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園 長 だ よ り - dai1-k.nagoya-c.ed.jp · ポイント① 子育て時ㆊは大変です!...
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園 長 だ よ り
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平成27年3月3日
名古屋市立第一幼稚園
鈴 木 照 美
平成27年3月1日、幼稚園は創立記念日でした。123歳になりました。
子どもたちは、子どもたちは、子どもたちは、子どもたちは、いよいよ1年間の締めくくりの時を迎えます。いよいよ1年間の締めくくりの時を迎えます。いよいよ1年間の締めくくりの時を迎えます。いよいよ1年間の締めくくりの時を迎えます。
今回は最終号??? 長編です。お時間のある時にお読みくだされば幸いです。
*双葉会教養部の事業で、僭越ながらお話をさせていただく機会をいただいて…
昨日、お集まりただいた保護者の皆様の前で「おしえて!園長先生」という演題でお話をさせて
いただく機会をいただきました。たくさんの方にお集まりいただき、貴重な時間を頂戴しました。
PTA幹事会の皆様にも場を設けていただきましたことに深く感謝いたします。小さなお子様をお
連れのお父様、お母様もご参加いただきました。園行事はできるだけ都合をつけて参加しようとい
う姿勢に頭が下がります。
今回は一年の締めくくりの時期でしたので、第一幼稚園の教育の方針をお伝えしたいという気持
ちがありました。保護者の皆様への感謝の気持ちも伝えたいと思いました。そして他にも・・・
などと、あれこれ弁解を述べても仕方がありませんので、園長だよりとしてまとめさせていただく
ことにします。 本当は次のようなことをお伝えしたいと思っていたのです。
えぇっ!全然違う! という声が聞こえてきそう…。
ポイント① 子育て時代は大変です! 一人で頑張ることはやめましょう。自分自身を大切にし、
周りの人からも大切にしてもらえるような支援・協力体制をつくりましょう。
※ 夫、母、父、おばあちゃん、おじいちゃん、自分の兄弟や夫の家族、友人
困ったときは周りにいる人をまきこみながら乗り切りましょう。
※ 今は様々な子育てサポートの制度ができています。自分にぴったりのサポー
ト体制を調べて有効に使いましょう。
ポイント② 親も子も卒園生も、誰もが集う親しみを感じるフレンドリーな園にしたいのです。
ポイント③ 子どもには、自分は愛されていることを強く実感してほしいのです。この気持ちは
自己肯定感につながり、自分を大切にしようとする気持ちをはぐくみ、生涯、人とし
て生きていく上での大きな力になります。
ポイント④ 園で活躍、地域で活躍、前に向かって楽しそうに努力している親の姿から、必ず子
どもは影響を受けています。お父さんやお母さんの生き方やふるまい方が、最高の教
育であると思います。
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*幼児期の教育から児童期の教育へ、ゆったりと、じっくりと・・・
先月、文部科学省の方と経済界の若手のリーダーを目指すフォーラム 21 に所属する方が本園
を視察訪問され、将来の日本の教育を考えるため、幼児教育はどのようにあるべきかといった話
し合いをする機会がありました。とても有意義な時間を過ごすことができ、私自身の幼児教育に
対する考え方を見直す機会になりました。
子ども子育て支援新制度は平成 27 年度の 4 月から始まりますが、名古屋市の公立幼稚園は全
国レベルで見てみるとかなり充実した状態にあり、大きく変わることはありません。今まで通り、
幼児期から小学校の児童期へと、大切だと思うことを地道に貫いていくことだと思っています。
では、どのようなことを大切と考えているか、一度整理してみることにしました。
① 一人一人が登っていく幼児期の成長の階段は…
年長の子どもたちはそろそろ幼児期の階段を上りきって、いよいよ児童期へ踏み出そうとして
います。幼児期の成長には目を見張るものがありますが、子どもが育つ姿を、階段を登る様子に
例えるのなら、階段は高さも幅も一人一人異なり、上がる速さも
それぞれに違っています。
幼稚園生活に入り、階段を登り始める時期においても、3 歳に
なったばかりの子と、もうすぐ4歳になるという子もいて、年齢
が小さければ小さいほど個人差は大きいものです。
年長の保護者の方は園生活もゴールに近づくにつれ、子ども同士の育ちを比べ、焦ってみても
しかたのないことだったと、ほろ苦い思い出とともに、わが子の歴史を愛おしく振り返る方もい
らっしゃるのではないでしょうか。
幼稚園では、どの子も自立した人となるために通る道を、それぞれのペースに合わせてしっか
りと歩むお手伝いをしていますが、その重要性や専門性はなかなか世間には理解されません。見
栄えのいい結果だけを見ている大人が多いことを残念に思います。
② 主体性を身につけるのは幼児期から…
