がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について...
Transcript of がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について...
![Page 1: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/1.jpg)
がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー
高知医療センター ペインクリニック科 青野寛
![Page 2: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/2.jpg)
本日のメニュー
1.痛みとはどんなもの?
2. がんの痛みとその治療方針 消炎鎮痛剤
3.麻薬であるモルヒネの基礎知識
4.麻薬製剤であるモルヒネ徐放剤、速放剤
5.新しい麻薬製剤、オキシコドン、フェンタニール
![Page 3: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/3.jpg)
(1) 痛みとはどんなもの?
柳の木
樹皮からアセチルサルチル酸 (アスピリン)が作られ 1897年:初めての消炎鎮痛剤
![Page 4: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/4.jpg)
痛みの特徴
1.不快な感情、情動体験である 悲しみ、不安、孤独、天候などに左右される
2.痛み方は100人100色で多彩である 他人にはわかりにくい、評価しにくいものである
3.日常生活に支障をきたす 仕事にも支障
4.なくてはならないものである 人体に対する警鐘である
![Page 5: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/5.jpg)
急性痛と慢性痛
1.急性痛 今まさに、痛みがあり、すぐ対処が必要なもの 手術後痛、がん性疼痛、
2.慢性痛 一定の期間(約6ヶ月)治療され、その時期が過ぎても、痛みが 残ったり、新たな痛みを生じたりするもの
各種疼痛疾患、帯状疱疹後神経痛
![Page 6: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/6.jpg)
(2)がんの痛みとその治療指針
今の時代、2人に1人ががんになる時代です
がんになる人の約70~80%は痛みがあるといわれています
![Page 7: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/7.jpg)
がんの痛みの特徴
(1)がんの痛みは継続する、また反復する進行性の急性痛である (2)いろいろな因子が複雑に影響している
怒り 恐怖
うつ状態 孤独感
不安、疑問
仕事への不安 社会からの隔たり
![Page 8: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/8.jpg)
がんの痛みの治療
1.外科手術 2.化学療法 3.放射線療法 4.神経ブロック 5.薬物治療 6.その他、カウンセリング
![Page 9: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/9.jpg)
がんの痛みに使われる鎮痛薬
① 非ステロイド性消炎鎮痛剤 ② 麻薬系鎮痛剤(モルヒネ、リン酸コデインなど)
鎮痛補助薬 ③ 抗うつ剤(アミトリプチリンなど) ④ 抗けいれん剤(カルマバゼピンなど) ⑤ 抗不整脈薬(リドカインなど) ⑥ ケタミン ⑦ ステロイド など
![Page 10: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/10.jpg)
一般名 商品名 アセチルサルチル酸 アスピリン ナブロキセン ナイキサン インドメタシン インドメタシン ジクロフェナックNa ボルタレン ナブメトン レリフェン ロルノキシカム ロルカム ロキソプロフェンNa ロキソニン エトドラク ハイペン メロキシカム モービック セレコキシブ セレコックス
消炎鎮痛剤
欠点 副作用(胃腸障害、腎障害など)、天井作用などで 長く内服できない
![Page 11: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/11.jpg)
1.オピオイドとは? オピオイド受容体、µ受容体、κ受容体、δ受容体に作用する薬剤 ① アヘン(opium)から作られる薬剤 リン酸コデイン、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニール ② 合成麻薬 ペンタゾシン、ブプレノルフィン など
2.弱オピオイド
リン酸コデイン、ペンタゾシン、ブプレノルフィン
3.強オピオイド
モルヒネ、オキシコドン、フェンタニール
![Page 12: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/12.jpg)
がんの痛みの治療方針
1.定期的に 定時的に使用を
2.なるべく経口で 患者さんの一番楽なルートで
3.痛みの強さにあわせて 三段階的に
4.個人的に鎮痛剤 の量を調節、副作用に 注意 5. ダブルブロック モルヒネなどの麻薬と消炎鎮痛剤の併用
(1986:Twycross)
WHO:がんの痛みからの解放より
![Page 13: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/13.jpg)
がんの痛みを考える時には
1.① いつ痛むのか? 夜間、明け方、食事の前、後にいたむなど ② 痛む場所は ? 画像診断は大事 ③ 痛みの性状は? キリキリと、うずくような、押し付けられるような、etc.
