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34 Open Enterprise Magazine Oct-Nov 2009 日本オラクルは2009年9月、Oracle Databaseの新版「Oracle Database 11g Release 2(R2)」を発表した。新版では、複数のデータベース・グリッドを統合した 環境でリソース再配置と運用管理を効率化するほか、小規模データベースの集約、 汎用的なクラスタ・ファイル・システムのサポート、データ・ウェアハウス向けパフォー マンス拡張、システム停止のないアプリケーション更新・パッチ適用、などが可能に なった。2009年11月17日から順次提供開始する予定。 既存資産の継承を強調 今回発表されたOracle Database 11g R2は、前版の11g R1が2007 年 7 月に発表されてから約 2 年ぶりの新版と なるもの。日本オラクルの代表執行役 社長 最高経営責任者、遠藤隆雄氏は 「これまでオラクルはオープン性と過去 の資産の保護に注力してきたが、11g R2では品質にこだわる日本企業のニー ズに対応するため、ユーザーやパート ナーと協力して品質を高めてきた」とし、 新版を「自信を持って提供できる製品」 と語った。日本オラクルでは2009 年 5 月から8月にかけて、開発中の 11g R2 で共同ベータ検証を実施、パートナーを はじめNTTコムウェアや三菱東京 UFJ 銀行などの大規模ユーザー企業が参 加して機能・性能を検証した。 コスト削減を意識した新技術の投入 今 回の 新 版には、インフラ全 体を 仮 想 化して柔 軟なリソース配 置を可 能にする仮想化機能「Oracle Grid Infrastructure」が 組 み 込まれた。 Grid Infrastructureでは、Automatic Storage Management(ASM)がスト レージを仮想化し、Oracle Clusterware がサーバ・リソースを仮想化する。従 来のクラスタリング技術「Oracle Real Application Clusters(RAC)」でも、複 数ノード(サーバ)のリソースを単一のリ ソース・プールとみなして、複数のアプリ ケーション・サービスで共有できたが、各 アプリケーションやサービスをサーバごと に割り当てるなどの設定が必要で、ハー ドウェアに固定されていた。 日本オラクルの常務執行役員システム 事業統括本部長、三澤智光氏は、「サー 日本オラクル、Oracle Databaseの新版 「Oracle Database 11g Release 2」を発表 仮想化環境への対応、運用管理機能を拡充 NEWS Products&Service バやストレージのハードウェア層と、サー ビスやデータベースの論理層を分離 できるようになった」と説明する。Grid Infrastructureでサーバを管理するこ とで、物理サーバをRACに自動的に割 り当てることができるようになり、複数の RAC間でサーバを共有利用できる。 また新版では、シングル・インスタン ス・データベース(1 台のサーバで稼働 するOracle Database)を使用する小 物理サーバA 物理サーバB サーバ仮想化ソフトウェアのライブ・マイグレーションがDBサーバでも可能に DB稼働中に安全に別の物理サーバに移動可能 別サーバに退避することで、パッチのローリング適用が可能 DB1 OS VM DB2 OS VM OS VM 実行中の トランザクションが 保証されない サーバ仮想化ソフトウェア (ライブ・マイグレーション) RAC One Node (OMotion) サーバ仮想化ソフトウェア 物理サーバA 物理サーバB DB3 DB1 DB2 接続先を切替え DB3をサーバBで 稼働 切替えが完了したら元のDBを停止 Oracle Grid Infrastructure OS OS DB3 RAC One Nodeによる小規模データベースの集約(OMotion) 日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄

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日本オラクルは2009年9月、Oracle Databaseの新版「Oracle Database 11g Release 2(R2)」を発表した。新版では、複数のデータベース・グリッドを統合した環境でリソース再配置と運用管理を効率化するほか、小規模データベースの集約、汎用的なクラスタ・ファイル・システムのサポート、データ・ウェアハウス向けパフォーマンス拡張、システム停止のないアプリケーション更新・パッチ適用、などが可能になった。2009年11月17日から順次提供開始する予定。

既存資産の継承を強調

 今回発表されたOracle Database 11g R2は、前版の11g R1が2007年7月に発表されてから約2年ぶりの新版となるもの。日本オラクルの代表執行役社長 最高経営責任者、遠藤隆雄氏は「これまでオラクルはオープン性と過去の資産の保護に注力してきたが、11g R2では品質にこだわる日本企業のニーズに対応するため、ユーザーやパートナーと協力して品質を高めてきた」とし、新版を「自信を持って提供できる製品」と語った。日本オラクルでは2009年5月から8月にかけて、開発中の11g R2で共同ベータ検証を実施、パートナーをはじめNTTコムウェアや三菱東京UFJ銀行などの大規模ユーザー企業が参加して機能・性能を検証した。

コスト削減を意識した新技術の投入

 今回の新版には、インフラ全体を仮想化して柔軟なリソース配置を可能にする仮想化機能「Oracle Grid Infrastructure」が組み込まれた。Grid Infrastructureでは、Automatic

Storage Management(ASM)がストレージを仮想化し、Oracle Clusterwareがサーバ・リソースを仮想化する。従来のクラスタリング技術「Oracle Real Application Clusters(RAC)」でも、複数ノード(サーバ)のリソースを単一のリソース・プールとみなして、複数のアプリケーション・サービスで共有できたが、各アプリケーションやサービスをサーバごとに割り当てるなどの設定が必要で、ハードウェアに固定されていた。 日本オラクルの常務執行役員システム事業統括本部長、三澤智光氏は、「サー

