした支援ニーズの量的増加や質的な多様性に対し、各担当者の支援経験の共有や支援技術の蓄積が課題と考えられた。そのため、保健所及び保健センターにおける担当者等の陽性者支援の充実には、以下の点が有効と考えられる。・HIVの医療知識やセクシャリティに関する知識についての研修・セクシャルヘルスに関する相談・支援についての研修・支援事例に関する職場での事例検討会等職場内でのサポートシステムの充実 ・HIV診療部門をもつ医療機関やHIV陽性者支援にかかわるNGO/NPOとのネットワークづくりさらに、地域住民の偏見やスティグマが存在すること、地域の関係機関が十分にHIVに関する知識がないこと、それらから情報の共有とプライバシーの保護の両立が難しいことなど、地域の課題も多く挙げられた。これらの課題を解決しつつ、地域における支援に関する準備性向上していく取り組みも、保健行政機関に求められるであろう。特に、地域の支援取り組みにあたっては、支援チーム内での情報共有とプライバシー保護の両立については当事者を含めた検討が必要と考えられた。

(注釈)本報告書では、政令指定都市の行政区における保健センターは「政令指定都市保健センター」あるいは「保健センター」と表記しています。

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HIV検査での陽性告知時の支援の状況(A調査より)

定例HIV検査の実施形態は全国では86.3%が直営実施のみであるが、3.6%は委託でのみ実施していた。ブロック別にみると東京都、東北・北海道、近畿ブロックで直営のみの実施が低い傾向にあった。

定例のHIV検査の実施状況は、全体で388件(94.6%)で実施していた。機関別内訳をみると政令市保健所及び都道府県保健所ではほとんどが実施しているが、政令指定都市保健センター(以下保健センター)で回答機関の6割が実施していた。検査の形態や検査方法については、機関の所在地により、異なる傾向があり、自治体の実施する検査環境が多様化していることが推察された。

1 HIV検査実施状況

定例HIV検査実施状況

定例HIV検査は政令市保健所、都道府県保健所で約97%が実施しており、保健センターでも61.5%であった。ただし保健センターの回収率が低く、保健センターについては、検査実施機関で回収割合が高かった可能性が考えられる。

(注:過去3年の陽性件数別を示したグラフは陽性件数不明の10件を除いた集計値を示した。)

実施 未実施

60 80 (%)10040200

都道府県保健所n=279 96.8 3.2

政令市保健所n=105 97.1 2.9

保健センターn=26 38.561.5

全体n=410 94.6 5.4

所在地別定例HIV検査の実施形態

直営 委託 直営と委託 無回答

60 80 (%)10040200

北陸n=19 89.5 10.5

九州・沖縄n=47 93.6 6.4

中国・四国n=49 91.8 8.2

近畿n=62 83.9 6.59.7

東海n=40 90.0 7.52.5

東京都n=21 76.2 19.04.8

東北・北海道n=67 80.6 13.46.0

全体n=388 86.3 9.83.6

0.3

関東・甲信越(東京都以外)

n=8385.5 2.4

1.2

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定例HIV検査を実施している388機関の検査件数、陽性件数ともに非常に幅がみられた。陽性者件数では、0件が半数以上を占め、機関によって陽性告知の経験の差が大きいことがうかがえた。

2 定例HIV検査での検査件数及び陽性者件数の状況

平成20年度の検査件数では501件から1000件が最も多く、100件から1000件で84.3%であったが、1機関で14737件と最大件数を示していた。

H20年度 検査件数別機関数の分布

1016

38

165

140

1

60

80

(機関数)180

100

120

140

160

40

20

0(検査件数)1500010000500010005001000

n=362最小値=0最大値=14737平均値=319.0(±850.9)

0.5

定例HIV検査の検査方法では、東北・北海道、九州・沖縄、中国・四国ブロックでは迅速検査のみの実施が多かった。一方で、東京都、北陸ブロックでは迅速検査のみの実施が少なかった。

所在地別の定例HIV検査方法

通常検査 迅速検査 通常検査と迅速検査の両方 無回答

全体n=388

北陸n=19

九州・沖縄n=47

東海n=40

中国・四国n=49

東京都n=21

近畿n=62

関東・甲信越(東京都以外)

n=83東北・北海道

n=67

60 80 (%)10040200

41.9 35.2 22.9

28.9 48.9 22.2

38.6 38.6 22.7

44.3 32.8 23.0

57.9 10.5 31.6

50.0 37.5 12.5

71.4 28.6

41.8 30.427.8

31.8 6.751.5

1.6

1.5

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機関別過去3年間の陽性者件数の割合

機関種類別に陽性者件数をみると、都市部に設置されている政令市保健所及び保健センターが、都道府県保健所に比べて有意に高かった。

0人 1 ~ 5人 6人以上

60 80 (%)10040200

66.7 31.1 2.3都道府県保健所n=264

政令市保健所・保健センター

n=11457.028.1 14.9

全体n=378 55.0 38.9 6.1

平成20年度の陽性者件数では281件(72.4%)が0件であった。過去3年間の陽性者件数でも、208件(53.6%)が0件と多くの機関が検査での陽性告知を経験していない一方で、最大値である93件の機関が1機関あった。

H20年度 陽性件数別機関の分布 過去3年間の陽性件数別機関の分布

11144382449

281

50

(機関数)300

n=376平均値=0.77(±4.94)

n=378

100

150

200

250

0(陽性件数)931286543210

50

(機関数)300

100

150

200

250

0(陽性件数)21件

以上11 ~20件

6 ~10件

1 ~5件

0件

208

147

15 6 2

プレカウンセリングは、全体で9割が「毎回実施」しているが、「必要に応じて実施」、「実施していない」機関もみられた。職種では保健師が8割を占めていた。相談内容では、検査に関する確認や説明事項が中心であり、陽性者件数によって実施状況や職種、相談内容についての有意な差はみられなかった。

3 プレカウンセリング(検査前相談)の実施状況

過去3年の陽性者件数別プレカウンセリングの実施状況

プレカウンセリングの実施状況は、過去3年間の陽性者件数別では6人以上の群で、「必要に応じて実施している」が多くみられた。

毎回実施している 必要に応じて実施している 実施していない 無回答

60 80 (%)10040200

78.3 4.36人以上n=23 17.4

全体n=378 89.7 9.3

0.80.3

91.2 8.21 ~ 5人n=147

0.7

89.9 9.10人n=208

1.0

12

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過去3年の陽性件数別にみると、プレカウンセリング「実施していない」を除く377件のうちほとんどの機関で、担当者が決めていた。また、それら担当者を決めている機関では、保健師が多くを占め、ついで看護師、医師が2割から3割みられた。

所在地別プレカウンセリングの実施状況

機関の所在地別では、関東・甲信越(東京都以外)で、「必要に応じて実施している」が多くみられた。

機関所在地 毎回実施  必要に応じて実施 実施していない  無回答  合計  

東北・北海道 64(95.5%) 1(1.5%)  0(0%) 2(3.0%) 67(100%)

関東・甲信越(東京都以外) 66(79.5%) 17(20.5%)  0(0%) 0(0%) 83(100%)

東京都 20(95.2%) 0(0%)  1(4.8%) 0(0%) 21(100%)

東海 38(95.0%) 2(5.0%)  0(0%) 0(0%) 40(100%)

北陸 19(100%) 0(0%)  0(0%) 0(0%) 19(100%)

近畿 56(90.3%) 5(8.1%)  1(1.6%) 0(0%) 62(100%)

中国・四国 43(87.8%) 6(12.2%)  0(0%) 0(0%) 49(100%)

九州・沖縄 41(87.2%) 5(10.6%)  0(0%) 1(2.1%) 47(100%)

合計 347(89.4%) 36(9.3%)  2(0.5%) 3(0.8%) 388(100%)

過去3年の陽性者件数別プレカウンセリングの担当者

  決めている  決めていない 無回答  合計  0人 206(99.0%) 1(0.5%) 1(0.5%) 208(100%)1 ~ 5人 145(98.6%) 2(1.4%) 0(0.0%) 147(100%)6人以上 22(100%) 0(0%) 0(0%) 22(100%)合計 373(98.9%) 3(0.8%) 1(0.3%) 377(100%)不明 9(100%) 0(0%) 0(0%) 9(100%)総計 382(100%) 3(0.8%) 1(0.3%) 386(100%)

過去3年の陽性者件数別プレカウンセリングの担当職種

医師 保健師 カウンセラー看護師 その他

60

80

(%)100

40

20

0全体n=3730人n=206

28.6

83.5

6.31.5

5.8

1 ~ 5人n=145

20.7

87.6

14.5

2.86.9

6人以上n=22

22.7

77.3

36.4

0.0

22.7 25.2

84.7

11.31.9

7.2

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過去3年の陽性件数別プレカウンセリングの内容(複数回答)

相談内容では検査に関する確認や説明事項で9割以上、陽性である場合の準備性に関連する「来所動機」は8割であるが、行動の振り返りに関する感染リスクや予防については7割、疾病イメージに関連する「HIV/AIDSの違い」、「治療支援」は4割から5割とばらつきがみられた。

全体n=376

6人以上n=22

1 ~ 5人n=147

0人n=207

60 8040200 (%)100

検査時期

ウィンドピリオド

検査方法

来所動機

結果日

感染経路

予防方法

結果の意味

感染行為

HIV/AIDSの違い

自主検査の確認

治療支援

保健所の役割・機能

個別相談の希望の確認

その他

96.895.595.997.6

93.490.993.993.2

87.881.8

87.188.9

86.763.6

91.286.0

82.786.486.4

79.7

78.786.4

78.977.8

70.781.8

74.866.7

66.063.661.2

69.6

65.468.268.0

63.3

64.650.0

67.364.3

54.840.9

59.253.1

46.545.5

51.743.0

16.013.6

24.510.1

13.09.1

16.311.1

4.54.55.43.9

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4 陰性告知及び陰性告知時相談の実施状況

4 - 1 陰性告知の実施状況

過去3年の陽性件数別にみると、回答機関の97.9%が陰性告知の担当者を決めており、職種では保健師が最も多くついで医師が担当していた。

4 - 2 陰性告知時相談の実施状況

陰性告知時相談では「毎回実施」が73.3%にとどまっているが、担当者は、陰性告知同様に保健師が最も多く、ついで医師であった。

回 答 機 関 の97.9%が陰性告知の担当者を決めていると回答し、職種 で は 保 健 師 が 約6割、医師が約5割を占めていた。

過去3年の陽性件数別陰性告知の担当者

過去3年の陽性者件数別陰性告知の職種(複数回答)

