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1 TKANAI 1 MBA Coaching at Kobe University 神戸大学MBA コーチング 第1講 MBAにとってコーチングとは 組織行動論とプロセス・コンサルテーションの視点から 201297MBA大阪教室 神戸大学大学院経営学研究科 組織行動担 当教員 金井壽宏 このスライドは、すべて使うわけではあ りません。 コーチAの伊藤さん、鈴木さんとの 出会い 日本コーチ協会の会合 2007930日で、 「プロセス・コンサルテーションとエグゼクティブ・ コーチング」という講演をさせていたいたとき。 終了後、3名で食事をしながら、(1)コーチAさん の研究機能を高めていきたいということと、(2) 正規のMBAでコーチングの科目をオファーして みたいということをお聞きした。 ともに実現しています。(1)今日、お越しの番匠 さんは、リサーチ部門にかかわり、アメリカ経営 学会で研究報告、(2)そしてこのクラス。 TKANAI 2

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MBA Coaching at Kobe University神戸大学MBA コーチング

第1講 MBAにとってコーチングとは組織行動論とプロセス・コンサルテーションの視点から

2012年9月7日於 MBA大阪教室

神戸大学大学院経営学研究科 組織行動担当教員

金井壽宏

このスライドは、すべて使うわけではありません。

コーチAの伊藤さん、鈴木さんとの出会い

日本コーチ協会の会合 2007年9月30日で、

「プロセス・コンサルテーションとエグゼクティブ・コーチング」という講演をさせていたいたとき。

終了後、3名で食事をしながら、(1)コーチAさん

の研究機能を高めていきたいということと、(2)正規のMBAでコーチングの科目をオファーしてみたいということをお聞きした。

ともに実現しています。(1)今日、お越しの番匠さんは、リサーチ部門にかかわり、アメリカ経営学会で研究報告、(2)そしてこのクラス。TKANAI2

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担当教員とスタッフのご紹介

登壇されるのは、コーチAからは、伊藤さん、鈴

木さん、栗本さん、番匠さん。今日は番匠さんがお越しですので、あとで自己紹介。

この科目の今年のTAは、福本さん(組織社会化の研究、あとで自己紹介)。

金井は、この科目の窓口教員という形になります。

よろしく。

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テキストの紹介

『コーチング・マネジメント-人と組織のハイパフォーマンスをつくる-』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2002年 。

『神戸大学ビジネススクールで教える コーチング・リーダーシップ』ダイヤモンド、2010年

ウェブにあげるか、コピー配布の教材: 金井が

おこなったエドガー・シャイン教授へのインタビューで、プロセス・コンサルテーションにかかわる部分を含むもの

参考図書は、シラバスを参照。TKANAI4

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皆さんとコーチングとの接触

コーチングの本を今回のテキスト以外に、なにか、読んだことがあるひと、いますか?

なにを読みましたか? 読んでどう思いましたか

コーチングを会社の研修等で受講したことがあるひと。コーチAさんの研修だったというひと?

個人的にコーチングをどこかで習ったことがあるひと。

打ち込んでいるスポーツがあり、学校時代、社会人になってから、コーチの役割を経験したことのあるひと TKANAI5

皆さんとコーチングとの接触

今、自分にコーチがついているひとは?

今、自分がだれかのコーチ役をしているひとは? 職場でも、家族でも、趣味のスポーツ等でも。

コーチングは習っていなくても、うまくできている、いわば、(伊藤さんの言葉では)ネイティブ・コーチだと自認しているひといますか。

プロジェクト研究のグループのメンバーのなかに、コーチング的に振る舞っていたひとっていますか?

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コーチングとの本での接触、テキストのひとつ、

『コーチング・マネジメント-人と組織のハイパフォーマンスをつくる-』 を読んでの感想。

今回テキストして読む以前に、読んだことのあるひと?