日本オラクル、Oracle Databaseの新版「Oracle Database 11g Release 2」を発表仮想化環境への対応、運用管理機能を拡充

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バやストレージのハードウェア層と、サービスやデータベースの論理層を分離できるようになった」と説明する。Grid Infrastructureでサーバを管理することで、物理サーバをRACに自動的に割り当てることができるようになり、複数のRAC間でサーバを共有利用できる。 また新版では、シングル・インスタンス・データベース(1台のサーバで稼働するOracle Database)を使用する小

物理サーバA 物理サーバB

サーバ仮想化ソフトウェアのライブ・マイグレーションがDBサーバでも可能にDB稼働中に安全に別の物理サーバに移動可能別サーバに退避することで、パッチのローリング適用が可能

DB1

OS

VM

DB2

OS

VM

OS

VM

実行中のトランザクションが保証されない

サーバ仮想化ソフトウェア(ライブ・マイグレーション)

RAC One Node(OMotion)

サーバ仮想化ソフトウェア

物理サーバA 物理サーバB

DB3 DB1 DB2

接続先を切替え

DB3をサーバBで稼働

切替えが完了したら元のDBを停止

Oracle Grid Infrastructure

OS OS

DB3

RAC One Nodeによる小規模データベースの集約(OMotion)

日本オラクル代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏

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規模ユーザー向けのオプション製品として「Oracle RAC One Node」が提供される。これにより、小規模データベースをデータベースの機能だけで簡単に集約し、RACの冗長性と可用性の機能を利用できるようになった。RAC One Nodeでは、稼働中のデータベースを物理サーバ間で移動できるようにする“OMotion(オーモーション)”機能や、データベースの障害時でも別のサーバに高速にフェイルオーバーする“自動フェイル・オーバー”機能を搭載する。従来の仮想化ソフトウェアでは、データベースやその上で稼働するアプリケーションの障害は検知できなかった。さらに、10gから提供されているストレージ管理機能「Oracle Automatic Storage Management(ASM)」が拡張された。従来のASMではデータベース・ファイルだけを管理対象とし、ファイル・システムの管理には別のストレージ管理ソフトウェアが必要だったが、新版のASMでは“ASM Cluster File System(ACFS)”をサポートし、すべてのデータベース・ファイルの配置を自動的に最適化できるようになった。 このほか新版では、グリッド上の全サーバの物理メモリ上にデータを展開して並列検索処理を実行する

“In-Memory Parallel Query”機能を搭載した。この機能とデータ圧縮、RACを組み合わせることで、1.2TBの実データをメモリにキャッシュし、インメモリ並列検索処理を実現する。また、サーバに搭載されたCPUと処理内容から並列度を自動的に決定するため、サーバ・リソースを有効活用した高速処理が可能になる。さらに、データベース・アプリケーションの更新やパッチ適用時の停止時間を最小化する“Online Application Upgrade”機能を装備し

た。これにより、アプリケーション更新時に別のデータベース環境を用意する必要がなくなった。 価格は、Processorライセンスの場合でEnterprise Editionが542万1,150円、Standard Editionが199万7,310円、Standard Edition Oneが66万1,920円、Named Userライセンスの場合で、Enterprise Editionが10万8,465円、Standard Editionが3万9,900円、Standard Edition Oneが2万0,580円(いずれも予価・税込み)。

Automatic Storage Managementによるストレージ管理の自動化

ASMを使用しないストレージ管理

パフォーマンスを考慮した物理設計が必要ストレージ管理のための管理ツール

DBサーバ

ASMを使用したストレージ管理

ASMがすべてのデータベース・ファイルの配置を自動的に最適化ディスク追加時には自動的に再バランス化

DBサーバ

クラスタ・ファイル・システム Automatic Storage Management

ASMによるストレージ自動管理

ストレージ・ボリューム・マネージャ

ストレージ管理者のスキルに依存したストレージの物理設計

表領域(表A) REDO

表領域(索引A) 表領域(表B)

ストレージ ストレージ

ASMでストレージ自動管理

3つの技術の進化

CPUの技術進化

メモリの技術進化

データベース圧縮技術の進化

In-Memory Parallel Query+データ圧縮+RACにより、3台のIAサーバで1TB超のデータのインメモリ並列処理を実現

計1.2TBの実データをキャッシュ

データベース圧縮で4分の1にデータベース圧縮で4分の1に

ストレージ 1.2TBの実データ

ASMの大幅な機能拡張による一次元ストレージ管理

ハードウェアの進化を最大限に活用するインメモリ並列処理

日本オラクル常務執行役員システム事業統括本部長 三澤智光氏

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日本HP、HP ProLiant向けのSolarisと関連サービスを提供開始x86サーバ上でSolarisアプリケーション環境を提供

日本ヒューレット・パッカード(HP)は2009年9月、HP ProLiantサーバ向けにサン・マイクロシステムズのOS“Solaris 10”を販売することを発表した。また同時に、Solaris 10の導入・構築サービスや技術サポート・サービスの提供を開始した。今回のSolarisの提供に合わせて日本HPでは、これまで提供してきたWindowsやLinuxと同レベルの動作検証を、ラック・マウント型やブレード・サーバを含めたProLiant G6シリーズの34モデルで実施し、HPが提供するOSとして認定した。

