Market Timing With Implied Volatility Indices ·...

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RESEARCH | Strategy 執筆者 Applied Academics マネージングディレクター ヨシ キ・オオバヤシ, PhD yoshiki.obayashi @appliedacademics.com Swiss Finance Institute & CEPR 金融学教授 アントニオ・メーレ, PhD [email protected] Applied Academics リサーチ担当 シティジ・ ディングラ kshitij.dhingra @appliedacademics.com Applied Academics ヤシ・ガジワ ラ氏のリサーチ分野におけるサポ ートに感謝いたします。 インプライドボラティリティー指数を 用いたマーケットタイミング戦略 本論文の主旨 この論文では、インプライドボラティリティー指数を用いた予測精度の高いマ ーケットタイミング投資シグナルの抽出方法を、直観的に理解可能なフレー ムワークを用いて提示します。特に、実現ボラティリティーが高いタイミングで 良く観測されるドローダウンイベントに予測目的を絞ることとします。この単純 なレジームに基づいたアプローチは、オプションのインプライドボラティリティ ー指数が将来の実現ボラティリティーを予測する(つまりはドローダウンを予 測する)能力を、ある程度備えているという仮説に依存しています。本論文で は、この仮説を肯定する実証結果を明示し、マーケットタイミング戦略への投 資シグナルの活用方法を論じます。 要旨 ドローダウンが発生するタイミングは、実現ボラティリティーが高い期 間と合致する場合が多い インプライドボラティリティー指数は将来の実現ボラティリティーを予 測するのに有効である 単純なボラティリティーのレジームフレームワークを用いて、信頼性 の高いマーケットタイミング投資シグナルを抽出できる可能性がある VIX ® 体系総観 1993 年に、CBOE Volatility Index ® (VIX)は初のインプライドボラティリティー指数 として導入されました。この指数は導入以降、市場のボラティリティーを計る 指数として最も広く参照されており、市場参加者の動静を判断する「恐怖指 数」としても知られています。近年、VIX 先物や VIX オプションの取引は非常に 盛んとなってきており、それに伴って VIX 指数を参照する市場取引商品や組 成商品、OTC 取引などの認知度もかなり高まってきました。 この VIX 指数導入の成功は、インプライドボラティリティー指数の裾野を広げ ることを後押しし、その結果多様な資産クラスや市場を基にした指数が組成 されました。 1. CBOE Volatility Index (VIX) 2. CBOE Interest Rate Swap Volatility Index (SRVIX) 3. CBOE/CBOT 10-Year Treasury Note Volatility Index (TYVIX) 4. S&P/JPX JGB VIX (SPJGBV) 5. CBOE Crude Oil ETF Volatility Index (OVX)

Transcript of Market Timing With Implied Volatility Indices ·...

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RESEARCH | Strategy

執筆者

Applied Academics

マネージングディレクター ヨシ

キ・オオバヤシ, PhD

yoshiki.obayashi

@appliedacademics.com

Swiss Finance Institute & CEPR

金融学教授

アントニオ・メーレ, PhD [email protected]

Applied Academics

リサーチ担当

シティジ・ ディングラ

kshitij.dhingra

@appliedacademics.com

Applied Academics ヤシ・ガジワ

ラ氏のリサーチ分野におけるサポ

ートに感謝いたします。

インプライドボラティリティー指数を

用いたマーケットタイミング戦略

本論文の主旨

この論文では、インプライドボラティリティー指数を用いた予測精度の高いマ

ーケットタイミング投資シグナルの抽出方法を、直観的に理解可能なフレー

ムワークを用いて提示します。特に、実現ボラティリティーが高いタイミングで

良く観測されるドローダウンイベントに予測目的を絞ることとします。この単純

なレジームに基づいたアプローチは、オプションのインプライドボラティリティ

ー指数が将来の実現ボラティリティーを予測する(つまりはドローダウンを予

測する)能力を、ある程度備えているという仮説に依存しています。本論文で

は、この仮説を肯定する実証結果を明示し、マーケットタイミング戦略への投

資シグナルの活用方法を論じます。

要旨

ドローダウンが発生するタイミングは、実現ボラティリティーが高い期

間と合致する場合が多い

インプライドボラティリティー指数は将来の実現ボラティリティーを予

測するのに有効である

単純なボラティリティーのレジームフレームワークを用いて、信頼性

の高いマーケットタイミング投資シグナルを抽出できる可能性がある

VIX®体系総観

1993年に、CBOE Volatility Index® (VIX)は初のインプライドボラティリティー指数

として導入されました。この指数は導入以降、市場のボラティリティーを計る

指数として最も広く参照されており、市場参加者の動静を判断する「恐怖指

数」としても知られています。近年、VIX先物や VIXオプションの取引は非常に

盛んとなってきており、それに伴って VIX指数を参照する市場取引商品や組

成商品、OTC取引などの認知度もかなり高まってきました。

この VIX指数導入の成功は、インプライドボラティリティー指数の裾野を広げ

ることを後押しし、その結果多様な資産クラスや市場を基にした指数が組成

されました。

1. CBOE Volatility Index (VIX)

2. CBOE Interest Rate Swap Volatility Index (SRVIX)

3. CBOE/CBOT 10-Year Treasury Note Volatility Index (TYVIX)

4. S&P/JPX JGB VIX (SPJGBV)

5. CBOE Crude Oil ETF Volatility Index (OVX)

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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6. CBOE Gold ETF Volatility Index (GVZ)

