応募様式 図書館レファレンス大賞への応募事例...1 応募様式...

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1 応募様式 図書館レファレンス大賞への応募事例 1.事例のタイトル(応募名となります)とタイプ タイトル20 字程度。副題(サブタイトル)を含めます。) 地域の歴史を調べる公開調査「鶴舞公園に龍がいた?!」 タイプ(あてはまるものを○で囲んでください。) a質問・回答の事例 b利用促進を図る取り組みの事例 2.応募者 ※枠の大きさは適宜調整してください。 応募者名 (個人・団体など) 名古屋市鶴舞中央図書館 代表者名 *** 代表者の所属・職名等 名古屋市鶴舞中央図書館 館長 連絡先 担当者名 奉仕課奉仕第二係*** 〒所在地 4660064 愛知県名古屋市昭和区鶴舞一丁目 1 155 *** FAX *** e-mail *** (図書館の蔵書冊数について、平成 31 3 月末日の概数を記入してください。) 応募事例の 図書館名と蔵書冊数 図書館名: 名古屋市鶴舞中央図書館 あてはまる館種を○で囲んでください。 公立、学校、大学、専門、公益法人立、 その他( 蔵書冊数: 138 万冊 3.応募事例の実施時期 30 3 30 11 平成 令和 平成 令和

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応募様式

図書館レファレンス大賞への応募事例

1.事例のタイトル(応募名となります)とタイプ タイトル(20字程度。副題(サブタイトル)を含めます。)

地域の歴史を調べる公開調査「鶴舞公園に龍がいた?!」

タイプ(あてはまるものを○で囲んでください。)

a)質問・回答の事例 b)利用促進を図る取り組みの事例

2.応募者 ※枠の大きさは適宜調整してください。

応募者名

(個人・団体など) 名古屋市鶴舞中央図書館

代表者名 ***

代表者の所属・職名等 名古屋市鶴舞中央図書館 館長

連絡先

担当者名 奉仕課奉仕第二係***

〒所在地 〒466‐0064

愛知県名古屋市昭和区鶴舞一丁目 1番 155号

電 話 ***

FAX ***

e-mail ***

(図書館の蔵書冊数について、平成 31年 3月末日の概数を記入してください。)

応募事例の

図書館名と蔵書冊数

図書館名:

名古屋市鶴舞中央図書館

あてはまる館種を○で囲んでください。

公立、学校、大学、専門、公益法人立、

その他( )

蔵書冊数:

約 138万冊

3.応募事例の実施時期

30年 3月 ~ 30年 11月 頃 平成

令和

平成

令和

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4.公表について

「1.タイトル(応募名)」および「2.応募者(連絡先を除く)」を図書館総合展のホームペ

ージ等で公表することに、

同意します 同意しません (あてはまるものを○で囲んでください。)

5.a)質問の詳細と背景/b)取り組みの趣旨と目的 ※枠の大きさは適宜調整してください。

<背景>

(1)名古屋なんでも調査団

名古屋市鶴舞中央図書館(以下「図書館」)では、レファレンスサービスの PR

及び地域情報の発信を目的として、平成 24年(2012)に名古屋なんでも調査団事

業(以下「調査団」)を開始し、徹底的に名古屋にこだわった活動を行っている。

なごやりさ~ち 名古屋に関するテーマを中心に、名古屋市図書館の資料を

活用した調べ方をまとめたパスファインダー

こんななごや本あります 新刊書店だけでなく古書店もめぐって集めた「見て楽しい、

調べて役立つ本」を紹介

発見!名古屋の偉人伝 知られざる名古屋の偉人の経歴や参考文献を紹介

調査団報告書 レファレンス記録風(調査内容(質問)、調査手順、調査結

果、参考文献)に名古屋の歴史・文化を紹介する報告書

なごやカレンダー ○月×日に名古屋で何があったのか、典拠を付して紹介

名古屋物語 名古屋を描いた小説を「その作品にどれくらい名古屋が登

場しているか」を基準に☆3段階で紹介

(2)名古屋市動物園 100周年

平成 30年(2018)4 月に名古屋市動物園 100 周年を迎えるにあたり、名古屋市

東山動植物園1(以下「動植物園」)から鶴舞公園内にある図書館に協力依頼があり、

図書館を会場として動植物園提供の「記念パネル展名古屋市動物園 100年の軌跡」

の展示を行うことになった。また、図書館主催の記念事業として、①「鶴舞公園

に動物園ができるまで」(貴重資料などの展示)、②「みんなで作ろう!おりがみ動

物園」(動物のおりがみを作ってもらう参加型展示)を企画した。

このうち、おりがみ動物園の準備中に昭和 3 年(1928、辰年2)鶴舞公園附属動

物園平面図に「龍」のような文字を発見したことから、調査団初となる③公開調

査「鶴舞公園に龍がいた!?」(動物園の「龍」の文字に関する情報提供の呼びかけ、

以下「公開調査」)を企画し、その調査結果を鶴舞公園で開催される昭和区区民ま

つりの時期に合わせて公表することにした。

1 市立動物園は、大正 7年(1918)に鶴舞公園内に鶴舞公園附属動物園として開園。昭和 4年(1929)

