UAVによる河川地形・河床材料 モニタリング手法の …2016-6-20 · UAVによる河川地形・河床材料 モニタリング手法の検討 岐阜大学流域圏科学研究センター
土砂管理等に関する資料(案) - MLIT3 2.河床変動の状況 2-1...
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重信川水系河川整備基本方針
土砂管理等に関する資料(案)
平成18年3月14日
国 土 交 通 省 河 川 局
資料7―2
目 次
1.流域の概要........................................................................1
2.河床変動の状況....................................................................3
3.河口部の状況.....................................................................12
4.まとめ...........................................................................14
1
1.流域の概要
重信川しげのぶがわ
は、その源を愛媛県東温とうおん
市の東三方ヶ森ひがしさんぽうがもり
(標高 1,233m)に発し、東温市山之内を南に流
れ、東温市吉よし
久ひさ
において表おもて
川がわ
を合わせ西に向きを変え、道後ど う ご
平野へ い や
に出て拝はい
志し
川がわ
、砥部と べ
川がわ
、内川うちかわ
及び
石いし
手川て が わ
を合わせ、松山市ま つ や ま し
垣生は ぶ
において伊予灘い よ な だ
に注ぐ、幹川流路延長 36km、流域面積 445km2の一級
河川である。
その流域は、愛媛県中央部に位置し、松山市をはじめ 3市 2町からなり、流域の土地利用は山地
等が約 70%、水田や畑地等の農地が約 20%、宅地等の市街地が約 10%となっている。
流域内には、愛媛県の県庁所在地である松山市があり、沿川には、四国縦貫自動車道、国道 11
号、33 号、56 号、JR 予讃線等の基幹交通施設が存在し交通の要衝となっている。また、表川合流
点から河口までの中・下流域では広大な道後平野が広がり水稲、野菜、花き等の生産が盛んである
とともに、松山市等の中心市街地や河口部に広がる化学工業を中心とした工業群を擁し、古くから
この地域の社会・経済・文化の基盤を成している。さらに、皿ヶさ ら が
嶺みね
連峰れんぽう
県立自然公園、白しら
猪い
の滝等
があり豊かな自然環境に恵まれていることから、本水系の治水・利水・環境についての意義は極め
て大きい。
重信川流域は、上流域は皿ヶ嶺連峰等の 1,000mを越える急峻な山地に囲まれ、中流域は大小の
支川を合わせ扇状地である道後平野が広がり、沿川には湧水である多数の泉が存在する。下流域は
松山市を中心とする市街地が形成されている。河床勾配は、上流域は 1/10~1/65、中流域は 1/110
~1/210、下流域は 1/240~1/940 の急流河川である。
流域の地質は、重信川の南側を東西に走る中央構造線によって、北側の領家帯りょうけたい
と南側の三波さ ん ぱ
川がわ
帯たい
と
に分けられる。領家帯は、石手川流域に主に分布する花崗岩類、本川上流域及び流域南斜面に広く
分布し砂岩泥岩互層からなる和泉層群いずみそうぐん
及びそれらの境界部に分布する領家変成岩類よりなる。三波
川帯は、結晶片岩を主体とする変成岩類よりなるが、重信川流域では、古第三紀の堆積岩類や新第
三紀の火山岩類が広く覆っており、これらの地質構造に起因した土砂崩壊が多く見られる。
流域の気候は瀬戸内式気候に属し、温暖で平野部の平均年間降水量は 1,300mm 程度であり、降
雨の大部分は梅雨期と台風期に集中しているため、しばしば渇水が生じている。
2
図1-1 重信川水系流域図
区 分 概 要 備 考
流路延長 36km 全国 103 位/109 水系
流域面積 445km2 全国 96 位/109 水系
流域内市町 3 市 2 町 松山市、西条市、東温市、松前町、砥部町
流域内人口 約 23 万人
支川数 74
3
2.河床変動の状況
2-1 河床高の経年変化
1)重信川
重信川の河床変動状況を図2-1、図2-2、図2-3に示す。
昭和 18年から昭和 42年にかけて全川において約 300 万 m3 の砂利採取が行われている。特に、