7. CBOE/CME FX Euro Volatility Index (EUVIX)

8. CBOE/CME FX Yen Volatility Index (JYVIX)

9. CBOE/CME FX British Pound Volatility Index (BPVIX)

ボラティリティーの急騰とドローダウン

本実証論文は、様々な市場におけるダウンサイド予測にインプライドボラティ

リティー指数を活用する、その有効性に着目しました。ボラティリティーが投

資リターンの方向(正負)に直接相関するように数学的な条件付けは出来ま

せんが、過去のデータはボラティリティー上昇時に損失が確実に発生してい

るということを示しています。図 1及び図 2で示した月次リターン対 21日間実

現ボラティリティーの散布図からは、この負の相関関係が明確にみてとれま

す。この理由については興味深い様々な議論がありますが、本論文内でこの

点について考察はせずに既知として実証に用いることとします。

図 1: S&P 500® 月次リターン対 21日間実現ボラティリティー

出所: Bloomberg(2017年 7月 11日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

図 2: USDJPY 月次リターン対 21日間実現ボラティリティー

出所: Bloomberg(2017年 7月 11日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

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リターン

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21日間実現ボラティリティー (%)

ボラティリティーが投資リ

ターンの方向(正負)に直

接相関するように数学的

な条件付けは出来ませ

んが、過去のデータはボ

ラティリティー上昇時に損

失が確実に発生している

ということを示していま

す。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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時系列でみると、ボラティリティーとリターンとの間の新たな関係性が、ボラテ

ィリティー高騰時のドローダウンという形で明確に見えてきます。このボラティ

リティー高騰時に損失が頻発する事態は、市場参加者にとっては特に厳しい

状況です。図 3と図 4は、S&P 500指数と米国 10年債先物価格ドローダウン

の最も大きい時点が、高ボラティリティー時と重なっていることを示しています。

この事実は、近年取り沙汰されているファクター投資の基本コンセプトにもつ

ながるものです。特定ファクターに対するエクスポージャーをとった場合の長

期プレミアムは、市場参加者が最も痛みを感じる「悪い時期」のアンダーパフ

ォーマンスに対する代償であると通常言われています。市場参加者の需要

が最も高くなる時に採算が取れるので、ボラティリティーをロングすることはコ

ストがかかるのです。

図 3: 高実現ボラティリティー期間のドローダウン(S&P 500)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

図 4: 高実現ボラティリティー期間のドローダウン(米国 10年債先物)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

ドローダウンが実現ボラティリティーの高い期間と合致するということは、実現

ボラティリティーの急騰を予測することが可能であればドローダウンを見越す

ことも可能となることを意味しています。おそらく、最も洗練されたボラティリテ

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米国

10年債先物価格

High Realized Volatility 10-Year U.S. Treasury Note Futures

時系列でみると、ボラティ

リティーとリターンとの間

の新たな関係性が、ボラ

ティリティー高騰時のドロ

ーダウンという形で明確

に見えてきます。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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ィー予測手法は、オプション価格の主要決定要素であるボラティリティーの予

測精度如何でトレーディングが左右されるオプション市場で確認することがで

きるでしょう。通常、オプション価格から算出モデルを用いて計算された将来

の予想ボラティリティー値である、インプライドボラティリティーがオプションの

呼び値には含まれています。理論上、オプションのインプライドボラティリティ

ーは、ある一定の日付から満期日までの期間の原資産変動率の集計値であ

ると言うことができるため、予想値として有効であるはずです。しかし、実際に

は、たとえ原資産と満期までの時間が同一であったとしても、ブラックショー

ルズのような標準化モデルを用いた場合には権利行使価格が異なるオプシ

ョンからは、異なるインプライドボラティリティーが算出されるため(一般的に

「スマイルカーブ」と言われています)、無意味なものと言えます。

VIX指数群のインプライドボラティリティーは、すべての権利行使価格のオプ

ションの将来ボラティリティー情報を数学的手法によって算出し、それらから

モデルに依存しない「クリーンな」インプライドボラティリティーを抽出すること

によって、上述の固有な不整合性を解決しています。ここでは技術的詳細を

論じませんが、クリーンなインプライドボラティリティーは、実現ボラティリティ

ースワップの適正権利行使価格*(つまりボラティリティーの市場清算価格)と

言い換えることが可能です。このように、オプショントレーダーは精度の高い

ボラティリティー予測を行うことが可能であり、それを反映する VIX指数は予

測シグナルとして有効である、という仮定に本論文は準拠します。

時系列でみたボラティリティー

予測の問題点をより明確にするためには、予測の目的を明解にする必要が

あります。株式や債券のような伝統的な資産は、配当や利息の払い出しや経

済成長とともに時価総額が増加することによって、長期的には価格上昇方向

に推移することが分かっています。一方で、ボラティリティーは、市場が落ち

着いている場合には通常低く抑えられ、市場に影響のある様々なショックイ

ベントがある時に急騰をみせます。通常、ボラティリティーの上昇は低下時よ

り急激であり、これはボラティリティーが一旦急上昇すると、しばらくその圏内

にとどまることを示しています。時系列からみたこれら 2つのボラティリティー

の特徴のみが当論文の考察に根本的な影響を与えるものであるとみなし、

頻度が高く幅が小さい変動についてはノイズとみなします。

通常、オプション価格か

ら算出モデルを用いて計

算された将来の予想ボラ

ティリティー値である、イ

ンプライドボラティリティ

ーがオプションの呼び値

には含まれています。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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図 5: VIX指数推移(仮の固定しきい値を設定)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

