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宮地楽器 神田店 · 2018. 3. 5. · Title: 1 Author: nozaki Created Date: 11/28/2012 12:27:21...
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bx_XL V2 ユーザーマニュアル
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bx_XL V2 – より新しく更なるラウドネスへ -
Brainworx プラグインをご購入頂き誠にありがとうございます。
「bx_XL V2」 は M/Sステレオ・マスタリング・リミッターです。「bx_XL V2」はミックスのレベルを更にラウドでク
リアーにするためのプラグインです。メジャー・レーベル系のプロダクションと同じくらい「ラウド」でありながら、
それらと比べて「あまり潰されていない(歪みの少ない)」サウンドを作ることができます。
私たちは bx_XL プロセッサーを開発するにあたり、なぜ今日の音楽業界はミックスにリミッターを極限までか
けて「音圧を稼ぐ」事が「必要」であるのかを何度も考えました。もちろん bx_XL さえあれば、その様な音作り
は可能です。しかしそろそろ無意味に音圧を稼ぐ行為を辞める時期に来ていると我々は確信しています。
必要以上に大きなラウドネスは、せっかく作った音楽が台無しになってしまいます。
楽曲が持つダイナミクス、パワー、強さが失われてしまうのです。
ラウドで潰れたサウンドのインパクトを重視する音楽ジャンルもあるようですが、本当の意味でインパクトが
あり長く愛されるサウンドを作りたいのであれば、ラウドで且つ力強いミックスが大事になります。 ミックスの
レベルを上げる時にはこれを常に心掛けて下さい。
ミックス・ダウンやマスタリングに「bx_XL V2」を使用する場合は Brainworx社の「bx_limiter」及び「bx_meter」プ
ラグインと併用することをおすすめします。これらのプラグインを使うことで各信号経路でピークをリミッティン
グし、ピークと RMSのモニタリングを完璧に行うことができます。
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「bx_XL V2」クイック・ガイド
・「bx_XL V2」 をマスター・バスで起ち上げます。EQ やコンプレッサーをマスター・バスで使用する場合は
「bx_XL V2」 をそれらの後ろで起ち上げて下さい。
・聴き慣れた曲を再生して「Solo M」と「Solo S」ボタンを押して聴き比べて下さい。 まずは M チャンネルと S
チャンネルの意味を理解しましょう。
・ピーク・メーターの LED がピーク時にゼロに触れる程度まで「Input Gain(インプット・ゲイン)」を
上げて下さい。
・「Master」セクションの「Gain Boost」を上げていくとミックスがラウドになっていくのがお分かり頂けると
思います。「Mid Lo」と「Mid Hi」の信号がピーク時に「Max Gain」を叩くのを確認します。
・必要であれば「Mid Lo」と Sチャンネルにある「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」スライダーをそれぞれ
調整して下さい。
各チャンネルの「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」を変更することで「Mid Lo」/「Mid Hi」および「Mid」/
「Side」メーターが変化することを確認してください。
・各チャンネルの最大出力レベルのスライダーを下げていくにつれ、そのチャンネルの信号に対する
リミッター処理が強くなります。
下げ過ぎると歪みが生じるので気をつけましょう。
・「Crossover Freq.(クロスオーバー周波数)」スライダーと「Mid Lo」チャンネルのソロ機能を使いながら
細かい調整をします。
これらを用いることでキック・ドラムとスネアを分割することも可能です!
・「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」チャンネルの「Attack(アタック)」「Release(リリース)」をそれぞれ調整します。
・マスターXL ノブまたは各チャンネルの XL ノブを上げて全体のミックスまたはミックスの一部に
サチュレーション効果をかけ更にレベルを稼ぎラウド感が出るように調整して下さい。
「XL」ノブ無くしてラウドネスの戦いに勝つ事はできません!
・「Peak Stop(ピーク・ストップ)」メーターが示すゲイン・リダクションが大き過ぎる( 3〜6dB 以上)場合は、
「Summing Amp Gain(サミング・アンプ・ゲイン)」の設定で全体のレベルを抑えて下さい。ステレオ・イメージ
が正しく出力されることを注意しながら「M」と「S」の各ゲインを調整します。
「Mid/Side」メーターを見ながら設定すると良いでしょう。
・多くのマスタリング・スタジオは CD のトラック間のクロスフェードなどを考慮しマスター・アウトに-0.2dBの
ヘッドルームを設けています。これに習い「Master Out(マスター・アウト)」ノブを-0.2dB に設定することも
可能です。
高度な使用法
・サイドチェイン・ミックス:2本の任意のチャンネル(「MidLo」、「MidHi」、「Mid」、「Side」、外部入力)を
ミックスし、サイドチェイン信号として用いることが可能です。「MidLo」、「MidHi」、「Side」のサイドチェイン
信号として自由に設定できます。
・M及び S信号をパンニングしてミックスのバランスを取ります。
画面上部の 4 つの VU メーターを用いることでステレオ・イメージの状況と、ロー・エンドとハイ・エンドの
割合をモニターすることができます。
・「Mid Lo」と「S」チャンネルの「Fader Link(フェーダー・リンク)」を用いると最終的なレベルを保持しながら
信号をリミッターでドライブさせる事ができます!
・工夫して自分の使い方を編み出して下さい。
CD の音圧稼ぎやレベル・マスタリングにおいて「bx_XL V2」ができない事はありません。
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「bx_XL V2」リミッターとは?