システム・インテグレーターやパートナーとの協業を拡大するため、2009年9月1日付けでSolaris Community for Businessにも加盟した。Solarisの販売では「一定期間のサブスクリプション」と「ソフトウェアテクニカルサポート利用権」をセットで販売する。SolarisをHPから購入することでサンによるオンラインの年間契約サービス(Sunsolve Online)が利用でき、バイナリやパッチのダウンロードが可能になる。また、ソフトウェア・テクニカル・サポートは日本HPが従来より提供しているHP-UXやWindows、Linuxと同等のサービス仕様で、標準時間(午前8時45分~午後5時30分、月曜~金曜、祝祭日と年末年始は除く)、または24時間365日のいずれかを選択できる。サービス提供価格は、サーバ・ソケット数が1~2、ソフトウェア・テクニカル・サポートに標準時間を選択した場合で年間13万6,080円から。「Solarisスタートアップサービス」では、Solarisの新規導入時に必要な一連の導入作業を支援し、Solarisを迅速に稼働できるようにする。提供価格は9万4,500円。また、「HP ProLiant Solarisサーバー導入サービス」は、スタートアップサービスに加えて「HP Integrated Lights-Out(HP iLO)」や「HP System Management Homepage(SMH)」などの運用管理系ツールを活用するための教育・トレーニングを提供する。提供価格は30万2,400円。

 日本HPが今回発表したのは、HP ProLiantサーバ向けSolaris 10の「サブスクリプション」の販売と「ソフトウェアテクニカルサポート」、「Solarisスタートアップサービス」、「HP ProLiant Solarisサーバー導入サービス」の提供。また、Solaris環境上のアプリケーション構築やパフォーマンス・チューニングなどの各種サービスも提供する。これは2009年2月に、米国サン・マイクロシステムズとHPがワールドワイドで締結した複数年契約に基づくもので、HPがProLiantサーバ向けに保守・サービス

を提供するOSにSolaris 10を追加した。これにより日本HPでは、Solaris環境の導入支援からSolarisが稼働するシステムの障害受付、問題の切り分け支援、問題の解決と復旧までを一貫して提供する。日本HPは今回のSolarisサービスの提供にあたり、ラックマウント・サーバからブレード・サーバ、クラスタ・ソフトウェア「Sun Cluster」によるクラスタ構成まで、ProLiant G6シリーズの34モデルについて、WindowsやLinux環境と同レベルの動作検証を実施した。また、“Solaris on ProLiant”における国内

クリティカル・サービス

プロアクティブ24

各種コンサルティング・サービス、パフォーマンス分析サービス、開発支援サービス、など

サポートプラス&サポートプラス24

ソフトウェア・サポート

ソフトウェア・サブスクリプション

専任技術チームの任命

サポート・プランニング

予防保全サービス

変更管理サービス

6 hr CTR HW

ソフトウェア技術支援

重大障害に対する即時応答の提供

リモート技術診断

24時間年中無休応答

ハードウェア4時間オンサイト・サービス

ソフトウェア技術支援(2時間以内応答)

サービス・アカウント・マネジャーの任命

サポート・プランニング

システム状況診断

リモート技術診断

24時間年中無休対応

ハードウェア4時間オンサイト・サービス

ソフトウェア技術支援(2時間以内応答)

平日標準時間、24時間年中無休対応

サーバごと、回数無制限

ソフトウェア技術支援

2時間以内応答

更新利用権

技術情報・文書の提供

スタートアップ・導入サービス、構築関連サービス

サービス・ポートフォリオ

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加された。JAVは富士通との戦略的協業の一環として共同開発されたもので、住所/姓名辞書をもとに、住所/姓名の分かち書き、辞書との照合、同一データの異表記の統一などのクレンジング処理を実行し、高精度な名寄せを実現する。住所のクレンジング処理の場合、対象となる住所を各要素ごとに住所辞書内の要素と照合し、一致する割合の高い住所を選択して、日本特有の地名省略や漢字の誤りなどを自動的に補正する。これにより顧客データを利用する業務部門のデータに対応することが可能になり、より広範囲のデータにおける高度なクレンジングと品質維持が実現できるようになる。 価格はInformatica Data Qualityが4,200万 円から、Japan Address Validationが年間購読料470万円から(毎月更新される住所データを含む)。

インフォマティカ、データ品質管理用ソフトウェアの新版を出荷開始「Informatica Data Quality 8.6.2」を市場投入

インフォマティカ・ジャパンは2009年9月、データ品質管理ソフトウェアの新版「Informatica Data Quality 8.6.2(IDQ 8.6.2)」を出荷開始した。IDQはデータの品質を評価、維持、管理するためのソフトウェアで、データの分析、クレンジング、マッチング、レポート作成、監視などの機能を提供する。新版では日本特有の住所表記を修正するための拡張機能モジュール「Japan Address Validation(JAV)」がオプションとして追加された。