図 6: TYVIX指数推移(仮の固定しきい値を設定)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

図 5と図 6を俯瞰すると、予測に用いる指標はボラティリティの急騰を何らか

の指標で表したもの、もしくは、より一般化して高いボラティリティー値が適切

であることがわかるでしょう。しかしながら、上図の簡単な目視でもわかるよう

に、指数の絶対値に対して固定されたカットオフレベルを設けたとしても、上

下変動幅が様々であるために、どれがターゲット指標となる急騰なのかを時

系列を通じて判断することは困難です。市場参加者が急騰と認識する動きは、

その状況と変動レベルに依存すると言えます。つまり、急騰の定義はその時

点に至るまでの市場環境を反映したものでなくてはなりません。市場が大混

乱しているなかでは些細な上昇と思われた動きも、平穏な環境下では大きな

インパクトを持つものと捉えられます。さらに、急激な上昇の下では予測に割

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指数の絶対値に対して固

定されたカットオフレベル

を設けたとしても、上下変

動幅が様々であるため

に、どれがターゲット指標

となる急騰なのかを時系

列を通じて判断すること

は困難です。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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ける時間は限られています。このように、有効なシグナルとは急変を確実にと

らえ、些細な変動ノイズに左右されないものでなくてはなりません。

ボラティリティーレジームとは

上述した条件を満たす直観的かつシンプルなアプローチとしては、高ボラティ

リティーレジームと低ボラティリティーレジームを設定する方法が挙げられま

す。このレジームは 2つのローリング分位が上昇交差か下落交差する点で

決定させるものです。我々のクリーンなインプライドボラティリティー仮説が正

しければ、高実現ボラティリティーレジームを高インプライドボラティリティーレ

ジームによって予測することが可能となります。言い換えれば、このバイナリ

ーレジームの構築は、予測対象と予測シグナルそのものの把握の両方を可

能とします。

図 8と図 10で灰色に斜がかかっている部分は、S&P 500指数と米国 10年債

先物それぞれの、6か月ローリング 10%分位と同 90%分位を基にした高実現

ボラティリティーレジームを示しています。図 7および図 9は VIXと TYVIXに

基づいた同様のレジームを表しています。このように定義された高レジーム

は通常、一般的な市場参加者が、ボラティリティーが急上昇したと捉えたタイ

ミングと一致しています。他の要因をパラメーターとしてこのフレームワークに

加えることにより、すべての上昇とすべてのドローダウンをバックテストによっ

て捉えようとすることはあまり意味の無いことと言えるでしょう。多少の把握漏

れが実証結果に与える影響は、単純化した考察がもたらすメリットと比較して

も些細なものと思われるからです。

図 7: VIX指数の推移(レジーム範囲とローリング分位を明示)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

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VIX

レベル

High VIX Regime VIX 90% Rolling Quantile 10% Rolling Quantile

上述した条件を満たす直

観的かつシンプルなアプロ

ーチとしては、高ボラティリ

ティーレジームと低ボラテ

ィリティーレジームを設定

する方法が挙げられます。

このレジームは 2つのロ

ーリング分位が上昇交差

か下落交差する点で決定

させるものです。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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図 8: S&P 500 実現ボラティリティーの推移(レジーム範囲とローリング分位を明示)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

10%と 90%の 2つの分位値間の距離があることにより、高いレジームとそれ

以外のレジーム間を一方から他方へ突発的に推移しすぎることが軽減すると

ともに、急騰を判断するしきい値の把握が可能となっています。さらに、2つ

の分位値にどの程度直近のリターンが反映されているかはローリングの間

隔に依存します。分位値やローリングのパラメーターは、合理的に高低レジ

ームに分離する基本となるため、実現ボラティリティーとインプライドボラティ

リティーについて固有に設定するべきです。これには、ボラティリティーのリー

ド・ラグ(先行・遅行)オーバーフィット回避の助けとなります。注意点としては、

予測対象資産が多岐にわたる場合、または数種類のボラティリティー指数を

用いてレジームを決定する場合に、異なるパラメーター値を用いることが適

正とみなされる場合があることが挙げられます。これについては、後述「活用

手法」にて言及します。

図 9: TYVIX指数推移(レジーム範囲とローリング分位を明示)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

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200

6/6

/27

200

6/1

2/2

7

200

7/6

/27

200

7/1

2/2

7

200

8/6

/27

200

8/1

2/2

7

200

9/6

/27

200

9/1

2/2

7

201

0/6

/27

201

0/1

2/2

7

201

1/6

/27

201

1/1

2/2

7

201

2/6

/27

201

2/1

2/2

7

201

3/6

/27

201

3/1

2/2

7

201

4/6

/27

201

4/1

2/2

7

201

5/6

/27

201

5/1

2/2

7

201

6/6

/27

201

6/1

2/2

7

201

7/6

/27

S&

P 5

00 実現ボラティリティーレベル

High Realized Volatility Regime S&P 500 Realized Volatility90% Rolling Quantile 10% Rolling Quantile