今回はじめて読んでみて、早速感想のあるひと。

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皆さんの会社でのコーチング

研修以外に、会社として、コーチングに取り組んでいることがありますか。たとえば、海外赴任者のコーチングとか(栗本さんのご専門と重なります)。

社内にコーチの数を増やすことによって、組織変革、組織開発に役立てているというような会社にお勤めのひとは? キリンビールの早坂さんの場合(テキスト)。

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番匠さん、栗本さん、鈴木さん、伊藤さんにインプットになるので、ご質問(すべて対応できるとは限りませんが)

コーチングを学ぶことで、どのような効果を期待しますか。

「コーチAさんが、わたしの会社のコーチング研

修をしてくれました」という方でも、なかなか創設者である、伊藤さんと鈴木さんから直々に学ばれることは稀です。伊藤さん、鈴木さんからは特になにを学びたいですか。

コーチAさんは、日本のサービス産業では稀な

グローバル化の進展している会社です。グローバルな軸でコーチングに期待することありますか。TKANAI9

番匠さん、栗本さん、鈴木さん、伊藤さんにインプットになる、ご質問(つづき)

番匠さんから、なにか、冒頭で受講生にお聞きになりたいことありますか?

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2つのエクササイズ

エクササイズ1 「○○にはどのように行けばいいのですか」と、自分になじみの場所で、見知らぬひとに尋ねられたとき。あなたならどう答えますか。

エクササイズ2 「いっしょにいくパーティだけど、どの服を着ていけばいいかしら」と、親しいひと(たとえば、娘か、配偶者か恋人)に聞かれたとき。あなたならどう答えますか。

これは、ひとにhelpfulに振る舞うことがいかに難しいか

について、説明するために、エドガー・H.シャイン

が、『人を助けるとはどういうことか』(英治出版)で、使った例です。(昨年、一昨年か、教科書にした年度もあります)。

コーチングの文脈でいえば、ティーチングとのいちばんの違い。教えるのがコーチングなのか、自分で気づく手伝いをするのがコーチングなのか。たとえば。

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われわれが、ヘルピングしようとするとき、

ヘルプする相手のことを、わかっていない。分かっていないことが多い。そういう自覚がいる。

だから、ティーチングよりも、質問することが大事になる。

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伊藤さんのいろんなエクササイズ(1年目の年度のつぎのセッションまでの課題として出されたもの)金井はびっくりしました。

来週、お会いするまで、一週間、イヌ(わんちゃん)になってみる。

配偶者や恋人に、イヌのほうがよく聞いてくれると言われたら、どうしますか。

ご自分のことを聞き上手だと思っておられる方どれぐらいいますか。

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聞いているようで、つぎになにを言うかだけ考えているひと多い。自戒的に、わたしも。

IBMの創業者のトーマス・ワトソン・ジュニアは、

会議で、1時間ずっと自分が話しっぱなしだった。そういうことが多かったと言われる。

院生を指導する指導教員(ここでも、金井は自戒的に)。すぐ、○○読んだか。□□も読め、といってしまう。だけど、院生がなにを望んでいるのか聞いていないことがある。

シャインのプロセス・コンサルテーションの極意

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MBAコーチングの起源 2008年度後期(スタートできてよかったです)

コーチAの伊藤さん、鈴木さん、ご両名から直接

学べる機会は、非常にレアで貴重で、わたしも感激しました。

いつのまにか、5回目です。

毎年、コーチAさんが進歩されるので、今年度も、内容を楽しみにしています。

わたし

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初期の受講生のご発言で印象に残っているもの

ティーチングとコーチングは違うことに気付かされたという感想が多く、

さらに、神戸大学のMBAそのものが、コーチング的だという意見がありました。

また、仕事の場だけでなく、お子さんや配偶者、恋人との関係にも、コーチングを試された方々がおられ、それがほほえましたかったです。

コーチングのちょっと怪しいところがいいと言われたひともいます(ほんとうにいいものは全部怪しいと、松岡正剛さんも、倉光修さんも言います)

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もう10年前のことですが、BIのワークショップでコーチングを取り上げました

<そのワークショップの背景事情>

土曜日の会合で、同じ日に、(今はなくなった授業)コジケンがあり、

わたしは、「絶対に正規の授業最優先」といっても、

「ブルン、プルン」という刺激メールを見ていても、

つぎのページのワークショップにきたMBA生が数名いた

その時点からコーチングへの関心の高さを知らされました。

その日、なんとオーディエンスに増田弥生さんがいた。『リーダー自然体』(増田・金井著)は、組織開発、コーチングの話を含みます。

この日のワークショップに興味あるひとは、『Business Insight』No.39、2002年。六甲台の図書館で借りてご覧ください。

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コーチングはなにをもたらすか、3者3様『ビジネス・インサイト』第38回ワークショップ

