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化粧品GMP指摘事例集 (第2版) 京都府化粧品等品質管理指導員連絡会 平成24年4月

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化粧品GMP指摘事例集

(第2版)

京都府化粧品等品質管理指導員連絡会

平成24年4月

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化粧品GMP指摘事例集の発行に寄せて

安心・安全な暮らしはすべての人々の願いであり、それは化粧品

の分野においても例外ではありません。

表示の不備や配合禁止成分の使用など、健康被害に繋がりかねない

事例が後を絶たず、その多くが確認不足などの人為的なミスに起因

しています。

わが国においては、平成19年に業界の自主基準として化粧品

GMP(ISO22716)が採用されていますが、京都府としても、人為

的なミスを排除し、より安心・安全な化粧品が府内で製造・販売さ

れるよう、関係団体と協力して事業所への化粧品GMPの導入・普

及を推進していくこととしています。

今回発行された化粧品GMP指摘事例集は、これから新たに化粧

品GMPに取り組もうとする事業所はもとより、これまで化粧品G

MPに取り組んでこられた事業所にも大変参考になるものと期待し

ており、多くの事業所において化粧品GMPが導入・運用されるこ

とを願ってやみません。

平成23年5月

京都府健康福祉部薬務課長

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執 筆 者

京都府化粧品等品質管理指導員(五十音順)

