「第2回 日本‒ブラジル医療分野規制に関するセミナー」を開催...JPMA NEWS...

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JPMA NEWS LETTER 2015 No. 170 Topicsトピックス 「第2回 日本-ブラジル医療分野規制に関するセミナー」を開催 1/3 2015年9月10日、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceutical and Medical Devices Agency、PMDA) ならびに日本貿易振興機構(Japan External Trade Organization、JETRO)とブラジル国家衛生監督庁(Agência Nacional de Vigilância Sanitária、ANVISA)主催による「第2回 日本-ブラジル医療分野規制に関するセミナー」が JETRO本部(東京都港区)にて開催され、約150人が参加しました。 中南米最大の医薬品市場をもつブラジルでは、労働生産年齢人口拡大と中間層拡大に起因する購買力の急拡大や医療 ニーズの増加などを背景にさらなる市場の成長が見込まれています。そのブラジル市場に日本企業が進出するに際しては、 新製品承認申請をはじめとする現地規制への対応が必要となることから、最新の規制動向を把握しておくことが重要となり ます。2014年8月の安倍晋三内閣総理大臣のブラジル訪問の機会を捉え、ANVISA、PMDA、JETROはブラジルのサンパウ ロで「日本-ブラジル医療分野規制に関するセミナー」をその期間中に開催し、医療分野の規制に関する知見・経験を両国 で共有する機会を設けました。この度、医療分野における二国間協力のさらなる進展を目指し2回目のセミナーが開催され ました。 はじめに PMDA 理事長の近藤達也氏は歓迎の言葉で、ANVISA 新長官のバルボーザ氏へ就 任祝福の辞を述べ、2014年の安倍首相のサンパウロ訪問に言及し、地球の裏側と距 離的に離れてはいるものの、100年を越える日系社会の歴史と良好な外交関係のもと、 両国の取り組みを相互に理解しあい、日本-ブラジルの協力関係を大きく進展させよ うと述べました。 また、本日の議題として、a.日本-ブラジル産業界の協力関係強化、b.審査効率化、 c.QMS/GMPシステムと国際協力、d.先端医療に関する薬事規制対応を検討・討論する ことを紹介しました。 演者一同 PMDA 理事長の近藤 達也 氏 Topics |トピックス 「第2回 日本‒ブラジル医療分野規制に関するセミナー」を開催 2015年11月号 No.170 J P M A N E W S L E T T E R

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    2015年9月10日、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceutical and Medical Devices Agency、PMDA)ならびに日本貿易振興機構(Japan External Trade Organization、JETRO)とブラジル国家衛生監督庁(Agência Nacional de Vigilância Sanitária、ANVISA)主催による「第2回 日本-ブラジル医療分野規制に関するセミナー」がJETRO本部(東京都港区)にて開催され、約150人が参加しました。

     中南米最大の医薬品市場をもつブラジルでは、労働生産年齢人口拡大と中間層拡大に起因する購買力の急拡大や医療ニーズの増加などを背景にさらなる市場の成長が見込まれています。そのブラジル市場に日本企業が進出するに際しては、新製品承認申請をはじめとする現地規制への対応が必要となることから、最新の規制動向を把握しておくことが重要となります。2014年8月の安倍晋三内閣総理大臣のブラジル訪問の機会を捉え、ANVISA、PMDA、JETROはブラジルのサンパウロで「日本-ブラジル医療分野規制に関するセミナー」をその期間中に開催し、医療分野の規制に関する知見・経験を両国で共有する機会を設けました。この度、医療分野における二国間協力のさらなる進展を目指し2回目のセミナーが開催されました。

    はじめに PMDA 理事長の近藤達也氏は歓迎の言葉で、ANVISA 新長官のバルボーザ氏へ就任祝福の辞を述べ、2014年の安倍首相のサンパウロ訪問に言及し、地球の裏側と距離的に離れてはいるものの、100年を越える日系社会の歴史と良好な外交関係のもと、両国の取り組みを相互に理解しあい、日本-ブラジルの協力関係を大きく進展させようと述べました。 また、本日の議題として、a.日本-ブラジル産業界の協力関係強化、b.審査効率化、c.QMS/GMPシステムと国際協力、d.先端医療に関する薬事規制対応を検討・討論することを紹介しました。