昭和 34 年から昭和 42 年かけては約 120 万 m3の砂利採取が行われ、そのうち砥部川合流点上流で
約 95 万 m3の砂利採取が行われており、砥部川合流点上流は、この影響を受け、大きく河床低下
している。
砂防施設については、その多くが昭和 45 年以前に建設されているが、建設が河床変動に与えた
影響については定量的な評価が難しい。
砂利採取規制後の昭和 42 年から平成 3年にかけては、砥部川合流点上流の土砂が下流に流出し
たと考えられ、砥部川合流点上流でゆるやかな河床低下、下流でゆるやかに河床堆積したものと
思われる。近年は大きな変動はなく、安定傾向にある。
4
図2-1 重信川河床縦断図
-10
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18距離標(km)
標高(T.P.m)
昭和34年
昭和42年
平成3年
平成13年
大新田床止 出合床止
一番泉床止
高井堰堤
上村堰堤
四号床止
別府堰堤
二号床止
一号床止
5
(昭和34年を基準)
-3
-2
-1
0
1
2
3
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
距離標(km)
河床変
動高
(m)
昭和42年 平成3年 平成13年
図2-2 重信川河床縦断変化
昭和期まで河床低下傾向
6
全川において安定傾向
石手川 砥部川
昭和34年~昭和42年
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
距離標(km)
河床
変動
高(m) 砂利採取による河床低下
(8年間)
昭和42年~平成3年
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
距離標(km)
河床変
動高(m)
土砂の移動による経年的な河床低下 上流土砂の移動によるゆるやかな堆積
(24 年間)
図2-3 重信川の平均河床変動高
平成3年~平成13年
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
距離標(km)
河床
変動
高(m)
(10 年間)
全川において概ね安定傾向
7
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
S18~S25 S26~S33 S34~S41 合計
年度
砂利採取量(千m3)
0.0K~5.0K 5.0K~10.0K 10.0K~15.0K15.0K~17.0K 合計
図2-4 砂利採取の状況
8
(昭和47年を基準)
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0
距離標(km)
河床
変動
高(m)
昭和51年 平成5年 平成14年
2)石手川
石手川の河床変動状況を図2-5、図2-6、図2-7に示す。
昭和 51 年から平成 5年にかけては、昭和 60 年までに実施した河道掘削の影響もあり、直轄管
理区間では河床が低下している。平成5年以降は、大きな変動はなく安定傾向にある
石手川では、昭和 48 年に石手川ダムが竣工し、平成 16 年までに石手川ダムの計画堆砂量 220
万 m3のうちの約 97 万 m3が堆積している。石手川ダムについては、堆砂の進行度合いが計画堆砂
量を上回っているため、貯砂ダムの設置や堆積土砂の除去などの対策を講じている。
図2-6 石手川河床縦断変化
5
10
15
20
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0
距離標(km)
標高
(T.P.m
)
昭和47年
昭和51年
平成5年
平成14年
図2-5 石手川河床縦断図
9
昭和47年~昭和51年
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
0.0 1.0 2.0 3.0距離標(km)
河床変動高(m)
(4 年間)
昭和51年~平成5年
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
0.0 1.0 2.0 3.0距離標(km)
河床変動高(m)
(18 年間)
平成5年~平成14年
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
0.0 1.0 2.0 3.0距離標(km)
河床変動高(m)
(10 年間)
図2-7 石手川の平均河床変動高
図2-8 石手川ダム堆砂状況
全川において安定傾向
河道掘削により河床低下