井上 優 玉理化学株式会社

岩本 容彦 ファイテン株式会社

上島 浩一 コタ株式会社

卯津羅 健作 ナガセケムテックス株式会社

大脇 義子 ナガセケムテックス株式会社

小畑 勝義 中野製薬株式会社

河村 省吾 コタ株式会社

川村 佳久 メルヴェーユ株式会社

近藤 祐司 コタ株式会社

坂 英治 日本酵素薬品株式会社

杉本 浩二 日本酵素薬品株式会社

田中 正明 中野製薬株式会社

友永 忠宏 理研化学工業株式会社

中野 貴透 株式会社ダイゾー

永谷 貴弘 中野製薬株式会社

夏原 基樹 株式会社ロジック

野々村 公子 リツリン酵素有限会社

野々村 しのぶ リツリン酵素有限会社

松本 茂 コタ株式会社

安福 剛完 玉理化学株式会社

監 修

京都府健康福祉部薬務課

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目 次

従業員 ・・・・・・・・・・・・・ 1

構造設備 ・・・・・・・・・・・・・ 5

機器 ・・・・・・・・・・・・・11

原料及び包装材料 ・・・・・・・・・・・・・16

生産 ・・・・・・・・・・・・・21

最終製品 ・・・・・・・・・・・・・25

品質管理試験室 ・・・・・・・・・・・・・27

規格外品の処理 ・・・・・・・・・・・・・32

廃棄物 ・・・・・・・・・・・・・34

逸脱 ・・・・・・・・・・・・・35

苦情及び回収 ・・・・・・・・・・・・・37

変更管理 ・・・・・・・・・・・・・38

内部監査 ・・・・・・・・・・・・・40

文書化 ・・・・・・・・・・・・・44

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1

3 従業員 指摘事例 1 製造販売業の組織と製造業の兼務等がある場合は、製造販売業と製

造業の組織図を統合し、相互の関係を明確化すること。

指摘の理由 当該事業所は、製造販売業と、製造業の両方の許可を取得している。

と背景 また、製造販売業の品質保証責任者と、製造業における責任技術者を兼

務している。しかし、それぞれにおける組織図が別々に作成されており、

各責任者の責任及び権限並びに管理体制が不明確であった。

このような場合、例えば、市場への出荷判定が製造販売業者の立場で

行ったものか、製造業者が製造販売業者から出荷判定を委託されて行っ

たものか、組織内で整理されないまま製品が出荷されているおそれがあ

る。

責任者の兼務については、それぞれの業務に支障がなければ可能であ

り、その場合は、製造販売業と製造業の組織を統合した組織図を作成し、

それぞれ責任者の責任、及び権限、管理体制等、相互の関係を明確にし

ておくことが必要である。

該当項目 3.2.1.1

会社スタッフの組織及び機能を理解するために組織の構造を明確にす

ること。組織の構造は、会社の規模及び製品の多様性に応じたものとす

ること。

参考資料 GQP省令第9条

平成16年9月22日付け薬食発第0922001号厚生労働省通知

平成16年9月「「製造販売品質保証基準(GQP)の概要」に対して

寄せられたご意見について」

平成17年3月17日付け事務連絡「GQP事例集《2005年3月版》につ

いて」

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2

3 従業員 指摘事例 2 上級経営者は、従業員(パートタイムを含む。)が化粧品GMPの

重要性及び必要性を理解し、積極的に参加できるための具体的な手順

を定めること。

指摘の理由 一定品質の製品を継続的に製造するため、化粧品GMPでは、上級経

と背景 営者の責任において、従業員の責任と業務に応じた個々の教育訓練計画

を策定し、教育訓練記録を個別に作成し、その結果を評価し、認定する

ことが求められている。

教育訓練については、実施の内容、時期、対象者について規定した手

順を定め、理解度の評価等を記録し、必要に応じて再教育することが必

要である。

該当項目 3.2.2

会社は、このガイドラインの所定の活動に関して十分な数の適切な教

育・訓練を受けた従業員を確保すること。

3.3.1.2

GMPの実施は上級経営者の責任とし、社内のすべての部門及びすべ

ての職員に対し参加と積極的な関与を求めること。

3.3.2

すべての従業員は次の責任を負うものとする。

a) 組織における自分の位置を知っている。

b) 自分の所定の責任及び活動を知っている。

c) 自分の責任の範囲内の文書を閲覧し、それに従う。

d) 個人に求められている衛生管理要求事項に従う。

e) 自分の責任のレベルで生じうる異常その他の不適合を自ら進んで報

告する。

f) 割り当てられた責任及び活動を行う十分な技能を有し、教育・訓練を

受けている。

参考資料 GMP省令第8条第4項の8

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 2.1、3.1

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3

3 従業員 指摘事例 3 作業室への入室手順については、写真・図を記載した手順の掲示及

び鏡等の設置により、作業者が問題なく更衣できているか等を自ら確

認できるよう工夫すること。

指摘の理由 製品の交叉汚染を防止するため、更衣や手指の消毒など定められた入

と背景 室手順を守らなければならない。

手順とともに写真や図を利用して、入室前に確認し正しい更衣等が徹

底されるよう、標準更衣や手洗い手順を掲示し姿見を設置することが効

果的である。

なお、手洗い後にゴミ箱や毛髪などに触れて消毒後の手指を再汚染し

ないよう、動線に配慮する必要がある。

該当項目 3.5.1.1

衛生管理プログラムは、製造所のニーズに合うように設定すること。

これらの要件は、活動が生産、管理及び保管区域にかかわるすべての者

によって理解され、従われること。

参考資料 医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 3.2~3

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4

3 従業員 指摘事例 4 教育訓練の評価については、講師の評価のほか、実際に訓練を受け

た者の機器操作を確認する等、教育訓練の内容に応じ適切な方法を選

択すること。

指摘の理由 割り当てられた責任及び活動を行うのに十分な技能を有し、教育訓練

と背景 を受けた者しか化粧品等の製造に従事できない。

そのため、従業員個々の職制、経験、専門知識、業務内容に応じて計

画的に教育訓練を実施していくことが重要である。

この製造所においては、教育訓練記録において講師の評価はあるが、

訓練を受けた者が正しく理解したか、訓練後に(例えば機器操作の変更

や手順書の改訂など)正しい作業を行っているかの評価が記録されてい

なかった。

評価の方法には、客観的な方法として筆記試験、実地試験、自己評価

等があるが、自己評価した結果を責任者等が再評価する方法も効果的で

ある。

該当項目 3.4.1

生産、管理、保管及び出荷に携わる従業員は、自分の責任及び活動に

適した関連する教育・訓練及び経験を習得し、あるいはそれらの組み合

わせに基づいた技能を有すること。

3.4.2.1

すべての従業員に対してこのガイドラインの所定の活動に関連した適

切なGMPの教育・訓練が実施されていること。

3.4.2.2

社内の職位又は勤続年数にかかわらず、すべての従業員の教育・訓練

のニーズを明確にし、対応する教育・訓練プログラムを作成し、実施す

ること。

3.4.2.3

教育・訓練コースは、それぞれの従業員の専門知識及び経験を考慮し

て、組織内における個人の仕事及び責任に適したものとなるように策定

すること。

3.4.4

従業員が習得した知識は、教育・訓練中及び/又は教育・訓練後に評価

