後 中 陽 子 - Bukkyo...

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佛教大学大学院紀要 第34号(2006年3月) エ ミリ ・ブロンテの詩 におけるく死 〉の観念の変遷 について 〔抄 録〕 エ ミ リ ・ブ ロ ン テ の詩 に お い て く 死 〉 は重 要 な テ ー マ の 一 つ で あ る。 彼 女 の く 死 〉 に対 す る思 想 は 、 初 期 の作 品 か ら中期 、 後 期 と時 を 経 る につ れ 、 し だい に深 み を増 す ように思われる。本稿 ではお もに、初期の代表作 としてH41「詩行」、 中期 の もの と し てH155「 自問」、後期 の もの としてH177「 信仰 と失 望」、 これ ら3つの詩篇 を中心 にと りあげ、そこに描かれるく死 〉について考える。卓絶した想像力によって広大な精神 世 界 を 有 し、哲 学 的 な思 索 を好 む エ ミ リ ・ブ ロ ン テ の 、 〈 死 〉の 思 想 と は どの よ う な もの か 、彼 女 の 詩 にお け る く死 〉に対 す る考 え は どの よ う な軌 跡 をた ど っ て変 貌 を遂 げ て い くのか 、 本稿 は この 点 につ い て の考 察 を 目的 とす る。 キーワード 〈 死 〉 、 人 間 、 〈 生 〉、 自然 界 、 〈 永 遠 〉 序論 エ ミ リ ・ブ ロ ンテ(EmilyBronte ,1818-48)は ブロンテ三姉妹の中でも、とりわけて強い自 我 と克 己的 な魂 の持 ち 主 で あ る。彼 女 は 、1842年の短 期 間 ブ リュ ッセ ル に留 学 した こ と以 外 は、 愛 す る 故郷 ハ ワー ス の 地 を生 涯 ほ とん ど離 れ る こ とが な か っ た 。30年の 短 い 生 涯 を地 理 的 に は 非常に限られた空間で過ごしながらも、彼女の思索は、空想力という友の助けを借りて、彼女 の内面世界を広げ、人間全体の普遍的真理の考察へと大きく飛翔した。ブロンテの孤高の魂の 叫びは、彼女の詩の中で如実に語られている。 エ ミ リ ・ブ ロ ンテ の 最 初 の 詩 が書 か れ た 日付 は、 ハ ッ トフ ィー ル ド(C .W.Hatfield)編The CompletePoemsofEmilyJaneBronteに よれ ば 、1836年7月12日と なっ て い る 。 エ ミ リは17歳 の頃か ら詩 を書 き始 めた。彼女の詩作期 間は1836年か ら1848年 の ほ ぼ12年間 で あ る。 彼 女 の詩 は 、 個 人 的 な 告 白 と も い え る 詩 と 、 妹 の ア ン(AnneBronte,1820-49)と 共同で創作していたゴ ン ダ ル 物 語 の た め に 書 か れ 、 架 空 の 人 物 に 託 し て 歌 っ た ゴ ン ダ ル 詩(GondalPoems)と の二種 類 に大 別 で きる(1)。 エ ミリ は1844年2月に、 これ ま で綴 っ て きた 詩 を ゴ ン ダル 詩 とそ の他 の詩 とに分 類 して 二 冊 の ノー トに ま とめ て い る(2)。 ハ ッ トフ ィー ル ドが これ ら二 冊 の ノ ー トブ ック に 基 づ い て 、 エ ミ リ の 個 人 的 な 述 懐 を 綴 っ た 詩 を ノ ー トA、 ゴ ン ダ ル 詩 を ノ ー トBと記 号 を つ け 一27一

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佛教大学大学 院紀要 第34号(2006年3月)

エ ミリ ・ブロンテの詩 におけるく死 〉の観念の変遷 について

後 中 陽 子

〔抄 録〕

エミリ ・ブロンテの詩においてく死〉は重要なテーマの一つである。彼女のく死〉

に対する思想は、初期の作品から中期、後期と時を経るにつれ、しだいに深みを増す

ように思われる。本稿ではおもに、初期の代表作 としてH41「 詩行」、中期のものとし

てH155「 自問」、後期のものとしてH177「 信仰 と失望」、これら3つ の詩篇を中心にと

りあげ、そこに描かれるく死 〉について考える。卓絶した想像力によって広大な精神

世界を有し、哲学的な思索を好むエミリ ・ブロンテの、〈死〉の思想とはどのような

ものか、彼女の詩におけるく死 〉に対する考えはどのような軌跡をたどって変貌 を遂

げていくのか、本稿 はこの点についての考察を目的とする。

キ ー ワ ー ド 〈死 〉、 人 間 、 〈 生 〉、 自然 界 、 〈 永 遠 〉

序論

エ ミ リ ・ブ ロ ンテ(EmilyBronte ,1818-48)は ブ ロ ン テ三 姉 妹 の 中 で も、 と りわ け て 強 い 自

我 と克 己的 な魂 の持 ち 主 で あ る。彼 女 は 、1842年 の短 期 間 ブ リュ ッセ ル に留 学 した こ と以 外 は、

愛 す る 故郷 ハ ワー ス の 地 を生 涯 ほ とん ど離 れ る こ とが な か っ た 。30年 の 短 い 生 涯 を地 理 的 に は

非 常 に 限 られ た 空 間 で 過 ご しなが ら も、彼 女 の 思 索 は、 空想 力 とい う友 の 助 け を借 りて、 彼 女

の 内面 世界 を広 げ 、 人 間 全 体 の普 遍 的真 理 の 考 察 へ と大 き く飛 翔 した 。 ブ ロ ンテ の孤 高 の魂 の

叫 び は、 彼 女 の 詩 の 中 で 如 実 に語 られ て い る 。

エ ミ リ ・ブ ロ ンテ の 最 初 の 詩 が書 か れ た 日付 は、 ハ ッ トフ ィー ル ド(C .W.Hatfield)編The

CompletePoemsofEmilyJaneBronteに よれ ば 、1836年7月12日 と なっ て い る 。 エ ミ リは17歳

の 頃 か ら詩 を書 き始 め た 。 彼 女 の 詩 作 期 間 は1836年 か ら1848年 の ほ ぼ12年 間 で あ る。 彼 女 の詩

は、 個 人 的 な告 白 と もい え る詩 と、 妹 の ア ン(AnneBronte,1820-49)と 共 同 で創 作 して い た ゴ

ンダ ル物 語 の ため に書 か れ 、 架 空 の 人 物 に託 して歌 っ た ゴ ン ダル 詩(GondalPoems)と の二 種

類 に大 別 で きる(1)。 エ ミリ は1844年2月 に、 これ ま で綴 っ て きた 詩 を ゴ ン ダル 詩 とそ の他 の詩

とに分 類 して 二 冊 の ノー トに ま とめ て い る(2)。ハ ッ トフ ィー ル ドが これ ら二 冊 の ノ ー トブ ック

に基 づ い て、 エ ミリ の個 人 的 な述 懐 を綴 っ た詩 を ノ ー トA、 ゴ ン ダル詩 を ノ ー トBと 記 号 を つ け

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エ ミリ ・ブ ロンテの詩におけるく死 〉の観念 の変遷 について(後 中 陽子)

