《中和滴定》 操作...問1 (COOH) 2¢2H O の式量は126.0 なので,(COOH) ¢2H O 0:630 g...

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XCDR2A-Z1C1-01 《中和滴定》 濃度未知の酢酸水溶液の濃度を調べるために,次のような中和滴定実験を行った。操作 15 および結果 12 に関する14 に答えよ。ただし,シュウ酸は 2 価の酸であり,また, 原子量は H=1:0C=12:0O=16:0 である。なお,13 については有効数字 3 桁で答 えよ。 (25) 操作 1 シュウ酸二水和物 (COOH) 2 ¢ 2H 2 O0:630 g を正確に測り取り,少量の水に溶かしてそ の全量を 100 mL のメスフラスコに入れ,標線まで水を加えた。この水溶液を A 液と する。 A 液の濃度; 0:630 126:0 £ 1000 100 mol= L操作 2 4g の水酸化ナトリウムを測り取り,ビーカーに入れて 1L の水に溶解させて約 0.1 mol= L の水酸化ナトリウム水溶液をつくった。この水溶液を B 液とする。B 液をビ ュレットに移し,活栓の下の空気を追い出した後,液面の目盛りを読んだ。 操作 3 ホールピペットで A 10.0 mL をコニカルビーカーに取り,フェノールフタレイン 溶液を 12 滴加えた。そして,この水溶液の色がかすかに変化するまで B 液を滴下 し,そのときの液面の目盛りを読んだ。この滴 3 計算には滴定結果の平均値を用いる。 操作 4 濃度未知の酢酸 CH 3 COOH 水溶液 10.0 mL をホールピペットで取り,メスフラスコ に入れた。そして,標線まで水を加えて 100 mL の水溶液にした。この水溶液を C 液と する。 C 液;濃度未知の酢酸水溶液を 10.0 倍に薄めたもの 操作 5 ホールピペットで C 10.0 mL をコニカルビーカーに取り,フェノールフタレイン 溶液を 12 滴加えた。そして,この水溶液の色がかすかに変化するまで B 液を滴下 し,そのときの液面の目盛りを読んだ。この滴 3 操作 3 同様,計算には滴定結果の平均値を用いる。

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XCDR2A-Z1C1-01

《中和滴定》濃度未知の酢酸水溶液の濃度を調べるために,次のような中和滴定実験を行った。操作 1~

5および結果 1,2に関する問 1~問 4に答えよ。ただし,シュウ酸は 2価の酸であり,また,原子量は H=1:0,C=12:0,O=16:0である。なお,問 1~問 3については有効数字 3桁で答えよ。 (25点)

操作 1 シュウ酸二水和物 (COOH)2 ¢2H2O 0:630 gを正確に測り取り,少量の水に溶かしてその全量を 100 mLのメスフラスコに入れ,標線まで水を加えた。この水溶液を A液とする。

 A液の濃度; 0:630

126:0 £1000100〔mol=L〕

 操作 2 約 4 gの水酸化ナトリウムを測り取り,ビーカーに入れて 1 Lの水に溶解させて約

0.1 mol=Lの水酸化ナトリウム水溶液をつくった。この水溶液を B液とする。B液をビュレットに移し,活栓の下の空気を追い出した後,液面の目盛りを読んだ。

操作 3 ホールピペットで A液 10.0 mLをコニカルビーカーに取り,フェノールフタレイン溶液を 1~2滴加えた。そして,この水溶液の色がかすかに変化するまで B液を滴下し,そのときの液面の目盛りを読んだ。この滴定の操作を 3回繰り返した。

計算には滴定結果の平均値を用いる。 操作 4 濃度未知の酢酸 CH3COOH水溶液 10.0 mLをホールピペットで取り,メスフラスコ

に入れた。そして,標線まで水を加えて 100 mLの水溶液にした。この水溶液を C液とする。

C液;濃度未知の酢酸水溶液を 10.0倍に薄めたもの 操作 5 ホールピペットで C液 10.0 mLをコニカルビーカーに取り,フェノールフタレイン

溶液を 1~2滴加えた。そして,この水溶液の色がかすかに変化するまで B液を滴下し,そのときの液面の目盛りを読んだ。この滴定の操作を 3回繰り返した。

操作 3同様,計算には滴定結果の平均値を用いる。 

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結果 1 操作 3における,滴定前後のビュレットの液面の目盛り〔mL〕  滴定前 滴定後

1回目 0.24 9.27

2回目 9.32 18.33

3回目 18.37 27.39

A液 10.0 mLを中和するのに要した B液の体積1回目;9:27¡0:24=9:03〔mL〕2回目;18:33¡9:32=9:01〔mL〕3回目;27:39¡18:37=9:02〔mL〕 ∴ 3回の滴定による滴下量の平均値; 9:03+9:01+9:02