を行うこと。

参考資料 医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 3.1、3.2

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4 構造設備 指摘事例 1 製品が露出する場所の上部の照明は、埋込み式やカバーのあるもの

とし、ほこりや破損片による汚染を防止すること。

指摘の理由 蓋のないバルク投入口の真上の照明が露出しており、製品等の汚染や

と背景 異物混入による品質不良が発生する可能性が考えられた。

製品等の汚染等を防止するため、照明はカバーを装着した埋込み式の

ものに変更することが望ましい。

なお、設備の改善が直ちにできない場合は、手順を定めて定期的に清

掃して汚染のリスクを低減させる必要がある。

該当項目 4.1.1

a) 製品の保護を確保する。

b) 効率的に清掃、衛生管理及び保守が行えるようにする。

4.7.2

照明器具は、破損片が封じ込められるような方法で設置すること。あ

るいは、製品を保護するための具体策を講じること。

参考資料 薬局等構造設備規則

GMP省令第9条

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.6

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6

4 構造設備 指摘事例 2 原料入荷口から製造室に至るまでの扉は必要時以外開放しないこと。

また、開閉可能な扉の下部等に間隙のある箇所は、各エリアの清浄度

に応じて閉塞等措置すること。

指摘の理由 原料搬入作業を行っている時に製造室の扉が同時に開放されており、

と背景 室外から侵入する異物が製造室のバルクや製品に混入し、品質不良の原

因となる可能性があった。

異物混入を防止するために、室外に面する入り口には前室を設けて二

重扉とし、インターロック制御の導入などハード面の対応が望ましい。

なお、直ちに改善できない場合は、物と人の動線を分け、出入口の開

閉時間を極力短くすることが必要である。

該当項目 4.1.1

a) 製品の保護を確保する。

b) 効率的に清掃、衛生管理及び保守が行えるようにする。

4.2

保管区域、生産区域、品質管理区域、付帯区域、手洗い・トイレ区域

など区画するか又は範囲が定められた区域を提供すること。

参考資料 薬局等構造設備規則

GMP省令第9条

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP9-4

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.1

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4 構造設備 指摘事例 3 エアコンの吹出口からの異物混入に対する効果的な対策を講じるこ

と。

指摘の理由 エアコンの吹出口が充填機付近に位置しており、製品の汚染や異物混

と背景 入による品質不良が発生する可能性があった。

エアコンは、バルクや製品に風が直接吹き込まないような風向や風量

の調節を行い、手順を定めて管理することが望ましい。

該当項目 4.1.1

a) 製品の保護を確保する。

b) 効率的に清掃、衛生管理及び保守が行えるようにする。

参考資料 薬局等構造設備規則

GMP省令第9条

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.1

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4 構造設備 指摘事例 4 エアコン及び空気清浄機のフィルタ交換(清掃)は、各室に必要な

清浄度を考慮した実施頻度を定めること。

指摘の理由 当該製造所では、作業室の空調機フィルタの交換を不定期に行ってい

と背景 るが、前回の実施時期が確認できなかった。

フィルタの交換(清掃)が行われない場合、各室に必要とされる清浄

度が維持できず、製品を汚染する可能性が考えられる。

各室に必要な清浄度を考慮し、交換(清掃)方法及びその頻度を定め、

手順化する必要がある。

また、空調機自体に次回フィルタ交換(清掃)時期を表示しておくこ

とが望ましい。

該当項目 4.1.1

a) 製品の保護を確保する。

4.8 換気

換気は目的とする生産作業に十分なものとすること。あるいは、製品

を保護するための具体策を講じること。

4.10.1

使用する構造設備は、清潔な状態に保つこと。

4.10.2

各製品を保護する目的を達成するために清掃及び消毒を行うこと。

4.10.4

各区域の特定のニーズに対応した清掃及び消毒プログラムを備えるこ

と。

参考資料 薬局等構造設備規則

GMP省令第9条

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.2、4.7

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4 構造設備 指摘事例 5 製造器具等に使用する洗浄剤は、手順を定めて選定し、効果を適切

に評価して使用すること。

指摘の理由 当該製造所では、製造機器・器具等の洗浄に複数の洗浄剤を使用して

と背景 いるが、どの品目にどの洗浄剤を使用するのか定められておらず、洗浄

剤による製造機器・器具等の劣化および洗浄効果不十分により次製品へ

の残留物のコンタミネーションが起こる可能性が考えられた。

洗浄剤を選定する際は、次の点に留意し、各々の製造所で選定根拠を

明らかにし、洗浄バリデーションを行う必要がある。

・ 洗浄剤の毒性、安全性

・ 製造機器・器具等への影響

・ 十分な洗浄効果が得られるか

・ 洗浄方法は適切か

・ 洗浄後に洗浄剤が残留しないか など

該当項目 4.10.3

使用する洗浄剤及び消毒剤は指定し、有効なものとすること。

参考資料 GMP省令第13条

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP13-56~66

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.2、4.5、4.7、7.5~6、

11.6

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4 構造設備 指摘事例 6 施設全体の衛生害虫等の発生状況をモニタリングし、効果的な防虫

対策プログラムを策定すること。

指摘の理由 この製造所では、防虫対策として、人と物の出入口にエアカ―テンを

と背景 設置しているが、製造所内に昆虫の侵入が確認されていたにもかかわら

ず、進入経路や発生傾向の把握・分析ができていなかった。

防虫対策としては、外部との隙間を埋め、昆虫等を誘引する原因を除

去し、夜間に光りを漏らさないことが重要である。

定期的にモニタリングすることで、虫の種類、生息状況、侵入経路、

季節変動など現状を把握し、効果的な対応を選択することができる。

なお、防虫には専門的な知識や技術が不可欠であるため、専門の業者

と協力して対策を講じることも有効である。

該当項目 4.13.1

構造設備は、昆虫、鳥、齧歯動物、有害な小動物、その他の害獣が侵

入しないように設計し、維持すること。

4.13.2

構造設備に適した防虫対策プログラムを備えること。

4.13.3

構造設備の外側が有害な小動物を引き寄せたり有害な小動物のすみか

にならないように管理するための特別な措置を講じること。活動を行う

十分な技能を有し、教育・訓練を受けている。

参考資料 薬局等構造設備規則第13条

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5 機器 指摘事例 1 充填室に搬入するパレットは原料倉庫から直接持ち込まず、清潔な