て 手 堅 く研 究 して くれ た お か げで 、 わ れ わ れ は ゴ ン ダル 詩 篇 とそ の 他 の詩 篇 の 区 別 をつ け る こ

とが で きる(3)。

全193篇 か らな る詩 作 品 の 中 で も、 〈 死 〉 は初 期 の作 品 の 頃 か ら、 エ ミ リ ・ブ ロ ンテ の 詩 の根

幹 を なす 課 題 で あ っ た 。 本 稿 で は、 彼 女 の詩 に お け る 重 要 な テ ーマ の一 つ で あ るく 死 〉 に着 目

し、 彼 女 の く死 〉に対 す る観 念 が どの よ う な変 貌 を 遂 げ て い っ たの か 、 そ の軌 跡 をた ど っ て み

た い 。

1.エ ミ リ ・ブ ロ ン テ の 初 期 の 詩 に 見 ら れ る く 死 〉 の 観 念

まず 、初 期 の 作 品 と して 数 え られ る で あ ろ うH41`Lines'「 詩 行 」 を と りあ げ、 そ こ に見 ら

れ る く死 〉の 観 念 に つ い て 考 察 す る。

1837年12月 、 エ ミ リ19歳 の と き に書 か れ た詩 で あ るH41「 詩 行 」 は、`Idie'「 わ た しは 死 ぬ 」

と、 語 り手 が 自分 が 死 ぬ こ と を告 げ る言 葉 で 始 ま る 。 これ は ゴ ンダ ル 詩 に分 類 され る作 品 で 、

死 ん で い こ う とす る人 物 は特 定 で きな いが 、 『嵐 が 丘 』(WutheringHeights,1847)の キ ャス リ

ン ・ア ー ン シ ョウ(CatherineEamshaw)を 想 起 させ る もの が あ る と され る(4)。物 語 の 人 物 の

言 葉 に託 して は い るが 、 エ ミ リ自 身 の 思想 が窺 え る重 要 な詩 の一 つ だ とい え るだ ろ う。 第1連

を引 用 す る。

Idie;butwhenthegraveshallpress

Theheartsolongendearedtothee,

Whenearthlycaresnomoredistress

Andearthlyjoysarenoughttome,(5)

第1連3・4行 目 「こ の世 の煩 い が も うわ た しを悩 ま す こ と もな く/こ の 世 の歓 び もわ た し

に は何 とい う こ と も な くな る と き」 とい う詩 行 が 、 現 世 の 憂 い や 喜 び に心 捕 わ れ る こ とが な く

な っ た状 態 、 つ ま り 「わ た し」 が 死 ぬ と き を表 して い る こ と は明 らか で あ る。 こ の 詩 の 主 人 公

は 、 い まか ら死 に ゆ く人 で あ る 。 第1連 で 、 この 詩 が く死 〉 を歌 った もの で あ り、 また 語 り手

が`thee'厂 あ なた 」 に向 か って 語 り手 自身 との 永 別 に際 す る心 構 え を諭 して い る詩 で あ る こ と

が示 され る。

`earthlycares'の 言 葉 か ら は、 の ち に歌 わ れ る こ と と な るH174`ToImagination'「 想 像 力

に よせ て」 の 第1連 の一 節`Whenwearywiththelongday'scare,/Andearthlychangefrom

paintopain,/Andlost,andreadytodespair'(6)「 長 い 一 日の心 労 に倦 み/苦 痛 か ら苦 痛 に移 る

この 世 の変 化 に 疲 れ は て/こ こ ろ も挫 け て い ま に も絶 望 に 沈 も う とす る と き」 が 想 起 さ れ る 。

さ ら に、`earthlyjoys'の 言 葉 か らは、 や は り後 年 の作H188`Anticipation'「 期 待 」 の 第5連

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佛教大学大学院紀要 第34号(2006年3月)

を想 起 す る こ とが で きる。 彼 女 はH188の 中 で`...everyphaseofearthlyjoy/Willalwaysfade

andalwayscloy-'(7)「 この 世 の 歓 び は あ らゆ る 面 が/必 ず 色 褪 せ 必 ず 鼻 につ く」 と歌 っ て い

る 。彼 女 に と っ て`earthlycares'と は、 苦 痛 か ら苦 痛 へ と移 り変 わ り定 ま る こ との な い 変 化

で あ り、 詩 入 の 心 を摩 耗 す る もの で あ る。 そ して`earthlyjoys'は 、 い つ か色 褪 せ 飽 きが くる

もの、 とて も信 じる に足 る もので はあ りえ な い 。

H41の 第2連 に進 む 。 現 世 の 煩 い か ら解 放 され る で あ ろ う詩 の語 り手 は 、 こ の世 に残 して い

く 「あ な た」 に 向か っ て次 の よ う に語 る。

Weepnot,butthinkthatIhavepast

Beforetheeo'eraseaofgloom,

Haveanchoredsafe,andrestatlast

Wheretearsandmourningcannotcome.(s>

語 り手 の 言 に よ れ ば、 死 に ゆ くこ と は 「涙 と嘆 きの お とず れ る こ との で きな い と こ ろに/無

事 錨 をお ろ しつ い に安 ら ぎ を得 る」 こ とで あ る。 涙 と嘆 きが お とず れ る の は こ の現 世 の み 。 死

者 の 国 に入 れ ば 、 そ れ らに悩 ま され る こ と は な く、 安 ら ぎ を得 る こ とが で き る 。 これ がH41の

詩 にお け る く死 〉 の捉 え 方 で あ る。 だ か ら悲 しむ必 要 は な い の だ と、 語 り手 は 聞 き手 に対 して

優 し く教 え 諭す 。

第3連 で は、 死 出の 旅 路 が`...stormsaroundandfearsbefore/Andnokindlighttopointthe

shore'(9)「 四 方 に は嵐 、 前 途 に は恐 怖/岸 辺 を指 し示 す や さ しい光 もな い大 海 原 を」 行 くこ と

で あ る と歌 われ る 。 こ う して く 死 〉の 世 界 に た ど り着 い た 語 り手 は、 〈生 〉 に つ い て 、 〈 死 〉

につ い て 、 次 の よ うに述 べ る 。 第4連 を引 用 す る。

Butlongorshortthoughlifemaybe

'Tisnothi皿gtoeternity;

Wepartbelowtomeetonhigh

Whereblissfulagesneverdie.(io)