    演者一同

    PMDA 理事長の近藤 達也 氏

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     開催あいさつで厚生労働省 審議官の原勝則氏は、「日本では急激な少子高齢化や医療技術の進歩など医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、国民の健康増進、保健医療システムの持続可能性の確保、保健医療分野における国際的な貢献、地域づくりなどの分野における戦略的な取り組みに関する検討を行うことを目的として、「保健医療2035」を策定して2035年を見据えた保健医療政策のビジョンとその道筋を示した」と述べました。ブラジルも今後、少子高齢化、医療ニーズの増加や高度化が進むと言われており、「ドラッグ・ラグ短縮やグローバルな政策作りを日本とブラジルで協力しながら進めたい」と述べました。 ANVISAのバルボーザ氏は、2014年の安倍首相のブラジル訪問への謝辞を述べ、「日本はグローバル戦略的パートナーとして、成功例やベストプラクティスのシェア、対話のさらなる強化、薬事部分での協力関係推進を行い、お互いに補完しながらともに発展していきたい」と抱負を述べました。 JETRO理事長の石毛博之氏は、「日本商工会議所を通じて現地日系企業にインタビューを取ったところ、2014年の安倍首相のブラジル訪問以降、さまざまな法改正が行われ審査期間が短縮された」という現地からの良い報告があったことを紹介し、今後も日本とブラジルの協力関係を強化していきたいと述べました。また、日本企業の優れた技術が現地で評価され、現地への進出が成功した例として2社を紹介しました。 製薬業界を代表し、日本製薬団体連合会(日薬連) 会長の野木森雅郁氏は、「大盛況であった前回セミナーから協力関係は高まっていることをうれしく思っている」と述べ、革新的で高品質の医薬品を迅速に患者さんに届けるために、新薬承認申請への日本データの受け入れ、GMP要件のICH基準へのハーモナイゼーション、強制実施権の拡大抑制などの薬事規制の協調を前回に引き続き再度要望しました。 また、長い日本人移民の歴史や国交樹立120周年などの外交関係に培われた両国の信頼関係に加えて、偶然にも2016年のリオデジャネイロオリンピック開催から4年後に東京オリンピックが続くという2国間の関係をさらに強化していきたいと述べました。 以後のセッションでは、医薬品・医療機器の審査効率化、QMS/GMPシステムと国際協力、先端医療に関する薬事規制対応などについての発表やパネルディスカッションが行われ、日本側からは、新薬承認審査に長い時間を要する「ドラッグ・ラグ」問題に対するPMDAの取り組み、およびその結果として新医薬品の承認期間がこの7年間でおよそ半分に短縮されたことや、海外では承認されていても国内では承認されていない未承認薬・適応外薬を解消するための先駆け審査指定制度などが紹介されました。これらを踏まえて、今後、PMDAとANVISAがこの問題で協力することが提案されました。 ブラジル側からは同国の審査業務や他国との協力状況について、現状と今後の取り組み方針などが説明されるとともに、今後、審査の迅速化・効率化に向けた両国共同活動を推進したい旨の説明がありました。

    セミナーの様子

    ANVISA 新長官のバルボーザ 氏

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    おわりに セミナー全般を通じて、両国の発表者・パネリストからは両国の連携強化について前向きな発表やコメントがありました。また、フロアからも積極的な質問が数多く寄せられたことからも、両国の協力関係への取り組みに対して関心が大きいことがうかがえました。 私は、同セミナーの開催以前より私の所属している会社のブラジル販売会社やオフィスのブラジル人と仕事をする機会があり、ブラジル人の心の温かさに折から触れていたことから親ブラジルを自認しています。また、日系ブラジル人を含めて、ブラジル人は非常に親日的で日本とブラジルは長い歴史を経て友好的な関係を築いていると感じていました。このようなセミナーを通じていっそう両国の関係が強固なものとなり、日本で開発した革新的で良質な医薬品が迅速に、友好国ブラジルの患者さんに届けることができるようになることを期待しています。

    (国際委員会 欧米部会 新興国グループ 佐藤 孝徳)国際委員会 欧米部会 新興国グループ 佐藤 孝徳)国際委員会 欧米部会 新興国グループ

    会場風景

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