ものに載せ替えること。また、木製のパレットは異物混入の原因とな

るので使用しないこと。

指摘の理由 作業室ごとに清浄度が定められている場合、その清浄度の確保・維持

と背景 のため、清浄度に応じたパレットの管理が必要である。

異なる清浄度の作業所間で原料や中間製品を移動させる場合は、それ

ぞれの清浄度で管理されたパレットに載せ替えるなどの措置が必要であ

る。

それが困難な場合は、パレットの清浄度を維持するために、作業手順

及び管理項目を定め、それを取扱う担当者等に教育訓練して確実に実施

できるようにする。

木製パレットについては、木屑、虫、カビ等の異物混入の原因となる

ので、使用をやめ、樹脂製等適切な材質のものに切り換えること。

該当項目 4.2

保管区域、生産区域、品質管理区域、付帯区域、手洗い・トイレ区域

など区画するか又は範囲が定められた区域を提供すること。

5.2.3

使用していない移送ホース及び付属品は、清掃し、必要があれば消毒

し、乾燥状態を保ち、塵埃、飛沫その他の汚染を防止すること。

参考資料 GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP8-10、GMP9-4

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5 機器 指摘事例 2 補修用資材など通常使用しない物品は、倉庫内に放置せず、所定の

場所で保管し、廃棄する機器など不要物は適切に処分すること。

指摘の理由 当該製造所では、倉庫内の資材保管場所に、製造には直接関係のない

と背景 補修用資材や廃棄予定の機材などが、他に置き場がないという理由から、

倉庫内の一角に何の識別もなく放置されている状態であった。

混同のリスクを 小限にするためには、他の原料、資材、製品とを区

分するのに十分な空間をとり、補修用資材は、要・不要を明確にし、か

つ他の資材と区別ができるよう識別し予め定めた場所に保管すること。

また、廃棄する機器等は、適切に識別し廃棄期限等を明確にして速や

かに処分すること。

該当項目 3.4.2.1

すべての従業員に対してこのガイドラインの所定の活動に関連した適

切なGMPの教育・訓練が実施されること。

4.1.1

c)製品、原料及び包装材料の混同リスクを 小限にする。

4.3

受入、保管、生産などの作業を容易にするため、十分な空間をとるこ

と。

5.3.2

機器は、材料、稼動機器及び従業員の動きが品質にリスクをもたらす

ことのないように設置すること。

5.6.3

不良機器は識別し、使用中止とし、できれば隔離すること。

参考資料 医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.4、7.5~6

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5 機器 指摘事例 3 要冷蔵の試薬等を保存している冷蔵庫には温度計を設置し、管理・

記録すること。

指摘の理由 当該製造所では、製品の品質に影響を及ぼす要冷蔵の試薬や原料等を

と背景 保存している冷蔵庫に温度計を設置していたが、管理・記録ができてい

なかった。

冷蔵保管が必要な原料等の品質を確保するためには、以下の事項を確

実に実施する必要がある。

・ 温度管理幅を明確にする。(品質劣化を起こさない温度管理)

・ 設定温度を表示する。(誰もが分かるようにする。)

・ 記録表を作成する。(測定時期、連続測定の要否)

なお、温度計の校正は定期的に実施し、温度の測定場所については、

ワーストケースを考慮して選定すること。

該当項目 5.1

機器は本来の目的に適し、清掃し、衛生管理し、保守できるようにす

ること。この項は、このガイトラインの適用範囲内のすべての機器に適

用される。このガイドラインで述べる活動に自動システムを導入する場

合は、所定の関連した原則の適用を考慮すること。

6.6.2

原料及び包装材料は、その特性に適した方法で保管し、取り扱うこと。

参考資料 GMP省令第11条

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP11-39

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.8、6.2、6.4

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5 機器 指摘事例 4 原料秤量時に使用するステンレス缶は、床面に接触しないように保

管すること。

指摘の理由 当該製造所では、原料秤量時に使用するステンレス容器を床面に放置

と背景 していた。

秤量に使用する容器は、必要な清浄度を確保した台車やパレットの上

に置き、床面に直接触れないようにすることで、原料や中間製品の汚染

を防止できる。

原料秤量場所に求められる清浄度を確保するためには、器材の衛生的

な管理が必要である。

該当項目 3.4.2.1

すべての従業員に対してこのガイドラインの所定の活動した適切なG

MPの教育・訓練が実施されること。

5.5.1

すべての機器は、適切な清掃及び衛生管理プログラムの対象とするこ

と。

参考資料 GMP省令第8条

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP8-10

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 6.4

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5 機器 指摘事例 5 保守及び校正対象の機器をリストアップし、その頻度、重要度、清

浄度などに応じて定期的に保守点検を実施し、明確に識別し、使用時

に点検を行い、清潔に取り扱うこと。また、保守点検及び校正の履歴

を記録すること。

指摘の理由 例えば、故障した計量器で原料を秤量した場合など、機器の保守・校

と背景 正が適切に行われていないと、製品の品質が保証できなくなる。

このようなことを防止するため、保守および校正が必要な機器のリス

トを作成することで、保守点検および校正日が明確となり、必要な時期

にもれなく保守・校正ができる。

対象の選定に当たっては、製品の品質に重大な影響を及ぼし得る計測

機器の重要度を考慮する必要がある。

また、保守点検や校正の履歴を作成することにより、不具合の発生頻

度や傾向が把握でき、適切な保守・校正期限の目安となるだけでなく、

規格外の製品が発生した場合の照査において有効である。

該当項目 5.4.1

製品の品質に重要な試験用及び生産用の計測器は、定期的に校正する

こと。

5.4.3

校正外れの状態が製品の品質に影響がある場合は、原因発見のために

調査を行い、調査結果に基づいて適切な措置を講じること。

5.6.1

機器は定期的に保守(点検)を行うこと。

参考資料 医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.8

GMP/QMS事例集(2006年版)GMP10-35~37

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6 原料及び 指摘事例 1 毒物劇物は、関係法令に基づき施錠できる専用の保管庫で、保管管

包装材料 理すること。

指摘の理由 当該製造所において、毒物劇物の取扱いについては「原料の取扱い及

と背景 び保管手順書」で包括的に規定されていたが、法令で定められた規定を

十分に反映したものではなかった。

盗難、紛失、漏洩等に伴う事故を防止するため、施錠できる専用の保

管庫で保管し、出納記録をつけ、その取扱いについて手順を定めて適切

に取り扱わなければならない。

該当項目 6.6.2

原料及び包装材料は、その特性に適した方法で保管し、取り扱うこと。

6.6.3

該当する場合は、特定の保管条件を考慮し、モニターすること。

参考資料 毒物及び劇物取締法第11条

昭和52年3月26日付け薬発第313号厚生省薬務局長通知

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 6.2

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6 原料及び 指摘事例 2 使用した原料を原料保管庫に再保管するときには、汚染防止措置を