「コーチングのコーチング――うまく学習してもらう方法を学習してもらうために」日時:2002年6月15日(土) 13:30~17:00場所:神戸大学・神大会館 六甲ホール

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ご登壇者 3名

13:30~14:20 問題提起 金井 壽宏(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

14:20~14:40 (コーヒーブレイク)14:40~17:00 パネル討論

パネリスト:榎本 英剛氏(CTIジャパン 代表)平尾 誠二氏(神戸製鋼ラグビー部ゼネラルマネージャー)

松下 信武氏(EQジャパン 研究開発担当取締役)

司会:金井 壽宏

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コーチ・ユニバーシティとCTI(コーチ・トレーニング・インシティテュート)

ビジネスコーチとライフコーチ(コアクティブ・コーチング)

トーマス・レナードとローラ・ウィットワース。

名前はどうでもいいのですが、アプローチの違いは興味あるものだと、わたしも感じました。

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冒頭での問をもう一度繰り返してもいいですが、ちょっと違う形で。

自分がうまくできることで、だれかにコーチングした経験のあるひと--コーチングとは呼んでいなくても。

サッカー、ラグビー、野球の経験者で、日曜に子どもたちに教え、監督あるいはコーチの経験のあるひと

楽器の演奏ができるひとで、自分より下手なひと、あるいはまったくの初心者に教えてことのあるひと →わりと頭ごなしに教えてしまっていませんか

ネイティブコーチは、実践に使えるセオリーをもっている。伊藤さんは、そこからも学ぶと言われる。しかし、ご自分もすごいコーチがついている。

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もっと聞きたい問 Q Q

自分がそのことをうまくできるわけではないのに、あることに困っているひとに、うまくアドバイスした経験があるひと

– W.ティモシー・ギャルウェイ(ゴルウェイと表記するひともあり)のインドアテニス(日本でも1975年開業)教室で、テニスを教えたスキーコーチ

– ギャルウェイに直接接したことのある伊藤さん、

– 経営者ではないのに経営者にアドバイスができるひと?

自らが経営戦略の大家だから戦略のコンサルティングをするマイケル・ポーター先生と、経営戦略の内容の専門家ではないがゆえに、クライアントがよりよい戦略を編み出すプロセスを、支援するプロセス・コンサルタント(プロセス・ファシリテータ) イメージわきますか。内容の専門家がティーチングするのとは違う世界

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素直な問 QQQQとなりのひとと4分話し合ってもらって、番匠さんを介して、講師陣にインプットになるように、4,5ペアに話を聞きます

平日夜間で、必須でもないですが、このコースをどうして受けようとしておられるのか?

受講の動機は? 受講の目的は?? このコースに望むもの、期待は???

動機を知らずに、よい支援はできないし、目的を知らずに、目的地にたどり着く支援はできないし、コーチングにできることにも限界があるので、冒頭で課題期待がないように、現実的な期待 realistic preview and expectationを

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わたしの素朴な感想と感謝たいへん感謝すべきことだと思っております

わたしが、日本コーチ協会の会合でお話をさせていただいたのを機会に、コーチエィさんが、より正確には、伊藤守さんと鈴木義幸さんが、大学との研究面でのコンタクトに興味をもたれ、また、金井ゼミのMBA(皆さんの先輩)

にあたる加野さんが番匠さんとともに第1回の窓口なってくれて、コーチングのコースを初めて、MBAで取り上げ

るということが実現しました、また、それに関心をもつ方々がこんなにおられてありがたく思っています。

そこで、さらに問い掛け

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シラバスの補足説明

全体の流れ

参考書について

レポートについて

単位とはかかわりがなく受講されるひとも、事後レポートも出してほしいというお願い(ご本人のためにも)

ご質問

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皆さんのご意見、観察をお聞かせくださいQQ

コーチングはすばらしいと思うひと– そう思ったエピソード!

– 身近でコーチングを実行しているひと!

– ご自身もコーチングを会社、家庭、それ以外の機会に励行しているひと!

コーチングはあやしいと思っているひと– そう思うようになったエピソード?

– 身近でコーチングしているあやしいひとの存在?