「うちの子、3月の誕生日がきたら、なんでもできるって思っているんです」3月生まれの子
のお母さんの名言です。幼児期にはやってみたいと思うことを思う存分できる自由感が必要だと
思います。3歳児のNちゃんはもうすぐお誕生日が来ます。最近なんだかお姉さんになったよう
な気分の中、鉄棒の前回りに興味をもちました。少し頑張ればできそうな予感がするのでしょう
か、1週間くらい前から「手伝って!」と先生を呼ぶようになりました。飛び上がるにはちょっ
と高い鉄棒ですが、くるりと回ることは怖くありません。大人が見るとハラハラするような回り
方でしたが、自信をもったNちゃんは何度も何度も繰り返し飛び上がるのを手伝ってもらおうと
します。あまりに回数が多くなったところで、無理があっては危ないと思い、「Nちゃん、園長
先生のお手伝いスイッチはここよ」と私の洋服のボタンを示しました。すると、力強くうなずき、
Nちゃんのペースでくるりと回るとふうっと一息ついて休みがはいるようになりました。「ポン」
と言ってスイッチを押す、するとぴょんと飛び上がるお手伝いをしてもらって次のチャレンジが
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始まる…そういうゆったりとした一連の流れができました。教師の援助はその子のペースに合わ
せてじっくりと付き合っていくから、安心して好きなだけやってね」と伝えること
だと学びました。さらに、回転感覚に慣れることと、ぴょんと飛び上がるときに声
を掛け、Nちゃんが自分の力で飛び上がろうとするのに合わせて補助するという微
妙な力加減で付き合うようにしました。
後日、タイヤを置いてその上に登って行えば自分で飛び上がれるようになり、1週間後にはタ
イヤなしでもぴょんと飛び上がれることもあるようになったNちゃんは大喜びでほとんどの先
生に自分のうれしい出来事を伝え、見せて拍手喝さいを浴びていました。
鉄棒を例にとりましたが、描画、製作、折り紙、あやとり、かけっこ、踊り、コマ回し、縄跳
び、サッカー、そのほか幼稚園で子どもが見つけること等、これは子どもが興味をもったことす
べてに当てはまることです。
強制的にさせるのではなく、自らしようとする意欲を支えることで主体性はうまれ、成功した
体験に後押しをされてさらに培われていくものだと考えます。自由感のあふれるカリキュラムの
なかで育つ本園の子どもたちは、確実に主体性が育つ環境の中で生活していると思います。
③ 個人差や個性に寄り添いながら大切なことが身につくように…
子どもの姿は、受け手の大人から見ると良さと課題が表裏一体です。気分によってかわいらし
いと感じるときもあれば、苦々しく思ってしまうこともあります。
3 歳児の A ちゃんは友達の使っている人形を取って叱られ、機嫌を損ねて手足をバタバタさ
せながら大泣きしています。「意地悪」「わがまま」と思われてしまいそうな状況ですが、少
し見方を変えると「執着するほど大好きな物がある」「自己主張ができる」という大切な面
でもあります。 ⇒ 自分の幼いころを思い出すと、絶対に人にゆずれないときもありましたよね。
4 歳児の B ちゃんは集団遊びのゲームのなかでじゃんけんに負け、友達の列の後ろにつなが
らなくてはなりません。「もう一回じゃんけんしよう」と言って「ずるい!」と友達になじ
られ、怒りが爆発して友達を叩いてしまいました。叩いたことで周りのみんなから「いけな
いことをした!」と騒がれ、悲しくなって大声で泣きました。「泣き虫」「怒りんぼ」と思わ
れそうですが、見方によっては「豊かに表出できる」や「負けたくない気持ちが強く向上心
がある」ともいえます。 ⇒ 分かっていても悔しくて泣けちゃうときってありましたよね。
5 歳児の C ちゃんは、ドッジボールが大好き。自分に都合のい
いルールにどんどんと変えてお友達にやり方を命令しています。
仲良しの D ちゃんから「いばりんぼ」「勝手ばっかりする」とい
われて遊びが中断してしまいました。他の友達も便乗して「C
ちゃん、ずるいよね」となじられて泣けてしまいました。少し前までは「リーダーとしての
資質」や「統率力や調整力のある子ども」としてみんながCちゃんの遊んでいるところへ「入
れて」と入ってきていました。遊びが面白くなるように変えていただけなのに、とCちゃん
は思っただけかもしれません。 ⇒ 面白く遊びたい気持ちが強くてつい命令口調になってしまったので
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しょうね。スピーディーに行いたかったのかもしれません。
幼児が出会う自己主張のぶつかり合いや意見の違いから起きるいざこざは、小学校でたとえる
のなら、大変高度な学習を促す「生きた教科書」だと言えます。一緒に遊んでいたり近くで見届
けたりしている共感的な理解者である先生のかかわり方次第で、子どもの良さはうんと引き出さ
れますし、周りの子どもたちも一緒に考える力が育ち、成長します。
子どもたちを信じて、よく話を聞いたり、一緒に困ったりしていると、
友達間の微妙な好悪の感情、一緒に遊んできた時間の長さ、満たされた