「bx_XL V2」は M/Sテクノロジーを応用したステレオ・マスタリング・リミッターです。ステレオ信号を M (mid /
sum) と S (side / difference)信号に変換し、更に Mチャンネルを Hiと Loの2バンドに分割します。それぞれ
のチャンネルに個別の処理を行った後、再びステレオ信号に再変換して出力します。
Phase-X
「Mid Lo」と「Mid Hi」信号は位相の揃ったモノラル信号として結合されます。結合には全く新しいフェーズ・リ
ニア・クロスオーバー・フィルター「Phase-X」が用いられます。
これにより 3 つの各チャンネルに別々にリミッターをかけることができ、よりラウドでクリアなステレオ・ミックス
を作る事ができます。 他社のリミッターよりパンチがあり歪みによる悪影響を最小限に抑えた製品です。
「Crossover Frequency (クロスオーバー周波数)」スライダーを用いることで「Mid Lo」と「Mid Hi」チャンネル
をキック・ドラムの成分とそれ以外の成分に分割し、個別にリミッティング処理を行うことができます!特にダ
ンスミュージック、ラップ、テクノ、ロックなどのジャンルにおいて威力を発揮します!
「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」の3チャンネルは L/R ステレオ信号に再び戻され、その後さらに4つ目のリミッタ
ーである最終段のピーク・ストップ・リミッターを通過します。 ここでマスター・アウトのレベルを調整する事が
可能です。
「bx_XL V2」には音響心理学に基づいた 3バンドのラウドネス・マキシマイザーが内蔵されています。 またコ
ピー&ペーストおよびオートメーション対応の設定メモリー機能も搭載しています。全ての機能は 32 ステップ
までのアンドゥ/リドゥが可能です。これらの機能、そして精密なレベル・メーターを用いて行われるダイナミ
クス/ラウドネス処理により、かつて無い程に洗練されたミックスが作成可能です。
bx_XL をミキシングやマスタリング時のステレオ・マスター・バスの最終段で使用する事をお薦めします。 同
様にステレオ・バス、ステレオのサブ・グループでも真価を発揮します。
「bx_XL V2」は Brainworx 社の「モダン・クラシック」とも呼べる M/S EQ 「bx_digital」で用いられている M/Sテ
クノロジーを基に作られています。この EQは当初ハイエンドなハードウェア・アナログ EQ として 2006年から
2007 年にかけて開発されました。その後「bx_digital」としてプラグイン化され今日に至ります。 世界中のエン
ジニアや専門誌から「bx_digital」が称賛されたのを受け、私たちはマスタリングの現場で「bx_digital」と一緒に
使用するリミッターを開発する事を決定しました。
ソロ機能の複合的な使用、「Auto Solo(オート・ソロ)」、リンク機能を用いることで各信号経路のリミッティング
設定を精密に調整できます。最初は分かりづらく感じるかも知れませんがプラグイン内部の信号の流れと信
号が分割される仕組みを理解すれば操作に戸惑うことは無くなるでしょう。
次ページの信号・フローの図をご覧下さい。
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以下は信号の流れの概要です。
「bx_XL V2」アルゴリズムの背景にあるコンセプトとアイデアを理解する手助けになるでしょう。
最初はこのページを印刷し、眺めながら操作をすると便利かも知れません。
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M/Sテクノロジーについて
レコーディングに携わる多くのエンジニアは M/S マイクロフォン・テクニックについてご存知だと思います (2
本のマイクによるステレオ録音。 M (mid)信号用にオムニまたはカーディオイド・マイクを、S (side)信号用に
「OMNI8 マイク」を使用)。
レコーディングの場合、録音した M 及び S チャンネルを特殊な方法でミックスし、モノ・コンパチブルなステレ
オ(L/R)信号を最終的に生成します。一方、マスタリングに M/S テクノロジーを用いるにはレコーディングと
は逆にステレオ・ミックスを M 及び S 信号に変換する必要があります。 (M/S 変換を行なうプラグインとして
「bx_control」があります。 )その後 M及び S信号にそれぞれリミッターを掛け、再び M/S変換を行い L/Rス
テレオ信号を生成します。話が複雑で混乱したかも知れませんね。
心配はいりません。プラグインにステレオ信号を入力さえすれば M/S 信号への変換は「bx_XL V2」が内部
的に行ってくれます。プラグインの入力と出力はいずれも通常のステレオ信号となります。
M/S レコーディングにつ いて更に詳しく学びたい方は専門の解説書を参照して下さい。クラシック音楽やド
ラム、コーラス、アコースティック楽器全般の録音などにおけるモノ・コンパチブルなステレオ信号を生成する
理論を学べるはずです。
マスタリングにおける M/Sの利点
「bx_XL V2」は入力されたあらゆるステレオ信号をモノラル成分とステレオ成分とに分割するM/S変換を内部
的に行っています。M/S の各信号を個別に調整できる事により、ミックスに問題がある場合、または単に特
定の箇所のレベルを可能な限りナチュラルに強調したい場合などに威力を発揮します。
パンチのあるドラムやリード・ボーカルのパワーを保ちつつギターやキーボードの音量を上げようとしたこと
はありませんか?そんなときは「bx_XL V2」を使えば望み通りのサウンドが実現できます。
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「bx_XL V2」で何が新しくなったのか?
まず「bx_XL V2」は従来のリミッターとは異なるタイプのリミッターであることを知る必要があります。
良い意味で異なるリミッターです。
M/S 変換及び、M 信号の 2 つの帯域(Hi と Lo)への分割によって、全体のレベルとラウドネスを大幅に増幅
し、同時に歪みや不自然さを最小限に抑える事ができます。分割された各チャンネルに対し最小限のリミッ
ティング処理で最大限の効果を得ることができます。これが M/S を用いるリミッティングの基本の考え方で
す。
M 及び S 信号は個別に聴く事ができ、また世界最高峰のエンジニア達が絶賛する M/S EQ「bx_digital」に搭
載される位相修正を備えたソロ機能を実装した世界初で唯一の M/Sマスタリング・リミッターです。
「何がそんなに違うのか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。S信号はあらゆる L/Rステレオ信号に含まれ
ており L/R の両チャンネルは同位相ではありません。 よって S 信号をソロ・モードで聴く際に簡単に位相を
正しく直す方法を考えなくてはなりませんでした。
まずは体験してみましょう。「bx_XL V2」プラグインを通してステレオ・ミックスを再生してみましょう。 「Mid Lo」、
「Mid Hi」そして一番大事な「Side」 チャンネルのソロ・ボタンを押して下さい。 あなたは恐らく今まで聴いたこ
とのないミックスの内部構造を聴いて驚くことでしょう。 これらを調整する事でミックスの細かいコントロール
ができる様になります!