医師 保健師 カウンセラー看護師 その他

60

80

(%)100

40

20

00人n=206 全体n=370

49.0

63.1

2.4 1.0 4.4

1 ~ 5人n=141

51.861.7

5.7 2.19.2

6人以上n=23

60.952.2

21.7

0.0

13.0

50.8

61.9

4.9 1.4 6.8

陽性件数別の陰性告知時の相談の実施状況では、「毎回実施している」が6人以上の群で65.2%と他より少ない傾向がみられた。

過去3年の陽性件数別陰性告知時相談の実施状況

毎回実施している 必要に応じて実施している 実施していない 無回答

60 80 (%)10040200

65.26人以上n=23 34.8

全体n=378 23.873.3

1.31.6

73.5 23.11 ~ 5人n=147

1.42.0

74.0 23.10人n=208

1.41.4

  決めている  決めていない 無回答  合計  0人 206(99.0%) 2(1.0%) 0(0%) 208(100%)1 ~ 5人 141(95.9%) 5(3.4%) 1(0.7%) 147(100%)6人以上 23(100%) 0(0%) 0(0%) 23(100%)合計 370(97.9%) 7(1.9%) 1(0.3%) 378(100%)不明 9(90.0%) 1(10.0%) 0(0%) 10(100%)総計 379(97.7%) 8(2.1%) 1(0.3%) 388(100%)

15

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所在地別陰性告知時相談の実施状況

機関所在地別では、「毎回実施」は東京都で47.6%と他と比して少なかった。

機関所在地 毎回実施  必要に応じて実施 実施していない  無回答  合計  

東北・北海道 52(77.6%) 14(20.9%)  0(0%) 1(1.5%) 67(100%)

関東・甲信越(東京都以外) 58(69.9%) 23(27.7%)  1(1.2%) 1(1.2%) 83(100%)

東京都 10(47.6%) 9(42.9%)  1(4.8%) 1(4.8%) 21(100%)

東海 27(67.5%) 11(27.5%)  2(5.0%) 0(0%) 40(100%)

北陸 18(94.7%) 1(5.3%)  0(0%) 0(0%) 19(100%)

近畿 51(82.3%) 9(14.5%)  1(1.6%) 1(1.6%) 62(100%)

中国・四国 34(69.4%) 15(30.6%)  0(0%) 0(0%) 49(100%)

九州・沖縄 33(70.2%) 12(25.5%)  1(2.1%) 1(2.1%) 47(100%)

合計 283(72.9%) 94(24.2%)  6(1.5%) 5(1.3%) 388(100%)

過去3年の陽性件数別陰性告知時相談の担当職種(複数回答)

医師 保健師 カウンセラー看護師 その他

60

80

(%)100

40

20

00人n=201 全体n=362

47.8

72.1

2.0 1.0 4.5

1 ~ 5人n=138

50.0

73.2

7.22.2

8.7

6人以上n=23

56.569.6

21.7

0.0

13.0

49.2

72.4

5.2 1.46.6

陰性告知時相談の「実施していない」を除いた372件の回答機関のうち、362件(97.3%)が陰性告知の担当者を決めていると回答し、職種では保健師が約7割、医師が約5割を占めていた。

過去3年の陽性件数別陰性告知時相談の担当者

  決めている  決めていない 無回答  合計  0人 201(98.0%) 3(1.5%) 1(0.5%) 205(100%)1 ~ 5人 138(95.8%) 4(2.8%) 2(1.4%) 144(100%)6人以上 23(100%) 0(0%) 0(0%) 23(100%)合計 362(97.3%) 7(1.9%) 3(0.8%) 372(100%)不明 9(90.0%) 1(10.0%) 0(0%) 10(100%)総計 379(97.7%) 8(2.1%) 1(0.8%) 382(100%)

16

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0

結果の意味

予防方法

感染リスクのある行為

感染経路

ウィンドピリオド

検査時期

HIV/AIDSの違い

治療支援

検査方法

来所動機

保健所の役割・機能

自主検査の確認

結果日

その他

過去3年の陽性件数別陰性告知時相談の内容(複数回答)

陰性告知時相談の内容は、検査結果の意味、予防方法が70%以上を占め、全体では感染リスクのある行為、感染経路が5割以上を占めていた。過去3年間の陽性者件数別では、6人以上の群ではウインドピリオド、検査時期についても、5割以上を占めていた。

全体n=366

6人以上n=23

1 ~ 5人n=141

0人n=202

60 804020 (%)100

86.373.9

88.786.1

79.878.377.381.7

60.952.2

59.662.9

50.860.9

53.248.0

46.265.2

51.840.1

34.256.5

38.328.7

18.334.8

17.716.8

30.339.1

29.130.2

18.330.4

17.717.3

16.921.718.415.3

14.517.420.6

9.9

7.713.0

7.17.4

6.88.77.85.9

6.84.3

9.25.4

17

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5 陽性告知及び陽性告知時相談の実施状況

5 - 1 陽性告知の実施状況

陽性告知は、ほぼ全機関が陽性告知時の担当者を決めており、職種は医師がほとんどであるが、保健師で約2割~ 3割の回答があった。

5 - 2 陽性告知時相談の実施状況

陽性告知時相談の担当者職種は保健師が7割、医師であった。陽性告知時相談の内容は、全体では医療に関することが中心であるが、陽性者数が多い群は医療以外の内容も高い割合で含まれ、経験によって違いがみられた。

過去3年の陽性者件数別陽性告知の担当者

過去3年の陽性者件数別陽性告知の担当職種(複数回答)

医師 保健師 カウンセラー看護師 その他

60

80

(%)100

40

20

00人n=204 全体n=373

98.5

19.6

0.5 2.5 0.5

1 ~ 5人n=141

100.0

0.0

30.8

0.76.8

6人以上n=23

100.0

0.0

21.7

37 8.7

99.2

24.1

0.5 4.3 0.8

陽性告知時相談は、毎回実施しているは全体では65.6%であり、過去3年の陽性者件数別では1~5人の群で78.9%、6人以上の群で82.6%であった。0人の群では実施していないが18.8%であり、陽性告知を想定した準備がされていない状況が推測された。

過去3年の陽性件数別陽性告知時相談の実施状況

毎回実施している 必要に応じて実施している 実施していない 無回答

60 80 (%)10040200

54.3 18.811.5 15.40人n=208

82.66人以上n=23 17.4

全体n=378 11.1 8.714.665.6

78.9 18.41 ~ 5人n=147

0.72.0

  決めている  決めていない 無回答  合計  0人 204(98.1%) 3(1.4%) 1(0.5%) 208(100%)1 ~ 5人 146(99.3%) 0(0%) 1(0.7%) 147(100%)6人以上 23(100%) 0(0%) 0(0%) 23(100%)合計 373(98.7%) 3(0.8%) 2(0.5%) 378(100%)不明 10(100%) 0(0%) 0(0%) 10(100%)総計 383(98.7%) 3(0.8%) 2(0.5%) 388(100%)

18

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所在地別陽性告知時相談の実施状況

所在地別では、毎回実施が近畿で79.0%、九州・沖縄で72.3%、東京都で71.4%を占めている一方で、北陸で47.4%、東北・北海道で55.2%であった。

機関所在地 毎回実施   必要に応じて実施 実施していない  無回答  合計  

東北・北海道 37(55.2%) 6(9.0%)  14(20.9%) 10(14.9%) 67(100%)

関東・甲信越(東京都以外) 58(69.9%) 15(18.1%)  5(6.0%) 5(6.0%) 83(100%)

東京都 15(71.4%) 5(23.8%)  0(0%) 1(4.8%) 21(100%)

東海 26(65.0%) 7(17.5%)  6(15.0%) 1(2.5%) 40(100%)

北陸 9(47.4%) 2(10.5%)  6(31.6%) 2(10.5%) 19(100%)

近畿 49(79.0%) 4(6.5%)  5(8.1%) 4(6.5%) 62(100%)

中国・四国 28(57.1%) 8(16.3%)  3(6.1%) 10(20.4%) 49(100%)

九州・沖縄 34(72.3%) 9(19.1%)  3(6.4%) 1(2.1%) 47(100%)

合計 256(66.0% 56(14.4%)  42(10.8%) 34(8.8%) 388(100%)

過去3年の陽性件数別陽性告知時相談の担当職種(複数回答)

医師 保健師 カウンセラー ケースワーカー看護師 その他

60

80

(%)100

40

20

00人n=134 1 ~ 5人n=141 6人以上n=22

89.6

55.2

1.512.7

0.0 3.7

86.5

71.6

1.4

18.4

0.7 2.8

86.4

72.7

4.5

27.3

0.09.1

全体n=297

87.9

64.3

1.7

16.5

0.3 3.7

陽性告知時相談の「実施していない」を除く336件のうち、9割以上の機関が担当者を決めており、担当職種を陽性者件数別でみると、1 ~ 5人の群、6人以上の群で医師が約8割、保健師が約7割であるが、0人の群では医師は約9割、保健師は5割と傾向に違いがみられた。

過去3年の陽性件数別陽性告知時相談の担当者

  決めている  決めていない 無回答  合計  0人 137(81.1%) 4(2.4%) 28(16.6%) 169(100%)1 ~ 5人 142(98.6%) 1(0.7%) 1(0.7%) 144(100%)6人以上 22(95.7%) 1(4.3%) 0(0%) 23(100%)合計 301(89.6%) 6(1.8%) 29(8.6%) 336(100%)不明 8(80.0%) 1(10.0%) 1(10.0%) 10(100%)総計 309(89.3%) 7(2.08%) 30(8.7%) 346(100%)

19

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過去3年の陽性件数別陽性告知時相談の内容(複数回答)

