外来化学療法に必要な 設備と組織...2007/09/27 · 3 時間以内 3 時間以上 8...
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国立がんセンター中央病院国立がんセンター中央病院 通院治療センター通院治療センター
医長医長
田村田村
研治研治
外来化学療法に必要な外来化学療法に必要な設備と組織設備と組織
外来がん化学療法の必要条件外来がん化学療法の必要条件 (現状)(現状)
外来化学療法を行うにつき、必要な体制が整備されている
専用の病床を有する治療室の保有
外来化学療法実施中は外来化学療法及びその他の点滴治療 (輸血を含む)以外の使用禁止
急変時などの緊急時に入院できる体制が確保されているか、 他の医療機関との連携による入院体制が整備されている
専任の常勤看護師、専任の常勤薬剤師
患者に対しての注射の必要性、危険性などについて文書で説明を行うこと
(これが加わり300点→400点)
(15歳未満700点)
外来がん化学療法の必要条件外来がん化学療法の必要条件 (今後)(今後)
がんの生物学や抗がん剤の薬理学に精通した常勤医
今後、がん専門医へ
*臨床腫瘍学会:
がん薬物療法専門医
*がん治療認定医
がん専門看護師、専門薬剤師
外来化学療法委員会の設置
治療内容(レジメン)の審査・承認体制
各科にわたる患者別共通診療録・治療計画書
監査
疾患別化学療法の割合(2006年)
総数21,373件
消化器がん
7,345件
乳がん
5,663件
肝・胆・膵のがん
2,969件
血液のがん2,010件
婦人科がん534件
その他2,852件
化学療法の内訳(2006年)
筋・皮下注1.834件
シュアヒューザー7件
治験997件
局注 7件静注 67件
点滴 18,461件
点滴時間別割合(2006年)
消化器がん
乳がん 肝・胆・膵がん
血液がん
婦人科がん
全体
3時間以内 3時間以上
8時間以内 8時間以上
件数
①① 設備と環境の整備設備と環境の整備
外来化学療法に必要な設備(1)外来化学療法に必要な設備(1)
外来化学療法室の整備①ベッド、リクライニングチェアーの両方。
カーテン、②静かな環境。音楽、ビデオ、DVD、TVなどで
リラックス、ヘッドホーン、③壁には絵画。医療かつらや副作用指導の
パンフレット空調換気システム、アロマ調剤安全キャビネット(センター内もしくは、薬剤部)無菌
防御の薬剤師によるミキシング
外来化学療法に必要な設備(2)外来化学療法に必要な設備(2)
機器心電図モニター、バイタルサインモニター、パルスオキシメーター、輸液ポンプ、支柱台、血管確保に用いるもの、管理に必要なPC緊急体制ショックなどに対応(救急カート、酸素など)ベッドをICUに運ぶ際の道が確保されている流し台トイレ治療室内に設置すべし控え室可能であれば当番医師の常駐
抗悪性腫瘍剤の院内取り扱い指針
日本病院薬剤師会
安全キャビネット安全キャビネット
外来化学療法室(近畿大学奈良病院)外来化学療法室(近畿大学奈良病院)
リクライニング・チェア
5床ベット
2床
外来化学療法室外来化学療法室
抗癌剤調整室
点滴ベッド
専用トイレ
受付
待合室
1診2診3診
安全キャビネト流し台
流し台
それぞれのベットの上にテレビモニター
腫瘍内科外来
ロッカー
ロッカl
国立がんセンター中央病院・通院治療センター国立がんセンター中央病院・通院治療センター
通院治療センター通院治療センター((国立がんセンター国立がんセンター))
ベッドタイプベッドタイプ
20床20床チェアタイブチェアタイブ
16床16床
計計
36床36床
②② 医療スタッフの協力医療スタッフの協力 委員会の設立委員会の設立
患者
医師薬剤師
臨床心理師
看護師
ソーシャルワーカー
CRC
栄養師
チームオンコロジーチームオンコロジー (患者さんを中心として)(患者さんを中心として)
検査技師
緩和ケア チーム
各診療科各診療科
通院治療通院治療センターセンター
看護部看護部 薬剤部薬剤部
支援施設支援施設(地域医療(地域医療
連携)連携)
緩和チーム緩和チーム(緩和医療)(緩和医療)
チームオンコロジーチームオンコロジー (通院治療センターを支えるもの)(通院治療センターを支えるもの)
ルート確保ルート確保
当番医専門看護師外来化学療法室の専任医療スタッフ
どの形がよいかは、施設の規模、マンパワー外来化学療法室の形態による.