少し掘り下げていきましょう。 「Auto Solo(オート・ソロ)」モードを試して下さい。 また「Mid Lo」と「Mid Hi」をソ
ロにして「Crossover Frequency (クロスオーバー周波数)」スライダーを動かしてみましょう。 各チャンネル
の「XL」ノブを変更してみて下さい。
この様に様々な機能を試してみるとコンセプトが理解しやすくなります。
bx_XLの機能
・ステレオ信号(ミックス)用 M/Sマスタリング・リミッター
・ステレオ信号を新開発フェーズ・リニア・クロスオーバー・フィルター「Phase-X」によりM/S信号に変換
・Mシグナルを Lo と Hiの 2バンドに分割
・オート・ソロ・モードを含む充実したソロ機能
・「Gain Boost」「Threshold」をリンク動作させる 1 クリック・フェーダー・リンク
・複数のレベル・メーターによる位相、バランス、ラウドネス、M/S 比、Lo/Hi比などの調整
・M及び S信号の入力ゲインとパンニングを利用した出力バランスの調整。
・ステレオ幅の調整(サミング・アンプ・セクションの M/Sゲイン)
・「Output Gain(出力ゲイン)」による全体のレベル調整
・モノ・メーカー20Hz~20kHz の範囲で設定した「Mono Maker(モノ・メーカー)」の周波数以下の
Sチャンネルの成分がカットされます。カットされた成分はモノラル化され Mチャンネルに自動でミックス
されます。このフィルターは Brainworx 社独自の技術によるものです。
エレクトリック・ミュージックをバイナルにカッティングする際に低音域の針飛びで困ったことは
ありませんか?クラブやディスコのスピーカー鳴らしたときに、低音がぼやけずにタイトなミックスを
作りたいと思いませんか?是非モノ・メーカーをお試しください。
・M/S テクノロジーを用いる事によってキック・ドラムやベースに触れることなく、ギターやシンセの極上の
ローエンドを持ち上げる事ができプロの音源並みに仕上げる事ができます。
・パンチが効いた活き活きとしたミックスを作る事ができます。
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通常のマスタリング・セッションで「bx_XL V2」を使用するには?
マスタリングとは、客観的に楽曲を聴くことに他なりません。 そして楽曲の持つ音楽的なパフォーマンスを可
能な限り引き出す作業です。 しかしそれはミキシングの段階での失敗を修正するという行為でもあります。
当たり前の事ですが、これはとても重要な事です。
「bx_XL V2」を購入して下さった皆様は通常の L/R リミッターの使い方について充分な知識をお持ちの方が
多いと仮定し、ここではあえてあまり知られていないリミッターの使い方について説明します。
ここに平均的なステレオ・ミックスがあると仮定し、そのミックスの持つ問題を修正するとしましょう。 例えば
ラウドネスが足りないとします。 もしくは、あなたがプロデュースしたバンドが「他のバンドの CD の方が全然
音が大きい」とあなたのミックスとマスタリングにクレームを付けたとします。
ですが問題がどこにあるのかわからない場合は直しようがありません。
「bx_XL V2」が全てを解決します。M/S 変換を行いステレオ・ミックスから M(モノラル成分)と S(ステレオ成
分)の 2 本のモノラル・トラックを生成します。完璧に位相が保たれた状態でそれらの信号を確認することが
できます。加えて「bx_XL V2」はMチャンネルを任意の帯域で 2つに分割します。こうして生成した全てのチャ
ンネルはソロ・モードでリスニングが可能です。
これでミックスの持つ問題がはっきりと分かり、修正を簡単かつ正確に行う事が可能です。
初めて「bx_XL V2」を使う時は好きな曲や聴き慣れたミックスをソースに使用する事をお奨めします。
その際、M 及び S セクションのソロ・ボタンを順番に押して、ステレオ・ミックスが M と S の2つの信号にどの
様に分割されるかを注意深く聴いて下さい。
慣れてしまえばミックス中の修正したいポイントを素早く聴き分けられるはずです。 これは使わない手はあり
ません。
M/S テクノロジーを使ったマスタリングの技術を身に付けるには少しの時間を要するかもしれません。 L/R
信号に対し 1つのノブしか使わない一般的な「オート・リミッター」と、3つのモノラル信号にそれぞれリミッター
をかける「bx_XL V2」のプロセッシングは全く別物だと思って下さい。
M/S テクノロジーを使ったマスタリングは非常に音楽的なマスタリングの手法であり、それこそが世界中のト
ップ・マスタリング・スタジオが長年に渡り(時には内緒で)カスタムメイドの M/S ボードをマスタリングに使っ
てきた理由と言えるのです。
M/S マスタリングはあなたの音楽にとっての鍵となるかもしれません。 ラウドでありながらオープンでクリア
なサウンド。 プロダクション現場では「ビッグ」と言われるサウンドです。
初めて M/S モードを試した人たちはよく「3D ライクなサウンド」だとの印象を持つようです。また、M/S テクノ
ロジーを使ったマスタリングではステレオ信号の位相が変化します。しかし私たちはそれを問題だと捉えて
はいません。 M/Sモードは意図的に位相を変更します。
一度 M/S のコツを掴んでしまえば、より詳細な機能を理解するのもそれほど苦労しないはずです。 次は
100%センターが取れていないミックスのバランスを取る方法を試してみましょう(コンプや EQ 等のアウトボー
ドをインサートで用いたアナログ卓でのミックスは 100%のバランスを保っていない事が良くあります。 )。 S
信号をソロにしてキック・ドラムやスネア、ベース、ボーカル等、センターに定位すべきものが全て消えるまで
バランス・ゲインを調整します。これでミックスのセンター・バランスが取れた、という事になります!