– 自分もコーチングを実行しだすとかえってぎこちなくなったとか?

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あとで、番匠さんからご説明があるかもしれませんが、

Coachとは、語源的には、目的地までひとを運ぶコーチ(馬車のようなもの)です。

これは、キャリアの研究をしている、わたしとっては、非常に興味あることに、Careerの語源ともほぼ同義です。キャリアとは、たった一回限りの自分の人生とオーバーラップするような仕事の世界で、自分を乗せていってくれる乗り物です。CareerはCar, Carrier, Carriage, Coachと同語源だといわれています。飛行機のコーチクラス。

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コーチとキャリアが同語源なら、

よりよいキャリアを長期的に歩む上で、キャリアの比較的早い段階から、コーチングという方法を学び、実際に生かす習慣をつけることは、少なくとも試すに値することではないか。

自分にはあわないと思うひとは、学んだうえで、意志をもって、それは使わないと決めればいい。

使えると思ったひとは、キャリア(長い目で見たときの仕事生活)と同語源なので、まず仕事の場で使い、あわせて、家庭やその他の場面でも使ってみてください。(お子さんのおられる方は、お子さんとの関係で試されるのは非常にいいと思います。たとえば、I-メッセージ)

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MBAにとってのコーチング

あらためて皆さんにとってMBAを取得する意味をいま一度考えてみてください。

分析的知識を得ることが大切であればあるほど、それを生かすために必要なこと

自分が以前より仕事のやり方で熟達するなら、そのことを自分だけにとどめるのではなくて、他のひとに対してもできること

ましてや経営人材をめざすなら、①自らもコーチングにすぐれ、②自分もエグゼティブ・コーチングを受ける意味

ほかに、MBAにとってのコーチング– 皆さんにご質問

– 伊藤さんにご質問

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みんながコーチング学んだら、と心配している部長につける薬

I(アイ)メッセージを例に

部長「君がここまで見事に対応してくれたので、ぼくはとれもうれしい」

若手部下「部長、アイ・メッセージできましたね」

そこで、こりゃ困ったとひるむのではなく、

部長「君も、ぱっとアイ・メッセージと気づくほど、コーチングを学んでいるので、いっそううれしいよ」

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コーチングは、課長クラスが学べばいいと思っている経営者(たとえば、社長)につける薬→ジョンソン&ジョンソン ジャパン社長レベルのエグゼクティブコーチの時代

「あんたにこそ、コーチングがいるんですよ。」

かのジャック・ウェルチにも、マーシャル・ゴールドスミス(1昨年のASTDで見たひと? 伊藤さんは知己おありだ

そうです)、今は帰国されたニュート・クレンショーさんにも、ケン・ジェニングというエグゼクティブ・コーチがいる。

もっと若いときからコーチングの大切さに気づいているひとたちは、担当者レベルからそれを生かせる(たとえば、体育会系で4年のとき、卒業後、コーチを経験しているひと)

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附録

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わたしがこれまで、コーチングにふれたのは、

日付が正確にさかのぼれないが、いすゞさんの組織変革とスコラの柴田さんの役割。プロセス・コンサルタント的。

2000年ごろ、書籍がふえたとき、一読者として、会話例がある点が、リーダーシップの書籍と違って、実際的

日立のアニュアル・イベント 1コマのセッション

平尾さんとの接触 「できなかったことができるようになったときに、わがことのように喜べること、それを示せること」につきる、と。

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わたしがこれまで、コーチングにふれたのは、(つづき)

神戸大学での会合--ビジネス・インサイトのワークショップ『コーチングのコーチング』回覧します。2002年6月15日(土) 榎本英剛さんにお越しいただき、本間さんに執筆依頼

その会合のために、コーチングの書籍をたくさんの原書も含め、むちゃ読みあさったこと(しかし、コーチングは読むだけのものではありません。自戒)

神戸大学MBAのOB諸井さんの主催するコーチングの会合に、平尾さんといっしょに登壇(日付、探せず)http://www.chp.ne.jp/sympo/05/sympo05-01.html(グーグルで、「諸井、金井、平尾、コーチ」で出てきます)

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わたしがこれまで、コーチングにふれたのは、(つづきのつづき)