語 り手 は、 「長 か ろ う と短 か ろ う と/人 生 は永 遠 に比 べ れ ば無 に等 しい」 とい う。 この言 葉 か

ら は、 お よそ19歳 の 少 女 が 書 い た とは思 え な い ほ どの 、 人 生 を 達 観 した 者 の 眼差 しが 窺 え る 。

〈 生 〉 は刹 那 の こ とで あ り、 永 劫 の く時 〉 の流 れ に は比 す るべ く もな い の だ と、 語 り手 は主 張

す る。 そ して、 人 の離 別 は 、 と りわ け そ れ が く死 〉 に よ る別 れ で あ る場 合 、`tomeetonhigh'

「天 上 で 出会 うた め」 に あ る の で あ る。 天 上 世 界 は 「祝福 に み ちた 年 月 が/決 して絶 え る こ との

な い」 場 所 で あ る 。 こ こ に は死 して天 上 で再 会 し よ う とい う既 成 の キ リス ト教 的 な考 えが 窺 え

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エ ミリ ・ブ ロンテの詩におけるく死 〉の観念 の変遷 につ いて(後 中 陽子)

る 。 この よ う に、 初 期 の 詩H41`Lines'「 詩 行 」 に お い て 、 〈 死 〉 は安 ら ぎで あ り、 天 上 で 再

会 す るた め に あ る と解 され て い た。 〈 死 〉 に よっ て 人 の 魂 は天 上 に行 き、 神 の御 許 で 愛 す る 人

と再 会 す る とい う観 念 は、 既 成 の キ リス ト教 の教 え に則 っ た も ので 、独 創 性 は な い 。

この 初 期 の時 点 で は、 エ ミ リの く 死 〉 に対 す る 考 え は、 大 い に キ リス ト教 の 影響 を受 け て い

る とい え よ う。 しか し、 そ れ はの ち に変 化 して い く。 彼 女 は既 成 の観 念 か ら脱 し、 さ ら に広 大

な く 死 〉 の世 界 を 自 らの思 想 の う ち に構 築 して い く よ う に な る。 そ こ に至 る まで に は彼 女 な り

の葛 藤 が あ っ た はず で あ る。 次 に、 エ ミリが く死 〉 につ い て ど の よ うな 気構 え を もっ て い た か 、

彼 女 の 中期 の対 話 詩 を と りあ げ彼 女 の 内的 葛 藤 を考 察 して い く。

II.エ ミ リ ・ブ ロ ン テ の 中 期 の 詩 に 見 ら れ る く 死 〉 の 観 念

1842年2月 、 シ ャー ロ ッ ト(CharlotteBronte,1816-55)と エ ミ リは外 国語 を習 得 す る た め大

陸 に 渡 り、 ブ リュ ッセ ル の エ ジ ェ寄宿 女 学 院 に留 学 す る 。 同 年11月 ま で、 エ ミ リは そ こ で9ヶ

月 間 の留 学 生 活 を 送 った(11)。 ジル ・デ ィ ッ ク ス ・グ ナ ッ シ ア(JillDixGhnassia)は 、 著 書

『エ ミ リ ・ブ ロ ンテ 神 へ の叛 逆 』(MetaphysicalRebellioninTheWorksofEmilyBronte,1994)

の 中 で 、 この 短 い 留 学 を体 験 した 年 はエ ミリ の成 長 に お け る転 換 点 で あ る と記 し、 この 時 期 に

書 か れ た フ ラ ンス語 のエ ッセ イ8篇 とH153か らH155ま で の詩3篇 をエ ミリ の作 品 の 第3期 と し

て分 類 して い る(12)。

本 章 に お い て は、第3期 の最 後 の作 とされ るHl55`Self-lnterrogation'「 自問」 を と りあ げ る 。

この 詩 を書 い た 日付 は1842年 の10月23日 か ら翌1843年 の2月6日 とな っ て お り、 ブ リュ ッセ ル

へ の 出 立 前 に書 き出 し、 帰 国 後 完 成 させ た エ ミ リ24歳 の と きの 作 で あ る。 こ れ は、 エ ミ リ の個

人 的 な詩 作 品 を お さ め る ノ ー トAに 含 ま れ る(13)。

1846年 に 『カ ラ ー、 エ リス、 ア ク トン ・ベ ル詩 集 』(PoemsbyCurrer,Ellis,andActonBell)

と して発 行 され た 際 に つ け られ た 「自問 」 とい う題 名(14)か ら して も、 詩 は 自我 の 二 つ の 声 が対

話 して い る設 定 とな っ て い る 。 この 詩 を論 じ る に当 た って 、 便 宜 上 、 対 話 者Aと 対 話 者Bに 分 け

て論 じて い きた い。

まず、 詩 の 第1連 は次 の よ う に始 ま る。

Theeveningpassesfastaway,

'Tisalmosttimetorest;

Whatthoughtshasleftthevanishedday?

Whatfeelingsinthybreast?(i5)

時刻 は 夕 刻 、 夕 暮 れ と夜 とが 溶 け合 う頃 、 エ ミ リの 空 想 力 が も っ と も羽 根 を広 げ る 時 間 で あ

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佛教大 学大 学院紀要 第34号(2006年3月)

る。 詩 人 の 中 の 、 一 人 の対 話 者Aは 自分 自身 に 「消 え さ っ た一 日は どん な想 い を/ど ん な感 情

をお ま え の胸 に残 して い っ た の か 」 と問 い か け る。 過 ぎさ っ た 一 日 を単 に`thedaypassed

away'と 表 現 せ ず に`thevanishedday'と 表 現 して い る こ とか ら、 一 日が 無 駄 に過 ぎた こ と

に対 して 話 者 が抱 い て い る喪 失 感 が い か に大 きい かが 感 じ られ る。

第2連 は、`Thevanishedday?'と 対 話 者Aの そ の ま ま の 言葉 を 受 け て 、 自分 自 身 の 中 の対

話 者 が 答 える 。 これ を対 話 者Bの 声 とす る。`asense/Oflabourhardlydone'「 ほ とん ど仕 事 を

や りとげ なか っ た とい う感 じ」`[asense]Oflittle,gainedwithvastexpense'「 莫大 な犠 牲 を払

った の に得 た もの は少 ない とい う感 じ」`Asenseofgriefalone'「 た だ悲 しみ の感 じだ け」、 対

話 者Bは 一 日が 無 駄 に過 ぎた こ と を こ れ ら三 つ の 感覚 で 答 え て い る 。 何 も為 さ ず に 日が 過 ぎる

と、 時 間 を無 駄 に して し ま った と感 じる の は 一 般 的 な感 慨 で あ ろ う。 だ が 、 と りわ けス トイ ッ

クな 性 質 で あ る エ ミ リの胸 に は、 こ の喪 失 感 は孤 独 な悲 しみ とな っ て重 くの しかか る。 そ れ は、

彼 女 が く 時 〉の 重 要 さ とく 生 〉の 限 りを 認 識 して い る か らで あ る 。 第3連 に は対 話 者Bの 言 葉

が 続 く。

"TimestandsbeforethedoorofDeath,

Upbraidingbitterly;