可能になる。データ品質プロセスとデータ統合プロセスは、ダイナミック・パーティショニング機能により並行実行が可能。 また、PowerCenterとの統合では、IDQのデータ品質マップレットをPowerCenter内でネイティブ実行するほか、低品質データのフィルタリングや、低品質データを含む複数の属性をレコードごとに強調表示することができる。IDQ 8.6.2では、日本特有の住所表記を修正するための拡張機能モジュール「Japan Address Validation(JAV)」が、オプションとして新たに追

 今回出荷開始されたIDQ 8.6.2は、全社レベルでデータの分析、クレンジング(文字種や表記方法などの違いを補正する処理)、マッチング(照合)、レポート作成、監視の機能を提供するデータ品質管理ソフトウェア。顧客、製品、財務、資材、価格、注文、資産データなどのマスター・データの品質を監視、評価、維持できるほか、業務情報の所有者はデータ品質の評価指標を設定して、問題を特定・分類・数値化できるようになる。 また、複数のポイントでデータの品質を継続的に評価・監視・追跡・改善するために必要な評価指標とレポートを提供し、高品質なデータの維持、管理を実現する。 IDQ 8.6.2は、同社のデータ統合ソフトウェア「PowerCenter」との統合・連携利用が可能で、インタフェースの統一化とリポジトリの共有によってデータの品質管理プロセスとデータ統合プロセスを一体化できるため、単一のプラットフォーム上でデータの分析からクレンジング、マッチング、連携・統合までの処理を一貫して実現し、高品質なデータ提供が

Informatica Data Quality 8.6.2の監査証跡画面

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きるようになる。ただし、AppLogicにはユーザーごとにアクセスを制御する機能が装備されていないため、エクシードがAppLogicのリソース・プールを複数ユーザーで共有し、サービスとして利用できる仕組みを開発した。 エクシードの代表取締役社長、鈴木義則氏は、従来より同社がオープンソースと仮想化技術に基づくサーバ環境の企画・設計・構築・運用を手掛けていたことから、「今回のサービスは、仮想化技術と統合運用管理という両分野の技術と経験知を所有していたことで実現できた」と説明し、「ユーザーの視点から使い勝手のよいサーバ環境として開発した」と語った。エクシードでは、Libraの初期ユーザーからのフィードバックをもとに次期リリースを機能拡張する計画で、AppLogic以外の仮想化技術への対応や異なるグリッド上の仮想マシン間の連携、大規模ストレージへの対応、テンプレートの拡充などを予定している。さらに、英語圏での海外展開を視野に入れ、英語版サービスも提供する。

エクシード、オンデマンド型の仮想サーバ・ホスティング「Libra」を発表サーバ構成をテンプレートから選択利用

エクシードは2009年9月、オンデマンド型の仮想サーバ・ホスティング・サービス「Libra(ライブラ)」を発表し、2009年10月13日からサービス提供を開始した。米国スリーテラのグリッドOS「AppLogic」を仮想化の基盤に採用し、ユーザーがサーバ構成やリソースの量をブラウザから選択して、必要に応じて必要な量のリソースをセルフサービスで即時調達できるようにした。2009年内はユーザー数を最大で100社程度に限定するが、2010年度に500契約、年間3億円の売上を目指す。

提供する仮想データセンター・ホスティング・サービス「myDC」の運用経験をもとに開発された。 Libraでは、サーバ仮想化の基盤として米国スリーテラ(3tera)の開発したグリッドOS“AppLogic”を採用した。AppLogicは、汎用サーバ機にインストールしてイーサネット・スイッチで接続するだけで、CPUやメモリ、ストレージ、ネットワーク帯域のリソース・プールを作成し、サイジングやアドレス割り当て、ハードウェアやソフトウェアなど、Webアプリケーションの構築に必要な要素をWebブラウザから構成・設定で

クラウド型仮想サーバ・ホスティング

 エクシードが提供開始したLibra(ライブラ)は、Webブラウザで構成済みのサーバ環境を選択し、CPUコア数やメモリ容量などのリソースを必要に応じてオンデマンドに増減できる仮想サーバ・ホスティング・サービス。従来より共用レンタル型や専用ホスティング型として提供されているサーバ・サービスの導入・構築期間や利用コスト、処理のピーク時に合わせたリソース調達、オプション・サービスの複雑さ、などの問題を解決する新サービスとして、同社が昨年から

エクシード代表取締役社長 鈴木義則氏

Libraサービス・フロント

Libra API 他サービスのAPI

AppLogicドライバ

コア

その他のドライバ

その他のサービス・フロント

AppLogicコントローラ AppLogicコントローラ AppLogicコントローラ

グリッド・サーバ グリッド・サーバ

グリッド・サーバ グリッド・サーバ

グリッド・サーバ グリッド・サーバ

グリッド・サーバ グリッド・サーバ

グリッド・サーバ グリッド・サーバ

グリッド・サーバ グリッド・サーバ

Libraのアーキテクチャ

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させたい考え。そのため、グループウェアやCRM(顧客管理)などを実装したテンプレートや、ISV向けのSaaSテンプレートの提供も計画する。鈴木氏は「エクシードはあくまでもPaaS環境を提供する」としている。