PHPで藤巻さんお呼びしての会合 2005年7月8日コーチングにようる風土改革の可能性 コーチングと組織開発、組織変革とのつながり 本間さんもご登壇。AI(Appreciative Inquiry)にもこのときにはじめてふれる(コンペティター会合ですみません)

松下のGM研修で、ここ3年、毎年、本間さんに。

日本大学薬学部の会合で、偶然、マーコード先生の翻訳者、清宮さんにお会いして、それ以後、アクション・ラーイング・コーチの育成の会合に、お声かけ。

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わたしがこれまで、コーチングにふれたのは、(つづきのつづきのつづき)

イーライ・リリー・ジャパンで、前社長ニュートン・クレンショーさん、また彼のエグゼクティブ・コーチ、ケン・ジェニングさんと密に接したこと

日本コーチング協会の会合( 2007年9月30日)において基調講演をさせていただいた経験

そのときに、今回、メイン講師でこられる伊藤さん、鈴木さんとじっくり話し合う機会をえたこと

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わたしがこれまで、コーチングにふれたのは、(つづきつづきのつづきのつづき)

そして、このシリーズMBAコーチングの初年度(2008年度後期)より

ひるがえって原点は、今日もお話ししますが、エドガー・H.シャイン教授(MIT)のプロセス・コンサルテーションを学んだこと、スローン・フェローズのクラスのTA

現時点では、オリンピック・メダリストの田中ウルヴェ京さんが神戸大学にこられ、イチローのコーチを父にもつ豊田先生とベルリンに行ったり。

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★クレンショーさんの標語

コーチング・イン・コンテクスト、オンゴーイング・コーチング

電話、あるいは、面談で、「あのときは」というのではなく、ELJの社内で、たとえば、人事担当の

役員の白江さんがプレゼンされたら、その場でオンゴーイングにコーチングする

伊藤さんの書籍でもこの点が強調さています。

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★ケン・ジェニングさんの標語

いいことをみつけたら、Do more of the same

ポール・ワツラウィック(ブリーフ・セラピーや、MRIの説明は別の機会に、もし時間があれば)の標語 わるい循環、偽解決に総合したら、Do more of the sameにならないように介入

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ケン・ジェニングさんの、エグゼクティブ・コーチ、ファシリテータとしての姿: わたしが会ったことのあるエグゼクティブ・コーチ

場所は、淡路ウェスティン カメラはないが対談

自己紹介 「わたしは、ミリタリーのバックグランドで、パイロットです」

パイロットの要請のときのコーチの言葉: 今日もまた怒られるのかと思ったら、”You did it all by yourself; Today I did nothing for you. This is the lesson, you can do it as you did.” 着陸をひとりでやったとき

たくさんの内省、レイアウト 輪、 書いてもらう。うまい。 興味あるひとは、著書あります、The Serving Leader: Five

Powerful Actions that Will Transform Your Team, Your Business, and Your Community by Ken Jennings, John Stahl-Wert, and Ken Blanchard (Paperback - Oct 10, 2004)

Do more of the same ポジティブ心理学のVIA(強み)のエクササイズ 強み、来週、新たな方法で生かしてみる

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ケン・ジェニング いろいろすごいひとだと思って、この方から学ぶこと多かったです

Kenneth R Jennings, Ph.D. is a senior partner at VentureWorks. He delivers engagements to clients in leadership development, strategy, and the management of change. He is a faculty member in the Global Business Partnership at the University of Michigan Business School. Ken is also an advisor to Bethel College in the area of serving leadership and executive leadership development. Ken was previously a partner at Accenture. Prior to Accenture Ken served as a military officer around the world in various leadership roles. He is still active in advising new initiatives in Homeland Defense. His last book, Changing Health Care; Creating Tomorrow‘s Winning Health Enterprise focused on the key strategies used by leading health organizations to transform healthcare. ヘザー、奥さん、CPA。

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精神分析が生まれたとき、ジーグムント・フロイトは

あやしかったでしょう。

カール・ロジャーズが、来談者中心のカウンセリングをはじめて、「あなたとしては、・・・・なのですね」と言っている姿をみて(MBAにロジャーズのカウンセリング風景をクラスで見せるとどうなるか)

ミルトン・エリクソンがブリーフセラピーの元になるようなインターベンションをし始めたとき。「マイクを探そう」「山に登ったら」「以前、太っていたでしょう」と言った日には、そりゃあやしかったでしょう