AndConscience,withexhaustlessbreath,

Poursblackreproachonme:(is>

この 連 以 降、`Time'`Death'`Conscience'と い っ た抽 象 的 な もの が 大 文 字 で書 き出 され 、

擬 人 化 さ れ た もの の よ う に登 場 す る 。 以 後 、 訳 語 に当 た っ て は 、 そ の よ う な大 文 字 で 書 か れ

た 抽 象 名 詞 を 括 弧 付 きで 記 す 。 第3連1・2行 目 「〈 時 〉 は く死 〉 の扉 の 前 に 立 ち/厳 し く

責 め 立 て る」 とは、 この世 の真 理 をつ い た2行 で あ る 。`Time'〈 時 〉 は`thedoorofDeath'

〈 死 〉の 扉 に 向 か っ て 流 れ 続 け る。 言 い換 え れ ば 、 〈 生 〉 は く死 〉 に ぶ つ か る まで の く 時 〉の

流 れ で あ り、 そ の流 れ の 激 し さ を緩 め は しな い 。 〈 時 〉 の流 れ は、 何 か を為 そ う と願 い つ つ も

為 せ て い な い詩 人 の 焦 る心 を、 無 情 と い え る ほ ど`Upbraidingbitterly'「 厳 し く責 め 立 て て い

る」 の で あ る。 第3連3・4行 目に あ る、 良心 が 「わ た し」 に浴 び せ る`blackreproach'「 黒

い 非 難 」 と は、 第2連2・3行 目の感 覚 、 自分 は 「ほ とん ど仕 事 をや り とげ なか った 」 「莫 大 な

犠 牲 を払 っ た の に 得 た もの は少 な い」 とい う 自己非 難 の声 で あ る と考 え られ る。

対 話 者Bの 答 え に対 して 第5連 、 対 話 者Aは 次 の よ うにふ た た び問 い か け る。

Thenartthougladtoseekrepose?

Artgladtoleavethesea,

Andanchorallthywearywoes

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エ ミリ ・ブ ロンテの詩におけるく死 〉の観念 の変遷 につ いて(後 申 陽子)

IncalmEtemity?(17)

1行 目 の`repose'と は 、 す なわ ち く死 〉の 安 ら ぎを意 味 す る。H41に お い て もそ う で あ っ

た が 、 詩 人 に と って く死 〉は現 世 に疲 れ た魂 の安 ら ぎ、 「休 息 」 で あ る。3・4行 目に 「お まえ

の 疎 ま し い悲 しみ の す べ て を/静 か な く永 遠 〉 に投 錨 す る のか 」 とい う問 い が あ るが 、 前 述 の

Hl88の 第7連1・2行 目 に も似 た よ う な 表 現 が 見 られ る 。H188で 詩 人 は`Therecastmy

anchorofDesire/DeepinunlrnownEternity'(18)「 未 知 の く 永 遠 〉の 海深 く/わ た しの 欲 望 の

錨 をお ろす が よい 」 と歌 うが 、 〈 永 遠 〉の 中 に錨 を投 じる と い う表現 は 、 彼 女 の 脳 裏 に つ ね に

あ った く 死 〉を 表 す イ メ ー ジで あ る とい え る 。 〈 死 〉 を求 め て満 足 か とい う問 い に重 ね て 、 第

6連 で は 対 話 者Aの 、 自分 が 死 ん で も誰 も泣 きは し な い し、 惜 しむ こ と も何 もあ り は し な い 、

そ れ で も く 生 〉の 世 界 に留 ま りた い の か 、 とい う 自問 が 続 く。 そ の 問 い に 対 して 、 第7連 と第

8連 で対 話 者Bが 答 える 。 第7連 を 引用 す る 。

"Alas!Thecountlesslinksarestrong

Thatbindustoourclay;

Thelovi皿gspiritlingerslong,

Andwouldnotpassaway‐(is>

対 話 者Bは 「わ た した ち を この 土 塊 で あ る 肉 体 に結 び つ け る/数 知 れ ぬ 絆 」 の 強 さ を 嘆 く。

対 話 者Bは 、 自分 が 死 ぬ な ら この 世 に残 して い くこ とに な る`Thelovingspirit'「 愛 す る者 の魂 」

に執 着 を示 す 。 〈 生 〉の 世 界 に未 練 が あ るの で あ る。 なぜ 未 練 が残 る の か 、 そ れ は第8連 で 語

られ る。

"Andrestissweet,whenlaurelledfame

Willcrownthesoldier'screst;

Butabraveheartwithatarnishedname

Wouldratherfightthanrest."(20)

`laurel'「 月 桂 樹 」 は、 音 楽 や 医術 、 予 言 の神 、 ア ポ ロへ の捧 げ 物 と し て ギ リシ ア 人 に 神 聖

視 さ れ た植 物 で あ る。 常 緑 樹 と して不 滅 を表 す と こ ろ か ら勝 利 を意 味 す る。 ギ リシ ア と ロー マ

で は、 何 らか の分 野 で名 を挙 げ た もの に は 月桂 樹 の 葉 で作 られ た 月桂 冠 が 与 え られ た(21)。 月桂

冠 は、 勝 利 と栄 光 の シ ンボ ル と して勝 者 や優 秀 な者 達 、 そ して 大 詩 人 の 頭 上 に掲 げ られ た 栄 誉

の証 で あ る(22)。詩 人 は、 ま る で 「兵 士 」 の よ うに 「勇 敢 な ここ ろ」 を もっ て 、 月桂 冠 を頭 上 に

飾 ら んが た め、 そ して 「穢 され た 名」 を奪 回 せ ん が た め 、 「休 息 」 よ りもむ しろ 「戦 い」 を望 む。

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佛教大学大学 院紀要 第34号(2006年3月)

この 連 に二 度 見 られ る`rest'は と も に く死 〉 を意 味 して い る。 そ れ と対 極 にあ る`fight'は

く 生 〉 を 意 味 す る 。 第2連 にあ っ た よ う に、 何 も為 し遂 げ て い な い 自分 は、 ま だ 「戦 い」 を、

〈 生 〉 を望 ま な けれ ば な ら ない 。 そ の 答 え に対 話 者Aは 同意 す る。 第9連 で対 話 者Aは 、 自 身 が

`HasthumbledFalsehood,trampledFear'「 虚 偽 を 賤 しめ恐 怖 を踏 み 躙 り」`bastfoughtfor

manyayear'「 何 年 も戦 っ て きた」 こ と、 い ま も なお 戦 っ て い る こ と を、 現 在 完 了 形 を用 い て

自認 す る。 対 話 者 ふ た りの心 はつ い に共 鳴 し、 一つ の決 意 を導 き出す 。 第11連 を引 用 す る。

Lookonthegravewherethoumustsleep,

Thylastandstrongestfoe;