専門職種によるマネージメント専門職種によるマネージメント
看護師(8名)による管理
点滴、処置の介助
患者教育・オリエンテーション
プライマリーナースの導入
精神面、社会面への看護
急性期副作用への対応
注射薬投与の準備注射薬投与の準備
(抗がん剤・補助薬剤など(抗がん剤・補助薬剤など))
注射薬と患者さんの同定注射薬と患者さんの同定
処方箋と薬剤との確認処方箋と薬剤との確認
1)治療観察、管理、看護
2)副作用の観察とその対策
3)医師、薬剤部、検査、医事課、病棟、栄養科等、各部 門との調整・連携
4)急変時,事故発生時の対応
5)患者のセルフケア能力に合わせた療養支援
6)患者への治療・副作用に関する情報提供、指導
7)化学療法を受ける患者や家族への心理的援助
外来化学療法室での看護師の業務外来化学療法室での看護師の業務
1)治療レジメンの登録及び管理
2)治療計画書に基づく薬歴の作成
及び治療内容の確認
3)予定患者の薬剤の取り揃え
4)指示確認書(注射箋)の内容確認
5)指示確認書(注射箋)に基づく抗がん剤の調製
6)患者への薬剤に関する情報提供、患者指導
7)他の医療従事者への薬剤に関する情報提供
外来化学療法室での薬剤師の業務外来化学療法室での薬剤師の業務
③③ 治療内容(レジメン)の治療内容(レジメン)の 承認と登録承認と登録
やってはいけないことやってはいけないこと
外来化学療法を行うために、標準的な治療法に比べ治療効 果を低めること。(ナンチャッテ外来化学療法)
勝手に投与量を減量すること
勝手に投与間隔をあけること
勝手に投与法を変えること
*エビデンスにもとずいた治療法(Evidence Based Medicine)を しなければならない。
*エビデンスにもとずいていれば減量や投与法を変えてよい。
タキソールの毎週投与法タキソールの毎週投与法
220 mg/m2 220
80 80 80 80 80
1 コース
1 コース
化学療法のレジメン化学療法のレジメン
がん化学療法のレジメンがん化学療法のレジメン施行できるがん化学療法のレジメンは、事前に登録されたも
のに限定する.登録済レジメンは,病院内のオーダリングシステ ムに組み入れられそこからしか処方できない。
レジメンの新規登録レジメンの新規登録新規レジメンを申請する場合は,「レジメン登録依頼書」を薬剤
部に提出し、通院治療センター委員会の審査・承認を受けたも ののみ登録される.その際、その治療法の根拠となる文献また は臨床試験のプロトコールを必ず添付する.
④④ オーダリングシステムオーダリングシステム の整備の整備
外来化学療法の流れ外来化学療法の流れ
来院 採血 検査データ
診察ミキシング
(薬剤部)
通院治療センタールート確保
抜針帰宅
指示箋
各段階で確認と記録
•レジメンの登録制•過量投与の防止
レジメンオーダー(レジメンオーダー(IBMIBM))
•インターバルチェック
レジメンオーダー(レジメンオーダー(IBMIBM))
⑤⑤ 薬剤師による薬剤師による
抗がん剤のミキシング抗がん剤のミキシング
薬局薬局(Pharmacy)(Pharmacy)
Satellite PharmacySatellite Pharmacy(化学療法室の近く)(化学療法室の近く)
Central PharmacyCentral Pharmacy&&
DeliveryDelivery(中央薬局)(中央薬局)
専門薬剤師専門薬剤師
による薬剤調整による薬剤調整
無菌調剤(防御服)無菌調剤(防御服)
事前用意事前用意薬剤調整済み製品導入薬剤調整済み製品導入
中央薬局(薬剤部)からの中央薬局(薬剤部)からの
注射薬の搬入注射薬の搬入
注射薬と患者さんの同定注射薬と患者さんの同定
⑥⑥ 患者さんへの説明患者さんへの説明
インフォームドコンセントインフォームドコンセント
インフォームド
:
説明Informed コンセント
:
同意
Consent
Munt
Therapy
(ムンテラ)とは違う。
インフォームドコンセントの基本事項インフォームドコンセントの基本事項
治療の根拠
治療の内容(レジメンは図示して分かりやすく)
利益について(生存期間の延長、再発率低下、QOL改善)
不利益について(有害事象、治療関連死、コスト、時間制約)
代替え療法
結果の公表やプライバシーについて
同意しない場合に不利益を受けないこと
随時撤回できること
連絡先
オリエンテーション有害事象・セルフケア指導ポート管理指導
薬剤指導・説明
看護師
薬剤師
患者指導・説明患者指導・説明
知識の共有
皮膚毒性が強い薬剤、そうでない薬剤に関する知識を
医療スタッフが十分に持つ.