3=9:02〔mL〕

 結果 2 操作 5における,滴定前後のビュレットの液面の目盛り〔mL〕  滴定前 滴定後

1回目 0.85 8.66

2回目 8.71 16.48

3回目 16.52 24.31

C液 10.0 mLを中和するのに要した B液の体積1回目;8:66¡0:85=7:81〔mL〕2回目;16:48¡8:71=7:77〔mL〕3回目;24:31¡16:52=7:79〔mL〕 ∴ 3回の滴定による滴下量の平均値; 7:81+7:77+7:79

3=7:79〔mL〕

 

問1 操作 1で調製した A液のモル濃度〔mol=L〕を求めよ。 (6点)

問2 結果 1より,B液のモル濃度〔mol=L〕を求めよ。 (6点)

問3 結果 2より,濃度未知の酢酸水溶液のモル濃度〔mol=L〕を求めよ。 (6点)

問4 この実験では,標準溶液(正確な濃度がわかっている溶液)として A液を用いて B液の濃度を決定し,B液を用いて酢酸水溶液の濃度を決定するという手順を踏んでいる。このようにしなければならない理由を,水酸化ナトリウムの性質に着目して,簡潔に説明せよ。

(7点)

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  解 答

答案作成のポイント

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問1 (COOH)2 ¢2H2Oの 式 量 は 126.0な の で,(COOH)2 ¢2H2O0:630 gを水に溶かして 100 mLとした水溶液のモル濃度 ▲モル濃度の求め方を押さえ

る。〔mol=L〕は  0:630

126:0 £1000100

=5:00£10¡2〔mol=L〕

答 5:00£10¡2 mol=L

問2 結果 1より,A液 10.0 mLを中和するのに要した B液の体積〔mL〕は  1回目;9:27¡0:24=9:03〔mL〕  2回目;18:33¡9:32=9:01〔mL〕  3回目;27:39¡18:37=9:02〔mL〕よって,3回の滴定による滴下量の平均値は ▲滴下量は平均値をとる。

  9:03+9:01+9:023

=9:02〔mL〕

操作 3の滴定の化学反応式は  (COOH)2+2NaOH ¡! (COONa)2+2H2O

これより,B液のモル濃度を Ñ〔mol=L〕とすると 

▲中和の量的関係を正しく導く。

2£5:00£10¡2£ 10:01000

=1£Ñ£ 9:021000

  ∴ Ñ=0:1108〔mol=L〕答 0.111 mol=L

問3 結果 2より,C液 10.0 mLを中和するのに要した B液の体積〔mL〕は  1回目;8:66¡0:85=7:81〔mL〕  2回目;16:48¡8:71=7:77〔mL〕  3回目;24:31¡16:52=7:79〔mL〕よって,3回の滴定による滴下量の平均値は ▲滴下量は平均値をとる。

  7:81+7:77+7:793

=7:79〔mL〕

操作 5の滴定の化学反応式は  CH3COOH+NaOH ¡! CH3COONa+H2O

これより,C液のモル濃度を Ò〔mol=L〕とすると  ▲中和の量的関係を正しく導

く。1£Ò£ 10:01000

=1£0:1108£ 7:791000

  ∴ Ò=8:631£10¡2〔mol=L〕C液は濃度未知の酢酸水溶液を 10.0倍に薄めたものであるの

▲ C液は濃度未知の酢酸水溶液を 10.0倍に薄めたものであることを読み取る。

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で,初めの酢酸のモル濃度〔mol=L〕は  8:631£10¡2£10:0=0:8631〔mol=L〕

答 0.863 mol=L

問4 水酸化ナトリウムは空気中の水や二酸化炭素を吸収しやすい ▲水酸化ナトリウムの性質を理解する。ので,正確な濃度の水溶液を調製するのが難しいため。

 

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  解 説

問4 水酸化ナトリウムの固体を空気中に放置すると,水蒸気を吸収し,その水に溶けるようになる。このような現象を潮解とい ▲水蒸気を吸収する潮解に対し

て,結晶を乾燥した空気中に放置すると,水和水の一部を失う現象を風解という(炭酸ナトリウム十水和物など)。

う。また,水酸化ナトリウムは固体でも水溶液の状態でも空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸塩になりやすい。したがって,水酸化ナトリウム水溶液は,シュウ酸水溶液のような標準溶液を用いて濃度を決定してから滴定に用いる。 ・・

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問2 同一の試料について測定を繰り返したとき,いつも必ず同じ値になるとは限らない。多くの場合,測定値にはばらつきが生じる。これを測定誤差という。測定誤差は,測定機器や方法,測定条件の変化など,結果に偏りをもたらす「系統誤差」といわれるものと,それ以外のつきとめられない原因による「偶然誤差」に分けられる。系統誤差は原因をつきとめれば,補正することが可能である。偶然誤差は真の値に対し正負両方にばらつくので,測定を繰り返し,平均をとることにより,真の値に近づけることができる。