0

陽性件数別陽性告知時の相談内容は、いずれの群でも結果の意味、受診の必要性、専門医療機関の選択など受診に関する内容は9割以上を占めていた。しかし他の項目では陽性件数別ではばらつきがあり、セィファーセクッスについてと周囲へのカミングアウトについては、陽性者数6人以上の群で有意に高かった。

全体n=288

6人以上n=22

1 ~ 5人n=144

0人n=122

60 804020 (%)100

結果の意味

受診の必要性

専門医療機関選択

専門医療機関受診方法

HIV/AIDS治療内容

日常生活

保健所支援

福祉制度

セーファーセックス

周囲へのカミングアウト

NGO・NPO

その他

95.8100.097.2

94.3

96.2100.098.6

92.6

94.1100.095.1

91.8

92.090.9

97.985.2

68.481.8

68.166.4

71.286.4

73.665.6

67.468.272.9

60.7

59.072.7

58.357.4

54.581.8

50.754.1

53.168.2

54.948.4

40.372.7

43.131.1

7.69.1

6.39.0

20

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0 60 804020 (%)100

検査陽性告知用準備情報は、全体では、専門医療機関の外来診療情報、専門医療機関初診窓口情報が80%以上を占めていた。陽性者件別では6人以上の群で、医療に関する情報の み な ら ず、NGO/NPO情報や生活に関する情報も準備されていた。

全体n=359

6人以上n=23

1 ~ 5人n=145

0人n=191

過去3年の陽性件数別陽性告知用に準備している情報(複数回答)

外来診療情報

88.395.794.5

82.7

初診窓口情報

85.295.7

84.884.3

治療薬情報

63.582.6

64.160.7

保健師相談

55.460.961.4

50.3

NGO・NPO

48.273.9

56.638.7

生活情報

44.069.6

54.533.0

手記

30.452.2

35.923.6

その他

5.08.7

4.15.2

過去3年の陽性件数別検査後ミーティングの実施状況

毎回実施している

必要に応じて実施している

実施していない

無回答60 80 (%)10040200

36.15.3 6.352.40人n=208

34.86人以上n=23 26.139.1

全体n=378 45.2 4.041.89.0

10.2 38.150.31 ~ 5人n=147

1.4

検査後ミーティングの実施状況は、毎回実施しているは全体では9%だが、過去3年間の陽性者件数別では6人以上の群で34.8%、必要に応じて実施と合わせると72.9%を占めていた。所在地別では、東京都は毎回実施が33.3%を占め、他の地区に比して多かった。

6 検査後ミーティングの実施状況

21

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所在地別検査後ミーティングの実施状況

機関所在地 毎回実施   必要に応じて実施 実施していない  無回答  合計  

東北・北海道 2(3.0%) 18(26.9%)  42(62.7%) 5(7.5%) 67(100%)

関東・甲信越(東京都以外) 9(10.8%) 43(51.8%)  29(34.9%) 2(2.4%) 83(100%)

東京都 7(33.3%) 8(38.1%)  5(23.8%) 1(4.8% 21(100%)

東海 3(7.5%) 13(32.5%)  23(57.5%) 1(2.5%) 40(100%)

北陸 0(0%) 10(52.6%)  8(42.1%) 1(5.3%) 19(100%)

近畿 10(16.1%) 26(41.9%)  25(40.3%) 1(1.6%) 62(100%)

中国・四国 3(6.1%) 15(30.6%)  29(59.2%) 2(4.1%) 49(100%)

九州・沖縄 1(2.1%) 29(61.7%)  15(31.9%) 2(4.3%) 47(100%)

合計 35(9.0%) 162(41.8%)  176(45.4%) 15(3.9%) 388(100%)

検査後ミーティングの内容は、受検者の情報共有、対応方法の相談でそれぞれ8割を占めていた。

0 60 804020 (%)100

全体n=192

6人以上n=17

1 ~ 5人n=87

0人n=88

過去3年の陽性件数別検査後ミーティングの内容(複数回答)

その他

2.10.03.41.1

相談技術の共有

35.941.236.8

34.1

検査実施方法の改善

42.258.8

43.737.5

結果日の対応の検討

55.764.7

62.147.7

対応方法の相談

85.982.4

93.179.5

受検者の情報共有

84.994.1

87.480.7

22

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HIV陽性者への継続支援の状況(A調査、B 調査より)

いくつかのHIV陽性のケースパターンをあげて、相談の主担当者について尋ねたところ、感染症以外の課題のあるケースには必ずしも感染症担当者が担当するのではなく、所内での業務分担に応じて担当がわけられる機関がみられた。特に政令市保健所や政令指定都市保健センター(以下保健センター)では、同じ市の機関として保健センターあるいは保健所があり、両機関で役割分担をしている傾向が、都道府県保健所より多く見られた。

1 陽性者支援の組織体制(A調査)

HIV陽性ケースの支援担当(都道府県保健所)

保健所感染症担当 保健所難病担当 保健所精神保健担当 保健所他担当

市町村保健センター 決めていない 保健所・保健センター以外の機関

60 80 (%)10040200

62.5

68.4 18.0

90.4

94.3

19.1

62.4 14.9 17.3

60.8

3.1

4.2

5.0 2.7

3.13.53.52.7

6.3 5.1

3.9

3.518.4 16.1

外国人ケース

統合失調症・うつ病合併ケース

薬物依存症合併ケース

知的障害があるケース

在宅サービスの必要なケース

結核合併ケース

陽性告知直後のケース

67.8 24.0 3.13.10.81.2

0.4 0.8

0.4 0.80.4

1.6 2.3

0.8 0.4 0.4

1.5 0.4

0.8

23

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HIV陽性ケースの支援担当(保健センター)

保健センター成人・高齢担当 保健センター精神保健担当 保健センター他担当 保健センター感染症担当

保健所他担当 決めていない 保健所・保健センター以外の機関

60 80 (%)10040200

33.39.5

36.49.1 9.122.718.2

56.5 13.021.7

56.530.4

14.319.019.0

38.19.5 19.0 19.0 9.5

38.19.5

4.8

4.34.34.3

4.34.3

4.5

4.8

4.8 19.0 9.519.0

外国人ケース

統合失調症・うつ病合併ケース

薬物依存症合併ケース

知的障害があるケース

在宅サービスの必要なケース

結核合併ケース

陽性告知直後のケース

38.1 14.314.328.64.8

HIV陽性ケースの支援担当(政令市保健所)

保健所感染症担当 保健所難病担当 保健所精神保健担当 保健所他担当

市・区保健センター 決めていない 保健所・保健センター以外の機関

60 80 (%)10040200

44.3

43.9 14.324.510.26.1

87.8

87.1

11.327.8

43.8 8.312.5 4.2 28.1

41.8

4.0 6.9

6.1 3.1

5.2 9.3

3.1

3.13.1 9.216.3 26.5

外国人ケース

統合失調症・うつ病合併ケース

薬物依存症合併ケース

知的障害があるケース

在宅サービスの必要なケース

結核合併ケース

陽性告知直後のケース

52.6 28.99.3 6.23.1

2.1

1.0 1.0

2.0 1.0

1.0

24

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エイズ対策の担当経験は、全体で545件(77.1%)が「経験あり」であったが、保健センターでは25件(47.2%)と他の機関と比して有意に低かった。HIV検査担当経験においても、全体では632件(89.1%)が「経験あり」であったが、保健センターでは35件(64.8%)と有意に低かった。

2 エイズ対策及びHIV検査担当経験(B調査)

エイズ対策業務の経験

あり なし

60 80 (%)100

X2検定 ***p<0.001 X2検定 ***p<0.001

20 400

80.4 19.6都道府県保健所n=477

77.2 22.8政令市保健所n=182

47.2 52.8保健センターn=55

全体n=714 77.1 22.9

HIV検査従事の経験

あり なし

60 80 (%)10020 400

91.6 8.4都道府県保健所n=477

90.1 9.9政令市保健所n=182

64.8 52.8保健センターn=55

全体n=714 89.1 22.9

エイズ対策経験年数

(人)400

200

150

100

250

300

350

50

0(年)

335

10367 17 3 2 1 1

HIV検査従事の経験年数

(人)400

200

150

100

250

300

350

50

0(年)

357

12492 25

7 2

エイズ対策経験年数は、3年以内が最も多く、335件(63.2%)を占めており、5年以内までで全体の82.8%であった。HIV検査従事年数は、3年以内が最も多く357件(58.8%)であり、5年以内までで全体の87.5%を占めていた。いずれも従事経験年数の長い担当者は少なく、短期間での機関内のジョブローテーションが考えられた。

*** ***

0

0

3

3

5

5

10

10

15

15

20

20

25 30 35

25

n=529最小値=1最大値=33

n=607最小値=3最大値=24

25

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X2検定 *p<0.05

X2検定 *p<0.05

HIV陽性告知の経験、HIV陽性者の継続支援経験について「経験あり」はいずれも2割であった。また経験数においても、1件が半数以上を占め、全国の保健所や保健センターでの経験は、一部の担当者に限られている状況であることが推察された。

3 HIV陽性者への支援の経験(B調査)

HIV陽性者の継続的支援経験の有無

あり なし

60 80 (%)10020 400

17.0 83.0都道府県保健所n=465

28.2 71.8政令市保健所n=177

33.3 66.7保健センターn=51

全体n=693 21.1 78.9

HIV陽性者への継続支援経験は、「経験あり」が全体で146件(21.1%)であり、都道府県保健所では79件(17.0%)と他の機関と比して有意に低かった。

HIV陽性者告知の経験の有無

あり なし

60 80 (%)10020 400

18.4 81.6都道府県保健所n=477

31.3 68.7政令市保健所n=182

30.9 69.1保健センターn=55

全体n=714 22.7 77.3

HIV陽性者告知の経験事例数

(件)100

20

40

60

80

0(年)

92

1

39

2

13

3

6

4

3

5

2

6

1

7

1

8

3

10

1

15

陽性告知経験は、「経験あり」が全体で162件(22.7%)であり、都道府県保健所では88件(18.4%)と他の機関と比して有意に低かった。

「経験あり」の回答者の経験事例数は、1件から15件であるが、1件が57.1%を占めた。

HIV陽性者の継続的支援経験事例数

(件)100

20

40

60

80

0(年)