2.内服以外に方法がないのか検討 化学療法、放射線療法、神経ブロックなど
3.使用する鎮痛剤の 副作用(便秘、吐き気、眠気など)をいつも頭の中に
4、患者さんの生活の質を落とさないように ①食欲、②夜間不眠 ③排便が支障なくできる
![Page 14: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/14.jpg)
がんの痛みの治療の目標
第1目標:夜間眠ることができるようになる (痛みで目がさめない状態)
第2目標:安静時痛がとれる 安静にしていれば、痛くないようになる (笑ったり、クシャミや咳をしても大丈夫な状態)
第3目標:体動時痛がとれるまたは軽快する からだを動かしたりしても、痛くない (痛みが軽度で、普通の社会生活ができる状態)
![Page 15: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/15.jpg)
麻薬であるモルヒネの基礎知識
芥子ぼうず 芥子の花
![Page 16: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/16.jpg)
モルヒネの歴史
(1)アヘンは古代エジプトではすでに医術に使用された
(2)1806初めて、モルヒネが抽出される(Serturner) 18世紀中頃までに、医学で使用され出す
(3)アヘン戦争など不幸な歴史
果実に傷をつけて得られる白色 の液体を乾燥させたのがアヘン(opium)である
人は未だに、人工的にモルヒネを作り出すことが出来ず、 芥子の栽培から抽出している
![Page 17: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/17.jpg)
依存と耐性
1.精神的依存 精神的依存とはある薬物の摂取により快感を得るため、 または不快感を除くためにその薬物を衝動的に求める状態
2.身体的依存 薬物摂取の中断により、身体症状(禁断症状、不安、不眠、 振戦など)が出現する状態
3.耐性 薬剤を、持続投与し続けると、同じ量では、同じ効果が得られなく なり、同じ効果を得るために、増量を余儀なくされる事
![Page 18: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/18.jpg)
モルヒネに関わる誤解、迷信 1.同じ麻薬でも、ヘロイン、大麻などの社会的麻薬 とは違い、モルヒネは医療用麻薬である モルヒネが社会問題になったことなし !
2.麻薬中毒とは、社会用語であり、医学用語ではない 麻薬中毒が精神、身体性依存を生じたことをさすのあれば がんの人に適切に使えば中毒は生じない !
3. 医療従事者側にも、問題あり モルヒネを使用すると命を縮める薬である?? 最後の手段として使う薬剤である???? モルヒネは単に鎮痛剤である!!! 化学療法、放射線療法と同時に使用しても問題なし
![Page 19: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/19.jpg)
がんの痛みにモルヒネが使用されるわけ?
1.安全な薬であるから 昔から、よくモルヒネ自体が研究されている 起こる副作用も予想でき、その対策も処置もできる
2.モルヒネは他の鎮痛剤に比べて、いろいろな痛みに効く モルヒネは何年もの期間、内服できる薬剤である 天井作用はない
3.軽い多幸感、鎮静作用がある
4.内服だけでなく、坐剤、皮下注射、点滴などからでも投与できる
5.モルヒネ使用中は医者や、看護師、薬剤師などがそばで、 見ていてくれる
![Page 20: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/20.jpg)
がんの患者さんにモルヒネの精神的依存は なぜ起こらないか???
1.昔からがんの人には、何故か精神的依存が 起こらないことで有名であった
2.モルヒネなどの麻薬系鎮痛薬はオピオイド受容体の µ、κ受容体に働き、鎮痛作用をきたす
3.最近、κ受容体がµ受容体の作用により、引き起こされる 精神的依存を抑えていることがわかってきた
4.がんの痛みの人は痛みがあることにより、内因性の痛み を抑える物質の作用で、普段よりκ受容体の働きが高ま っていると考えられている
![Page 21: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/21.jpg)
![Page 22: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/22.jpg)
副作用
(1)便秘 モルヒネ内服では必発でほぼ100%。耐性はできない 緩下剤の使用は必須
(2)嘔気、嘔吐 約60%に生じ、内服最初の2週間ぐらい続き、耐性ができる 制吐剤の使用は必須
(3)眠気 内服の最初の1週間ぐらい続き、耐性ができる モルヒネ静注では特に多し
(4)掻痒感 皮膚乾燥を予防し、皮膚の手入れが大事
![Page 23: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/23.jpg)
まれな副作用
錯乱、幻覚
①錯乱: 夢状態、せん妄、もうろう状態などの意識障害時 にみられる思考過程の異常
②幻覚: 実在しないものが知覚されたように感じる事 患者さん自身は現実でないと理解している (統合失調症とは違う)
お年寄りなど、モルヒネ投与開始直後や急な増量時に多い 頻度的には100人にひとり、 cf)向精神薬 頻度4~5%
これらの症状が出てきたとき、肝機能障害、高カルシウム血症など 全身状態の把握が大事!!