包装材料 行うこと。

指摘の理由 当該製造所では、使い切れなかった開封後の原料を原料倉庫に再保管

と背景 していたが、管理が十分でなく原料はもとより製品の品質への影響が否

定できなかった。

開封済みの原料等の再保管については、手順を定めて原料の特性に応

じた環境下で保管し、汚染と劣化の防止措置を講じなければならない。

開封後の原料について、先入れ先出しの原則は言うまでもなく、使用

期限を開封前後の別に明記し、その状態(誰が、いつ、どれだけ秤取し

たか等)の記録や識別表示についても、製造指図書等との整合を確保す

ること。

該当項目 6.6.1

保管条件は、各原料及び包装材料に適したものとすること。

6.6.2

原料及び包装材料は、その特性に適した方法で保管し、取り扱うこと。

6.6.3

該当する場合は、特定の保管条件を考慮し、モニターすること。

6.6.5

原料及び包装材料を再包装する場合は、元の表示と同じ表示を付ける

こと。

参考資料 GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP10-24

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6 原料及び 指摘事例 3 秤量室に置かれている使用中の開封済み原料は、速やかに撤去する

包装材料 こと。また、原料の外装等には受入検査で合格したこと等を示す識別

表示をすること。

指摘の理由 秤量室での端数原料の保管は、混同や汚染のリスクが否定できないこ

と背景 とから中止すべきである。

また、入荷した原料等は、検査中、未検査、合格、不合格等の表示に

よる識別がないと、合格品以外の原料等が誤って使用される可能性があ

る。

そのため、入荷した原料等には確実に識別可能な表示をして、状態別

に保管場所を区分して管理し、合格した原料以外が製造施設に持ち込ま

れないシステムを築く必要がある。

該当項目 6.4.3

原料及び包装材料は、合格、不合格及び隔離などの状態に従って、適

切な方法で識別すること。同程度の保証が確保されているものであれば、

別のシステムをこの物理的な識別システムに置き換えてもよい。

6.5.1

出庫許可された原料及び出荷許可された包装材料だけが使用されるよ

うに、物理的システム又は代替システムを設けること。

参考資料 GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP10-24

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 6.2~4、7.1、7.5

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19

6 原料及び 指摘事例 4 原料及び包装材料の供給業者の選定及び評価について手順化するこ

包装材料 と。

指摘の理由 この製造所では、原料及び包装材料の供給業者の選定について手順化

と背景 されておらず、評価の判断基準等が規定されていなかった。

製品の品質を一定水準に保つため、要求された品質の原料等を継続的

に供給可能であることを評価・確認することが重要である。

原料及び包装材料の供給業者の選定及び評価を行うため、品質情報や

安全情報の内容、変更時の対応、納入された原料又は資材の状態等につ

いて判定基準を設ける必要がある。

該当項目 6.2 購入

原料及び包装材料の購入は、次の事項に基づくこと。

a) 供給者の評価及び選定

b) 実施する選定の種類、判定基準、欠陥又は変更の際の措置、輸送条

件などの技術条項の設定

c) 支援及び監査などの会社と供給者の間の関係及び交流の設定

参考資料 医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 6.10

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20

6 原料及び 指摘事例 5 顧客からの供給品と自社調達品の識別が可能な表示等を行うこと。

包装材料 また、すべての未検査品と既検査品が混在しないよう明確に識別する

こと。

指摘の理由 ここでいう「顧客」とは、製造販売業者のことを意味する。

と背景 当該製造所では、保管庫での自社調達品と顧客からの供給品(原料、

資材等)の識別が明確にできていなかった。しかも、未検査品と既検査

品が明確に区分されず混在して保管されていた。

識別とは製造や試験で使用する物品の状態を明確にするために行うも

のであり、これによって製品の品質不良の恐れがある場合などの原因の

特定だけでなく、製造ミスの防止や製造記録の照査に有効である。原料

等の受入検査は製品品質の確保から不可欠であるが、未検査品を誤って

使用することがないよう、物理的な方法で明確に区分する必要がある。

例えば、「未検査品」、「検査中」、「不合格品」、「廃棄品」等の区分保

管システムを設けて原料及び包装材料を識別管理するなど、適切な項目

を設けて管理することが重要である。

該当項目 6.4.3

原料及び包装資材は、合格、不合格及び隔離などの状態に従って適切

な方法で識別すること。同程度の保証が確保されているものであれば、

別のシステムをこの物理的な識別システムに置き換えても良い。

6.4.4

原料及び包装材料の識別は、次の情報で構成する。

a) 送り状に記されている製品の名称

b) 会社の与えた製品の名称が供給者の与えた名称と異なる場合は、会

社の与えた製品の名称及び/又は製品のコード番号

c) 必要な場合は、受入日又は受入数

d) 供給者の名称

e) 供給者の付与したバッチ照合番号、及び供給者の与えたバッチ照合

番号と異なる場合は、受け入れ時に付与したバッチ照合番号

6.5.1

出荷許可された原料及び出荷許可された包装材料だけが使用されるよ

うに、物理的システムを設けること。

6.6.2

原料及び包装材料は、その特性に適した方法で保管し、取り扱うこと。

参考資料 GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP10-20,22

原薬GMPガイドライン 7.4

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21

7 生産 指摘事例 1 製造指図書・記録書は、原料投入順序、温度、撹拌速度及び時間な

ど、製造上管理が必要な工程を明記し、その条件に従って製造された

ことが確認できるものとすること。

指摘の理由 当該製造所の製造指図書・記録書の内容は、製造上管理が必要な条件

と背景 設定で製造されたことを確認するには十分ではなかった。

人為的な逸脱や製品の品質への悪影響を防止するため、製造指図・記

録書には、指図者、担当者、使用する機器、処方、バッチ番号、原料等

投入の順序、温度、撹拌速度、混合時間、サンプリングの実施、機器の

状態(洗浄状態など)、各工程における作業内容を具体的に記録可能と

すること。

製造指図書・記録書には、それを使用する者が一読すれば、工程を正

しく理解でき、間違いのない作業ができ、必要事項を漏れなく記録し、

利用し易いことが求められる。

該当項目 7.2.1.2

製造作業は、次のものなど製造に関する文書類に従って行うこと。

a)適切な機器

b)製品の処方

c)関連文書に従って識別され、バッチ番号及び量を示した全ての原料

のリスト

d)原料の投入、温度、速度、混合時間、サンプリング、機器の清掃、

バルク製品移送などの各段階についての詳細な製造作業

7.2.5.1

工程管理とその判定基準を定めること。

参考資料 GMP省令第10条(製造管理)

原薬GMPガイドライン 6.5、6.41

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 5、7.2

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22

7 生産 指摘事例 2 作業指図書、製品試験検査記録、製造指図書、製造指図・記録書(充

填・包装)は、担当者や作業者が特定され、一貫した管理ができるよ

う追跡可能性を確保すること。

指摘の理由 製造指図から実際の各工程での作業を経て 終製品の合格判定した者

と背景 及び承認者を記録することは、製品が適正に製造されたことのエビデン

スとなる。

また、一定の規則性をもってバッチ番号やロット番号を付与して関連

付けることで、製品の品質不良等トラブル発生時の追跡調査が容易にな

り、原因究明の迅速化に役立つ。

該当項目 7.2.1.1(7.3.1.1)

