No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ...

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No. 88 2010 年 12 月 標準活動トピックス: SC 17(カード及び個人識別/Cards and Personal Identification) ―身近な製品に採用されている国際標準・その調整と日本の貢献― ................................ 2 廣川 勝久 最近の国際会議から: JTC 1/SG GICT(SG on Green ICT)会議報告 ................................................... 5 櫻井 義人((株)日立製作所) JTC 1 SWG on Directives 会議報告 ........................................................... 5 木戸 彰夫(日本アイ・ビー・エム(株)) JTC 1/WG 6(Corporate Governance of IT)会議報告 ........................................... 8 平野 芳行 SC 6(Telecommunications and Information Exchange Between Systems)総会報告................. 8 高山 佳久(ソニー(株)) SC 28(Office Equipment)総会報告 ......................................................... 10 小澁 弘明(NPO エコデザイン推進機構) SC 29(Coding of Audio, Picture, Multimedia and Hypermedia Information)総会報告........... 12 守谷 健弘(日本電信電話(株)) SC 35(User Interfaces Interaction)総会報告 .............................................. 13 山本 喜一(慶應義塾大学) SC 36(Information Technology for Learning, Education and Training)総会報告............... 13 仲林 清(千葉工業大学) SC 37(Biometrics)総会報告 ............................................................... 17 瀬戸 洋一(産業技術大学院大学) 2010 年 12 月以降 国際会議開催スケジュール ............................................. 22 解説:JTC 1 の新 Directives ............................................................. 23 木村 敏子(情報規格調査会) 規格調査会委員長、副委員長の就任のご挨拶.............................................. 26 平成 22 年度 工業標準化事業表彰の紹介.................................................. 27 JIS 公示: 近距離通信用インタフェース及びプロトコル(NFCIP)シリーズ --- JIS X 5211~5215 の公示について 29 山下 博之((独)情報処理推進機構) JIS X 3016 共通言語基盤の改正について...................................................... 30 頃末 和義,黒川 利明((株)CSK) 国際規格開発賞の表彰 ................................................................. 30 声のページ: コンピュータインターフェースの歴史を振り返って ............................................ 31 佐藤 和弘(日本電信電話(株)) エンジニアリング基礎知識体系と ISO 標準 .................................................... 31 松本 吉弘((財)京都高度技術研究所) 編集後記 ............................................................................. 32

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No. 88 2010 年 12 月

目 次 標準活動トピックス: SC 17(カード及び個人識別/Cards and Personal Identification)

―身近な製品に採用されている国際標準・その調整と日本の貢献― ................................2

廣川 勝久

最近の国際会議から: JTC 1/SG GICT(SG on Green ICT)会議報告 ...................................................5

櫻井 義人((株)日立製作所)

JTC 1 SWG on Directives 会議報告 ...........................................................5

木戸 彰夫(日本アイ・ビー・エム(株))

JTC 1/WG 6(Corporate Governance of IT)会議報告 ...........................................8

平野 芳行

SC 6(Telecommunications and Information Exchange Between Systems)総会報告.................8

高山 佳久(ソニー(株))

SC 28(Office Equipment)総会報告 .........................................................10

小澁 弘明(NPO エコデザイン推進機構)

SC 29(Coding of Audio, Picture, Multimedia and Hypermedia Information)総会報告...........12

守谷 健弘(日本電信電話(株))

SC 35(User Interfaces Interaction)総会報告 ..............................................13

山本 喜一(慶應義塾大学)

SC 36(Information Technology for Learning, Education and Training)総会報告...............13

仲林 清(千葉工業大学)

SC 37(Biometrics)総会報告 ...............................................................17

瀬戸 洋一(産業技術大学院大学)

2010 年 12 月以降 国際会議開催スケジュール .............................................22

解説:JTC 1 の新 Directives .............................................................23 木村 敏子(情報規格調査会)

規格調査会委員長、副委員長の就任のご挨拶..............................................26

平成 22 年度 工業標準化事業表彰の紹介..................................................27

JIS 公示: 近距離通信用インタフェース及びプロトコル(NFCIP)シリーズ --- JIS X 5211~5215 の公示について 29

山下 博之((独)情報処理推進機構)

JIS X 3016 共通言語基盤の改正について......................................................30

頃末 和義,黒川 利明((株)CSK)

国際規格開発賞の表彰 .................................................................30

声のページ: コンピュータインターフェースの歴史を振り返って ............................................31

佐藤 和弘(日本電信電話(株))

エンジニアリング基礎知識体系と ISO 標準 ....................................................31

松本 吉弘((財)京都高度技術研究所)

編集後記 .............................................................................32

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<標準活動トピックス>

SC 17(カード及び個人識別/Cards and Personal Identification)

―身近な製品に採用されている国際標準・その調整と日本の貢献―

SC 17 国内委員会 委員長 廣川 勝久

1. はじめに

ISO/IEC JTC 1/SC 17 は,カード及び個人識別を対

象とし,各種カードの要素技術から利用システムまで

を含めた国際互換性に関する標準化と登録管理を担

当している. これまで毎年の活動報告(本稿作成時点での最新版

は参考文献(1))及び総会報告(本稿作成時点での最

新版は参考文献(2))を通じて SC 17 の活動概要とその

国際標準化動向等を報告している.本稿では身近な製

品が SC 17 の国際標準に準拠している事例を紹介し

つつ,国際標準の制定に際してどのような国際間の調

整が必要であったのか,そのような活動のなかで日本

はどのように貢献しているのか,等について述べる. 日本の貢献を説明するに際しては,幾つかの具体的

な標準化内容について,制定された国際標準には書か

れていない事項,あるいは国際標準から読み取ること

が容易ではない制定時の背景や意図等について,若干

の私見も加えて解説する.

2. SC 17 の構成と主な活動領域

SC 17 は P メンバ 33 カ国,O メンバ 15 カ国と 19のリエゾンで構成され,その総会は毎年 10 月に開催

されている.最近では,2010 年 10 月に高松市で SC 17総会を開催した. 現在,SC 17 には 9 つの国際 WG が設置されており,

SC 17国内委員会もこれに対応した活動を行なってい

る(参考文献(3)). これらの WG の主な活動領域は次のとおりである. ・ ID カード共通技術:ID カードの物理的特性,記

録技術(エンボス,磁気ストライプ),試験方法 ・ IC カード技術:IC カード(外部端子付き IC カ

ード),コンタクトレス IC カード(非接触 IC カ

ード),IC カード及びコンタクトレス IC カード

の共通機能(内部ファイル構成,データ要素,

セキュリティ制御,コマンド・レスポンス等),

アプリケーション・インタフェース,試験方法 ・ 光メモリカード:物理的特性,記録方式,デー

タ様式,試験方法 ・ 生体認証応用:生体認証情報のカード内比較 ・ 登録管理:発行者識別番号とその登録管理,ア

プリケーション提供者識別情報とその登録管理 ・ 個別利用技術:機械可読渡航文書(電子パスポ

ート等),自動車運転免許証,金融取引カード ・ アクセシビリティ:触覚によるカード種別の判

断,マンマシン・インタフェースへの身体的条

件反映用情報 なお,これらを含む SC 17 の各国際標準の概要と相

互関係についての解説が SC 17 Website に公開されて

いる(参考文献(4)).

3.身近な製品に採用されている国際標準

(1) ID カードの寸法

国内では多くの人が複数枚のカードを利用してい

ると思われるが,カードという呼び方から連想される

のはキャッシュカードやクレジットカード等であろ

う.これらのカードの寸法は ISO/IEC 7810(ID カー

ドの物理的特性)に「ID-1 カード」の物理的特性とし

て定められている.この国際標準は 1969 年に設立さ

れた SC 17(当時は ISO/TC 95 傘下,その後 ISO/TC 97傘下)が担当する最も基本的な国際標準のひとつであ

り,その後のニーズに対応した改訂も行なわれている. 各国で発行されるカードがこの国際標準に準拠す

ることにより,カードを用いたサービスを行なうため

の機器も国際レベルでの共通化が可能になっている.

さらに国内外で購入した財布等にこれらのカードが

適切に収容できるのも,カードの寸法が標準化されて

いるためであることは日常意識されないであろう. ところで,ISO/IEC 7810 には上記の「ID-1 カード」

の寸法以外にも,パスポートの寸法(厚さは別に定め

られている)(参考文献(5)),携帯電話等に組み込ま

れる SIM (Subscriber Identity Module) カードあるいは

UIM (Universal Subscriber Identity Module) カードの寸

法が定められている. (2) 複数のカード技術の共存

キャッシュカードやクレジットカードには上記の

ID カードに ISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ

リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加

えたものが多く使われている.さらに,上記の ID カ

ードに ISO/IEC 7816(IC カード[外部端子付き IC カ

ード])シリーズに定められた IC カード技術を加えた

IC キャッシュカードや IC クレジットカードの利用も

進められている.また,電子パスポート,自動車運転

免許証等には ISO/IEC 14443(コンタクトレス IC カー

ド[非接触 IC カード]‐近接型)シリーズに定めら

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れたコンタクトレス IC カード技術が使われるように

なっている. これらは,利用面からのニーズに応じエンボス,磁

気ストライプ,IC カード,コンタクトレス IC カード

等の各カード技術を同一の ID カード上に共存させた

ものである.

4.国際標準制定のための調整と日本の対応例

ここでは各種のカードのうち IC カードに注目し,

その国際標準制定に際して国際間でどのような調整

が行なわれ,日本がどのように貢献したかを幾つかの

具体的な標準化内容について紹介する. (1) IC カードの端子位置

IC キャッシュカードや IC クレジットカードの表面

には外部端子が設けられているが,ISO/IEC 7816-2(ICカード -第 2 部:外部端子の位置及び寸法)に定め

られたその位置は日本提案によるものである. フランスは 1970年代の初めから ICカードとそのパ

イロットシステムの研究開発を行なっており,1982年には国際標準化を提案した(参考文献(6)).日本は

フランスの次に IC カードとそのパイロットシステム

を稼動させた国ではあるが,その稼動は 1984 年であ

った(参考文献(7)). フランスは IC カードの外部端子の標準化を提案し

たが,その端子位置は現在使用されているものより上

方にあり,カード裏面の磁気ストライプと位置的に重

なる部分があった.カードの製造技術上,表面に設け

た外部端子が裏面の磁気ストライプに影響を与える

恐れがあったため,日本から重複を生じない現在の端

子位置を提案した.既に稼動中のシステムを保有して

いたフランスからは強い反対があった. しかし,磁気ストライプを用いた既存システムから

IC カードを用いたシステムへの移行のためには,同

一のカードに磁気ストライプと IC カード技術が相互

に悪影響を与えずに共存することが必要であること

を各国が認識し,最終的に日本提案が採用されること

となった.なお,フランスの既存システムを尊重して

フランス提案の端子位置は 1990 年まで有効な

Transitional position として国際標準に併記された. (2) 外部供給クロック周波数と伝送速度

IC カード(外部端子付き IC カード)は,ISO/IEC 7816-3(IC カード -第 3 部:電気信号及び伝送プロ

トコル)に定められた電気的特性に従った電力と制御

信号の供給を外部から受けて動作する. 当初は伝送速度を9600bpsに固定する前提で検討が

開始され,フランスは同国のテレビ受像機に使用され

ていた水晶発振子を IC カード機器にも利用したこと

から,その周波数(3.5745MHz)を電気特性として提

案した.一方,日本は伝送速度と周波数とが 2n の関

係になる案(4.9152MHz)を提案した.各国は周波数

の単一化が望ましいとして WD 段階で多数決により

日本案は否決された. しかし,カードに実装しても機械的に破損しない小

さなサイズのチップを前提にするとともに,IC カー

ドに利用可能なチップの 1980 年代の集積度を考慮す

ると,実現可能なワンチップマイコンには限られたコ

ンピューティングパワーと若干の追加回路の搭載の

みが可能であった.日本提案はこのような技術的背景

に基づき,IC カードに期待する内部ファイル構成や

セキュリティ制御のためにリソースを振り向け,それ

以外の部分は極力単純化しようとする前提から考え

られたものであった. 各国の反対を受けて国内メーカは日本提案のメリ

ットを詳細に解説した寄書を連名で提出した.そこに

は,伝送速度と周波数とを 2n の関係にすることによ

ってチップの内部回路がよりシンプルになること,ま

た,2n の関係を保ちつつクロック周波数を半減させ

ることによって伝送速度も半減するが,バッテリ駆動

の機器ではバッテリの消費を抑えることができ,より

長時間の利用が可能になること等も示された. 各国はこの寄書を受けて再考し,伝送速度を周波数

の関数として表す etu (elementary time unit) という概

念を導入して ISO/IEC 7816-3 の電気特性を合意した. (3) ブロック伝送方式と任意の 8 ビットデータ

ISO/IEC 7816-3 には伝送プロトコルも定められて

いる.WD 段階で伝送プロトコルに関する寄書提案の

要請があり,フランス提案の「T=0 キャラクタ伝送

プロトコル」に対して日本から「T=1 ブロック伝送

プロトコル」を提案した.フランスの方式は 1970 年

代に開発されたため,チップ内のリソース上の制約が

日本提案よりも厳しい条件でも動作可能となってい

た.日本提案は IC カードの将来の利用場面を想定し

て暗号情報,画像情報等の通常の文字コード以外の任

意の 8 ビットデータも効率的に伝送すること等を意

図した方式として提案したものであった. 前項のクロック周波数と同様に各国の支持を得る

までには時間を要したが,最終的には審議中に他国か

ら提案された追加機能も取り込んで標準化した.また,

利用するプロトコルの選択方法も併せて国際標準と

して制定した. (4) 論理アドレス方式

IC カード内のメモリは単なる記憶領域としてでは

なく,利用時に選択されたアプリケーションに対応し

たアクセス方式やセキュリティ機能を提供するファ

イルシステムとして動作する.その詳細は ISO/IEC 7816-4(IC カード -第 4 部:構成,セキュリティ及

び交換用コマンド)とその関連パートに定められてい

る. この部分についても,フランスで開発された IC メ

モリの物理アドレスを用いて行うアクセス方式と,日

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本で開発した論理レコードによるアクセス方式の二

つが提案された.日本案はアプリケーションの構築を

容易にし,互換性を高めることを意図したアクセス方

式であり,ここにも開発時期により利用可能なカード

内リソースの制約の差が影響していたと考えられる.

その結果,両方式に対応したコマンドとそのレスポン

スが標準化された.なお,国際クレジットカード・デ

ビットカード業界のデファクトスタンダードである

EMV 仕様(Europay, MasterCard and Visa - IC Card Specifications for Payment Systems)では日本提案の方

式が評価され採用されている.

5.国際標準制定における日本の貢献

(1) 要素技術提案の立場での貢献

前章では,実際に IC カードを工業製品として開発

したフランスと日本の両国による提案が対立し,それ

を乗り越えて国際標準としての合意に至った事例を

紹介した.これらの事例以外にも,ISO/IEC 14443-3(コンタクトレス IC カード -第 3 部:初期化及び衝

突防止)には,読取装置の近傍に複数のコンタクトレ

ス IC カードが存在し,それらが同時に応答すると正

常な通信が出来なくなる問題を解決するために,日本

提案に基づく制御方式が定められていること等,多く

の事例がある. (2) 利用技術提案の立場での貢献

当初は前項のように,日本からは要素技術提案の立

場での貢献が中心であったが,現在では利用技術提案

の立場での貢献も並行して行なっている. たとえば,日本には他国よりもマルチアプリケーシ

ョン環境が進展している部分があり,これに基づいて

日本から NWI 提案を行ない ISO/IEC 7816-13(IC カー

ド -第 13 部:多目的 IC カード環境のアプリケーシ

ョン管理コマンド)を制定している. また,日本は Accessibility についても積極的に提案

している.日本提案に基づいて,視覚障害及び高齢の

カード所持者自身が触覚によって判断できるマーク

をカード上に設ける ISO/IEC 7811-9 TIM-Tactile Identifier Mark を制定した.また,利用者の身体的条

件等に合わせたマンマシン・インタフェースを提供す

る た め の ISO/IEC 12905 ETA-Enhanced Terminal Accessibility の標準化を進めている. (3) 国際標準化推進に関わる実務上の貢献

日本からは WG Secretary, TF Convenor の国際役職

を務めるエキスパートを出しているほか,各 WG の

国際標準化推進の場面で Project editor を務めて標準

文書の策定に貢献している. 標準化審議のための実験結果の提供や課題整理の

ための建設的コメントの発信等を通じて日本意見の

反映を図るのみでなく,このような実務レベルでの貢

献が評価され,関係国からの信頼を得ている.

6. おわりに

本稿では SC 17 として国際標準化に際してどのよ

うな国際間の調整が必要であったか,どのように貢献

したかを紹介した.紙面の関係で特定の国際標準に事

例が集中したが,紹介されていない他の事例について

も基本的には日本の技術力を背景にして関係国のニ

ーズを理解しつつ合意可能な案を粘り強く模索し調

整した結果,日本意見を反映できたと考えている(参

考文献(8)). 現在,SC 17 では今後の国際標準化を担う次世代の

エキスパート養成が急務になっているが,このような

事例紹介が SC 17 のみならず同様の課題のある SC に

とっても参考になれば幸いである. 最後に,SC 17 活動への参画委員とその所属組織並

びにご指導・ご支援を下さる関係機関の皆様に厚く御

礼を申し上げるとともに,この活動に更なるご理解と

ご協力をお願いして本稿のおわりとする.