に市立名古屋動物園と改称、昭和 12年(1937)に移転して名古屋市東山動植物園となる。 2 前年の昭和 2年(1927、卯年)には動物園で「兎に関する趣味の展覧会」が開催されていた。

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<取り組みの目的>

(1)当初の目的

当初は、公開調査で寄せられた情報と図書館での資料調査の結果をまとめて、

昭和区区民まつりの時期に合わせて公表することにより、名古屋のことについて

トコトン調べ、調べるお手伝いをする①名古屋なんでも調査団の活動を PRするこ

とを目的としていた。

(2)追加した目的

公開調査について地元の新聞・テレビ・ラジオで採りあげられ、とても関心の

高い企画だとわかったため、絶好の PRの機会だと考え、②レファレンス調査の様

子をより具体的にわかりやすく紹介することを目的に加えた。

さらに、公開調査により、名古屋市市政資料館(公文書館)から「瀧」が写っ

ている動物園開園記念絵葉書を所蔵しているとの情報提供があったこと、名古屋

市東山動植物園提供の「記念パネル展名古屋市動物園 100 年の軌跡」の中に図書

館資料では未見の写真(事務記録用アルバムの写真)が使われていたことから、

これらの③図書館未所蔵の資料をデジタル化して図書館のデジタルアーカイブで

ある「なごやコレクション」で公開し、いつでも誰でもどこからでも閲覧できる

ようにすることも目的に加えた。

6.a)図書館からの回答内容/b)図書館の取り組みの詳細

※枠の大きさは適宜調整してください。

<図書館主催の名古屋市動物園 100周年事業>※(3)~(6)が公開調査関連

(1)ガラスケース展示「鶴舞公園に動物園ができるまで」(3月 17日~6月 14日)

・調査団が年表を作成し、その典拠とした資料を展示

・動植物園との 100 周年事業の打ち合わせの際に、創立の功労者である今泉七

五郎を「園長」とする資料とそうでないとする資料があり、どちらが正しい

のかという質問があったため、名古屋市公報を調査

・名古屋市公報の情報を年表に掲載するほか、その他の今泉七五郎について調

査した内容をまとめ、「発見!名古屋の偉人伝」で紹介《→参考資料 1》

(2)参加型展示「みんなで作ろう!おりがみ動物園」(3月 17日~4月 19日)

・昭和 3 年の動物園平面図を拡大し、その上に来館者に作ってもらった動物の

おりがみを並べる参加型の展示を企画

・準備中、拡大した昭和 3 年鶴舞公園附属動物園平面図に謎の「龍」の文字を

発見し、公開調査を行うことを企画

・会場にはおりがみの用紙とおりがみの本を用意し、本は貸出も行う

・鶴舞公園内の緑化センターに「おりがみ植物園」を提案し、植物のおりがみ

の本を貸出(ほぼ同時期に図書館では「おりがみ動物園」、緑化センターでは

「おりがみ植物園」を実施)

・展示終了後、10 月の昭和区区民まつりの時期に合わせて、図書館の動物のお

りがみと植物園の植物のおりがみを交換して、それぞれ展示

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(3)公開調査「鶴舞公園に龍がいた!?」(3月 17日~8月 31日)

・名古屋市図書館全館でちらしを配布したほか、図書館ウェブサイトへの掲載、

マスコミへの情報提供、鶴舞学区連絡協議会(図書館が所在する小学校区の

組織)を通じての呼びかけを行う

(4)「鶴舞公園に龍がいた?!」調査日誌の公表(8月 4日~11月 15日,11月 22日)

・8月 4日から毎週土曜日に、調査プロセスを絵日記風に紹介する調査日誌を順

次発表《→参考資料 2》し、10月 27日からは全 12回をまとめて展示

・合わせて調査団が作成した「名古屋の龍伝説マップ」を展示

・後述の 10月 27日の報告会終了後に、報告会で公表した内容(「調査団報告書

「鶴舞公園に龍がいた?!」編」《→参考資料 3》など)を展示に追加

・11月 22日に調査日誌回答編を図書館ウェブサイトで公表《参考資料 4,5》

(5)「鶴舞公園に龍がいた?!」報告会の開催(10月 27日)