関連文書は製造及び包装作業の各段階で利用できるようにしておくこ

と。

7.2.5.1(7.3.6.1)

工程管理とその判定基準を定めること。

7.2.5.2(7.3.6.2)

工程管理は所定のプログラムに従って行うこと。

7.2.5.3(7.3.6.3)

判定基準を満たさない結果が認められた場合は報告し、適切に調査す

ること。

参考資料 GMP省令第10条

原薬GMPガイドライン 6.14

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP10-16~19

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 5.2

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23

7 生産 指摘事例 3 製造されたバルクには、保管期限を設定して手順を定めてバッチ番

号を付与し、 終製品の番号に容易に関連づけられるものとすること。

またバルク容器には、その内容を特定できる識別を行うこと。

指摘の背景 バッチ番号の付与は、物の状態を特定し、識別する上で重要であり、

日常の管理、間違いの防止、記録の照査が容易となる。

製造されたバルクは、製造日と関連付けたバッチ番号を付与して、品

質不良のバルクが製品化されないよう、適切に管理することが必要であ

る。

該当項目 7.2.3

製造されたバルクの各バッチにバッチ番号を指定すること。この番号

は、 終製品のラベルに表示されるバッチ番号と同じである必要はない

が、同じでない場合は、 終製品の番号に容易に関連づけられるものと

すること。

7.2.4.3

バルク製品の容器の識別には次の事項を示すこと。

a)名称又は識別コード

b)バッチ番号

c)製品の品質を確保するのに重要な場合は、保管条件

7.2.6.1

バルク製品は、適当な容器に入れて、所定の区域に適切な条件下で保

管すること。

7.2.6.2

バルク製品の 長保管期間を定めること。

7.2.6.3

長保管期間に達した場合は、当該バルク製品を使用前に評価するこ

と。

参考資料 医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 8.3

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24

7 生産 指摘事例 4 製造記録書は、製造作業開始前に部屋の清掃、機器の整備状況を点

検したことが確認できるものとすること。

指摘の理由 この製造所では、各作業担当が作業前の習慣的な作業として清掃・点

と背景 検を行っているが、実施記録が確認できなかった。

清掃方法については、使用する原料の特性、機器の用途、部屋の使用

目的などに応じて清掃手順をあらかじめ文書化し、確実に実施されたこ

とを責任者(清掃者以外の者がよい)が判定基準に基づき点検する必要

がある。

また、使用する機器についてもあらかじめ確認項目を定めて使用前点

検を行い、正常に稼働することを点検しておく必要がある。

なお、洗剤を使用しても差し支えないが、製品の品質に影響を及ぼさ

ないものを選定し、何を使用したか記録しておく必要がある。

該当項目 7.2.2

製造作業を開始する前に、次の事項について確認すること。

a) 製造作業に関するすべての文書が利用できること。

b) すべての原料が利用でき、出庫が承認されていること。

c) 適切な機器が使用できるようになっており、稼働できる状態になっ

ており、清潔であり、必要であれば消毒されていること。

d) 前の作業からの作業と混ざらないように作業区域の片づけが行われ

ていること。

参考資料 GMP省令第10条

原薬GMPガイドライン 5.2

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.7、5.3

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25

8 終製品 指摘事例 1 出荷判定待ちの製品、受入検査の合格品及び不合格品、市場から返

品された製品等はすべてを解りやすく識別し、区分して保管管理する

こと。

指摘の理由 当該製造所では、製品保管庫で、未検査製品、検査中製品、不合格品、

と背景 出荷先から返却された製品が混在し、適切に識別され保管されていなか

った。

検査中製品、不合格品、返品製品が誤って市場へ出荷されることがな

いように、例えば、状態ごとに保管場所を分けたり区画を明確にし、状

態の表示を確実に行うなど適切に識別し、管理する必要がある。

該当項目 8.3.2

保管区域は体系付けられた保管所として許可すること。

8.3.3

終製品を出荷可、検査中、不合格とする場合は、それらをそれぞれ

物理的あるいは同程度の信頼性がある他のシステムを用いて保管するこ

と。

8.5.1

返品は適切な方法で識別し、所定の区域に保管すること。

参考資料 原薬GMPガイドライン 7.44、10.11

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 6.2、9.1、13

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26

8 終製品 指摘事例 2 返品された製品の再加工、再出荷に関する手順を定めること。

指摘の理由 出荷先等の都合により製造業者等に返された製品(以下「返品」とい

と背景 う。)は、出荷先での取扱い不良による品質への悪影響が否定できない

ことから、返品をそのまま出荷したり加工し直したりすることは、品質

管理上重大な問題があり望ましくない。

返品は、製造所から出荷されてから返されるまでの保管又は輸送条件、

経過時間、容器その他外観の状態、帰って来てから実施した試験検査の

結果によりその品質が許容できることが確実でない限り、廃棄すること

が望ましい。

返品をやむを得ず再加工・再出荷する場合は、あらかじめ返品の再加

工・再出荷に関する手順を規定し、出荷判定前の製品と同様に規格への

適合性を確認する必要がある。

返品については、識別保管の方法、再加工、再出荷、廃棄等の措置に

関する基準を定め、各々の事例について定期的に照査し、必要な措置が

講じられていない返品が誤って出荷されるのを防止すること。

該当項目 8.5.2

返品はその措置を決定するために設定された基準に照らして評価する

必要がある。

8.5.3

返品を再び市場に出す前に出荷許可を与えること。

参考資料 原薬GMPガイドライン 14.5、17.8

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 13.2

医療用医薬品の返品の取扱いについて(平成18年3月3日医療用医薬

品の流通改善に関する懇談会)

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27

9 品質管理 指摘事例 1 試験検査に供する検体のサンプリング方法、保管サンプルの記録・

試験室 管理についての手順を定めること。

指摘の理由 当該製造所では、サンプリング方法や保管サンプルの管理について手

と背景 順がないまま、サンプリングが実施されていた。

サンプリング方法が適切に定められていない場合、次の要因による製

品や中間製品の品質への影響が考えられる。

・ 他の原料、バルク、完成品への汚染

・ サンプルの変質

・ 間違ったサンプルでの試験

・ 保管サンプルの汚染・異物混入 等

該当項目 9.7.1

サンプリングは権限所有者が行うこと。

9.7.2

サンプリングについて次の事項を定めること。

a) サンプリング方法

b) 使用する機器

c) 採取する量

d) 汚染又は劣化を避けるための注意事項

e) サンプルの識別

f) 頻度

9.7.3

サンプルは次の情報で識別すること。

a) 名称又は識別コード

b) バッチ番号

c) サンプリング日

d) サンプルを採取した容器

e) サンプリング箇所(該当する場合)