7. 参考文献

(1) 情報技術標準 NEWSLETTER No.86 別冊 2010 年 7 月 2009 年度専門委員会活動報告:SC 17 国内委員会 (廣川 勝久) http://www.itscj.ipsj.or.jp/senmon/09sen/sc17.html

(2) 情報技術標準 NEWSLETTER No. 85 2010 年 3 月 SC 17 総会報告(廣川 勝久) http://www.itscj.ipsj.or.jp/report/17_200909.html

(3) 情報技術標準 NEWSLETTER No. 78 2008 年 6 月 SC 17 における標準化活動の動向とトピックス (廣川 勝久) http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/nl78_sc17.html

(4) Summary of SC 17 Standards v.05 ISO/IEC JTC 001/SC 17 Website の「 01. Public information」の「Standing document」 http://isotc.iso.org/livelink/livelink?func=ll&objId=8915905&objAction=browse&viewType=1 から 17n3685 Standing document - Summary of SC17 standards v.05 をダウンロード可

(5) 情報技術標準 NEWSLETTER No. 70 2006 年 6 月 電子パスポート(榊 純一) http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/passport.html

(6) 情報技術標準 NEWSLETTER No. 58 2003 年 6 月 SC 17 標準化活動の経緯とトピックス(林 義昭) http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/sc17.html

(7) 金融情報システム 1986 年 5 月 増刊 3 号 「IC カード研究会金融部会報告書」

(8) 標準化よもやま話 10(情報処理 48 巻 1 号掲載) 2007 年 1 月 ビジネスと国際標準, その合意形成(廣川 勝久) http://www.itscj.ipsj.or.jp/yomoyama/index.html

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< 近の国際会議から> ■ JTC 1/SG GICT(SG on Green ICT/グリーン ICT SG)

会議報告

規格役員

櫻井 義人((株)日立製作所)

1. 開催場所: ソウル(韓)

2. 開催期間: 2010-06-02/03

3. 参加国数/出席者数: 4 カ国/20 名(但し 2 カ国

3 名は電話会議での遠隔参加)

コンビーナ(Yong-Woon KIM,韓),セクレタリ

(Eunsook KIM,韓),韓(14),日(1: 櫻井義人),

電話会議参加:米(1),シンガポール(2)

4. 特記事項

4.1 会合ドキュメント

全 21 件(うち事前提出 16 件,会合出力文書 5 件) 事前提出文書内訳:事務的文書 5 件,リエゾン文書 2件,報告文書 9 件(各国状況,関連組織の活動報告,

ユースケース紹介等) 4.2 審議内容

(1) ToR の確認

本 SG では Green by ICT にフォーカスすることが確

認された.ただし技術的事項だけでなく必要に応じて

マネジメントに関する事項も取り扱うことが合意さ

れた. (2)IEC/TC 100 の報告

TC 100 にて家電やホームネットワークの消費電力

削減の取り組みが行われていることが紹介された.い

わゆる Green Home というのは Green by ICT として考

えられることが確認され,TC 100 を参照すべき組織

として意識することが合意された. (3) WG 7(Sensor Networks)ロンドン会合の報告

Sensor Networks というのは,Green by ICT に大きく

関わることが認識され,特に WG 7 の開発項目である

application profiles(ISO/IEC 29182 part 6)に深く関心

を持っていくことが確認された. (4) 各種ユースケース等の報告

韓国から,DC 電源活用,LED 照明開発状況,テレ

コンファレンスの活用状況等が報告された.米国から

はスマートグリッドによるビルシステムの効率向上

が報告された.また韓国 ETRI(コンビーナの所属機

関)からさまざまな SDO (Standard Developing Organization)での Green by ICT への取り組みやベスト

プラクティスの調査が報告された.また,WWF (World Wide Fund)や欧州の Smart2020 の活動状況が報告され

た.

(5) リエゾン関係

ITU-T の SG5 の Working Party 3(ICT & Climate Change)からのリエゾン文書が紹介され,リエゾン関

係を構築することを確認した.本 SG のコンビーナが

リエゾンオフィサーを務める.また ECMA TC38(ICT 機器の省エネ等の標準化)からのリエゾン文書が紹介

された.ECMA TC38 の議長は日立製作所の並河氏で

あり,必要なら櫻井がコンタクトすることを約束した. (6) 今後の進め方

コンビーナが JTC 1 総会への報告案の目次を作成

した.今後はこの目次に沿って Green by ICT のユース

ケースと関連するベストプラクティスの収集を行い,

GAP Analysis を行って報告書をまとめることを確認

した.エディタは Ms. Eunsook Kim と Mr. Jeongil Yim(ともに韓国 ETRI)が指名された. 4.3 今後の日本の対応

日本のユースケースやベストプラクティスをイン

プットしていく必要がある.材料はグリーン IT 推進

協議会にあると思われる.同協議会が JTC 1 と今後ど

のように関わっていけるのか国内で検討,確認する必

要がある.経済産業省とも相談したい.

5. 今後の開催予定

今後は月 1 回の電話会議を基本とすることが確認

された(6/28,7/26,8/23,9/13,10/4). ■ JTC 1/SWG on Directives 会議報告

規格役員

木戸 彰夫(日本 IBM(株))

1. 開催場所: ニューヨーク(米)

2. 開催期間: 2010-8-8/10

3. 参加国数/出席者数: 6 か国,1 団体/18 名

議長(Karen Higginbottom),セクレタリ(Sally Seitz),JTC 1 セクレタリ(Lisa Rajchel),JTC 1 Standing Documents Editor, ITTF ISO CS,Ecma(1 電話で寄書

の説明),加(2),仏(4),独(2),英(1),米(2),日(2: 鈴木俊宏[オラクル],木戸彰夫),

4. 概要と主な成果

前回の SWG on Directives 会議では,前回会議から

の継続審議案件の審議と,新しく発行された JTC 1 Supplement に関する各国からの寄書の審議が行われ

た.以下に各議案の審議の概要を記載する.

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(1) 議長報告

ISO/IEC JDMT からは継続して JTC 1 の審議プロセ

スを ISO/IEC 共通Directivesに整合させる努力を続け

るように要請されている. (2) JTC 1 で使用する文書フォーマットについて

IEC では,DOCX フォーマットのテンプレートを用

意するが,ODF に対応するプランは無い. ISO では,独自の XML フォーマットのテンプレー

トを作成しており,DOCX 及び ODF のファイルへの

変換を可能にすることを検討している.どの程度それ

らのフォーマットに対応できるのか,それらのフォー

マットを実際に扱えるツールは何であるのかは,まだ

はっきりしていない. 上記のことを踏まえて,SWG on Directives では JTC 1 SD を変更し,DOCX フォーマットを受け入れるよ

うにする.また,ISO で開発中の XML フォーマット

の利用に関しては,将来の課題とした. SWG on Directives としては ad-hoc を組織し,ISOと文書フォーマットに関する協議を行うこととした. (3) JTC 1 Standing Document on API について

API に関する Standing Document を廃止する旨,次

回の JTC 1 総会に提案することとした.API に関する

Standing Documentを複数のSCの協力の下に拡充すべ

きとの意見も出されたが,現在の API に関する

Standing Document の内容は,Standing Document とい

うよりは規格を作成する際のガイドに近いので,必要

があれば,SC 22 などが TR の NP を起こすのが望ま

しいということになった.この件は日本の主張が全面

的に支持された結果となった. (4) JTC 1 Standing Document on meeting について

現在電話会議を行える時間は厳密に 2 時間までに

限定されているが,それを短時間なら延長できるよう

に Standing Document を改訂することになった.なお

この電話会議の規定は,Face-to-face 会議に少数の人

間が電話で参加する場合は対象としない. (5) JTC 1 New Work Item Proposal Form について

ISO の NP Form を基にし,それに IEC の NP Formにある項目と,JTC 1 の NP Form にある項目を追加し

て,ISO,IEC,JTC 1 共通で使える NP Form のドラフ

トを作成した.SWG on Directives は ad-hoc を新設し,

会議で作成したこの NP Form を評価し,その Form を

書き込む際のガイドを作成することになった. 日本から提案した既存の NP 投票の Question 1~4までを関係付ける提案は,賛成を得られず却下された.

Question 1~3 の結果はそれぞれ独立に集計するので,

1 又は 2 に反対投票を行い,かつプロジェクトへの参

加を表明してもかまわないとの説明がなされた.どう

投票するかは,各 NB の判断にゆだねられる.なお,

投票に付与したコメントは,1~3 の投票の結果,そ

の全てがプロジェクト新設の基準に達した場合に,そ

のプロジェクトを担当する SC で検討される. (6) JTC 1 PAS と Fast Track の explanatory report

について

PAS と Fast Track で共通の explanatory report の形式

を使用するべきということが確認された.ドイツから

の explanatory reportの形式に関する提案は継続審議と

なった. PAS Mentor からの寄書で使用されている PAS のフ

ォームを編集可能なフォーマットで JTC 1 の Websiteに掲載することにした. (7) JTC 1 Supplement と Standing Document の使い

やすい形式について

JTC 1 の審議プロセスの記述は,ISO/IEC Directives Part 1,JTC 1 Supplement,JTC 1 Standing Documentsに分散されているため,多くの文書を開いて関連部分

を読まなければならず使いにくいという指摘がなさ

れた.実現性があり,かつ使いやすい形式・手法につ

いて意見が交換されたが結論はでなかった. (8) CD の投票期間について

以前行われた ISO/IEC Directives Part 1 及び JTC 1 Supplement の教育において,CD のコメント期間は 2~4 か月となったが,CD の投票期間は 3 か月のまま

であるとの説明が行われたが,それは解釈の誤りであ

り,CD の投票期間が 2~4 か月になったのだと説明が

なされた.この誤りは日本で開催された教育セッショ

ンで指摘されたものであり,JTC 1 セクレタリがフォ

ローを行い明らかにしたものである.この解釈の誤り

の原因は,JTC 1 では必ず CD 投票を行うことにして

いるが,ISO ではまずコメント期間を設けて 2 つ以上

のメンバが反対したときに初めて投票に移行すると

いうプロセスの違いが引き起こしたものであった. (9) JTC 1 Supplement について

現在の JTC 1 Supplement では,NP を出せるリエゾ

ンについて何の制限も無いように見えるが,これは

Category A リエゾンの間違いであり,将来の版で条文

の修正を行うことにした. Category B リエゾンは,inter-government organizationだけに限定して現在も使われているとの報告がなさ

れた. 日本から提案した JTC 1 Supplement に略語リスト

を追加する件に関しては,Supplement には Supplement文書で使用されている略語だけを追加することとな

った.ちなみに US の調べでは,AG,AMD,ARO,

COR,DR,OWG,RER,RG,RS,SG,SWG は,JTC 1 Supplement では使用されていない.また,大文字で

始まる National Body 及び略語の NB も JTC 1 で使え

るようにする. また,Standing Document 等で使用されている略語

については新しい Standing Document を作成するなど

の方策を考えるべく,日本が Standing Documents で使

Page 7: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

用されている略語を整理し,寄書として提出すること

となった. 日本提案のリエゾン承認プロセスのテキストの修

正の件は,サポートが得られずに否決された.理由は,

Category Aリエゾン を持てるのは JTC 1と SCのみで

あり,JTC 1 直下のものといえども WG は Category Aリエゾンを持てない.JTC 1 で行うリエゾン承認プロ

セスでは default ballot を用いることが多いが,通常の

ballot で承認を行うことも許されている.更に,SC レ

ベルでは default ballot を行うことができず,JTC 1 直

下といえどもWGで ballotを行うことはできないから

である. (10) Project Editor の中立性について

JTC 1 Supplement を作成した際に,Project Leader の記述を JTC 1 では Project Editor とすることにしたが,

その際に Project Editor の中立性に関する記述を入れ

忘れてしまっていた.そのため,将来の改定時に,“A Project Editor shall act in a purely international capacity, divesting him- or herself of a national point of view”とい

う記述を追記する. (11) 2011 年版 ISO/IEC Directives Part 1

ISO/IEC JDMT から提供を受けた 2011 年版の

ISO/IEC Directives Part 1 のレビューを行い,その変更

箇所について JTC 1 のプロセスへの影響を検討した.

1.12.3節として追加された“Persistently inactive experts, meaning absence of contributions through attendance to working group meetings or by correspondence shall be removed, by the office of the CEO at the request of the technical committee or sub-committee secretary, from working groups after consultation with the P-member.”と

いう条項について,JTC 1 の WG の参加者は ISO と異

なり国の代表であるので,何らかの理由で参加が途絶

えても WG の参加登録をセクレタリがはく奪するこ

とが可能かどうか,またこの条文は”shall”で書かれ

ているので,NB に問い合わせた結果のいかんにかか

わらず参加登録を削除しなければいけないはずでは

ないか,などの議論が行われたが,2011 年度版で追

加された条文には大きな問題は無いとして,エディト

リアル等のマイナーなコメントのみを ISO/IEC JDMTに返すことにした. また,JTC 1 Supplement 1.18.2.4 節は,2011 年版

ISO/IEC Directives Part 1 で追加された 1.18.1 節でカ

バーされているとして,将来の改訂の際に削除される. (12) Issue list の処理

Issue list には現在 2 つの Issue が書き込まれている

が,その内 Convenor の任期については,次回の会議

に向けて各 NB の寄書を求めることとなった. また,議論の中で各 NB から幾つか Issue が挙げられ

たが,全て次回の会議で審議することとなった.

(13) 将来の会議及び寄書のスケジュール

今後 SWG on Directives は 2 月と 9 月に年 2 回の会

議を予定する.9 月の会議は 6 月の ISO/IEC JDMT の

結果をレビューし,JTC 1 への影響を検討する.2 月

の会議は同じく6月の JDMTへのインプットの審議を

行う. 2011 年の会議は,2 月 16 日から 18 日までフランス

のセントデニスと,8 月 31 日から 9 月 2 日までカナ

ダのオタワで開催する.また 2012 年の会議は,2 月 7日から 9 日まで日本で,次いで 9 月 5 日から 7 日まで

ドイツで開催することを予定する.2012 年の会議に

ついては,SWG on Directives 会議の招致に関しての日

本とドイツからの正式な確認を待っている状態とな

っている. 次回のセントデニス会議までのスケジュールは,以

下の通り 2011 年 1 月 17 日 寄書の締切り 2011 年 1 月 21 日 終アジェンダ発行 2011 年 2 月 2 日 終アジェンダに掲載されてい

る寄書に対するコメントの締切り

5. 所感

今回の会議では,発行された ISO/IEC Directives Part 1,JTC 1 Supplement 及び JTC 1 Standing Documents に基づいた新プロセス運用からまだ日が浅いため,新プ

ロセスの問題点の指摘やその対策に関する踏み込ん

だ議論は行われなかった.しかしながら,ISO/IEC Directives Part 1 に記載されているプロセスの解釈に

ついては,各 NB の間でゆれがあり,またその解釈の

仕方によっては,従来の JTC 1 のプロセスとの間で意

識されないでいた違いが生じる可能性が多々あるこ

とが分かった.各国の代表は,ISO/IEC Directives Part 1,JTC 1 Supplement 及び JTC 1 Standing Documents からなる JTC 1 のプロセス文書を詳細にスタディして

いることに加えて,ISO Supplement に記載されている

ISO のプロセスをスタディすることにより,JTC 1 プ

ロセスの条文解釈に関する自国の主張を補強してい

た.日本の主張を SWG on Directives 及び JTC 1 総会

で通すためには,JTC 1 の新プロセスだけでなく ISOのプロセスにもある程度精通している必要があるよ

うに思われる.

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■ JTC 1/WG 6(Corporate Governance of IT)会議

報告

JTC 1/WG 6 小委員会

主査 平野 芳行

1. 開催期間: 2010-09-15/17

2. 開催場所: ヨハネスブルグ(南ア)

3. 参加者/参加国数: 10 か国/21 名

Convener(J.Graham,AU),Secretary(A. Kckay,AU),豪(2),韓(1),英(1),米(1),西(1),南

ア(4),スウェーデン(3),日(1: 平野芳行) リエゾン:ISACA(2),itSMF-I(1) TEL 参加:蘭(1),ニュージーランド(1),

4. 審議結果

(1) JTC 1/WG 6 の ToR の見直しについて,JTC 1 総会

で数か国からのコメントがあり,再検討した結果,再

提案し,審議してもらうことになった. (2) 現在作成中の規格案について,規格番号の変更す

ることが報告された. ・ WD29151 → ISO/IEC38500 の改定として番号

が 38500 に統一された. ・ WD29184 → WD38501 に番号変更 ・ NP(Model & Framework) → WD38502 と番号

が決まった. (3) 38500 (Corporate governance of information technology)の改正版,その実施の手引きである 38501 (Corporate Governance of IT -- Implementation Guide)については,TEXT の 終版をみて,よければ,CD 登

録を JTC 1 総会へ承認依頼の Recommendation を提出

することになった.JTC 1 への CD および DoC の 終

提出期限を 11 月 5 までに行う.なお,ドラフトの準

備は Editor と Expert の間で e-mail,テレコン等で 終

調整することになった. (4) NP-TR38502 (Model & Framework)にドラフトにつ

いては,まだ不充分なので,再度 WD とすることに

した.Editor として Max Schanahan(豪)を申請する

ことにした. (5) WG 6 のビジネスプランにについて,JTC 1 総会の

文書提出の期限(10/1)に間に合うように 9 月 終週

に 終案を提示し,メンバのコメントを反映させて,

提出する. (6) ISACA,itSMF-I とのリエゾンは継続することが確

認された. (7) WD38500 の議論で,6 つの原則の記載後,それぞ

れの原則に従って,Director(ここでは経営層を意味

する)が行う基本的行動を記載していた部分について,

38501 の方へ移す提案があり,合意された.