全川において概ね安定傾向
0
200
400
600
800
1000
1200
昭和48年 昭和53年 昭和58年 昭和63年 平成5年 平成10年 平成15年
堆砂
量(千
m3)
流入土砂量
堆砂排除量
実績堆砂量
計画堆砂量
堆砂排除約18万m3
966,000
1,146,000m3
660,000
0
200
400
600
800
1000
1200
昭和48年 昭和53年 昭和58年 昭和63年 平成5年 平成10年 平成15年
堆砂
量(千
m3)
流入土砂量
堆砂排除量
実績堆砂量
計画堆砂量
堆砂排除約18万m3堆砂排除約18万m3
966,000
1,146,000m3
660,000
10
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
-100.0 0.0 100.0 200.0 300.0 400.0 500.0 600.0
距離(m)
標高
(T.P
.m)
16.0
18.0
20.0
22.0
24.0
26.0
28.0
30.0
-100.0 0.0 100.0 200.0 300.0 400.0 500.0 600.0
距離(m)
標高
(T.P
.m)
58.0
60.0
62.0
64.0
66.0
68.0
70.0
72.0
-100.0 0.0 100.0 200.0 300.0 400.0 500.0 600.0
距離(m)
標高
(T.P
.m)
昭和34年 昭和42年 平成3年 平成13年
2―2 横断形状の経年変化
1)重信川
砥部川合流点上流の 13.4k では、砂利採取の影響を受けて昭和 49 年にかけて河床が大きく低下
しているほか、低水路内でみお筋が複雑に変化している。
ただ、いずれの地点についても、低水路内での河床の横断形状の変化はあるものの、近年は侵
食や堆積といった顕著な変動傾向は見られない。
河口~石手川合流点
石手川合流点~砥部川合流点
みお筋はおおむね河道の中央付近に形成
みお筋が低水路内で複雑に変化している
図2-9 重信川の横断経年変化
砥部川合流点上流
13.4K
7.0K
3.0K
11
13.0
15.0
17.0
19.0
21.0
23.0
25.0
27.0
-50.0 0.0 50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 300.0
距離(m)
標高
(T.P
.m)
昭和47年 昭和51年 平成5年 平成14年
2)石手川
昭和 47 年から昭和 60 年までに低水路拡幅が行われ、低水路幅が大きく変化している。
また、河床は低下傾向にあったが、近年は概ね安定傾向にある。
図2-10 石手川の河床の横断変化
低水路拡幅により横断形状が大きく変化
3.0K
12
-5.0
-3.0
-1.0
1.0
3.0
5.0
7.0
9.0
-100.0 0.0 100.0 200.0 300.0 400.0 500.0 600.0
距離(m)
標高
(T.P
.m)
昭和49年 平成3年 平成13年
3.河口部の状況
河口部では昭和48年から平成15年までの航空写真を比較すると、河口砂州の沖合右岸側への移
動が見られる。原因の一つとして昭和40年から平成2年にかけての右岸海岸部の埋め立てが考えら
れる。
河口部では河口砂州の移動による横断形状の変化がみられるものの、侵食・堆積の顕著な傾向
は見られず、また河口閉塞も生じてない。
図3-1 河口部の横断変化
0.0K
13
図3-2 河口部の砂州の変化
昭和 48 年
平成2年
平成 15 年
昭和 23 年
14
4.まとめ
河床の横断形状、河床変動高の経年変化、砂利採取量の経年変化、河口部の状況を検討した結果、
重信川及び石手川では、昭和期に砂利採取や河道掘削等による河床の低下が見られたが、平成期の
近年は概ね土砂動態は安定している。
河床低下や堆積による河川管理上の問題は生じていないが、近年の大規模出水でも見られるよう
にひとたび洪水が起きれば、土砂を含んだ流水の巨大なエネルギ-により、侵食や洗掘等が引き起
こされ、護岸の崩壊などの被害が発生していることから、堤防や護岸基礎部の強化対策を順次実施
していくとともに、現況河道を基本とした河道計画により、今後とも水系全体の土砂バランスを維
持するよう努める。
また、これまでの河道の経年変化を踏まえ、洪水の安全な流下、河床の長期的な安定性の確保、
河岸侵食等に対する安全性確保の観点から、引き続き河床変動や各種水理データの収集等モニタリ
ングに努め、適切な河道管理へフィ-ドバックしていく。