河合隼雄先生は、わたしのもっとも尊敬する先生のひとりですが、ちょっとあやしいのも魅力のうちでした。

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★第一印象 あやしいが役立ちそう(最近では、マーコード先生のアクション・ラーニングの書籍についての、イオングループの二宮さんのコメント)

普及の仕方、いろんな流派、コーチのコーチ、コーチのコーチのコーチの連鎖 そのよさとあやしさ

でも、すぐに気づいたことは、興味ある動き、深いもの、心にかかわる仕事は、すべてどこかであやしいぐらいのものが伸びてきた

肝心の精神分析も、ユング心理学も。たとえば、シンクロニシティ(でも、ウォルフガング・パウリ、デイビッド・ボームをうならせた)

他方で、コーチングの学問的基礎についての議論って、いらないようで、やっぱりあったほうがいいように思う。でも、組織学会、産業組織心理学会、経営行動科学学会で、コーチングの研究や報告は聞かない。そういうギャップもこれから埋めていきたい。

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組織行動の専門家として、金井がいちばん興味をもっているのは、

心理学のなかのポジティブ心理学の動きが、経営学の組織行動論に影響し、ミシガン大学、根グラスカ代大学、神戸大学(人勢塾)で、ポジティブ組織行動の動きがあり、この流れのなかで、コーチングにも科学的基礎を求める動き。

Positive Psychology Coaching: Putting the Science of Happiness to Work for Your Clients (2007) by Robert Biswas-Diener &Ben Dean

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MBAとはなにを意味するか

日本人が米国のビジネススクールにいく理由にかけて、『ビジネスウィーク』で、MBA=Mastering Being in America

日本組織学会と韓国組織学会の交流で、ソウル大学の先生が、MBA=Married But Available

(これらは最悪ジョーク、ふたつですが)ほんとうは、MBA=Master of Business Administrationですから、経営学(と実践)に熟達したひと

プラス 神戸方式 By-the-Job-Learning(加護野)

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MBA組織行動論だけでは足らないと考えたスクールの動き 最初、むちゃ悲しんだ金井 ほんとうに役立つ組織行動、経営者になっても必要な組織行動に脱皮するために

米国では、通常の組織行動論に加えて、ハーバードでは「パワーと影響力」(ジョン・P.コッター)、MITでは「パワーと交渉力」(ロバート・マッカーシー)

わが国では、ミクロ組織論とも言われる組織行動論を、マクロ組織論と経営戦略論に近づけた一橋大学の沼上さんの試み(『組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために』 ちくま新書、2003年)

『組織構造の考え方』ちくま新書)

HBSの卒業生調査

しかし、通常の組織行動にプラス、コーチングの科目がMBAにあるというケースは稀(皆さんがご存知ならお教えください)

皆さんにもコーチエィさんにも、新たな一歩に

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フレデリック・テイラーが科学的管理法を精神革命だともいったとき

組織開発でもあった科学的管理法

テイラーが科学的管理法を手ほどきするということは、クライアント組織にとって、コーチ的側面(ただし、content expert、後述します)

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人間関係論のときのF.J.レスリスバーガー

カウンセリング心理学者(フリッツ・J.レスリスバーガー)や人類学者(ロイド・ワーナー)を、エルトン・メイヨー(精神分析)が、HBSに雇い入れたとき

ホーソン実験での面接計画 N= 21,126人 驚くべき数字だと、わたしは思う

監督者訓練

監督者の労働者に対する接し方を、(今風にいうと)少しはコーチ風にする試み

カール・ロージャズの来談者中心療法と、レスリスバーガーの非指示的面接は、同時発見。ふたりで書いたHBR(ハーバードビジネスレビュー)論文がある

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補足 ホーソン実験の面接プログラム1928年9月~

面接プラン (従業員4万人の会社で)– 事前に計画を説明

– 面識のない同性の面接者

– 守秘義務

– 威圧的でなく自発的に意見が述べられる機会

43名が面接の訓練を受け、30名が面接に従事、1928年から30年の間に、21,126人

面接方法 非指示的面接--事実+態度

面接の経験それ自体が、監督者には訓練となった

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人間に注目したのはいいが人間関係論では、依存的な人間モデルになると