サイドチェイン・ミキサーを使いキック・ドラムのグルーヴに合わせてミックスのノリを合わせましょう。 外部サ
イドチェイン入力をトリガーとしてリミッティングされたステム・ミックスを録音しましょう。
「Stereo Width」の値を上げることによりオリジナル・ミックスよりステレオ・イメージを拡げることができます。
センターがぼやけてキック・ドラムやヴォーカルからパワーが失われる心配をする必要がなくなるのです!モ
ノラルで再生しても同じくパワーは失われません。
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概要と詳細
I/O – 入力ゲインと M/S のパン
「Input(入力)」ゲインつまみにて「bx_XL V2」に入力される信号のレベルを
-6dB〜+6dB の範囲で調整します。 他のパラメーターを変更する前に最初
にこの設定を行ってください。RMS メーターののピークがたまに 0dB を触れ
るレベルに調整してください。ピークが-1dB~0dB 付近に触れる程度がスタ
ート・ポイントとして最適な設定です。
また、入力ゲイン設定は最終的な出力レベルやリミッターのかかり具合の
調整に使用することもできます。若干リミッターのかかりがきついと感じた場
合は入力ゲインを 0.5dB〜1dB 下げてみて下さい。
「Link」スイッチをオンにすることで L/R チャンネルの各入力ゲインをリンクさせる事ができます。リンクがオン
の場合は片方のゲインつまみを動かすともう片方のつまみが一緒に動きます。各入力ゲインの値に開きが
ある状態でリンク・ボタンを押すと、ゲイン値の差はオフセット値となりリンク・モードを使用する間は保持され
ます!
出力のセンターが若干ずれていたり、ミックス・バランスが悪いと感じた時(バランス・メーターやRMSレベル・
メーターを参考にすると良いかも知れません。 )は Pan M や Pan S を変更する事で微調整が可能です。
Pan Mの値を変更すると信号内のセンター成分(キック、スネア、リード・ボーカル、ベース等)をパンニングす
る事ができます。 また Pan S の値を変更するとセンター・セクションに影響を与えずにステレオ・イメージの
Pan を調整できます(ギター、キーボード、コーラス、ストリングス、ピアノ、エフェクト・サウンド等)。
クロスオーバー周波数
「Crossover Freq.(クロスオーバー周波数)」スライダーにて M チャンネルの信号を「Lo(ロー)」と「Hi(ハイ)」
に分割するポイントとなる周波数を設定します。例えば「120Hz」に設定した場合、「Mid Lo」チャンネルは M
信号の 120Hz 以下の帯域、「Mid Hi」チャンネルは 120Hz 以上の帯域を扱うチャンネルとなります。
Phase-X
「Mid Lo」と「Mid Hi」信号はそれぞれのチャンネルで処理が行われた後、モノラル信号として結合されます。
結合には全く新しいフェーズ・リニア・クロスオーバー・フィルター「Phase-X」が用いられ、位相ずれは全く生
じません。
Mono Maker(モノ・メーカー)
モノ・メーカーは Brainworx が独自の技術です。 「bx_digital V2」や「bx_control V2」、 「bx_dynEQ」 そして
「bx_hybrid」などにも搭載されています。
S 信号に含まれる任意の周波数以下の低音域成分をカットしモノラル化する技術です。モノラル化された信
号は自動的に Mチャンネルに加えられるので全体の低音域成分が失われる事はありません。
位相ずれは生じないためサブウーハ付きのシステムでも低音域は正確に且つタイトになります。
モノ・メーカーはアナログレコードのマスタリングでも威力を発揮します!アナログレコードはロー・エンドの帯
域がモノラルでないと再生時に針飛びしやすくなるという問題を抱えているからです。
設定は「60Hz」あたりから始めると良いでしょう。値が高すぎるとステレオ・イメージが損なわれてしまう恐れ
があるので注意が必要です。スライダー右側のボタンをクリックすることでクロスオーバー周波数とモノ・メー
カーをリンクさせ、操作を簡潔にする事も可能です。
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「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」セクション
Gain Boost(ゲイン・ブースト)
「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」フェーダーで各チャンネルのリミッターに入力
されるゲインを調整する事ができます。スレッショルドを超えた信号はゲイン・
ブーストを上げればその分だけゲイン・リダクションが強くかかります。
ゲイン・リダクション・メーター
リミッターの主な目的は設定したスレッショルドを超えた信号を「ブロック」する
事です。どのくらいのレベルがリミッターによって「カット」されたかを表示する
のがゲイン・リダクション・メーターです。
「+4dB」と表示された場合、入力信号がスレッショルドから 4dBオーバーし、リミ
ッターが出力を 4dB下げた事を意味します。6dBやそれ以上のゲイン・リダクシ
ョンの場合はかなり分かりやすく音が跳ねるのが聴き取れると思います。
Threshold(スレッショルド)
「Threshold(スレッショルド)」フェーダーにてリミッティングが開始されるレベルの閾値を設定します。例えば
「-2dB」に設定すると、-2dB を超えたピークに対してゲイン・リダクション処理が行われます。
XL – サチュレーション・ノブ
「XL」ノブによって 3次倍音と 5次倍音のハーモニクスを加える事ができます。 これによりアナログ機器のウ
ォームなサウンドを再現する事ができます。エイリアス・ノイズは特殊なフィルターによって抑えられます。
XL機能を用いることで実際の信号レベル以上に聴感上のラウドネスを大きくすることができます!