5. 所感

今回の結果として,ますます,TR 38502 の必要性

に疑問を感じた.特に 38500 から Director のやるべき

ことが削除されることになり,内容的に,用語やモデ

ルについては,基本は 38500 に記載されているので,

新しく 38502 を作ることで読者の混乱を起こす可能

性があるのではないかと危惧している.3 日間の会議

では多くのコメントの処理に時間が足りない状況な

ので,日程を 4 日に拡大することを検討することにな

った.なお,今回,南アフリカのヨハネスブルグ郊外

のサントン地区に泊まった.今回行ってみて,高級ホ

テル街およびショッピングモールの地区で比較的安

全が保たれているので,犯罪大国のイメージが少し変

わった.

6. 次回の会議予定

2011 年 3 月 14-16 日 チェジュ島(韓,TDB) ただし,今回の会議から 4 日間開催の可能性を打診

し,その結果で 終決定する. ■ SC 6 ( Telecommunications and Information

Exchange Between Systems/通信とシステム間の情報

交換)総会報告

SC 6 専門委員会

幹事 高山 佳久(ソニー(株))

1. 開催場所: ロンドン(英)

2. 開催期間: 2010-10-01

3. 参加国数/出席者数:10 カ国,2団体/54 名

議長(Dae Young KIM),セクレタリ(Jooran LEE),ベルギー(1),中(9),仏(1),独(2),日(3: 中村健一[パナソニック],向井幹雄[ソニー],高山佳

久),韓(21),蘭(1),スペイン(1),スイス(1),英(7),米(2),Ecma International(1),IEEE(1),ITU-T(1)

4. 議事概要

4.1 WG 1

4.1.1 Magnetic Field Area Network (MFAN)

MFAN(ISO/IEC 15149)の FCD 投票を事前承認. 4.1.2 ISO/IEC 8801-11 用代替セキュリティ

三ヶ月コメント期間を開始する為に, ISO/IEC 8801-11 用代替セキュリティ仕様(ISO/IEC 20011)の

WD 及び DoC(6N14436)を回覧する事を承認. 4.1.3 水中音響通信

韓国 NB から水中音響通信用 PHY/MAC 仕様の NP提案を奨励する.

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4.1.4 NFC

ISO/IEC WD 21481(6N14437)及び DoC(6N14438)をコメント回覧し,DoC が未だ反映されていない箇所

があった場合には,旧プロジェクトエディタらが

2010-10-31までにそれを 6N14437に反映させてCD投

票へ進む事を事前承認.CD 投票開始時点で新任プロ

ジェクトエディタへ交代. ISO/IEC WD 18092(6N14439)及び DoC(6N14440)をコメント回覧し,

DoC が未だ反映されていない箇所があった場合には,

旧プロジェクトエディタらが 2010-10-31 までにそれ

を 6N14439 に反映させて WD 第三版としてセクレタ

リへ提出する事を事前承認.WD 第三版以降新任プロ

ジェクトエディタへ交代.ISO/IEC 18092 用 RF 試験

規格を含むNFCシリーズ規格に関わる作業の為にAd Hoc Group を継続とし,WG 1 共同主査が議長を務め

2011-03-01/03 及び 2011-04-11/13 の二回会議を設定す

る事を事前承認. 4.1.5 Power Line Communication (PLC)

PLC 仕様の調和の為の勉強会の主査として Jee-Sik Park 氏を再任.PLC 報告書(6N14442)を回覧し,

2010-10-18/22 ジュネーブにて開催の ITU-T SG15 への

出席を奨励すると共にリエゾン声明(6N14443)も送

ることを確認した. 4.1.6 リエゾンオフィサー及びプロジェクトエディ

IEEE 802,IEEE RA,IEEE 802.11/15,JTC 1/SC 17へのリエゾンオフィサーの再任. UWB,NFCIP-2,NFCIP-1 Protocol Test 及び NFC-WIのプロジェクトエディタに Mr. Elzinga が任命された.

NFCIP-1 RF Testのプロジェクトエディタに中村氏が,

NFCIP-1 本体規格に高山並びに Mr. Elzinga が,

NFC-SEC及びNFC-FECにMr. Meindlがプロジェクト

エディタとして任命された. 4.2 WG 7

4.2.1 中間会議

ITU-T SG17 と会場を共同にした ITU-T Q.6/17 との

WG7 合同中間会議の 2010-12-09/10 開催を承認. ISO/IEC DTR 29181-1 のコメント解決等の為に

WG7 中間会議開催を承認. 4.2.2 センサーネットワーク

センサーネットワークのFCDからFDIS投票へ進む

事について事前承認. 4.2.3 フューチャーネットワーク

フューチャーネットワーク(PDTR 29181)を Part 1から Part 7 に分割することを承認. フューチャーネットワーク Part 1(PDTR 29181-1)の PDTR 投票の開始を承認. 4.2.4 マネージドピアツーピアフレームワーク

マネージドピアツーピアフレームワーク (WD 20002)の NB へのコメント回覧開始.

4.2.5 WG 7 のタイトル及びスコープ変更

WG 7 のタイトル及びスコープの変更に関するスタ

ディグループの設置を承認.(韓国のみ棄権) Project subdivision of Future Network problem statement and requirements(6N14448)を NB 回覧. 4.2.6 リエゾン声明書(以下のリエゾン声明書の回

覧)

6N14453 JTC1/WG7 宛,6N14454 JTC1/SC27 宛,

6N14455 JTC1/SC29 宛,6N14456 ITU-T SG2 宛,

6N14457 ITU-T SG11 宛,6N14458 ITU-T SG13 宛,

6N14459 ITU-T SG13 宛 4.2.7 リエゾンオフィサー及びプロジェクトエディ

プロジェクトエディタの再任及びリエゾンオフィ

サーの再任. 4.3 WG 8

4.3.1 中間会議

ITU-T Q.11/17 と 2010-12-8/17 及び 2011-04-11/20 ジ

ュネーブでの合同中間会議開催を承認. 4.3.2 番号振り直し

ISO/IEC 9594:2008 (Directory -- Password policy support)につき補遺番号の振り直しを承認. 4.3.3 コリジェンダの投票

2010 年 12 月又は 2011 年 4 月の WG 8 中間会議での

成果により,ISO/IEC 9594:2008 PDAM1,PDAM2,IdM,

ドラフトコリジェンダの投票を実施する事を事前承

認. 4.3.4 リエゾンオフィサー及びプロジェクトエディ

プロジェクトエディタ及びリエゾンオフィサーの

再任. 4.4 WG 9

4.4.1 Object ID (OID)

ISO/IEC FCD 29168-2(6N14395)を元に Object Identifiers (OID)レジストレーションオーソリティと

して韓国情報保護振興院(KISA)を推奨し,JTC 1 へ

承認を求めると同時に ITTF に手続きを依頼する. ISO/IEC FDIS 29168 Part 1 及び Part 2 投票の実施を

事前承認. Rec. ITU-T X.673|ISO/IEC 29168-2 共同作業の終了

を事前承認. 2010-12-08/17 及び 2011-04-11/20 にジュネーブにて

中間会議を実施する事を承認.更に必要に応じて追加

の会議を実施することを承認. オブジェクト識別子(arc)の割り当て及び Packed Encoding Rules(プロジェクトエディタ R)の為のエ

ンコーディングインストラクションを承認.ITU-T SG17 は既に承認済み. 議題(6N14429),報告書(6N14430),及び勧告書

(6N14427)を回覧.

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4.4.2 リエゾン声明書

ISO/IEC CD 29174 Registration rules についてリエゾ

ン声明(6N14431)を JTC 1/SC 31/WG 6 へ送る事を承

認. 4.4.3 リエゾンオフィサー及びプロジェクトエディ

プロジェクトエディタの再任及びリエゾンオフィ

サーの再任. 4.5 SC 6 全般にかかる決議

4.5.1 リエゾン

SC 6から他のグループへのリエゾン代表者を指名. S. K. Yoo JTC1/WG7 All SC 6 topics P. Thor プロジェクトエディタ JTC1/SC38 All SC 6 topics D. Y. Kim JTC1 SWG All SC 6 topics J. Lee JTC1 SWG Directives All SC 6 topics D. Y. Kim JTC1 SWG Smart Grid All SC 6 topics P. Thor プロジェクトエディタ ISO/TC68/WG4 All WG 9 topics J. S. Lee ITU-T JCA-NID All SC 6 topics S. G. Kang ITU-T Future Network All WG 7 topics J. Larmouth ITU-T SG17 All WG 9 topics O. Elzinga ITU-R WP 5A All SC 6 topics

4.5.2 事業計画

SC 6 の事業計画書(6N14446)及び SC 6 作業プロ

グラム(6N14447)を回覧する. SC 6 担当プロジェクトの定期見直しにつき,その

リスト6N14418を ITTFと確認したのち JTC 1へ提出. 4.5.3 総合案件処理

Message handling Systems (MHS) 規格群のスタビラ

イズを JTC 1 へ要求. Private Integrated Services Network (PISN) 規格群を

スタビライズ規格リストから削除する提案を JTC 1へ行う. ISO/IEC 13560(ISO/IEC 26907, ISO/IEC 26908)用

の割り当て番号登録機構として,JTC 1 へ Ecma International を推薦する. ISO/IEC 13156(60GHz)のプロジェクトエディタと

して,Mr. O. Elzinga を指名. ITU-R WP 5A へのリエゾンオフィサー(Mr. O. Elzinga)にリエゾン声明書の作成を要請. 4.5.4 次回開催予定

次回 SC 6 総会は 2011-06-20/24 で米国サンディエゴ.

アジェンダ及び寄書は 2011-05-10 まで.差し替えは

2011-06-05 まで. 次回以降の SC 6 総会は,中国(未定)にて 2012 年

2 月又は 3 月. 5. 今後の日本の対応

WG 1 にて,NFC シリーズ規格を ISO/IEC 14443 シ

リーズ規格と調和させるための実務が中心となる.

WG 1 では,今回のロンドン会議から,Co-convenerである向井氏が事実上の主査の任務を遂行できた事

と,日本からの専門家が重要な仕様についてはプロジ

ェクトエディタに指名してもらえたことにより,今回

のロンドン総会にて,比較的推進しやすい体制を獲得

できた. ISO/IEC14443 と NFC の ISO/IEC 規格との調和を進

めるにあたり,国際的に認知してもらえるような進め

方を学んだので,その知見を基にして JIS X 6319-4 を

グローバルマーケットに認知してもらえる標準化の

作戦を立てそれを実践していくことが今後の課題で

ある. ■ SC 28(Office Equipment/事務機械)総会報告

SC 28 国内委員会(JBMIA)

委員長 小澁 弘明(コンサルタント・

NPO エコデザイン推進機構代表理事)

1. 開催場所: ロチェスター(米)

2. 開催期間: 2010-06-09/06-11

3. 参加国数/出席者数: 7 ヵ国/30 名

議長(斎藤輝),セクレタリ(杉山元邦[富士ゼロ

ックス]),オーストリア(1),中(4),独(1),日(12: 小澁弘明[HoD],熊倉和正[前セクレタリ],大久保

彰徳[JBMIA],伊藤丘[KMBT],仲谷文雄[富士ゼ

ロックス],宮下隆明[リコー],臼井信昭[PFU],

佐田和泉[セイコーエプソン],村井和夫[JBMIA],

小林武史[キヤノン],今河進[リコー],山岸成多[パ

ナソニック]),韓(2),露(1),米(7),ゲスト(1)

4. 議事内容

4.1 概要

JTC 1/SC 28(Office Equipment)第 21 回総会が,米

国のホストによりニューヨーク州ロチェスター市に

あるロチェスター工科大学にて開催された. [特記事項]

・ 今回の総会では,争点となる大きな問題は特に

なく,順調に議事が進められた. ・ 本総会において新任の富士ゼロックス杉山氏が

初めて国際幹事を務めた.前任の元リコー熊倉

氏の参加・助言も得て,再任の斎藤議長との連

携 も 良 く 総 会 は ス ム ー ズ に 運 営 さ れ た

(Acclamation 6&7/2010). ・ 総 会 の 冒 頭 , ITTF (ISO/IEC Information

Technology Task Force) から,国際 SC 28 メンバ

3 名に標準化活動の貢献が認められ表彰された.

米国の Mr. Paul Jeran,故 Dr. Yee Ng とともに日

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本からコニカミノルタの伊藤丘委員が表彰され

た.大変喜ばしいことである(Acclamation 9/2010).

・ これまで SC 28 Ambassador を務めていた SC 28国内委員会事務局 JBMIA 櫻井氏退任に伴い,後

任にリコー宮下委員が任命され,AWG(及び日

本委員会)がサポートすることとなった

( Acclamation 5/2010 及 び Resolution Rochester41/2010 Recommendation of SC28 Ambassador).

4.2 AWG(戦略検討とロードマップ)コンビーナ C.-W.

Kim(韓)

AWG の使命のひとつは現在と将来のマーケットニ

ーズを分析・予測し,SC 28 の短期・中期ロードマッ

プの策定を行うことにより,新たな標準化課題発掘の

ベースを作ることにある. ・ AWG 日本メンバが主体となって作成した 2010

SC 28 Roadmap が 承認 された( Resolution Rochester3/2010 2010 SC28 Roadmap Approval).

・ SC 28 にかかわる Terminology の検討を行ってい

るが,その coordinator にリコー宮下委員が指名

された(Resolution Rochester 42/2010 Appointment of SC28 Terminology Coordinator).

4.3 WG 2(消耗品)/29142(カートリッジ): コン

ビーナ P. Jeran(米)

フレームワーク標準化など検討されたが,結局開発

期間の 18 カ月間延長を要請することになった

(Resolution Rochester12/2010 Request for extension of ISO/IEC 29142 Parts 1,2,3,4 and 5) 4.4 WG 3(複写機・複合機の生産性): コンビーナ D.

Lewis(米)

・ ISO/IEC 21117(複写機仕様書様式)及び 11160-2 (プリンタ仕様書様式)の revision が決定,SC 28 Work Program に追加され,伊藤丘委員が 21117の Project Editor に任命された( Resolution Rochester14&15/2010 Revision of ISO/IEC 21117&11160-2).

・ ISO/IEC 24734(プリンタ生産性測定方法)及び

24735(複写生産性測定方法)の revision が決定,

SC 28 Work Program に追加され,伊藤丘委員が

24735 の Project Editor に任命された(Resolution Rochester16&17/2010 Revision of ISO/IEC 24734&24735).

・ 新規規格候補として,Scanner Productivity 及び

Print First Page Out 規格の考え方が報告され,

Scanner Productivity 内容を伊藤丘委員から説明.

両方の規格候補について NP 提案に向けて活動

することが確認された.

4.5 WG 4(Image Quality Assessment.画質測定): コ

ンビーナ E. Zeise(US)

ISO/IEC 24790(画質属性測定方法)及び 29112(白

黒レーザープリンタの解像力測定法及びテストチャ

ート)は共に Technical Specification (TS)として標準化

す る こ と が 決 定 さ れ た ( Resolution Rochester 19&20/2010 Change ISO/IEC 24790&29112 to Technical Specification). 4.6 WG 5(オフィスカラー)

Stage0 提案として Color Terminology for Office color Systems を WG 5 会議でリコー白沢氏が,Plenary 会議

では WG 5 コンビーナの富士ゼロックス仲谷委員が

説明した.また,2011 年 1 月をめどに日本から NP 提

案する予定であることも説明した. 4.7 その他

ISO/IEC 21118(データプロジェクタ仕様書様式)

の revision が決定,SC 28 Work Program に追加され,

パナソニック山岸氏が Editor,伊藤丘委員が Co-editorに任命された(Resolution Rochester 26/2010 Revision of ISO/IEC21118: 2005). 4.8 LIAISON OFFICERS

日本委員会とかかわりのある新規案件は以下の通

り. ・ JTC 1 SGDCM (Study Group on Digital Content

Management) への出席要請: 候補として PFU 臼井委員の派遣を JTC 1 に要請する(Resolution Rochester6/2010 Request for JTC1 on attending the Study Group on “Digital Content Management”).

・ IEEE-ISTO Printer Working Group への Liaison: キヤノン小林委員(Resolution Rochester33 /2010 SC28 liaison with EEE-ISTO Printer Working Group)

・ SCIT への JTC 1 代表として仲谷幹事(富士ゼロ

ックス)を SC 28 が JTC 1 に推薦することを決

定 ( Resolution Rochester33/2010 SC 28 representative to SCIT).