ダグラス・マクレガー(MIT)、クリス・アージリス(後にHBS)が言い始めたとき

K.レヴィンの影響もあり、マクレガーが、NTLに寄与して、その場に若き日のエドガー・シャインとウォレン・ベニスを連れて行ったころ、

組織開発(OD、Organization Development)が本格化。

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ノーベル賞学者のハーバート・サイモンのおかげで、意思決定が経営学の中心概念となり、

コンピュータの進歩もあって、経営情報システムやコンピューターベースの意思決定支援システムが、経営者、管理者のために生まれましたが、

意思決定やその実行を支援するコーチは誕生しませんでした。

本間正人さんと彼のコーチとのやりとり。コーチ「あの本、進んでいますか?」本間「それが・・・」コーチ「○○頁書くと言っていたのに、使えるリソースあるの」本間「助けてくれるひと探します」コーチ「君が、助っ人をみつけたとどうやったら、わたしは知ることができるの?」本間「見つかったら、知らせます」 (正確な際限ではありません)

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会話例: リーダーシップ研究には脱落

リーダーシップの研究は、5000件以上もあり、実践的な示唆をめざしている研究もあるのに、会話例がありません。

他方で、よかったリーダーについて、また、自分を育ててくれたひとについて、回想してもらうと、具体的な会話の例が出てきます。たとえば、「任せて任せず」(松下幸之助)さんにかかわるような上司の科白で、「君としては、いったいどうしたいのだ」となんでも指示を仰ぐひとにはそういってくれるひとの存在、そういう発言内容には、かなり一致がある。しかし、会話例が、エスノメソドロジーの研究者以外には、科学的という文献にはあがってこない。

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組織文化論の時代

マネジャーの役割の問い直しがあった。語り部としてのマネジャー、教師役としてのマネジャー以外に、目立ったものとして、

『エクサレント・カンパニー』のトム・リーダー(とロバート・ウォーターマン)によるものだが、これからのマネジャーは、コーチであり、チア・リーダーであるべきだと

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ひるがえって、D.マクレガーは、約50年前に

『企業の人間的側面』(1960)で、人事部や、人事の役割を担うライン・マネジャーも、「コーチの役割と、同時に審判の役割」もしていることに注意しないといけないと述べた。

スポーツのたとえで、人事部もマネジャーも、一方でひとを導き育て、できれば自発的にひとが育つようにコーチ役となりつつ、他方で、評価したり「アウト!」とかいう審判の役割もしている

ちなみに、高橋達男さんの訳では、コーチと判事(裁判官) ひどい誤訳。

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★E.H.シャイン--PCに影響を与えた流れ

洗脳(強制的説得)をめぐる臨床的インタビュー インタビューの方法。

D.マクレガーを介して、NTLに参画

キャリアの研究につながる調査のスタート。1960年代はじめから、10年。

DEC社の草創期から20年(プラス5年)のプロセス・コンサルテーション(PC)経験

W.ベニスとともに、組織開発双書のシリーズをスタート。プロセス・コンサルテーションの薄い冊子。

結果において、もとの薄い本、二冊本、それから、Revisited。この4冊とクリニカルアプローチの本。DECの本など。

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そして、わたしが恩師のエドガー・H.シャインから学んだのは

より理論ほど実践的である。ひとからなるシステムを理解する最良の方法はそれを変えてみることだ。こういうK.レヴィンの教え。

組織開発のなかでのプロセス・コンサルテーション(PC)の結晶した、シャイン流のコーチング法

スローン・フェローズというMITのEMBAプログラムで、PCを取り上げたときの受講生の言葉。これは、コンサルタントだけでなく、ジェネラル・マネジャーになるひと(三品先生!!)にこそ必要だ。

DECのケン・オルセン(CEO)のプロセス・コンサルタント。今思えば、エグゼクティブ・コーチの走り。

その新著が、2月10日ごろに出ます(米国で)。その名もHelping。 そこで、最後の時間帯は、PCについて。

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★シャイン先生が、わたしたちに接するとき

文字通り、What can I do for you? こちらがなにを望み、なにに困っているか知るまでは、こ

れ読め、あれしろ、とは言わない。ずっと聞いている。 (挿話)OBの講義で、カール・ロジャーズの姿を見せたと

きの、MBA院生の反応

わたしが最初に、シャインのドクトラル・セミナーに出たときの感想。あらかじめ、ストラクチャーがない。詳細なシラバス(事業計画も)