テンプレートの種類を拡充

 Libraでは、事前に構成された7種類の汎用的な仮想サーバ環境がテンプレートとして提供される。現在用意されているテンプレートは、OSとしてLinuxのみがインストールされた最小構成の「Plain Small」をはじめ、LAMP(Linux/Apache/MySQL/PHP)とLAPP(Linux/Apache/ PostgreSQL/PHP)のそれぞれに、Webサーバ/DBサーバ・ミドルウェアがインストールされた小規模構成の「LAMP Small」と「LAPP Small」、スイッチや負荷分散装置を加えた中規模構成の「LAMP Middle」と「LAPP Middle」、アプリケーション・サーバやストレージ(NAS)を加えた大規模構成の「LAMP Large」と「LAPP Large」の計7種類。テンプレートの種類はユーザーの要望に応じて拡充される予定。 また、使用するリソースは0.2コアのCPUと512MBのメモリを1ユニットとし、2ユニット(CPU:0.4コア、メモリ:1GB、HDD:30GB)が最小構成。ユーザーは、Webブラウザからユニット数を選択することでリソースを追加・削減でき、選択が終了すると画面に料金が表示される。こうしたセルフサービス型の構成・設定により、Libraは「5分から最長でも10分でサーバ環境を構築できる」(システム技術部、末広美奈子氏)という。 サービスの利用には、与信を含めたアカウントの取得が必要で、利用料金は後払いで1ユニットあたり月額6,000円。月の途中でリソース使用量を増減させた場合、増減分は日割りで課金される。参考価格は、Plain Smallが1万2,000円から、LAMP/LAPP Smallが1万

2,000円から、LAMP/LAPP Middleが2万4,000円から、LAMP/ LAPP Largeが4万8,000円から。 今後エクシードでは、Libraのテンプレートの種類を拡充するほか、テンプレートそのものを無償または有償で流通

リソース選択画面

Libraサービス・トップ画面

サーバ構成テンプレート選択画面

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のメディアを通して統一された情報を出版・表示する機能や、商品紹介ビデオを特定のアクション起動リンクと同期できるビデオ・オーサリング/表示機能、Webベースのテンプレート設計のためのAdobe Creative Suiteツールとの統合強化など、デザイン面の使い勝手とワークフローの効率性を向上させた。これによりユーザーは、特別な知識がなくてもビデオ・セットや画像(カラースウォッチと複数表示)、360度回転、音声機能など、動的なメディアを組み合わせたコンテンツをアップロード・構築・発信・提供できるようになった。また、コピーURL、埋込みコード、Webサイトへのリンクによるコミュニティ共有機能がサポートされ、他のエンドユーザーとの間でソーシャル・ネットワーキング、ソーシャル・ニュース、ソーシャル・ブックマーキング・サイトを介して、ユーザー体験を共有できるようになった。 さらに、ビデオ・オーサリング機能では設計面でのコントロールが強化され、ビデオに双方向性機能を組み込めるようになったほか、ビデオ・セットの構築が自動化され、標準/グリッド/カルーセル・レイアウトを含めて表示方法が拡大された。どのクリップやキャプション、グラフィック・オーバーレイにもビデオ・ホットスポットを設定できるため、マウスをホットスポット上でロールオーバーした際に、フォーマットを設定したツール・チップが表示される。

アドビシステムズ、コンテンツ管理・配信サービスの国内提供を開始「Adobe Scene7」をアジア太平洋地域に拡大

アドビシステムズは2009年9月、日本を含むアジア太平洋地域向けにコンテンツ管理・配信サービス「Adobe Scene7」の提供を開始したことを発表した。Scene7は、年額課金制のオンデマンド型メディア・パブリッシング・プラットフォームで、アップロードした素材をインタラクティブに操作できるコンテンツに自動変換し、eコマース・サイトの商品紹介ページや電子カタログ、印刷用ページに配信する。サービス開始にあたって日本に営業組織と顧客サポート担当を配置した。

SMB向けコラボレーション・ソフト

 Scene7は、ユーザーがアップロードした画像や映像などの素材を“Media Portal(メディア・ポータル)”と呼ばれる管理ツールで管理し、Webページや電子カタログ、印刷用、メールなどの形式に自動変換して動的に配信するSaaSサービス。機能としてメディア・ポータルのほかに、コンテンツのサイズ調整、編集、書式設定、画像セット、テンプレート使用、360度回転を可能にする“ダイナミック・イメージング”、印刷用の素材からインタラクティブ版を発行する“eカタロ

グ”、ビデオをアップロード、変換、編集、管理、ストリーミング配信する“eビデオ”、オンライン上で商品やそのオプションを視覚的に確認できるようにする“ビジュアル・コンフィグレーター”、PhotoshopやInDesign、Illustratorなどで作成したレイアウトやテンプレートをカスタマイズし、Webや印刷媒体、電子メールなどの形式に応じて出力する“ウェブToプリント”、顧客のプロファイルや商品・チャネルのデータベースと連携して、パーソナル化された電子メールや印刷媒体を出力する“ターゲットeメール&プリント”が提供される。適用規模と提供される

機能に応じて「Enterprise」「Enterprise Unlimited」「Small Business」の各エディションが用意されている。 アドビは今回のサービス開始と同時に、プラットフォームの機能を強化し、eコマースや統合型マーケティングを展開する企業が訴求力の高いユーザー体験を提供できる新機能を盛り込んだ。今回のアップデートでは、複数