・ ISO/TC42 Nobuaki Usui(再),Ann McCarthy(再) Mr. Toshihiko Inagaki(再),Eric Zeise(再)

・ ISO/TC130 Nobuaki Usui(再)& Eric Zeise(再) ・ ISO/TC171 Nobuaki Usui(再) ・ SCIT Fum io Nakaya(再) ・ CIE Div 8 Ann McCarthy(再) & K. Richter(再) ・ CIE Div 1 Klaus Richter(再) ・ IEC/TC100/TA2 Fumio Nakaya(再) ・ Ecma TC38 Paul Menard(再) ・ Ecma TC46 Ann McCarthy(再) ・ ICC Ann McCarthy(再) ・ IEEE-ISTO Printer WG Takeshi Kobayashi(新)

4.9 Ambassador の任命

・ 退任 櫻井穆(JBMIA)

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・ 新任 宮下隆明(リコー)

5. 今後の開催予定

① 2011 年開催候補地 中国・浙江省杭州市 6 月 ② 2012 年開催候補地(未定)

6. その他

今回の会議場は,ロチェスター市郊外に広いキャン

パスを展開するロチェスター工科大学(RIT)で大学

当局の協力のもとに開催された.近接ホテルから徒歩

圏内にあるとともに設備も適当であり,順調に会議が

出来た. ただ,昨年の釜山総会は新型インフルエンザで一時

開催が懸念されるなど大騒ぎとなったが,今回は別の

トラブルの発生があった.ロチェスター市への入出に

たまたま移動トラブルが多く,行きは WG 会議参加

メンバの ANA 機が機体不調で成田に引き返し 1 日遅

れ,また斎藤国際議長のシカゴからロチェスターへの

乗換え便がキャンセルになりバッファロー経由で深

夜車によりロチェスター入り.帰国便も,再び斎藤議

長及び報告者小澁を含む 4 名が,シカゴ空港雷雨閉鎖

の為着陸できず日本への接続予約便をミス,帰国便満

杯で 2 日遅れで帰国などアクシデント続きであった.

来年の中国開催の無事を祈る思いである. ■ SC 29(Coding of Audio, Picture, Multimedia and

Hypermedia Information/音声,映像,マルチメディ

ア,ハイパーメディア情報の符号化)総会報告

SC 29 専門委員会

委員長 守谷 健弘(日本電信電話(株))

1. 開催場所: ジュネーブ(スイス)

2. 開催期間: 2010-07-31

3. 参加国数/出席者数: 7 カ国/15 名

議長(浅井光太郎[三菱電機]),セクレタリ(小倉

由紀子[ITSCJ]),AGM コンビーナ(兼スイス),WG 11 コンビーナ(兼伊),米(3),英(2),独(1),日

(1),韓(1),豪(1),ITTF,ITU-T SG 16,SMPTE(1,兼米),欠席:WG 1 コンビーナ

4. 審議事項:

JTC 1 総会報告,各 WG からの報告,リエゾン等か

らの報告,NB からのコメントを審議した結果,下記

事項が決議された. 4.1 標準化案の承認等(決議 1)

・ IS/AMD/COR の承認 15 件 ・ FDIS/FDAM の承認 28 件 ・ FCD/FPDAM の承認 13 件

・ CD/PDAM/PDTR の承認 16 件 4.2 標準化項目の見直し,変更(決議 2)

・ Subdivision 1 項目 MPEG-D(1 件)

・ Minor Enhancements 10 項目 MPEG-4(3 件),MPEG-7(2 件),MPEG-21(1 件),MPEG-A(1 件),MPEG-C(1 件),

MPEG-D(2 件) ・ キャンセル 1 項目

JPSEC(1 件) 4.3 スケジュール

標準化スケジュール SC29N10501 を承認.(決議 3) 4.4 プロジェクトエディタ

9 件のべ 13 名の新任を承認.(決議 4) 4.5 JCT-VC の設立(決議 5)

WG 11 と ITU-T SG 16/Q.6 による Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC)の設立を承認し,議長

として WG 11 側の Dr. Jens-Rainer Ohm を指名し,

ITU-T 側の Dr. Gary Sullivan を承認. 4.6 SC 29 ビジネスプラン案承認(決議 6)

4.7 Facilities fee(決議 7)

WG 会合を招致する NB に会場費の無料化,可能な

削減を要請. 4.8 公募文書の公開(決議 8)

WGに技術公募文書を SC 29ウェブサイトで確実に

公開するよう要請. 4.9 プレナリ会合への出席(決議 9)

委員やコンビーナのプレナリ会合への出席を要請

し,不可能な場合に電話会議も検討. 4.10 無料標準規格(決議 10)

他のパートを購入した人に対し 23005-6を無料配布

とする. 4.11 委員任命(決議 11 – 12)

・ リエゾン代表者任命 3GPP:Mr. Young-Kwon Lin ・ リエゾン代表退任 OMA: Dr. Kate Grant ・ JTC 1 のアクセシビリティグループ委員として

Dr. Kate Grant を任命. 4.12 リエゾン(決議 13 - 16)

・ 締結リエゾン C:OIPF (Open IPTV Forum) ・ 変更リエゾン B から C:CIE (International

Commission on Illumination) ・ 解消 DAVIC (Digital Audio Visual Council) ・ 関係リストの定期的更新を各 WG に要請

4.13 前回議事録承認(決議 17)

4.14 P メンバの参加状況を IETF に報告(決議 18)

4.15 SC 29 web サイトのパスワード更新

プレナリ会合後(決議 19) 4.16 次回会合

2011 年 7 月の WG 11 会合(トリノ)直後の土曜日

を要請.(決議 20)

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4.17 Editor に対する ISO/IEC Certificate の授与

推薦 33 件のべ 94 人(決議 21) 4.18 その他議論

UK より,課題の重複回避や連携のために JTC 1 や

他 SC での新規プロジェクトの情報収集,意見交換が

重要であるとの意見.この目的で随時 AGM 委員のメ

ールを活用し,必要に応じて WG の活動に反映させ

る. ■ SC 35(User Interfaces Interaction/ユーザイ

ンタフェース)総会報告

SC 35 専門委員会

委員長 山本 喜一(慶應義塾大学)

1. 開催期間: 2010-08-23/27

2. 開催場所: ベニス(伊)

3. 参加国数/出席者数: 10 カ国/41 名

議長(Yves Neuville,仏),セクレタリ(Pilippe Magnabosco 仏),米(8),伊(1),韓(2),独(2),加(4),スウェーデン(1),中(9),デンマーク(1),仏(4),日(7: 山本喜一[HoD],池田宏明[千葉大],

中尾好秀[JBMIA],中野義彦[JBMIA],関喜一[産

総研],野村茂豊[日立],大野克行[JBMIA])

4. 審議概要

プロジェクトの通常の進行計画以外の事項及び日

本が主体になって進めているプロジェクトについて

述べる. (1) ISO/IEC TR15440 Future keyboards and other associated input devices and related entry method につい

て,日本,韓国,中国に対してそれぞれの言語の入力

方式に関する情報提供が求められた. (2) 韓国から提案された Web ブラウザのマウスジェ

スチャによるナビゲーションに関する NP について,

日本と韓国とで共同してNPに対するドラフトを考え

ることになった. (3) ISO/IEC 11581-40 User interface icon -- Part 40: Management of icon registration の Validation team の登

録を開始する. (4) Secretariat は icon DB のホストと実際に実現するた

めの組織を探す. (5) ISO/IEC 29136 User interfaces -- Accessibility of personal computer hardware(日立 野村がエディタ)を

FCD 投票に進める. (6) 韓国提案の NP User interface guidelines for IPTV public service については,多くの国から様々な意見が

出され,このままでは NP として受け付けられないこ

とから,韓国は各国の提案に基づき NP 提案を再考す

ることになった.日本からは IEC TC100 や ITU-T と

の関係の調査を提案したが,内容についてもさらなる

提案が期待されている.

5. 今後の予定:

2011-02-21/25 GOM (General Orientation Meeting) ベルビュー/シアトル(米) 2011-08-29/09-02 Plenary ポーランド/日本/ペルー (2010-09-30 までに確定) 2012-02-20/24 GOM 日本/ヨーロッパ(仮) 2012-08-23/31(仮) カナダ(仮)

6. その他

会議場の Ca’Zanardi は中世の貴族の館をホテルと

して利用しているもので,建物内部の家具・調度は素

晴らしいものであったが,会議室,客室とも空調がな

く,異常気象の下,ものすごい暑さと湿度のなかで会

議を行った.空調以外の会議のための設備は,イタリ

ア NB が準備してくれたおかげで,特に問題はなかっ

た. 今回はじめて中国が 9 名の代表を送り込んできた

が,積極的に会議に参加していたのは 2 名だけで,国

際会議の偵察という雰囲気であった.ただし,WG 6のアクセシビリティ関連の規格に興味があるようで,

中国国内の規格をいきなり国際規格として提案しよ

うと試みるなど今後の動きを注視する必要がある. JBMIA 大野氏からの日本への総会招致についての

プレゼンテーションに対して謝辞が贈られた. ■ SC 36(Information Technology for Learning,

Education and Training/学習,教育,研修のための

情報技術)総会報告

SC 36 専門委員会

委員長 仲林 清(千葉工業大学)

1. 開催場所: State Collage, PA(米)

2. 開催期間: 2010-09-06/12

3. 参加国数/出席者数: 11 カ国,6団体/47 名

議長(Bruce Peoples,米),セクレタリ(Channy Lee,韓),豪(2),加(7),中(6),仏(3),独(1),日

(5: 岡本敏雄[電通大,WG2 コンビーナ],仲林清

[HoD],西田知博[大阪学院大],平田謙次[東洋大],

鷹岡亮[山口大]),韓(7),ノルウェー(2),露(8),英(1) リエゾン(人数の無い団体はNB代表が兼務): AUF(1),CEN/ISSS,DCMI,IEEE LTSC(1),ADL(1),

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LETSI

4. 議事内容(敬称略)

SC 36 総会および WG が前回 2010 年 3 月の大阪会

議に続いて開催された.主な審議内容を以下に示す. 4.1 SCORM 関連

アメリカの標準化組織 ADL (Advanced Distributed Learning Initiative) のリエゾンから,e ラーニングコン

テンツ関連の標準規格 SCORM (Sharable Content Object Reference Model) に関するプレゼンがあった.

旧バージョンの SCORM 2004 3rd エディションは

ISO/IEC DTR 29163-1, -2, -3 & -4 として TR 化されて

いるが,現在,SCORM 2004 4th エディションが出版

されており,この新バージョンの TR 化が話し合われ

た.また,関連の動向として,ADL が IEEE LTSC (Learning Technology Standards Committee) , LETSI (Learning Education and Training Systems Interoperability) と連携しながら,コンテンツと学習管

理システムが通信するためのデータモデルで,

SCORM でも用いられている CMI (Computer Managed Instruction) 規格のバージョンアップを検討している

ことが紹介された.SC 36 でも WG 4 で各国からの意

見を取りまとめる予定である. 4.2. WG 1(ボキャブラリ)

日時:2010-09-10 09:00/18:00, 2010-09-11 09:00/18:00 参加国数/出席者数:8 カ国・団体/17 人:コンビ

ーナ(仏/AUF),豪(1),加(4),中(1),日(2:仲林 清,西田知博),韓(2),ノルウェー(1),露(5) WG 1 ではボキャブラリ規格である ISO/IEC 2382-36 を扱っている.すでに出版されている第 1 版

のコリジェンダは DCOR 投票が行われ承認された.

また,ボキャブラリを各国語に翻訳したアメンドメン

トを作成することとなった.2010-11-15 までに各国か

ら翻訳を収集する.日本からも翻訳の提供を検討する.

第 2 版はこのコリジェンダおよびアメンドメントを

統合したものとなる.また,SC 36 の他のプロジェク

トで用いられている語彙をもとに第 3 版の検討を行

うこととなった. 4.3. WG 2 ( Collaborative and intelligent

technology)

日時:2010-09-08 09:00/18:00, 2010-09-10 14:00/18:00, 2010-09-11 14:00/18:00 参加国数/出席者数:7 ヶ国・団体,10 人:コンビ

ーナ(岡本敏雄),セクレタリ(西田知博),豪(1),加(1),中(2),韓(1),独(1),日(1:鷹岡亮),

SC 36 議長 (1) ISO/IEC 19778 Part.4(Type3 Technical Report)

Collaborative workplace(ISO/IEC 19778-1,2,3)およ

び Collaborative learning communication ( ISO/IEC 19780-1)について,その普及を図るためのユーザガ

イド作成の議論が行われた. 初日には,岡本コンビーナより,WG 2 が行ってき

た 4 つの IS の開発経緯と User Guide 作成の理由が述

べられ,その後“A form of effective Use Case description on 19778-4 User Guide for implementing, facilitating and improving collaborative applications”というタイトルで

山口大学の鷹岡から,これまで会議のレビュー,3 つ

の 概 念 ( Collaborative Workspace, Collaborative Environment, Collaborative Group)の関係と各データモ

デルの仕様,2 つのユースケースレベル(Collaborative Function Level と Collaborative Environment Level)の説

明(ケース含む)と提案に関する発表が行われ,3 つ

の概念とデータモデルの確認,ユースケースの記述方

法についての協議を行った.そこでは,「ユースケー

スの記述方法について, 協調技術を柔軟に表現(記

述)できる枠組みが提供できないか?」,「Data Exchange 部分は 4 つの IS の仕様外であるが, ツール

開発においてはデータレベルが表現されていないと

困るがその部分をどうするのか?」等の意見が出され

議論された. 2 日目には,「Introduction of e-SchoolBag Project」と

いうタイトルで中国の Wu Yonghe から,e-SchoolBag Project の概要と機能,IS への対応とユースケース,

さらに 4 つの IS の中国語翻訳化に関する発表が行わ

れた.発表されたユースケースは,Data Exchange の

部分を含めて今回議決された SC36 Resolution10 に対

応したユースケースとして提案されるとともに,その

ユースケースは今後の WD 作成にて活かされること

になった.本件に関しては,2010 年 10 月 31 日を期

限として各 NBLO にユースケースの提案を依頼し,

WD を 2011 年 1 月 30 日までに作成することが合意さ

れ,総会でも承認された. (2) ISO/IEC 29127(Type3 Technical Report)

ISO/IEC 29127“System Process and Architecture for Multilingual Semantic Reverse Query Expansion for LET”は,2009 年 12 月 2 日に DTR 投票が終了し,2010年 8 月末にコメントに対応した修正が終了した.現在

手続きが進み,近日中に TR として出版予定である. (3) Study period について

現在,WG 2 では“ the integration of automated processes for supporting collaborative activities”および

“Web 2.0 in collaborative ITLET environments”という

2 つの Study Period が設けられている.これらに関す

る報告として,1 日目には岡本コンビーナ(“A Framework for e-Learning2.0 and Its Primary Functions - New Model for Learning Ecology -”),2 日目にはカナダ

の Norm Friesen(“Social Media for Educational Support, Promotion and Delivery”)と SC 36 議長の Bruce E. Peoples(“Autonomous Systems”),3 日目には韓国の

Tae In Han(“SOA-Based interactive Video Service for

Page 15: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

e-Learning”)による発表が行われた.その後の議論の

結果,2 つの Study period はさらに 6 ヶ月間延長され

ることとなり,総会でも承認された. (4) 今後の展望

ISO/IEC 19778 Part 4 に関しては,今後,ユーザガイ

ドの作成作業を進めていくが,特に,ユースケースの

柔軟な記述方法の提案と典型的ユースケースの作成, ユースケース事例の収集・分類, および Collaboration Function の整理を中心にタスクが実行される予定で

ある.また,2 つの Study period “The integration of automated processes for supporting collaborative activities ” と “ Web 2.0 in collaborative ITLET environments” に関しては,2011 年 3 月まで延長し,これらの Study period における議論を踏まえて新た

な標準化作業のターゲットを検討していく. 4.4 WG 3(学習者情報)

日時:2010-09-07 0900/1800, 2010-09-09 0900/1800, 2010-09-11 0900/1300 参加国数/出席者数: 9 カ国・団体/22 人 コンビ

ーナ:フランス メンバ:豪(1),加(4),中(3),仏(5,Convener 含),独(1),日(2: 平田謙次,仲

林清),韓(2),ノルウェー(2),露(1) (1) ISO/IEC 24703 -- ITLET -- Participant

identifiers

前回の大阪会議での変更決議に基づいた第二版が

提出された.カナダからのコメントおよび WG 1 から

要請された用語の見直しを受け,エディタは変更した

文書を提出することになった. (2) ISO/IEC 24763 -- ITLET -- Conceptual Reference

Model for Competency information and Related

Objects

DTR 投票の BRM が延期されていたが,今回,無事

に終了した.102 のコメント中 86 が解決された.ド

イツからの 16 のコメントについては,文書全体に大

きな影響をもたらすものであり,この対応については,

第二版での見直し時に反映することで合意し,今回の

第一版での投票には受け付けないこととした. また会議での議論を受けて,規格のタイトルを変更

するよう JTC 1 に要請することを決めた.変更タイト

ルは “Conceptual Reference Model for Competency Information and Related Objects” である. (3) NWI ISO/IEC TR 29140:Nomadicity and Mobile

Technologies

モバイルラーニングに関する 2 つのパートからな

る TR を作成するプロジェクトである.Part1 は,前回

の大阪会議で行われた BRM を受けて,修正後の DTR文書が提出された.この DTR に対するコメントは事

前になかったが,会議において議論をし,修正が加え

られた.この修正を受け,2010 年 11 月 1 日までに

DTR 投票に入ることとなった.