0

2

4

6

8

10

12

14

16

200

3/6

/27

200

3/1

2/2

7

200

4/6

/27

200

4/1

2/2

7

200

5/6

/27

200

5/1

2/2

7

200

6/6

/27

200

6/1

2/2

7

200

7/6

/27

200

7/1

2/2

7

200

8/6

/27

200

8/1

2/2

7

200

9/6

/27

200

9/1

2/2

7

201

0/6

/27

201

0/1

2/2

7

201

1/6

/27

201

1/1

2/2

7

201

2/6

/27

201

2/1

2/2

7

201

3/6

/27

201

3/1

2/2

7

201

4/6

/27

201

4/1

2/2

7

201

5/6

/27

201

5/1

2/2

7

201

6/6

/27

201

6/1

2/2

7

201

7/6

/27

TY

VIX

レベル

High TYVIX Regime TYVIX 90% Rolling Quantile 10% Rolling Quantile

10%と 90%の 2つの分位

値間の距離があることに

より、高いレジームとそれ

以外のレジーム間を一方

から他方へ突発的に推

移しすぎることが軽減す

るとともに、急騰を判断す

るしきい値の把握が可能

となっています。さらに、

2つの分位値にどの程度

直近のリターンが反映さ

れているかはローリング

の間隔に依存します。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

RESEARCH | Strategy

8

図 10: 米国 10年債実現ボラティリティーの推移(レジーム範囲とローリング分位を明

示)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

我々が提示する簡易的なボラティリティーレジームフレームワークのメリット

は技術的な点にとどまりません。このフレームワークが以下 3点の特徴を備

えていることにより、統制が困難である要因が実証に与える影響をかなり抑

えることを可能としています: ①ボラティリティー全範囲を 2種類のカテゴリ

ーに整理していること ②3つのパラメーターのみでレジームを決定している

こと ③予測目的とシグナルを経済的観点から明確に定義していること。 こ

れらの特徴を以ってしてもオーバーフィットの可能性(どのような予測モデル

にも存在する潜在リスクですが)を排除は出来ませんが、特により多くのパラ

メーターを用いた原則定義の弱いボラティリティー戦略と比較すると、かなり

のオーバーフィットリスクを軽減していることは事実と言えます。

2つの考察内容に基づいた実証分析

高ボラティリティーレジームとドローダウンの関係について、上述のように図

示的に一般化するにあたり、VIX指数群に含まれる 8つのインプライドボラテ

ィリティー指数と 15種類の主要商品に対象を拡大して、対象指数・商品間の

関係性を考察しました。具体的には、これらの対象指数・商品それぞれにつ

いて最もドローダウンが大きかった 10 期間のピーク日と底を打った日を調べ、

その期間内の高レジームに適合する日の累積リターンから、低レジームに適

合する日の累積リターンを差し引いた値を算出しました。高実現ボラティリテ

ィーレジームに大きなドローダウンが生じるという仮説が正しいのであれば、

この算出値が負の値になるはずです。この考察方法には、該当レジーム以

外で発生したドローダウンについては反映されていませんが、後述の「活用

手法」内にて非明示的に言及します。計算結果を図 13に示します。

図 11は、2010年 11月 4日から 2011年 2月 8日までの期間にみられた米国

10年債先物のドローダウンについて分析したものです。ピーク日から底値日

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

199

0/7

/16

199

1/7

/16

199

2/7

/16

199

3/7

/16

199

4/7

/16

199

5/7

/16

199

6/7

/16

199

7/7

/16

199

8/7

/16

199

9/7

/16

200

0/7

/16

200

1/7

/16

200

2/7

/16

200

3/7

/16

200

4/7

/16

200

5/7

/16

200

6/7

/16

200

7/7

/16

200

8/7

/16

200

9/7

/16

201

0/7

/16

201

1/7

/16

201

2/7

/16

201

3/7

/16

201

4/7

/16

201

5/7

/16

201

6/7

/16

201

7/7

/16

米国

10年債先物実現ボラティリティーレベル

High Realized Volatility RegimeU.S. 10-Year Treasury Note Realized Volatility90% Rolling Quantile10% Rolling Quantile

このフレームワークが:

①ボラティリティー全範囲

を 2種類のカテゴリーに

整理していること ②3つ

のパラメーターのみでレ

ジームを決定しているこ

と ③予測目的とシグナ

ルを経済的観点から明

確に定義していること、

の特徴を備えていること

位より、統制が困難であ

る要因が実証に与える影

響をかなり抑えることを

可能としています。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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9

までの 68日間のうち、55日は高実現ボラティリティーレジームに該当し、高

低レジーム該当リターンの差は-4.8%でした。この場合、高インプライドボラテ

ィリティーレジームは高実現ボラティリティーより 1週間ほど先だって観測され

ました。

図 11: 米国 10年債実現ボラティリティーとドローダウン

出所: Bloomberg(2010年 11月 4日~2012年 2月 8日)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するも

のではありません。当図表は参照目的で示しています。

図 12: 米国 10年債実現ボラティリティーとドローダウン

データポイント インプライドボラティリティー 実現ボラティリティー

低レジーム日 2010年 11月 4日~

2010年 11月 12日

2010年 11月 4日~

2010年 11月 23日

低レジーム該当日数 6 13

低レジーム累積リターン(%) -0.77 -1.19

高レジーム日 2010年 11月 15日~

2011年 2月 8日

2010年 11月 24日~

2011年 2月 8日

高レジーム該当日数 62 55

高レジーム累積リターン(%) -6.4 -6.0

高低レジーム累積リターン差(%)

-5.67 -4.84

出所: Bloomberg(2010年 11月 4日~2012年 2月 8日)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するも

のではありません。当図表は参照目的で示しています。

ピーク日から底値日まで

の 68日間のうち、55日

は高実現ボラティリティー

レジームに該当し、高低

レジーム該当リターンの

差は-4.8%でした。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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10

図 13: ドローダウン時の高レジームと低レジームの累積リターンの差

比較対象 差異 (%)