85

1

26

2

15

3

3

4

2

5

2

71

10

「経験あり」の回答者の経験事例数は、1件から10件であるが、1件が63.4%を占めた。

n=161

n=134

26

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HIV陽性者への継続支援経験ありの回答者の経験状況では、同性との性的接触による男性事例や自所の検査からの相談経路の事例の経験割合が高かった。相談内容では受診に関することが多いが、それら以外の生活課題への相談もみられ、多様な相談に応じていた。

4 HIV陽性者への継続支援の経験内容(B調査)

4 - 1 性別

HIV陽性者への継続支援経験ありの回答者の経験では、男性事例のみの経験が最も多いが、女性事例あるいは女性と男性事例両方を経験したと回答した者も、それぞれ約1割であった。

HIV陽性者継続的支援の経験(性別)

HIV陽性者支援の経験内容(男性事例 感染経路)(複数回答)

男性のみ 女性のみ 男性・女性両方

60 80 (%)10020 400

74.0 11.714.3都道府県保健所n=77

86.0 8.06.0政令市保健所n=50

70.6 29.4保健センターn=17

全体n=144 77.8 12.59.7

4 - 2 感染経路

感染経路では、男性事例では同性との性的接触が最も多いが、全体で3割の回答者が異性との性的接触の事例を経験していた。また、女性事例では、異性との性的接触の事例経験が全体では2割を占め、母子感染や輸血もみられていた。

全体n=144

保健センターn=17

政令市保健所n=50

都道府県保健所n=77

60 80 (%)10020 400

同性との性的接触

56.370.6

62.049.4

異性との性的接触

31.311.8

35.1

注射器のまわし打ち

2.15.9

0.02.6

血液凝固因子製剤

0.75.9

0.00.0

母子感染

2.8

2.01.3

輸血

1.40.02.01.3

その他

1.40.02.01.3

不明

19.435.3

24.013.0

32.0

11.8

27

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HIV陽性者支援の経験内容(女性事例 感染経路別)(複数回答)

30 40 (%)5010 200

同性との性的接触

0.00.00.00.0

異性との性的接触

17.4

20.8

注射器のまわし打ち

1.40.00.0

2.6

血液凝固因子製剤

0.75.9

0.00.0

母子感染

0.7

0.01.3

輸血

0.7

0.00.0

不明

3.50.0

4.03.9

10.0

0.0

23.5

5.9

全体n=144

保健センターn=17

政令市保健所n=50

都道府県保健所n=77

4 - 3 国籍

国籍では、全体で86.9%が日本国籍の事例を経験していたが、在留資格のある外国籍の事例経験者が24.1%を占めており、都道府県保健所では在留資格のない外国籍事例の経験もみられた。

HIV陽性者支援の経験内容(国籍)(複数回答)

60

80

(%)100

40

20

0日本国籍 外国籍資格あり 外国籍資格なし 不明

94.1

0.0 0.0 0.0 0.0

全体n=144

保健センターn=17

政令市保健所n=50

都道府県保健所n=77

86.9 88.0 85.7

24.129.4 26.0 22.1

2.8 5.20.7 1.3

28

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その他からの持ち込みの内訳● 市町村保健師● 臨床心理士・HIVカウンセラー● 入所施設長● 保護観察所● マンション管理人● 本庁● 医療機関を通じて村役場

全体n=145

保健センターn=17

政令市保健所n=50

都道府県保健所n=78

相談持込経路(複数回答)

0 60503010 4020 (%)70

自所での陽性告知

52.423.5

66.050.0

30.341.2

30.028.2

17.923.5

16.019.2

8.311.8

10.06.4

4.823.5

4.01.3

4.15.9

2.03.8

3.45.9

2.03.8

2.811.8

4.01.3

2.85.96.0

0.0

1.45.9

0.01.3

1.30.00.01.3

7.65.9

2.011.5

医療機関

本人からの相談

結核届出

福祉事務所(生活保護)

他保健所・保健センター

パートナーからの相談

福祉事務所(障害者福祉)

家族からの相談

NGO・NPO団体

ケアマネージャー

その他からの持ち込み

4 - 4 相談経路

相談持ち込み経路では、自所のHIV検査での陽性告知からの経験者が全体では約5割を占めていた。機関別にみると、都道府県保健所や政令市保健所と、保健センターで傾向が異なっていた。都道府県保健所や政令市保健所では、自所での陽性告知が最も多く、次いで医療機関が約3割であったが、保健センターでは医療機関からの持ち込みが4割を占め、本人からの相談、福祉事務所(生活保護)からの相談が続いていた。その他の持ち込み経路には、市町村保健師、保護観察所、エイズカウンセラーなどがみられた。

29

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その他の相談支援内容● 内科主治医確保● 歯科主治医確保● 子育てに関する相談● 薬物依存の相談● 施設入所相談● 法的な問題の相談● 母子感染に関する相談● 外国の治療状況についての相談● 滞在資格について● 通訳ボランティア● 日常生活について● 感染予防について● 内科主治医ではなく 他科医療機関の相談(地域で)● 受診にあたってのプライバシー 保護についての支援● 自立支援法のサービス利用● 精神公費負担申請についての支援● 人生や将来の夢に関する相談● DV

全体n=145

保健センターn=17

政令市保健所n=50

都道府県保健所n=78

支援内容(複数回答)

4 - 5 支援内容

支援内容では、全体では専門医療機関への受診相談が最も多く、ついで受療継続支援や人間関係の相談、医療費の相談(自立支援医療)の経験が4割から5割を占めていた。機関別にみると保健センターではそれらに加えて服薬支援、生活費(生活保護・年金)の相談、精神保健の相談が多い傾向がみられた。その他の相談には、内科や歯科の主治医確保、子育てに関する相談、在留資格や通訳等外国人ケースへの支援内容が含まれていた。

0 60503010 4020 (%)8070

HIV専門医療機関への受診相談

受療継続支援

人間関係の相談

医療費相談(自立支援医療)

服薬の支援

生活費相談(生保・年金)

結核療養の支援

他の疾患相談

精神保健の相談

職場の人間関係の相談

在宅ケアサービス利用

住居の相談

セクシャルヘルスの相談

セクシャリティの相談

就職や転職の相談

その他相談支援

66.935.3

74.069.2

51.758.8

46.053.8

44.858.8

38.046.2

42.835.3

36.048.7

37.947.1

34.038.5

26.247.1

14.029.5

24.829.432.0

19.2

16.623.5

16.015.4

15.941.2

12.012.8

13.117.6

8.015.4

12.411.812.012.8

8.311.88.07.7

8.311.86.09.0

6.911.88.0

5.1

11.717.620.0

5.1

30.329.4

22.038.5

30

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その他の連携機関の内訳● 地域の医師会・歯科医師会● エイズカウンセラー● 障害者・高齢者通所施設● 結核指定医療機関● 障害者入所施設● ハローワーク● 健康保険保険担当● 児童相談所● 更生相談所● 保護司、保護観察官● 調剤薬局薬剤師● 市営住宅担当課● 民生委員● 福祉施設の長

全体n=139

保健センターn=17

政令市保健所n=48

都道府県保健所n=74

支援過程での連携機関(複数回答)

4 - 6 連携機関

支援過程での連携機関では、エイズ拠点病院が最も多く全体で8割が経験をしていた。一方で、他の機関との連携経験は少なかった。HIV陽性者支援の過程においては、エイズ拠点病院との連携が中心であり、地域の他の機関との連携は十分でない状況がうかがえた。

0 604020 80 (%)100

エイズ拠点病院

福祉事務所(生保)

福祉事務所(障害者)

一般医療機関

NGO・NPO

市町村保健センター

ヘルパー事業所

訪問看護ステーション

精神科医療機関

地域包括支援センター

歯科医療機関

その他

87.876.5

93.886.5

23.741.2

29.216.2

23.723.5

29.220.3

21.629.4

20.820.3

16.529.4

8.318.9

12.90.0

6.320.3

10.123.5

4.210.8

9.45.9

12.58.1

5.017.6

2.14.1

3.6%0.02.15.4

2.90.04.22.7

32.429.4

14.631.1

31

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4 - 7 支援過程で困ったあるいは迷ったこと

支援過程で困ったことや迷ったことがあると回答した者が、全体で91件(67.9%)みられた。困ったあるいは迷った内容についての自由記述を分類すると、「ケースのもつ困難性」、「組織体制による困難性」、「支援者のもつ困難性」、「地域の社会資源やネットワーク上の困難性」に分けられた。必ずしも支援経験が多いわけではない中で、多様な迷いや困難に直面している状況が浮かび上がってきた。

HIV陽性者継続支援(支援家庭で困ること、迷うこと)

60 80 (%)10020 400

71.6 28.4都道府県保健所n=74

68.2 31.8政令市保健所n=44

50.0 50.0保健センターn=16

全体n=134 67.9 32.1

あり なし

支援過程で困ること、迷うことについて、保健センターでは半数が、政令市保健所や都道府県保健所では、約7割が「ある」と回答していた。

支援過程で困ったあるいは迷った内容(自由記述から項目を抽出し、整理)

コミュニケーション在留資格経済的問題経済的問題受診の動機づけ入院の拒否就労と治療の折り合い知的障害との重複精神障害との重複薬物依存症への対応家族の受け入れ拒否家族への告知パートナーと関係調整キィパーソン不在

ケースの病気の受け止め生きることへの否定人生全般の相談

外国人

受診継続

他の障害との重複

家族・パートナーとの関係調整

経済的問題

心理的問題

サービス受け入れ拒否

(1)ケースのもつ困難性

項目 小項目 自由記述例

● パスポートやビザ等取得するための手続きが大変複雑で、自分自身も何 度も専門機関に足を運んだ。

● ケースが職場でHIVが知られ、居づらくなるのが嫌と治療の方を断念し てしまうことがあった。● 状態悪化の際に入院勧奨を行ったが本人に拒否された。

● 自殺企図があり、自殺未遂をくりかえす方への対応● 依存性が必要以上に高い患者への介入・支援

● パートナーとの婚姻関係の解消について、法的なこと含めた相談対応● 家族にキィになる兄がいたが理解力が乏しかった。両親は高齢で伝えに くかった。

● 経済的問題で住んでいた住居の家賃が払えなくなり、転居する方向とな ったが住居が定まらず、ついには連絡が取れず支援が中断してしまった。

● どうせ死ぬのだからと生きることを否定された時どのように声をかけた ら良いかどのようにサポートしていけば良いのか悩んだ。● 人生全般の相談支援となった時に、保健師としてより、カウンセラーと しての支援が必要と感じた。 