気持ちで生活していると生まれてくるゆとりのある応答や譲る態度等、
様々な思惑が絡み合いながらも、次第に折り合いを付けて状況を改善し
ていくような微妙な空気感のようなものを感じることがあります。
そのようなときに、「子どもの世界ってすばらしい!」と感動するし、集団の
中で自由感をもって、みんなと一緒に生活していくことの意味深さを感じます。
そして、同じ場にいるそれぞれの子が人として成長していることを実感します。
私は、人と暮らす中で子どもたちが身につけてほしいことは、教え込むので
はなく、自ら気付き、主体的にできるような状況をつくり、促したり褒めたりしながらできるよ
うになることを目指していきたいと思っています。
子ども心にも反射的にそうしないと居心地が悪くなるような感覚を得るまで、繰り返し、地道
に根気よく知らせていきたいと思います。この方法は回り道かもしれませんが、ゆくゆくは人と
してどのように自分があるといいかを自覚的に学ぶことにつながると信じています。
人によってその時期は違います。どの子も「今すぐ」でなくてもいいのだと思います。
※ 先生たちと話し合って、大切にしていること(まとめ)
このような私の考え方を理解し、先生たちは次のようなことに気を付けて一人一人が生活でき
るようにしています。
幼児期に大切にしたいこと ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
① どの子も愛されているという実感をもつ
② 親も子も安定した毎日を安心して過ごす
③ 自分なりに動く楽しさやおもしろさを感じられる遊びをする
④ 身近にあるものを使ったり、何かに見立てたりしてすぐに遊び始める
⑤ あこがれの誰か、興味のある動物、さまざまなものに変身して遊ぶのが楽しい
⑥ 思い通りになるうれしさや、反対に、思い通りにはならないつまらなさを感じる
⑦ 遊びのなかでお話の展開や変化があると面白いなと感じる
⑧ 自分で考えて、つくったり試したりする時間がたくさんある
⑨ 自分が人の役に立つことが分かり、うれしさを感じる
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⑩ 友達といることがうれしくて、いつも一緒に遊びたいと思う
⑪ 大きくなったとほめられると、うれしくて自信と誇りをもつ
⑫ 全力を出し切って取り組むことに張り合いを感じられる
⑬ 正しいことを行うことが大切だという感覚をもてる
⑭ 「もっと」「こんどは」と、挑戦したり、納得いくまで取り組んだりできる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*幼児教育の特徴である「環境による教育」の実践を究めたい…
もうひとつ、考えていることがあります。幼児期は、自ら聞いて、見て、動いて、触れて、扱
って、味わって…いわゆる五感を通した体験をいっぱい蓄えていく時期だと考えます。そのこと
が土台になり、学びの基礎となっていくと考えます。本園では、子どもたちに生きた教科書で学
ぶ機会を用意するために、先生たちがたくさんの仕事をしてくれ
ています。まさに職人さんのように毎日同じように適切な心地よ
い環境を整えることもあれば、芸術家のように創意工夫を凝らし
てあっと驚く仕掛けを整えたりすることがあります。季節や発達
にふさわしい工夫された環境を工夫し、周りにいる先生や友達の
影響も受けながら「環境による教育」が行われるように準備して
いるのです。
ちなみに、幼児期に行われる「環境による教育」は、小学校以
降に学ぶ「環境教育」とは異なります。
※ 小学校における環境教育は“人間と地球環境とのかかわりについて理解を深め、環境の回復、創造
に向けた知識や関心を高める教育”です。
第一幼稚園では・・・
* 今日の保育を振り返り、課題を見付けて、次へのステップを着実に歩みだせるような協同的
な目的をもった先生たちの集団、“チーム第一”を目指していきたいと思います。
園の教職員が気持ちを一つにして、一人一人のお子様の課題を明確にして共通理解できるよう
に努力し、保護者の皆さまにも、子どもたちにもしっかりと向き合う幼稚園でありたいと願って
います。
「環境」って???
遊具も人も物も・・・
幼児を取り巻くもの
「ぜ~んぶ」ってこと
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✿本日持ち帰る予定のひな人形をご紹介します
本園ではひな人形は画一的にみんな同じようにつくるわけではありません。
試行錯誤しながら主体的に製作活動に取り組んだ末に出来上がった作品です。
とりわけ、今年のひな人形は個性派ぞろい。例えば・・・
� ひな壇の中に三人官女が収納できるお雛様
� お内裏様と一緒に車でドライブに出かけようとしているお雛様
� ペンのキャップを何個も重ねてニョキニョキと伸びているぼんぼり・・・
� ぼくは立たせたい、私は紙に貼りたい・・・
個性あふれるこだわりのひな人形が、各部屋に飾られました。
お家に持ち帰った折には、いつものようにおおいにほめてあげてください。