Part 2 は,前回の大阪会議で,今後の DTR 投票がで

きるように NBLO に対して貢献が要請されていたが,

貢献がなかった.エディタは,今回の会議の内容を反

映し,DTR 投票のための文書を 2010 年 11 月 1 日ま

でに提出することが要請された. (4) ISO/IEC 29187 “Privacy protection

requirements & ITLET”

ノルウェーから提出されたコメントについて会議

中議論をした.Part 1 の CD 草稿については,2010 年

11 月 30 日まで提出することとなった,また,エディ

タには他のパートについても草稿を提出するよう要

請があった. (5) ISO/IEC 20013 ITLET -- e-Portfolio Reference

Model

初の WD が提出された.会議での議論を受けて,

PDTR 投票に向けて草稿を 2010 年 11 月 30 日までに

提出することになった.なお,プロジェクトエディタ

として韓国の Sung-Wook Shin が承認された. (6) ISO/IEC 20006 – ITLET -- Information Model for

Competency

学習者のスキル・コンピテンシーの管理に関する日

本提案のプロジェクトである. ・ Part 1: Competency general framework and

information model (IS) ・ Part 2: Proficiency information model (IS) ・ Part 3: Guidelines for the aggregation of competency

information and data (TR) の構成である.会議において平田から Part1,Part2,Part3 についての WD 草稿を説明し,議論を行った.

次回ストラスブール会議において,詳細を議論するた

めのCDおよび PDTRの原文を提出するよう要請があ

った.また,NBLOs に対して,次の内容の技術的貢

献を 2011 年 1 月 31 日までにするよう要請された. 1)IT システムに実装されたコンピテンシー情報モ

デル例 2)コンピテンシー情報モデル実装例 3)情報モデルの実装における課題 4)習熟度の分類 5)コンピテンシー情報およびデータの集約化例, 6)コンピテンシー情報の実装における課題 4.5 WG 4(MDLET, Management and Delivery for LET)

日時:2010-09-08 0900/1800, 2010-09-09 0900/1800, 2010-09-13 0900/1800 参加国数/出席者数: 10 カ国・団体/22 名 コンビ

ーナ:加(1)メンバ:豪(1),加(4),中(5),デ

ンマーク(1),仏(2),独(1),日(2,仲林清,平

田謙次),韓(2),ノルウェー(2),英(1) WG 4 は MLR (Metadata for Learning Resources),CP (Content Packaging) の標準化を行っている. MLR については,Part1: Framework が FDIS 段階に

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ある.今回の会議で Part 2: Dublin Core elementsの FCD BRM が行われ,FDIS に進めることが合意された. Part 3: Basic application profile は,Part 1 と 2 を基に

したアプリケーションプロファイルで,今回 FCD に

進めることが合意されたが,Dublin Core および IEEE LTSC の IEEE LOM (Learning Object Metadata) 規格と

の互換性に関する,各国の考え方の相違が際立ってい

る.Dublin Core ではメタデータの各要素はすべて任

意要素だが,IEEE LOM では要素ごとに必須/任意や

繰り返し回数,繰り返した場合の優先度が定められて

おり,Part 3 でこれにどう対応するかが問題となって

いる. その他,Part 4: Technical elements,Part 5: Educational elements,Part 6: Availability, distribution, and intellectual property elements の各 Part の CD 投票を行い,Part 7: Bindings を新たに開始することが合意された. CP については,広く用いられている IMS の規格に

基づいており,Part 1 が IS となっている.Part 2,3については FCD 投票のタイミングが遅れたため,

BRM が実施できなかった.電話会議での実施を検討

している. 4.6 WG 5(Quality Assurance)

日時:2010-09-07 0900/1800, 2009-09-09 0900/1800 参加国数/出席者数: 10 カ国・団体/20 名 コンビ

ーナ:独(1)メンバ:豪(1),加(3),中(2),フ

ランス(1),日本(2,平田謙次[東洋大],岡本敏雄

[電通大]),韓(3),ルクセンブルグ(1),露(6) (1) ISO/IEC 19796 ITLET -- Quality Management,

Assurance, and Metrics

教育の質保証に関する規格である.Part1: General Approach については,現在エディタである韓国 Han,日本 平田,ルクセンブルグ Jacqueart,フィンランド

Pawlowskiに加え,ロシアPozdneevが追加任命された.

当該規格の利用や適用に関する国際調査を行うこと

となり,2010 年 10 月 31 日までに調査票を作成する

こととなった.また,第二版に向けて,TC176 および

INLAC や IRAM,UN,EFQM など関連組織からの参

加および貢献を呼びかける. Part 2: Quality Modelは現在のCD2版について,2010年 10 月 31 日までに修正・変更について貢献するよう

依頼された.この貢献を受けて,2010 年 11 月 20 日

までに CD2 投票を開始できるよう,文書を提出する

こととなった. Part 4: Best Practice and Implementation Guide は,前

回の大阪会議の BRM を受けて,2010 年 10 月末まで

に新しい PDTR を提出するよう指示された.そして,

コンビーナから 2010 年 11 月 20 日までに投票のため

の文書を掲載することとなった. Part 5: Guide "How to use ISO/IEC 19796-1"について

は,DTR の BRM が行われた.TR として出版が予定

されている. また,Part 6: Assessment Model を新たに作成するこ

ととなった.WG 5 における合意と WG5_255 文書に

基づき,SC 36 委員会は新たなプロジェクトとして

Assessment Model for ISO/IEC 19796-1 (ISO/IEC 19796-1 に対応した査定モデル)が承認となった.2011年 1月 15日までに次回ストラスブール会議に向けて,

WD 草稿を提出するよう要求された. さらに,平田,ルクセンブルグ Jacquemark,ドイツ

Struke には,ISO/IEC 19796 シリーズの関係を明確に

するような文書を 2011 年 1 月作成するよう要請があ

った. (2) Study Period "e-Assessment"

e-Testing(試験システム),品質査定,品質項目の

品質および妥当性の 3 つのテーマを取り上げている.

次回会議でこれらの議論をする.なお,英国には

e-Testing に関する NWI の変更版を 2010 年 10 月末ま

でに提出するよう要請があった. (3) Study Period "Relation to other quality

standards"

他の質保証標準との関係を検討するスタディピリ

オドを進めている. ISO9000 シリーズや ISO10014 などの品質規格との

関係を明らかにする資料を 2011 年 1 月 15 日までに提

出し,次回会議で議論をする. 4.7 WG 6(Supportive Technology and Specification

Integration)

日時:2010-09-11 0900/1800 参加国数/出席者数: 9 カ国/12 名,コンビーナ,

中(2),豪(1),加(1),中(2),仏(1),日(西田

知博),ノルウェー(1),露(1),英(1),SC36 セク

レタリ Type3 TRである ISO/IEC 24725-2 “ITLET supportive technology and specification integration -- Part 2: Rights Expression Language (REL) -- Commercial Applications”は DTR 投票が終了していたが,コメント対応の作業

が行われていないままであったため,その出版プロセ

スが停止している状況にあった.今回,SC 36 セクレ

タリからその状況に関する指摘が行われ,コメント対

応の作業のため 2010 年末まで各国の協力を仰ぐこと

になった. また,現在進行中の “Virtual Experiments”(仮想実

験)の Study period に関しては,コンビーナの中国

Wu Di からプレゼンテーションが行われ,他国からも

実例の報告をして欲しいとの要請があった.中国 NBは規格化を進めたいという意向であるが,今回は会議

では NP とはせず, Study period のままで 2011 年 3月まで延長されることになった.さらに,中国の Wu Yonghe から E-Textbook に関するプレゼンテーション

が行われた.これを受け,E-Textbook に関し,将来の

Page 17: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

規格化を目指し Study period を立ち上げたいとの提案

と各国への参加の呼びかけがあり,総会でも承認され

た.E-Textbook は日本においても注目を集めているも

のであるので,その対応を慎重に検討し,動向に注視

する必要がある.

5. その他

5.1 日本提案の進展

WG 2 で長らく進めてきた協調学習関係の 4 つの規

格については,ユースケースドキュメントを作成する

プロジェクトが立ち上がっており,引き続き日本が中

心となって作業を進めていく必要がある.また,WG 3,WG 5 ではスキル標準関係,品質保証関係の活動

を日本が中心になって進めている.今回 WG 3 で議論

が行われた.今後,国内への普及も含めて推進してい

きたい. 5.2 今後の予定

2011-03-12/19 ストラスブール(仏) 2011-09 上海(中) ■ SC 37(Biometrics/バイオメトリクス)総会報告

SC 37 専門委員会

委員長 瀬戸 洋一(産業技術大学院大学)

1. 開催場所: マラッカ(マレーシア)

2. 開催期間: 2010-07-19/20

3. 参加国,機関数/出席者: 14 カ国,5機関/37 名

議長,セクレタリ,中(2),仏(3),独(3),米(5),英(5),ウクライナ(2),露(4),南ア(1),スペイ

ン(1),シンガポール(2),韓(1),マレーシア(2),フィンランド(1),日(3: 瀬戸洋一[HoD],向井幹

雄[ソニー],新崎卓[富士通研]) リエゾン: SC17,SC27,SC29,SC31,IBIA

4. 概要

第 9 回目の総会がマレーシア(マラッカ)で開催さ

れた.今回,14 カ国からの 37 名が Plenary に参加し

た.US は,従来 10 名ほど参加していたが,今回は

Plenary への参加が 7 名,UK は政府体制が変わったこ

とによりPlenary およびWGの参加者が大幅に減った.

一方,ここ数年,ロシア,スペインの活動が盛んにな

っている.中国は代表者が定期的に参加するようにな

った. 本年 7 月 1 日より,New Directives が実施されてい

るが,SC 37 での対応について,HoD 会議などで議論

があった.SC 37 としては,すでに 2012 年までの総

会,WG 会合の日程が決まっているので,CD-FCD か

ら CD-DIS への移行について,ISO/IEC 方針の Option に基づき,現行すでに走っている案件については,1年間の移行期間中,従来ルールに沿って進める

(Option 2)ことになった. WG 1 の Convenor を担当し,用語の標準化に大きく

貢献してきた,カナダの Rene McIver が辞任し,オー

ストラリアの Steve Clarke が新 Convenor に就任した.

また,SC 37 が設立されて以来,ITU-T 関係のリエゾ

ンなど活発に貢献してきた UK の John Larmouth が引

退した.今後 UK は後任を出さない方針を表明した.

他の WG の Convenor として WG 2 は Kwon(韓),

WG 4 は Hogan(US),WG 6 は Savastano(伊)が再

任された.また,SC 37 議長として Podio(US)を SC 37 より候補として支持した. 日本が関与する DNA/SNP(DNA の塩基型の1つで

あり SNP(スニップと発音),個人識別に利用できる)

については,現在の開発案件 19794-14 に入れること

は取りやめになり,新規に 19794-15 として日本から

NP 提案することが WG 3 の決議文書案に盛り込まれ

ていたが,EUのプライバシーに関する配慮から SC 37への Resolution から削除する提案を日本から行った.

NP 提案に実質的な影響はないと考える. 次回総会および WG は,2011 年7月,東京で開催

予定.瀬戸から,東京会議紹介のプレゼンテーション

を行った.

5. WG の活動報告

Agenda の承認のち審議が始まった. 5.1 WG 1(Harmonized biometric vocabulary)

カナダの McIver が主査を辞任し,オーストラリア

の Steve Clarke が主査となることになった.今回は

Waggett(UK)が主査代行し WG 1 のシンガポールお

よびマレーシア会議に関する活動報告があった. ・ CD 2382-37(Vocabulary ‐ Biometrics) ・ Standing Document 2, version 14(Harmonized

Biometric Vocabulary) ・ Standing Document 11(Part 1 Overview Standards

Harmonization Document) ・ WG 1 Roadmap

上記に対し,11 月 23 日までに各国がコメントを提

出することになった. 5.2 WG 2(Biometric technical interfaces)

主査の Kwon(韓)より WG 2 のシンガポールおよ

びマレーシア会議に関する活動報告があった. (1) 3rdCD 29164 for Embedded BioAPI

組み込み装置対応のプログラムインタフェース

API の標準である.FCD 投票のステージに進むこと

になった.

Page 18: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

(2) FCD 19784-4: BioAPI Part 4: Biometric sensor

function provider interface

生体認証装置(センサ)に関する API 標準である.

コメント審議を行い,唯一のコメント(日本)は受け

入れられた. FDIS 投票のステージに進むことになった. (3) Technical Corrigendum - Defect reports on

19784-2 BioAPI Part 2: Biometric archive function

provider interface

BioAPI のデータベース管理機能のみをモジュール

化して独立させるための API である.DCOR 投票の

ステージに進むことになった. (4) NWIP on BIAS

バイオメトリックアイデンティティマネジメント

に関する標準である.NP 前のコメント審議を行った.

唯一コメントを寄せた国は日本だけであった.日本か

らのコメントは概ね受け入れられた. NP+CD のような促進プロセスの仕様はせず,今後,

NP 投票が行われ,WD からの審議となる. (5) US contribution: a Draft NP on BioAPI Java

Interface

"BioAPI for Object Oriented Programming Languages"として NP 投票に付されることとなった.並行して

WD 作成が行われる. (6) SD on XML namespaces, data elements, schemas,

and related items

バイオメトリックデータなどを XML で表現する検

討を行っている.複数の WG 関係するため,下記の

会議が実施された. ・ WG 2/WG 3/WG 5 合同会議で議論された. ・ WG 2としてSD15/SD16の2件の文書がBD(Base

Document)として準備することになった. ・ 2つの文書ともEditorはCathy Tilton氏.Co-Editor

も指名された. (7) Contributions on mechanisms to create and

maintain a registry for table of non-CBEFF

identifiers

CBEFF は,バイオメトリックデータの論理構造に

関する標準である.このデータ構造に合致しないデー

タへの対応が必要になり,下記の会議が実施された. ・ CBEFF フォーマットに準拠しない論理データ構

造の登録に関し,WG2/WG3/WG5 合同会議で議

論された. ・ CBEFF フォーマットの登録機関である IBIA の

対応の如何が争点であり,IBIA へのコンタクト

行う旨などのアクションを WG 2 として議決し

た. (8) Roadmap

見直しが行われ,改訂された.

(9) エディタほか

のべ 44 名の Editor,Co-Editor が,任命(継続を含

む)された.日本からは,下記の Editor および Co-Editorに任命されている. ・ 中村敏男(沖ソフトウェア): Editor - 19784-1

Amd. 1 - BioGUI ・ 山田朝彦(東芝ソリューション): Editor - 19784-1

Amd. 3 - Support for interchange of certificates and security assertions, and other security aspects

・ 山田朝彦: Editor - 19785-4 - CBEFF Part 4 ・ 中 村 敏 男 Co-Editor - 24709-2 BioAPI

Conformance Testing,Part 2 ・ 中村敏男: Co-Editor, 24709-3 BioAPI Conformance

Testing, Part 3: Test Assertions for BioAPI Frameworks

(10) その他

・ Young-Bin Kwon(韓)を WG 2 Convenor として

再選した.任期は向こう 3 年間. ・ 案件ごとの Editor が確認された.ただし,活動

引退を表明した John Larmouth(UK)が担当して

いた Editor は後任が指名された.Larmouth が

Co-Editor を担当していた分は充当されないこ

とになった. 5.3 WG 3(Biometric data interchange formats)

主査の Busch(独)より WG 3 のシンガポールおよ

びマレーシア会議に関する活動報告があった. (1) DNA/SNP

WG 3 の Resolution では,19794-14 に入れることは

取りやめになり,19794-15 として日本から NP 提案す

ることが決議文書案に盛り込まれたが,総会での議論

の結果,SC 37 からの Invitation ははずすことになった.