● ケース本人は病気を知られたくないという意向があり、サービスの導入 もスムーズでない。

32

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ケースが管轄外である

組織内の認識の違い

組織体制の準備不足

(3)組織の支援体制による困難性

項目 自由記述例

● 途中で他県に転居したが転居先医療機関へつなげるのが大変であり、単独では受診できず、転居先の保健師に支援を依頼した。

● 保健師間あるいは組織の中でもHIV感染に対する認識や理解に違いがあ る。

● 医師と共に支援する際、どこまで支援していくか、見解に相違がみられ、 受診紹介のみで継続支援に至らなかった。

● 結核のDOTSで関わったケースは若かったので、DOTS終了後に抗HIV 薬DOTSで関わる予定はなく、かといって訪問看護が入る予定もなく、 大丈夫かと心配した。結核と違い、抗HIV薬のDOTS支援体制はなく、 個々の保健師にまかされているので迷う。

● 組織の経験がなくカルテ様式も決まっていない。

支援関係づくり

セクシャリティに関することへの支援

(2)支援者のもつ困難性

項目 小項目 自由記述例

● 自分自身の専門的知識、技術のなさ。自信が持てず、それでも支援して いかないといけないこと。

● 伝え方、話のうけとめ方、相談場面の展開、これでよかったのかといつ もふりかえり職場内の方やカウンセラー等、相談し対応している。

● 若年ケースで支援モデルがなく困難だった。

● 当初HIVについては医療情報として医療スタッフより保健師へ提供され、 本人は話題にすることをさけている様子であった。HIVについて特別視 するのではなく、合併症のひとつとして捉え、まずは結核療養相談にの りながら関係をきずいていけるよう関わった。少しずつ本人とHIVにつ いて話していくことができ、同伴受診や服薬支援等につながった。

● セクシャリティに関することへの支援は、非常にプライベートなことで もあり、難しさを感じている。

ケースの心理を理解した支援

ケースとの信頼関係づくり

知識不足・技術不足での不安

地域の社会資源の受け入れの問題

関係者間の情報共有とプライバシーの保護

(4)地域の社会資源やネットワーク上の困難性

項目 小項目 自由記述例

● 緊急対応を求められ、緊急訪問、救急車対応、となった事があり、地域 でのサポート体制や緊急時の対応に迷った。

● エイズを発症し、障害者となった方の通所先や入所先、入院先の受け入 れが非常に悪く苦労した。

● HIV/AIDSの疾病ヤ感染リスクヘの理解不足により医療機関や他の受け 皿の不足。

● プライバシーの保護と情報共有のせめぎ合い。

● 連絡を取ることに制限多かった。

● 本人がいろいろな制度や施設、サービスを利用する際関係者にどこまで 本人の病気を伝えるべきか迷った。

緊急対応時受け入れ先の確保

一般医療機関の確保

サービス機関の受け入れ先の確保

33

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HIVに関連した知識を知っているかについて3段階で尋ねたところ、医療の知識やセクシャリティに関する知識は、機関別に有意な差がみられ、政令市保健所の回答者でより知っている割合が高かった。福祉制度の知識には有意な差はみられなかった。(注:各図にKruskal Wallis 検定の結果を示した。)

5 HIV/AIDSに関連する知識(B調査)

5 - 1 HIV/AIDSに関する医療の知識及びセクシャリティに関する知識

抗HIV薬の効果や副作用の症状、母子感染予防に関する医療の知識は、機関により有意な差がみられた。抗HIV療法の効果、母子感染予防では、政令市保健所で「十分知っている」割合が高く、副作用の症状については、「十分知っている」、「少しは知っている」を合わせると政令市保健所で高かった。

抗HIV療法の効果

60 80 (%)10020 400

24.2 61.9 13.9都道府県保健所n=475

37.9 5.556.6政令市保健所n=182

25.9 57.4 16.7保健センターn=54

全体n=711 27.8 60.2 12.0

抗HIV薬の副作用

60 80 (%)10020 400

13.5 65.4 21.1都道府県保健所n=474

20.3 68.7 11.0政令市保健所n=182

25.5 52.7 21.8保健センターn=55

全体n=711 16.2 65.3 18.6

母子感染予防

60 80 (%)10020 400

30.2 60.1 9.7都道府県保健所n=474

3.345.9 50.8政令市保健所n=181

29.6 57.4 13.0保健センターn=54

全体n=709 34.1 57.5 8.3

十分知っている

少しは知っている

知らない

X2=17.67 p<0.001

X2=11.49 p<0.01

X2=18.81 p<0.001

34

Page 35: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

MSMの意味

60 80 (%)10020 400

29.3 36.3 34.4都道府県保健所n=474

57.1 9.333.5政令市保健所n=182

41.8 30.9 27.3保健センターn=55

全体n=711 37.4 35.2 27.4

男性同性愛者の人口割合

60 80 (%)10020 400

12.3 52.8 35.0都道府県保健所n=472

23.6 59.3 17.0政令市保健所n=182

14.5 49.1 36.4保健センターn=53

全体n=709 15.4 54.2 30.5

性的指向は意識的な選択でない

60 80 (%)10020 400

33.5 49.2 17.3都道府県保健所n=474

52.5 37.6 9.9政令市保健所n=181

47.3 41.8 10.9保健センターn=55

全体n=710 39.4 45.6 14.9

十分知っている

少しは知っている

知らない

医療の知識とセクシャリティに関する知識の問い全てに回答した回答者について、「十分知っている」、「少しは知っている」、「知らない」で1~3点で配点し単純加算した合計得点を機関別にみた場合も、政令市保健所で有意に高く、医療・セクシャリティに関する知識について差がみられた。

医療・セクシャリティに関する知識の合計得点

MSMの意味や男性同性愛者の人口割合、性的指向についてなどセクシャリティに関する知識では機関別の回答割合に有意な差がみられ、MSMの意味、性的指向の意味では、政令市保健所で約5割、全体で約4割が

「十分知っている」と回答していた。一方、男性同性愛者の人口割合は、「知らない」が全体で3割であった。

X2=57.57 p<0.001

KruskalWallis検定X2=11.49 p<0.001

X2=26.53 p<0.001

X2=21.52 p<0.001

10.0

15.0

12.5

17.5

7.5

都道府県保健所平均値=12.10(±2.78)

n=469

政令市保健所平均値=13.8(±2.58)

n=181

保健センター平均値=12.61(±2.44)

n=54

n=70418

6

12

14 14

12

14

11

16

12

10

18

8

18

7

35

Page 36: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

障害認定の級

60 80 (%)10020 400

20.4 60.6 18.9都道府県保健所n=475

24.3 61.9 13.8政令市保健所n=181

31.5 46.3 22.2保健センターn=54

全体n=710 22.3 59.9 17.9

自立支援医療の対象

60 80 (%)10020 400

29.5 50.8 19.6都道府県保健所n=474

36.5 50.8 12.7政令市保健所n=181

34.0 43.4 22.6保健センターn=53

全体n=708 31.6 50.3 18.1

免疫機能障害は重度かつ継続の医療

60 80 (%)10020 400

18.4 46.4 35.2都道府県保健所n=472

12.8 47.8 39.4政令市保健所n=180

16.7 33.3 50.0保健センターn=54

全体n=706 16.9 45.8 37.4

十分知っている

少しは知っている

知らない

5 - 2 福祉制度に関する知識

福祉制度の知識では、機関による有意な差はなかったが、免疫機能障害の障害認定等級と自立支援医療の対象については、「十分知っている」、「少しは知っている」を合わせると約8割である一方で、自立支援医療の重度かつ継続の対象となることについては、「知らない」の回答割合が高く、特に保健センターでは半数であった。福祉制度に関する問い全てに回答した回答者について、各回答肢に1点から3点で配点した合計得点を機関別にみても、有意な差はなかった。

p=n.s.

p=n.s.

p=n.s.

36

Page 37: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

福祉制度に関する知識の合計得点

セクシャルヘルスに関する相談は約8割で経験があり、相談内容では、性感染症に関することが9割を占めていたが、家族計画やセクシャリティに関する相談も全体で3割みられた。保健センターでは、家族計画や性暴力に関する相談が4割から5割と多い傾向があった。その他の相談では思春期の性の相談や障害者の性に関する相談がみられた。

6 セクシャルヘルスに関する相談経験(B調査)

セクシャルヘルスに関する相談経験

60 80 (%)10020 400

82.7 17.3都道府県保健所n=475

85.1 14.9政令市保健所n=181

87.3 12.7保健センターn=55

全体n=711 83.7 16.3

あり なし

5.0

7.0

8.0

6.0

9.0

4.0

3.0

都道府県保健所平均値=5.9(±1.69)

n=471

政令市保健所平均値=6.07(±1.57)

n=180

保健センター平均値=5.89(±1.83)

n=53

n=7049

3

6

7 7

6

7

5

6

55

9

3

9

3

37

Page 38: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

0 60 804020 (%)100

セクシャルヘルスに関する相談内容(複数回答)

性感染症

家族計画

セクシャリティ

性暴力

高齢者の性

女性がん術後

ED

その他

90.991.793.5

93.5

32.850.0

35.329.8

32.529.2

22.936.6

20.743.8

18.318.8

13.812.513.114.2

9.416.7

11.17.9

7.210.49.2

6.1

4.94.23.94.8

全体n=594

保健センターn=48

政令市保健所n=153

都道府県保健所n=393

その他の相談の内訳

都道府県保健所 政令市保健所 保健センター 合計  思春期における性の相談 6 1 1 8障害者の性に関する相談  4 4セックスレスに関する相談 1 2 3不妊に関する相談 2 2避妊に関する相談 2 2自慰行為に関する相談 2 2風俗業に関する相談 1 1 2夫婦の性生活の悩みについての相談 2 2男性更年期に関する相談 1 1性器に関する相談 1 1HIV感染者の妊娠、子育ての相談 1 1