「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」の全てのチャンネルで XL 機能を使う事が可能ですが、リード・ボーカルや生楽
器などを含むチャンネル(通常 Mid Hiチャンネルの場合が多い)に XLをかける場合は注意が必要です。
→ XLの値が 50%まではどんなソースでも問題ありませんが 50%以上の値は「Mid Lo」または
「Side」チャンネルで使うのが良いでしょう。
→ XLはレベルを稼ぐ為の秘密兵器です。 まるで世界一のエンジニアがマスタリングした音源を
聴いているかのようなサウンドを作ることができます。
→ 一度試してもらえれば XLの素晴らしさに気がつくはずです。
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アタック・タイム (0.1ms~1.5ms)
アタック・タイムは信号レベルがスレッショルド値をオーバーしゲイン・リダクションが
動作を始めてからリダクションの最大値に達するまでの時間を指します。「Mid Lo」、
「Mid Hi」、「Side」各チャンネルの「Attack(アタック)」ノブを調整し、スレッショルド値
を超えたレベルをリミッターがカットし始めてからスレッショルド値に達するまでの時
間を設定してください。アタック・タイムが短すぎるとリミッターのピークが目立ってし
まい、また長すぎると全てのピークを効果的にカットできない場合があります。
「Master(マスター)」セクションの M/S サミング・アンプに搭載されている「Peak Stop
(ピーク・ストップ)」リミッターを使う事で、アタック・タイムが遅い場合に生じるクリップ
を回避できます。各チャンネルの信号がリミッターのピークを超えた場合でもサミン
グ・アンプ・セクションで 0dB を超えるとピーク・ストップ・リミッターが作動するので問
題ありません。 ピーク・ストップ・リミッターは(「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」に次ぐ)4
つ目のリミッターです。 アタックは速めに設定されてます。ゲイン・リダクションの値
を表示するピーク・ストップ・メーターが 3dB を超えた場合は「Mid Lo」、「Mid Hi」、
「Side」各チャンネルのリミッターのアタック設定を速めに設定してピークの漏れを抑
えると良いでしょう。
各チャンネルでソロ機能を使用中に歪みが生じた場合はアタック・タイムを変更する前に全てのソロを解除し
ミックス全体に歪みが無いかをまず確認してください。
個別のチャンネルで生じたクラック・ノイズはミックス全体を出力した場合認識できない程度のものであり、対
策をしなくて良い可能性もあります。
リリース・タイム(0.01ms~999ms)
リリース・タイムはリミッターがスレッショルド値までゲイン・リダクションを行ってから動作がリセットされるまで
の時間です。「Release(リリース)」ノブにて設定を行います。
リリース・タイムが早いと出力レベルと RMS レベルが大きくなります。その一方でクリップが発生する危険も
あります。クリップした場合はリリース・タイムを遅めに調整してください。
リリース・タイムが遅いとゲイン・リダクションが緩やかになりますが、ポンピングを起こす危険もあります。ポ
ンピングが生じた場合はリズミカルな成分を多く含むチャンネルのリリース・タイムを早めに調整してください。
多くの場合リズミカルな成分は Mチャンネルに多く含まれます。
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入出力&サイドチェイン LED
「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」各チャンネルの LED メーターは「Master(マ
スター)」セクションの M/S サミング・アンプで「ステレオ信号に戻され
る」前の入出力レベルを表します。
各チャンネルのインプット・メーターは「IO」セクションの入力ゲイン、
「Master(マスター)」セクションの「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」、そし
て各チャンネルの「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」スライダーで調整で
きます。アウトプット・メーターは「Master(マスター)」セクションの
「Threshold(スレッショルド)」ノブ、各チャンネルの「Threshold(スレッシ
ョルド)」スライダー及び「XL」ノブの影響を受けて変化します。
「Sidechain(サイドチェイン)」を有効にしたチャンネルには入出力以外のサイドチェイン・メーターが新たに表
示されます。このメーターは「Sidechain Mix(サイドチェイン・ミックス)」セクションの LED メーターを反映したも
のです。このメーターにスレッショルド値を合わせる事でサイドチェイン信号をリミッターのトリガーとして使用
可能になります。
例:Mid 信号をサイドチェイン信号として「Side」チャンネルに使用した場合、「Side」チャンネルの出力レベル
は Midチャンネルよりもかなり低くなります。入出力の LED メーターの間にある針の様に細いメーターがサイ
ドチェイン・メーターです。
→ XL機能の処理は各チャンネルのリミッターの後段で行われるため、出力 LEDは「Threshold(スレッショル
ド)」スライダーよりもレベルが大きくなる場合があります。これはスレッショルドのポイントでリミッターがピー
クをカットした後に信号が XL 処理により更にレベルを上げられるからです。これは想定通りの動作であり意
図されたものです。
「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」各チャンネルで設定したスレッショルドを超えたピークは「Master(マスター)」セク
ションの「Peak Stop(ピーク・ストップ)」リミッターでカット可能です。
チャンネル・スイッチ
「Active」:チャンネル・アクティブ
「Solo」:ソロ オン/オフ
「Fader Link」:フェーダー・リンク オン/オフ