'Twillbeendurancenottoweep

Ifthatreposebewoe.(2s)

詩 人 は1・2行 目で 「お ま え が 眠 らな け れ ば な らな い墓/お ま え の究 極 の もっ と も強 い 敵 を

見 よ」 と主 張 す る。 〈死 〉 を見 よ、 〈 死 〉 は敵 で あ る、 とい う強 い 叱 咤 の声 は 自身 に 向 け られ

た も の で もあ り、 ま た 人 間 全 体 に 向 け ら れ た も の で も あ る 。 人 は く 死 〉 を見 つ め る こ と、

〈死 〉 と真 向 か う勇 気 と忍 耐 を必 要 とす る。 〈生 〉 とく 死 〉 を通 して`achainlesssoul/With

couragetoendure'(24)(H146)「 耐 え忍 ぶ 勇 気 の あ る/縛 られ る こ との ない 魂 」 を求 め る 詩 人

は 、 自問 自答 の 中 で 人類 全 体 に 通 ず る一 つ の普 遍 的真 理 を見 出す 。 さ らに 詩 人 は 、何 も為 し得

ず勇 者 の証 で あ る 月桂 冠 を得 る こ と な く、`repose'「 休 息 」 す な わ ち く死 〉が 悲 しみ とな る な

らば 、 「泣 か ぬ こ とこ そが 忍 耐 」 と悟 る。 第12連 は詩 の 最 終 連 で あ る。

Thelongfightclosingindefeat‐

Defeatserenelyborne‐

Thineeventidemaystillbesweet,

Thynightagloriousmorn.(2s>

`Thelongfight'「 長 い 戦 い 」 で あ っ た く 生 〉が`defeat'「 敗 北 」 に終 わ っ て も、 「敗 北 」

を`serenelyborne'「 こ こ ろ 明 る く耐 え られ る 」 な らば 、`Thynight[maybe]aglorious

morn'「 お ま え の夜 は輝 か しい朝 と な る だ ろ う」 と詩 人 は言 う。 詩 の 冒 頭 、 詩 人 に喪 失 感 を与

え た 一 日の 終 わ りで あ る夕 暮 れ と夜 は 、 詩 の 最 後 に お い て輝 か しい 朝 へ の希 望 を抱 か せ て く

れ た 。

ブ リュ ッセ ル留 学 を体 験 した あ とに完 成 され た 中期 の詩 、Hl55`Self-lnterrogation'「 自問 」

に お い て は、 〈死 〉は 立 ち 向 か うべ き敵 と して存 在 して い た 。 こ の時 点 に お い て、 まだ詩 人 の

目に はH155第3連 の 言 葉 、`thedoorofDeath'の 向 こ うに何 が あ る か は見 え て い ない 。 この の

一33一

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エ ミリ ・ブロンテの詩における〈死 〉の観念の変遷 につ いて(後 中 陽子)

ち、 彼 女 の く 死 〉 に対 す る 観 念 は円 熟 の境 に 達 す る。 自己 の信 念 を 貫 くエ ミ リが 、 〈 死 〉の 世

界 に いか な る信 仰 を もっ て希 望 を見 出す のか 、 そ れ につ い て は次 章 で 述 べ る。

皿.エ ミ リ ・ブ ロ ン テ の 後 期 の 詩 に 見 ら れ る く 死 〉 の 観 念

ブ リュ ッセ ル か ら帰 国 後 の1843年 以 降 の 作 品 を後 期 の 詩 と して 扱 い た い 。H170`ADay

Dream'「 白昼 夢 」、Hl83`Death'「 死 」、H191`NoCowaxdSoulIsMine'「 わ た しの魂 は怯 懦

で は な い 」 とい っ た傑 作 は み な後 期 に属 す る。 エ ミ リ25歳 か ら27歳 の 頃 に 書 か れ た これ らの詩

に共 通 してい る の は、 〈死 〉 を単 純 に終 わ りと は捉 えて い ない こ とで あ る。 この 頃 の エ ミ リ は、

〈 死 〉 に対 して 絶 望 や 悲 しみ とは違 う感 慨 を、 言 い換 え れ ば 、 あ る信 念 を抱 い て い る よ う に思

われ る。

本 章 で は 、H177を と りあ げ 、 エ ミ リが く 死 〉 に対 して 抱 い て い る信 念 を 考 察 す る 。H177

`IM.ToI.G.'「1・MI・Gに よせ て」 は 、1844年11月6日 エ ミ リ26歳 の作 で あ る。 こ の詩 は、

ゴ ン ダル 詩 に含 まれ 、1・Gと1・Mは と も に、 ゴ ン ダ ル物 語 の登 場 人物 で あ ろ う と察 せ られ る。

詩 の 内 容 は父 と娘 の 対 話 か ら成 る 。娘 の 名 は ア イ アー 二(lerne)だ が 、父 親 の名 は不 明 で あ る。

`Faitha皿dDespondency'「 信 仰 と失 望 」 とい う題 がつ け られ た こ と もあ っ た(26)。

詩 の 第1連 冒 頭 、 父 親 は`Thewinterwindisloudandwild;/Comeclosetome,mydarling

child!'(27)「 冬 の風 は音 高 く荒 々 しい/わ た しの そ ば に お い で、 愛 しい わが 子 よ1」 と言 っ て、

自分 の娘 をそ ば に呼 ぶ 。季 節 は冬 。風 が 強 い。 続 く第1連4行 目に時 刻 は`thenight'「 夜 」 で

あ る こ とが 示 され る 。 詳 し く言 う な ら、 第2連2行 目に`November'sblasts'と あ る よ う に、

激 しい 疾 風 が 吹 くll月 の 夜 で あ る。 第1連1・2行 目の[w][1][k]そ して[m]、 折 り重 な

る よ うに続 け られ た音 の効 果 が 、 冬 の 荒 野 に吹 き荒 れ る風 を表 象 して い るか の よ うで あ る。

この 詩 の 第1連 か ら第3連 まで は、 場 面 設 定 を 表 して い る。 父 娘 が い る場 所`oursheltered

halr「 わ た した ち の 隠 れ住 む館 」 は 、 ま るで 小 説 『嵐 が 丘 』 の舞 台 、 世 の 騒 が しさか ら 隔 て ら

ワザリングコハイッ

れ た 環 境 に あ る ヒ ー ス ク リ フ(Heathcliff)の 住 居 「嵐 が 丘 」 を彷 彿 と させ る 。 雪 に 囲 まれ 、

外 界 と隔 て られ た館 の 中 で、 父 と娘 は 寄 り添 い合 い 、 語 らい の 時 間 を過 ご す 。 第3連 に は、 近

くに来 た 娘 が お どけ た眼 差 しで父 親 を見 守 り、 父 の胸 に 頬 を寄 せ る様 子 が描 か れ る 。外 は冷 た

い風 が 吹 き荒 れ て い るが 、館 の 中 は静 か で あ る 。 ふ た りは 暖 炉 の そ ば に い る で あ ろ う こ とが 、

第4連3行 目の`intheredfire'scheerfulglow'「 赤 い 暖炉 の火 の心 地 よ い輝 きの なか で 」 とい

う語 句 か ら も想 像 で き る。 この 状 況 は 、 『嵐 が 丘 』 第5章 、 風 の強 い10月 の あ る晩 、 炉 辺 の椅 子

に腰 か け て 幼 い キ ャス リ ンの 髪 に 指 を触 れ な が ら息 を引 き とる ア ー ン シ ョウ氏(Mr.Earnshaw)