VIX TYVIX OVX GVZ EUVIX JYVIX BPVIX JGB VIX

S&P 500 -28.50 -46.10 -83.00 -44.70 -64.40 -26.50 -86.30 -28.00

Euro Stoxx 50 -42.80 -29.00 -67.50 -54.00 -63.00 -12.20 -35.60 -4.50

Nikkei 225 -40.90 -36.00 -71.60 -11.10 -62.70 7.70 -114.00 -45.40

10-Year U.S. Treasury Note

-25.90 -20.70 -17.50 -23.60 -13.70 -29.70 -9.90 -10.30

United States Oil Fund

36.20 -55.30 -124.10 -129.40 -99.70 -0.70 -24.90 -168.90

SPDR Gold Shares Fund

6.60 -44.20 -14.70 -34.40 39.30 -39.80 70.20 -55.30

Euro Spot 9.90 7.00 -3.80 -58.80 -40.00 -43.20 1.20 -33.80

Japanese Yen

Spot -26.70 -6.10 -22.00 -0.70 -12.20 9.00 -30.10 -15.00

British Pound Spot -18.60 -5.40 -17.90 -36.50 -43.70 -82.10 -30.20 -38.20

Japanese 10-Year Bond Futures

-1.40 -4.30 -6.20 -5.90 -5.90 -6.50 4.30 -10.40

iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF

-38.60 -19.50 -43.70 -35.70 -47.00 -9.90 -48.80 -10.30

iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF

-8.30 -12.00 -18.20 -17.10 -11.90 -12.90 -17.90 -15.20

iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF

-37.70 -13.60 -56.50 -50.40 -60.50 -24.80 -40.60 -41.60

iShares 7-10 Year Treasury Bond

4.60 -2.50 -10.80 -11.70 -5.80 8.90 -4.70 -2.80

JPMorgan Equity

Income Fund -3.00 -5.90 -5.60 -3.60 -6.10 -7.60 -6.60 -10.00

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

全比較指数・商品ペア 120種類のうち、107のペアは負の値となり、これらの

ペアについて我々の仮説が正しいことが証明されました。一方で、正の計算

結果となった 13ペアについては、5つは金と米国債を含んでおり、これらの

資産が市場混乱時の逃避資産であることがこのような計算結果をもたらした

理由として背景にあると考えられます。もう一点注目すべきは、実現ボラティ

リティーが異なる資産クラス間のドローダウンに関連しているということです。

この考察結果に経済的理由付けを行うことにより、ドローダウン回避戦略の

みならずアセットロテーション戦略にも活用できる可能性があります。この側

面については、後に事例を用いて言及します。

もう一つ、当該実証分析にて論理的に一般化を試みた点としては、インプライ

ドボラティリティーレジームと実現ボラティリティーレジーム間のリード・ラグ

(先行・遅行)関係が挙げられます。このリード・ラグ効果を検証するため、ま

ず、実現ボラティリティーレジームとインプライドボラティリティーレジームの相

互相関関数(CCF)を用いて分析し、続いてグレンジャー因果性テストを実施

しました。

CCFを構築するために、インプライドボラティリティーと実現ボラティリティーの

各々に関する高低双方のレジームに 1と 0を付番し、レジームの変化を-1(高

から低へ)、0(変化なし)、1(低から高へ)という数値で把握できるようにしまし

実現ボラティリティーは、

異なる資産クラス間のド

ローダウンに関連してお

り、この考察結果に経済

的理由付けを行うこと

で、ドローダウン回避戦

略のみならずアセットロ

テーション戦略にも活用

できる可能性がありま

す。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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11

た。そのうえで、様々なラグのタイミングでの相互相関を検証しました。図 14

と 15は、S&P 500と米国 10年債のインプライドボラティリティーと実現ボラティ

リティーの CCF結果をプロットしたものです。負のラグは、現時点の実現ボラ

ティリティーと過去のインプライドボラティリティー間に相関があることを示して

います。

図 14: S&P 500 CCF プロット図

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

図 15: 米国 10年債 CCF プロット図

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

これらの CCFプロット図は、S&P 500-VIX ペア間及び米国 10年債-TYVIXペア

間に関して、インプライドボラティリティーレジームが実現ボラティリティーレジ

ームに先行するというリード・ラグ効果が統計的に有意であることを示してい

ます。8つの VIX指数とそれら個々の実現ボラティリティーについてグレンジ

-0.04

-0.02

0

0.02

0.04

0.06

0.08

-10 -5 0 5 10

相互相関

ラグ

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

-10 -5 0 5 10

相互相関

ラグ

CCFを構築するために、

インプライドボラティリティ

ーと実現ボラティリティー

の各々に関する高低双

方のレジームに 1と 0を

付番し、レジームの変化

を-1(高から低へ)、0(変

化なし)、1(低から高へ)

という数値で把握できる

ようにしました。そのうえ

で、様々なラグのタイミン

グでの相互相関を検証し

ました。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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12