「Sidechain」:サイドチェイン・アクティブ
Active(チャンネル・アクティブ)
「XL」ノブを含む全ての機能はアクティブ LED をオフにする事で
バイパスされます。青い LED が点灯していればチャンネル・アク
ティブがオンという事です。
Solo(ソロ)
「Solo(ソロ)」スイッチが押されたチャンネルはソロになります。ソロ機能は一度に 1つのチャンネルのみで使
用できます。最後にソロ・スイッチが押されたチャンネルのみが有効です。ソロ機能がオンのスイッチをもう一
度押すとソロが解除されます。
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Fader Link(フェーダー・リンク)
オンにすると「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」フェーダーと「Threshold(スレッショルド)」フェーダーがリンクし
てそれぞれが逆方向に動きます。これにより出力レベルを変えずにリミッターのかかり具合を調整できます。
(青色LEDの点灯がオンを表します)「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」を上げると「Threshold(スレッショルド)」
フェーダーが自動で下がります。 逆も同じです。
1クリック・フェーダー・リンク:各チャンネルのメーターにある 2 つの矢印マークをクリックすることで「Fader
Link(フェーダー・リンク)」スイッチを使用せずに「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」フェーダーと「Threshold(ス
レッショルド)」フェーダーをリンクさせることができます。
「Gain Boost」と「Threshold」をリンク動作させる 1 クリック・フェーダー・リンク
Sidechain(サイドチェイン)
このスイッチをオンにすると、リミッターはサイドチェイン信号によってトリガーされます。詳細は本マニュアル
の次のセクションを参照ください。
サイドチェイン・ミックス
「Sidechan Mix(サイドチェイン・ミックス)」セクションの 2 つのボタンをクリックすることで各チャンネルの信号
をサイドチェイン信号のソースとしてアサインできます。
各ボタンでは 5種類のソースを選択することができます。
「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Mid (Mid Hi & Mid Lo)」、「Side」、「External(ホスト・アプリケーションの別チャンネル)」
選択された 2つのソースはミックスされます。ボタン上の水平スライダーを用いて各ソースの割合を設定する
ことも可能です。ミックスされた信号は「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」各チャンネルのサイドチェイン信号として
使用されます。
上の画像の例では「Mid」と「Side」がサイドチェインのソースとして設定され、「Side」信号の若干多めのミック
スがされています。ステレオのギターやキーボードにキックやスネアのピークが少し混ざった状態と言えるで
しょう。このミックスを「Side」チャンネルでトリガーに使用するとリミッターはキックやスネアに少しだけ反応し
「Side」チャンネルの音にグルーヴを加えてくれます。
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プロの使い方:
外部サイドチェインを使ってステム・ミックスをマスタリングをする:
トラックを複数のステレオ「ステム」(ステレオ素材のドラム、ボーカルとエフェクト成分、キーボードやギター・
グループ等)にバウンスすると最終的なマスタリング作業が大変しやすくなります。この「ステム」トラックを作
るために、多くの人はバウンスするグループをソロで再生しマスター・バスでリミッターをかけながら書き出す
かも知れません。(自分は違うって?いや、そうしていたはずです!)
しかしこの方法でバウンスを行うとマスター・バスにかけたリミッターは全トラック再生時と異なる挙動をする
ため、バウンスした各ステムを再びミックスすると全体のダイナミクスが変わってしまうのです。各ステムのレ
ベルは全体のステレオ・ミックスほど大きくならないからです。例えばステレオのギター・グループをソロにし
て再生しマスター・バスでそのままバウンスしてしまうと、全体のミックスに合わせて調整されているマスタ
ー・バスのリミッターはステレオ・グループ単体のピークを検出すらできない恐れがあります。
「bx_XL V2」を用いると、この問題を以下の手順で解決できます。
・通常通り「bx_XL V2」を使用し満足するミックスができるまで設定を行います。
・曲全体のステレオ・ミックスを「bx_XL V2」をバイパスした状態でバウンスします。
・バウンスしたファイルをホスト・アプリケーションの別トラックにインポートし、マスター・トラックの「bx_XL V2」
にサイドチェイン信号として入力します。
サイドチェインの外部入力設定に関しては各ホスト・アプリケーションのマニュアルを参照してください。
・bx_XLのバイパスを解除し「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」各チャンネルのサイドチェインを有効にします。
・ステム・ミックスにしたいトラックやグループをソロにして再生します。
・各トラックのレベルが3チャンネル(「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」)のスレッショルドをオーバーしていないにも
関わらず bx_XLのリミッターは曲全体を再生しているかのごとく動作します!これは先ほどバウンスした全体
のステレオ・ミックスがサイドチェイン信号として入力されているからです。
バウンスした全体のミックスをリミッティングのトリガーに使っているのです!
・こうして録音(またはバウンス)したステムを用いてステム・ミックスを行なうと、リミッターの恩恵を受けつつ
各ステムの微妙なニュアンスの調整が可能となります。 思う存分楽しんでください!