(挿話)きみたちがなにが知りたいかわたしに言うまでは教えられるわけないだろう。そう言った。A.バブラス

それから、わたしたちのシラバスは見なくていいと言ったD.マクレガー。NTLのTグループのトレーナー。

シャイン先生のわたしたちへの接し方、結果においてもっともヘルプフル。

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★ヘルピングの3様式(3モデル)

医者-患者モデル

専門知識の買い取りモデル

プロセス促進モデル

上記ふたつは、内容の専門家(content expert)、3番目が、PCにつながる過程の促進者(process facilitator)

新著を、参考書に指定させてもらいました。

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★組織行動の研究者として、組織についてもっとも良質なデータが集まり、深いレベルでその組織を理解できる方法は、

Helpするという形で、組織に入り、

プロセス・コンサルテーションで接し、

必要なときには、介入(インターベンション)をするところから、アクション・リサーチとなり、

結果において、ダイナミックで、もっともディープでクリーンなデータが得られる

2009年2月6日追加の一行、 そして、とうとうHelpingという書籍が出た

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プロセスコンサルテーションの10原則

Helpingの翻訳の解説につけています

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★そんなプロセス・コンサルテーションのコーチング原則(PC10原則)

クライアント組織が困っていて支援を求める問題について、コンサルタントが、内容面で(たとえば、経営戦略なら、よき戦略の内容について)先方に解答を、あたかもドクターのように提供するのでも、また、専門知識を専門家として切り売りするのでもなく、クライアント組織の内部者が、自ら問題によい取り組みをして、彼ら自身が解決を見出すように、それを探すプロセスを設計し支援するのが、プロセス・コンサルタント。コンテント・エクスパートと対比され、ときにプロセス・ファシリテータと呼ばれることもある。

ずっと、組織開発の手法として提唱されてきたが、先生と生徒、親と子、先輩と後輩など、あらゆる支援的関係において成り立つ原理原則が1999年の書籍で初めて公開された。

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★そんなプロセス・コンサルテーションのコーチング原則 つづき(その2)

(1)絶えずひとの役に立とうと心がける(Always try to be helpful)。

(2)「今の自分が直面する現実からけっして遊離しないようにする(Always stay in touch with the current reality)。

(3)自分の無知を実感する(Access your ignorance)。

(4)あなたがどんなことをおこなってもそれは介入、ゆさぶりになる(Everything you do is intervention)。

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★そんなプロセス・コンサルテーションのコーチング原則 (つづき、その3)

(5)問題を自分の問題として当事者意識を持って受け止め、解決も自分なりの解決として編み出していくのは、あくまでもクライアントだ(It is the client who owns the problem and solution)。

(6)流れに沿って進む(Go with the flow)。

(7)タイミングがすごく大事(Timing is crucial)。

(8)介入で対立が生じたときには、積極的に解決の機会を捉えよ(Be constructively opportunistic with confrontive interventions)。

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★そんなプロセス・コンサルテーションのコーチング原則 (つづき、その4)

(9)なにもかもがデータだと心得よ。誤謬はいつも起こるし、誤謬は学習の重要な源泉だ(Everything is data; Errors will always occur and are the prime source for learning)。

(10)疑問が生じたら、問題を共有しよう(When in doubt, share the problem)。

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★PCにかかわる4冊目の本、1999年のは、故稲葉先生と尾川さんの訳で、今は日本語で読めます

E.H.シャイン著『プロセス・コンサルテー

ション--援助関係を築くこと』白桃書房、稲葉元吉・尾川丈一訳、2002年)。

Helpingの訳書、今回の課題図書

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日本コーチ協会でお話したときの結びの2枚のスライドのうちの一枚

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★これらの問題を考えるときの協会の役割、会員の皆さんにとっての協会の使い方

例年の参加者のデータ

約400名の参加者

うち、コーチングを学習している人が約8割

会社役員や管理職など約2割

専業コーチ、教員、医師などの専門職が約2割(お医者さんが、こられるというのも興味深い。神戸大学のMBA)

ゴチック、2009年2月6日のスライドに追加