38

Page 39: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

性に関する相談への抵抗感では、「性器や性行為に関する言葉を使うこと」、「薬物使用に伴う感染不安の相談」では「ほとんど抵抗感がない」、「全く抵抗感がない」をあわせて約4割を占め、他の項目に比して、抵抗感が低い傾向がみられた。一方で、「10代の若者の感染不安の相談」や「婚姻外の相手との感染不安の相談」は「とても抵抗感がある」が3割を超えていた。また機関別にみると、いずれの質問も保健センターで「とても抵抗

感がある」、「少し抵抗感がある」の割合が高い傾向にあった。特に、「自分と異なるセクシャリィティの人からの相談」、「婚姻外の相手との性行為による感染不安の相談」、「薬物使用に伴う感染不安の相談」で、有意な差がみられた。抵抗感の問い全てに回答した回答者について、各回答肢に1点から4点で配点した合計得点では、機関別の有意な差はなかった。

(注:各図にKruskal Wallis 検定の結果を示した。)

7 性に関する相談への抵抗感(B調査)

10代の若者の感染不安の相談

60 80 (%)10020 400

0.233.3 54.0 12.5都道府県保健所

n=472

0.635.6 52.2 11.7政令市保健所

n=180

1.81.843.6 52.7保健センター

n=55

0.4全体

n=707 34.7 53.5 11.5

とても抵抗感がある

少し抵抗感がある

ほとんど抵抗感がない

全く抵抗感がない

性器や性行為に関する言葉を使う

60 80 (%)10020 400

9.1 47.6 40.82.5

都道府県保健所n=474

8.9 5.648.3 37.2政令市保健所n=180

5.55.5 47.3 41.8保健センターn=55

3.5全体

n=708 8.8 47.7 40.0

p=n.s.

p=n.s.

異なるセクシャリティの人の相談

60 80 (%)10020 400

2.320.2 46.4 31.1都道府県保健所

n=470

3.422.5 50.6 23.6政令市保健所

n=178

3.629.1 54.5 12.7保健センター

n=55

2.7全体

n=703 21.5 48.1 27.7

X2=6.83 p<0.05

39

Page 40: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

とても抵抗感がある

少し抵抗感がある

ほとんど抵抗感がない

全く抵抗感がない

婚姻外の相手との感染不安の相談

60 80 (%)10020 400

29.9 53.2 16.70.2

都道府県保健所n=472

29.61.1

52.0 17.3政令市保健所n=179

3.645.5 45.5 5.5保健センター

n=55

0.7全体

n=706 31.0 52.3 16.0

薬物使用に伴う感染不安の相談

60 80 (%)10020 400

19.6 40.5 33.0 6.8都道府県保健所n=469

15.3 7.341.2 36.2政令市保健所n=177

3.634.5 40.0 21.8保健センター

n=55

6.7全体n=701 19.7 40.7 33.0

不特定の人との感染不安の相談

60 80 (%)10020 400

26.2 50.7 21.41.7

都道府県保健所n=473

21.93.4

56.7 18.0政令市保健所n=178

1.832.7 45.5 16.4保健センター

n=55

2.1全体

n=706 25.6 51.8 25.1

同性同士の感染不安の相談

60 80 (%)10020 400

23.0 46.9 27.92.1

都道府県保健所n=473

22.52.8

54.5 20.2政令市保健所n=178

1.829.1 52.7 16.4保健センター

n=55

2.3全体

n=706 23.4 49.3 25.1

p=n.s.

p=n.s.

X2=9.83 p<0.01

X2=6.17 p<0.05

40

Page 41: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

性風俗店利用の感染不安の相談

60 80 (%)10020 400

26.5 50.6 19.93.0

都道府県保健所n=472

22.92.8

51.4 22.9政令市保健所n=179

3.629.1 47.3 20.0保健センター

n=55

3.0全体

n=706 25.8 50.6 20.7

p=n.s.

性風俗従事者の感染不安の相談

60 80 (%)10020 400

1.929.3 47.1 21.7都道府県保健所

n=471

2.227.5 51.1 19.1政令市保健所

n=178

3.630.9 54.5 10.9保健センター

n=55

2.1全体

n=704 29.0 48.7 20.2

p=n.s.

HIV陽性者の性行為の相談

60 80 (%)10020 400

6.021.1 41.3 31.6都道府県保健所n=465

2.819.8 44.6 32.8政令市保健所

n=177

3.630.9 45.5 20.0保健センター

n=55

5.0全体n=697 21.5 42.5 31.0

とても抵抗感がある

少し抵抗感がある

ほとんど抵抗感がない

全く抵抗感がない

p=n.s.

p=n.s.

性の相談に対する抵抗感合計得点

20.0

30.0

35.0

25.0

40.0

15.0

10.0

都道府県保健所平均値=20.67(±5.97)

n=463

政令市保健所平均値=20.74(±5.73)

n=175

保健センター平均値=19.25(±5.80)

n=55

n=693

3538

10

2124 24

19

22

15

21

1916

34

383735

10

31

40

10

41

Page 42: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

8 職場の体制(B調査)

エイズ対策への保健所の取り組み

60 80 (%)10020 400

3.229.08.7 40.4 18.8都道府県保健所

n=473

2.836.314.0 30.7 16.2政令市保健所

n=179

5.520.016.4 32.7 25.5保健センターn=55

3.3全体

n=707 30.110.6 37.3 18.7

HIV陽性者支援の係内職員の理解

60 80 (%)10020 400

1.125.1 32.2 31.5 10.1都道府県保健所

n=466

1.134.3 29.8 26.4 8.4政令市保健所

n=178

1.841.8 18.2 29.1 9.1保健センター

n=55

1.1全体

n=699 28.8 30.5 30.0 9.6

HIV陽性者支援の保健師間相談

60 80 (%)10020 400

1.10.951.8 37.7 8.6都道府県保健所

n=466

3.454.2 34.6 7.8政令市保健所

n=179

1.93.772.2 13.0 9.3保健センター

n=55

0.91.7全体

n=700 54.0 35.0 8.4

とてもそう思う

少しそう思う

どちらでもない

そう思わない

全くそう思わない

p=n.s.

p=n.s.

X2=7.34 p<0.05

職場の体制では、「エイズ対策に積極的に取り組んでいる」で機関別に有意な差がみられた。政令市保健所で「とてもそう思う」、「少しそう思う」あわせて5割であった。HIV陽性者支援への「係内での理解」では、「とてもそう思う」がいずれの機関も3割から4割であり、「保健師間での相談」は、「とてもそう思う」が半数を超えていた。「情報共有がしにくい」の全体集計では「全くそう思

わない」、「そう思わない」をあわせて7割を占め、「性に関する相談内容を話しにくい」では8割であったが、いずれも保健センターでは約6割と他の機関より少ない傾向がみられた。職場の協力体制の問い全てに回答した回答者について、各回答肢に1点から5点で配点した合計得点では、機関別の有意な差はなかった。

(注:各図にKruskal Wallis 検定の結果を示した。)

42

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HIV陽性ケース支援の他職種の協力

60 80 (%)10020 400

14.7 33.0 36.0 13.23.0

都道府県保健所n=469

11.92.3

35.0 40.1 10.7政令市保健所n=177

18.2 29.1 36.4 14.5保健センターn=55

1.8

2.7全体

n=701 14.3 33.2 37.1 12.7

プライバシー重視で所内情報共有しにくい

60 80 (%)10020 400

1.53.6 23.6 56.5 14.9都道府県保健所

n=471

0.65.6 23.0 57.3 13.5政令市保健所

n=178

1.87.3 29.1 38.2 23.6保健センター

n=55

1.34.4全体

n=704 23.9 55.3 15.2

性に関する相談内容を話しにくい

60 80 (%)10020 400

1.36.6 13.8 55.0 23.4都道府県保健所

n=471

4.5 13.4 53.1 29.1政令市保健所n=179

3.65.5 27.3 40.0 23.6保健センター

n=53

1.16.0全体

n=705 14.8 53.3 24.8

職場の協力体制合計得点

とてもそう思う

少しそう思う

どちらでもない

そう思わない

全くそう思わない

p=n.s.

p=n.s.

p=n.s.

10.0

20.0

25.0

15.0

30.0

5.0

都道府県保健所平均値=22.46(±3.58)

n=463

政令市保健所平均値=22.97(±3.49)

n=177

保健センター平均値=22.57(±4.06)

n=54

n=69430

13119

12

20

25 2523

26

2020

2422

29

15

12

30

14

p=n.s.