当番医による早期処置
漏出が疑われれば穿刺針よりできるだけ吸引除去する.
ステロイドの局所注射や特殊湿布などの処置を実施する.
連絡
外来化学療法室より担当医に連絡する.
患者への説明
もともとICをいただく段階でリスクを十分に説明。
予期される有害事象
vs
過誤
患者に誠意を持って説明し処置の必要性を理解してもらう。
抗がん剤漏出抗がん剤漏出
高度(潰瘍形成など)
中~軽度(局所刺激性)
ほとんどなし
ドキソルビシン
ミトキサントロン
ダカルバジン
ダウノルビシン
アクラルビシン
シタラビン
エピルビシン
シスプラチン
メソトレキセート
ピラルビシン
カルボプラチン
テガフール
マイトマイシンC
エトポシド
シクロホスファミド
ビンクリスチン
イリノテカン
L-アスパラギナーゼ
ビンブラスチン
フルオロウラシル
α-インターフェロン
ビンデシン
エノシタビン
β-インターフェロン
アクチノマイシンD
パクリタキセル
インターロイキン-2
アムルビシン
ドセタキセルブレオマイシン硫酸ペプロマイシンイフォスファミドビノレルビン
漏出反応の強さ
待ち時間解消と有効使用待ち時間解消と有効使用 今後の計画今後の計画
電子カルテ化で記録を取りやすくなった。
通院治療センターの準夜帯での稼働
午前枠、午後枠など予約システム
検査部、診療科、薬剤部との連携、効率化
週による使用件数差の是正
患者さんへのPHS貸し出し
待ち時間での薬剤指導、セルフケア指導
長時間薬剤・新規分子標的薬剤長時間薬剤・新規分子標的薬剤
CBDCA + Paclitaxel, FOLFOX+Bev,MF, Rituximab containing regimen, etcCDDPを含むレジメン (今後の課題)
Trastuzumab, Bevacizumab, Bortezomib, 情報の適確な入手。安全性の確保
DPC vs 出来高
外来患者に対する継続支援・外来患者に対する継続支援・ 緊急体制緊急体制
緊急時の対応は、日中は通院治療センター、
夜間は当直医対応
通院治療センターの稼働時間の延長計画
継続支援として、がん化学療法看護認定看 護師による帰宅後の電話フォローアップ
(トリアージ機能:治療3日目、7日目など
一定の時期にセンターから連絡をとる。
情報の共有化と効率的な運用情報の共有化と効率的な運用 リスクマネージメントリスクマネージメント
完全電子カルテ導入
クリティカルパスは病棟では活用されている が、外来化学療法では活用されていない。
合同カンファレンスを増やす。
多診療科
医師ー看護師ー薬剤師
救命救急体制の充実化を図る。
マンパワー設備人材
(専門家・リーダー)
医学知識情報
患者さんの声
熱意実行力
発想の転換
外来化学療法の改革には外来化学療法の改革には
がん化学療法は今後ますます多様化していくと考え られ、患者の生活の質(QOL)を向上・維持させなが ら、安全性を担保し、治療として意義のある外来化 学療法の推進が必要となる。
設備面、チーム医療の推進、専門委員会の設置、レ ジメンの承認と登録、オーダーリングシステムの確 立、薬剤師によるミキシング、インフォームドコンセン トの様式の標準化、リスクマージメントの体系づくり などが必要である。
本日のまとめ本日のまとめ