・調査プロセスと調査結果を報告

・報告会で紹介する写真を選ぶために、デジタル化した動植物園所蔵のアルバ

ム写真を確認していたところ、鶴舞公園時代の昭和 10年の写真に「恐龍の化

石の實物」の案内看板があることを発見

・「恐龍の化石の實物」が標本室に陳列されていたことに気づいたのは報告会直

前の 10月 25日のことだった

(6)デジタル化した鶴舞公園時代の動物園関連資料を公開(11月 11日)

・図書館未所蔵の資料もデジタル化して公開

7.応募事例がもたらした主な成果・効果( a), b)ともに)

※枠の大きさは適宜調整してください。

(1)成果

合計 12回(新聞 4紙 7回、テレビ 2局 3回、ラジオ 1局 2回)マスコミに採り

上げられ、多くの方に名古屋のことについてトコトン調べ、調べるお手伝いをす

る調査団の活動やレファレンスサービスを PRすることができた。

また、鶴舞公園時代の動物園関連資料について、図書館資料だけでなく、図書

館未所蔵の名古屋市市政資料館や動植物園の資料も合わせてデジタル化し、いつ

でも誰でもどこからでも閲覧することが可能になった。

(2)効果

図書館が地域の歴史や文化の継承・発展に役立つ施設であること、そのために

司書が地域資料を積極的に収集・保存・デジタル化し、調査に役立つ情報を整理

して公表・発信するとともに、質問・相談に応じて資料調査の支援を行っている

ことの例として「名古屋なんでも調査団」や「龍の調査」の話をすると、図書館

の役割や司書の仕事についてより具体的にイメージしてもらえるようになった。

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8.今後の課題や展望(応募したレファレンスサービス事例を踏まえ、今後のレファレンスサー

ビスに対する課題や展望を記入してください。) ※枠の大きさは適宜調整してください。

(1)名古屋なんでも調査団の位置づけ

利用者からの①個別の質問・相談に応じて資料調査の支援を行う狭義のレファ

レンスサービスに対して、狭義のレファレンスサービスを②記録し、そのうち③

名古屋関連の内容について④再調査し、⑤情報を整理し、調査に役立つ情報を⑥

コンテンツ化(「調査団報告」など)やレファレンスツール化(「なごやりさ~ち」

など)して公表・発信し、これらを⑦活用して狭義のレファレンスサービスにか

かる時間を短縮したり、利用者が自分自身で調べることができるようにしたり、

さらに地域団体や行政と連携してまちづくりに結びつける調査団の活動は広義の

レファレンスサービスであると考えている。

(2)公開調査「鶴舞公園に龍がいた?!」と展望

名古屋市市政資料館や動植物園の現地調査を行うことは、レファレンスサー

ビスの枠を越えているようにも感じたが、現地調査した資料を最終的に図書館

でデジタル化して、いつでも誰でもどこからでも閲覧できるようにすることが

できた。図書館のイベントとして当初より調査結果の公表を予定していたこと

が、現地調査や図書館未所蔵の資料のデジタル化に取り組む原動力となった。

調査団では、今後も名古屋に関する調査に役立つ情報を公表・発信すること

を通して、狭義のレファレンスサービスに必要な司書の調査スキルの習熟を図

るととともに、利用者が自分自身で調べることができる環境を整備し、さらに

地域の歴史や文化をまちづくりに活用できるよう地域団体や行政との連携に取

り組んでいきたい。

(注)

1 本様式とは別に参考資料を添付することも認められますが、資料のサイズはA4サイズに統一

してください。なお、本様式とあわせて全体で10ページ(10枚)以内に収めてください。

2 書類審査を通過した応募書類については、図書館総合展ホームページ等で公表させていただく

場合がありますので、本様式の作成にあたっては個人情報の記載等について御留意ください。

地域団体

行政

利用者

資料

狭義の

レファレンス

サービス

記録

公表 再調査

情報の整理

質問・相談

回答

記録

名古屋関連

再調査

情報の整理

コンテンツ化

レファレンスツール化

活用して

時間短縮

連携

まちづくりに活用

名古屋なんでも調査団(司書)の活動=広義のレファレンスサービス

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作成:名古屋市図書館 名古屋なんでも調査団

№17

今泉七五郎(いまいずみしちごろう)の巻

『名古屋市立鶴舞公園附属

動物園要覧 昭和 3年』より

ここがスゴイ!