NP 提案には影響しないので,実質的な影響は少ない

と考える.9 月 6 日までにセクレタリに提出.エディ

タは河原の予定. (2) NonCBEFF の登録

CBEFF に関連しない Dataset ID の Registration Authority(RA)の問題は IBIA に頼むことも含めて,

Stockholm 会議で議論を開始する. (3) 日本関連案件

・ Rev.19794-9(静脈,エディタ:浜)は FCD に進

んだ.Part9 はコンフォーマンスも一体になって

いるので,コンフォーマンス Part1 の Rev.が2ndWD になったため足止めとなる可能性があり,

Stockholm 会議で,分割を提案すれば別々に動け

る. ・ 29109-8(指紋スケルトン適合性,エディタ:新

崎)は FDIS に進んだ. ・ Rev 219794-8(指紋スケルトン改版,エディタ:

新崎)は,他の指紋パートとの調整で 3rdFCD に

留めおいた.(Part 2 と Part 4 も 3rdFCD)

Page 19: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

(4) ターゲットデートの変更

下記の 4 件が 1 年ないし 2 年ターゲットデートを延

長することになった. ・ WD 19794-7:Biometric data interchange formats -

Part 7: Signature/sign time series data ・ CD 19794-13:Biometric data interchange formats -

Part 13: Voice data ・ FCD 19794-9:Biometric data interchange formats -

Part 9: Vascular image data ・ WD 29794-6:Biometric sample quality ‐ Part 6:

Iris image data (5) Non-CBEFF

CBEFF に関連しない Dataset ID の Registration に関

し,Authority (RA) の問題は IBIA に頼むことも含め

て,Stockholm 会議で議論を開始する. (6) 19794 シリーズの XML

19794 シリーズの XML エンコーディングでは,マ

ルチバイオメトリクスをサポートすることに関し,

WG 2 から問題提起されている. (7) Road Map

承認された. (8) エディタなど

104 名が任命(継続を含む)された.日本からは下

記が任命された. ・ 新崎卓(富士通研) : Editor ‐ 19794-8 [G2]

(Finger Pattern Skeletal Data) ・ 新 崎 卓 : Editor ‐ 19794-8 [G2] AMD1

(conformance) ・ 浜壮一(富士通研) : Editor ‐ 19794-9 [G2]

(Vascular Image Data) ・ 緒方日佐男(日立オムロンターミナルソリュー

ションズ): Co-editor ‐ 19794-9 [G2] ・ 新崎卓 : Editor - 29109-8 [G1](Conformance

Testing Part 8) ・ 浜壮一: Co-Editor - 29109-9 [G1] ・ 緒方日佐男: Co-Editor - 29109-9 [G1]

5.4 WG 4(Biometric Functional Architecture and

Related Profiles)

主査の Hogan(米)より WG 3 のシンガポールおよ

びマレーシア会議に関する活動報告があった. (1) New Work Item Proposal

Amendment to 24713-3 to Define a LDS for a Chip-enabled SID (Seafarer's Identity Document) の NWIに関する審議を行った.本来,カナダより 2010 年 2月に提案される予定であったが対応の遅延あり.SC 17 との調整がうまくいかなかった模様.会議中に NPの様式を整えた.NP 提出にあたり ILO への事前の調

整をすることになった. (2) Roadmap

一部のエディトリアルな修正があったが,提出され

たロードマップは基本的に承認された. (3) 1stWD TR 29195, Technical Report on Passenger

Processes for Biometric Recognition in Automated

Border Crossing Systems

入国管理の自動化ゲートに関する標準である. ・ タイトル名が,passenger → traveller の変更があ

り,Technical Report on Traveller Processes for Biometric Recognition in Automated Border Crossing Systems となる予定.

・ 下記のコントリビューションを NB に求められ

ている. ‐バイオメトリクスを用いた自動化ゲートにおける

実際のワークフロー ‐ WG 6 における 24779 parts 2 and 3 on icons など本

TR に関係する開発情報 ‐ Annex A に掲載する各国で開発されている BBPS (Biometric Border Process System) などの情報の提供 ・ 2ndWD に関し 11 月 23 日にレビューを行う.適

切ならば来年 1 月に PDTR の投票ができるよう

に調整する. (4) 1stWD TR 29196, Technical Report on Guidance

for Biometric Enrolment

バイオメトリックシステムへの生体情報の登録に

関する標準である. ・ ドイツから1件,プライバシー問題に関し,す

でに開発済みの TR 2471-1 と重複した開発なら

ないようにすべきとの意見があった. ・ 下記のコントリビューションを NB に求められ

ている. - large and small scale systems における実績,教

訓 -運用フロー -モデルの再考 -モダリティごとのガイダンス(19794-5,-4 (N3304),-6)

- Annex A に関連するドキュメントの提供 (5) その他

・ Michael Hogan 氏の今後 3 年間の主査継続が承

認された. 5.5 WG 5(Biometric testing and reporting)

主査の Statham(UK)より WG 5 のシンガポールお

よびマレーシア会議に関する活動報告があった. (1) タイトルの変更

ISO/IEC 29189: new title: Evaluation of examiner assisted biometric applications (2) 開発期間の変更

下記のプロジェクトが,概ね一年のスケジュール延

長が受理された. ・ ISO/IEC 29156: Guidance for specifying

performance requirements to meet security

Page 20: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

・ And usability needs in applications using biometrics ・ ISO/IEC 29198: Characterization and measurement

of difficulty for fingerprint databases for technology evaluation

・ ISO/IEC 29197: Evaluation Methodology for Environmental Influence in Biometric Systems

・ ISO/IEC 29189: Evaluation of examiner assisted biometric applications

(3) リエゾン関係

のべ 20 名の委員が任命(継続も含む)された.日

本が対応する editor ,co-editor は次のとおりである. ・ 内田薫(日本電気): Project Editor for TR 19795-3:

Biometric performance testing and reporting Part 3‐ Modality specific testing

・ 山田朝彦 : Co-Editor for 29120-1: Information Technology ‐ Machine readable test data for biometric testing and reporting ‐ Part 1: Test Reports

・ 山田朝彦 : Co-Editor for 29120-3: Information Technology ‐ Machine readable test data for biometric testing and reporting ‐ Part 3: Test Certificates

・ 溝口正典(日本電気): Co-Editor for TR 29198: Characterization and measurement of difficulty for fingerprint databases for technology evaluation.

(4) その他

マルチモーダルに関する性能評価に関する日本か

らの NP 寄書の Invitation が決議された. 5.6 WG 6 ( Cross-Jurisdictional and Societal

Aspects of Biometrics)

主査の Savastano(伊)が欠席したため,代理人(US)がより WG 6 のシンガポールおよびマレーシア会議

に関する活動報告があった. (1) NWI 投票

・ Cross ‐ jurisdictional and societal aspects of implementation of biometric technologies

‐ Pictograms, icons and symbols for use with biometric systems ‐ Part 1: Overview(バイオ

メトリックシステムで利用されるアイコン-

パート1総論) SC 37 の事務局から,期限が過ぎようとしているので

NWI 提案により再スタートする事を支援するという

文書が発行されていた.国際主査の Mario は,現在だ

されているコメント処理を先に実施しそれから再ス

タートを切る形とする意向とした. (2) 開発期限の延期

・ WD レベルで,期限が 2 ヶ月延長された(2010年 5 月 → 2010 年 7 月)

-WD 24779-2: Cross-jurisdictional and societal aspects of implementation of biometric

technologies - Pictograms, icons and symbols for use with biometric systems - Part 2: Fingerprint applications(指紋) -WD 24779-3:Information Technology - Cross- jurisdictional and societal aspects of implementation of biometric technologies ‐

Pictograms, Icons and Symbols for use with Biometric Systems ‐ Part 3: vascular applications(静脈:日本がエディタを務め進

めている) (3) エディタなどの任命

7 名の委員が,任命(継続も含む)された.日本か

らの引き受け状況は,下記である ・ 池野修一(セコム): Co-editor 29144 ・ 宇都宮康夫(日立情報制御ソリューションズ):

Editor 24779-3 (4) その他

今回 UK の出席者が少なく,関連する審議が進まな

かった. WD 29144 The use of biometric technology in commercial identity management applications and processes に関しては,エディタ(UK)が欠席のため 議論が進まなかった.そのまま次回 Stockholm 会議へ

の持ち越しの形となった.

6. リエゾン報告

(1) JTC 1/SC 17 ‐ Cards & Personal

Identification

Dr. Bazin(UK)より一般的な SC17 との関係に関し

報告があった. (2) JTC 1/SC 24 ‐ Computer Graphics & Imaging

Processing

担当欠席し報告なし. (3) JTC 1/SC 27 ‐ IT Security Techniques

・ Dale Hapeman(US)より報告があった.SC 27の WG 構成の説明,SG はテレカンファレンスで

対応し,審議結果についてはメールで展開して

いるなどの運営に関する説明があった. ・ SC 37 との関係は,プライバシーフレームワーク,

プライバシーリファレンスアーキテクチャ:WG 6,IdM:WG1,2,4,6,アクセスマネジメン

ト:WG 2,4,5 との密な連携が必要とのこと. IdM,プライバシー,データプロテクションなど 9 つ

の案件に関し,SC 27 と Special Group を再設置するこ

とになった. (4) JTC 1/SC 29 ‐ Coding of Audio, Picture and

Multimedia & Hypermedia Information

担当が欠席し報告なし.

Page 21: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

(5) JTC 1/SC 31 ‐ Automatic Identification &

Data Capture Techniques

Dr. Kwon(韓)より活動状況の簡単な紹介あり. (6)ITU-T SG 17

担当の Prof. Larmouth(UK)が引退したため,説明

なし.UK として後任を出さない旨の説明あり. (7) BioAPI Consortium

説明なし (8) International Biometric Industry Association

(IBIA)

Tilton(US)より状況報告あり. (9) ILO

担当が欠席し報告なし. (10) ISO SCIT

担当は欠席したが,資料(SC37N3826)の紹介あり.

7. JTC 1/WG 7(Sensor Networks)とのリエゾン関係

の要求に関し

議長の Podio より,WG 7 とセンサーネットワーク

とバイオメトリクスの観点でのリエゾンの関係につ

いて説明があった.特に審議上問題もなく,了解され

た.

8. JTC 1 との関連事項に関し

8.1 JTC 1 Resolutions(SC 37 N3860)

議長の Podio より JTC 1 Resolutions(SC 37 N3860)に関し,バイオメトリクスに関係する部分に関し説明

があった. 8.2 JTC 1 Maintenance Team for Vocabulary

Wayman(出身国は US であるが UK の delegates の立場)より,状況説明があった.TOR7000 を超える

用語を標準仕様にアップしている.SC 37 IS2382-37は標準としてアップロードされる予定. 8.3 Transition Plan for Moving from FCD to DIS

(SC 37 N3674)

(1) JTC 1 Transaction Plan to New Rules(N3674)

についての紹介

議長の Podio およびセクレタリの Rajche より FCDからDISへ通常プロセスの変更が JTC 1であった旨の

簡単な紹介があった. 本件に関しては,前日に開催された HoD 会議にお

いて,Podio より下記の詳細な説明があった. ・ FCD から DIS へノーマルステージ開発プロセス

の変更が JTC 1 であった. ・ 2010年 7月 1日より変更する.2011年 7月には,

すべてのプロジェクトに適用され 6 ケ月ごとに

会議により開発ドキュメントをメンテナンスす

るならば,DIS 投票は次の WG 会議で NB のコ

メントレビューの時間がない.などの問題が発

生する.テレカンファレンスが必要となる可能

性がある.

・ DIS 投票に関し,JTC 1,ISO,IEC,NB レベル

の投票であり,SC レベルの投票でなくなる.テ

クニカル,エディトリアルなコメントは許され

る.DIS 投票が成立すれば,エディトリアルな修

正はされてドキュメントは直接公開される. ・ 2ndDIS 投票と FDIS 投票に関しては,CD ステ

ージでのドキュメントをメンテナンスする作業

は,DIS ステージでやるよりよい結果が得られ

ると信じる.メリットはエディタによる改訂ド

ラフトの作業が確保できる.欠点は,改訂作業

のための時間が必要. ・ SC 37 の会議は 2011 年と 2012 年の 1 月と 7 月に

決定済み. (2) 議長対策案

2 つのオプションが提案された. オプション 1: 移行をただちに実行する.テレカ

ンファレンスの実行, オプション 2: 2011 年 7 月に状況を分析したうえ

で移行する. 2011 年から 2012 年の間の会議は,現状の期間でメ

ンテナンスをするのが好ましい.2011 年 7 月以降の

新しいシステムからの知見を得,そして 2012 年の総

会にて,公称 6 ケ月会議サイクルを再考する.つまり

オプション 2 を議長が推薦. 8.4 SC 37 Standing Document on XML と Maintain a

Registry for Table of Non-CBEFF Identifiers に関

本件は,詳細な審議が行われると想定していたが,

簡単に終わった.論理データ構造(CBEFF)の登録に

関しては米国の IBIA で行われているが,Non-CBEFFの登録をどうするかが WG での争点になっていた.

本件に関しては,Tilton(US)より IBIA に問い合わ

せることになった. 8.5 その他

議長の Podio より JTC 1 SWG on Accessibility,JTC 1 SWG on Planning,JTC 1/ITU-T leadership Meeting,SC 37 Business Plan に関し簡単な紹介があった.UK,USよりいくつかの意見があった.

9. SC 37 体制に関し

・ 今後 3 年間の SC 37 議長として Fernando Podioを選出した.

・ 今後 3年間のWG主査として,下記を承認した. WG1 Steve Clarke(豪)新任 WG2 Young-Bin Kwon(韓)再任 WG3 Christoph Bush(独)継続 WG4 Michael Hogan(米)再任 WG5 Philip Statham (英)継続 WG6 Mario Savastano(伊)再任

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10. 今後の会議スケジュールに関し

10.1 次回総会開催地の紹介

・ 日本(2011 年),フランス(2012 年)より総会

開催の紹介があった. ・ 次回 Stockholm 会議の WG スケジュールは,

WG 1: WG 5 とのジョイント会議を含め 5 日間 WG 2: 前半 3 日間 WG 3: 5 日間.1 日(18:00 - 20:00)は他の WG 主

査との会議を希望

WG 4: WG 2 と WG 6 と重ならない後半の 2 日間 WG 5: ジョイント会議を含め 4 日間 WG 6: 3 日間

10.2 今後の会議スケジュール

・ WG 会議 10-14 January 2011 Stockholm ・ SC 37 Plenary & WG 会議 4-12 July 2011 Tokyo ・ WG 会議 3rd あるいは 4th の週 January 2012

Thailand ・ Plenary & WG 9 - 17 July 2012 Paris

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<2010 年 12 月以降 国際会議開催スケジュール> JTC 1 2011-11-07/12 San Diego, CA,USA SWG-Directives 2011-02-16/18 St. Denis,France JTC 1/WG 6 2011-03-14/16 Jeju-do,韓国 SC 2 2011-04-15 Helsinki,Finland SC 6 2011-06-20/24 San Diego, CA,USA SC 7 2011-05-22/27 Paris,France SC 17 2011 Song-Do International City,

韓国 SC 22 2011-09-19/21 Copenhagen,Denmark SC 23 2010-12-03 Winterthur,Switzerland

SC 24 2011 South Dakota,US SC 25 2011-10-21 Melbourne,Astralia SC 27 2011-04-18/19 Singapore SC 28 2011-06 杭州,中国 SC 29 2011-07-23 Torino,Italy SC 31 2011-05-26/27 Vienna,Austria SC 32 2011-05-16,20 Hawaii,US SC 34 2011-03-28/04-01 Prague,Czech Republic SC 35 2011-02-21/25 Bellevue/Seattle,US SC 36 2011-03-12/19 Strasbourg,France SC 37 2011-07-11/12 東京,日本 SC 38 2011-04-11/15 St. Denis,France

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<解説: JTC 1 の新 Directives> ISO/IEC Directives - Part 1, JTC 1 Supplement, JTC 1 Standing Documents への移行

木村 敏子(情報規格調査会 事務局)

1987 年の設立以来,JTC 1 は,規格開発の手続きに

おいては,独自に JTC 1 Directivesを採用してきたが,

2010 年 7 月 1 日より ISO と IEC が共通に使用してい

る ISO/IEC Directives Part 1を JTC 1 も使用することと

なった.JTC 1 Directives 第 5 版との主な変更点を中心

に解説する.

1. 経緯

JTC 1 は,2004 年より Ad hoc group を設立して JTC 1 Directives のメンテナンスを行ってきたが,2005 年

に ISO/IEC Joint directives maintenance team (JDMT)より,JTC 1 Directives を可能なかぎり ISO/IEC Directivesと整合させ,ISO/IEC Directives を使用するようにとの

指示が出たことにより,移行のための準備作業が開始

された.JTC 1 内部では,従来の JTC 1 Directives を廃

止し,ISO/IEC Directives へ移行することへ否定的な意

見が多かったが ISO/IEC 上層部からの指示というこ

とで 2005 年に Banff で開催された JTC 1 総会の

Resolution 14 をもって ISO/IEC Directives への移行を

受け入れた.

2. 構成および使い方:

JTC 1 Directives第 5版と ISO/IEC Directives Part 1で,

文章上の表現が多少違っているが内容自体は同じと

いう箇所は,ISO/IEC Directives を使用することに統一

された.ISO/IEC Directives の内容と相反する JTC 1 独

自の内容については,Supplement -- Procedures specific to JTC 1 (JTC 1 Supplement)として別文書に注意書き

がなされる構成となった.ISO,IEC にもそれぞれ独

自の手続きがあり,ISO Supplement, IEC Supplementとして運用しているので,この構成において JTC 1 も

ISO , IEC と同列に並ぶこととなった. JTC 1 Supplement の改訂については,ISO,IEC 上層委員会

の承認を要する. JTC 1 Supplement は本体の ISO/IEC Directives -- Part 1 と同じ構成をもち,大項目については,すべての項

目の番号と見出しのタイトルのみが記載される.小項

目以下は,独自ルールのない箇所においては,項目番

号のみが記載され,独自ルールのある箇所についての

み,項目番号と共に,例えば"in JTC 1, this clause is not used."という注意書きが記載されている.また,投票

についてのルール等 JTC 1 独自の Annex 部分も

Supplement に追加されている.したがって,ISO/IEC Directives Part 1 と JTC 1 Supplement の 2 つの文書を同

時に参照することにより,全体の内容が判る仕組みと

なっている.両文書は毎年 1 月 1 日付けで改版される

こととなっている.なお,同時に 2 つの文書を参照す

る煩雑さを解決するため,JTC 1 事務局が,2 つを合

体させた統合版(Merged Directives)を非公式文書と

して作成し JTC 1 の website より入手可能となってい

る. JTC 1 Directives には,ISO/IEC Directives に含まれて

いなかった多くの詳細な手続きが含まれていたが,そ

れについては,JTC 1 Supplement 同様に独自のルール

として残し JTC 1 Standing Documents として項目毎に

別文書で管理することになった.これらについては,

ISO,IEC 上層委員会の承認は不要である.現在,16の Standing Documents が開示されており,必要に応じ

て追加されることになる.全体の構成を整理すると表

1 のようになる.