ャー因果性テストを実施し、リード・ラグ効果がもつ予測能力の総括を試みま

した。図 16は、インプライドボラティリティーレジームは実現ボラティリティーレ

ジームに対してグレンジャー因果性を持たない、という仮説に対する P値を

表しています。この結果、8つの指数のうち 6つの指数に対して、5%の有意

水準でこの仮説が否定される結果となったことが分かります(残り 2指数のう

ち BPVIXにおいては、棄却レベルギリギリでした)。このテストでは唯一、23%

という高い P値により原油については仮説棄却となっていません。以上の結

果は、少なくとも 2種類のレジームを設定した場合において、インプライドボラ

ティリティー指数が将来の実現ボラティリティーの有効な予測指標となり得る

ことが多岐の投資資産について該当することを実証しています。

図 16: 8つのインプライドボラティリティー指数のグレンジャー因果性テスト P値

インプライドボラティリティー指数 P値

VIX 0.0000

TYVIX 0.0000

OVX 0.2331

GVZ 0.0001

EUVIX 0.0000

JYVIX 0.0032

BPVIX 0.0567

SPJGBVIX 0.0000

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

活用手法

前項にて、我々の予測フレームワークの基となっている 2つの実証考察内容

が明らかとなったことから、本項では当該フレームワークがマーケットタイミン

グ戦略にどのように活用できるかを 2つの事例を用いて説明します。既に自

明ではありますが、VIX指数を用いて原資産のドローダウンのタイミングを計

るという活用方法がまず挙げられます。より分析妙味が増すよう、株式 VIX

指数及び債券 VIX指数間の組み合わせで、それぞれの市場の不安心理を

把握する 4つのレジーム(「高‐高」、「高‐低」、「低‐高」、「低‐低」)を構築し、

分析に用いました。

まず、日経 225指数と USDJPY通貨キャリートレードからみてみましょう。日米

各国市場の不安心理を大まかに把握するために、VIX指数及び SPJGBVIX指

数を用いて下記 4種類のレジームを設定しました。

低 SPJGBVIX l/低 VIX: 日米双方の市場が落ち着いている

高 SPJGBVIX l/低 VIX: 日本のみ市場不安が存在

低 SPJGBVIX l/高 VIX: アメリカのみ市場不安が存在

高 SPJGBVIX l/高 VIX: 日米双方に市場不安が存在

図 17は、上記 4つのレジームについて、2008年から 2017年にかけての日経

225と USDJPYキャリートレードのリターン要因を分解して示しています。尚、

SPJGBVIX指数は 2008年に導入されました。色付けされた四角は、該当する

以上の結果は、少なくと

も 2種類のレジームを設

定した場合において、イ

ンプライドボラティリティ

ー指数が将来の実現ボ

ラティリティーの有効な予

測指標となり得ることが

多岐の投資資産につい

て該当することを実証し

ています。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

RESEARCH | Strategy

13

レジームにおける各資産の累積リターンを示しています。日本円は低

SPJGBVIX /高 VIX レジームの下、対米ドルで円高に推移しました。これは、資

産逃避先としてセーフヘーブン資産である日本円が買われるという経済合理

性に合致しています。為替スポットレートを事前予測することは不可能に等し

いということは共通認識となっていますが、この事実と、簡易化された我々の

アプローチをもって鑑みると、これらの間のリターン値に少しでも乖離がみら

れる場合は、その重要性が高いということに注意が必要です。捕捉ですが、

VIXレジームのみを用いた場合は、キャリートレードによるリターン要因をほ

ぼ無視した結果を得ることとなります。さらに、このレジームにおける日経 225

のリターンがマイナスとなる事象は、日本企業が輸出に大きく依存しているゆ

えに円高になると日本株式が打撃を受ける、という解釈とも合致しています。

図 17: 日本関連資産のリターン要因分析(SPJGBVIX と VIX両レジーム併用時,及び

VIXレジーム, SPJGBVIXレジーム単体の下で)

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しており、過去の想定パフォーマンスを反映しています。バックテストにより算

出されたパフォーマンスの制約内容については、本論文末尾のパフォーマンス開示文(Performance

Disclosure)を参照ください。

これらのリターン要因分析結果を、簡易的にロングショート戦略に活用する手

法としては:①キャリートレード投資家が、「低/高レジーム」のタイミングで反

対ポジションを取り直す、またはアンワインドする、 ②「低/高レジーム」で日

経 225をショートし逆に「高/低レジーム」でロングポジションをとる、といった方

法が挙げられるでしょう。 図 18から図 21は、これらのロングショート戦略の

累積リターンをパフォーマンス統計とともに、ロングオンリーの投資と比較して

示しています。結果は歴然としています。

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

2.5

Nik

kei 2

25

Nik

kei 2

25

(VIX

only

)

Nik

kei

(SP

JG

BV

IX o

nly

)

US

DJP

YC

arr

y T

rade

US

DJP

Y C

arr

y T

rade

(VIX

On

ly)

US

DJP

Y C

arr

y T

rade

(SP

JG

BV

IX O

nly

)

リターン要因

SPJGBVIX Low/VIX Low SPJGBVIX Low/VIX High SPJGBVIX High/VIX Low

SPJGBVIX High/VIX High VIX High VIX Low

SPJGBVIX High SPJGBVIX Low

日本円は低 SPJGBVIX /

高 VIX レジームの下、対

米ドルで円高に推移しま

した。これは、資産逃避

先としてセーフヘーブン

資産である日本円が買

われるという経済合理性

に合致しています

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

RESEARCH | Strategy

14

図 18: SPJGBVIX と VIX レジームに基づいた日経 225ロングショート戦略

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しており、過去の想定パフォーマンスを反映しています。バックテストにより算

出されたパフォーマンスの制約内容については、本論文末尾のパフォーマンス開示文(Performance

Disclosure)を参照ください。

図 19: SPJGBVIXと VIXレジームに基づいた日経 225ロングショート戦略のパフォーマンス統計値

統計値 ロングショート戦略 日経 225

シャープレシオ 0.77 0.41

年率リターン (%) 17.42 9.34

ボラティリティー (%) 22.55 22.39

最大ドローダウン(%) 34.70 28.74

最大リカバリー 221 Days 313 Days

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しており、過去の想定パフォーマンスを反映しています。バックテストにより算

出されたパフォーマンスの制約内容については、本論文末尾のパフォーマンス開示文(Performance

Disclosure)を参照ください。

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

4.5

5

5.5

200

8/1

2/3

1

200

9/6

/30

200

9/1

2/3

1

201

0/6

/30

201

0/1

2/3

1

201

1/6

/30

201

1/1

2/3

1

201

2/6

/30

201

2/1

2/3

1

201

3/6

/30

201

3/1

2/3

1

201

4/6

/30

201

4/1

2/3

1

201

5/6

/30

201

5/1

2/3

1

201

6/6

/30

201

6/1

2/3

1

201

7/6

/30

累積リターン

SPJGBVIX High/VIX High SPJGBVIX Low/VIX HighSPJGBVIX High/VIX Low SPJGBVIX Low/VIX LowNikkei 225 Long-Short Strategy Nikkei 225 USD Denominated

これらのリターン要因分

析結果を、簡易的にロン

グショート戦略に活用す

る手法としては:①キャリ

ートレード投資家が、「低

/高レジーム」のタイミン

グで反対ポジションを取

り直したり、アンワインド

する、 ②「低/高レジー

ム」で日経 225をショート

し逆に「高/低レジーム」

でロングポジションをと

る、といった方法が挙げ

られるでしょう。 .