ほぼ独力で前津や門前町に動植物園、動物園を開設。

のちに、その動物を名古屋市に寄付した名古屋市動物

園創立の功労者。

こんな人生を送ってきました(経歴)

鍋屋町警察分署の巡査だった今泉七五郎は、明治 23(1890)年に自ら収集した動

植物を整理して、前津に浪越教育動植物苑を開設しました。明治 43(1910)年 10月

には一部の動物を移し、門前町に今泉動物園を開園します。のちに、私営の限界を感

じた七五郎が名古屋市への寄付を申し出ると、市会は満場一致で可決しました。

大正 7(1918)年 4月 1日の市立動物園創立とともに、七五郎は名古屋市鶴舞公園

技手に任命され(市公報第 137号)、鶴舞公園への動物の引っ越しを陣頭指揮します。

当時は動物園長の役職はありませんでしたが、初代東山動物園長の北王英一は昭和

12(1937)年 5月の座談会で、七五郎のことを園長と呼んでおり、関係者の記憶の中

では事実上の園長だったようです。昭和 3(1928)年 7 月 24 日に亡くなった七五郎

の戒名は勇猛院不退居士であったと伝えられています。

もっとくわしく知りたいあなたに(参考文献)

『近代都市の衛生環境<名古屋編>37』 近現代資料刊行会 2015年

名古屋新聞 明治 43年 3月 10日朝刊 5頁、明治 43年 10月 24日朝刊 5頁

『名古屋郷土叢書 第 1巻』 国書刊行会 1986年

《参考資料 1》

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「鶴舞公園に龍がいた?!」調査日誌(全 12回)

公表日 タイトル、主な内容

8月 4日(土)

№1「昭和 3年動物園平面図に「龍」の文字が見つかる」(2018.1.19)

名古屋市動物園 100周年記念事業の準備中に「龍」の文字を発見

8月 11日(土) №2「昭和 3年の干支が「辰」と判明」(2018.2.某日)

昭和 2年に「兎に関する趣味の展覧会」が開催されていたことが判明

8月 18日(土) №3「昭和 3年の鳥瞰図に動物園の池が描かれていた」(2018.2.某日)

貴重資料などの展示に合わせて「動物園ができるまで年表」を作成

8月 25日(土) №4「名古屋なんでも調査団、初の公開調査に踏み切る」(2019.2.16)

レファレンスサービスを行う名古屋なんでも調査団を紹介

9月 1日(土)

№5「おりがみ動物園、関連展示、公開調査スタート」(2019.3.17)

図書館主催の名古屋市動物園 100周年を開始

9月 8日(土)

№6「公開調査終了、さらなる調査のためにチームを編成」(2019.8.31)

公開調査で寄せられた情報から「龍」の文字の場所は「瀧」と判明

9月 15日(土) №7「鶴舞公園には「龍ヶ池」がある!名前の由来は?」(2018.9.某日)

「なごやりさ~ち」(パスファインダー)を使用した調査方法を紹介

9月 22日(土) №8「見立ての文化、徳川園の「龍門の瀧」には鯉がいる!」(2018.9.11)

徳川園の「龍門の瀧」を現地調査、滝壺には鯉に見立てた岩がある

9月 29日(土) №9「鶴舞公園附属動物園開園記念絵葉書を調査!」(2019.9.某日)

「なごやコレクション」の機能の一つ「市政資料館資料検索」を紹介

10月 6日(土) №10「『ワニと龍』、鰐は動物園を代表する動物だった!」(2018.9.某日)

昭和 3年の動物園要覧と絵葉書の袋の鰐を紹介

10月 13日(土) №11「東山動植物園の恐竜像・ワニ・噴水を調査!」(2018.10.2)

東山動物園を現地調査、正門すぐの噴水に十二支の動物が刻まれていた

10月 20日(土) №12「鶴舞公園にあった動物園の資料をデジタル化!」(2018.10.某日)

利用と保存の両立のため資料のデジタル化に取り組んでいることを紹介

《参考資料 2》

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作成:名古屋市図書館 名古屋なんでも調査団 平成 30年 10月 27日

「鶴舞公園に龍がいた?!」編

調査内容

鶴舞公園にあった動物園の平面図に「龍」の文字があるけど、もしかして動物園に龍が

いたなんてことないよね?