Adobe Scene7のMedia Portal画面

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“HPC”“ビジュアライゼーション”“メディア&アーカイブ”の3分野に集約したが、佐藤氏は「これまでのHPC分野で培った経験とノウハウが、データセンター分野にも適用できる」と語り、新サーバ群を同社の第4の柱として展開する方針を示した。販売にあたってはグリーンITを切り口とし、“エコロジカル”なデータセンター・サーバ”として訴求していく。 また、マーケティング本部長、渡辺建城氏は、「次世代データセンターには省電力、省スペース、低運用コストが求められている」とし、サーバ機器の省電力化、サーバの動作環境となるデータセンターの省エネ/省スペース化、受注生産(BTO)による高密度実装、顧客の要望に応じた柔軟なサポート体制を、日本SGIの解決策として提供すると語った。 新サーバでは、大口径の冷却ファンを採用することでモーター数を従来の4分の1に削減し、サーバの消費電力に占める冷却ファン用電力の比率を従来の25%から8%未満に低減した。また、電

日本SGI、データセンター向け省電力サーバ製品群を販売開始「SGI CloudRack」「SGI Foundation Rack」「SGI ICE Cube」

日本SGIは2009年9月、次世代データセンター向けの省電力サーバ製品「SGI CloudRack(クラウド・ラック)ファミリー」と「SGI Foundation Rack(ファウンデーション・ラック)」、コンテナ型モジュラー・データセンター「SGI ICE Cube(アイス・キューブ)」を販売開始した。いずれも旧ラッカブル・システムズの製品で、高密度実装と独自開発の配電技術により最大30%の消費電力を削減する。初年度8億円、3年間で40億円の売上を目指す。

DC分野を第4の柱として事業展開

 日本SGIが今回販売開始したサーバ製品群は、旧ラッカブル・システムズがデータセンター向けに開発・販売していた製品。米国ラッカブル・システムズは2009年5月に米国シリコン・グラフィックスを買収し、統合後の社名を「シリコン・グラフィックス・インターナショナル(SGI)」に変更した。

 今回の製品について日本SGIの代表取締役社長兼CEO、佐藤年成氏は「新生SGIとして初めての製品」とし、旧ラッカブルと旧SGIが統合したことによって、「ハイエンドのハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野からデータセンター分野まで、広範な製品ラインナップを揃えることができた」と語った。 日本SGIでは2008年度に事業の選択と集中を進め、主力とする事業を

日本SGI 代表取締役社長兼CEO 佐藤年成氏

AC(交流)電源方式によるシステム例:変換が3回・・・変換ロス大

商用電源配電盤

変換① 変換②

UPS

AC DC DC AC

変換③

サーバ

AC DC

バッテリー

CPU

メモリ

DC(直流)電源方式によるシステム例:変換が1回・・・変換ロス小

商用電源配電盤

変換①

UPS

AC DC

サーババッテリー

CPU

メモリ

AC&DCソリューション ダイレクトDCソリューション AC/DC変換時の電力ロスを大幅に削減:通常のAC方式と比較して最大30% MTBF(平均故障間隔値)の低減:通常のAC方式と比較して約10倍 AC/DC整流ソリューション 通常のAC方式にも対応:他社製品よりも最大10%の省電力化 DC(直流)12Vを使った99%の配電効率

Foundation Rackの電源機構 Sample

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上した。 電源と冷却ファンはN+1冗長で構成され、ラック単位に搭載する。電源に特許技術「Power XE」を採用することで、3相電流を95%以上の精度で均衡させて電力消費を抑え、ラック単位で直流12Vに変換し、電力変換時の損失を削減して99%の配電効率を実現した。また、冷却ファンには回転速度を自動的に調整する機能を装備し、サーバをラック単位で冷却することで効率を高め、室温40℃でも運用できるようにした。 BTO方式で構成するサーバ・トレイには、クアッドコア・プロセッサを最大6個(24コア)まで搭載可能で、日本SGIでは「1Uサイズのトレイ内に最大6サーバを構築できるため、仮想化ソフトウェアを使用することなく、サーバの物理集約が可能」(増月氏)と説明する。

■ SGI Foundation Rack

 Foundation Rack(ファウンデーション・ラック)は、従来のラックマウント・サーバと比べて奥行きが半分(ハーフ・サイズ)のサーバを、背面を合わせて(バック・ツー・バック方式)でラックに収容するデータセンター・サーバ。この方式によって2倍のスペース利用効率を実現し、ラックあたり88台(704コア)の1Uサー

源ユニットについても、変換効率を従来の85%から94%に改善した電源ユニットの採用や、“N+1”の冗長構造による待機電力の削減、単一電圧直流12V電源による動作によって省電力化を実現したほか、メモリやディスクに低消費電力部品を優先使用し、サーバ全体の消費電力を低減した。さらに、サーバの動作条件を緩和し、40℃の環境でも動作できるようにした。 こうした省電力化により日本SGIでは、データセンターの電力使用効率を示すPUE(Power Usage Effectiveness)値で1.4という高いレベルを実現できるとしており、「従来型のサーバと比較した場合、3,000台のサーバを設置するデータセンターでは、3年で4億5,000万円の電力料金が削減できる」(渡辺氏)との試算を示している。