表 1 新 JTC 1 Directives の構成

3. 主な変更点:

3.1 Technical Report の変更

これまで JTC 1 の Technical Report は,Type 1, 2, 3の 3 種類があったが,このうち Type 1 および Type 2は ISO, IECに倣いTechnical Specificationと名称を変更

し,Technical Report として残るのは,Type 3 相当のも

のだけとなった. 3.2 通常の 5段階の開発手続き(Normal Processing)

における変更

(1) NP の承認基準の緩和

P メンバが 16 以下の SC においては,積極参加を表

明する(Q3 に YES 回答)P メンバの数がこれまで 5カ国以上必要なところを 4 カ国で承認されるよう緩

• ISO/IEC Directives – Part 1 : Procedures for the technical work• Supplement — Procedures specific to JTC 1 • JTC 1 Standing Documents

SD 1 : Teleconferencing and Electronic MeetingsSD 2 : HistorySD 3 : Guide for ITU-T and ISO/IEC JTC 1 CooperationSD 4 : PlanningSD 5 : Normative ReferencesSD 6 : Technical Specifications and Technical ReportsSD 7 : MeetingsSD 8 : Maintenance of International StandardsSD 9 : Guide to the Transposition of Publicly Available

Specification into International StandardsSD10: Advisory and Ad Hoc GroupsSD11: Progression of JTC 1 ProjectsSD12: Electronic Document Preparation, Distribution and ArchivingSD13: Conformity AssessmentSD14: Interoperability SD15: LiaisonsSD16: Registration Authorities

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和された.なお,この緩和は,IEC で行われていた手

続きを JTC 1 でも採用したものであり,2008 年 5 月

に JTC 1 投票で承認され今回の JTC 1 Supplement で正

式に記載されることとなった. (2) CD の投票期間の変更

これまでは,CD の投票・コメント期間は最短で 3カ月,最長で 6 カ月であったが,今後は 2,3,4 カ月

のいずれかを SC の決議により選択可能となる. (3) FCD から DIS への移行

JTC 1 では,Final Committee Draft (FCD)を Enquiry stage として設定していたが,FCD を取りやめ,Enquiry stage としては Draft Internal Standard (DIS)投票を行う

ことになった.FCD 投票は SC 内の投票で,投票期間

は最短 4 カ月であったが,DIS 投票は JTC 1 の P メン

バとすべての ISO/IEC メンバによる同時投票

(combined voting)であり,投票期間は 5 カ月である.

FCD 投票は SC 内の投票であるので,SC 事務局が配

布・投票開始を行ったが,DIS 投票は JTC 1 および

ISO/IEC レベルの投票であるので ITTF が投票を開始

することになる.DIS投票の承認基準は,投票した JTC 1 P メンバの 2/3 以上の賛成投票と,投票した全ての

ISO,IEC メンバの反対が 1/4 以下であり,FDIS 投票

および従来の Fast-track, PAS による DIS 投票と同様で

ある.投票後には,SC でコメント処理が行われ,最

初の DIS 投票で承認された場合には,FDIS 投票に進

むことができる.このコメント処理のための会議は,

Comment Resolution Meeting と 呼 び , 後 述 す る

Fast-track および PAS 手続きの DIS 投票のコメント処

理のための Ballot Resolution Meeting (BRM)とは,区別

することになっている.最初の DIS 投票で承認基準に

達しなかった場合や大きな変更を加えられた場合に

は 2 カ月間(5 カ月間まで延長可)の 2nd DIS 投票が

行われ,承認された場合は,その後に 2 カ月間の FDIS投票が行われる.DIS 投票で反対投票がない場合には,

FDIS 投票を省略して発行段階に進むことが可能であ

る. FCD から DIS への変更には,1 年間の移行期間が設

けられている.すなわち 2010 年 7 月 1 日以降に承認

された新プロジェクトについては,DIS による新手続

きで進められなければならないが,2010 年 7 月 1 日

以前より進められているプロジェクトは 2011 年 6 月

30 日まで FCD による旧手続きで進むことが認められ

ている.2011 年 7 月 1 日以降は,すべてのプロジェ

クトが新ルールで進められることになる. Normal Processing の変更をまとめると表 2 になる. 3.3 Fast-track および PAS 手続きによる DIS に対す

る変更

(1) 投票期間についての変更

これまで Fast-track で提出された DIS に対しては,

既存の規格と矛盾があるかどうかを検討する JTC 1

表 2 Normal Processing の主な変更点

での 30 日間のレビュー期間が設定され,本投票の 5カ月と合計して 6 カ月の投票期間となっていた.また,

PAS手続きで提出されたDISの投票期間は 6カ月であ

ったが,今後は Fast-track,PAS ともに本投票の期間

は 5 カ月となった. (2) 投票コメントの処理についての変更

旧手続きでは,DIS 投票で承認された場合でも否認

された場合でもコメント処理が行われ,投票国は,そ

の結果を元に最初の投票を変更することができ,最終

的に承認基準が満たされれば承認となっていたが,新

手続きでは,最初の DIS 投票で承認基準に達しなかっ

たものについては,否認されたこととなり,そこです

べての手続きは終了する.最初の DIS 投票で承認基準

に達したものだけが,コメント処理が行われ Ballot Resolution Meeting (BRM) を行う対象となる.BRM 後

は Normal Processing と同様,2nd DIS 投票または 2 カ

月間の FDIS 投票に進む.最初の DIS 投票で承認・否

認が確定するので,コメントが受け入れられれば賛成

に変更するという「条件付反対」という投票はなくな

るので,注意が必要である. Fast-track および PAS による DIS 投票の主な変更点

を表 3 にまとめた. (3) PAS 手続きの名称の変更

ISO の Publicly Available Specifications (PAS)とは定

義が異なるため,JTC 1 による PAS は,JTC 1 PAS と

称することになった. (4) Explanatory Report の添付

Fast-track による DIS の場合も PAS 手続きによる

DIS 同様に,提案元は投票テキストと共に Explanatory Report を添付することとなった.

CD•投票期間:2,3,4カ月のいずれか

CD•投票期間:3~6カ月

CommitteeStage

ISISPublication Stage

FDIS・DISで反対投票がない場合等, 省略可

FDIS・省略不可

Approval Stage

DIS・ITTFが投票開始

・投票期間:5カ月

・JTC 1 Pメンバと全てのISO, IECメンバのcombined voting

・承認基準:投票したJTC 1 Pメンバ

の 2/3以上の賛成と投票した全て

のISO, IECメンバの1/4以下の

反対

・2nd DIS投票の期間:2カ月

FCD・ SC事務局が投票開始

・投票期間:4~6カ月

・SCレベルの投票

・承認基準:コンセンサス

Enquiry Stage

WDWDPreparatory Stage

NP•承認基準:Pメンバの数が16以下

のSC/TCの場合は,積極参加の

表明は4カ国以上でよい

NP•承認基準:投票したPメンバの過半数の承認およ

び5カ国以上のPメンバ

の積極参加表明

Proposal Stage

新手続き旧手続き

CD•投票期間:2,3,4カ月のいずれか

CD•投票期間:3~6カ月

CommitteeStage

ISISPublication Stage

FDIS・DISで反対投票がない場合等, 省略可

FDIS・省略不可

Approval Stage

DIS・ITTFが投票開始

・投票期間:5カ月

・JTC 1 Pメンバと全てのISO, IECメンバのcombined voting

・承認基準:投票したJTC 1 Pメンバ

の 2/3以上の賛成と投票した全て

のISO, IECメンバの1/4以下の

反対

・2nd DIS投票の期間:2カ月

FCD・ SC事務局が投票開始

・投票期間:4~6カ月

・SCレベルの投票

・承認基準:コンセンサス

Enquiry Stage

WDWDPreparatory Stage

NP•承認基準:Pメンバの数が16以下

のSC/TCの場合は,積極参加の

表明は4カ国以上でよい

NP•承認基準:投票したPメンバの過半数の承認およ

び5カ国以上のPメンバ

の積極参加表明

Proposal Stage

新手続き旧手続き

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(5) Reference Explanatory Report (RER)の要請

PAS 手続きによる DIS の場合,ISO,IEC,ITU 以

外の標準を Normative Reference として参照している

場合には,Normal Processing と同様に Reference Explanatory Report (RER)を添付するか Approved RS Originator (ARO)の資格取得状況を示すかすることに

より参照文書の作成団体の情報を提出することが義

務づけられた. (6) BRM 手続きの明確化

旧手続きで曖昧であった BRM の手続きが明確化さ

れ,BRM の目的,参加資格者,進行手順などが明記

された. 表 3 Fast-track/PAS DIS 投票の主な変更点

注 1: JTC 1 Belfast 総会 Resolution 7 により BRM 後,テキストに

修正を加えない場合の FDIS 投票の要・不要について ITTF

に明確化が要請された.

4. おわりに

ここで紹介した ISO/IEC Directives Part 1,JTC 1 Supplement,JTC 1 Standing Documents および Merged Directives は,次の JTC 1 の website より入手可能であ

る.http://isotc.iso.org/livelink/livelink/open/jtc1 また,この解説を書くにあたっては,2010 年 7 月

に東京で開催された JTC 1 事務局による Training Session で使用されたプレゼンテーション資料を参考

にした(JTC 1 N 10320 として上記 JTC 1 website に掲

載あり). なお,まだ開始されたばかりで実際の運用は不確か

な点があることをご容赦願いたい.

・DIS投票で承認基準に達した場合のみコメント処理あり.

・承認基準に達しなかった場合は,否認となり手続き終了.

・DIS投票で承認基準に達した場合も達しなかった場合もコメント処理あり.

・コメント処理後に投票国は,当初の投票を変更できる.

コメント

処理(BRM)

コメント処理でテキストに変更が加わった場合には,2nd DIS投票/FDIS投票あり.注1

なしDIS2次投票/FDIS投票

投票期間 ・Fast-track, PAS共に5カ月(Fast-trackの30日間事前レビューは廃止)

・Fast-track: 30日間事前レビュー 後の5カ月

・PAS: 6カ月

新手続き旧手続き

・DIS投票で承認基準に達した場合のみコメント処理あり.

・承認基準に達しなかった場合は,否認となり手続き終了.

・DIS投票で承認基準に達した場合も達しなかった場合もコメント処理あり.

・コメント処理後に投票国は,当初の投票を変更できる.

コメント

処理(BRM)

コメント処理でテキストに変更が加わった場合には,2nd DIS投票/FDIS投票あり.注1

なしDIS2次投票/FDIS投票

投票期間 ・Fast-track, PAS共に5カ月(Fast-trackの30日間事前レビューは廃止)

・Fast-track: 30日間事前レビュー 後の5カ月

・PAS: 6カ月

新手続き旧手続き

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<規格調査会委員長,副委員長の就任のご挨拶>

委員長に就任して

大蒔 和仁(東洋大学)

前委員長の石崎先生の後を引き継ぎ,7 月に情報規

格調査会の委員長に就任しました.大蒔でございます. 目標として次の 3 つを挙げたいと思います. (1) 情報規格調査会に携わる方々以外にも積極的に

我々の活動をより広く知らしめる. (2) 新しい情報技術の分野にも果敢に挑戦する. (3) エネルギー等異分野とも積極的に交流を図る. 上記 (1) に関しては,新しく創設された情報処理

学会のデジタルプラクティスという論文誌の編集委

員となり,当調査会の国際委規格開発賞受賞者を中心

に「日本発の標準規格」を売り込みたいと考えました.

幸いデジタルプラクティスの第 2 刊を皆様のご協力

により「事業に活きる標準」として,まとめることが

出来,当会の活動をそれ以外の方々にもより広く知ら

しめたと自負しています.また上記 (2) に関しては,

一昨年奈良で行った ISO/IEC JTC 1 総会の中で

Technology Watch Session を担当し,データセンターの

省エネ技術やセンサーネットワークの,特に日本の技

術について,その道の権威の方々に講師をお願いしま

した.これらは,SWG on Planning でも取り上げられ,

JTC 1 の活動領域となりつつあります.さらに (3) に関しては,やはり上記 Technology Watch Session の中

で今まで情報規格調査会に関わってこなかったエネ

ルギー技術の関係者に講師をお願いし,COP10 のお

話などをして頂きました. これらの活動を基に,今後もさらにこのような活動

を推し進めたいと考えます. 当調査会も設立以降四半世紀が経ち,また周りを取

り巻く経済環境にも厳しいものがありますが,情報の

標準技術なしではどんな技術も支えられません.賛助

会員の皆様のこれまでのご協力に感謝するとともに,

これからもなお一層のお力添えをお願いするところ

でございます.

副委員長に就任して

伊藤 智((独)産業技術総合研究所)

今年の 7 月に当会の副委員長に就任しました. 2002 年に日立製作所から産業技術総合研究所(以

降,産総研と呼ぶ)に移り,それ以降グリッドコンピ

ューティング(以降,グリッドと呼ぶ),グリーン IT,クラウドコンピューティングなど,情報技術の特にイ

ンフラに関わる技術を中心に研究開発に従事してき

ました.標準化に関しては研究開発の一環として捉え,

グリッドを中心に活動を行ってきました.グリッドと

は,ネットワークを介してコンピュータ,データ,セ

ンサなど様々な資源を連携することにより,一つの資

源では実行不可能な情報処理を実現するシステムで

す.1990 年代中頃に学術系で登場し,2000 年代から

ビジネス用途のシステムにも導入されました.概念が

広く,実現機能が多様であるため,人によって定義が

異なることがあり,ベンダとユーザの間で情報共有が

容易ではありませんでした.そこで,日本規格協会と

産総研が連携して委員会を組織し,多くの方々に協力

を頂きグリッドシステムのガイドラインを策定しま

した.このガイドラインは,グリッドの標準化を進め

るフォーラム標準団体の一つ OGF (Open Grid Forum)においてドキュメント化を行い,国内では本年 2 月に

JIS 化を終えました.最近では,グリッドと明示的に

言うケースは減ってきていますが,企業情報システム

やクラウドコンピューティングを支える基盤として

今も活用されています.JTC 1 に関係した活動として

は,グリッドシステムのガイドラインやグリーン ITのメトリックなど,最新の情報技術において標準化の

種となるトピックを何度かテクノロジーウォッチワ

ークショップで発表させて頂きました.ちなみに,グ

リッドコンピューティングのグリッドと,近年注目さ

れているスマートグリッドのグリッドは違うものを

指します.後者は電力送電網そのもので,IT との連

携によってスマートにすることを目指しており,前者

は電力送電網からのアナロジーで情報網のことを指

します.もちろん,IT・ネットワークを活用する点で

は共通しており,スマートグリッドも JTC 1 の重要な

テーマであると考えています. 今後,産総研で従事している研究テーマであるグリ

ーン IT やクラウドコンピューティングについて JTC 1 での標準化に貢献して行くとともに,本会の運営に

尽力して参りますので,よろしくお願い致します.

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<平成 22 年度 工業標準化事業表彰の紹介>

2010 年 10 月 18 日(月)に都市センターホテル「コスモスホール」において,工業標準化に貢献した個人お

よび事業者に対する表彰が行われました. ● 内閣総理大臣表彰

平成 18 年 11 月に策定・公表された「国際標準化戦

略目標」などを受け,平成 19 年度から特に国際標準

化活動に率先して取り組み,その功績が顕著な者を表

彰するものです. 本年度は,個人 1 名が受賞し,その 1 名は当調査会 元規格役員の森氏です. 受賞者: 森 紘一(前 富士通(株))

ISO/IEC JTC 1(情報技術)の発足により当該分野

の国際標準化活動が活発してきた 1988 年から我が国

の代表メンバとして国際標準化活動に従事.2001 年

には,IEC の重要な政策を決定する SMB の委員に就

任し,我が国の産業界の意向を審議に反映させるなど,

我が国の国際標準化活動に貢献.2005 年には,

IEC/TC111 の設立に際し初代議長に就任,国際的に環

境に対する関心が高まる中で,関係する技術分野が広

く,法規制にも関係するため利害調整が大変困難な国

際標準の策定に尽力し,IEC 62321(規制化学物質等

の測定方法)と,我が国が重要視して提案した IEC 62430(環境配慮設計)の国際規格化を実現するなど,

その功績はきわめて大きい. JISC と IEC が協力して実施しているアジア太平洋

地域における人材育成研修にも主要メンバとして参

加,関係各国のエキスパートの育成に積極的に取り組

み,当該地域の国際標準化活動の普及にも多大なる貢

献. 2001年,工業標準化事業表彰経済産業大臣賞を受賞. 2009 年,IEC Load Kelvin 賞を受賞.

● 経済産業大臣表彰

昭和 28 年以来,工業標準化事業に率先して取り組

み,その功績が顕著であると認められる者及び組織を

表彰するものです. 本年度は,個人 20 名,組織 3 団体の受賞です. 当調査会賛助員から,1 団体が受賞されました. 受賞者(組織): 株式会社リコー

ISO/IEC JTC 1 のオフィス機器,マルチメディア符

号化,個人識別分野などにおいて,国際幹事,WG 幹

事,エディタの役職に就任し,日本提案の推進による

国際標準化に大きく貢献.また,IEC 環境諮問委員会

に日本代表委員を輩出,我が国の環境や省エネ技術を

発信してのプレゼンス向上に貢献.さらに,ISO 光学

分野でのプロジェクトリーダーとして,事務機器を中

心とした多数の JIS 原案作成に参画し,規格の作成や

標準化の普及・促進に寄与.