9.8.1

終製品のサンプルは、適切な方法で指定区域に保管すること。

9.8.2

終製品のサンプルの量は、国内の規則に従って分析が行えるものと

すること。

9.8.3

終製品の保管サンプルは、一次包装した形で推奨される保管条件下

で適切な期間保管すること。

9.8.4

原料のサンプルは、会社の手順に従うか、又は国内の規則に従って保

管してもよい。

参考資料 GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP11-40~43

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 5.5、6.3

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28

9 品質管理 指摘事例 2 出荷判定に使用する検査機器(高速液体クロマトグラフ、粘度計、p

試験室 Hメーター等)は手順書を定めて管理すること。また、当該機器は校正

の対象として位置付けて精度管理を行うこと。

指摘の理由 当該製造所では、検査機器のリストが整備されておらず、校正の対象

と背景 となる機器の区別、校正結果の表示がなされていなかった。

また、出荷判定に使用する機器の校正手順(校正方法、判定基準等)

が規定されていなかった。

校正は、製品の品質に関わる重要な検査機器が正確に計測可能とする

ために行うものであり、そのためには、校正の対象の機器は校正漏れの

ないよう明確に識別してリスト化し、あらかじめ手順を定めて管理しな

ければならない。

正確な測定のためには、機器の正確性を確認するだけでなく、正確な

使用、定期点検、適正使用が不可欠である。

校正で基準から逸脱が発生した場合の対応についても、手順化してお

く必要がある。

該当項目 5.4.1

製品の品質に重要な試験用及び生産用の計測器は、定期的に校正する

こと。

5.4.2

校正の結果が判定基準を満たしていない場合は、計測器を適切に識別

し、使用を停止すること。

参考資料 GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP11-38

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.8

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29

9 品質管理 指摘事例 3 倉庫の一部が検査済みサンプルの保管場所となっていたので、サン

試験室 プルの保管場所として明確に識別し、手順を定めて管理すること。

指摘の理由 当該製造所では、検査済みサンプルを製品倉庫に保管していたが、専

と背景 用の保管場所である明確な識別がなかった。

試験に使用したサンプルは、試験時に開封されていることから汚染が

発生している可能性があるので、保管サンプルになり得ない。

そのため、保管サンプルや製品との混同を避けるために識別し、専用の

保管場所を設けてその旨明示しておく必要がある。

なお、保管サンプルは、製品の使用期限内に再試験が必要となった場

合のために製品の一次包装の形態で一定期間保管されるものである。

そのため、保管サンプルの取扱いについては、保管の条件や期間を手

順等にあらかじめ定めておかねばならない。

該当項目 9.8.1

終製品のサンプルは、適切な方法で指定区域に保管すること。

9.8.3

終製品の保管サンプルは、一次包装した形で推奨される保管条件下

で適切な期間保管すること。

参考資料 医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 4.4、5.5、6.3、10.5

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30

9 品質管理 指摘事例 4 試験検査に使用する検体のサンプリングを行う者については、資格

試験室 要件を手順に明確に規定すること。また、その者に対する教育訓練に

ついては、各対象者の理解の程度を確認し評価した記録がなかったの

で改善すること。

指摘の理由 当該製造所では、試験検査に供するサンプリングを行う者の資格要件

と背景 が手順書等で明確に規定されていなかった。

サンプリングは、化粧品の品質確認に必要な試験に使用する検体を採

取する作業であるため、可能な限り公的な方法や一般的な方法を採用す

ることが望ましい。

そのため、同じ環境、場所、手順で一定の作業が行われるよう、サン

プリングを行う者は一定の教育訓練を受けて能力が評価された者が担当

しなければならない。

教育訓練の実施記録には、実施の記録のみでなく、教育訓練対象者の

理解の程度や実施者の評価についても記録することで、教育訓練結果を

照査できる。

該当項目 3.4.1

生産、管理、保管及び出荷に携わる従業員は、自分の責任及び活動に

適した関連する教育・訓練及び経験を習得し、あるいはそれらの組合せ

に基づいた技能を有すること。

3.4.2.3

教育・訓練コースは、それぞれの従業員の専門知識及び経験を考慮し

て、組織内における個人の仕事及び責任に適したものとなるように策定

すること。

3.4.2.5

教育・訓練は、定期的に更新され、不断かつ継続的なプロセスと見な

すこと。

3.4.4

従業員が取得した知識は、教育・訓練後に評価を行うこと。

9.7.1

サンプリングは権限所有者が行うこと。

参考資料 GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP8-16、11-40

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 3.2、6.3

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31

9 品質管理 指摘事例 5 保管サンプルは、出荷時の包装のまま保管すること。ただし、バル

試験室 ク製品として出荷するものについては、出荷時と同等の品質が確保で

きる小容器で必要な分量を保管することで構わない。

指摘の理由 この製造所では、保管サンプルを、 終製品の状態でなく内容物を小

と背景 分けして、製品名、採取者、採取日、ロット番号等をラベルに記載して

保管していた。

製造所から出荷される製品が、出荷後に品質等に問題が発生して再試

験が必要な場合に備えるために、サンプルを保管しておかねばならない。

保管サンプルは、市場に流通している製品を代表するものであること

から、少なくとも一次包装された未開封の状態で保管する必要がある。

また、保管サンプルに関する条件を手順書に明記しておき、製品が汚

染等を受けない環境で、 も安定な条件を設定して保管すること。

なお、サンプルを採取する従業員は、サンプリング手順に関する教育

訓練をあらかじめ受けていることが必要である。

該当項目 9.8.1

終製品のサンプルは、適切な方法で指定区域に保管すること。

9.8.2

終製品のサンプルの量は、国内の規則に従って分析が行えるものと

すること。

9.8.3

終製品の保管サンプルは、一次包装した形で推奨される保管条件下

で適切な期間保管すること。

参考資料 GMP省令第11条

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP11-26、GMP11-48~57

原薬GMPガイドライン 11.7

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32

10 規格外品 指摘事例 1 製造工程で逸脱が発生した場合、製造販売業者への連絡手順を定め

の処理 ること。

指摘の理由 製造工程で逸脱が発生した場合、また使用する原料や資材に逸脱が発

と背景 生した場合には、製造販売業者と製造業者が連携して原因究明を行い、

逸脱の範囲の特定やその措置、再発防止策を講じることが、製品の品質

と安全性を確保する上で重要である。

そのためには、逸脱発生時の連絡担当者及び処理手順について、あら

かじめ取決め等で定めておくとともに、逸脱の詳細やその処理記録を作

成・保管することが必要である。

該当項目 10.1.1

不合格となった製品又は原材料の調査は、権限所有者が行うこと。

10.1.2

破棄するか再加工するかの決定は品質に責任のある者が承認すること。

10.2.1

終製品又はバルク製品のバッチの全部又は一部が定められた判定基

準を満たさない場合、所定の品質を得るための再加工の決定は品質に責

任のある者が承認すること。

参考資料 GMP省令第16条

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP16-1

医薬品・医薬部外品GMP指針 13.1

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33

10 規格外品 指摘事例 2 規格外品の取扱い及び識別方法について手順を定めること。

の処理

指摘の理由 製造工程で規格外品が発生した場合や使用する原料や資材に規格外品

と背景 が発生した場合には、それらを識別して管理し、何の手当てもなく生産

に使用されることがないようにすることが品質と安全性を確保する上で

必要となる。

規格外品を廃棄するか再加工するかの決定は、品質に責任のある者が

承認をすることが必須である。また、再加工を行う際にあたっては、規

格外となった原因調査を充分に行い、再加工による不適合の再発がない

ように適切に処理されなければならない。更に、再加工したものは、総

合的に規格に適合していなければならない。

別途、規格外品の廃棄、再加工の如何にかかわらず、原因の追及及び

再発防止について対策を講じておくことが品質と安全性を確保する上で

必要となる。

また、規格外品の取扱いや措置については、手順を定めるとともに、

その取扱いや措置について記録書を作成・保管することが求められる。

該当項目 10.1.1

不合格となった製品又は原材料の調査は、権限所有者が行うこと。

10.1.2

破棄するか再加工するかの決定は品質に責任のある者が承認すること。

10.2.1

終製品又はバルク製品のバッチの全部又は一部が定められた判定基

準を満たさない場合、所定の品質を得るための再加工の決定は品質に責

任のある者が承認すること。

10.2.2

再加工の実施方法を規定し、承認を受けること。

10.2.3

再加工した 終製品又はバルク製品に関して管理を行うこと。結果は

終製品又はバルク製品が判定基準に合致していることを確認するため

に権限所有者が照査すること

参考資料 GMP省令第16条

原薬GMPガイドライン14.1~3

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34

11 廃棄物 指摘事例 1 廃棄物であることが明示されておらず、原料及び資材と混在して保

管されていたので改善すること。

指摘の理由 当該製造所では、工程で発生した廃棄物が、廃棄物である旨の表示も

と背景 識別もなく資材・原料倉庫に放置されていた。

廃棄物は、原料、資材、製品の汚染防止の観点から明確に識別される

べきものであり、廃棄物の動線、処理、保管の手順をあらかじめ規定す

る必要がある。

・ 製品と廃棄物の動線を分ける。やむを得ず動線を分けることが出来

ない場合は、時間で分ける又は人で分ける。

・ 物の識別表示、保管場所の表示、保管場所の区分けを明確化する。

・ 仮置きも含め、放置せず、あらかじめ指定された保管場所に速やか

に移動させる。

該当項目 4.4

混同を防止するように建物内の材料、製品及び従業員の動線を

規定すること。

6.4.3

原料及び包装材料は、合格、不合格及び隔離などの状態に従って適切

な方法で識別すること。同程度の保証が確保されるのであれば、別のシ

ステムをこの物理的な識別システムに置き換えてもよい。

11.3.2

廃棄物の収集、輸送、保管及び処分に関して適切な措置を講じること。

参考資料 医薬品・医薬部外品GMP指針 4.4

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35

13 逸脱 指摘事例 1 包装不良が発生し、是正措置を講じた後、担当者の教育訓練を実施

することとなっていたが、その記録がなかったので改善すること。

指摘の理由 当該製造所では、包装不良(逸脱)の発生後に是正措置を講じていた

と背景 が、再発防止を目的とした教育訓練の実績が確認できなかった。

同様の逸脱の再発防止のため、講じた是正措置が予防措置(再発防止

策)として妥当であったかどうかを事後に評価することが望ましい。

そのためには、原因究明を適切に行い、適格な是正・予防措置を講じ

ること(内容により製造販売業者と協力し措置を講じる。)や、是正・

予防措置の実効性をより高めるために、関係者の教育訓練を実施し、技

能や知識を再評価する(逸脱処理の終点)ことが重要である。

該当項目 13.2

逸脱が再発するのを防止するため、是正・予防措置を行うこと。

3.4.1

生産、管理、保管及び出荷に携わる従業員は、自分の責任及び活動に

適した関連する教育・訓練及び経験を習得し、あるいはそれらの組み合

わせに基づいた技能を有すること。

3.4.4

従業員が取得した知識は、教育・訓練後に評価を行うこと。

参考資料 GMP省令第15条

ICHQ10 3.2 ii)

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36

13 逸脱 指摘事例 2 逸脱処理の一連の対応で、予防措置についても検討可能な手順とす

ること。

指摘の理由 当該製造所では、製造中に機器トラブルが発生し、それに対する是正

と背景 措置と予防措置が講じられていたが、隣接する同一製造機器のラインに

は、予防措置が講じられていなかった。

逸脱処理は、製品の製造及び品質管理上、同じ不具合を及ぼす要因を

将来に渡って取り除くことを目的としたものでなければならない。

その観点から、単に逸脱内容の記録、是正措置に終わるのではなく、

再発予防措置も検討する手順にする必要がある。

該当項目 13.2

逸脱が再発するのを防止するため、是正・予防措置を行うこと。

17.3.1

文書は、目的を明確に定め、このガイドラインに関連するすべての活

動で実施される作業、講じられる予防措置、適用される手段について適

切な詳しさで述べること。

参考資料 GMP省令第15条第1項

ICHQ10 3.2 ii)

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37

14 苦情及び 指摘事例 5 軽微と判断された品質情報についても記録を徹底すること。また、

回収 一定の権限を持った者が、措置について判断・承認し、報告内容が

不十分な場合は適切に指示できる手順とすること

指摘の理由 この製造所では、顧客から寄せられた品質情報で「軽微」と判断され

と背景 た品質情報の記録が十分にされておらず、講じた措置の確認ができなか

った。

軽微と判断された品質情報であっても、類似事例の拡大を念頭に入れ

て評価し、個々の事例に応じた適切な措置を講じる必要があることから、

品質情報の報告内容については、一定の権限を持つ責任者が、判断・承

認する手順とする必要がある。

該当項目 14.1.1

このガイドラインの適用範囲内の製造所に伝達された欠陥製品に関す

るすべての苦情は、適宜照査、調査及び追跡を行うこと。

14.2.1

権限所有者は、すべての苦情を一括管理すること。

14.2.2

製品の欠陥に関する苦情は、発生時の詳細な情報と追跡調査情報とを

あわせて保管すること。

14.2.3

関連するバッチに関する適切な追跡調査を行うこと。

参考資料 GQP省令第18条第2項第3~4号

平成17年3月17日付け事務連絡「GQP事例集《2005年3月版》につ

いて」

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15 変更管理 指摘事例 1 変更管理に関する手順には、製造販売業者への連絡に関する手順を