DC/クラウド事業者向けに販売

 今回販売開始されたのは、ワークグループ・クラスタ向けサーバ「SGI CloudRackファミリー」、ラックマウント・サーバ「SGI Foundation Rack」、コンテナ型モジュラー・データセンター「SGI ICE Cube」の3機種で、BTOモデル(受注生産方式)による販売、高密度実装設計、低消費電力が共通の特徴

となる。BTOによる販売について、データセンタービジネス担当部長、増月孝信氏は、「これまではベンダーが事前に決定した仕様に基づいて構成されたモデルから選択してきたが、BTO方式では使用するサーバの仕様をユーザーが決定できる」とし、「ベンダーにとって新しい事業モデルに挑戦することになる」と説明した。

■ SGI CloudRack

 CloudRack(クラウド・ラック)ファミリーでは、ワークグループ・クラスタ向けサーバ「CloudRack X2」とその上位機種「CloudRack C2」を提供する。X2は2009年8月に米国で発表されたエントリー・クラスの製品で、HPC分野やグラフィックス分野向けにも提供される。専用ラックと1Uサイズの専用サーバ・トレイで構成され、プロセッサとしてキャビネットあたりX2で最大216コア、C2で最大912コアまで搭載可能。X2は標準の19インチ・ラックにも収納可能だが、C2は24インチ・ラックに収容する。 個々のサーバ・トレイは上部カバーを装着しない状態で収容し、電源と冷却ファンも搭載しない。これにより保守性を向上したほか、振動や単一障害点を排除してMTBF(平均故障間隔)を向

日本SGI マーケティング本部長 渡辺建城氏

日本SGI データセンタービジネス担当部長 増月孝信氏

日本SGI 営業統括副本部長 酒井宏幸氏

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43Open Enterprise Magazine Oct-Nov 2009

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バを収容するほか、ラックの前面と背面から冷気を取り入れ、ラック中央の通風空間から上部に排気することで冷却効率を高めた。 また、ネットワーク・ケーブルやポート、コネクタ類をサーバの前面に配置することで、保守性を向上した。オプションとして提供される直流電源装置「ダイレクトDCソリューション」を利用すれば、通常の交流電源を使用する場合と比べて最大30%の節電効果が発揮できるという。 Foundation Rackには1Uから2U、3Uまでのサーバが用意されており、グラフィックスやネットワークなどのPCI拡張カードの増設に対応できる拡張性の高いシステムとして提供される。

■ SGI ICE Cube

 ICE Cube(アイス・キューブ)は、サーバやストレージを最大1,540Uまで収納できるコンテナ型のモジュラー・データセンター。2.44メートル×12.20メートルの標準輸送コンテナに、最大2万2,400コアのプロセッサまたは最大11ペタバイト(PB)のストレージを搭載でき、省電力供給技術や水冷による冷却技術を

使用することで、従来型のデータセンターと比べて80%の空調設備コストを削減できる。日本SGIでは、モジュラー型のため設計から導入までの期間を短縮し、急変する市場やビジネス・ニーズにも迅速に対応できるとしている。

 増月氏は「これまでデータセンター・サーバは、機能や価格、性能、ブランド、信頼性などを基準に選択されてきたが、現在ではワットあたりの性能など、エコロジカルな要素を重視すべき時代に入っており、SGIのサーバはそうした市場のニーズに沿ったもの」と説明している。 新サーバの販売戦略について、営業統括副本部長、酒井宏幸氏は、“エコ”をキーワードに「新たな事業展開を図る」と説明した。同社では今回の新サーバ群を、主にデータセンター事業者やクラウド・サービス事業者向けに提供し、新規顧客を開拓するとともに、企業内クラウドやプライベート・クラウドの構築を検討する既存ユーザーにも提案して

いく計画。これにより初年度で8億円の売上を目指す。価格はBTOモデル(受注生産方式)のため構成によって異なり、Webサーバ向けエントリー・モデルで22万円(CPU:インテルXeon L5410×2、メモリ:2GB、ディスク:250GBの場合の参考価格)。受注後、最短で2週間程度で出荷される。 今回の新サーバ群は、ラッカブル・システムズの販売代理店として2008年4月から国内販売してきた伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)からも提供される。また、現在の日本SGIは日本電気(NEC)の連結子会社でもあるため、NECが展開していない日本SGIの得意分野で事業展開するとしている。

SGI CloudRack SGI CloudRackのサーバ・トレイ SGI Foundation Rack

SGI ICE Cube

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44 Open Enterprise Magazine Oct-Nov 2009

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市場での展開を支援する。また、ベル・データは販売代理店を通して国内の中堅・中小企業や大企業の部門を対象にBridgeSTORを販売し、3年間で2,000台の販売を目指す。 ベル・データは、中堅・中小企業向けにSystem i(旧AS/400)の販売・運用・保守を主要事業とするIBMの販売特約店で、2008年2月にパフォーマンス/キャパシティ管理のソフトウェア・ベンダー、アイ・アイ・エム(IIM)からストレージ事業の譲渡を受けて、ストレージ製品のチャネル販売を開始した。 ベル・データの代表取締役社長、小野寺 洋氏は、「国内で提供されている重複排除製品の大半がソフトウェアで、処理速度に課題があるため、データのバックアップ業務に利用されている。これに加えて、中堅・中小企業向けの製品としてはコスト的に割高感がある」との認識を示し、BridgeSTORではデータの書き出しと同時に重複排除を行なうインライン方式を採用し、ハードウェア