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「Master(マスター)」セクション
マスターXL:
「Master(マスター)」セクションの「XL」ノブを用いると「Mid Lo」、「Mid Hi」、
「Side」チャンネルの「XL」ノブ設定を同時に変更できます。各ノブの値の差は
オフセット値として保持されます。
「XL」ノブ上部にある XL バイパス・ボタンを押すと「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」
チャンネルの各「XL」バイパス設定を同時にトグルすることができます。
各チャンネルのバイパス設定は個別にトグルされます。
Master Gain Boost(マスター・ゲイン・ブースト)
マスター・セクションの「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」を用いると「Mid Lo」、
「Mid Hi」、「Side」各チャンネルの「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」スライダーを
「遠隔操作」できます。マスター・ゲイン・ブーストを変更すると各チャンネルの
「Gain Boost(ゲイン・ブースト)」スライダーがオフセット値を保ったまま移動しま
す。
3 チャンネル間でオフセットが保持される事により、「Mid Lo」と「Mid Hi」間では
周波数スペクトルに、そして M/S チャンネル間ではステレオ・イメージに変化
を付ける事ができます。プラグイン・ウィンドウの一番上にあるマスター・メータ
ーをよく見て確認しましょう。
多くの場合、「Mid Lo」と「Side」チャンネルを若干ブースト気味にするとファット
で広がりのあるサウンド、つまりエンジニアやバンド・メンバー(そしてファン
も!)が求める音になります。
Master Threshold(マスター・スレッショルド)
マスター・セクションの「Threshold(スレッショルド)」を用いると「Mid Lo」、「Mid
Hi」、「Side」各チャンネルの「Threshold(スレッショルド)」スライダーを「遠隔操
作」できます。「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」各チャンネルのスレッショルド値の差
はオフセット値として保持されます。
ミックスされた音源は殆どの場合、「Side」チャンネル(S 信号)よりも「Mid」チャンネル(M 信号)の方に多くの
エネルギーが含まれます。均一にリミッティングされたタイトなミックスを作るには「Side」チャンネルのスレッ
ショルドを、よりエネルギーを持つ Mチャンネルより低めに設定するのがポイントです。
「メイン」となる Mチャンネルを「Mid Lo」か「Mid Hi」のどちらにするかはクロスオーバー周波数を変えることで
自由に設定可能です!
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M/S、L/R、サイドチェインのソロ・ボタン(オート・モード)
M/S、L/R、サイドチェインの各ソロ・ボタンを用いるとミックスに含まれる様々な成分を個別にリスニングする
事ができます。
「Side」信号を位相補正しモノラル化し出力する「Solo S(ソロ S)」は Brainworx 社独自の技術です。
Solo M(ソロ M)
M(モノラル)信号を個別に聴く事ができます。ミックス全体に含まれるモノラル成分をまとめて出力します。左
右のチャンネルをミックスした信号です。 (L + R)
Solo S(ソロ S)
ミックス全体に含まれるステレオ成分をまとめて出力します。左チャンネルと位相を反転した右チャンネルを
ミックスして生成されます。
「bx_XL V2」は「Solo S」がオンにされると右チャンネルの位相を自動的に反転しソロ Sのモノラル信号を作成
し、左右のスピーカーから出力します。これによりミックスに含まれるステレオ成分を正しく確認できます。
Sチャンネルにリミッターを薄くかけ 1〜2dBブーストする事によりタイトさを出す手法は、歪みなしに最大のレ
ベルを稼ぐ手法として有名です!
M/S 技術を使ったミックスを行う場合、ソロ S 機能を使うことで各パラメーターの変化がどの様に音に反映さ
れたかが判断しやすくなります。M/S プロセッシングに馴染みの無い方は、普段聴きなれたステレオ・ミック
スや CDでソロ Sを使ってみて下さい。この機能の仕組みがすぐに理解できるはずです。また、M/Sプロセッ
シング全般に興味が湧いた方は、M/S EQ「bx_digital V2」に代表される、M/S 技術を応用した Brainworx 社
の多くのツールをお勧めします。「bx_XL V2」と併用することで更なるサウンドの追い込みが可能になるはず
です。
Solo L(ソロ L)、Solo R(ソロ R)
L(左)チャンネルまたは R(右)チャンネルいずれかをソロで聴く機能です。 同じソースが左右のスピーカー
から出力されます。
Solo Sidechain(ソロ・サイドチェイン)
「Solo Sidechain(ソロ・サイドチェイン)」をオンにするとサイドチェイン信号をリスニングすることができます。
サイドチェイン信号は「Sidechain Mix」セクションで設定した 2種類のソースをミックスした信号です。ミックスさ
れた信号は「Mid Lo」、「Mid Hi」、「Side」各チャンネルのサイドチェイン信号として使用されます。
Auto Solo(オート・ソロ)
オート・ソロ機能をオンにするとクリックしたパラメーターのチャンネルが自動でソロとなり出力されます。クリ
ックした瞬間からソロ機能はオンになりクリックをする間だけソロ信号が出力されます。例:サイド・チャンネル
のスレッショルド・フェーダーをクリックし、ドラッグしている間サイド・チャンネルがソロになりマウスを離すとソ
ロが解除されます。
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ステレオ・マスター出力 LED
ピーク、RMS、ダイナミックレンジ
左右の出力信号のピークと RMS(平均)レベルを同時に表示します。
加えてにメーター上部にはダイナミックレンジ・メーターが装備されており、プロセ
ス後のミックス全体のダイナミック・レンジを表示します。
ダイナミック・レンジが小さいとミックスのレベルは大きくなりますが、より潰れたサ
ウンドになります。
一般的にダイナミック・レンジが 6dB の場合は「とてつもなくラウドな」サウンドにな
ります。またそれより低い値(例えば 4dB)になるとミックスは歪み始めるので注意
して下さい。
自分の耳を信じて適度なレベルまで追い込んでみて下さい。
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M/S サミング・アンプ
「M/S Summing Amp Gain(サミング・ゲイン)」セクションにて「Mid Lo」、