含めたものとすること。

指摘の理由 製品の品質に影響を及ぼし得る変更については、製造販売業者へ事前

と背景 に連絡する必要があり、また、製造販売業者は製造業者から連絡を受け

た時は、その内容を評価し、製品品質に重大な影響を与えないことを確

認する必要がある。

よって変更管理には、事前に製造販売業者および製造業者間で連絡方

法、連絡先、連絡担当者、使用用紙等を取り決めておくことが必要であ

る。

なお、製品品質に影響を与える程度をランク分けし、程度により製造

販売業者へ連絡を行う場合は、その内容を十分に協議し管理方法を事前

に取り決めておくことが必要である。

該当項目 15

製品の品質に影響を及ぼす可能性のある変更は、十分なデータに基づ

いて権限所有者が承認し、実施すること。

参考資料 GMP省令第14条

GQP省令第7条、第10条、第11条

ICHQ10 2.5

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39

15 変更管理 指摘事例 2 製品の品質に影響を及ぼす製造機器の移設・変更を行った場合は、

据付時適格性の確認及び稼動性能適格性の確認についてバリデーショ

ンを実施し、製造販売業者等への報告を確実に行う手順とすること。

指摘の理由 製造機器の管理記録等で、製品の品質に影響を及ぼし得る重要機器(充

と背景 填機)が更新されていた。

しかしながら、その機器に対する据付時適格性及び稼動性能的確性の

確認についてのバリデーションの記録がなく、製造販売業業者へ当該変

更に係るバリデーションの実施結果等の報告手順も確認できなかった。

化粧品についてバリデーションの実施は規定されていないが、製造機

器変更時には、その製造機器を使用する製品の品質恒常性の観点からバ

リデーションの実施(変更時の再バリデーション)が必要である。

これによって、変更後においても目的とする品質に適合する製品を恒

常的に製造することが可能となる。

該当項目 5.3.2

機器は、材料、稼動機器及び従業員の動きが品質にリスクをもたらす

ことのないように設置すること。

12.4.4

委託者は、サービスの質又は製品の品質に影響を及ぼす可能性のある

変更を行う場合には、契約で別に規定されている場合を除き、実施前に

委託者に通知すること。

15

製品の品質に影響を及ぼす可能性のある変更は、十分なデータに基づ

いて権限所有者が承認し、実施すること。

参考資料 GQP省令第10条3項

GMP省令第14条

GMP/QMS事例集(2006年度版) GMP13-24~25、GMP14-1~2

原薬GMPガイドライン 12.30、13.13、13.17

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40

16 内部監査 指摘事例 1 臨時に内部監査を実施する場合の手順を定めること。

指摘の理由 当該製造所では、内部監査の手順で定期監査の計画及び実施について

と背景 確認できたが、臨時に実施する監査についての手順が定められていなか

った。

内部監査は、GMPのシステムが適正に運用されていることを確認す

る手段であり、GMPレベルの維持と向上のために重要である。

よって、臨時に内部監査を行うことは、監査計画の不備を補い、また、

タイムリーに監査することでシステムを柔軟に修正することが可能とな

る。

臨時に行うケースとは、例えば、重要な逸脱の発生後、是正措置後な

どが考えられ、その実施結果の評価については、具体的な基準を設定す

る必要がある。

該当項目 16.1

内部監査は、化粧品GMPの実施及び状況をモニターし、必要な場合

は、是正措置を提案するように計画された手段である。

16.2.1

特別に指定された権限所有者が独立かつ詳細にわたる方法で、定期的

又は要求に応じて内部監査を行うこと。

17.2.1

文書は、このガイドラインの対象となっている活動に適した手順、指

示、規格、作業手順、プロトコール、報告、方法、記録のような要素で

構成されていること。

参考資料 GMP省令第8条、第18条

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16 内部監査 指摘事例 2 内部監査報告書における、「○・△・×」による判定についての評

価基準を定めること。

指摘の理由 内部監査を行う場合、あらかじめ手順書等で規定した点検表(チェッ

と背景 クリスト)を用いることは効果的である。

当該製造所では、内部監査手順書は作成されており、評価を付した実

施記録も保管されていたが、点検表の評価欄は「○・△・×」の記号で

評価されていたが、記号の具体的な意味が明確ではなかった。

点検結果の評価に記号等を用いるに当たっては、客観性を確保する観

点から、一定の基準を手順書等において明確にする必要がある。

例えば、次のような具体的な基準を設定する必要がある。

○:(化粧品GMPに)適合する

△:不適合ではないが改善の余地あり

×:不適合(要改善)

根拠条項等 17.2.1

文書は、このガイドラインの対象となっている活動に適した手順、指

示、規格、作業手順、プロトコール、報告、方法、記録のような要素で

構成されていること。

参考資料 GMP省令第8条、第18条

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16 内部監査 指摘事例 3 点検漏れの項目について、事後のフォローに関する手順を定めるこ

と。

指摘の理由 内部監査の記録を確認したところ、点検漏れと見られるチェックがな

と背景 されていない項目があったにもかかわらず、点検漏れの項目について事

後のフォローに関する手順が定められていなかった。

内部監査の責任者は、確実にすべての項目が点検されていることを確

認し、点検漏れがあれば速やかに実施するよう担当者に指示できる事後

のフォローに関する手順をあらかじめ定めておく必要がある。

根拠条項等 16.2.2

内部監査中に行ったすべての観察を評価し、担当者の管理者と共有す

ること。

17.2.1

文書は、このガイドラインの対象になっている活動に適した手順、指

示、規格、作業手順、プロトコール、報告、方法、記録のような要素で

構成されていること。

参考資料 GMP省令第8条、第18条

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16 内部監査 指摘事例 4 内部監査を行う者が自己の部門を点検しない手順とすること。

指摘の理由 内部監査の客観性を確保する観点から、内部監査を行う者が自己の従

と背景 事する部門の点検をしない手順とすることが必要である。

内部監査は、一般的には品質保証部門が実施するが、外部の監査機関

を利用することも有効である。

根拠条項等 16.2.1

特別に指名された権限所有者が独立かつ詳細にわたる方法で、定期的

又は要求に応じて内部監査を行うこと。

16.2.2

内部監査中に行ったすべての観察を評価し、担当者の管理者と共有す

ること。

参考資料 平成16年9月22日付け薬食発第0922001号厚生労働省通知

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17 文書化 指摘事例 1 副本等複写物については、文書配布の記録を残すこと。

指摘の理由 当該製造所では、管理文書の原本を保管し、原本から複写した副本を

と背景 作業場所に配布する運用であったが、配布された副本の配布先の管理が

されていなかった。

管理文書は、文書管理責任者のもと、原本、副本の対象文書及び記録

を台帳等に記載し、原本・副本の別を識別し、保管場所を明確にしてお

く必要がある。

改訂等が行われた場合は、誤って使用されないように、確実に旧版を

回収し、差替えが確実に行われたことを確認し記録すること。

根拠条項等 17.3.3

文書は次の事項に従うこと

c)作成、改訂、撤回、配布、分類を行う。

f)無効になったものは作業区域から取り去り、破棄する。

17.5.1

文書原本を保管し、管理されたコピーだけを使用すること。

参考資料 GMP省令第20条

GMP/QMS事例集(2006年度版)GMP20-1

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 5.1

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17 文書化 指摘事例 2 記録等の改ざん防止の観点から、製造指図書等の記入には鉛筆

を使用しないこと。

指摘の理由 この製造所では、記入ミスがあった場合に容易に訂正できるよう、製

と背景 造指図書や製造記録書の記入を鉛筆で行っていた。

いわゆる生データの記録には、記入ミスや計算ミスによる訂正が常時

つきまとう。

データの見読性・真正性を確保するため、訂正方法の手順を定め、訂

正などを行った履歴についても確認できるように、容易に消去できない

筆記具を使用して二重線などを引き、訂正者、日付、訂正理由など記録

することが必要である。

なお、鉛筆やシャープペンシルは、折れた芯が異物混入の原因となる

可能性があることも考えられることから、製造施設に持ち込むことは避

けるべきである。

該当項目 4.12

構造設備用に使用する消耗品は、製品の品質に影響を及ぼさないこと。

17.3.4

手書きデータの入力を必要とする記録は、次の事項に従うこと。

b) パーマネントインクで読みやすく書く。

d) 訂正がある場合は、元の記入が読めるように残しておく。必要に応

じて、訂正の理由を記録する。

参考資料 原薬GMPガイドライン 6.14

医薬品・医薬部外品(製剤)GMP指針 5.2