![Page 24: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/24.jpg)
(4) 麻薬製剤である モルヒネ徐放剤、速放剤
![Page 25: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/25.jpg)
モルヒネ徐放製剤
(1)わが国で初の徐放製剤で、今までのモルヒネ製剤の使 い方を変えたとまで言われる薬剤
(2)一日2回(3回)の内服で、作用時間は8~12時間
(3)食事の影響なし、規則正しく、決められた時間に内服を
MSコンチン(1989)
![Page 26: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/26.jpg)
MSコンチン以外のモルヒネ徐放剤
1.カデイアン、 パシーフ、 ピーガード(錠剤)
一日に一度の内服でまかなえる
2.モルぺス細粒
細粒であるために胃管など からも投与できる
(1999) (2001)
![Page 27: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/27.jpg)
速効性モルヒネ製剤
1.速攻性のモルヒネは内服後15分以内に吸収され、30分 で最大鎮痛効果濃度に達する 2.MSコンチン、オキシコンチン使用中にいたみが強くなった とき、屯用として、レスキューとして使用 3. 速攻性のモルヒネは4時間ごとに定期処方で、徐放剤の 代わりとして使用できる
モルヒネ坐剤 アンペック坐剤
![Page 28: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/28.jpg)
(5)新しい麻薬製剤
オキシコドン
(オキシコンチン)
(シオノギ製薬協賛)
![Page 29: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/29.jpg)
オキシコドン(2002) オキシコンチン
(1)κ受容体への作用も強く、モルヒネに比べ、耐性がきにくい
(2)MSコンチンと比べて、吸収も安定しており、ほぼ1日2回 作用時間は12時間と考えてよい
(2)モルヒネより、便秘、吐き気など副作用の程度が少ない
![Page 30: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/30.jpg)
オキシコンチン、MSコンチンの使用量 (高知医療センター) 2005.4~2006.3
オキシコンチン MS コンチン
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
5mg
10mg
20mg
40mg
10mg
30mg
60mg
5916
5303
2301
3523
2418
1106
524
(オキシコンチン)
(MSコンチン)
5 10 20 40
(錠)
10 30 60
![Page 31: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/31.jpg)
症例 59歳 女性
診断名 卵巣がん、腰痛 現在、卵巣がんで化学療法中。最近、腰痛があり、ロキソ ニン、ボルタレンなどの消炎鎮痛剤を定期で使用して いたが、次第に腰痛が激しくなり、当科に紹介となる。 CT上腹部大動脈周囲に転移が認められた。 夜間痛強く、夜は十分に休めていない、食欲はない
初回処方 オキシコンチン5mg(MSコンチン10mg) 2錠/日 ノバミン5mg 2錠/日
ボルタレン 37.5mg 2錠/日 サイトテック 200μg 2錠/日 朝夕食後
オプソ5mg、 疼痛時、2時間空ければ何度でも内服可
![Page 32: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/32.jpg)
フェンタニール(デュロテップ)パッチ
(ヤンセン株式会社協賛)
![Page 33: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/33.jpg)
フェンタニール(1959)、 フェンタニールパッチ (2003) 2.5mg, 5mg, 7.5mg, 10mg
(1) フェンタニールパッチは経皮的鎮痛薬、内服せずとも よく、消化器癌の多い日本では患者に多大な恩恵
(2)将来的にはオキシコンチンなどのモルヒネ製剤に代って、 がんのいたみの治療の主役になる可能性あり
![Page 34: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/34.jpg)
フェンタニールパッチの欠点
(1)使用が3日に一度のために、調節性に乏しい
突出痛に対しては、レスキュードーズとして、
モルヒネ速放剤などの鎮痛剤が必要である
(2)もっとも小さいパッチが2.5mgで、それがオキシコンチ ン40mg/日、MSコンチン60mg/日に相当する
麻薬製剤としては最初から使いにくい
(2) 3日に1度の貼り替えではもたない患者がいる
(3) 風呂に入ったりすると、はがれたり、作用が減弱
![Page 35: がん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にーがん性疼痛の治療について ー薬剤を中心にー 高知医療センター ペインクリニック科 青野寛](https://reader030.fdocument.pub/reader030/viewer/2022040921/5e9a12c7df05853405656665/html5/thumbnails/35.jpg)
1.がんの痛みをこらえるためだけに、大切な一日を消費して しまうことほど、もったいないことはありません
2.適切な薬を適切に使用することで、がんの痛みは軽くする ことができます。ひいてはがんの患者さんが、自分の病気 に向き合うための助けになると思います
3.がんは今では痛みで、苦しむ病気ではありません
終わりに