43

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9 HIV陽性者への支援についての自己効力感と困難感(B調査)

HIV陽性者相談対応

60 80 (%)10020 400

21.6 58.1 17.21.51.7

都道府県保健所n=472

25.41.10.6

63.3 9.6政令市保健所n=177

1.93.830.8 48.1 15.4保健センター

n=52

1.6 1.4全体

n=701 23.3 58.6 15.1

十分対応できる

まあ対応できる

少しは対応できる

ほとんど対応できない

対応できない

9 - 1 HIV陽性者支援への自己効力感

HIV陽性者支援に対する自己効力感を5段階で尋ねたところ、「十分対応できる」、「まあ対応できる」と回答した者は、全体で24.9% %であった。機関別では、回答割合に有意な差はなかった。

HIV陽性者支援への困難感

60 80 (%)10020 400

15.4 57.2 24.82.6

都道府県保健所n=467

11.3 59.3 22.6 6.8政令市保健所n=177

7.4 37.0 40.7 14.8保健センターn=53

4.6全体n=698 13.8 56.2 25.5

とても思う

少し思う

あまり思わない

思わない

9 - 2 HIV陽性者支援への困難感

HIV陽性者支援への困難感は、全体では「思わない」「あまり思わない」で30.1%を占めていた。機関別でみると、保健センターでは「思わない」14.8%、「あまり思わない」40.7%と両者で5割を超しており、他機関と比べて有意に多かった。

X2検定 ***p<0.001

***

44

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0 60 8070503010 4020 (%)90

「少し思う」及び「とても思う」と回答した者にその内容を尋ねたところ、「支援経験が少なく経験の蓄積がない」が最も多く8割を超え、「医学的知識や福祉制度の知識不足」が4割であり、ついで「どこまでかかわっていいか」「地域関係者のHIV/AIDSへの理解不足」「個人情報をどこまで聞いていいか」「プライバシー保護で関係者と情報共有をしにくい」などが続いていた。

HIV陽性者支援を困難と思う内容(複数回答)

84.880.883.782.6

41.934.6

37.244.2

41.146.2

44.239.5

33.119.2

38.030.8

31.919.2

24.835.5

22.626.930.2

19.5

19.819.217.120.9

16.815.417.116.9

11.811.510.912.2

セックスに関すること扱う

支援対象者が異なるセクシャリティ

平日の相談時間がとりにくい

プライバシー保護で関係者情報共有しにくい

個人情報をきいてよいか

地域関係者のHIV/AIDS理解不足

どこまでかかわっていいか

福祉制度の知識が不十分

病気治療の医学的知識が不十分

支援対象者が少なく経験蓄積がない

10.83.8

11.611.0

全体n=499

保健センターn=26

政令市保健所n=129

都道府県保健所n=344

45

Page 46: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

多重ロジスティック回帰分析(変数増加法ステップワイズ) n=572  *** p<.001 ** p<.01 モデルX2検定 X2=151.247 p=0.000 Hosmer-Lemenshowの適合度 X2=3.86 df=8 p=0.869 判別的中率=81.3%

多重ロジスティック回帰分析(変数増加法ステップワイズ) n=574 *** p<.001 * p<.05モデルX2検定 X2=81.380 p=0.000 Hosmer-Lemenshowの適合度 X2=4.132 df=8 p=0.845 判別的中率=73.2%

9 - 3 HIV陽性者への支援の自己効力感との関連要因

HIV陽性者への支援の自己効力感を「十分対応できる」「まあ対応できる」を高群、「少しは対応できる」、「ほとんど対応できない」、「対応できない」を低群とした。これらの自己効力感は、支援経験事例数、医療・セクシャリティに関する知識、性に関する相談への抵抗感、職場の協力体制、HIV拠点医療機関との連携状況が関連していた。

9 - 4 HIV陽性者への支援の困難感との関連要因

HIV陽性者への支援の困難感を「思わない」「あまり思わない」を低群、「少し思う」「とても思う」を高群とした。これらの困難感は、医療・セクシャリティに関する知識、性に関する相談への抵抗感、職場の協力体制、NGO/NPOとの連携状況が関連していた。

医療・セクシャリティに関する知識の合計得点

性に関する相談への抵抗感合計得点

エイズ業務以外での拠点病院との連携

HIV陽性者継続支援経験事例数

職場内協力体制合計得点

エイズ対策経験年数

項目≧3年3年<

10点未満10 ~ 14点15点以上20点未満20 ~ 25点26点以上16点未満16点以上全くできていないあまりできていないまあまあできているよくできている

カテゴリ1.0(ref.)2.02**

1.57**1.0(ref.)4.5810.29***

1.0(ref.)0.39***0.30**1.0(ref.)2.32***1.0(ref.)2.48**2.62**4.81**

オッズ比

1.29-3.171.18-2.001.34-15.542.94-36.00

0.24-0.630.14-0.65

1.48-3.64

1.36-4.541.40-4.931.69-13.72

95%信頼区間

医療・セクシャリティに関する知識の合計得点

性に関する相談への抵抗感合計得点

HIV陽性者支援でのNGO/NPOとの連携

職場内協力体制合計得点

エイズ対策経験年数

項目≧3年3年<10点未満10 ~ 14点15点以上20点未満20 ~ 25点26点以上16点未満16点以上全くできていないあまりできていないまあまあできているよくできている

カテゴリ1.0(ref.)0.47***1.0(ref.)0.39*0.461.0(ref.)1.203.67***1.0(ref.)2.32***1.0(ref.)0.60*0.34***

0.54

オッズ比

0.31-0.690.18-0.840.20-1.04

0.79-0.631.80-7.47

1.48-3.64

0.39-0.920.18-0.620.12-2.54

95%信頼区間

46

Page 47: 「保健所等におけるHIV陽性者への 相談・支援に関 …chiiki-shien.jp/image/pdf/care_wo_tsunagu.pdf5. HIV/AIDSに関連する知識(B調査) ① HIV/AIDSに関する医学的知識

HIV陽性者支援に関する研修は、99.3%が必要という回答であった。必要と思う研修内容は、「HIV陽性者への福祉制度」、「HIV陽性者の具体的療養生活」が全体で8割を超えており、「HIV/AIDSに関する医学的知識」、「専門医療機関の支援内容」、「カウンセリング技術」と続いていた。研修希望に関する自由記述では、ネットワークづくりや事例検討会など、実践的な内容への希望が多くみられた。

10 HIV陽性者支援に関する研修希望(B調査)

0 60 804020 (%)100

必要と思う研修内容(複数回答)

全体n=682

保健センターn=53

政令市保健所n=174

都道府県保健所n=455

7.23.88.07.3

その他

68.869.869.068.6

セクシャリティの知識

74.666.0

77.074.7

カウンセリング技術

76.467.9

74.778.0

専門医療機関の支援内容

78.283.0

75.978.5

医学的知識

82.671.7

80.584.6

HIV陽性者の具体的療養生活

83.492.5

81.083.3

福祉制度

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研修希望(自由記述)( )内の数値は同様の記述の件数

「事例を通してのネットワークづくりの実践報告」「医療機関、地域の関係機関とのネットワーク作り等の実践報告」

「各ブロック、単位、さらには、県単位で、直接陽性者支援を行なう。医療、福祉、行政関係者が一緒に研修を受け、ネットワークづくりをすすめる場になるような内容」

ネットワークづくり(11)

「事例が蓄積できることで、関係機関ともスムーズに連携とれるため、事例をいかに勉強する機会があるかどうかで支援者の質はかわると思います」

「他の保健所の保健師の支援の事例検討等の交流研修」

「陽性者経験事務所での経験談や、その後の対応の工夫など具体的なことを聞きたい」

事例検討会(6)

「福祉制度だけでなく、共に支援してくれるNPOやNGOなど有用な社会資源」

「自治体間での取り組みの情報共有」

HIV陽性者への支援を行っているNGOなど社会資源や他自治体の情報(8)

「性感染症の知識」「法律の知識」

知識(3)

「外国人への支援」「家族や身近な人への支援」

具体的な生活課題(2)

「当事者からみた支援者への要望など」「以前担当する前に研修会などで何回か治療中の方などのお話をきく機会があり、自分の価値観を揺すぶられた。ふれあうこと実態を知ることでその人に近づける気がする。」

「当事者、各地の第一線で支援している人 (々Dr、NS、カウンセラー、NPOの方々等)の生の声を聞く事で、自分自身は支援者として不足している部分を確認したり、支援の必要性を再認識したりできている。」

HIV陽性者自身からの具体的な支援ニーズ(4)

「自分の性に対する考え方を知る内容」「HIVの問題は自分自身の価値観を振り返えったり、自分を知ることが重要」

自分の振り返り(2)

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HIV陽性者への支援上の課題についての自由記述内容を、内容別に分けて主な記述例を示した。

11 地域でのHIV陽性者の生活支援における課題【自由記述】(B調査)

身近な相談支援の窓口

● 保健センターにつながる方は病院でのコーディネーター NsやPSWには気軽にきけないことを聞きたい、メンタル面での支援を求めてのことが多い。メンタル面の支援がうけられる気軽にいける相談場所の確保が必要である。● 今後、介護面の問題、課題も大きくなる。また、治療をうけながら社会生活を送るうえでの復職や結婚生活等について、相談できる場が必要。● 地域に陽性者同志のネットワークがあれば違うと思う。

保健行政機関への相談経路の問題

● HIV陽性者への支援のきっかけがないので、医療機関との連携システムが大切● 結核患者でHIV陽性者がいた場合に関わるのみ。そのため関わる機会が少なく、HIV陽性者に対して、どう支援すればいいか分からないことが多い。本人の精神的な面や、医療費等に関することなど支援することは多いと思うので、今後保健師が関わっていく必要があるのでは・・と思う。● 保健所職員を含め、支援経験が少ないと思う。プライバシー上、こちらから関係機関へ相談するケースがなければ、地域での支援状況について、情報は入ってこない。実際は福祉サイドと医療機関では支援ケースがあると思いますが。● エイズ検査はしても陽性者は保健所に来られる機会は少なく、医療機関でサポートされているというイメージが強い。病院側もプライバシーを重視される為情報は公開されない。保健所が患者さんにふれるチャンスは少ない。

支援経験の少なさとそれに伴う課題が見えないこと

● 対象者が少ないため、支援経験のある人が少なく、いざ支援の必要性が生じた時、スムーズな対

応ができない恐れがある。● 精神的な支援の場が少ない(とくに夜間)。実際に支援をしたことがないと支援者側に支援のイメージが湧きにくくどのような社会生活上の問題が出てくるのか予測しにくい。(身体的側面は、免疫不全からくる症状を想像できるが)支援者側にもスーパーバイザーがほしい。● 保健所で行うエイズ検査において、陽性者が出た場合保健師が携わるのは告知と、受診への支援で留まる場合が多い。事例が少ない中であるが、自治体の保健師として、具体的な支援情報(ex身障手帳は、どの段階でどこに申請するのか)を提供する為の情報収集と、陽性者が窓口で不快感を覚えないような、対応への配慮ができるよう、職員間での研修が必要であると考えます。● HIV陽性者支援を行ったことがないので、具体的にイメージしにくい。全ての保健所の保健師が経験するものでもなく、地域によっても片よりもあり地域のHIVの受け止めも違うので、その地域に合った支援策が必要となると思われる。都会での支援方法が地方でそのままは受け入れられないので、その辺の対応策を研究又は実践結果など知りたい● 自分自身HIV陽性者の支援に携わったことがないので、生活支援にむけての具体的なイメージをもちにくい。また、具体例がないので、関係機関とのネットワークについても検討をすすめにくい。● 陽性者が、どれくらいの人数で何に困っていてどのような支援が必要かまとめてアピールしていくことも行政の役割なのでしょうね。今は全然やれてません・・・● 患者数は少ないとしても、患者の不安や悩みは大きく支援体制の充実は、必要である。と同時に事例が少なく自分の知識も少ないためどのように取り組んでいけばよいか見えない。