「Mid Hi」、「Side」の各チャンネルの信号が特殊な方法で合成され、モ
ノ・コンパチブルなステレオ・信号が生成されます。
Phase-X
「Mid Lo」と「Mid Hi」信号はモノラル信号として結合されます。位相の
ずれは生じません。結合には全く新しいフェーズ・リニア・クロスオー
バー・フィルター「Phase-X」が用いられます。
M及び S信号は本来の L/Rステレオ信号に戻された後、「Peak Stop
(ピーク・ストップ)」リミッター(M/S ではなく L/R ステレオ・モードで動
作します!)に送られます。ステレオ信号は以下の単純な公式によっ
て生成されます。
M+S = 左チャンネル M-S = 右チャンネル
最終的な出力信号のステレオ幅は S チャンネルのサミング・アンプ・ゲインで調整できます。値が大きい程ス
テレオ・イメージが広がります。
M/S 信号のゲインはリンクさせることができます。リンクがオンの場合は片方のゲインつまみを動かすとも
う片方のつまみが一緒に動きます。各入力ゲインの値に開きがある状態でリンク・ボタンを押すと、ゲイン値
の差はオフセット値となりリンク・モードを使用する間は保持されます。この方法を使うとステレオ幅を変えず
にピーク・ストップ・リミッターに送る信号全体のレベルを調整することが可能です。
L/R ステレオ・ピーク・ストップ・リミッター
ピーク・ストップ・リミッターはサミング・アンプ・ゲイン・セクションで L/R ステレオ・フォーマットに戻された信号
が入力されるリミッターです。アタック・タイムとリリース・タイムが固定された堅牢なリミッターであり、クリップ
の発生を防ぐことが可能です。「bx_limiter」プラグインに搭載されるリミッターに限りなく似た特性を持ちます。
「bx_XL V2」の最後の処理として行われるリミッターです。この後に最終的な出力レベルを微調整できる
「Master Out(マスター・アウト)」ノブを通過し信号はプラグインから出力されます。
「Peak Stop(ピーク・ストップ)」スイッチをクリックすることでピーク・ストップ・リミッターをオンにできます。ピー
ク・ストップ・リミッターがオンの間、スイッチは点灯します。スイッチ上部のメーターはピーク・ストップ・リミッタ
ーのゲイン・リダクションを表示します。
「Master Out(マスター・アウト)」ゲイン(-6dB/+6dB)
M/S サミング・アンプ・セクションとピーク・ストップ・リミッターを通過した後にマスター・アウトに送られる L/R
ステレオ信号は 0dB でリミットされているためクリップは発生しません。 しかし習慣的に多くのマスタリング・
エンジニアはミックスを-0.2db または -0.3db に合わせて納品しています。 「Master Out(マスター・アウト)」
ノブを調整し、最終的なミックスのピーク値を好みの値に設定して下さい。0db 以上(ポジティブ値)に設定す
る場合は「bx_XL V2」の後段で更にリミッターを通す必要があります。 それ以降のプロセスでオーディオ・信
号に強い歪みが生じる恐れがあるからです。
マスター・アウトはなるべく-0.2dB に設定するのが好ましいでしょう。
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メーター・バー
Mid Lo/Mid Hi
Mid/Side
Correlation(コリレーション)
Balance(バランス)
「Mid Lo/Mid Hi」メーターは入力されたオリジナルのソースに対する 2 バンドの M 信号(Mid Lo と Mid Hi)間
の比率を表示します。針が左方向(Mid Lo側)に動いた場合、「bx_XL V2」のプロセス後のミックスがオリジナ
ルのミックスに比べ低音域成分をより含んでいることを意味します。最終的なサウンドに満足しているのであ
ればこのメーターが左に動いたからといって修正する必要はありません。
「Mid/Side」メーターはオリジナルのソースに対する M と S信号間の比率を表示します。
針が左方向(Mid 側)に動いた場合、bx_XLのプロセス後のミックスの S信号がオリジナルのミックスより少な
い(=ステレオ幅が少ない)事を意味します。M と Sのゲイン・ノブを使えばステレオ幅の調節がいつでもでき
ます!
「Correlation」は標準的なコリレーション・メーターです。大きな変更をする時などに全体の位相を確認するの
に役立ちます。
「Balance」メーターは L/Rチャンネル間のミックスのエネルギーのバランスを表示します。
I/O セクションの L/R 入力ゲインまたは「Pan M」 、「Pan S」のノブを使ってバランスを調整する事ができま
す。
Brainworx ツールバー
バイパス
バイパス・ボタンを押すと bx_XL 全体がバイパスされオリジナルのミックスと bx_XL
を使用して修正・改善したミックスを比較する事ができます。
アンドゥ/リドゥ (32 ステップ)
気に入らない時はいつでも Undoができますので安心してオペレーションできます。新しくなった A/B/C/Dセ
ッティングとコピー&ペースト機能はエンジニアにとって夢のような機能です。
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セッティング (A/B/C/D)
bx_XL はプラグインのセッティングを 4 つまで記憶可能です。 動作が遅く直感的な操作ができない事が多い
DAWの「プリセット・ウィンドウ」を使用する必要はありません。
まずはデフォルトの A で設定しましょう。 A の設定を Bにコピーします。 (「Copy」を押して「B」をクリック、そ
して「Paste」をクリックするだけです!)次に A と B を比べて下さい。 C と D も同様です。ひとつの設定だけ
をリセットする事も可能です。
DAW のオートメーション機能はハイレベルなマスタリングを行なう手助けになるかも知れません。楽曲のパ
ートによってステレオ幅を変える必要がある場合もあります。
そんな時はセッティング機能を使って下さい。 もちろん使う必要はありませんが、このような使い道もありま
す。
プリセット:
殆どのホスト・アプリケーションはプラグインのプリセットを保存することができます。「bx_XL V2」に搭載され
る A/B/C/D4つの設定メモリーは 1つのプリセット内に保存されます。
「Info(インフォ)」ボタン
このボタンを押すとバージョン番号、Brainwox 社の素晴らしい開発者達のクレジットなどの
一般情報を確認できます。
PDF マニュアル
インストール時にハードディスクに保存された PDFマニュアルはプラグイン画面下部の「Plugin Alliance」ツー
ルバーから開くことができます。(英文マニュアルのみ)
「bx_XL V2」をどうぞお楽しみください!
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国内輸入代理店
株式会社宮地商会
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