の 姿 とイ メー ジが 重 な る。 第4連 か ら は父 親 の 述 懐 が 始 ま る。 タ イ トル の 一 方`Despondency'

を象徴 す る父 親 は、 次 の よ うに 失 望 の念 を 娘 に 話 し出 す 。 第5連 を 引用 す る 。

-34一

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佛教大学大学院紀要 第34号(2006年3月)

"Idreamofmoor,andmistyhill,

Whereever血lggathers,darkandchill,

For,lone,amongthemountainscold

LiethosethatIhavelovedofold,

Andmyheartaches,inspeechlesspain,

Exhaustedwithrepi皿i皿gsvain,

ThatIshallseethemne'eragain!"(28)

父 親 は、 荒 野 と霧 深 い 丘 を夢 想 し、 「寒 々 と した 山奥 に さ び し く/昔 わ た しの 愛 した 人 々が 横

た わ る」 こ とに思 い を馳 せ 、 「も う二 度 と彼 らに は会 え ない 」 とい う失 望 に胸 痛 ませ て い る こ と

を娘 に語 る。 〈死 〉 は永 の 別 れ 、 心 痛 む もの 、 そ れ が父 親 の く死 〉 に対 す る考 え で あ る。

第6連 か ら第11連 ま で は、 父 親 の 嘆 き に対 す る娘 の言 葉 で あ る。 第6連 の 冒頭 で娘 は 、 自分

も ま た幼 い 頃`Suchthoughts'「 そ う した 思 い 」、 第5連 で 父 親 が 訴 え た 「む な しい 嘆 き」 「口

に は い え な い 苦 痛 」 に胸 ふ さが れ た の だ と言 う。 しか し、彼 女 は失 望 だ け に留 ま らな い 。 娘 は

第6連12・13行 目で`Butthisworld'slifehasmuchtodread:/Notso,myfather,withtheDead'(29)

「け れ ど この 世 の暮 ら しに は恐 ろ しい もの が い っ ぱ い あ る ので す/そ して、 お 父 さ ま、 死 ん だ 人

に は そ うい う こ とはあ りませ ん」 と言 い 切 る。 こ れ は く死 〉 に対 す る考 え を述 べ た重 要 な 詩 行

で あ る 。 娘 は、 こ の世 の生 活 に こそ恐 ろ しい ものが た く さん あ り、 こ の世 は苦 悩 に満 ち た 世 界

だ と考 え て い る。1844年9月3日 に書 か れ たH174`ToImagination'「 想 像 力 に よせ て 」 の 中 で

詩 人 は 、外 な る世 界 は欺 瞞 や 憎 悪 、 疑 惑 に満 ち て い る と し、 そ れ らが 生 じな い 内 な る世 界 を こ

そ尊 ん で い た 。 想 像 力 と 自分 の 心 と 自 由 とが 主 権 を もつ 内 な る世 界 を尊 ぶ エ ミ リは 、 この 世 の

外 な る 世 界 に希 望 を見 る こ とが で き な い。 だ が、 そ の よ うな 失 望 は こ の世 か ら離 れ た死 者 に は

な い の だ 。H177の 詩 にお け る娘 の言 葉 こ そ 、 詩 人 エ ミ リ 自身 の 考 え と一一致 す る と思 わ れ る。 第

7連1行 目か ら4行 目は次 の よ う で あ る。

"Onotforthemshouldwedespair;

Thegraveisdrear,buttheyarenotthere:

Theirdustismingledwiththesod;

TheirhappysoulsaregonetoGod!(so>

娘 は、 わ た した ち 人 間 は死 者 た ち の た め に絶 望 す る べ きで は な い と主張 す る 。彼 女 は く 死 〉

に 絶 望 の 念 を抱 くの は 間 違 い だ と信 じ て い る の で あ る 。 旧 約 聖 書 『創 世 記 』 第2章7節 に

`AndtheLORDGodformedmanofthedustoftheground,andbreathedintohisnostrilsthe

breathoflife'(31)「 主 な る神 は、 土 の塵 で 人 を形 づ くり、 そ の 鼻 に 命 の 息 を 吹 き入 れ られ た 」 と

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エ ミリ ・ブロンテの詩 におけ るく死 〉の観念の変遷について(後 中 陽子)

あ る よ う に、`dust'「 塵 」 か ら創 られ た 肉体 を もつ 人 間 は、 死 ね ば体 は 土 と混 ざ り、 魂 は 神 の

御 許 に行 く。 だ か ら嘆 く理 由 な どな い で は あ り ませ ん か と、 娘 は 父 親 を慰 め る。 タ イ トル の

`Faith'「 信 仰 」 を表 象 す る 娘 は、 こ こで は きわ め て キ リス ト教 的 な 考 え を提 示 す る 。 さ らに 、

娘 が 胸 に抱 く信 仰 は独 創 的 な思 想 を展 開 して い く。 娘 は、 死 者 た ち と二 度 と会 え な い な ど とい

う悲 しみ は`tomoumtheseedwhichgrew/Unnoticedonitsparenttree'(32)「 誰 に も気 づ か れ

ず 親 木 の 上 に/生 長 す る種 子 を嘆 く」 の と同 じ ほ ど に無 益 で あ る と言 う。 娘 は 自然 界 の植 物 の

姿 か ら、 大 切 な 教 え を学 ぶ 。

``Becauseitfelli皿fertileearth

Andspranguptoagloriousbirth‐

Struckdeepitsroots,andliftedhigh

Itsgreenboughsinthebreezysky1(ss)