ベル・データ、重複排除技術を搭載したストレージ「BridgeSTOR」を販売開始プライマリ・ストレージとしても利用可能

ベル・データは2009年10月、データ重複排除技術を搭載したストレージ・アプライアンス製品「BridgeSTOR(ブリッジ・ストア)」の国内販売を開始した。BridgeSTORは、ベル・データと米国エクサーが共同開発したストレージ製品で、IBM製IAサーバに旧ハイフン社のデータ重複排除技術「BitWackr(ビットワッカー)」を実装した。ハードウェア・アクセラレーション方式による重複排除を採用することで、プライマリ・ストレージとして利用できるようにした。

マイクロソフトの「Windows Storage Server 2003 R2 x64 Edition」と、エクサーが2009年4月に買収したハイフン社のデータ重複排除技術「BitWackr(ビットワッカー)」と圧縮・暗号化ネットワーク・カード「Hifn Express DS 4100」、CA社のバックアップ/レプリケーション・ソフトウェア「CA ARCserve Replication」をパッケージ化した。物理容量で5TB(ユーザー仮想領域で20TB)のディスクを搭載する。エクサーは、ベル・データにBitWackrとExpress DS 4100を提供することで、BridgeSTORの日本

中堅・中小企業向けストレージ

 このほど国内販売が開始された「BridgeSTOR(ブリッジ・ストア)」は、データの重複排除(除外)と圧縮を処理するハードウェア・アクセラレータを搭載することで、データ量の大幅削減と処理の高速化を同時に実現するストレージ製品。ベル・データと米国エクサーが2009年5月に締結した販売代理店契約に基づいて共同開発したもので、IBMのx86サ ー バ「IBM System x3650 M2」をプラットフォーム・ハードウェアに、

ベル・データ代表取締役社長 小野寺 洋氏

チャネル戦略

施策 低価格なアプライアンス製品を展開

効果 重複排除カードおよびソフトウェアの販売を拡大 中小規模市場の開拓、販売推進

OEM戦略

施策 国産ストレージ・ベンダーの採用

効果 重複排除カードおよび半導体製品の販売を拡大 ストレージ市場のカバレッジ向上

日本市場におけるHifnの戦略

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ターの割り当ても可能で、透過的に使用できる。「データの書き出しと重複排除を同時に実行するインライン方式は、これまでプライマリ・ストレージでは採用されていない」(メイツ氏)。 さらに、BridgeSTORに標準搭載される圧縮・暗号化ネットワーク・カード「Express DS 4100」がデータ転送時の圧縮・暗号化処理をリアルタイムに処理し、ネットワーク帯域幅の最適化とセキュリティの向上を実現するほか、CAのARCserve Replicationを使用することで、災害対策用途に利用できる。

で処理が実行されるため、プライマリ・ストレージとして利用できることを強調した。BridgeSTORは、プライマリからバックアップまでカバーする中堅・中小企業向けのストレージ製品として位置づけられ、約50社のパートナーを経由で販売される。定価は360万円で2009年11月1日から出荷する。保守サービスは日本IBMと協業し、IBMのカスタマー・エンジニアによる全国サポート体制を整備した。

プライマリ・ストレージとして利用

 エクサーが提供するBitWackrは、ブロック・ベースのデータ重複排除ソフトウェアと、データ圧縮と重複排除のハッシュ演算を行なうExpress DRアクセラレータ・カードで構成される。BridgeSTORでは、BitWackrの重複排除ソフトウェアが“HifnストレージOS”の1モジュールとして組み込まれた。 米国エクサーのストレージシステム

製品担当バイス・プレジデント、ジョン・メイツ氏は「BitWackrは業界初のWindowsサーバ向け重複排除技術」とし、データ格納時に、ハッシュ関数SHA-1による重複排除演算とLZSデータ圧縮処理を専用プロセッサでリアルタイムに処理し、データ容量の大幅低減と処理の高速化を同時に実現するため、アプリケーションが直接アクセスするプライマリ・ストレージとして利用できると説明した。容量最適化された仮想ボリュームはWindowsの通常のディスクとして認識され、フォーマットやドライブレ

米国エクサー ストレージシステム製品担当バイス・プレジデント ジョン・メイツ氏

BitWackrIP-SAN&NASHA、管理GUI

Express DR/DS重複排除、圧縮、暗号化アクセラレータ・カード

ARCserveReplication

ストレージOS

プラットフォーム・ハードウェアIBM xSeries System x3650 M2

「BridgeSTOR」のパッケージ構成

プライマリデータベースeメールVMware

NASファイル・サーバ

セカンダリ/アーカイブeメール・アーカイブSharePointファイル・アーカイブ

ディザスタ・リカバリ継続的データ保護

バックアップ

ローエンド ミドルレンジ

HP D2D EMC/Avamar

ハイエンド

EMC/Celerra

ネットアップ

データドメイン

EMC/DL

FalconStor

シマンテックPureDisk

IBM/Dilligent

Copan

ターゲット・セグメント(重複排除分野)

IBM System x3650 M2をベースにした「BridgeSTOR」

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