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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図 20: SPJGBVIXと VIXレジームに基づいた USDJPYロングショート戦略

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しており、過去の想定パフォーマンスを反映しています。バックテストにより算

出されたパフォーマンスの制約内容については、本論文末尾のパフォーマンス開示文(Performance

Disclosure)を参照ください。

図 21: : SPJGBVIXと VIXレジームに基づいた USDJPYキャリートレード戦略のパフォーマンス統計値

統計値 ロングショート戦略 USDJPY キャリートレード

シャープレシオ 0.42 0.17

年率リターン (%) 4.30 1.78

ボラティリティー (%) 10.16 10.11

最大ドローダウン(%) 16.48 25.44

最大リカバリー 94 Days 402 Days

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しており、過去の想定パフォーマンスを反映しています。バックテストにより算

出されたパフォーマンスの制約内容については、本論文末尾のパフォーマンス開示文(Performance

Disclosure)を参照ください。

2つ目の事例として、2003年から 2017年にかけて下記 4種類の TYVIX/VIX ベ

ースレジーム下での株式、社債クレジット、米国債の相対パフォーマンスを挙

げます。

低 TYVIX /低 VIX : 株式市場及び債券市場ともに落ち着いている

高 TYVIX /低 VIX : 債券市場でのみ市場不安が存在

低 TYVIX /高 VIX : 株式市場でのみ市場不安が存在

高 TYVIX /高 VIX : 株式市場及び債券市場ともに市場不安が存在

0.5

0.7

0.9

1.1

1.3

1.5

1.7

1.9

200

8/1

2/3

1

200

9/6

/30

200

9/1

2/3

1

201

0/6

/30

201

0/1

2/3

1

201

1/6

/30

201

1/1

2/3

1

201

2/6

/30

201

2/1

2/3

1

201

3/6

/30

201

3/1

2/3

1

201

4/6

/30

201

4/1

2/3

1

201

5/6

/30

201

5/1

2/3

1

201

6/6

/30

201

6/1

2/3

1

累積リターン

SPJGBVIX High/VIX High SPJGBVIX Low/VIX High

SPJGBVIX High/VIX Low SPJGBVIX Low/VIX Low

Long-Short USDJPY Carry Trade USDJPY Carry Trade

「低/低レジーム」では株

式がクレジット市場をア

ウトパフォームし、クレジ

ット市場は米国債をアウ

トパフォームしました。

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インプライドボラティリティー指数を用いたマーケットタイミング戦略 2017年 8月

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図 22に示したリターン要因分析は経済合理性にかなった結果となりました。

「低/低レジーム」では株式がクレジット市場をアウトパフォームし、クレジット市

場は米国債をアウトパフォームしました。「高/高レジーム」の下では結果は逆

転し、資産逃避を受けて株式はマイナスとなり、対して米国債のリターンは伸

びました。「高/低レジーム」では、株式が最も良いリターンを示し米国債がマ

イナスとなり、クレジット市場はフラットでした。これは、スプレッドがタイト化し

た一方でイールドが上昇したためと思われます。一方、「低/高レジーム」では、

株式がこの場合でも最も高いリターンを示し、さらにクレジット市場と米国債も

正のリターンとなり、このレジームでのみ分析結果が想定外となりました。同

時期に、特に株式をはじめとする広範囲の資産価値の長期にわたる上昇が

みられたことが理由として考えられます。

図 22: TYVIXと VIXレジームに基づいた米国資産の投資リターンの要因分析

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

上述の相対リターン要因分析結果の活用法として、4種の TYVIX/VIXレジー

ムに基づいたアセットロテーション戦略が挙げられます。この戦略は、各レジ

ームで良いパフォーマンスを示すと予想される資産のウェイトを増やし、逆に

パフォーマンスが低いと予想する場合はアンダーウェイトとする方法となりま

す。図 23では、伝統的な 60/40アロケーション戦略と比較したこの戦略の累

積リターンとパフォーマンス統計を示します。レジームベース戦略のシャープ

レシオは 1.30となり 60/40の 2倍、ドローダウンはレジームベースが 11%に対

して 60/40は 35%でした。これは、当該論文の実証目的であるドローダウン回

避と投資対象資産間のパフォーマンスに基づくタイミングの把握という、2つ

の目的に沿う結果であると言えるでしょう。

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

SPDR S&P 500 ETF iShares Core U.S. AggregateBond ETF

iShares 7-10 Year TreasuryBond ETF

リターン要因

TYVIX Low/VIX Low TYVIX Low/VIX High

TYVIX High/VIX Low TYVIX High/VIX High

上述の相対リターン要因

分析結果の活用法とし

て、4種の TYVIX/VIXレジ

ームに基づいたアセット

ロテーション戦略が挙げ

られます。この戦略は、

各レジームで良いパフォ

ーマンスを示すと予想さ

れる資産のウェイトを増

やし、逆にパフォーマンス

が低いと予想する場合は

アンダーウェイトとする方

法となります。.