なぜ く 死 〉 を悲 しむ こ とが 無 益 な の か 、 そ の 理 由が 第9連 に示 され て い る。 死 ね ば 肉体 は土

に還 る と い う こ とが 第7連 で主 張 さ れ た が 、 土 に還 る こ とが何 を 意 味 す る の か 、 種 子 を 喩 え に

して娘 は語 る。 第9連1行 目の`it'=`theseed'「 種 子 」 は、 「肥 沃 な 土 に 落 ち/芽 を 出 し、

輝 か しい 誕 生 を す る」。新 た な 命 は、 「土 深 くそ の 根 を張 り」 空 高 く緑 の枝 を持 ち上 げ る 。 大 地

は 「輝 か しい 誕 生 」 と根 深 い と こ ろ で 繋 が っ て い る 。 〈 死 〉が 還 る場 所 は 土 で あ る 。 土 は

`birth'「 誕 生 」 を 育 む 場 所 で あ る 。 〈 死 〉 と 「誕 生 」 す な わ ち く 生 〉 は 結 び つ い て い る。

〈生 〉の 行 き着 く場 所 が く 死 〉で あ る こ とは 、 考 え る葦 で あ る 人 間 な らば誰 で もが 知 って い る。

しか し、 〈死 〉か らく 生 〉 を見 出す 発 想 は 、 エ ミ リ ・ブ ロ ンテ の特 徴 を表 す 一 つ の観 念 で あ る

とい え よ う。 これ と共 通 す る考 え が 、Hl83`Death'「 死 」 に も見 られ る。

H183の 最 後 、 第8連3・4行 目に は 、 〈死 〉に 対 す るエ ミ リの考 えが 凝 縮 さ れ て い る 。

...its[spray's]moulderingcorpsewillnourish

Thatfromwhichitsprung‐Eternity.'(34)

「枝 の朽 ち ゆ く屍 」 つ ま り枯 れ枝 、 〈 死 〉の存 在 が 「枝 が 芽 吹 く とこ ろ を養 い育 て て くれ る」。

枝 が 芽 吹 く とこ ろ とは命 が 生 まれ る場 所 で あ り、 そ こが す な わ ち`Eternity'「 永 遠 」で あ る と、 詩

人 は歌 う。 エ ミ リは、 〈死 〉 に よって く生 〉の 源 で あ るく永 遠 〉が育 て られ る のだ と信 じて い る。

H177の 娘 の 言 葉 に 戻 る。 この よ う に く 死 〉 とく 生 〉 を 固 く結 び つ け て考 え る娘 は、 第10連

1・2行 目で`ButI'llnotfeax-lwillnotweep/Forthosewhosebodieslieasleep'(35)「 わ た

しは恐 れ ませ ん 肉 体 が 眠 っ て横 た わ る/人 々の た め に涙 を流 した りは い た しませ ん」 と断

言 して い る 。

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佛教大学大学 院紀要 第34号(2006年3月)

第11連 の 重 要 な2行 、1・2行 目 を引 用 す る。

"Wherewewereborn‐whereyouandI

Shallmeetourdearest,whenwedie;(36)

繰 り返 され る[w]の 音 は、 〈 生 〉 の循 環 とめ ぐ り会 い の 輪 を象 徴 して い る か の よ うで あ る。

人 はみ な 「死 ん だ と き、 最 愛 の人 に め ぐ り会 う」。 そ の 邂 逅 が 果 た され る場 所 こそ 「わ た した ち

の 生 ま れ た とこ ろ」 だ と娘 は言 う。 〈死 〉 は わ た した ちが 生 まれ 出 て きた く 生 〉の 始 ま る場 所

で あ り、 こ の世 の`momsufferingandcorruptionfree'「 苦 悩 と腐 敗 か ら解 き放 た れ た」 聖 な

る 国 な の だ か ら、恐 れ る必 要 は な い。 この娘 の 克 己 的 な返 答 に は 、 エ ミリ 自身 の 思 想 が 投 影 さ

れ てい る。

詩 の最 終 連 は、 娘 の 考 え に賛 同 す る 父 親 の 言葉 で 閉 じ られ る 。 第12連 最 後 の6行 を引 用 す る。

Andcomingtempests,ragingwild,

Sha皿strengthenthydesire-

Thyferventhope,throughstormandfoam,

ThroughwindandOcean'sroar,

Toreach,atlast,theeternalhome

Thesteadfast,changeless,shore!"(37)

「お まえ の願 い」、 「お ま え の熱 い望 み 」 は、 来 る嵐 に よ っ て強 め られ 、大 海 原 の 哮 りを越 え、

つ ま り現 世 の苦 しみ を耐 え抜 き、 最 後 に は 「不 動 不 変 の 岸 辺 」、 〈永 遠 〉 に到 達 す る だ ろ う。 父

親 の こ の結 論 は、Hl88やHl91と も一 致 す る 考 えで あ る 。H188の 最 終 連 で 詩 人 は、 〈死 〉の 世

界 に求 め る`Hope'「 希 望 」 に対 して`Gladcomforter'「 楽 し き慰 め 手 よ」 と呼 び か け、`The

moreunjustseemsprese皿tfate/ThemoremySpiritsp血igselate/Stronginthystrength,to

anticipate/RewardingDestiny!'(38)「 現 世 の運 命 が 不 当 と思 わ れ れ ば 思 わ れ る ほ ど/そ れ だ け

わ た しの 魂 は意気 揚 々 と躍 り/お まえ の力 に よっ て強 くな り/報 い の あ る運 命 を期 待 す るの だ 」

と宣 言 す る。 また、 晩 年 の 傑 作H191の 第4連 に お い て も、 自分 自身 を`...one/Holdingsofast

bythyinfinity/Sosurelya皿choredon/ThesteadfastrockofImmortality'(39)「 あ な た の無 限性

に しっ か り取 りす が り/不 滅 性 の不 動 の 岩へ/こ の よ うに確 実 に錨 をお ろ した 者 」 と表 現 して

い る。

H177`FaithandDespondency'「 信 仰 と失 望」 は 父 と娘 の 会 話 とい う架 空 の物 語 の登 場 人物

に 託 さ れ た 対 話 詩 で あ る が 、 や は りこ こ に もエ ミ リの 内 的 葛 藤 が 示 さ れ て い た の で あ ろ う。

Hl77の 時 点 で は、 す で にく 死 〉 の世 界 は、 悲 しみ や 敵 と して の対 象 で は な く、 希 望 や 望 み を 詩

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エミリ・ブロンテの詩におけるく死〉の観念の変遷について(後 中 陽子)