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● 産業技術環境局長表彰

平成 19 年度から国際標準化活動を幅広い側面から

支える関係者を表彰するものです. 本年度は,貢献者表彰 24 名,奨励者表彰 4 名の受

賞です.当調査会の関係者 4 名が,貢献者表彰を受賞

されました. 受賞者:

関 喜一((独)産業技術総合研究所)

JTC 1/SC 35/WG 6(ユーザインタフェースアクセシ

ビリティ)のプロジェクトエディタとしてとりまとめ

に尽力し,日本が提案した ISO/IEC 24786(アクセシ

ビリティ設定)の国際規格化実現に貢献.OWG-VC (音声コマンド)のコンビーナを経て,SC 35/WG 5(文化的,言語的適応性及び要求事項)などのプロジ

ェクトエディタとして日本提案 3 規格のとりまとめ

にも活躍.アクセシビリティの向上・国際標準化を通

じ,広く産業全般の発展に寄与. 瀬戸 洋一(首都大学東京 産業技術大学院大学)

JTC 1/SC 37(バイオメトリックス)の分野におい

て,2002 年の国内委員会発足時点から 8 年間にわた

って委員長を務め,我が国が得意とする生体認証技術

の規格開発に貢献.さらに,国内においては解説書の

執筆や各種講演会講師を務めるなど規格の普及・啓蒙

に寄与.

高橋 光裕((財)電力中央研究所)

JTC 1/SC 7(ソフトウェア技術)において,ソフト

ウェア受発注を行う際に客観的な生産性を把握する

上で重要な役割を果たす ISO/IEC 14143 シリーズ(機

能規模測定)や,ISO/IEC 29155 シリーズ(IT プロジ

ェクト性能ベンチマークの枠組み)のプロジェクトエ

ディタとして尽力.SC 7/WG 6(評価とメトリクス)

のコ・セクレタリ,SC 7/WG 10(プロセス評価)/SG 1(ベンチマーキング)などのコンビーナを努め,IT分野の国際標準化の推進に多大な貢献. 寶木 和夫((株)日立製作所)

24 年間にわたり JTC 1/SC 27(セキュリティ技術)

の委員会に参加し,国内委員会委員長や国際エディタ

の役職を歴任し,暗号標準(18033)や情報セキュリ

ティマネジメントシステム(ISMS)等の規格開発に

貢献.また,国際標準化委員会において日本のポジシ

ョンを確保するためのコンビーナ獲得にも尽力.

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<近距離通信用インタフェース及びプロトコル(NFCIP)シリーズ --- JIS X 5211~5215 の公示について>

NFC 有線インタフェース(NFC-WI)JIS 制定原案作成委員会

委員長 山下 博之((株)NTT データ,現(独)情報処理推進機構)

JIS X 5211~5215 は,2004 年から 2007 年にかけて

発行された近距離通信用インタフェース及びプロト

コル(NFCIP)シリーズの国際規格との一致規格であ

り,次の 5 つから成る.

JIS X 5211 近距離通信用インタフェース及びプロト

コル(NFCIP-1)

( ISO/IEC 18092:2004 Information technology -

Telecommunications and information exchange between systems - Near Field Communication - Interface and Protocol (NFCIP-1))

JIS X 5212 近距離通信用インタフェース及びプロト

コル 2(NFCIP-2)

( ISO/IEC 21481:2005 Information technology -

Telecommunications and information exchange between systems - Near Field Communication Interface and Protocol -2 (NFCIP-2))

JIS X 5213 近距離通信用インタフェース及びプロト

コル(NFCIP-1)RF インタフェース試験方法

( ISO/IEC 22536:2005 Information technology -

Telecommunications and information exchange between systems - Near Field Communication Interface and Protocol (NFCIP-1)-RF interface test methods)

JIS X 5214 近距離通信用インタフェース及びプロト

コル(NFCIP-1)プロトコル試験方法

( ISO/IEC 23917:2005 Information technology -

Telecommunications and information exchange between systems - Near Field Communication Interface and Protocol (NFCIP-1)-RF interface test methods)

JIS X 5215 近距離通信ワイヤードインタフェース

(NFC-WI)

( ISO/IEC 28361:2007 Information technology -

Telecommunications and information exchange between systems-Near Field Communication Wired Interface (NFC-WI)) NFCIP 規格は,手の届く近距離の範囲を適用領域と

する応用のための汎用的な通信規格であり,OSI (Open Systems Interconnection) における物理層の通信

インタフェース及びデータリンク層の通信プロトコ

ルを規定する.タッチアンドゴーというスタイルを可

能とし,鉄道の電子乗車券 Suica や,携帯電話機に組

み込まれて「おサイフケータイ」のサービス等に使わ

れている. 日本において成功しているこの技術は,現在,世界

で注目されている.海外でも携帯電話に NFC 技術を

搭載して,非接触 IC カード機能を実現することが検

討されている.もともと NFCIP-1 は,汎用近距離通

信インタフェースであり,非接触 IC カードとの通信

互換性は付加機能のようなものであったが,現在では,

付加的と思っていた機能の方が注目されている.その

結果,非接触 IC カード規格との通信互換性について,

付加機能に留めておくのではなく積極的に調和させ

て欲しいという要望が産業界から湧き上がった.これ

を受け,非接触 IC カード規格(ISO/IEC 14443 等)と

NFCIP シリーズ規格との調和作業が,2009 年から進

められている. NFCIP シリーズは,日本企業が Ecma に提案して

Ecma 標準となった後,Fast-Track 手続きを経て

ISO/IEC 国際規格として成立した.NFCIP-1 の国際規

格化の見通しがたった 2003 年秋から JIS 原案作成の

準備を開始した.2004 年以降,委員会を設置して,

シリーズの各国際規格の発行に合わせて順次,JIS 原

案の作成作業を足掛け 7 年間にわたって続けてきた.

そして,2010 年 10 月 20 日にまとめて官報で公示さ

れるに至った. 原規格には一部に難解な文章もあったが,対象が日

本発の国際標準規格であることから,原規格策定作業

に関っていた委員からその場で説明が得られた.その

結果,委員全員が正確に内容を理解することができ,

技術的に正しくかつ分かり易い日本語表現で JIS原案

の作成ができた.また,作業の過程で発見された原規

格の表現が不明確な部分を指摘する等,原規格への改

善意見をフィードバックするといった国際貢献もで

きた. 最後に,長期間にわたり苦労頂いた委員及びご支援を

頂いた関係各位に感謝を申し上げたい.

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<JIS X 3016 共通言語基盤の改正について>

共通言語基盤(CLI)JIS 改正原案作成委員会

幹事 頃末 和義,委員長 黒川 利明((株)CSK)

平成 22 年 10 月 20 日に JIS X3016 共通言語基盤の

改正版が公示になった.今回の改正は元となった国際

規格である ISO/IEC 23271 が 2006 年に改訂されたこ

とを受けての JIS 改正となる. 共通言語基盤はその名の通り,プログラミング言語

に共通な基盤を提供するものである.C#,C++,Cobol等の国際標準言語や Ruby(JIS 化予定),Python 等の

動的言語など数多くのプログラミング言語において

実際に共通言語基盤上で動作する処理系の実装が行

われており,多くの人に使われている. 共通言語基盤の構成は,主として,タイプシステム

(型体系),実行エンジン,ライブラリの 3 つで成り

立っている.ただ単に,プログラミング言語に共通な

実行環境を提供するだけでなく,インターネット・ク

ラウド時代に相応しい柔軟でかつ高い安全性を実現

するための共通基盤機能を提供している. 今回の改正では,「総称型」(Generics)と呼ばれる

機能や,null 許容型などが追加された.総称型の機能

を提供するプログラミング言語処理系の多くはコン

パイル時に型を解決しているが,共通言語基盤では,

あるプログラミング言語で定義した総称型を他のプ

ログラミング言語でも利用できるようにするため,コ

ンパイル後も型が確定されていない状態で保存され

最終的には実行時に型が解決される点が特徴である.

国際標準という点では,標準案の元となった

Microsoft 社の.Net フレームワークだけでなく,Monoと呼ばれるオープンソースの実装も提供されており,

Windows だけでなく Linux や Unix 上でもこの国際標

準規格に適合した共通言語基盤の機能を利用するこ

とができる. 総称型や安全性に関する機能は非常に複雑であり,

また,ライブラリもかなりの大きさとなっているため

共通言語基盤そのものを一から実装することは大変

である.そのことは,しかし,複雑で厄介なことを共

通言語基盤が行ってくれることを意味する.そのため,

近年話題になっているドメイン固有言語や研究目的

で新たなプログラミング言語を作成する場合にプラ

ットフォームとして活用することで,プログラミング

言語の本質的な部分の設計に集中することができる. そのようなことからも,ぜひプログラミング言語を

開発する研究者や学生の方々に積極的に活用してい

ただきたい規格である.学生の方々の利用に配慮し,

規格文書の規定の範囲内でできるかぎり平易な表現

を用いるように気をつけて記述した. 最後になるが,この JIS 改正原案の作成に当たって

協力してくださった関係者各位,特に,最終原稿の作

成に支援いただいたマイクロソフトディベロップメ

ント株式会社にこの場を借りて感謝を申し上げたい.

<国際規格開発賞の表彰> 国際規格開発賞は,当会に所属する Project Editor または Project Co-Editorの貢献に対して授与されるものです.

受賞者は表彰委員会で審議決定し,受賞対象の規格が発行された後に授与されます.

2010 年 11 月の受賞者 岡部 雅夫 (東京電力株式会社)

ISO/IEC 19763-3:2010 Metamodel framework for interoperability (MFI) -- Part 3: Metamodel for ontology registration(SC 32,2010-08-15 発行)

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<声のページ> コンピュータインターフェースの歴史を振り返って

佐藤 和弘(日本電信電話(株))

SC 25 専門委員会(情報機器間の相互接続)の活動

及び SC 25/WG 4 小委員会(計算機システム及び周辺

機器間の相互接続)の活動に参加してほぼ 10 年にな

ります.今は使われなくなりましたが,スーパコンピ

ュータのインタフェースとして使用されていたHIPPI関連システムの開発や Fibre Channel 関連システムの

開発に携わったこともあり,前任者から引き継いでこ

の委員会に参加することになりました. SC 25/WG 4(計算機システム及び周辺機器間の相

互接続)では,様々なインタフェースやバスの規格が

標準化されています.パソコン,ストレージシステム,

組込機器からスーパコンピュータまで多種多様なシ

ステムに対して規格が作られ,これまで標準化された

規格を見るとコンピュータの歴史が垣間見られます.

今でも使われている規格もあれば使われなくなった

規格もあります.今,クラウドが全盛になっています

が,コンピュータインターフェースの規格開発及び標

準化により異なるベンダの機器が相互接続できるよ

うになり大規模なサーバシステムが構築可能になっ

たことによるところが大きく,標準化なくして今の情

報通信システムの発展はなかったと思います.一標準

かマルチ標準かの議論がありますが,歴史を振り返る

と,結局は技術やユーザの使用形態の変遷に対応して

市場が決めています.同様の複数の規格が標準化され

るのは標準化の意味がないという考えもありますが,

市場が受け入れない規格は使われないだけで,標準規

格を一つに統一することは,標準規格の普及をむしろ

阻害する面もあると思います. コンピュータインターフェースの規格は,今はアメ

リカの ANSI からの提案がほとんどで,アメリカ主導

の状況になっています.規格のなかでも SCSI の標準

化は長い歴史がありますがいまだに機能追加,改善が

続けられています.このような活動を継続することは

参加企業にとってかなりの負担になり時代とともに

構成企業も大幅に変わっているなか長年続けられて

いることは,アメリカには標準化を尊重する風土があ

るからだと考えられます.コンピュータインターフェ

ースの分野のように,コンピュータ技術の創世記から

脈々と形作られてきた標準化の体系に,各国それぞれ

が規格開発し提案する国際標準化の形態をあてはめ

るのは無理な部分があり,このような分野では国際標

準化のあり方を見直す必要があるのではないかと思

います.

エンジニアリング基礎知識体系と ISO 標準

松本 吉弘((財)京都高度技術研究所)

ISO/IEC JTC1 SC 7(以下,SC7 と略称)は,Software および Systems Engineering を領域(area)とする ISO標準を開発する役割をもっている.このなかで,WG 20(Software and Systems Bodies of Knowledge and Professionalization)は,技術者資格認定(certification)およびこれに関わりをもつエンジニアリング基礎知

識体系(Engineering Body of Knowledge: BOK)を扱っ

ている. これまで WG 20 で審議した,または審議中の提案

は,Software Engineering Body of Knowledge(SWEBOK Guide 04; ISO/IEC TR19759 ) お よ び Systems Engineering Handbook(SC7N4584)である. WG 20 では,新しく提案される BOK を new work item として取り上げるための条件として,冒頭に記

載した SC 7 の役割からみて,まず,提案が「エンジ

ニアリング」に基づいたものであるかどうか,を判定

するようにしている. 一般に,ひとつのエンジニアリング領域が,正統な

(legitimate)エンジニアリング・ディシプリンであり,

かつ社会的に認められた( recognized)専門職業

(profession)である,という認知を得るまでの道の

りはきわめて険しいものとされている.Paul Starr(医

業の歴史を著し,ピューリッツア賞受賞)[Starr82]は,

専門職業がこのような認知を得るために,その職業領

域において,つぎの 3 つの要件を満たす必要がある,

としている. (a) 職業人がもつ当該専門分野に関する知識および適

格性に関する妥当性を,同業者コミュニティのなかで

判定できる環境が作られていること (b) 同業者コミュニティによって妥当であると確認

される知識が,合理的で正当な科学的な基盤に基づい

ていること (c) 職業人が果たす判断,行為,助言が,社会のなか

で実質的な価値の集成を形成すること IEEE Computer Society は,ソフトウェアエンジニアリ

ン グ を , つ ぎ の よ う に 定 義 し て い る [IEEE Std.610.12-1990]. (1) ソフトウェアの開発,運用および保守における,

システマティックであり,ディシプリンに基づいた,

定量的なアプローチの適用である.換言すれば,ソフ

トウェアへのエンジニアリングの適用である. (2) (1)で示したアプローチに対する研究である. ここで,ディシプリンとは,方法論に基づいた教育・

Page 32: No. 88...ID カードにISO/IEC 7811(ID カードの記録技術)シ リーズに定められたエンボスや磁気ストライプを加 えたものが多く使われている.さらに,上記のID

訓練によって形成された規律である,と解釈する. SWEBOK2004 [ISO/IEC TR19759]によれば,ソフトウ

ェアエンジニアリングは,すでに正当なエンジニアリ

ング・ディシプリンとして社会的に認知されたもので

ある,と記されている.その理由として,ソフトウェ

アエンジニアリングは,エンジニアリングが正当なエ

ンジニアリング・ディシプリンである,と認知される

ために必要な基準(教育認定,資格認定または免許の

実施,生涯教育を行う組織の存在,倫理要綱が約定さ

れている専門職業団体の存在など)を,ここ数年の間

に満たしたからである,としている. BOK に関連した新しい提案が増加する傾向にある.

エンジニアリングのもつ厳しい本質を見失いがちに

なるので,以上のことを十分にわきまえて活動したい

と考えている.

参考文献: [Starr82] Star. P., The Social Transformation of American Medicine, Basic Books (1982) [SWEBOK2004] IEEE Computer Society, Guide to the Software Engineering Body of Knowledge - 2004 Version, IEEE Computer Society (2004)--松本吉弘・訳,ソフト

ウェアエンジニアリング基礎知識体系 SWEBOK2004,オーム社,平成 17 年 6 月 [Matsumoto06] 松本吉弘:ソフトウェアエンジニアリ

ング基礎知識体系の背景と活用,SEC journal, vol.2, no.2, pp.6-15,情報処理推進機構 (April, 2006)

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<編集後記>

標準化に関わるエキスパートは,専門委員会が対象

とする技術に専門性があり,標準化の手続きにも詳し

いことが理想であるが,理想の実現は難しい.いずれ

か一方に長じている場合が多い.S は,専門委員会の

対象技術だけではなく広く深い専門性のある,バリバ

リの技術者である. S は,極めて優秀な技術者ではあるが,その優秀さ

を誇示することなく,黒子に徹する.コエディタには

なっても,エディタになることはない.しかし,当該

技術については,誰よりも深く理解している. 私が担当したプロジェクトで,既存国際標準にある関

数の拡張を検討していた.私が考えた単純な拡張案は,

引数が多くなり,どうも美しくない.困った末に S に

相談すると,初期化関数の仕様だけ変更して,他の関

数のインタフェース仕様には一切影響を与えない非

常に美しい解決策が,私の説明が終わると同時に S の

口から出て来た.世の中には優秀な人がいるものであ

る.このプロジェクトだけでなく他のプロジェクトで

も S に助けられた.助けられたのは私だけではなく,

多くのエディタが S に助けられた.S を知る日本人は

S を天才と呼んだ. S が標準化活動から引退したとの知らせを受けた

のは,半年ほど前のことである.所属企業での担当分

野が変わったためだ.残念ではあるが,これも世代交

代.また,きっと優秀な人材が現れるであろう.(AM)

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