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図 23: TYVIXと VIXレジームに基づいた米国アセットロテーション戦略

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

図 24: TYVIXと VIXレジームに基づいた米国アセットロテーション戦略のパフォーマンス統計値

統計値 アセットロテーション戦略 60/40戦略

シャープレシオ 1.3 0.65

年率リターン (%) 5.51 7.18

ボラティリティー (%) 4.24 10.96

最大ドローダウン(%) 11.20 34.70

最大リカバリー 46 Days 418 Days

出所: Bloomberg(2017年 7月 21日現在)過去のパフォーマンスは将来の実績を保証するものではありませ

ん。当図表は参照目的で示しています。

結論

当論文で述べてきたように、実証のベースとなった2つの考察内容とその簡

易活用法は有効であり、VIX指数を多岐にわたる資産のマーケットタイミング

戦略に応用する方法は無限にあると言えます。これらの考察内容とレジーム

フレームワークに過度に依存しすぎることに注意し、確固たる経済合理性が

存在する場合にのみ、その活用を検討することが重要であると思われます。

0.5

1

1.5

2

2.5

3

200

3/9

/30

200

4/3

/31

200

4/9

/30

200

5/3

/31

200

5/9

/30

200

6/3

/31

200

6/9

/30

200

7/3

/31

200

7/9

/30

200

8/3

/31

200

8/9

/30

200

9/3

/31

200

9/9

/30

201

0/3

/31

201

0/9

/30

201

1/3

/31

201

1/9

/30

201

2/3

/31

201

2/9

/30

201

3/3

/31

201

3/9

/30

201

4/3

/31

201

4/9

/30

201

5/3

/31

201

5/9

/30

201

6/3

/31

201

6/9

/30

201

7/3

/31

累積リターン

TYVIX High/VIX HighTYVIX Low/VIX HighTYVIX High/VIX LTYVIX Low/VIX LowAsset Rotation Strategy60% S&P 500/40% iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF (Benchmark)

実証のベースとなった 2

つの考察内容とその簡

易活用法は有効であり、

VIX指数を多岐にわたる

資産のマーケットタイミン

グ戦略に応用する方法

は無限にあると言えま

す。

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参考文献

CBOE (2015). Introduction to the TYVIX Index. http://www.cboe.com/micro/volatility/tyvix/pdf/tyvixguidepart1.pdf

CBOE (2015). Compendium of Empirical Findings. http://www.cboe.com/micro/volatility/tyvix/pdf/tyvixguidepart3.pdf

S&P Dow Jones Indices and Japan Exchange Group (2015). S&P/JPX JGB VIX Methodology.

https://spindices.com/documents/methodologies/methodology-sp-jpx-jgb-vix.pdf

http://www.jpx.co.jp/markets/derivatives/sp-jpx-jgb-vix/nlsgeu0000017vg5-att/WhitePaper.pdf

S&P Dow Jones Indices and Japan Exchange Group (2015). S&P/JPX JGB VIX: Basic Empirical Properties.

http://www.spindices.com/documents/research/research-jpx-jgb-vix-basic-empirical-properties.pdf

S&P Dow Jones Indices (2016). S&P/JPX JGB VIX and the Japanese Yen: Part 1.

http://spindices.com/documents/research/research-sp-jpx-jgb-vix-and-the-japanese-yen.pdf

TYVIX 101. Online primer on TYVIX. http://www.tyvix101.com

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PERFORMANCE DISCLOSURE

The S&P/JPX JGB VIX was launched on October 2, 2015. All information presented prior to an index’s Launch Date is hypothetical (back-tested), not actual

performance. The back-test calculations are based on the same methodology that was in effect on the index Launch Date. Complete index methodology details are available at www.spdji.com.

S&P Dow Jones Indices defines various dates to assist our clients in providing transparency. The First Value Date is the first day for which there is a calculated value (either live or back-tested) for a given index. The Base Date is the date at which the Index is set at a fixed value for calculation purposes. The Launch Date designates the date upon which the values of an index are first considered live: index values provided for any date or time period prior to the index’s Launch Date are considered

back-tested. S&P Dow Jones Indices defines the Launch Date as the date by which the values of an index are known to have been released to the public, for example via the company’s public website or its datafeed to external parties. For Dow Jones-branded indices introduced prior to May 31, 2013, the Launch Date (which prior to May 31, 2013, was termed “Date of introduction”) is set at a date upon which no further changes were permitted to be made to the index methodology , but that may have been prior to the Index’s public release date.

Past performance of the Index is not an indication of future results. Prospective application of the methodology used to construct the Index may not result in performance commensurate with the back-test returns shown. The back-test period does not necessarily correspond to the entire available history of the Index. Please

refer to the methodology paper for the Index, available at www.spdji.com for more details about the index, including the manner in which it is rebalanced, the timing of such rebalancing, criteria for additions and deletions, as well as all index calculations.

Another limitation of using back-tested information is that the back-tested calculation is generally prepared with the benefit of hindsight. Back-tested information reflects the application of the index methodology and selection of index constituents in hindsight. No hypothetical record can completely account for the impact of financial risk in actual trading. For example, there are numerous factors related to the equities, fixed income, or commodities markets in general which cannot be, and have not been accounted for in the preparation of the index information set forth, all of which can affect actual performance.

The Index returns shown do not represent the results of actual trading of investable assets/securities. S&P Dow Jones Indices LLC maintains the Index and calculates the Index levels and performance shown or discussed, but does not manage actual assets. Index returns do not reflect payment of any sales charges or fees an investor may pay to purchase the securities underlying the Index or investment funds that are intended to track the performance of the Index. The imposition of these fees and charges would cause actual and back-tested performance of the securities/fund to be lower than the Index performance shown. As a simple example, if an

index returned 10% on a US $100,000 investment for a 12-month period (or US $10,000) and an actual asset-based fee of 1.5% was imposed at the end of the period on the investment plus accrued interest (or US $1,650), the net return would be 8.35% (or US $8,350) for the year. Over a three year period, an annual 1.5% fee taken at year end with an assumed 10% return per year would result in a cumulative gross return of 33.10%, a total fee of US $5,375, and a cumulative net return of 27.2% (or US $27,200).

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to the needs of any person, entity or group of persons. S&P Dow Jones Indices receives compensation in connection with licensing its indices to third parties. Past performance of an index is not a guarantee of future results.

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