人に抱かせる聖なる場所 となっている。そこは、前述のH41で 詩人が嘆いていた移 り変わ りの

激 しい`earthlycares'「 この世の煩い」 といったものから隔てられた、`steadfast'「 不動」

`changeless'「 不変」で`eternal'「 とこしえなる」ふるさとである。後期の詩において、エミ

リのく死 〉の観念は確立 され、彼女に確固たる信念に支えられた勇気を与えているのである。

結論

以上見てきたように、〈死〉は、エ ミリ ・ブロンテにとって初期から晩年に至るまでの重要

なテーマであった。10年 あまりという短い詩作期間であるが、詩を書 くことは、エミリにとっ

て自我 との対話であり、内面の表出であ り、自己を克己の人へと導 く原動力 となっていた。

初期の詩としてとりあげたH41に おいて、語 り手は永別に際する心構 えを示 し、〈死 〉をこ

の世の煩いからの解放 と受け止め、〈永遠〉の時の流れの中ではく生〉がつかの間であること

を知 り、人はく死〉によって天上の神の御許に行 くのだというキリス ト教的な望みを抱いてい

た。

そして、中期の詩H155に おいては、〈死〉は安 らぎであり休息であるが、 自分はく死 〉を求

めて満足なのか、それともく生 〉の世界に留まりたいのかという自問があった。詩人はこれに

対 して、何 も為 さないうちに休息を求めてはならず、〈死 〉を敵として直視するべ きであると

い う答えを導き出 した。

最後に、後期の詩 として扱ったH177は 、二人の登場人物の会話に託してのや りとりである。

〈死〉は永の別れ、悲 しみであるという認識を提示 し、 じつはそうではないのだと逆説的に論

を展開する。死ねば肉体は土に還るという事実か ら、詩人はく死 〉とく生〉の循環を結びつけ

て考 え、〈死 〉を単 なる悲嘆の対象 として見るのではな く、〈死〉はく生 〉が生まれ出で、

〈生〉を育む場所なのだという大きな希望を見出した。

牧師の娘であるエミリ ・ブロンテが、キリス ト教の教えにまったく無関係であったとは考え

られない。当然、初期 においては影響を受けていた。 しか し、生来、思索 を好む哲学的な性質

である彼女 は、従順 にキ リス ト教の神 を信 じるのみに留 まらない。彼女の思索の中で、

〈死〉はときに安 らぎであ り、 ときに抗 うべ き敵である。彼女は、 自分 自身でく死〉という観

念的な存在の真の姿を模索する。その過程における一つの鍵は、 自然界である。枯れては芽吹

き生死を繰 り返す草木の、〈死〉とく生〉の循環を見つめる中で、彼女はく死 〉がく生〉を育

むとい う、斬新な観念を培 っていったのである。その後、エ ミリの思索の旅はH191で`God

withinmybreast'(40)「 わが胸のうちの神」を確立してい くまで、たゆむことなく進められてい

く。

思索は、彼女の思想を深め、彼女の精神を高める。〈死〉は絶望だけを人間に与 えるのでは

ない。報いのある希望をつねに内包している。このように彼女の思想は、人問全体へ と通じる

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佛 教 大 学 大 学 院 紀 要 第34号(2006年3月)

真 理 に 向 か っ て 広 が っ て い く。 エ ミ リ ・ブ ロ ン テ の 詩 は 、 わ れ わ れ に`thedoorofDeath'の

向 こ う の 希 望 の 存 在 を 、 気 づ か せ て く れ る の で あ る 。

〔注 〕

(1)藤 木 直 子 「エ ミ リ ・ブ ロ ンテ と故 郷 の 自然 」(エ ミ リ ・ブ ロ ンテ(藤 木 直 子 訳)『 エ ミ リ ・ブ ロ ンテ

全 詩 集 』)(大 阪 教 育 図 書,1998)pp.385-386.

(2)藤 木 直子 「エ ミ リ ・ブ ロ ンテ小 伝 」(前 掲 書)p.V.

(3)ジ ル ・デ ィ ッ ク ス ・グ ナ ッシ ア(中 岡洋 、 芦 澤 久 江 訳)『 エ ミリ ・ブ ロ ン テ 神 へ の叛 逆 』(彩 流社,

2003)p.60.

(4)エ ミ リ ・ブ ロ ンテ(中 岡 洋訳)『 エ ミ リ ・ジ ェ イ ン ・ブ ロ ンテ全 詩 集 』(国 文 社,1993)p.429.

(5)EmilyBronte,TheCompletePoemsofEmilyJaneBronte.C.W.且atfield(ed.),(NewYork

ColumbiaUniversityPress,1995)p.59.詩 の 日本 語 訳 は、 中 岡洋 訳 『エ ミリ ・ジ ェ イ ン ・ブ ロ ンテ

全 詩 集 』(国 文 社,1993)を 使 わせ て い た だ い た 。

(6)lbid.,p.205.

(7)lbid.,p.232.

(8)lbid.,pp.59-60.

(9)lbid.,p.60.

(10)Loc.cit.

(11)中 岡洋 「ブ リ ュ ッセ ル」(中 岡 洋 、内 田能 嗣 編 著 『ブ ロ ン テ文 学 の ふ る さ と一 写真 に よる文 学 鑑 賞 一 』

第八 部)(大 阪教 育 図書,1999)p.139.

(12)『 エ ミ リ ・ブ ロ ンテ 神 へ の叛 逆 』p.215.

(13)前 掲 書p.271.

(14)『 エ ミ リ ・ジ ェ イ ン ・ブ ロ ンテ全 詩 集 』p.445.

(15)TheCompletePoemsofEmilyJaneBronte,p.179.

(16)Loc.cit.

(17)Loc.cit.

(18)lbid.,p.232.

(19)lbid.,p..180.

(20)Loc.cit.

(21)ア ト ・ド ・フ リー ス(山 下圭 一郎 ほか 訳)『 イ メ ー ジ ・シ ンボ ル事 典 』(大 修 館 書 店,1984)p.387.

(22)フ リー 百科 事 典 『ウ ィキ ペ デ ィア(Wikipedia)』22Sep.2005

<http://ja.wilupedia.org/wily/%E6%9C%88%E6%Al%82%E6%A8%B9>

(23)TheCompletePoemsofEmilyJaneBronte,p.180.

(24)lbid.,p.163.

(25)lbid.,p.180.

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エ ミ リ ・ブ ロ ン テ の 詩 に お け る く 死 〉 の 観 念 の 変 遷 に つ い て(後 中 陽 子)

(26)エ ミ リ ・ブ ロ ン テ(中 岡 洋 訳)『 エ ミ リ ・ジ ェ イ ン ・ブ ロ ン テ 全 詩 集 』(国 文 社,1993)p.449.

エ ミ リ ・ブ ロ ン テ(藤 木 直 子 訳)『 エ ミ リ ・ブ ロ ン テ 全 詩 集 』)(大 阪 教 育 図 書,1998)p.379.

(27)TheCompletePoemsofEmilyJaneBronte,p.209.

(28)lbid.,p.210.

(29)Loc.cit.

(30)lbid.,pp.210-211.

(31)TheHolyBible:KingJamesVersion.(Philadelphia:NationalPublishingCompany,1978)Genesis

2:7.日 本 語 訳 は 、 日本 聖 書 協 会 の 口 語 訳 聖 書 に よ る 。 旧 約 聖 書 『創 世 記 』

(32)TheCompletePoemsofEmilyJaneBronte,p.211.

(33)Loc.cit.

(34)lbid.,p.225.

(35)lbid.,p.211.

(36)Loc.cit.

(37)Loc.cit.

(38)lbid.,p.233.

(39)lbid.,p.243.

(40)Loc.cit.

(うしろなか ようこ 文学研究科英米文学専攻博士後期課程)

(指導:古 我 正和 教授)

2005年10月19日 受理

1,