調査手順

過去の報告書に調査№44「鶴舞公園にトラがいたって本当?」というのがあった。大正

7年から昭和 12年まで、図書館の隣に動物園があったんだ。

「龍」の文字は昭和 3年の動物園平面図にあるけど、正直、「瀧」の字のようにも見える。

動物園要覧の収容動物の中に「龍」はいなし、「瀧」があったとも書かれていない。でも、

よくよく動物園要覧を調べたら、昭和 2 年の卯年に干支にちなんだ「兎に関する趣味の展

覧会」が行われていることがわかった。そうすると、昭和 3 年の辰年に龍にちなんだ催し

が行われたとしてもおかしくはない。

昭和 3年か、今から 90年前だな。もしかしたら 90代の地元の人なら何か覚えているか

も。ちょうど名古屋市動物園 100 周年だし、調査団初の公開調査として広く情報提供を呼

びかけてみよう!

公開調査で合計 41件の情報提供があった。市政資料館からは「瀧」らしいものが写った

開園記念絵葉書を所蔵しているとの情報提供があり、実際に「瀧」があったという目撃証

言も複数あった。写真や証言から昭和 3 年動物園平面図の「龍」の文字の場所に「瀧」が

あったことは間違いないだろう。「龍門の瀧」のある徳川園や東山動植物園へも現地調査へ

行ったが、東山動植物園には昭和 13年に造られた 3体の恐竜像があるほか、十二支の動物

を刻んだ大噴水が昭和 12年の開園当初からあったことがわかった。しかも、正門から入っ

てすぐに十二支の龍と虎がお出迎えしてくれる配置になっていたのには驚いた。さらに東

山動植物園から鶴舞公園時代の貴重なアルバムを借用して、デジタル化することになり、

アルバムの写真を拡大してみると、あれ?「恐龍」って書いてある?

調査結果

昭和 10年 5月 4日から 26日まで開催された第 4回動物祭では「恐龍」のパノラマが展

示され、「恐龍の化石の實物が標本室に陳列してあります」と書かれた案内表示があったこ

とが確認できました。動物園に龍がいたと言えるかもしれません。

今回の調査で使った資料

『名古屋市立鶴舞公園附属動物園要覧 昭和 3年』

名古屋市鶴舞公園附属動物園 1928年

『名古屋市鶴舞公園附属動物園開園記念絵葉書』 (市政資料館所蔵)

鶴舞公園時代の「昭和 9年」アルバム (東山動植物園所蔵)

「東山動植物園要覧」

(『近代都市の衛生環境[名古屋編]37 近現代資料刊行会 2015年』)

《参考資料 3》

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名古屋なんでも調査団「鶴舞公園に龍がいた?!」調査日誌(回答編)№1

報告会「鶴舞公園に龍がいた?!」を開催

はどきりとしたが、惜しくも会場は松坂屋だった。

会」への出品募集の新聞記事注4

が見つかったとき

まいだ。浪越吉馬会が主催する「龍に因んだ展覧

因んだ催しが行われたかは残念ながらわからずじ

期待していた昭和三年の辰年に動物園で干支に

場所には「瀧」があったことがわかったが、一番

きっかけとなった動物園の「龍」のような文字の

か残念ながらはっきりしない。そもそもの調査の

多分に加えたそうで、どこまでが本来の伝説なの

自宅にあった古い漢文の記録を口語訳して想像も

たとする本注3

が見つかった。その自序によると

は書かれていないが、鶴舞公園の龍ヶ池に龍がい

鶴舞公園に龍がいたのか?

定番の参考図書に

平成三〇年十月二七日(土)

注 3=『名古屋雑史 其他』 川島清堂/著 川島清堂 1968年 注 4=名古屋新聞 昭和 3年 1月 9日 朝刊

《参考資料 4》

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名古屋なんでも調査団「鶴舞公園に龍がいた?!」調査日誌(回答編) №2

昭和 10年 5月動物祭、鶴舞公園に恐龍がいた!

こういうことがあるからレファレンスは面白い。

もの「龍」の文字とは場所も年代も異なるけれど、

化石の實物」もあったことに気がついた。そもそ

時代」の写真を見つけ、さらに二五日に「恐龍の

のアルバム注5

の中から昭和十年五月の「恐龍横行

日前、十月二四日にデジタル化した東山動植物園

真撮影が主な目的だった。ところが、報告会の三

で現地調査を行ったが、実のところ報告会用の写

た。九月には徳川園、市政資料館、東山動植物園

の報告をすることになりそうだと思いはじめてい

十月二七日の報告会では初となる「未解決」事例

曜日に調査日誌の公表をはじめた。この頃には、

その終わりを予告する形で、八月四日から毎週土

三月にはじめた龍の公開調査は八月末で終了し、

注 5=『[市立名古屋動物園アルバム] 昭和 9年』 (「なごやコレクション」収録)

東山動植物園所蔵のアルバムより

《参考資料 5》