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支援者の姿勢

● 私自身、具体的にケース支援をした経験がないのですが、発病してもAIDSは慢性疾患と言われるようになってきている中、あまり特別な思いをもっての支援、というのもどうかとも思えます。共生していく、という視点で、寄り添い、関われたら・・・とも思いますし、ご本人の思いをどこまで引き出せるか、ということも大切だと思います。● 性に結びつく疾病なので、支援側の姿勢を問われてしまうことによる何か一線を引いてしまう感じが、自分自身にある。

組織的な課題

● 保健所の保健師は1 ~ 2年毎に担当を変わる環境にあり、HIV陽性者の支援等の専門性を求められるものは、対応が困難な現状です。要望に応えるためには、研修体制のみでなく、スタッフの固定化も必要だと思います。● 結核のDOTSのように、組織的に支援していく体制づくり(精神的支援も含めて)● 担当となった時にHIV関係を知ることになります。(私自身、10数年前にHIV関係の仕事をさせてもらいましたがしばらくこの業務に携わっておりませんので最新の情報を、詳しく知ることができません。● HIV陽性者が少なく、他の業務が多忙なため、なかなかエイズ予防対策に十分時間をかけられない現状である。本来は検査のみでなく、地域への啓発や、ネットワーク作りが重要であると思いますが、なかなか取り組めない現状です。

プライバシーの保護

● プライバシーを守りながら、関係者・機関と連携をとっていく。● 人口が少ない地域のため、陽性者のプライバシーがどこまで守れるか不安がある。地元関係者との連携などに不安を感じます。● 陽性者の経過は長く、対象の病期に応じた支援

体制づくりが必要だと考える。プライバシーの問題で、当事者や家族が、身近な、支援機関の利用を拒むケースもあるので、支援体制づくりだけでは難しい面がある。● 支援者のネットワークの形成が必要であるが、情報の共有を本人の了解を得つつ行なっていくこと。

地域の関係者・関係機関への啓発やネットワークづくり

● まずは、関係者がエイズやセクシャリティに関して正しく理解すること。● HIV陽性者も高齢化してくる中で社会資源が受けづらい状況にある。今後の施設等での受け入れがスムーズに行くよう正しい知識を広めて行きたい。● 医療関係者内でもHIVに対する理解が得られておらず、他科(特に歯科)への受診等が困難、医療従事者の意識の改善。● 専門医療機関と地域の医療機関が連携し自宅近くで治療が受けられるようにすること。● 狭い地域なので、患者が身近な機関には相談に来辛いのではないかと感じる。● 今後は、HIV陽性者も高齢化・慢性疾患としての視点対応が必要になる。各種の制度を利用する時、その制度にかかわる施設などへの啓発が大変重要であると思う。● 5年前エイズ発症によりねたきりとなった男性の支援をしました。地域のヘルパーステーション、入浴サービス機関等との調整がとても大変だった記憶にあります。まだまだ偏見の大きな疾病です。啓発活動が大切です。

地域住民の理解

● 性的な部分に関わる事でもあり"語る"事すらタブー視される地域性。特殊な人の問題ではなく身近な問題であることの理解を深めていかなければならない。● 「HIV陽性」 ということに対する、地域住民のマイナスイメージから、患者が生活し辛くなることが考えられ、地域の理解を促していくことが必要。

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HIV検査での陽性告知時相談のためのポイントを以下にまとめます。これは本報告書にある調査結果や全国のHIV陽性者支援に熱心に取り組んで着ると関係機関から推薦のあった保健師等へのインタビューから抽出した陽性告知時の支援技術に関する調査結果を基に作成したものです。前に□□ をつけている項目は、調査結果から、今後より充実が求められる項目です。

HIV検査での陽性告知時相談のためのチェックポイント

□ 陽性告知時相談につついて、担当者間で相談ができる

□ 陽性告知時相談を担当する日は、準備ができるように配慮されている

□ 専門医療機関やNGOの情報が準備されている

1 組織体制についてのポイント

□ プレカウンセリングの情報から陽性告知への準備性を推測し、ポストカウンセリングに備える  プレカウンセリングでの情報から、HIV陽性に対しての心理的な準備状況や今後の生活の課  題となるであろうことを推測し、それらへの対処についての準備をする。こうした準備の過  程は、支援者自身も陽性を伝えるという場面への心理的準備を行う過程ともなる。

□ 受け止め方をアセスメントしながら相談を進める  告知場面では、結果の説明に引き続き疾病や治療の説明が続きがちとなる。陽性告知時の本  人の表情や受け答えの様子を確認し、告知への受け止め方をアセスメントしながら相談を進  める。受け止め状況によっては、感情の表出を支え、傍らで感情の揺れや混乱につきあう。

3 陽性告知時相談のポイント

□ 相談者の話したいあるいは話したくない気持ちを尊重する  検査への来所背景はひとそれぞれである。話しづらそうであったり口ごもったりという様子  に対しては、無理に聞かず、感染リスクや検査結果の意味などの基本的情報を伝える。

□ 感染リスクのある接触について、具体的に体の組織や構造を伝える  プレカンセリングのポイントとして、まずセックスに価値づけをせずに、健康問題として捉  えることが大切である。リスクのある接触については、感染リスクを振り返ることができる  よう、身体の組織や構造を基に感染リスクを説明する。

2 陽性告知時相談のためのプレカウンセリング(検査前相談)のポイント

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□ パンフレットなど情報を後で確認できる媒体を渡す  告知場面での説明は、後になると記憶されていないことも少なくない。そのため、HIV/AIDS  に対する知識を整理し、解決のための手がかりとなる情報について、冊子など手元に残る情  報媒体を渡す。

□ ケースにとっての受診の意味とメリットを伝える  症状がないにもかかわらず受診を勧められることは、元気に過ごしている日常で、いきなり  病者として扱われることでもある。本人にとっては現実感が薄かったり、不安ばかりが先行  したりしやすい。早期の受診がなぜ必要か、そしてどのようなメリットがあるということを  丁寧に伝える。

□ 医療機関の具体的情報や条件を伝え、医療機関を自己選択できるよう支援する  医療機関への通院は今後、長期にわたって継続される。そのため医療機関の診療体制などの  具体的情報や条件を伝え、ケースにとって受診しやすい医療機関の選択を支援する。また確  実に受診ができるように、受診方法を具体的に伝えたり、必要な場合は受診予約の調整を行  ったり、希望があれば同行受診をできることを伝える。あくまでも本人が選択できるような  配慮が必要であり、同行受診などのシステム化は望ましくない。

□□ 今後の生活全般の情報を一通り伝える  HIV陽性=(イコール)「死」と発想する場合もまだある一方で、「死」ではないと知ってい  ても具体的な療養生活のイメージがわかない場合も多い。慢性疾患としての生活を伝え、偏  った疾病イメージを修正することは告知場面で果たされるべき大きな役割である。  告知直後に必要としていない情報であっても、服薬治療や仕事、日常生活、周囲への告知、   セクシャルヘルスに関することなど、今後の生活全般の情報について一通りの話をする。説  明にあわせて、課題となりそうなことを確認しながら相談を進める。

□□ 周囲への告知や生活を変えるなどの急いだ行動化はとめる  告知直後は、家族やパートナー、職場への直ちに通知しようと考えたり、退職を考える場合  が少なくない。しかし、それらは混乱した状況による判断である場合が多い。性急な判断や  生活を大きく変える必要性がないことを伝え、じっくり考え選択することを勧める。

□□ セックスを否定しないでよい事を伝える  陽性告知直後は、セックスへの否定的感情に支配される場合が多い。セックスへの否定的感  情を受け止めた上で、セックスを否定しないでよいことを伝える。

□□ 「あなたの健康のために」という視点でセーファーセックスを伝える  セックスはQOLの構成要素であり、QOLを高めるために、セーファーセックスは重要である。  パートナーへの感染予防という視点ではなく、ケースが新たな性感染症や異なったウイルス  タイプのHIVに感染しないようにという視点で、セーファーセックスを伝える。

□ その後の相談ができることを伝え、相談方法を提示する  告知後も相談ができること伝える。その際、実名を伝えることに抵抗感があればニックネ  ームを確認したり、相談へのアクセス方法を提示する。若年であり家族とのや告知の混乱が  大きく受診や生活の具体的な課題への解決が難しいと予測されるケースに対しては、問題の  整理をできるように関係づくりを行い、継続相談へつないでいく。

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研究協力者:井上洋士(放送大学)稲葉洋子(東京都健康安全部)加藤昌代(杏林大学保健学部)狩野千草(新宿区牛込保健センター)工藤恵子(武蔵野大学)小松美弥(杏林大学国際協力研究科)高藤光子(新宿区福祉部)高橋由美子(東京都多摩立川保健所)森田 桂(杏林大学保健学部)山田悦子(八王子市保健所)

発行日:2011年3月31日

発行:厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業地域におけるHIV陽性者等支援のための研究研究代表者:生島 嗣(特定非営利活動法人ぷれいす東京)分担研究:保健所等におけるHIV陽性者への相談・支援機能に関する研究研究分担者:大木幸子(杏林大学保健学部)

編集:大木幸子 生島 嗣 山口正純 

デザイン:新藤岳史

連絡先:〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-11-5 三幸ハイツ403特定非営利活動法人ぷれいす東京TEL:03-3361-8964(平日12 ~ 19時)FAX:03-3361-8835MAIL:[email protected]

ホームページ:地域における陽性者等支援のためのウェブサイトhttp//www.chiiki-shien.jp/

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